JP4247682B2 - 混成集積回路装置 - Google Patents
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Description
本発明の混成集積回路装置は厚膜回路基板と、電子部品とから成り、厚膜回路基板は絶縁性の基板及び銅導体膜を含む。このうち、基板は絶縁性材料(例えばアルミナ基板)から成り、形状や厚さに特別の制約はない。なお、基板は一つの又は複数の貫通孔を備えることができる。
銅導体ぺ一ストは銅粉末に有機金属を添加して調整する。有機金属とは、樹脂の分子構造を持ち、その分子構造の一部に金属原子が結合している化合物であり、有機チタン、有機マンガン、有機ゲルマニウム、有機銀より選ばれる化合物が挙げられる。有機金属化合物は配位化合物の一種とみなすことができ、有機基は中心金属に対する配位子と考えられる。ナフテン酸塩等の骨格部分にマンガンなどが結合している。なお、ナフテン酸塩の他、テトラエチルチネタートやオクチルアルコート等で骨格部分を形成しても良い。
絶縁性の基板の上に直接銅導体膜を形成するのではなく、基板の所定部分(例えば電子部品の搭載部分)と銅導体膜との間にガラス層を介在させることができる(請求項9参照)。ガラス層はガラスペーストの焼成により形成できる。また、基板上の所定部分(例えば、電子部品の搭載部分)にはじめに銀導体膜を形成し、その後銅導体膜を形成することもできる(請求項10参照)。この場合、銀導体膜は銀導体ペーストを焼成して形成され、その焼成温度は800から900℃である(請求項11、12参照)。
第1実施例に係る混成集積回路装置について、図1から図7を用いて説明する。
(混成集積回路装置)
図1に示す混成集積回路装置は、厚膜回路基板25と、その上に実装された電子部品 とから成る。厚膜回路基板25はアルミナ基板10と、その上面の一部に搭載されたボンディング導体膜(Bg導体膜)13及び抵抗体膜16と、基板10、Bg導体13及び抵抗体膜16上に形成された銅導体膜(配線パターン)20から22とを含む。銅導体膜21にはんだ35及び36により電子部品38がはんだ付けされている。
(混成集積回路装置の作製方法)
(イ)抵抗体膜及びボンディング導体の形成
図2に示すように、ボンディング導体(以下「Bg導体」という)ぺ一スト(田中貴金属製TR4846ぺ一スト)、及び一般的な大気焼成用抵抗体膜ぺ一スト(例えばDupont製2100SR)を用いて、アルミナ基板10上にスクリーン印刷でBg導体ペースト13A及び抵抗体膜ペースト16Aを形成した。
銅導体ぺ一ストは金属成分である銅(Cu)粉末と、有機マンガン(Mn)からなる添加剤と、酸化銅と、硼珪酸鉛系のガラスの酸化物と、ビヒクルとを混合し、混合物を三本ロールミルにて混練して調整した。
次に、図4に示すように、上記銅導体ぺ一スト20A、21A及び22Aをアルミナ基板10上にスクリーン印刷し、125℃にて10分間乾燥させた。銅導体膜20はBg導体膜13及び抵抗体膜16を電気的に接続し、銅導体膜21及び22は電子部品38の搭載ランドを形成するものである。従って、銅導体ぺ一スト20AはBg導体部13及び抵抗体膜16を覆う範囲に、銅導体ぺ一スト21A及び22Aは電子部品38の搭載位置に形成する。その後、図5に示すように、銅導体ぺ一スト20Aから22Aを650℃で10分焼成して、厚さ10から30μmの銅導体膜20を形成した。
図6に示すように、抵抗体膜16の保護及び電子部品38の搭載位置のはんだダムを形成するため、抵抗体膜16を覆う範囲にオーバコートガラスペースト30Aでスクリーン印刷をし、125℃にて10分間乾燥させた。その後、オーバコートガラスペースト30Aを600℃で60分間焼成してオーバコートガラス膜30を形成した。
図7に示すように、銅導体膜21及び22にはんだぺ一スト(不図示)でスクリーン印刷をし、はんだペースト上に電子部品38を搭載し、235℃のリフロを実施した。その結果、電子部品38がはんだ35及び36ではんだ付けされ、上記図1に示した混成集積回路装置が完成した。
