JP4247733B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車または各種産業機械などに用いられるトロイダル型無段変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用変速機として、例えば、図8および図9に示すようなトロイダル型無段変速機が知られている。
このトロイダル型無段変速機は、入力軸1と中心軸を同じくして入力側ディスク2が設けられるとともに、入力軸1と中心軸を同じくして配置された出力軸3の端部に出力側ディスク4が固定されている。トロイダル型無段変速機を収めたケーシングの内側には、枢軸5、5を中心として揺動する複数個(この例では2個)のトラニオン6、6が設けられている。すなわち、各枢軸5、5はそれぞれ、入力側、出力側両ディスク2、4の軸方向(図8および図9において左右方向)に関してこれら両ディスク2、4の中間部に、これら両ディスク2、4の軸方向に対し直交する方向でかつこれら両ディスク2、4の中心軸に対し捻れの位置に配置されて、各トラニオン6、6の両端部外側面に設けられている。
【0003】
また、各トラニオン6、6の中間部には、変位軸7、7の基端部が支持されており、各枢軸5、5を中心として各トラニオン6、6を揺動させることにより、各変位軸7、7の傾斜角度が変化するようになっている。各変位軸7、7には、それぞれパワーローラ8、8が回転自在に支持されている。これら各パワーローラ8、8は、入力側、出力側両ディスク2、4の間に挟持されている。すなわち、これらの入力側、出力側両ディスク2、4の互いに対向する内側面2a、4aはそれぞれ、枢軸5を中心とする円弧を、入力軸1および出力軸3を中心に回転させた場合に得られる凹面に形成され、これらの内側面2a、4aに、球状凸面に形成された各パワーローラ8、8の周面8a、8aが当接されている。
【0004】
入力軸1と入力側ディスク2との問には、ローディングカム式の押圧装置9が設けられ、この押圧装置9によって、入力側ディスク2が出力側ディスク4に向けて押圧されている。この押圧装置9は、入力軸1と共に回転するカム板10と、保持器11により保持された複数個(例えば4個)のローラ12とを備えている。カム板10の片側面(図8および図9において左側面)には、円周方向に亙る凹凸面であるカム面13が形成され、入力側ディスク2の外側面(図8および図9において右側面)にも、同様のカム面14が形成されており、これらの間に、複数個のローラ12が入力軸1の中心に対して放射方向の軸を中心とする回転自在に支持されている。
【0005】
このように構成されたトロイダル型無段変速機においては、入力軸1の回転に伴ってカム板10が回転すると、カム面13が複数個のローラ12を入力側ディスク2の外側面のカム面14に押圧する。その結果、入力側ディスク2が、両パワーローラ8、8に押圧されるとともに、一対のカム面13、14と複数個の口一ラ12との押し付け合いに基づいて入力側ディスク2が回転する。そして、この入力側ディスク2の回転が、両パワー口ーラ8、8を介して出力側ディスク4に伝達され、この出力側ディスク4に固定された出力軸3が回転する。
【0006】
入力軸1と出力軸3との回転速度比(変速比)を変える場合であって、入力軸1と出力軸3との間で減速を行う場合には、枢軸5、5を中心として各トラニオン6、6を揺動させ、図8に示すように、各パワーローラ8、8の周面8a、8aが、入力側ディスク2の内側面2aの中心寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部分とにそれぞれ当接するように、各変位軸7、7を傾斜させる。
一方、増速を行う場合には、枢軸5、5を中心として各トラニオン6、6を揺動させ、図9に示すように、各パワーローラ8、8の周面8a、8aが、入力側ディスク2の内側面2aの外周寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの中心寄り部分とにそれぞれ当接するように、各変位軸7、7を傾斜させる。各変位軸7、7の傾斜角度を図8と図9との中間にすれば、入力軸1と出力軸3との間で、中間の変速比を得られる。
