JP4247310B2 - 硬度測定装置 - Google Patents
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そして、大きさ、傷の有無、糖度、および色の4項目は、選果機により自動的に仕分することが可能である。しかし、糖度が高くても熟し過ぎているため食感が悪い場合や、外観だけでは判断できない病気(芯腐れ、内部褐変等)による欠陥を持っている場合があるので、上記4項目だけでは果実の欠陥の判断は困難であった。
外観だけでは分からない欠陥を、人間の感覚で判断するには、多年の経験を必要とするとともに、人間の感覚で判断することは選果ミスが発生する危険性もあった。
また、精確な選果ができる人材を育成することは、人件費等の経費がかかるという問題や、育成までに時間を要するという問題があった。
特許文献2に記載の発明は、例えば、西瓜の測定において、西瓜を振動させることによって得られた高周波に基づいて、前記西瓜のスの有無を判定する技術である。
特許文献3に記載の発明は、衝撃用ハンマーを用いて果物に振動を与え、果物にて発生する振動音をマイクロフォンでとらえ、その信号をデジタル信号に変換するとともに、果物の大きさを超音波を用いて測定し、これらのデータに基づいて果物の熟度を判定するように構成された判定装置である。
特許文献4に記載の発明は、判別対象の物体に吸収されやすい波長を含むレーザ光を照射し、発生する振動を用いて材質を判別する方法であって、加振機によって振動を与えた前記物体の固有振動数を測定するとともに、この固有振動数で検査光に変調をかけ、物体の振動状態を検出することによって材質を判定するものである。
また、上述した特許文献2に記載の発明では高周波を使用しているが、果物は高周波を 伝えにくいため精確な測定が困難であった。また、振動の幅を数値化して客観的に解析することが困難であった。
また、上述した特許文献3に記載の発明では、果物を振動させるために衝撃用ハンマーを用いているため、果物に損傷を与えるおそれがあるので、好ましくないという問題があった。
また、上述した特許文献4に記載の発明では、加振機やレーザ光源等の小型化が困難であった。
また、果物に直接触れることなく間接的に振動を与える方法としては、空気の疎密波を介在させることが考えられるが、振動素子等を用いて発生させた空気の疎密波は同心円状に拡散するので、エネルギーの密度が低下して、果物に到達するエネルギーは低いものになり、到底十分な振動を発生させることはできなかった。
このように、何れの発明であっても、果物に損傷を与えることなく振動を与えて精確な測定をすることは困難であった。
気体を媒体とする疎密波を発生させる音響発信源と、
一方の焦点の位置に配設された前記音響発信源にて発生させた疎密波を反射させて、他方の焦点に配設された測定位置の対象物へ集めることによって、対象物に直接接触させることなく、対象物に振動を与える回転楕円体による反射手段と、
前記疎密波が照射されることによって発生する対象物の振動を、レーザードップラー法によって検出するように構成された振動センサと、
前記音響発信源を制御するとともに前記振動センサからの振動信号と対象物の重量情報に基づいて前記対象物の硬度を演算する解析手段と、
から構成した。
請求項2では、
対象物を、前記測定位置に順次搬送し、測定後には前記測定位置から搬出する搬送手段を備えている。
請求項3では、
対象物を載せる載置部と基台部とから構成され、
前記載置部の上面には、平面視で略放射状の3本の凸条が形成され、
前記基台部には、前記3つの凸条によって支持される対象物の重量を計測するための計測部と、データ出力部と、ディスプレイ装置とが備えられている重量計測手段を備えている。
請求項4では、
前記解析装置は、前記振動センサからの振動信号に基づいて前記対象物の欠陥の有無を判定するように構成されている。
請求項5の硬度測定装置は、
回転楕円体の一部からなり少なくとも一部分が透明な反射体を支持棒に対して首振り可能に連結し、
前記反射体には開口が形成され、
前記反射体の外側にはレーザー装置が設けられ、