第1比較例として銅粉末にマンガン粉末を1重量%添加した銅導体ぺ一ストを調整し、第2比較例として銅粉末に金属を一切添加しない銅導体ぺ一ストを調整した。これらのペーストを上記第1実施例の銅導体ぺ一ストと同様に基板上にスクリーンで印刷し、焼成した。こうして、マンガン粉末が有機マンガンと同量だけ添加されている第1比較例の混成集積回路装置と、添加金属が全く添加されていない第2比較例の混成集積回路装置とを作成した。
第1実施例の厚膜回路基板25の銅導体膜21及び22にはんだ35及び36で電子部品38を実装した混成集積回路装置を、冷熱サイクル雰囲気で、はんだ付けの強度試験を行った。冷熱サイクル雰囲気は、−40℃での30分の保持と150℃での30分の保持とを一サイクルとし、このサイクルを繰り返した。その後、引張試験にてはんだ35及び36による電子部品38のはんだ付け部分の接着強度を測定した。
第1実施例による効果は以下の通りである。第1に、厚膜回路基板25の銅導体膜20,21及び22の構造が緻密になる。よって、はんだ付け時にはんだ35及び36内のすずが銅導体膜21及び22に拡散し難く、合金の成長が抑制されアルミナ基板10と銅導体膜21及び22の剥離が防止できる。
図8から図12に示す第2実施例の混成集積回路装置は、アルミナ基板上に形成する銅導体膜の一部が第1実施例のそれよりも厚く、これとの関係で電子部品をはんだ付けする銅導体膜とアルミナ基板との間にガラス層を敷いている点が第1実施例と異なり、その他の点は第1実施例と同じである。以下、異なる構成を中心に説明する。
(ガラス層、Bg導体膜、抵抗体膜の形成)
図8に示すように、厚い銅導体膜が形成されるアルミナ基板50上に予め、Bg導体ペースト52A及び抵抗体ペースト53Aの他、ガラスペースト55Aをスクリーン印刷し、125℃にて10分間乾燥させ、650℃で10分間焼成する。こうして、図9に示すように、厚さO.01から1μmのガラス層55と、厚さ10から30μmのBg導体膜52と、厚さ10から30μmの抵抗体膜53とを形成した。
図10に示すように、上記第1実施例の銅導体ぺ一ストと同じ銅導体ぺ一スト57A、58A及び61Aをスクリーン印刷し、125℃にて10分間乾燥させ、650℃で10分間焼成した。その結果、図11に示すように、Bg導体膜52及び抵抗体膜53を覆う銅導体膜57及び58の他、ガラス膜55を覆う大電流配線用の厚さ50から100μmの銅導体膜61が形成された。
オーバコートガラスペーストをスクリーン印刷をし、125℃にて10分間乾燥させ、600℃で60分間焼成して、図12に示すように、銅導体膜57、58及び61を覆うオーバーコートガラス膜63を形成した。こうして、第2実施例の厚膜回路基板60が作製された。銅導体膜61上にはんだにより電子部品(不図示)がはんだ付けされている。
第3比較例として、アルミナ基板50と銅導体膜61との間にガラス層55を敷かないで厚膜回路基板を作製した。
アルミナ基板50と銅導体膜61との間にガラス層55を敷いた第2実施例の厚膜回路基板60、及びガラス層を敷かない第3比較例の厚膜回路基板において、650℃で60分間焼成を行い、アルミナ基板からの銅導体膜の浮き量を調べた。
図13から図17に示す第3実施例では、アルミナ基板70上にはじめに銀(Ag)導体膜を形成し、その上に銅導体膜を形成している点が、第1実施例とは異なる。以下、異なる点を中心に説明する。
次に、図15に示すように、Bg導体膜71、抵抗体膜72及び銀導体膜74上に、上記第1実施例の銅導体ぺ一ストと同じ銅導体ぺ一スト76A、77A及び79Aをスクリーン印刷し、125℃にて10分間乾燥させ、650℃で60分間焼成した。こうして、図16に示すように、銅導体膜76及び77の他、銀導体膜74上に積層された第2導体膜としての銅導体膜79を形成した。銅導体膜79の膜厚は10から20μmが一般的であるが、大電流を流すラインでは膜厚を50から200μmにする。