【0007】
図10および図11は、より具体化されたトロイダル型無段変速機を示している。
このトロイダル型無段変速機では、入力側ディスク2と出力側ディスク4とがそれぞれ、入力軸15の外周部にニードル軸受16、16を介して回転白在に支持されている。また、カム板10が入力軸15の端部(図10において左端部)の外周面にスプライン係合され、鍔部17により入力側ディスク2から離間する方向への移動を阻止されている。そして、このカム板10とローラ12、12とにより、入力軸15の回転に基づいて、入力側ディスク2を出力側ディスク4に向けて押圧しつつ回転させる、ローディングカム式の押圧装置9が構成している。
出力側ディスク4には、出力歯車18がキー19、19により結合され、これら出力側ディスク4と出力歯車18とが一体的に回転するようになっている。出力歯車18およびこの出力歯車18と噛合された図示しない歯車等が、出力側ディスク4の回転を取り出すための動力取り出し手段を構成している。
【0008】
一対のトラニオン6、6の両端部に設けた枢軸5、5は、一対の支持20、20に、揺動自在および軸方向(図10において表裏方向、図11において左右方向)に変位自在に支持されている。一対の支持20、20は、十分な剛性を有する板状に形成されており、各支持20、20の中央部に形成された円孔21、21がそれぞれ、ケーシング22の内面およびケーシング22内に設けたシリンダケース23の側面に固設した支持ピン24a、24bに外嵌されることにより、ケーシング22の内側に、揺動白在および各枢軸5、5の軸方向に変位自在に支持されている。また、各支持20、20の両端部にはそれぞれ、円形の支持孔25、25が形成されており、これらの各支持孔25、25にそれぞれ、トラニオン6、6の両端部に設けた各枢軸5、5が、外輪26、26を備えたラジアルニードル軸受27、27により支持されている。これらの構成により、各トラニオン6、6が、各枢軸5、5を中心として揺動白在およびこれら各枢軸5、5の軸方向に変位自在に、ケーシング22内に支持されている。
【0009】
各トラニオン6、6の中間部に形成された円孔40、40にはそれぞれ、変位軸7、7が支持されている。各変位軸7は、互いに平行でかつ偏心した支持軸部28と枢支軸部29とを備えている。各支持軸部28は、各円孔40の内側に、ラジアルニードル軸受30を介して揺動自在に支持されている。また、各枢支軸部29の外周部には、パワーローラ8がラジアルニードル軸受31を介して回転白在に支持されている。
【0010】
なお、上記一対の変位軸7、7は、入力軸15を中心として、点対象の位置(180度反対側の位置)になるように配置されている。また、これら各変位軸7、7の各枢支軸部29、29が各支持軸部28、28に対し偏心している方向は、入力側、出力側両ディスク2、4の回転方向に関し同方向(図11において左右逆方向)とされている。また、各枢支軸部29、29の軸方向は、入力軸15の軸方向(図10において左右方向、図11において表裏方向)に対しほぼ直交する方向とされている。したがって、各パワーローラ8、8は、入力軸15の軸方向に亙る若干の変位が許容されて支持されている。その結果、構成各部品の寸法精度のばらつき、あるいは動力伝達時の弾性変形等に起因して、各パワー口ーラ8、8が入力軸15の軸方向に多少変位しても、この変位を吸収でき、構成各部品に無理な力が加わることがない。
【0011】
また、各パワーローラ8、8の外側面と各トラニオン6、6の中間部内側面との間にはそれぞれ、パワーローラ8、8の外側面の側から順に、スラスト玉軸受等のスラスト転がり軸受32、32と、後述する外輪33、33に加わるスラスト荷重を支承するスラストニードル軸受等のスラスト軸受34、34とが設けられている。このうちのスラスト転がり軸受32、32は、各パワーローラ8、8に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、各パワーローラ8、8の回転を許容している。また、各スラスト軸受34、34は、各パワーローラ8、8から各スラスト転がり軸受32、32の外輪33、33に加わるスラスト荷重を支承しつつ、枢支軸部29、29および外輪33、33が支持軸部28、28を中心に揺動することを許容している。