前記反射体の内側の一方の焦点に配設された音響発信源は駆動手段に接続され、
樹上の果実に前記反射体をかざして、前記音響発信源からの音波を前記果実に照射し、前記音波が照射されることによって発生する果実の振動を、前記レーザー装置を用いたレーザードップラー法によって検出して、解析装置によって解析し、前記果実の硬度、即ち熟度と欠陥の有無を判定するように構成されている。
このようにして、対象物に傷を付ける心配も無く非接触で対象物の硬度や欠陥の有無を測定できる。また、搬送しながらでも、また、樹上の果物等をそのままの状態でも測定することが可能となった。
特に、前記反射手段を回転楕円体とすれば、一方の焦点で疎密波を発生させ、反射波が集中する他方の焦点に対象物を置くことによって、より効果的な測定が可能となる。
図1、2において、
1は本発明にかかる硬度測定装置である。2は内面が回転楕円体の凹面の一部で形成された反射体であり、2つの反射体2A、2Bに分割構成されている。3は前記2つの反射体2A、2Bの間を通って果物等の対象物4を搬送するように配設された搬送用のコンベアである。
そして、大きい方の反射体2Aの内部に位置する一方の焦点Pの位置に、音響発信源5が配設されている。他方の焦点Qには、前記コンベア3の上の対象物4の表面もしくは表面近くが位置するように配設されている。
また、前記コンベア3の載置面には例えば中心から放射状に延びた3本以上の凸条を形成し、対象物との接触面積がなるだけ小さくなるように構成するとよい。
前記トレー9は、図3に示したように、対象物4としての果物を載せる載置部91と基台部92とから構成されている。前記載置部91の上面には平面視で略放射状の3本の凸条が形成されている。前記基台部92には、前記3つの凸条によって支持される対象物Tの重量を計測するための計測部95と、データ出力部96と、ディスプレイ装置97とが備えられている。
このように構成した場合には、対象物は順次、重量計測手段を通過して搬送されるため、重量計測手段にて計測した対象物と、前記反射体2を通過する対象物とが1対1に対応するように計測データを一次的に保持する保持手段を備える。
特に、測定する対象物が、果物等のように水分を多く含み柔らかい場合には、対象物の振動の共鳴周波数が低くなり、第二共鳴周波数は人間の耳に聴こえる音響周波数帯域(可聴域)の数百〜数千ヘルツとなる。
この場合、回転楕円体の長軸を1mとすると、楕円の性質から、一方の焦点から出た音波が他方の焦点まで到達するまでの距離も1mとなる。従って、音速を秒速330mとすると、長軸が1mの回転楕円体からなる反射体2の内部では330ヘルツの固有共鳴を生じることになる。従って、対象物の第二共鳴周波数がこの付近にある場合は、回転楕円体の長軸で規定される固有共鳴の周波数と、対象物の第二共鳴周波数とが離れるように設計する必要がある。この場合の避けるべき長軸の長さは次式で計算される。
避けるべき長軸長(m)=330/第二共鳴周波数(ヘルツ)
61は解析装置であり、前記レーザー装置6で検出した対象物の振動を高速フーリエ変換処理して振動数の特性を解析するとともに、前記重量計測手段によって得られた重量に基づいて、対象物の硬度を測定するように構成されている。
前記コンピュータは、演算処理手段としてのCPUと、記憶手段としてのハードディスクやメモリと、データ標示手段としてのディスプレイ装置と、操作情報入力手段としてのキーボードと、信号入出力手段としてのインターフェース部621とを備えている。
前記インターフェース部621は、前記レーザー装置6を制御して受信した反射波の信号が入力されるように反射波信号入力部622と、前記重量計測手段にて得られた重量情報が入力される重量入力部623と、前記音響発信源の駆動手段53を制御するための制御手段624とを備えている。
なお、前記反射波信号入力部622にはA/D変換機能が備えられて、前記反射波信号を重量情報とともに前記コンピュータ62で処理しやすいようにデジタル信号に変換する。前記制御手段624からは所定の周波数の音響信号が所定のパターンで出力されるように前記駆動手段53を制御するための制御信号が出力される。
