JP4245815B2 - 膨張可能なドーム形尿失禁用用具及びそれを製造する方法 - Google Patents

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Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、膨張可能なドーム形の尿失禁用用具及びそれを製造する方法に関する。詳細には、本発明は、女性の膣に配置して尿道を支持し、腹圧性尿失禁に伴うことが多い不随意の尿の漏れを防ぐように設計された非吸収性尿失禁用用具に関する。
【0002】
(背景技術)
特定の女性、特に1回又はそれ以上の出産を経験した女性及び年配の女性は、腹圧性尿失禁又は腹圧性及び切迫性の混合型の尿失禁による不随意の尿の漏れを経験することがある。くしゃみ又は咳により、ヒトの膀胱にかかる腹腔内の圧力が高まり、不随意の尿の漏れを引き起こすことがある。このような尿の漏れの頻度及び重症度は、尿道―膣筋筋膜域付近の筋肉及び組織が弱まるにつれて増大する可能性がある。また、膀胱に隣接する尿道の上部端に位置する尿道括約筋は、その断面の形状が丸いか円形である場合には、膀胱から尿道に尿が通過しないようにうまく閉鎖することが知られている。しかしながら、この通路の断面が、変形されてむしろ楕円形又は卵型に見える場合には、括約筋が、うまく閉鎖することができず、不随意に尿が漏れがちになる。
【0003】
世界中の女性人口の年齢が増すにつれ、「腹圧性尿失禁」に伴うことが多い不随意の尿の漏れを減少させる非手術的方法の必要性は増える一方である。今日では、この目的のための多数の製品がある。本質的に全てのこのような製品は、処方された場合にのみ購入することができ、適切に機能するためには、医者又は臨床看護婦により身体に挿入及び/又は調節される必要がある。現在、腹圧性尿失禁による不随意の尿の漏れを防止するために、処方箋が無くても購入できる製品はない。
市販の処方箋を必要としない尿失禁用用具が無いことを考えると、処方箋が無くても購入することができる尿失禁用用具が必要とされていることが理解される。また、複雑でないために使い勝手がよく、医師に介入されずに消費者が取り扱うことができる尿失禁用用具が必要とされている。更に、婦人が、身体に挿入及び除去することが容易で、着用が快適であり、且つ、長時間にわたり適切に機能することができると心理的及び現実的に確信できる尿失禁用用具が必要とされている。
【0004】
(発明の開示)
手短に言えば、本発明は、膨張可能なドーム形の尿失禁用用具及びその用具を製造する方法に関する。用具は、弾性部材及び弾性部材を少なくとも部分的に包む非吸収体を備える。非吸収体及び弾性部材は、第1の端部、第2の端部、第1の端部に隣接して位置する第1の部分、第2の端部に隣接して位置する第2の部分及び第1及び第2の部分の間に位置する第3の部分を有する細長いソフト巻に形成される。ソフト巻は、第1及び第2の端部が互いに隣接して位置合わせされて閉じた輪が形成されるようにそれ自身の上に折り畳まれる。次に、第1及び第2の部分を引き合わせて閉じた輪を最小にし、第3の部分をドーム形にする。次に、ソフト巻を圧縮して、挿入端及び後端を有し、少なくとも挿入端に弾性部材を配置した細長い綿撒糸にする。弾性部材の少なくとも第3の部分は、膨張することができ、女性の膣に適切に挿入された後に、女性の尿道に対する背後からの支持をもたらす。
【0005】
膨張可能なドーム形の尿失禁用用具を製造する方法は、非吸収体を切断して縦方向中央軸線を有する形状にする段階と、非吸収体の縦方向中央軸線に隣接して弾性部材を位置合わせする段階と、弾性部材の周りに、好ましくは少なくとも2回、非吸収体を折り畳み、第1の端部、第2の端部、第1の端部に隣接して位置する第1の部分、第2の端部に隣接して位置する第2の部分、及び第1及び第2の部分の間に位置する第3の部分を有する細長いソフト巻を形成する段階と、続いてソフト巻を、第1及び第2の端部が互いに隣接して位置合わせし、閉じた輪が形成するようにそれ自身の上に折り畳む段階とを含む。次に、第1及び第2の部分を互いに引き合わせて閉じた輪を最小にし、第3の部分をドーム形にする。次に、ソフト巻を圧縮して、挿入端及び後端を有し、少なくとも挿入端に弾性部材が配置された細長い綿撒糸にする。弾性部材は、少なくとも第3の部分の一部を膨張させ、女性の膣に適切に挿入されると、女性の尿道を支持することができる。
【0006】
本発明の一般的な目的は、膨張可能なドーム形の尿失禁用用具及びその用具を製造する方法を提供することである。本発明の詳細な目的は、女性の膣に配置して女性の尿道を支持し、腹圧性尿失禁に伴うことが多い不随意の尿の漏れを防ぐように設計された非吸収性の尿失禁用用具を提供することである。
本発明の他の目的は、使用が簡単で、挿入及び除去が容易であり、着用が快適である膨張可能なドーム形の尿失禁用用具を提供することである。
本発明の更に他の目的は、効果的且つ経済的である膨張可能なドーム形の尿失禁用用具を製造する方法を提供することである。
本発明の更に他の目的は、消費者が処方箋無しで購入することができる膨張可能なドーム形の尿失禁用用具を提供することである。
本発明の更に他の目的は、女性の月経期間中には生理用ナプキンとともに使用することができる膨張可能なドーム形の尿失禁用用具を提供することである。
本発明の他の目的及び利点は、以下の記載及び添付の図面を見れば、当業者には更に明らかになると考える。
【0007】
(発明を実施するための最良の形態)