【0012】
また、各トラニオン6、6の一端部(図11において左端部)にはそれぞれ、駆動ロッド35、35が結合され、各駆動ロッド35、35の中間部外周面には、駆動ピストン36が固設されている。各駆動ピストン36、36はそれぞれ、シリンダケース23内に設けた駆動シリンダ37、37内に油密に嵌装されている。さらに、ケーシング22内に設けた支持壁38と入力軸15との間には、一対の転がり軸受39、39が設けられて、入力軸15がケーシング22内に回転自在に支持されている。
【0013】
このように構成されたトロイダル型無段変速機においては、入力軸15の回転が押圧装置9を介して入力側ディスク2に伝えられる。そして、この入力側ディスク2の回転が、一対のパワーローラ8、8を介して出力側ディスク4に伝達され、さらにこの出力側ディスク4の回転が、出力歯車18より取り出される。入力軸15と出力歯車18との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン36、36を互いに逆方向に変位させる。そうすると、これら各駆動ピストン36、36の変位に伴って一対のトラニオン6、6がそれぞれ、逆方向に変位する。例えば、図11において下側のパワーローラ8が同図の右側に、同図の上側のパワーローラ8が同図の左側に、それぞれ変位する。その結果、これら各パワーローラ8、8の周面8a、8aと入力側ディスク2および出力側ディスク4の内側面2a、4aとの当接部に作用する、接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って各トラニオン6、6が、支持20、20に枢支された枢軸5、5を中心として、図10において互いに逆方向に揺動する。その結果、上述の図8および図9に示したように、各パワーローラ8、8の周面8a、8aと各内側面2a、4aとの当接位置が変化し、入力軸15と出力歯車18との問の回転速度比が変化する。
【0014】
なお、動力伝達時に構成各部品が弾性変形する結果、各パワーローラ8、8が入力軸15の軸方向に変位すると、これら各パワーローラ8、8を枢支している各変位軸7、7が、各支持軸部28、28を中心として僅かに揺動する。この揺動の結果、各スラスト転がり軸受32、32の外輪33、33の外側面と各トラニオン6、6の内側面とが相対変位する。これら外側面と内側面との間には、各スラスト軸受34、34が存在するため、この相対変位に要する力は小さい。したがって、上述のように各変位軸7、7の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
【0015】
上述のように構成され作用するトロイダル型無段変速機の場合には、パワーローラ8、8を支持するためのラジアルニードル軸受31およびスラスト転がり軸受32等、各トラニオン6、6と各変位軸7、7と各パワーローラ8、8との組み合わせ部分に存在する各軸受部分に潤滑油を送り込む必要がある。なぜならば、トロイダル型無段変速機の運転時にパワーローラ8、8は、大きな荷重を受けつつ高速回転する。したがって、ラジアルニードル軸受31およびスラスト転がり軸受32等の軸受の耐久性を確保するためには、これら軸受31、32を含む各軸受部分に十分な量の潤滑油を送り込む必要があるからである。
【0016】
このために、図10、11に示した構造の場合には、各トラニオン6、6の内部に、連続する給油孔38a、38bを形成している。そして、各駆動シリンダ37、37の低圧室側から、これら各駆動シリンダ37、37内に存在する作動油を、給油孔38a、38b内に潤滑油として送り込むようにしている。この送り込まれた潤滑油は、給油孔38bの下流端から吐出して、トラニオン6の内側面とスラスト転がり軸受32の外輪33の外側面との間に送り込まれる。
【0017】