前記低周波発信器51から出力される信号は、例えば、1000Hz、2000Hz、4000Hz、あるいは8000Hzのパルス波や、10Hzから1500Hzまでスイープする低周波信号、もしくはホワイトノイズやピンクノイズ等の広帯域信号の何れかの信号、もしくはそれらの混合信号である。
そして、出力される低周波信号は、所定のレベルになるように制御されていることはいうまでもない。ここで、前記音響発信源5において発生させている振動が正常であるか否かを監視するためのモニターセンサ(図示せず。)を、前記音響発信源5に付設してもよい。そして、前記モニターセンサからの信号に基づいて、前記音響発信源5から発せられる音響信号が一定のレベルになるように制御してもよい。
図1の解析装置61は、レーザードップラー法によって検出した振動と、対象物の重量情報とに基づいて対象物の硬度即ち熟度を計算するとともに、欠陥の有無を判定して、結果をディスプレイ装置に表示する。
なお、多数の対象物を測定する場合でも、少数のトレーを循環させて利用するとよい。
まず、ステップS1においては、測定開始に当たって、前記音響発信源5、ボリューム等の状態が正常であるか否かをチェックするとともに、各部及び各変数等を初期化する。
次に、ステップS2において、測定開始スイッチの状態をチェックして、押されるとステップS3に進み、前記低周波発信器51から低周波信号を出力するとともに、前記レーザー装置6によるレーザードップラー法による対象物の振動の検出を開始する。
ステップS4においては、前記レーザー装置6からの反射波信号の入力を監視し、対象物4が反射体2の所定Qに到達して音響信号を受け振動が発生し、その振動による反射波が検出されるのを待つ。振動による反射波信号が検出されるとステップS5へ進む。
このような周波数特性の例を図4に示した。
ステップS6においては、前記周波数特性を微分等して第2共鳴周波数(第2ピーク)f2と第3共鳴周波数(第3ピーク)f3を演算して求め、それらのピークの振幅v2,v3を求める。
ここで、弾性率・硬度は、m2/3f2 2(但し、m:重量、f2:第2共鳴周波数)と表せ、前記重量mは対象物Tの直径dを3乗した値に比例する。従って、対象物Tの直径dを2乗した値は、m2/3に比例することになるので、弾性率・硬度の相対値はd2f2 2で算出されることになる。
このようにして得られた硬度は、欠陥がないかぎり、熟度との相関が強いので、熟度の代わりに硬度を前記解析装置61のディスプレイ装置に数値表示する。
ここでは、ステップS6において求めた第2共鳴周波数(第2ピーク)の振幅v2に対する第3共鳴周波数(第3ピーク)の振幅v3の相対的な低下量(v2−v3、図4においては7.1)を算出する。ここで、振幅をdB値で表示しているので、2つの振幅の比はdB値の差で表される。
このようにして算出した振幅の相対的な低下量を、正常な(欠陥の無い)対象物の果物の場合での低下量に基づいた判定基準範囲(例えば10.0)と比較する。
図4において実線で示したように相対的な低下量が7.1であれば、判定基準範囲内であるので、欠陥の無い正常な果物であると判定できるが、図4において破線で示したように相対的な低下量が19.3であれば、判定基準範囲を越えているので、当該対象物の果物に欠陥があると判定できる。
このような判定結果を前記ディスプレイ装置に「欠陥有り」もしくは「欠陥無し」と表示する。
なお、振動センサーとして、レーザー装置のような非接触式の振動センサーに代えて、圧電素子や電磁ピックアップ等の機械電気信号変換素子を直接果実表面に接触させて振動を検出するように構成した接触式の振動センサーを用いることにより、レーザー装置より簡略化された装置で 対象物の硬度、熟度および欠陥の有無を、判定、および表示させることができる。
図6に示した硬度測定装置1Bは、回転楕円体の一部からなる反射体2Cを備えたものであり、前記反射体2Cには開口21Cが形成されている。前記反射体2Cの外側にはレーザー装置6Bが設けられている。前記反射体2Cは支持棒8に対して首振り可能に連結されている。