図9を参照すると、女性の膣に挿入されると膨張し、膀胱から尿道を通って尿が不随意に漏れるのを軽減又は消失させるように設計された尿失禁用用具10が描かれている。非吸収性の尿失禁用用具10が膨張すると、尿道−膣筋筋膜域近辺の筋肉組織及び身体組織に対する安定な背後からの支持となり、腹腔内圧が上昇している間、尿道が圧迫されることになる。また、尿失禁用用具10が膣内で膨張すると、尿道括約筋の形状を円形断面に維持するのを助けることになる。この円形断面の形状が維持される場合には、括約筋は適切に閉鎖し、腹圧性尿失禁による尿の不随意の漏れを減少させることができる。
【0008】
図1〜図4を参照すると、膨張可能なドーム形の尿失禁用用具10は、弾性部材12及び非吸収体14を備える。弾性部材12は、体液に対して非吸収性又は少なくとも部分的に吸収性とされることができる。しかしながら、尿失禁用用具10は、月経用タンポンと同様の働きをしないため、弾性部材12を吸収性にする機能的な利点はない。実際、尿失禁用用具10は、吸収性の月経用タンポンとは全く異なる働きをする。
弾性部材12は、ほぼ本来の形状及び/又は寸法に迅速に回復又は復帰することができる天然又は合成材料とされることができる。弾性部材12のこのような変形は、笑い、くしゃみ、咳等による腹腔内圧の変化により生じることができる。弾性部材とは、屈曲、伸張又は圧縮された後に、本来の形状又は位置に復帰又は回復することができる材料である。また、弾性部材12は、伸張又は圧縮することができ、その後にも、ほぼ本来の形状に復帰することができるように、伸縮性及び柔軟性も示す必要がある。
【0009】
弾性部材12を形成することができる2つの天然材料としては、天然ゴム及び羊毛が挙げられる。弾性部材12を形成することができる合成材料の数ははるかに多い。用いることができる合成材料としては、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニルアルコール(PVA)の他、そのブレンドが挙げられる。また、弾性部材12は、ポリオレフィンベースの繊維、ポリエチレンオキシド繊維、疎水性レーヨン繊維等の繊維で構成された弾性繊維で形成することもでき、弾性繊維は弾性発泡体と同様の特性を有することになることが好ましい。弾性繊維は、ねじれた、カールした、又は架橋したセルロース繊維又はその混合物で形成することができる。更に、弾性部材12は、連続気泡又は独立気泡のいずれかで形成することができる。
【0010】
また、弾性部材12は、湿潤可能発泡体で製造することもできる。良好に作用し、良好な弾性特性を有する連続気泡発泡体は、商品名ACQUELL(登録商標)で市販されている。「ACQUELL]は、マサチューセッツ州ヒアニス、エアポートロード70、02601に事務所を置くセンチネル・プロダクツ・コーポレーション(Sentinel Products Corporation)から販売されている。良好な柔軟性を有するポリエチレン独立気泡発泡体も良好に作用する。この発泡体は、商品名VOLARA(登録商標)で市販されている。「VOLARA」は、マサチューセッツ州ローレンス、シェファードストリート100、01843に事務所を置くボルテックス、セキスイ・アメリカ・コーポレーション(Voltex、Sekisui America Corporation)部門から入手可能である。
また、弾性部材12は、「ドライアンドウェット」膨張性として知られる特性を有することができる必要がある。言い換えると、弾性部材12は、乾燥状態、湿潤状態又は半乾燥半湿潤状態で、膨張することができるか、本来の形状まで又は本来の形状に向かって収縮することができる材料で製造される必要がある。尿失禁用用具10に乾燥膨張性があると、弾性部材12が、膣内で膨張できるようになるまで、用具が体液で湿潤される必要がないため有利である。
【0011】
図1では、弾性部材12は、断面が長方形である材料の細いストリップとして描かれている。しかしながら、弾性部材12は、正方形、円形、卵型又は他の望ましい断面の形状を有することができる。弾性部材12は、均一な厚さ及び幅を有することが好ましい。必要ならば、弾性部材12の寸法は、均一である必要はない。弾性部材12の細いストリップの長さL1は、非吸収体14の長さL2より短い。弾性部材12の長さL1は、非吸収体14の長さL2の約75%未満とされることができる。好ましくは、弾性部材12の長さL1は、非吸収体14の長さL2の約50%未満とされ、最も好ましくは、弾性部材12の長さL1は、非吸収体14の長さL2の約40%未満とされる。しかしながら、望むならば、弾性部材12の長さL1は、非吸収体14の長さL2と等しくすることもできる。また、弾性部材12の幅W1は、約0.25インチ(約6.4ミリメートル)から約1.5インチ(約38.1mm)の間の範囲、好ましくは約0.5インチ(約12.7mm)と約1インチ(25.4mm)との間の範囲、更に好ましくは約1インチ(約25.4mm)とされることができる。また、弾性部材12の厚さT1は、約0.1インチ(約2.5mm)から約1インチ(約25.4mm)までの間、好ましくは約0.5インチ(約12.7mm)未満、最も好ましくは約0.4インチ(約10mm)未満の範囲とされることができる。
【0012】
弾性部材12の断面の形状が、丸又は円形である場合には、直径は、約0.25インチ(約6.4ミリメートル)から約1.5インチ(約38.1mm)までの間、好ましくは約0.25インチ(約6.4ミリメートル)から約1インチ(約25.4mm)までの間、最も好ましくは約0.5インチ(約12.7mm)未満の範囲とされることができる。卵型、二葉形、三葉形、長円等のような均等でない断面形の場合は、大きい方の寸法が約2インチ(約50mm)より大きくない値とされる必要がある。