このトラニオン6の内側面とスラスト転がり軸受32の外輪の外側面との間に送りこまれた潤滑油の一部は、図12に示すように、変位軸7の枢支軸部29の内部に形成された給油孔73に送り込まれ、この給油孔73から分岐した分岐ノズル孔73a、73bの下流端から吐出され、スラスト転がり軸受32およびラジアルニードル軸受31の内径側にそれぞれ送り込まれる。
【0018】
ところで、上記スラスト転がり軸受(スラスト玉軸受)32は、内輪としてのパワーローラ8と、複数個の転動体(玉)32aと、これらの転動体32aを転動自在に保持する保持器61と、外輪33とから構成されている。スラスト転がり軸受32の内輪軌道は、パワーローラ8の外側面に、外輪軌道は外輪33の内側面にそれぞれ形成されている。
【0019】
そして、保持器61としては、従来、特開平7−174146号公報に記載のものが知られている。この保持器61は、図13に示すように、円環板状の主体63に円周方向に等間隔に複数個のポケット62が形成され、各ポケット62内に転動体32aを保持するようになっている。主体63には、その外周面と各ポケット62の内周面との間に給油孔64、64が形成されている。これらの各給油孔64は、その内側端をポケット62の内周面に、また、外側端を主体63の外周面に開口させ、外側端から内側端に向けて次第に内径が小さくなるテーパ孔とされている。また、各給油孔64は、主体63の径方向に対して、角度φだけ傾斜している。傾斜方向は、保持器61の回転時に各給油孔64、64の外端が回転方向前側に開口するようにされている。
【0020】
また、同公報には、図14に示すように、他の例である保持器61aが記載されている。この保持器61aでは、各ポケット62の内周面と主体63aの内周面との間に、主体63aの径方向に給油孔65が形成されている。この保持器61aにおいては、スラスト転がり軸受の運転時に、主体63aの径方向内側に存在する潤滑油が、各給油孔65に吸い込まれ、回転に伴う遠心力に基づいて、各ポケット62内に送り込まれる。
また、同公報には、主体に給油孔64と給油孔65を組み合わせて形成することも記載されている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の保持器61、61aを用いると次のような問題がある。
すなわち、ポケット62よりも外周側に給油孔64を形成した保持器61では、保持器61の回転に伴い遠心力が発生するために、この遠心力に逆らって十分な量の潤滑油を各ポケット62に送り込むことが難しい。
一方、ポケット62よりも内周側に給油孔65を形成した保持器61aでは、の給油孔65を形成するための加工が難しい。
また、保持器61および保持61aではともに、給油孔64、65に潤滑油が供給された場合、潤滑油の排出口が設けられていないので、潤滑油の循環が行われずに油が溜まり、このため攪拌抵抗が増大し、動トルクが上昇して、効率が低下する虞がある。
また、主体に給油孔64と給油孔65とを形成した保持器では、内周側の給油孔65の加工が難しいという問題がある。
【0022】
本発明は、上記事情に鑑みて為されたもので、スラスト転がり軸受の保持器に関して、保持器の給油孔の加工が容易であるとともに、変速機の効率の低下を引き起こすことがなく、転動体が収納されるポケットに給油孔を通して潤滑油を確実に供給することができるトロイダル型無段変速機を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のトロイダル型無段変速機は、回転自在に支持された入力軸と、この入力軸と共に回転自在な入力側ディスクと、この入力側ディスクと中心軸を同じくして配置され、かつこの入力側ディスクに対して回転自在に支持された出力側ディスクと、これら入力側、出力側両ディスクの軸方向に関してこれら両ディスクの中間部に、これら両ディスクの軸方向に対し直交する方向でかつこれら両ディスクの中心軸に対し捻れの位置に配置されて当該位置で揺動する複数のトラニオンと、これら各トラニオンに支持された変位軸に回転白在に支持され、入力側および出力側両ディスクの間に挟持された複数個のパワーローラと、これら各パワーローラの外側面と前記各トラニオンの内側面との間に設けられてパワーローラのスラスト荷重を支承しつつ、パワーローラの回転を許容するスラスト転がり軸受とを備え、入力側、出力側両ディスクの互いに対向する内側面を、それぞれ断面が円弧形の凹面とし、前記各パワーローラの周面を球面状の凸面として、この周面と前記内側面とを当接させているトロイダル型無段変速機であって、前記スラスト転がり軸受は、転動体を収容する複数個のポケットが環状の主体の周方向に沿って並んで形成されているとともに、前記ポケットに潤滑油を供給する給油孔が前記主体に形成されている保持器を備えているトロイダル型無段変速機において、