前記反射体2Bの内側の一方の焦点に配設された音響発信源5Bは、図示しないが、図1の駆動手段53と同様の駆動手段に接続されており、前記レーザー装置6Bも、図示しないが、図1の解析装置61と同様の解析装置に接続されている。
そして、前記反射体2Cの少なくとも一部分は透明な素材を用いて、対象物を視認できるように構成すると位置決めしやすい。
このようにして、図6の硬度測定装置1Bによれば、樹上の果物等の対象物に前記反射体2Cをかざすだけで、その硬度即ち熟度と欠陥の有無とが客観的に判定されて表示されるので、経験の浅深に関わらず適切な硬度の判断と、適切な収穫時期と欠陥の有無の判断ができる。
図4に本発明の硬度測定装置1による反射波の周波数特性の測定例を示した。
また、本発明による硬度の測定結果を、特開平09-236587号において提案したレーザードップラー測定装置による測定結果と対比させたところ、高い相関係数が得られ、本発明の装置がレーザードップラー測定装置と同等の精度を持っていることが示された。
従って、本発明による前記硬度測定装置1によって精確な熟度の測定と欠陥の有無の判定をすることができるのである。
図6に示した実施例では、反射体として、回転楕円体の一部で構成して開口部を設けたものを用いた。
さらには、図示はしないが、回転楕円体の曲面に代えて、小面積の平板状の反射板を多数連結して、それぞれの反射板が、音響発信源からの疎密波を対象物へ反射するように配設したものを用いてもよい。
2 反射体
2A、2B 反射体
3 コンベア
4 対象物、果物
5 音響発信源
51 低周波発振器
52 低周波増幅器
6 レーザー装置
61 解析装置
1B 硬度測定装置
2B 反射体
2C 反射体
5B 音響発信源
8 支持棒
9 重量測定手段、トレー
Claims (5)
- 気体を媒体とする疎密波を発生させる音響発信源と、
一方の焦点の位置に配設された前記音響発信源にて発生させた疎密波を反射させて、他方の焦点に配設された測定位置の対象物へ集めることによって、対象物に直接接触させることなく、対象物に振動を与える回転楕円体による反射手段と、
前記疎密波が照射されることによって発生する対象物の振動を、レーザードップラー法によって検出するように構成された振動センサと、
前記音響発信源を制御するとともに前記振動センサからの振動信号と対象物の重量情報に基づいて前記対象物の硬度を演算する解析手段と、
から構成されていることを特徴とする硬度測定装置。 - 対象物を、前記測定位置に順次搬送し、測定後には前記測定位置から搬出する搬送手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の硬度測定装置。
- 対象物を載せる載置部と基台部とから構成され、
前記載置部の上面には、平面視で略放射状の3本の凸条が形成され、
前記基台部には、前記3つの凸条によって支持される対象物の重量を計測するための計測部と、データ出力部と、ディスプレイ装置とが備えられている重量計測手段を備えたことを特徴とする請求項1〜2の何れか1項に記載の硬度測定装置。 - 前記解析装置は、前記振動センサからの振動信号に基づいて前記対象物の欠陥の有無を判定するように構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の硬度測定装置。
- 回転楕円体の一部からなり少なくとも一部分が透明な反射体を支持棒に対して首振り可能に連結し、
前記反射体には開口が形成され、
前記反射体の外側にはレーザー装置が設けられ、
前記反射体の内側の一方の焦点に配設された音響発信源は駆動手段に接続され、
樹上の果実に前記反射体をかざして、前記音響発信源からの音波を前記果実に照射し、前記音波が照射されることによって発生する果実の振動を、前記レーザー装置を用いたレーザードップラー法によって検出して、解析装置によって解析し、前記果実の硬度、即ち熟度と欠陥の有無を判定するように構成したことを特徴とする硬度測定装置。
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