引き続き図1を参照すると、弾性部材12は、非吸収体14の縦方向中央軸線X−Xに平行且つ隣接するように非吸収体14上に位置決めされる。弾性部材12は、縦方向中央軸線X−Xのいずれの側に位置合わせしてもよい。最良の結果を得るためには、非吸収体14の長さL2は、弾性部材12の長さL1と等しいかそれより長い寸法である必要がある。更に、非吸収体14の幅W2は、弾性部材12の幅W1の約2から約8倍である必要がある。非吸収体14の幅W2は、弾性部材12の幅W1の約4倍であることが好ましい。非吸収体14の厚さT2は、弾性部材12の厚さT1より薄くても、等しくても、厚くてもよい。非吸収体14は、材料の単一プライとされることもでき、2つ又はそれ以上のプライ又は層で構成されることもできる。
【0013】
非吸収体14は、吸収性を殆ど、好ましくは全く示さない材料で構成される。非吸収体14は、体液を吸収するように働かないという点で月経用タンポンとは異なる。代わりに、非吸収体14は、膣に架橋し、尿道−膣筋筋膜域の筋組織及び身体組織を支持するように設計されている。こうすることにより、尿道は、十分に圧縮されて尿の漏れを遮断することができ、尿道括約筋を支持して適切に機能できるようにすることができる。
【0014】
本発明では、非吸収体は、繊維が大きな量の水分を繊維自身内に吸収しない材料であると定義される。全ての材料は、事実上、少量の水分を吸収することになることは理解されるであろう。繊維は、完全に乾燥した繊維を21℃で相対湿度65%に24時間保持すると、重量が本質的に約6%より大きくない値で増加することになる場合には、本発明では非吸収性であるとみなす。非吸収性材料には、ナイロン、レーヨン、スパンセルロース、LYCRA(登録商標)、KEVLAR(登録商標)、炭素繊維等が含まれるが、これに限定されない。「LYCRA」及び「KELVAR」は、デラウェア州ウィルミントン、マーケットストリート1007、19801に事務所を置くイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムア・アンド・カンパニー(E.I.DuPont de Nemours & Company)の商標である。このような非吸収体14の1つは、ニューヨーク州ニューヨークブロードウェイ1411、35階に事務所を置くチッソ・コーポレーション(Chisso Corporation)から販売されている2成分繊維で作られたウェブである。この繊維は、「Chisso ESC 2成分繊維」という名称で販売されており、ポリエチレンシースで取巻かれたポリプロピレンコアで構成されている。良好に働く繊維は、3デニールで長さが38ミリメートルである。ポリプロピレン、ポリエチレン等で製造された他の2成分繊維は、エクソン・アンド・ダウ・ケミカル(Exxon and Dow Chemical)のような業者のほか、他の専門業者から販売されている。
【0015】
或いは、非吸収体14は、化学的に界面活性剤処理して非吸収性とした綿/レーヨンブレンドのような吸収性材料とされることもできる。しかしながら、真に非吸収性繊維で構成された材料が、最も良好に働く。
再び、図1を参照すると、非吸収体14が、液体透過性又は液体非透過性カバー16に位置決めされて示されている。カバー16は、任意的な要素であり、尿失禁用用具10を形成するのに無くてもよい。しかしながら、カバー16は、女性の膣への挿入及び膣からの除去を容易にするために化学的に処理されることも処理されないこともある滑らかな外表面を設けることができる。カバー16が存在するときには、その長さL3は、非吸収体14の長さL2に等しいかそれより長くされる必要がある。カバー16の幅W3は、非吸収体14の幅W2より広くされる必要がある。幅W3の寸法を大きくする目的は、カバー16を折り畳み、熱、圧力、熱及び圧力の組み合わせ、又は当業者には周知の他の従来の手段によりカバー16自身に結合することができることにある。カバー16が、容易に自己結合しない材料で形成されている場合には、接着剤、グルー又は他の結合又は固定媒体を用いることができる。望むならば、カバー16は、単純にカバー16自身の上に折り畳むこともできる。
【0016】
カバー16は、液体透過性でも液体不透過性でもよい。カバー16が液体不透過性である場合には、体液が非吸収体14に接触するのを阻止する役割を果たす。非吸収体14は、体液を吸収するように設計されていないため、カバーが液体不透過性である必要はない。液体透過性材料には、多孔性基層を有する織及び不織材料が含まれる。織材料には、レーヨン、綿、又はポリオレフィンで製造することができる織布が含まれる。ポリオレフィンは、短繊維でも連続フィラメントでもよい。不織材料には、スパンボンド、ボンデッドカーデッドウェブ及びハイドロエンタングルドウェブが含まれる。スパンボンド及びボンデッドカーデッドウェブは、ウィスコンシン州ニーナー、Nレイクストリート401、54956に事務所を置く会社であるキンバリー・クラーク・コーポレーションから市販されている。カバー16として用いることができる他の不織材料は、結合剤で結合した100%ポリエステル繊維で形成される。この材料は、パウダーボンデッドカーデッドウェブ(PBCW)として知られている。PBCWは、サウスカロライナ州グリーンビル、アルカディアドライブ304、29609に事務所を置くHDK Industries,Inc.から販売されている。
【0017】
また、カバー16は、液体不透過材料で構成することができる。良好な液体不透過材料は、ミクロエンボス加工されたポリエチレン又はポリプロピレンのようなポリマーフィルムである。2成分フィルムを用いることもできる。好ましい液体不透過材料は、ポリエチレンフィルムである。カバー16の厚さは、約0.1mmから約0.5mmまでの間、好ましくは約0.5mm未満、最も好ましくは約0.2mm未満の範囲とされることができる。