前記保持器の前記給油孔は、前記複数個のポケットのうちの少なくとも一部のポケットに対して、該ポケットの中心を横切って、前記主体の前記変位軸の軸方向に沿った厚さの中央部を当該主体の内周面から外周面に貫通する一直線状に形成され、
前記保持器の前記給油孔の内側開口は、前記主体の内周面に形成された周方向に沿う環状のリセス溝内に配置されるとともに当該リセス溝が断面弧状に形成され、
前記保持器の前記給油孔の内側開口は、前記変位軸に形成された潤滑油の供給口に対向して配置されるとともに前記リセス溝および当該リセス溝内に配置される前記給油孔の内側開口と、前記変位軸に形成された前記供給口は、当該変位軸の軸方向に沿った位置が同じにされていることを特徴とする。
【0024】
請求項1に記載の発明においては、保持器の給油孔を、ポケットを横切って、主体の内周面から外周面に貫通する一直線状に形成したので、給油孔の加工が非常に容易になるため、加工コストを低減することができる。
また、給油孔の内側開口から供給された潤滑油が保持器の遠心力に伴って外側開口から排出されるので、潤滑油がスラスト転がり軸受の内部に留まって攪拌抵抗を増大させる虞がないため、変速機の効率の低下を引き起こすことがない。特に、粘土が高いトラクション油を潤滑油として使用する場合に効果が大きい。
さらに、潤滑油がスラスト転がり軸の内部に留まらずに循環するので、この軸受の熱を放出する効果がある。
【0026】
また、給油孔の内側開口が変位軸に形成された潤滑油の供給口に対向して配置されているので、変位軸の供給口から噴出した潤滑油が確実に給油孔の内側開口から給油孔内に入るため、確実に潤滑油をポケットに送りこむことができる。したがって、転動体の転動面に潤滑油を送り込むことができ、スラスト転がり軸受の摩耗や焼付けを防止することができる。
【0028】
また、変位軸の供給口から噴出した潤滑油が確実にリセス溝に入り、ここから給油孔の内側開口から給油孔内に入るため、さらに確実に潤滑油をポケットに送りこむことができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、各図において、図10乃至図13と同一構成要素には同一符号を付してその説明を簡略化する。
図1〜図3は、本発明の第1の実施の形態に係る図であって、図1は本実施の形態に係るトロイダル型無段変速機のスラスト転がり軸受の部分を示す断面図、図2は保持器の平面図、図3は図2のZ−Z線に沿う断面図である。
【0030】
本実施の形態のスラスト転がり軸受(スラスト玉軸受)32Aは、内輪としてのパワーローラ8と、複数個の転動体(玉)32aと、これらの転動体32aを転動自在に保持する保持器81と、外輪33とから構成されている。スラスト転がり軸受32Aの内輪軌道は、パワーローラ8の外側面に、外輪軌道は外輪33の内側面にそれぞれ形成されている。
【0031】
保持器81は、円環板の主体83に円周方向に等間隔に複数個のポケット62が形成され、各ポケット62内に転動体32aを保持するようになっている。主体83には、各ポケット62の中心を横切って、主体83の内周面から外周面に主体83の径方向に貫通する一直線状の給油孔84が形成されている。給油孔84の内側開口は、前述した変位軸7の枢支軸29に形成された分岐ノズル孔73aの下流端の供給口と対向する位置に配置されている。また、主体83の内周面の中央部には、周方向に沿う円環状のリセス溝86が形成されており、このリセス溝86内に、給油孔84の内側開口が配置されている。したがって、リセス溝86の開口部側は、分岐ノズル孔73aの下流端の供給口と対向している。リセス溝86は、主体83の厚さ方向に沿う断面形状が、円弧状(この例では半円状)に形成されている。
