(第1の実施形態)
図1に示されるように、第1の実施形態に従う無線通信装置は大きく分けて物理層10、MAC層20及びリンク層30からなる。物理層10は、図1では利用するチャネルの周波数帯域が異なる2種類の物理層プロトコルに対応している。すなわち、物理層10は第1周波数帯域を持つ第1チャネルを用いて通信を行うための物理層プロトコル処理を行う第1の物理層プロトコル処理部11と、第1周波数帯域より帯域幅が広くかつ第1周波数帯域と重複する第2周波数帯域を持つ第2チャネルを用いて通信を行うための物理層プロトコル処理を行う第2の物理層プロトコル処理部12を有する。第1の物理層プロトコル処理部11及び第2の物理層プロトコル処理部12は、実装上は両者の間で回路の共用などがしばしば行われ、必ずしも独立してはいない。
第1の物理層プロトコル処理部11が処理するプロトコルは、例えば少なくともIEEE 802.11aに規定される物理層プロトコルを含む。第1の物理層プロトコル処理部11が利用する第1周波数帯域の帯域幅は、例えば20MHzとする。第1の物理層プロトコル処理部11は、送信側と受信側でそれぞれ複数のアンテナ13A〜13Bを用いる、いわゆるMIMO(Multiple Input Multiple Output) 技術を用いてもよい。MIMO技術は、周波数帯域を同じに保ってもアンテナの数にほぼ比例した伝送容量の増加を見込むことができるため、IEEE 802.11の更なる高スループット化を目指すIEEE 802.11 TGn (Task Group n) に採用される可能性の高い技術である。
第2の物理層プロトコル処理部12は、例えばSISO(Single Input Single Output)及びMIMOのいずれか、ないしは両方の技術を用いるものとする。第2の物理層プロトコル処理部12が使用する第2周波数帯域の帯域幅は、例えば40MHzとする。第1周波数帯域は、第2周波数帯域内に存在している。
MAC層20はチャネルアクセス制御部21を有し、チャネルアクセス制御部21はキャリアセンス部22、チャネル状態管理部23及びチャネル占有・解放部24を有する。MAC層20はさらにネットワークシステム管理部25を有し、ネットワークシステム管理部25はビーコンフレームの生成やアソシエーションの管理などを司り、後述する拡張が適宜なされる。
キャリアセンス部22は、物理層10から得た実キャリアセンス情報とMAC層20のプロトコルにより得られる仮想キャリアセンス情報を合わせてキャリアセンス状態を管理することによって、チャネルの空塞(アイドル/ビジー)状態を管理する。すなわち、キャリアセンス部22は単一のチャネルの空塞状態を管理しているのではなく、第1の周波数帯域内の1つ以上の第1チャネルと、第2の周波数帯域内の1つ以上の第2チャネルの空塞状態を管理している。
チャネル占有・解放部23は、一定期間チャネルを占有したり、あるいは占有していたチャネルを解放したりするために必要な、MAC層20の仮想キャリアセンス状態を制御するフレームを生成する。チャネル占有・解放部23により生成されるフレームは、物理層10に送られ、第1の物理層プロトコル処理部11及び第2の物理層プロトコル処理部12によって送信される。
チャネル状態管理部24は、所望のチャネルアクセス制御を行うために、キャリアセンス部22、チャネル占有・解放部23、及び物理層10の第1及び第2のプロトコル処理部11を協調動作させる。
図1に示した無線通信装置の具体例としては、例えば40M/20M MIMO STA (AP)及び40M/20M STA (AP)が挙げられる。40M/20M MIMO STA (AP)とは、20MHzチャネルによるSISO、20MHzチャネルによるMIMO、40MHzチャネルによるSISO、及び40MHzチャネルによるMIMOの送受信が可能な端末(ないしアクセスポイント)である。40M/20M STA (AP)とは、20MHzチャネルによるSISO及び40MHzチャネルによるMIMOの送受信が可能な端末(ないしアクセスポイント)である。リンク層30に関しては、IEEE 802で規定される通常のリンク層の機能を備えるものとする。
図2に示されるもう一つの無線通信装置は、物理層10が図1中に示した第2の物理層プロトコル処理部12を含まない点で図1に示す無線通信装置と異なる。第1の物理層プロトコル処理部11の第1の周波数帯域が名目20MHzで、MIMO技術を含んでも含まなくても構わない点と、MAC層20及びリンク層30については図1の無線通信装置と共通である。
ただし、図2の無線通信装置では第1の物理層プロトコル処理部11に基づくメディアアクセス制御しか行わないため、図2におけるMAC層20の動作の詳細は図1に示す無線通信装置と一部相違する。第1の物理層プロトコル処理部11がMIMO技術を含まない場合、図2の無線通信装置はIEEE 802.11a, IEEE 802.11b及びIEEE 802.11gの少なくとも一つに対応する既存の装置であっても構わない。
図2に示した無線通信装置の具体例としては、例えば20M MIMO STA (AP)及び20M STA (AP)が挙げられる。20M MIMO STA (AP)とは、20M HzチャネルによるSISO及び20MHzチャネルによるMIMOの送受信が可能な端末(ないしアクセスポイント)である。20M STA (AP)とは、20M HzチャネルによるSISOの送受信が可能な端末(ないしアクセスポイント)である。
図3に、図1及び図2の無線通信装置を含むネットワーク100の例を示す。ネットワーク100内の基地局101は、40M/20M MIMO APに相当するアクセスポイントである。端末102〜106は、基地局101とアソシエーションを確立している。ここで、端末102は40M/20M MIMO STA_1、端末103は40M/20M MIMO STA_2、端末104は40M/20M STA、端末105は20M MIMO STA105、端末106は20M STA_1である。もう一つの端末107は20M STA_2であり、ネットワーク100以外のネットワーク、例えば20M_ch_bを使用するネットワークに属していると仮定する。
図3のネットワーク100においては、通信チャネルとして図4に模式的に示されるように、X MHz〜(X+20)MHzの周波数帯域を用いる20MHzのチャネル20M_ch_aと、XMHz〜(X+40)MHzの周波数帯域を用いる40MHzのチャネル40M_chを有する。従って、X MHz〜(X+20) MHzの周波数帯域は、20MHzのチャネルと40MHzのチャネルで重複して利用される。(X+20) MHz〜(X+40) MHzの周波数帯域を用いるもう一つの20MHzのチャネル20M_ch_bは、図3のネットワーク100では使用されないが、他のネットワークでは使用される場合がある。
ネットワーク100内では、40MHzチャネル40M_ch及び40M_chと周波数的に重なる2つの20MHzチャネル20M_ch_a, 20M_ch_bのいずれか一方が使用される。言い替えれば、ネットワーク100に属している40M/20M MIMO STA及び40M/20M STAは、20M_ch_aと20M_ch_bを同時には扱わないものとする。
もし、20M_ch_aと20M_ch_bを同時に扱おうと試みたとしても、IEEE 802.11のプロトコルに従う限り、同一の装置において20M_ch_aによる送信と20M_ch_bによる受信が同時刻に発生することは避けがたい。例えば、ある端末が20M_ch_aで自己宛のデータフレームを受信すると、当該端末は固定値のSIFS(Short Inter Frame Space)期間後にACKを送信する必要がある。20M_ch_bは20M_ch_bとは独立にメディアアクセス制御が行われるため、これと同時に20M_ch_bでフレームの交換が行われる可能性がある。同じ周波数帯であれば、一般にはチャネルが異なっていたとしても送信と受信を同時に行うことができるように実装することは難しい。従って、20M_ch_bで交換されるフレームはACKを送信している端末では受信ができない。
次に、ネットワーク100を形成するための接続制御に関して述べる。基地局101である40M/20M MIMO APでは、ネットワークシステム管理部25による制御の下で第1の物理層プロトコル処理部11が20M_ch_aを用いて定期的にビーコンフレーム(beacon frame)を同報する。一方、端末102〜106はいずれも20M_ch_aをパッシブスキャン(passive scan)することによりビーコンフレームを受信することができ、それによって基地局101の存在、すなわちネットワーク100の存在を認識する。