図1〜図4を参照すると、弾性部材12、非吸収体14及びカバー16の組み合わせは、図1に示すように、縦方向中央軸線X−Xに沿って折り畳み、縦方向中央軸線X1−X1を有する折り畳んだ部材18を得る。次に、折り畳んだ部材18は、図2に示すように、縦方向中央軸線X1−X1に沿って再び折り畳み、図3に示すように、縦方向中央軸線X2−X2を有する細長いソフト巻20を得る。次に、カバー16の自由端をカバー自身の上に折り畳み、結合するか取り付けることができ、或いは、望むならば、取り付けないでおくことができ、図4に示すように、細長いソフト巻22を形成する。このソフト巻22は、第1の端部24及び第2の端部26を有する。
【0018】
上に論じたことの目的は、材料12、14、及び16を材料自身の上に折り畳み、ソフト巻22を形成することであることに留意する必要がある。しかしながら、ソフト巻22は、1つ又はそれ以上の層を丸め、包み込み、折り曲げること及び/又は既知の方法で操作することによっても形成することができ、円柱形、長方形又は他の形状の細長い部材を得ることができる。
図5を参照すると、ソフト巻22は、第1の端部24及び第2の端部26が互いに位置合わせされ、ソフト巻22が折れ曲がり点28を有するように、それ自身の上に折り畳まれるか曲げられる。「互いに隣接して」位置合わせすることは、第1の端部24及び第2の端部26が、互いに平行に並列するか、軸線にオフセット即ち互いに間隔を置いて位置決めされるか、第1の端部24及び第2の端部26が互いに近接する他の種類の配置に位置決めされることを意味する。好ましくは、カバー16の結合又は開放端29は、第1端部24及び第2端部26が互いに隣接して位置合わせされるときに内側に位置決めされることが望ましい。
【0019】
ソフト巻22は、第1の端部24に隣接して位置する第1の部分30、第2の端部26に隣接して位置する第2の部分32及び第1の部分30と第2の部分32との間に位置する第3の部分を備えることになる。第1の部分30及び第2の部分32の長さはほぼ等しくてもよく、望むならば異なってもよい。第1の部分30及び第2の部分32の各々の長さは、約1インチ(約25mm)から約3インチ(約76mm)の間が適切である。第1の部分30及び第2の部分32の各々の長さは、約1.5インチ(約33mm)から約2.5インチ(約63mm)の間が好ましい。第3の部分34の長さは、第1の部分30又は第2の部分32いずれかの長さより短いか、等しいか、長くされることができる。好ましくは、第3の部分34の長さは、第1の部分30又は第2の部分32のいずれかの長さよりわずかに長いことになる。尿失禁用用具10を製造する典型的なソフト巻の長さは、約5インチ(約127mm)から約8インチ(約203mm)までの間とされることになり、約5インチ(約127mm)から約6インチ(約152mm)までの間が好ましい。ソフト巻22の長さが約5インチ(約127mm)である場合には、第1の部分30及び第2の部分32の長さは、約1.5インチ(約38mm)とされることができ、第3の部分34の長さは約2インチ(約51mm)とされることができる。
【0020】
図5では、弾性部材12が第3の部分の長さ全体に延びていることに注目されたい。しかしながら、弾性部材12の長さは、第3の部分34の長さより短いか、等しいか、長くされることができる。弾性部材12の目的は、膨張して第3の部分を上向き及び/又は外向きに押すことにより、使用者の膣の断面に架橋して膣壁に接触するようにすることである。この作用により、ドーム形の尿失禁用用具10が、膣内で適切に位置合わせされて保持され、尿道−膣筋筋膜域に配置された周囲の組織を支持するのを助けて尿道に十分な圧力を伝達し、腹腔内圧が上昇すると発生する不随意な尿の漏れを遮断することになる力(圧力)を生じることになる。このため、弾性部材12は、第1の部分30及び第2の部分32にまで延びる必要はない。また、弾性部材12の強度により、ドーム形の先端を適切に開くのに必要な大きさ及び形状が決定されることになる。弾性部材を構成する材料によっては、第3の部分の全長にわたって延びる長さの弾性部材を用いることが有利である。弾性部材12により、女性の膣内に配置されるとソフト巻22が十分に開くことが保証されることになる。
【0021】
図5、図6及び図7を参照すると、ソフト巻22を点28で折り曲げ、第1の端部24及び第2の端部26を互いに隣接して位置合わせすると、閉じた輪36が形成される。この閉じた輪は、図6に示すように、第1の部分30及び第2の部分32の全体を互いに接触させると、小さくなるか、最小になって小さい閉じた輪38を形成する。次に、図7に示すように、第3の部分34を第3の部分34自身に対して下方に押し付けるか押し曲げてドーム又はキノコ様の外形を形成することにより、第3の部分34を弓形40にする。この弓形の形状40は、第1の部分30及び第2の部分32を組み合わせた幅を超えて外向きに水平に延びる向き合う端部42及び44を有する。
図8を参照すると、弓形の形状40の端部42及び44は、下向き及び/又は下向きに折り曲げられ、ドーム形先端46を得る。「ドーム形」とは、ドーム建造物に類似する半球の形状を意味する。ドーム形先端46では、材料が集中しているため、残りの第1の部分30及び第2の部分32より密度が大きい。また、ドーム形先端46は、弾性部材12を逆U形又は叉骨形にする。この形状により、第3の部分34が開いて膨張することが容易になる。
【0022】