【0032】
このように構成されたトロイダル型無段変速機においては、運転時には、分岐ノズル孔73aの供給口から噴出した潤滑油が、リセス溝86内に入り、さらに給油孔84の内側開口から給油孔84内に入り、この給油孔84を通してポケット62内に供給され、さらに保持器81の遠心力によってポケット62の外側の給油孔84の部分を通って給油孔84の外側開口から排出される。
【0033】
このトロイダル型無段変速機にあっては、保持器81の給油孔84を、ポケット62を横切る一直線状の貫通孔により主体83に形成したので、加工が非常に容易になるため、加工コストを低減することができる。
また、給油孔84の内側開口から供給された潤滑油が保持器81の遠心力に伴って外側開口から排出されるので、潤滑油がスラスト転がり軸受32Aの内部に留まって攪拌抵抗を増大させる虞がないため、変速機の効率の低下を引き起こすことがない。トロイダル型無段変速機においては、スラスト転がり軸受32Aは、一般の軸受と異なり、通常トラクション油で潤滑を行う。このトラクション油は、パワーローラ8の周面8aと入力側ディスク2、出力側ディスク4の内側面2a、4aとの間に入り込んで動力伝達を行うものであるため、粘土が高い。このため、攪拌抵抗が発生し易いので、上記構造の給油孔84は特に有効である。さらに、スラスト転がり軸受32Aは、内輪としてのパワーローラ8が動力伝達を行うため、熱が発生し易いが、上述したように、潤滑油がスラスト転がり軸受32Aの内部に留まらずに循環するので、この軸受32Aの熱を放出する効果がある。
さらに、給油孔84の内側開口を分岐ノズル孔73aの下流端の供給口と対向する位置に配置し、しかも主体83の内周面に円環状のリセス溝86を形成し、このリセス溝86内に給油孔84の内側開口を配置したので、分岐ノズル孔73aの供給口から噴出した潤滑油が、確実にリセス溝86に入り、ここから給油孔84の内側開口から給油孔84内に入るため、確実に潤滑油をポケット62に送りこむことができ、したがって転動体32aの転動面に潤滑油を送り込むことができる。これにより、スラスト転がり軸受32Aの摩耗や焼付けを防止することができる。
【0034】
図4、図5および図6はそれぞれ、第1の実施の形態の変形例を示す図であって、保持器の一部断面図である。
これらの保持器では、第1の実施の形態とリセス溝の形状のみが異なっている。すなわち、図4の保持器81aでは、リセス溝86aは、主体83aの厚さ方向に沿う断面形状が楕円の一部の形状(この例では半楕円状)に形成されている。また、図5の保持器81bでは、リセス溝86bは、主体83bの厚さ方向に沿う断面形状が方形に形成されている。また、図6の保持器81cでは、リセス溝86cは、主体83cの厚さ方向に沿う断面形状が方形の両隅に丸み付けられた形状に形成されており、これにより図5のリセス溝86bと比べて溝の両隅に応力集中が生じ難くされている。
【0035】
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る保持器の平面図である。
本実施の形態の保持器81dでは、各ポケット62の中心を横切って、主体83dの内周面から外周面に貫通する一直線状の給油孔84aが、主体83dの半径方向に対して角度φ傾斜して形成されている。
このトロイダル型無段変速機にあっても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0036】
なお、本発明に係るスラスト転がり軸受を構成する場合に、給油孔84、84aは、必ずしもすべてのポケット62に付設する必要はない。一部のポケット62にのみ給油孔84、84aを付設すれば、この一部のポケット62内に保持された転動体32aを通じて内輪軌道および外輪軌道に潤滑油が供給され、給油孔84、84aを設けていないポケット62内の転動体32aの転動面と両軌道面との潤滑も行なわれる。