あるいは、端末102〜106は20M_ch_aを用いて自らプローブ要求フレーム(probe request frame)を送信し、それに対する基地局101からのプローブ応答フレーム(probe response frame)を受信する、アクティブスキャン(active scan)を行うことによって、基地局101の存在、すなわちネットワーク100の存在を認識することもできる。
基地局101である40M/20M MIMO APは、基本的には20M_ch_aと40M_chで動作するが、後述する40M_chへの切り替えなどのために、一時的に20M_ch_bで送受信を行う。この際、20M_ch_bに対するプローブ要求は無視し、プローブ応答を行わない。また、40M/20M MIMO APは、40M_chで動作しているときは、40M_ch、20M_ch_a、20M_ch_bで送信されたフレームを受信させることもできる。この場合、40M/20M MIMO APは、受信したフレームがどのチャネルで受信したかを判断することにより、20M_ch_bに対するプローブ要求を無視するようにする。
端末102〜106は、複数のチャネルをスキャンした結果得たビーコンフレームまたはプローブ応答フレームに含まれる情報や、ビーコンフレームまたはプローブ応答フレームの受信信号強度などに基づいて、接続するべき基地局101(ネットワーク100)を選択する。特に、基地局101である40M / 20M MIMO APが送信するビーコンフレームまたはプローブ応答フレームには、それらを送信する基地局101が40M / 20M 対応のアクセスポイントであることを示す情報及び基地局101が対応可能なMIMOの多重数を示す情報(以下、これらを総称してアクセスポイント情報と呼ぶ)などが含まれる。アクセスポイント情報は、CIF(Capability Information Field)またはIE(Information Element) のいずれか、あるいはその両方に含まれる。これらのアクセスポイント情報は、対応可能なデータレートの値によって暗に示される場合もある。
端末102〜106は、このようなアクセスポイント情報も参考にして基地局101(ネットワーク100)を選択する。すなわち、例えば端末102、103及び104(40M / 20M MIMO STA、40M / 20M STA)は40M ch対応の基地局の優先度を上げ、端末102、103、105及び106(40M / 20M MIMO STA、20M MIMO STA)はMIMO対応の基地局の優先的を上げる。端末106(20M STA)は、基地局101からのビーコンフレームあるいはビーコン応答フレームに含まれる、40M ch及びMIMO関連の情報は理解できないものとする。従って、これらの情報は端末106(20M STA)による基地局の選択には影響を与えない。
図5に、図3のネットワーク100における接続シーケンスの一例を示す。接続シーケンスは、端末がネットワーク100を発見したビーコン/プローブ応答を受信したチャネル(ここでは20M_ch_a)によって行われる。ここで、本来は接続(association)の前に認証(authentication)が行われるが、図5と以下の説明では認証については省略している。
基地局101である 40M / 20M MIMO AP は、40MHzチャネルと20MHzチャネルかつ4多重のMIMOをサポートしていることを示すビーコンフレームであるbeacon (40M / 20M MIMO 4x) を定期的に同報する。端末102〜106(40M / 20M MIMO STA、40M / 20M STA、及び20M STA)は、同報されたbeacon (40M / 20M MIMO 4x) を受信し、かつネットワーク100に接続することを選択する。
さらに、端末102〜106(40M / 20M MIMO STA、40M / 20M STA、及び20M STA)は、基地局101(40M / 20M MIMO AP)に対し、それぞれの端末の能力(対応可能なデータレート)を示す情報を含む接続要求であるassociation request (40M / 20M MIMO 2x)、association request (40M / 20M)、及びassociation request (20M) を送信する。association request (40M / 20M MIMO 2x)は、40MHzチャネルと20MHzチャネルかつ2多重のMIMOをサポートしていることを示す。association request (40M / 20M)は、40MHzチャネルと20MHzチャネルをサポートしていることを示す。association request (20M)は、20MHzチャネルかつ4多重のMIMOをサポートしていることを示す。
接続要求であるassociation request (40M / 20M MIMO 2x)、association request (40M / 20M)、及びassociation request (20M)を受信した基地局101(40M / 20M MIMO AP)は、各端末102〜106がサポートしている方式とデータレートを記憶する。記憶された情報は、基地局101が各端末102〜106宛のフレームを送信する際に、送信先の端末がサポートしている方式とデータレートの範囲内で送信することを保障するためなどに用いられる。
次に、図6を用いて図3のネットワーク100における物理層の動作モード(PHYモードと記載する)とキャリアセンス状態制御に関する説明を行う。図6の例においては、基地局101である40M / 20M MIMO APが20M_ch_aを用いて通信を行う期間(20M_ch_a期間)と40M_chを用いて通信を行う期間(40M_ch期間)との切り替えを制御する。20M_ch_a期間内及び40M_ch期間内においては、基地局101が端末102〜106をポーリングしてメディアアクセス制御を行うモード(PCFまたはHCCA)であっても、各端末102〜106が対等にメディアアクセス制御を行うモード(DCFまたはEDCA)であっても構わない。
図6は、ネットワーク100内で当初は20M_ch_aを用いて通信を行っており、この後に40M_ch期間をはさんで、再び20M_ch_a期間に戻る様子を示している。ネットワーク100内においては20M_ch_aと40M_chを通信に利用するが、40M_chを使用するために40M_chと重なり合う周波数を用いている20M_ch_bは通信に利用できないようにする。20M_ch_bはネットワーク100に近接する別のネットワークで用いられているかもしれないし、まったく用いられていないかもしれない。
図6(a)は、制御に必要となる主なフレームの交換の概要を時系列で示している。図6(b)は、40M / 20M MIMO APのPHYモードと各チャネル (20M_ch_a, 20M_ch_b, 40M_ch) のキャリアセンス状態を示している。図6(c)は、40M / 20M MIMO STA、または40M / 20M STAのPHYモードと各チャネル (20M_ch_a, 40M_ch) のキャリアセンス状態を示している。図6(d)は、20M_ch_aを用いる20M MIMO STAまたは20M STA のPHYモードとチャネル20M_ch_aのキャリアセンス状態を示している。20M_ch_aを用いる20M MIMO STAまたは20M STA は、ネットワーク100に属している端末であってよい。図6(e)は、20M_ch_bを用いる20M MIMO STAまたは20M STA(これらはネットワーク100には属していないが、近接するネットワークに属する端末である)のPHYモードとチャネル20M_ch_bのキャリアセンス状態を示している。
図6(b)〜(e)においては、キャリアセンス状態はMAC層と物理層を区別せずに表している。PHYモードの切り替えを行う端末ないし基地局においては、キャリアセンス状態が不明な場合がある。例えば、特定のPHYモード(またはチャネルと表現してもよい)A(例えば、20M_ch_a) で動作している場合、他のPHYモードB(例えば、20M_ch_bまたは40M_ch) の物理層の実キャリアセンス状態は不明である。また、特定のPHYモードA(例えば、20M_ch_a) のMAC層の仮想キャリアセンスのビジー状態(あるいは自装置がメディアアクセス権を保持している場合には、保持の有効期限)が終了した時点で、他のPHYモードB(例えば、20M_ch_bまたは40M_ch)に切り替えている場合、最初のPHYモードAのMAC層の仮想キャリアセンス状態は不明になる。また、PHYモードを切り替えると、切り替え当初は当該PHYモードのキャリアセンス状態は不明になることがある。