図9を参照すると、ソフト巻22は、次に圧縮され、挿入端50及び後部端52を有する綿撒糸48とされる。綿撒糸48は、望むどのような形状とすることもできるが、好ましくは、断面の形状が円形であるほぼ円柱形とされることになる。他の外形では、断面の形状が長方形とされることになる。綿撒糸48は、長さがL4、幅がW4及び紙の中に延びる深さがD4である細長い部材である。綿撒糸48の断面が丸い場合には、その直径は、幅寸法W4及び深さ寸法D4に等しいことになる。綿撒糸48の長さL4は、約0.4インチ(約10mm)から約4.7インチ(約120mm)まで、好ましくは約1.5インチ(約38mm)から約2.5インチ(約64mm)までの間の範囲とされることができ、最も好ましくは、長さL4は、約2インチ(約51mm)とされる。幅W4及び深さD4は、約0.2インチ(約5mm)から約2.5インチ(約64mm)まで、好ましくは約0.5インチ(約12.7mm)から約2.3インチ(約60mm)までの間の範囲とされることができる。最も好ましくは、綿撒糸48の幅W4及び深さD4は、約1.6インチ(約40mm)未満とされる。
【0023】
引き続き図9を参照すると、綿撒糸48の挿入端50は、女性の膣腔に入る綿撒糸48の最初の部分として設計されている。使用中には、綿撒糸48が、全体的に女性の膣内に位置決めされることになることに留意する必要がある。挿入端50は、ドーム形の先端48を備えるため、挿入端50は、通常、後部端52より多量の非吸収性材料を含む。挿入端50には、多量の非吸収体14が存在するが、挿入端50の外径は、後部端52の外径と等しくされる必要があることになる。挿入端50の非吸収性材料の量は、後部端52を構成する非吸収性材料より、密度を高くされる必要がある。挿入端50に多量の非吸収体14が存在することにより、尿失禁用用具10は、膨張性に優れ、尿道に隣接して配置された筋組織及び身体組織を支持して容易に尿道を圧縮することができる。これにより、尿道を通る不随意な尿の漏れを消失させることになる。
【0024】
綿撒糸48が形成されると、弾性部材12、非吸収体14及び存在するならばカバー16は、全て圧縮される。綿撒糸48は、半径方向及び前後方向に圧縮することもでき、半径方向にのみ圧縮することもできる。弾性部材12は、綿撒糸48の少なくとも挿入端50には配置される必要がある。圧縮の段階は、弾性部材12の機能に不利な影響を及ぼさない必要がある。言い換えると、弾性部材12は、尿失禁用用具10が女性の膣に挿入されると、その本来の形状まで、叉はそれに向かって外向きに膨張することができる必要がある。弾性部材12は、女性の膣に適切に挿入されて位置決めされると、綿撒糸48の少なくとも一部を膨張させ、女性の尿道を支持することができる必要がある。
【0025】
引き続き図9を参照すると、圧縮された綿撒糸48には、後部端52に穴を開け、第1の部分30及び第2の部分32に部分的又は完全に延びる穿孔叉は開口部54を形成する。穿孔54は、縦方向中央軸線Z−Zに垂直叉はそれに角度をつけて形成することができる。穿孔54は、第1の端部24及び第2の端部26からわずかに距離を置いて配置することが好ましい。穿孔54は、第1の端部24及び第2の端部26から、約0.1インチ(約2.5mm)から約0.5インチ(約12.7mm)までの間の距離を置いて配置することができる。最も好ましくは、穿孔54は、第1の端部24及び第2の端部26の各々から約0.25インチ(約6.4mm)に配置される。穿孔54は、引出し紐56をそれに通して輪にし、綿撒糸48に固定することができるように設計される。引出し紐56は、膨張可能なドーム形の尿失禁用用具10を女性の膣から除去するのを助けることになる。引出し紐56は、ソフト巻22の非吸収体14、好ましくは第1の端部24及び第2の端部26に取り付けられる。穿孔54は、針、目打ち又は当業者に周知の他の種類の穴あけ装置で形成することができる。引出し紐56は、穿孔54に通して輪にし、吸収体14に確実に固定する。次に、引出し紐56の自由端に結び目58を作り、引出し紐56が、綿撒糸48から絶対に分離しないようにする。また、結び目58は、引出し紐56がほつれるのを防ぎ、女性が、膣から膨張可能なドーム形の尿失禁用用具10を除去しようとするときに、引出し紐を掴むことができる部位又は点を設けるのに役立つ。
【0026】
引出し紐56は、第1の端部24及び第2の端部26を互いに直接接触させて保持し、女性の膣内に位置決めされている間に膨張することができる量を限定することになることに留意する必要がある。また、引出し紐56は、綿撒糸48の種々の部分に固定及び/又は取り付けることができ、1つ又はそれ以上の弾性部材12、非吸収体14、あればカバー16、又は望むならば3つ全ての部材を通ることができることに留意する必要がある。或いは、穿孔54は、圧縮する前にソフト巻に形成することができ、引出し紐56は、ソフト巻22を圧縮する前、又はソフト巻22を圧縮して綿撒糸48にした後に取り付けることができる。
【0027】
引出し紐56は、種々の種類のスレッド又はリボンで構成することができる。100%綿の繊維で作ったスレッド又はリボンが良好に働く。引出し紐56の長さは、膨張可能なドーム形の尿失禁用用具10の端部を約2インチ(約51mm)から約8インチ(約203mm)までの間、好ましくは約4インチ(約102mm)から約6インチ(約152mm)までの間、最も好ましくは約5インチ(約127mm)超えて延びる必要がある。引出し紐56は、綿撒糸48に固定する前に、染色及び/又はワックスのような浸透漏れ防止剤で処理することができる。浸透漏れ防止剤は、体液が引出し紐56に沿って浸透漏れし、女性の下着の内側表面に接触するのを減少、うまくいけば防止することになる。使用者には、特に膨張可能なドーム形の尿失禁用用具10を膣から除去しようとするときには、乾燥した清潔な引出し紐56が好まれる。