また、リセス溝86、86a、86b、86cは必ずしも設けなくてもよい。また、スラスト転がり軸受としては、スラスト玉軸受のほか、スラストテーパころ軸受を使用することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のトロイダル型変速機によれば、スラスト転がり軸受の保持器の給油孔の加工が容易であるとともに、変速機の効率の低下を引き起こすことがなく、転動体が収納されるポケットに給油孔を通して潤滑油を確実に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るトロイダル型無段変速機のスラスト転がり軸受の部分を示す断面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る保持器を示す平面図である。
【図3】図2のZ−Z線断面図である。
【図4】第1の実施の形態の変形例を示す図であって、保持器の一部断面図である。
【図5】同じく、保持器の一部断面図である。
【図6】同じく、保持器の一部断面図である。
【図7】第2の実施の形態に係る保持器を示す平面図である。
【図8】トロイダル型無段変速機の基本構成を最小減速時の状態で示す側面図である。
【図9】同じく、最大減速時の状態で示す側面図である。
【図10】トロイダル型無段変速機の具体的構造の一例を示す要部の断面図である。
【図11】図10のX−X線に沿う断面図である。
【図12】従来のスラスト転がり軸受の部分を示す断面図である。
【図13】従来の保持器を示す平面図である。
【図14】従来の他の保持器を示す平面図である。
【符号の説明】
7 変位軸
32A スラスト転がり軸受
32a 転動体
62 ポケット
73a 分岐ノズル孔
81、81a、81b、81c、81d 保持器
83、83a、83b、83c、83d 主体
84、84a 給油孔
86、86a、86b、86c リセス溝

Claims (1)

  1. 回転自在に支持された入力軸と、この入力軸と共に回転自在な入力側ディスクと、この入力側ディスクと中心軸を同じくして配置され、かつこの入力側ディスクに対して回転自在に支持された出力側ディスクと、これら入力側、出力側両ディスクの軸方向に関してこれら両ディスクの中間部に、これら両ディスクの軸方向に対し直交する方向でかつこれら両ディスクの中心軸に対し捻れの位置に配置されて当該位置で揺動する複数のトラニオンと、これら各トラニオンに支持された変位軸に回転白在に支持され、入力側および出力側両ディスクの間に挟持された複数個のパワーローラと、これら各パワーローラの外側面と前記各トラニオンの内側面との間に設けられてパワーローラのスラスト荷重を支承しつつ、パワーローラの回転を許容するスラスト転がり軸受とを備え、入力側、出力側両ディスクの互いに対向する内側面を、それぞれ断面が円弧形の凹面とし、前記各パワーローラの周面を球面状の凸面として、この周面と前記内側面とを当接させているトロイダル型無段変速機であって、前記スラスト転がり軸受は、転動体を収容する複数個のポケットが環状の主体の周方向に沿って並んで形成されているとともに、前記ポケットに潤滑油を供給する給油孔が前記主体に形成されている保持器を備えているトロイダル型無段変速機において、
    前記保持器の前記給油孔は、前記複数個のポケットのうちの少なくとも一部のポケットに対して、該ポケットの中心を横切って、前記主体の前記変位軸の軸方向に沿った厚さの中央部を当該主体の内周面から外周面に貫通する一直線状に形成され、
    前記保持器の前記給油孔の内側開口は、前記主体の内周面に形成された周方向に沿う環状のリセス溝内に配置されるとともに当該リセス溝が断面弧状に形成され、
    前記保持器の前記給油孔の内側開口は、前記変位軸に形成された潤滑油の供給口に対向して配置されるとともに前記リセス溝および当該リセス溝内に配置される前記給油孔の内側開口と、前記変位軸に形成された前記供給口は、当該変位軸の軸方向に沿った位置が重なっていることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
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