キャリアセンス状態としては、キャリアセンス部22が管理する複数の物理層の動作モードとチャネルの空塞状態の中から、現在用いられている物理層の動作モードとチャネルに一致するものを選択して利用する。すなわち、無線通信装置の各々は、基本的には自装置の物理層10の動作モードとチャネルに関するキャリアセンス状態に従って、メディアアクセス制御を行う。例えば、40M_chで動作している際には40M_chのキャリアセンス状態に従い、20M_ch_aで動作している際には20M_ch_aのキャリアセンス状態に従う。従って、キャリアセンス状態が不明になっても、多くの場合には問題は生じない。
以下、図6に従って動作手順を説明する。最初の時点では、40M / 20M MIMO AP、40M / 20M MIMO STA、40M / 20M STA、20M MIMO STA (20M_ch_a) 及び20M STA (20M_ch_a) は、図6(b)(c)(d)に示されるように20M_ch_aで動作している。20M MIMO STA (20M_ch_b) 及び20M STA (20M_ch_b)は、図6(e)に示されるように20M_ch_bで動作している。
この状態で、チャネル状態管理部23が基地局101(40M / 20M MIMO AP)が40M_chに切り替えを行う手順を開始すると決定したとする。40M / 20M MIMO APは、キャリアセンス部22により図6(b)に示される20M_ch_aのキャリアセンス状態を管理する。キャリアセンス部22は、20M_ch_aがアイドル状態になり、PIFS(PCF Inter Frame Space)期間にわたりアイドル状態が継続すると、20M_ch_aの空き条件を満たしたと判定する。すなわち、キャリアセンス部22はキャリアセンス状態から20M_ch_aの空き条件を満たしたことを判定する第1の判定部の機能を有する。
チャネル占有・解放部23は、キャリアセンス部22から20M_ch_aの空き条件を満たしたという判定結果を受けると、第1の一定期間20M_ch_aを占有することを宣言するフレーム(以下、Ch_a占有宣言フレームという)F1を生成し、これを第1の物理層プロトコル処理部11を用いて20M_ch_aにより送信させる。
Ch_a占有宣言フレームF1は、同時にネットワーク100の動作モードを20M_ch_aから40M_chに切り替えることを伝える。基地局101または端末102〜106が40M chと20M chを同時に受信待ち状態にできる場合には、動作モードの切り替えは不要であるから、Ch_a占有宣言フレームF1は20M_ch_aを第1の期間占有することのみを宣言すればよい。PIFSは、40M / 20M MIMO APが他の端末に優先してメディアを獲得するために用いる。制御ポリシーが異なる場合には、PIFS以外の時間間隔、例えばDIFS(Distributed Inter Frame Space)+バックオフ期間を用いてもよい。バックオフ期間は擬似乱数により最大・最小値間の値に決定される。
20M_ch_aの占有期間は、少なくとも予定している40M_ch期間をカバーできるように設定する。20M STAが理解可能な方式で20M_ch_aの占有状態を指定するために、Ch_a占有宣言フレームF1にはヘッダのデュレーション(Duration)フィールドを用いる。Ch_a占有宣言フレームF1の宛先は、例えば40M / 20M MIMO APとする。Ch_a占有宣言フレームF1の生成は、チャネル状態管理部23の制御の下でチャネル占有・解放制御部24により行われる。Ch_a占有宣言フレームF1の送信は、物理層10内の第1の物理層プロトコル処理部11により行われる。
Ch_a占有宣言フレームF1は、40M_chを一定期間占有することを示す情報を含んでもよい。40M_chを一定期間占有することを示す情報は後方互換性が不要なので、必ずしもデュレーションフィールドを用いる必要はなく、新たな情報として追加してもよい。デュレーションフィールドの値によって、20M_ch_a及び40M_chの両方を同じ期間だけ占有することにしてもよい。
40M / 20M MIMO STA及び40M / 20M STAは、Ch_a占有宣言フレームF1を受信すると、図6(c)に示されるように20M_ch_aのMAC層のキャリアセンス状態を指定された期間ビジー状態に設定し、同時にPHYモードを20M_ch_aから40M_chに切り替える。図6(c)には、40M_chのMAC層のキャリアセンス状態は前もってビジー状態に設定されていた場合を示しているが、受信したCh_a占有宣言フレームF1に従ってビジー状態に設定してもよい。
こうしてネットワーク100の動作モードは40M_chに切り替えられたが、MAC層のキャリアセンス状態がビジー状態であるため、40M / 20M MIMO STA及び40M / 20M STAはCh_a占有宣言フレームF1を送信することができない。即ち、チャネル占有・解放部制御部24がCh_a占有宣言フレームF1を解釈し、その結果に基づいてキャリアセンス部22がキャリアセンス状態を変更し、チャネル状態管理部23が物理層10に指示してPHYモードの切替を行った結果、この状態が実現される。
20M MIMO STA (20M_ch_a)及び20M STA (20M_ch_a) は、Ch_a占有宣言フレームF1を受信すると、図6(d)に示されるように20M_ch_aのMAC層のキャリアセンス状態を指定された期間ビジー状態に設定する。Ch_a占有宣言フレームF1は20M_ch_aで送信されているため、20M MIMO STA (20M_ch_b)及び20M STA (20M_ch_b) が受信することはない。
次に、基地局101(40M / 20M MIMO AP)は図6(b)に示されるようにPHYモードを20M_ch_bに切り替える。この切り替え後、40M / 20M MIMO APはアイドル状態がPIFS期間継続するのを待って、仮想キャリアセンスにより一定期間20M_ch_bを占有することを宣言するフレーム(以下、Ch_b占有宣言フレームという)F2を送信する。Ch_b占有宣言フレームF2は、さらにネットワーク100と同じ物理媒体を共有しているネットワーク100以外のネットワーク(図示せず)に属する端末の動作モードを20M_ch_bから40M_chに切り替えることを伝えてもよい。Ch_a占有宣言フレームF1の場合と同様に、PIFSは40M / 20M MIMO APが他の端末に優先してメディアを獲得するために用いる。制御ポリシーが異なる場合には、PIFS以外の時間間隔、例えばDIFS+バックオフ期間を用いてもよいことも、Ch_a占有宣言フレームF1の場合と同様である。
PHYモードを20M_ch_bに切り替える直前の20M_ch_bのキャリアセンス状態は不明である。また、物理層10のキャリアセンスは、フレーム先頭のプリアンブル部分で感度が高く、フレームの途中では感度が低いことが一般である。これらのことから、PIFS期間で20M_ch_bを空きと判断するのは、危険な場合もある。従って、20M_ch_bでCh_b占有宣言フレームF2に先行する最初のフレームを受信完了するまで待って、キャリアセンス状態を確認した方がよい。ただし、20M_ch_bは基地局101が管理するネットワーク100では使われていないため、実際には使われていない可能性も高い。従って、ここでは効率のよいPIFS期間を用いている。
20M MIMO STA (20M_ch_b)及び20M STA (20M_ch_b) は、Ch_b占有宣言フレームF2を受信すると、図6(c)に示されるように20M_ch_bのMAC層のキャリアセンス状態を指定された期間ビジー状態に設定する。Ch_b占有宣言フレームF2は20M_ch_bで送信されているため、20M_ch_aで動作している20M MIMO STA (20M_ch_a) 及び20M STA (20M_ch_a) がCh_b占有宣言フレームを受信することはない。また、40M_chに切り替え済みの40M/20M MIMO STAと40M/20M STAは、Ch_b占有宣言フレームを受信することもできるが、その場合は、受信したフレームがCh_bであることを判断して、ビジー状態に設定しないようにする。なお、40M_chに切り替え済みの40M/20M MIMO STAと40M/20M STAが、20M_chで送信された信号を受信できないように設計されている場合は、Ch_b占有宣言フレームを受信することはないので、ビジー状態に設定しない。