【0028】
図10を参照すると、圧縮した綿撒糸48が、女性の膣60内に挿入されたところが描かれており、綿撒糸48は、膨張した状態62で示されている。膨張した綿撒糸62は、長さL5及び直径又は幅W5を有する。また、膨張した綿撒糸62は、挿入端50はキノコ様の先端であり、後部端52は、互いに隣接して位置決めされた第1の端部24及び第2の端部26を有する円柱形である。第1の端部24及び第2の端部26は、引出し紐56を取り付けることにより、共に合わせたままにされることになる。膣腔60内では、弾性部材12が膨張することになり、このため、第3の部分34が、外向き及び/又は上向きに跳ね出るか膨張し、膣内部空間の一部を横切って広がる。尿失禁用用具10は、子宮頚管の下に位置決めする必要がある。弾性部材12の弾性があり、伸縮自在であり且つ柔軟であるという特性により、綿撒糸48は、圧縮され、変形された形状から迅速に回復することができる。これにより、尿失禁用用具10は、膣壁内の空間に理想的にぴったりと接触して一致し、女性の膣60の内側の前後左右の側壁及び回りを圧迫することができる。
【0029】
女性の尿道64は、膣60に隣接し、その前部に位置する。女性の肛門66は、膣60の後側に位置する。尿道64は、女性の身体から尿を除去する手段となる通路である。尿道64は、女性の膀胱68に貯留された尿を尿道64の下部端に位置する外部開口部まで除去するための導管である。尿道括約筋70は、膀胱68の底面に隣接し、尿道64の上部に位置する。括約筋70は、尿の不随意の漏れを防ぐ働きをする。しかしながら、出産及び加齢により、骨盤底の筋肉が弛み始め、括約筋の断面の形状が円形から非円形に変化することがある。このような変化により、女性が不随意の尿の漏れを経験することになる可能性が高まる。尿道−膣筋筋膜域72は、膣60と尿道64との間にある。この域72は、筋組織及び身体組織で構成されており、身体組織は極めて柔軟である。膣60は、内壁74を覆う複数のひだ(図示せず)を有する。ひだは、身体組織の皺又は折り目で構成され、このひだにより、膣60の側壁74が膨張及び収縮することができる。
【0030】
図9に示す圧縮した綿撒糸48を図10に示す膨張した綿撒糸62と比較すると、膨張した綿撒糸62の幅W5は、圧縮した綿撒糸48の幅W4よりはるかに広いことは直ちに理解されよう。更に、膨張した挿入端50の形状は、圧縮した綿撒糸48の挿入端より直径即ち寸法が大きい。しかしながら、膨張した綿撒糸62の長さL5は、圧縮した綿撒糸48の長さL4にほぼ等しい。好ましくは、膨張した綿撒糸62の長さL5は、圧縮した綿撒糸48の長さL4に等しいか、わずかに長いことになる。ソフト巻22の厚さ(T)即ちz方向の寸法(図4参照)は、約0.5インチ(約13mm)から約1.5インチ(約38mm)までの間の範囲である必要がある。尿失禁用用具10が膣60内に挿入されても、この距離は、実質的に変化しないことになる。綿撒糸48が、弾性部材12の作用により膨張した状態62まで膨張すると、膨張した綿撒糸62は、身体組織を横切って、特に尿道−膣筋筋膜域72で身体組織に圧力を伝達できることになる。この作用により、腹圧が上昇すると、女性の尿道64を圧縮させることができる安定な背後からの支持が生じることになる。言い換えると、長さが約1.5インチ(約38mm)であり、そこを通って尿が漏れる尿道64の部分が、圧縮されるか、挟んで締め付けられることにより、尿が通過するのを防ぐことになる。更に、支持は、断面の形状を円形に維持しやすく、適切に作用しやすい括約筋70の近辺の領域に設けられることになる。このような作用の一方又は両方により、腹圧性尿失禁による不随意な尿の漏れを減少及び/又は防止することになる。
【0031】
図11を参照すると、カバー16が無く、挿入端50が、弾性部材12より長さが短い弾性部材76を備える膨張可能なドーム形尿失禁用用具10の他の実施形態が示されている。弾性部材76は、長さがはるかに短いという点において、弾性部材12とは異なる。弾性部材76は、弾性部材12と同一の材料で構成することができ、同様の方法で成形又は構成することができる。弾性部材76の長さL6は、第3の部分34の長さの約50%、好ましくは第3の部分34の約40%未満、最も好ましくは第3の部分34の長さの約35%未満とされることができる。数値を挙げると、第3の部分34の長さが約2インチ(約51mm)の場合には、弾性部材76の長さは、約1インチ(約25mm)、好ましくは約0.8インチ(約20mm)未満、最も好ましくは約0.7インチ(約18mm)未満とされることができる。
【0032】
また、弾性部材76は、望むならば、垂直な軸Z−Zの片側にオフセットすることができることに留意する必要がある。忘れてはならない重要な特徴は、弾性部材12又は76は、尿失禁用用具10又は10’が女性の膣に挿入されると、ドーム形の先端48を外向き及び/又は上向きに膨張させるのに十分な弾性を有する必要があるということである。弾性部材12又は76の弾性及び伸縮性は、挿入端50が、外向きに十分な量だけ確実に開いて膨張することになり、尿失禁用用具10又は10’が正しく機能できるようにするのに適切である必要がある。
【0033】