図17に示すように、銅導体膜76、77及び79にわたるようにオーバコートガラスペーストでスクリーン印刷をし、125℃にて10分間乾燥させ、600℃で60分間焼成した。こうして銅導体膜76、77及び79がオーバコートガラス膜81で覆われ、第3実施例の厚膜回路基板80が作製された。銅導体膜79上にはんだにより電子部品(不図示)がはんだ付けされている。
第3実施例によれば、第1実施例の効果に加えて、アルミナ基板70上の電子部品の搭載部分の配線抵抗値が低くなり、大電流容量を増やすことが可能となる効果が得られる。銀導体膜が介在されていない比較例4ではそのような効果は得られない。
図18から図21に示す第4実施例では、アルミナ基板100に複数の貫通孔(スルーホール)101、102及び103が形成されている。図21から分かるように、厚膜回路基板120のアルミナ基板100の上面では左端にBg導体膜105が形成され、貫通孔101の周縁に銀導体膜107が形成され、貫通孔102の周縁に銀導体膜108が形成されている。右寄りの貫通孔103の回りに銀導体膜109が形成され、基板の右端部に銀導体膜113が形成されている。結局、アルミナ基板100の上面のBg導体膜105に接続された電子部品(不図示)と、下面の抵抗体膜121と銅導体膜115にはんだによりはんだ付けされた電子部品(不図示)とが、銀導体膜及び銅導体膜を介して接続されている。
アルミナ基板100の上面に銀導体膜107、108、109及び111を形成し、その上に銅導体膜113、114及び115を形成する方法、及び下面に銅導体膜を123、124及び125を形成する方法は、基本的に第3実施例と同じであるので、詳しい説明は省略する。こうして、第4実施例の厚膜回路基板120が作製されている。
第4実施例によれば、アルミナ基板100がスルーホール101から103を持ち、基板の上面にBg導体膜105が形成され、下面に抵抗体膜121が形成されている場合でも、第3実施例の効果と同様の効果が得られる。加えて、銅導体膜113等が銀導体膜107等を介してアルミナ基板100に形成されているので、高密度でしかも大電流に対向できる厚膜回路基板を提供できる。
16:抵抗体膜 20,21,22:銅導体膜
30:ガラスコート膜 25:厚膜回路基板
35,36:はんだ 38:電子部品
Claims (12)
- 絶縁性の基板と、前記基板上に形成され銅粉末に、有機チタン、有機マンガン、有機ゲルマニウム、有機銀より選ばれる有機金属、硼珪酸鉛系のガラスの酸化物を添加した銅導体ペーストを600から700℃の焼成温度で焼成して成る銅導体膜とを含む厚膜回路基板と、
前記銅導体膜上にはんだによりはんだ付けされた電子部品と、
から成ることを特徴とする混成集積回路装置。 - 前記ガラスの酸化物は、軟化点が430℃以下である請求項1記載の混成集積回路装置。
- 前記有機マンガンは、前記銅導体ペーストの重量を100%としたときに、0.5〜2%で含まれる請求項1記載の混成集積回路装置。
- 前記有機マンガンは、前記銅導体ペーストの重量を100%としたときに、0.7〜2%で含まれる請求項1記載の混成集積回路装置。
- 前記銅粉末は、平均粒径が1μmの粉末と、平均粒径が2μmの粉末の混合粉末である請求項1記載の混成集積回路装置。
- 前記銅導体膜の膜厚は50から200μmである請求項1に記載の混成集積回路装置。
- 前記銅導体膜は、前記基板上に形成された抵抗体膜及びボンディング導体膜を覆うように形成されている請求項1に記載の混成集積回路装置。
- 前記抵抗体膜は酸化ルテニウム(Ru2O)よりなる抵抗体膜である請求項7に記載の混成集積回路装置。
- 前記基板と前記銅導体ペーストとの間にガラス層が介在されている請求項1に記載の混成集積回路装置。
- 前記基板と前記銅導体膜との間に銀導体膜が形成されている請求項1に記載の混成集積回路装置。
- 前記銀導体膜は、前記銅導体ぺ一ストの焼成前に前記基板と前記銅導体ペーストとの間に介在させた銀導体ペーストを焼成したものである請求項10に記載の混成集積回路装置。
- 前記銀導体ペーストの焼成温度は800から900℃である請求項11に記載の混成集積回路装置。
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