次に、40M / 20M MIMO APは図6(b)に示されるようにPHYモードを40M_chに切り替える。この切り替え後、40M / 20M MIMO AP は図6(a)に示されるようにSIFS期間継続するのを待って、それまで占有していた40M_chを仮想キャリアセンスにより解放するフレーム(以下、40M_ch解放フレームという)F3を送信する。ここで、40M / 20M MIMO APが40M_chのメディアを確保している状態なので、必ずしもアイドル状態のSIFS期間の継続を確認する必要はないが、確認してもよい。
40M / 20M MIMO STA及び40M / 20M STAは、40M_ch解放フレームF3を受信すると、図6(c)に示されるように40M_chのMAC層のキャリアセンス状態を指定された期間アイドル状態に設定する。なお、アイドル期間の終了を別途伝える場合には、必ずしも前もって期間を定める必要は無い。この時点で、40M_chで動作している40M / 20M MIMO AP、40M / 20M MIMO STA及び40M / 20M STAのいずれもがMACのキャリアセンス状態がアイドル状態となる。以後、通常のメディアアクセスによりメディアを確保して、図6(a)に示されるように40M_chのフレーム交換が行われる。
40M_ch解放フレームF3は40M_chで送信されるため、20M MIMO STA (20M_ch_a) 、20M STA (20M_ch_a)、20M MIMO STA (20M_ch_b) 及び20M STA (20M_ch_b)は、40M_ch解放フレームF3を受信することはない。この時点では20M MIMO STA (20M_ch_a) と20M STA (20M_ch_a) の20M_ch_aのMAC層のキャリアセンス状態はビジー状態、20M MIMO STA (20M_ch_b) と20M STA (20M_ch_b) の20M_ch_bのMAC層のキャリアセンス状態もビジー状態であるため、20M MIMO STA (20M_ch_a) 、20M STA (20M_ch_a) 、20M MIMO STA (20M_ch_b)及び20M STA (20M_ch_b) からは、40M_chと干渉する20M_ch_aまたは20M_ch_bのフレームが送信されることはない。
次に、図6を用いてネットワーク100内で40MHzチャネル(40M_ch)を使用して通信を行っているモードから、20MHzチャネル(20M_ch)を使用して通信を行うモードに切り替える手順について説明する。40M_chを使用して通信を行っている期間を40M_ch期間、20M_chを使用して通信を行っている期間を20M_ch期間と呼ぶ。
40M_ch期間は、40M_ch期間の占有期間の終了により自然に終了しても構わない。あるいは図6(a)に示されるように40M / 20M MIMO AP が明示的に40M_ch期間終了を通知するフレーム(以下、40M_ch期間終了フレームという)F4を送信しても構わない。40M_ch期間終了フレームF4は、明示的ないし暗黙に40M_chの新たな占有期間を開始し、かつ20M_ch_aへの切り替えを指示する。
40M_ch期間が自然に終了した場合、あるいは40M_ch終了フレームF4を受信した場合、40M / 20M MIMO STAと40M / 20M STAは、図6(c)に示されるように40M_chのMACのキャリアセンス状態をビジー状態とし、PHYモードを20M_ch_aに切り替える。20M_ch_aのMACのキャリアセンス状態はビジー状態のままであり、40M / 20M MIMO STAと40M / 20M STAは、まだ20M_ch_aのフレームを送信できない。
40M_ch終了フレームF4は40M_chで送信されるため、図6(d)(e)に示されるように、20M MIMO STA (20M_ch_a) 、20M STA (20M_ch_a)、20M MIMO STA (20M_ch_b) 及び20M STA (20M_ch_b) は、40M_ch終了フレームを受信することはない。また、20M MIMO STA (20M_ch_a) 、20M STA (20M_ch_a)、20M MIMO STA (20M_ch_b) 及び20M STA (20M_ch_b) は、40M_chに関する状態を持たないため、40M_chが自然に終了した場合にも、特に変化はない。
次に、40M / 20M MIMO AP は、図6(b)に示されるようにPHYモードを20M_ch_bに切り替え、図6(a)に示されるように20M_ch_bの占有状態を解放するフレーム(以下、Ch_b解放フレームという)F5を送信する。20M_ch_bの占有期間を40M_ch期間の終了に引き続いて終了するように予め設定しておくことにより、20M_ch_bの占有期間を自然に終了させても構わない。
20M MIMO STA (20M_ch_b)及び20M STA (20M_ch_b) は、Ch_b解放フレームF5を受信した場合、あるいは20M_ch_bの占有期間が自然に終了した場合、図6(d)に示されるように20M_ch_bのMAC層のキャリアセンス状態をアイドル状態に設定する。これにより20M MIMO STA (20M_ch_b)及び20M STA (20M_ch_b) は、20M_ch_bのフレーム交換を開始できる。
Ch_b解放フレームF5は20M_ch_bで送信されているため、20M_ch_aに切り替え済みの40M / 20M MIMO STAと40M / 20M STA、 及び20M_ch_aで動作している20M MIMO STA (20M_ch_a) と20M STA (20M_ch_a) が受信することはない。また、40M / 20M MIMO STA、40M / 20M STA、20M MIMO STA (20M_ch_a) 及び20M STA (20M_ch_a) は、20M_ch_bに関する状態を持たないため、20M_ch_bの占有期間が自然に終了した場合にも、特に変化はない。
次に、40M / 20M MIMO AP は、図5(b)に示されるようにPHYモードを20M_ch_aに切り替え、図6(a)に示されるように20M_ch_aの占有状態を解放するフレーム(以下、Ch_a解放フレームという)F6を送信する。20M_ch_aの占有期間を40M_ch期間の終了と20M_ch_bの占有期間の終了に引き続いて終了するように、予め設定しておくことにより、20M_ch_aの占有期間を自然に終了させても構わない。
20M_ch_aに切り替え済みの40M / 20M MIMO STAと40M / 20M STA、 及び20M_ch_aで動作している20M MIMO STA (20M_ch_a) と20M STA (20M_ch_a) は、Ch_a解放フレームを受信した場合、あるいは20M_ch_bの占有期間が自然に終了した場合、20M_ch_aのMAC層のキャリアセンス状態をアイドル状態に設定する。これにより、40M / 20M MIMO STA、40M / 20M STA、20M MIMO STA (20M_ch_a) と20M STA (20M_ch_a) は、20M_ch_aのフレーム交換を開始できる。
Ch_a解放フレームF6は20M_ch_aで送信されているため、20M_ch_bで動作している20M MIMO STA (20M_ch_b) と20M STA (20M_ch_b) が受信することはない。20M MIMO STA (20M_ch_b) と20M STA (20M_ch_b) は20M_ch_aに関する状態を持たないため、20M_ch_aの占有期間が自然に終了した場合にも、特に変化はない。
なお、40M_chしか送受信できない端末が存在した場合にも、基本的に同様の手順で共存させることができる。