図面に示してはいないが、圧縮した綿撒糸48は、尿失禁用用具10又は10’を女性の膣60に挿入するのを容易にするために、紙、厚紙又はプラスチックのアプリケータに収納することができることが意図されている。このアプリケータは、望むならば、タンポンのアプリケータと同一にすることができ、使用者が製品を使用する直前まで、尿失禁用用具10又は10’を設定した直径及び/又は断面の形状に維持することになる1つ又はそれ以上の中空の管で構成することができる。更に、尿失禁用用具10又は10’をアプリケータから人体に挿入することは、2つの部品のアプリケータのようなプランジャを用いることによるか、指の1本を用いることができる指挿入により達成することができる。タンポンアプリケータの例の1つは、1998年8月18日にAchterらに付与され、「弾性部材を有するタンポン」の名称の米国特許第5,795,346号に教示されている。尚、この特許は、引用文献として組み込まれ、本明細書の一部とする。
【0034】
方法
図12及び図13に示すフロー図を参照し、膨張可能なドーム形の尿失禁用用具10又は10’を形成する方法を今から説明することにする。この方法には、非吸収体14を望む幾何形状に形成又は切断する段階が含まれる。非吸収体14に好ましい形状は、長方形であるが、他の形状でもうまく働くことになる。非吸収体14は、望ましい長さ、幅及び厚さを有することになる。弾性部材12は、非吸収体14の1つの表面又はそれに隣接して位置決めされ、2つの要素の組立体が形成される。最もよい結果を得るためには、弾性部材12は、非吸収体14の縦方向中央軸線X−Xに隣接して位置合わせすることができる。「隣接して」とは、弾性部材12が、縦方向中央軸線X−Xと境界線を共にする端部を有することができるか、弾性部材12が、縦方向中央軸線からオフセットされるか、間隔を置いて配置されることができることを意味する。
【0035】
非吸収体14は、カバー16が非吸収体14の1つの表面に隣接し、弾性部材12が非吸収体14の反対側の表面に隣接するように、カバー材料16の上に位置決めすることができる。カバー16は、任意的な構成であり、有用な尿失禁用用具10又は10’を作るためには、無くてもよい。次に、非吸収体14を、カバー16と共に弾性部材12の周りで折り畳む。非吸収体14及びあればカバー15を折り畳む方法の1つは、横に折り畳み、折り畳んだ部材18を形成し、弾性部材12が、今度は、縦方向折線X1−X1に隣接して配置されるようにすることである。次に、折り畳んだ部材18は、同様に再び折り畳み、図3に示すようなソフト巻22を得ることができる。カバー16がある場合には、カバー16は、カバー自身の上に包み込むか折り曲げて、カバー16の別の部分に結合させるか取り付け、図4に示すように、細長い円柱形のソフト巻20を形成する。
弾性部材12、非吸収体14及びカバー16を形成する異なる材料を1回又はそれ以上折り畳み、所定の直径又は断面の形状を得ることができることに留意する必要がある。更に、材料は、巻き付け、包み込み、折り曲げ又は他の方法で操作し、ソフト巻にすることができる。折り畳むことが、ソフト巻を形成する好ましい方法であることは見出されており、この場合、弾性部材12はその中で正確に位置合わせされている。
【0036】
ソフト巻22が形成されると、第1の端部24及び第2の端部26が互いに隣接して位置合わせされることができるように、折り点28で折り畳まれるか折り曲げられる。好ましくは、ソフト巻22は、二つ折りにされ、第1の部分30及び第2の部分32が互いに平行に位置合わせされると、図5に示すように、閉じた輪36を形成する。次に、第1の部分30及び第2の部分32をその全長に沿って引き合わせ、図6に示すように、閉じた輪36の大きさをを小さい輪38まで減少させる。この時点で、第3の部分34は、第1の部分30及び第2の部分32の方向に、下向きに圧迫又は締め付けられる。この作用により、図7に示すように、第3の部分34の端部42及び44が、第1の部分30及び第2の部分32の厚さを超えて外向きに延びる半ドーム又はキノコ様の外形40が生成される。第3の部分34が、半ドーム又はキノコ様外形40に変形されると、続いて、向き合う縁部42及び44が、第1の部分30及び第2の部分32の外表面に対して下向き及び/又は内向きに折り畳むか折り曲げられ、図8に示すように、ドーム形の先端48が形成される。このドーム形の先端46は、第1の部分30及び第2の部分32の同様の部分に存在する非吸収性材料より多くの非吸収性材料を含むため、密度が高い。また、ドーム形の構成46は、尿失禁用用具10又は10’が女性の膣内に位置決めされると、挿入端50を外向き及び/又は上向きに膨張させるのに必要な弾性部材12又は76も含む。
【0037】
ドーム形の先端46が形成されると、ソフト巻22は、半径方向に圧縮されて、図9に示すように、綿撒糸48とされる。ソフト巻22は、半径方向のみに圧縮することもでき、軸線方向及び半径方向の両方に圧縮することもできる。綿撒糸48は、後部端52より挿入端50に多くの材料を含み、全長に沿って同一の直径又は断面積を有するため、挿入端50は、密度が高くなることになる。挿入端50の付加的な材料により、綿撒糸48が、女性の膣に挿入され、開いて膨張すると、確実に、尿道に対する安定な背後からの支持となり、尿道−膣筋筋膜域72に位置する近辺の身体組織に、尿道を通る不随意の尿の漏れを制限するために必要な圧力を生じることが可能になることになる。
【0038】
圧縮された綿撒糸48には、次に、引出し紐56を受け取るために、後部端52を通る穴又は穿孔54を形成することができる。穿孔54は、針、目打ち又は他の機械的、電気的、化学的、水圧式又は空気式手段で形成することができる。穿孔54は、ソフト巻22の第1の端部24及び第2の端部26に平行に位置合わせするとともに、端部24及び26から十分に間隔を置いて配置し、引出し紐56を引くと、材料を引き裂いて綿撒糸48から分離することには絶対にならないようにする必要がある。引出し紐56は、穿孔54に通して輪にし、綿撒糸48にしっかりと締め付けることができる。次に、引出し紐56の1対の自由端に結び目58を作り、更に確実に、引出し紐56が、綿撒糸48から分離しないようにすることができる。