上記手順では、40M_ch解放フレームF3を40M / 20M MIMO APが送信することにより40M_ch期間を開始している。これは40M_ch期間において、DCF(Distributed Coordination Function)あるいはEDCA(HCF Contention Access)に基づき、各装置が対等にメディアを獲得する場合の手順である。しかし、PCF(Point Coordination Function)あるいはHCCA(HCF Controlled Access)などに基づいて、ネットワークの基地局である40M / 20M MIMO AP が基本的にはポーリング方式で各端末にメディアアクセス権を割り当てる方式も必要である。この場合には、40M / 20M MIMO APは40M_ch期間を開始する際に、40M_ch解放フレームF3ではなく、ポーリング方式によるメディアアクセス権を割り当てる期間を明示したフレームを送信してもよい。このフレームは宛先アドレスなどの形式で、ポーリングによりメディアアクセス権を与える相手の端末を明示する情報を含む。
図6の動作例では、ネットワーク100で使用している側の20M_ch_aを20M_ch_bよりも先にビジー状態とし、20M_ch_bより後に解放した。ネットワーク100で用いていない20M_ch_bには、40M / 20M MIMO APからキャリアセンス状態が不明な状態が生じるが、ネットワークで用いている20M_ch_aにはそのような状態が生じないため、キャリアセンス状態の信頼性を重視するならば、この順が好ましいと思われる。但し、20M_ch_aと20M_ch_bの占有と解放の相対的な順序を変えても、本質は変わらない。
例えば、20M_ch_bを20M_ch_aよりも先に占有し後から解放するとした場合、20M_ch_aの占有と40M_chの解放と一つのフレームにまとめることができる。40M_ch期間の終了(40M_chの占有)と20M_ch_aの解放についても、一つのフレームにまとめることができる。
図6の動作例では、40M / 20M MIMO AP、40M / 20M MIMO STA及び40M / 20M STAは、物理層10が40M_chで動作している場合には20M_ch_aのフレームの送受信はできず、20M_ch_aで動作している場合には40M_chのフレームの送受信はできないことを仮定している。
40M / 20M MIMO AP、40M / 20M MIMO STA及び40M / 20M STAが20M_ch_aのフレームと40M_chのフレームを動作モードの切り替えなしに送受信できるならば(特に20M_ch_aか40M_chか予め決めずに、いずれのフレームでも受信できるならば)、手順はより簡単になる。40M / 20M MIMO APが20M_ch_bだけを占有と宣言した状態で、20M_ch_aと40M_chのフレームを取り混ぜて交換すればよい。
図7に、20M_ch期間と40M_ch期間の時間割合の適応制御の例を示す。図6で説明した方式に従うと、ネットワーク100内で20M_ch_aを用いる期間の長さと40M_chを用いる期間の長さは、基地局101(40M / 20M MIMO AP)内のチャネル状態管理部23が制御する。従って、20M_ch期間と40M_ch期間に与える時間を定める必要がある。これらの時間は単なる固定値でも構わないが、図7では20M_ch期間と40M_ch期間のネットワーク使用率に基づいて20M_ch期間と40M_ch期間との時間割合を制御する方法を例示する。ここでは、ネットワーク使用率を20M_ch期間と40M_ch期間においてキャリアセンス部22から得たビジー状態とアイドル状態の割合から計算されるメディア使用率と定義する。
尚、図6の動作例において40M/20M MIMOAPが20M_ch_bを確保しようとする際に、20M_ch_bがある一定以上の期間ビジー状態で、ch_b占有宣言フレームF2を送信する機会を見出せない場合もありえる。このような場合には、40_ch期間の開始を諦め、40M/20M MIMO APがCh_a開放フレームを送信して、20M_ch期間を再開しても良い。40M/20M MIMO STAと40M/20M STAが、40M PHYモードでも20M_ch_aを受信できる場合には、Ch_a開放フレームにより40M_ch期間が開始されないことを通知できるので、PHYモードも制御できる。また、BSS全体でタイムアウトの値を共有して(例えば、ビーコンに含まれる情報や、アソシエーション時に交換する情報により共有する)、40M/20M MIMO STA、40M/20M STAは、40M ch開放フレームを一定期間受信しなかったら、PHYモードを20M_ch_aに戻すようにしても良い。いずれにしても各STAのCh_aを空き状態にし、かつPHYモードを20M_ch_aに戻せば良く、これ以外にも制御フレームやタイムアウトを組み合わせた複数の実現方法がありえる。
また、図示しないが、40M ch Frameの先頭に20M ch Frameと共通なPLCPヘッダ部分を設けることで、40M PHYモードで送信する40M ch FrameのPHYヘッダに含まれるRateとLengthフィールドが、20M STAおよび20M MIMO STAでも受信解釈可能なようにすることができる。20M STAおよび20M MIMO STAは、LengthをRateで割ることにより算出される時間、PHYメディアが占有されると解釈する。このような構成にすると、ch_bを占有するためのF2と、40M ch開放のF3を一つの40M ch Frameにまとめることもできる。つまり、20M ch Frameと共通なPLCPヘッダに含まれるRateとLengthを、20M ch_bを占有する期間の、少なくとも一部をカバーするように、かつ送信するフレーム自体が占有する時間よりは適度に長くなるように設定する。これにより、20M ch_bに存在する20M STAおよび20M MIMO STAは、DataとLengthで計算される期間をbusyと判断する。
20M ch Frameと共通なPLCPヘッダに含まれるRateとLengthは、当該フレームの本当の伝送レートとデータ長に一致している必要は無い。なぜなら、フレーム本体を受信できる40M/20M MIMO STAと40M/20M STAには、40M ch Frameを受信可能な装置だけが理解できる方法で、本当の伝送レートとデータ長を伝えればよいからである(なお、20M STAが従来の装置で、20M MIMO STAは新たな仕様に従う装置とすれば、20M MIMO STAにも解釈可能なように40M PHYフレームを構成することも可能である)。40M/20M STAおよび40M/20M MIMO STAは、20M ch Frameと共通なPLCPヘッダ部分以降も解釈可能である。この部分で、本当の伝送レート(40M Rate)とデータ長(40M Length)、および40M chを開放することを伝える。40M Rateと40M LengthはPHYヘッダに含まれるが、40M chを開放する旨を示す情報は、PHYヘッダの情報の一部としても良いし、MACヘッダに含めても良い。
なお、20M STAがIEEE802.11aないしIEEE802.11g仕様に基づくとすると、Lengthを4095 octets、Rateを6Mbpsとした場合が最大の期間(5.46msec)となる。これは必ずしも40M ch Frame交換期間を満たさないかもしれないが、40M ch Frame交換期間においても、20M PHYフレームと共通なPLCPヘッダ部分を持つ40M PHY Frameを交換し、その20M PHYフレームと共通なPLCPヘッダに含まれるRateとLengthを、引き続く40M ch Frame交換を含むように適切に設定することとすれば、全体として途切れなく40M ch Frame交換期間をカバーすることが出来る。
また、40M期間終了を示すF4と、20M ch_b開放を示すF5も一つの40M ch Frameにまとめてよい。この場合、20M STAおよび20M MIMO STAは当該40M ch Frameのフレームボディを正しく復号できないので、DataとLengthで示された期間終了後、エラーリカバリーのために規定されているEIFS期間待つことになり、通常よりも20M ch_bアクセスを行なう前に待つ期間が長くなる。これを避けるために、DataとLengthで示される期間を本来の40M ch Frameが占有する期間よりも短く設定しても良い。また、40M ch Frame交換期間に交換する40M ch Frameの20M ch Frameと共通なPLCPヘッダ部分に設定するRateとLengthは、予想される40M期間終了を超えないように設定するべきである。
この構成では、単にフレーム数が減るだけではなく、40M/20M MIMO APのPHYモード切り替えを、図6(b)に示すものから、図6(c)に示すPHYモードの切り替えと同様なものに単純化することが出来る。40M/20M MIMO AP/STA、40M/20M STAが、40Mと20Mを切り替えて使う際に、20M ch_aが40M chの上半分なのか下半分なのかを、AP毎ではなく、例えば仕様として全体が従うように決めてしまえば、20M ch_aと40M chを切り替えながら使う必要はあるが、20M ch_bを40M chと切り替えながら使うことは考慮する必要がなくなり、実装が容易になる可能性がある。
メディア使用率に従って40M_ch期間と20M_ch期間の時間割合をどのように制御するかは、適当なポリシーにより定められる。例えば、20M_chを使う装置と40M_chを使う装置がメディアをなるべく平等に使用できるようにするならば、図7の真ん中方向(20M_ch メディア使用率=中、40M_ch メディア使用率=中)になるように時間割合を制御する。20M_chよりも40M_chを優先するならば、図7の下方向(20M_ch メディア使用率=低、40M_ch メディア使用率=高)となるように時間割合を制御する。40M_chよりも20M_chを優先するならば、図7の上方向(20M_ch メディア使用率=高、40M_ch メディア使用率=低)となるように時間割合を制御する。
基地局101(40M / 20M MIMO AP)内のチャネル状態管理部23は、キャリアセンス部22から得た情報とポリシーに基づいて上記の時間割合を決め、40M_chと20M_chの期間を適応制御する。チャネル状態管理部23が上記の時間割合を求めるのに必要な情報は、基地局101(40M / 20M MIMO AP)内のキャリアセンス部22により取得してもよいし、他の端末のキャリアセンス部により取得して基地局101内のチャネル状態管理部23に集めてもよい。
さらに、20M_ch期間の40M / 20M MIMO STAと40M / 20M STAによるメディア使用率を測定し、メディア使用率が高ければ40M_ch期間の長さを大きくしてもよい。40M / 20M MIMO STA及び40M / 20M STAのような40M_chで通信できる端末が20M_ch期間を多く用いているということは、要求に比較して40M_ch期間が短過ぎる可能性が高いと考えられるため、このような制御を行うことが有効である。
次に、図8を用いて20M_ch通信期間と40M_ch通信期間を切替えるプロトコル処理が無線環境の劣化によって機能しなかった場合の動作について説明する。本実施形態では、40MHz通信期間中に拡張チャネル(ch_b)において20MHzフレーム送信を検出した場合、APが再度ch_bの予約フレームを送信してch_bを予約し直す。
本実施形態において、基地局101(40M MIMO AP)がCh_b占有宣言フレームF2を送信する動作までは図6と同様であり、1台もしくは複数台の20M STA(20M_ch_b)がCh_b占有宣言フレームF2を正常に受信できない点が図6と異なる。
図8に示すように、STA2は20M STA(20M_ch_b)であり、Ch_b占有宣言フレームF2の受信に失敗したものとする。STA2がCh_b占有宣言フレームF2の受信に失敗するケースとしては、無線環境の劣化によってフレーム中に多数の伝送誤りが生じた場合や、基地局101によるCh_b占有宣言フレームF2送信後にSTA2が20M_ch_bを使用中のBSS内に移動し、該BSSに加入した場合等が考えられる。
前述したようにCh_b占有宣言フレームF2を受信した20M STAは、図8に示すSTA1のように20M_ch_bのMAC層キャリアセンス状態にビジー状態が設定され、一切のフレーム送信が禁止される。しかし、STA2はCh_b占有宣言フレームF2の受信に失敗したため、20M_ch_bのMAC層キャリアセンス状態がビジー状態に設定されず、アイドル状態のままである。従って図8に示すように、STA2は40M_ch期間中に20M_ch_bのフレームを送信してしまい、STA3(40M STA)と競合する。また、40M_chフレームと衝突した場合には、40M_chのフレーム交換に干渉を与える。
基地局101は、40M_ch期間中に20M_ch_bのキャリアセンス部22においてビジーを検知した場合、20M_ch_bのMAC層キャリアセンス状態にビジーが設定されていない20M STAが存在し、ch_bを占有することができていないと判断する。同様に、20M_ch_aで20M帯域の信号を受信した場合は、20M_ch_aのMAC層キャリアセンス状態にビジーが設定されていない20M_STAが存在し、ch_aを占有できていないと判断する。そこで、再度Ch_b占有宣言フレームF2を生成し、ch_b上に送信する。Ch_b占有宣言フレームF2は、例えばCTSselfフレームでもよいし、RTSフレームでもよい。
Ch_b占有宣言フレームF2がRTSフレームの場合、RTSの宛先アドレスには例えば20M_ch_bで受信したフレームの送信元アドレスを設定する。また、RTSを送信した場合は、一般的に応答フレームであるCTSフレームを受信するまでは、RTSの再送処理を行う。従って、CTSフレームの受信が完了するまでは、第2チャネルの受信機を停止することにより、低消費電力化の効果を得ることができる。また、第2チャネルを用いたフレーム送信を停止すれば、無駄なフレーム送信を省くことができるため、通信の効率化を図ることができる。
Ch_b占有宣言フレームF2には、Ch_b占有宣言フレームF2の再送時から40M_ch期間終了予定時刻までのチャネル占有期間が記載される。または、40M_ch期間終了時にCh_b解放フレームF5を送信する場合には、Ch_b占有宣言フレームF2に40M_ch期間終了予定時刻をこえる長さのチャネル占有期間を記載してもよい。
以上の動作を実現するために、基地局101は図1中に示したキャリアセンス部22にキャリアセンス状態から20M_ch_aの空き条件を満たしたことを判定する第1の判定部の機能を持たせると共に、チャネル状態管理部23に第2チャネルでのフレーム交換期間中に第1チャネルのいずれかでフレームを受信したことを判定(20M_chの信号受信を判定)する第2の判定部と、第1チャネルが複数ある場合は、どの第1チャネルで信号を受信したかを判定する第3の判定部(20M_ch_aと20M_ch_bのどちらのチャネルかを判断する)と、第3の判定部で判定したチャネルを用いて、一定期間占有することを宣言する第1のフレームF1を第1の物理層プロトコル処理部11より送信させる機能を有している。
STA2はCh_b占有宣言フレームF2を受信し、40M_ch期間終了予定時刻まで20M_ch_bのMAC層キャリアセンス状態をビジー状態に設定する。これにより、STA2が40M_ch期間中に20M_ch_bのフレームを送信することはなくなる。従って、20M_ch_bは基地局101により再度占有状態になる。基地局101がCh_b占有宣言フレームF2としてRTSフレームを送信した場合には、RTSフレームのMACヘッダ内に指定した宛先端末からのCTSフレームの返信をもって、20M_ch_bの再占有完了となる。このようにして、全20M STAにおいて20M_ch_bのMAC層キャリアセンス状態にビジー状態が設定され、40M_ch期間中において干渉または競合となる20M_ch フレームの送信は回避される。
以上のように第1の実施形態では、広帯域通信期間(40MHz)と狭帯域通信期間(20MHz)を切り替えるプロトコル処理が無線環境の劣化によって機能しなかった場合には、40M MIMO APが再度Ch_b占有宣言フレームF2を送信することによりch_bの再予約を行う。これによって広帯域通信と狭帯域通信の競合を防ぎ、もって通信効率を向上させることができる。
なお、上述の説明ではch_bの再予約を行う場合の例を示したが、ch_aを使用する他のBSSが存在している場合も、同様の方法を用いることにより、広帯域通信と狭帯域通信の競合を防ぐことができる。また、第1のチャネル(20M_ch)が20M_ch_aと20M_ch_bの2つの場合に限定するものではなく、3つ以上ある場合も同様の方法を用いることにより、広帯域通信と狭帯域通信の競合を防ぐことができる。
(第2の実施形態)
次に、無線通信装置の低消費電力化に関する本発明の第2の実施形態を説明する。図9に、無線通信装置の受信機構成例を示す。図9の20M_Ch_a同期部202、20M_ch_b同期部203及び20M復調部206は、図1中の第1の物理プロトコル処理部11の一部であり、40M_Ch同期部204及び40M復調部207は、図1中の第2の物理プロトコル処理部12の一部に相当する。また、無線部201及びFFT(First Fourier Transform:高速フーリエ変換)ユニット205は、第1の物理プロトコル処理部11もしくは第2の物理プロトコル処理部において回路を共有している場合の例を示している。
20M_ch_a同期部202、20M_ch_b同期部203及び40M_ch同期部204は、FIRフィルタや同期処理部を含む。同期処理については、1つの同期処理部を20M_ch_a同期部202、20M_ch_b同期部203及び40M_ch同期部204で共用する構成の場合もある。
無線部201は、AD変換器を含むアナログ処理部であり、図1中の第1の物理プロトコル処理部11と第2の物理プロトコル処理部12の一部に相当する。同様に、FFTユニット205も、図1中の第1の物理プロトコル処理部11と第2の物理プロトコル処理部12の一部に相当する。
図10及び図11は、図9の受信機に対して低消費電力化のための機能を付加した例であり、図10ではクロック供給管理部208が設けられ、図11では電源供給管理部209が設けられている。これらクロック供給管理部208及び電源供給管理部209の機能については、後に詳しく説明する。
図12に、40M/20M MIMO APにおいて、各種フレーム送信をトリガとして図9の40M_ch同期部204、20M_ch_a同期部202及び20M_ch_b同期部203の動作が変化する様子を時系列に示す。40M/20M MIMO APは、Ch_a占有宣言フレームF1を送信した後は、20M_Ch_bにチャネル切替を行って通信を行うため、20M_Ch_aや40M_chの信号を受信する必要はない。そのため、20M_CH_aや40M_chの信号を受信するために必要な20M_Ch_a同期部202及び40M_ch同期部204は動作を停止することができる。
動作を停止させる方法としては、図10に示すようにクロック供給管理部208により20M_ch_a同期部202及び40M_ch同期部204へのクロック供給を止める方法や、図11に示すように電源供給管理部209により20M_ch_a同期部202及び40M_ch同期部204への電源供給を止める方法がある。また、クロック供給の制御と電源供給の制御を併用する方法もあり、回路動作を停止させる方法は特に限定されない。
また、Ch_bにおいてCh_b占有宣言フレームF2を送信した後は、40M_chにチャネル切替を行う。40M_chでは、40M_chの信号だけでなく、20M_CH_a、20M_CH_bの信号も受信する必要がある場合は、20M_Ch_a同期部202、20M_Ch_b同期部203及び40M_ch同期部204のいずれも動作させておく。40M_ch期間終了フレームF4の送信完了後は、20M_ch_b解放フレームF6を送信するまで、20M_ch_a同期部202、20M_ch_b同期部203及び40M_ch同期部204を全て停止し、20M_ch_a解放フレームF6の送信が完了した後に20M_ch_a同期部202を動作させる。
このように20Mと40Mの切替動作において、Ch_a占有宣言フレームF1、CH_b占有宣言フレームF2、40M_ch期間終了フレームF4及び20M_ch_a解放フレームF6の送信完了とともに必要な動作が異なってくるため、これらフレームの送信完了をトリガとして、回路を適切にオン/オフすることにより低消費電力化を図ることができる。
上述の例では、占有宣言フレームF2及び期間終了フレームF4の送信完了をトリガとして、動作状態を変化させた場合の例を示したが、これらフレームF2,F4の送信開始をトリガとして動作状態を変化させても同様の効果を得ることができる。特に、トリガとするフレームが送達確認を行わない場合は、送信開始をトリガとした方が効果的となる。また、トリガとするフレームが送達確認を行う場合は、送達確認信号(Ack信号)の受信完了タイミングを動作切替えのトリガとしても良い。
このように本実施形態によれば、Ch_a占有宣言フレームF1、CH_b占有宣言フレームF2、あるいは40M_ch期間終了フレームF4の送信に伴い、第1の物理層プロトコル処理部11の少なくとも一部、例えば同期処理部及びFIRフィルタ等を停止させることにより、無線通信装置の低消費電力化を図ることができる。
さらに、CH_b占有宣言フレームF2の送信に伴い、停止していた第1の物理層プロトコル処理部11の一部を動作させたり、あるいは停止していた第2の物理層プロトコル処理部12の一部を動作させたりすることによって、所望の通信に支障を来すことなく低消費電力化を図ることができる。
図12ではCh_b占有フレームF2を送信後に、20M_ch_a同期部202、20M_ch_b同期部203及び40M_ch同期部204を動作させていたが、さらに低消費電力化を図りたいときは、図13に示すように40M_ch解放フレームF3の送信が完了するまで停止させていても良い。
また、図14に示すように20M_ch_b同期部については、Ch_b占有フレームF2を送信後も動作させても良い。これは回路の停止時間が短く、また固定値(Ch_b占有フレームF2の送信後に、SIFS(16us)後に直ちに40M_ch解放フレームF3を送信しており、キャリアセンス時間等の不確定な時間を含まない)であることに着目したものであり、低消費電力化の要求がそれほど高くない場合に効果的な方法である。同様に、回路の停止期間が短く、また固定値である40M_ch期間終了フレームF4の送信後も、20M_ch_a同期を動作させても良い。
このように回路規模と低消費電力効果のトレードオフによって、物理層プロトコルの一部の動作方法が変わる場合があるものの、本実施形態は一定期間チャネルを占有することを宣言するフレームや、チャネルの切替え指示を行うためのフレーム送信に伴って動作を変えることに特徴がある。
図15に、40M/20M MIMO STA,40M/20M STAにおいて、各種フレーム受信をトリガとして40M_ch同期部及び20M_ch_a同期部の動作状態が変化する様子を時系列に示す。40M/20M MIMO STA,40M/20M STAは、Ch_a占有宣言フレームF1を受信した後は、40M_chにチャネル切替を行って通信を行うため、20M_Ch_aの信号を受信する必要はない。そのため、20M_Ch_aの信号を受信するために必要な20M_Ch_a同期部202を停止することができる。回路の停止方法としては、図10及び図11に示したように、クロック供給管理部208あるいは電源供給管理部209を設けて、20M_ch_a同期部202へのクロック供給あるいは電源供給を止める方法などがある。
一方、20M_ch_bにおけるフレーム伝送状況を観測しない場合は、Ch_b占有宣言フレームF2を受信することができないため、40M_ch解放フレームF3が送信されるタイミングを正確に把握することができない。そのため、Ch_a占有宣言フレームF1を受信した後に40M_ch同期部204を動作させ、40M_ch解放フレームF3を受信できるようにする。そして、40M_ch期間終了フレームF4を受信したら40M_ch同期部204を停止し、20M_ch_a同期部202を動作させる。
このように20Mと40Mの切替動作において、Ch_a占有宣言フレームF1、40M_ch期間終了フレームF4の受信完了と共に必要な動作が異なってくるため、これらのフレームの受信完了をトリガとして、回路を適切にオン/オフすることにより低消費電力化を図ることができる。
また、20M_ch_bのフレーム伝送状況を観測せずに、さらなる低消費電力化を図りたい場合は、一定期間を測定するための期間測定部を設け、Ch_a占有宣言フレームF1を受信後に所定の時間を測定し、その間40M_ch同期部204を停止することもできる。例えば、図16に示すように、Ch_b占有宣言フレームF2のフレーム時間長+SIFS時間+PIFS時間(Ch_b占有宣言フレームを伝送するまでの最小キャリアセンス時間)は、少なくとも40M_ch解放フレームF3が送信されることはないため、その間は40M_ch同期部204を停止する。
同様に、40M_ch期間終了フレームF4の受信完了後も、一定期間20M_ch_a同期部202を停止することもできる。例えば、SIFS時間+Ch_b解放フレームF5のフレーム時間長+SIFS時間は、Ch_a解放フレームF6が送信されることはないため、その間は20M_Ch_a同期部202を停止する。
また、図示しないが40M_ch期間終了フレームF4の受信により、SIFS時間+Ch_b解放フレームF5のフレーム時間長+SIFS時間+Ch_a解放フレームF6のフレーム時間長の後に、20M_Ch_aが解放されると判断する場合は、Ch_a解放フレームF6を受信する必要がないため、SIFS時間+Ch_b解放フレームF5のフレーム時間長+SIFS時間+CH_a解放フレームF6時間長は、20M_Ch_a同期部を停止しても良い。
このように回路規模と低消費電力効果のトレードオフによって、物理層プロトコル処理部の一部の動作が変わる場合があるものの、一定期間チャネルを占有することを宣言するフレームや、チャネルの切替え指示を行うためのフレームの受信に伴って動作を停止させることにより、低消費電力化を図ることができる。
次に、40M/20M MIMO STA,40M/20M STAが40Mのみで通信を行う場合の例について説明する。この場合、STAは基本的には40M_chでの通信することになるが、ビーコンフレーム等の報知情報は20M_ch_aで伝送される。従って、40Mのみで通信を行う場合であっても、常に20M_ch_a同期部202を停止しておいて良いわけではない。図17を用いて、その場合の動作例を示す。
40M_ch期間終了フレームF4の受信後も、20M_ch_a同期部202を停止しておく。通常、ビーコンフレーム等の報知情報は予め定められた周期で伝送される。端末は次にビーコンフレームが送信されるタイミングがわかっているため、そのタイミングまで20M_ch_a同期部202を停止しておく。そして、ビーコンフレームが送信されるタイミングの直前に20M_ch_a同期部202を動作させる。これにより20M_ch_a同期部202を不要に動作させることがないため、低消費電力化を図ることができる。
また、一般的にブロードキャスト・マルチキャストデータは20M_ch_aで伝送されることが多いが、基本的にはそのようなデータはビーコンフレーム伝送後に送信されるため、本実施形態で示した動作を行ってもブロードキャスト・マルチキャストデータの受信に不都合は無い。
また、次のビーコンフレーム送信までに再度40M_chの伝送がなされる場合がある。しかしながら、一般的には40Mチャネルから20Mチャネルに切替られた際に、すぐに再度40Mチャネルに切り替わることは無いと考えられるため、ある程度の時間は20M_ch_a同期部202を停止していても実用上問題ないと考えられる。そこで、図18に示すように40M_ch期間終了フレームF4の受信後に、所定時間20M_ch_a同期部202を停止しておく。この停止している時間Tsは予め定めた固定値としても良いし、次のビーコンフレーム送信までの残り時間を基に適切な値を導出する方法などがある。例えば、次のビーコンフレーム送信までの時間Tnbが予め定めたスレッショルドTthよりも小さい場合は、ビーコンフレーム送信時間まで停止させ、予め定めたスレッショルドTthよりも大きい場合は、Tth+P×(Tnb−Tth)の時間、20M_ch_a同期部を停止する。ここでPは予め定めた値でも良いし、統計的に導出した値でも良い。端末がバッテリ駆動の場合は、バッテリの残量が少なくなるほどPの値を小さくしていく方法でもよい。
また、ビーコンフレーム情報の中にCh_a占有宣言フレームに必要な情報を付加し、ビーコンフレームによりCh_a占有宣言フレームと同様の動作をさせる場合もあるが、その場合もビーコンフレーム送信の直前まで20M_ch_aを停止しておいて良い。
図10及び図11の20M復調部206及び40M復調部207の動作制御方法(クロック供給、電源供給など)としては、20M_Ch_a同期部202及び20M_Ch_b同期部203のいずれか一方を動作させる場合に20M復調部206を動作させ、20M_Ch_a同期部202及び20M_Ch_b同期部203の双方を停止させる場合に20M復調部206を停止する。同様に、40M_Ch同期部204を動作させる場合に40M復調部207を動作させ、40M_ch同期部204を停止する場合に40M_ch復調部207を停止する方法がある。
他の方法としては、基本的には20M復調部206及び40M復調部207を停止させておき、20M_ch_a同期部202か20M_ch_b同期部203が20M_chの信号を受信したと判断した場合に20M復調部206を動作させ、40M_ch同期部204が40M_chの信号を受信したと判断した場合に40M復調部207を動作させる方法がある。
このようにして20M復調部206及び40M復調部207の動作を制御することにより、無線通信装置の低消費電力化を図ることができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態として無線通信装置の低消費電力化に関するもう一つの実施形態を説明する。第2の実施形態では、図9、図10及び図11の20M_Ch_a同期部202、20M_ch_b同期部203、20M復調部206、40M_Ch同期部204及び40M復調部207の低消費電力化について述べたが、第3の実施形態では主に無線部201の低消費電力化について述べる。
図19に、無線通信装置の受信機構成例、図20に送信機構成例を示す。図20における40M/20M変調部221及びIFFTユニット222は、20Mと40Mで共用する構成となっているが、これは実施形態の1つであって、独立構成や部分的な共用構成としても良い。無線部201は、少なくとも周波数変換や増幅等を行うアナログ処理部211,224とAD変換器212及びDA変換器223から構成される。
無線部201のアナログ処理部211,224、AD変換器212及びDA変換器223は、20Mの信号を処理するときと40Mの信号を処理するときとで必要な動作周波数が変わってくる。動作周波数が高いと消費電力が大きくなってしまうため、動作周波数を適切に制御することにより、低消費電力化を図ることができる。そこで、本実施形態ではクロック供給部208が各ブロックに対して必要なクロック供給を管理・制御する。また、第2の実施形態と同様にクロック供給を止めるときに電源供給も止め、クロック供給停止時間が長いときは電源供給を止めるなどして、クロック供給管理部208と電源供給管理部209を併用して制御してもよい。
図21、図22及び図23に動作例を示す。各種フレーム送信をトリガとして、アナログ処理部211,224、AD変換器212、DA変換器223及びディジタル部に供給されるクロックが変化する様子を時系列に示す。図21、図22及び図23では、20M_ch信号を受信するためのクロックを20M、40M_ch信号を受信するためのクロックを40M、クロック供給なしをOFFとして示す。なお、前述の通りクロック供給なしの場合は電源供給もOFFにする場合がある。また、40M/OFFや20M/OFFという記述をしている箇所は、フレーム送信中は送信機側には40M用のクロックを供給するものの、受信機側へのクロック供給を止める場合や、逆にフレーム受信中は受信機側に40M用のクロックを供給し、送信機側へのクロック供給を停止する場合に対応している。つまり、フレームの送受信の状態によって変化することを表している。なお、第2の実施形態の図12〜図18では、20M_ch_a、20M_ch_b及び40M_chの送信中であっても、20M_ch_a同期部202、20M_ch_b同期部203及び40M_ch同期部204等を動作させている場合の動作例を示しているため、40M_chでのフレーム交換期間は、ディジタル部の一部である40M_ch同期部204はONと表記している。
このように第3の実施形態では、20Mと40Mの切替え動作において一定期間チャネルを占有することを宣言するCh_a占有宣言フレームF1や、チャネルの切替え指示を行うための40M_ch解放フレームF3の送信または受信に伴って、第1の物理層プロトコル処理部11に供給するクロックを停止することにより、低消費電力化を図ることができる。
同様に、40M_ch期間終了フレームF4の送信に伴い第1の物理層プロトコル処理部11と第2の物理層プロトコル処理部12に供給するクロックを停止することにより、無線通信装置の低消費電力化を図ることができる。
また、図24にはCh_a解放フレームF6の送信前にキャリアセンスを行い、Ch_b解放フレームF5とCh_a解放フレームF6の時間差がSIFS以上空いている場合のクロック供給動作の一例を示す。この場合も、チャネルの切替え指示を行うためのフレームF3の送信完了に伴って供給するクロックを停止することにより、低消費電力化を図ることができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。