【0039】
上で論じたことは、綿撒糸48に穴を開けて穿孔54を形成することを説明したことに留意する必要がある。他の選択肢としては、ソフト巻22に穴を開けることがある。また、図9では、穿孔54が、非吸収体14及びカバー16を通過することを示すのに対し、図11では、カバー16が無いため、穿孔は非吸収体14のみを通過していることにも留意する必要がある。
本発明をいくつかの特定の実施形態に関して説明したが、上の記載に照らして、当業者には、多数の変更、修正及び変形が明らかになることは理解されよう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲の技術思想及び技術的範囲に含まれるそのような全ての変更、修正及び変形を含むことを意図する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 非吸収体及びカバーの上の弾性部材の位置の斜視図である。
【図2】 縦方向中央軸線に沿って折り畳んだ後の図1に示す組み合わせの斜視図である。
【図3】 縦方向中央軸線に沿って再度折り畳んだ後の図2に示す折り畳んだ部材の斜視図である。
【図4】 カバーがカバー自身に重なっている2回折り畳んだソフト巻の斜視図である。
【図5】 長さに沿って二つ折りにして閉じた輪を形成した後の図4に示すソフト巻の側面図である。
【図6】 第1の部分及び第2の部分を互いに引き合わせて接触させ、小さい閉じた輪を形成した後の図5に示す折り畳んだソフト巻の側面図である。
【図7】 閉じた輪をドーム形に変形した後の図6に示すソフト巻の側面図である。
【図8】 ドーム形の第3の部分が、第1の部分及び第2の部分の周りに下向きに折り畳まれた後の図7に示すソフト巻の側面図である。
【図9】 圧縮して綿撒糸にし、引出し紐を第1の端部及び第2の端部に取り付けた後の図8に示すソフト巻の側面図である。
【図10】 膣内に位置決めされ、膨張して尿道−膣筋筋膜領域及び尿道の近辺にある筋肉及び組織を支持している膨張可能なドーム形の尿失禁用用具を示すヒト胴体の中央矢状方向切断図である。
【図11】 ドーム形の挿入先端の一部にのみ延びる弾性部材を有する膨張可能なドーム形の尿失禁用用具の他の実施形態の斜視図である。
【図12】 膨張可能なドーム形の尿失禁用用具を形成する方法のフロー図である。
【図13】 膨張可能なドーム形の尿失禁用用具を形成する他の方法のフロー図である。

Claims (21)

  1. (a)弾性部材と、
    (b)少なくとも部分的に前記弾性部材を包む非吸収体とを備える尿失禁用用具であって、
    前記非吸収体及び前記弾性部材が、第1の端部、第2の端部、前記第1の端部に隣接して位置する第1の部分、前記第2の端部に隣接して位置する第2の部分、及び前記第1及び第2の部分の間に位置する第3の部分を有する細長いソフト巻に形成され、前記ソフト巻が、前記第1及び第2の端部が互いに隣接して位置合わせされて閉じた輪が形成されるようにそれ自身の上に折り畳まれ、前記第1及び第2の部分が互いに引き寄せられて前記閉じた輪が最小にされ、前記第3の部分をドーム形に変形させ前記ソフト巻が圧縮されることにより、挿入端及び後部端を有し前記弾性部材が少なくとも前記挿入端に配置された細長い柱状の綿撒糸にされ、女性の膣に挿入されると、前記弾性部材が、前記第3の部分の少なくとも一部を膨張させ、女性の尿道に対して背後からの支持を与えることができる、
    ことを特徴とする尿失禁用用具。
  2. 前記第3の部分が、1対の向き合う端部を有し、前記端部が、それぞれ前記第1及び第2の部分の前記第1及び第2の端部に向かって下向きに折り曲げられ、前記ドーム形を形成することを特徴とする請求項1に記載の尿失禁用用具。
  3. 前記第3の部分の長さが、前記第1の部分より長いことを特徴とする請求項1に記載の尿失禁用用具。
  4. 前記第3の部分の長さが、前記第2の部分より長いことを特徴とする請求項1に記載の尿失禁用用具。
  5. (a)弾性部材と、
    (b)少なくとも部分的に前記弾性部材を包む非吸収体
    を備え、
    前記非吸収体及び前記弾性部材が、第1の端部、第2の端部、前記第1の端部に隣接して位置する第1の部分、前記第2の端部に隣接して位置する第2の部分、及び前記第1及び第2の部分の間に位置する第3の部分を有する細長いソフト巻に形成され、前記ソフト巻が、前記第1及び第2の端部が互いに隣接して位置合わせされて閉じた輪が形成されるようにそれ自身の上に折り畳まれ、前記第1及び第2の部分が互いに引き寄せられて前記閉じた輪が最小にされ、前記第3の部分をドーム形に変形させ前記ソフト巻が圧縮されることにより、挿入端及び後部端を有し前記弾性部材が少なくとも前記挿入端に配置された細長い柱状の綿撒糸にされ、女性の膣に挿入されると、前記弾性部材が、前記第3の部分の少なくとも一部を膨張させ、女性の尿道に対して背後からの支持を与えることができるように構成され
    (c)尿失禁用用具を女性の膣から除去するための引出し手段が設けられた、
    ことを特徴とする尿失禁用用具。
  6. 前記弾性部材が、ポリウレタンであることを特徴とする請求項1に記載の尿失禁用用具。
  7. 前記弾性部材が、天然ゴムであることを特徴とする請求項1に記載の尿失禁用用具。
  8. 前記弾性部材が、連続気泡発泡体であることを特徴とする請求項1に記載の尿失禁用用具。
  9. 前記弾性部材が、独立気泡発泡体であることを特徴とする請求項1に記載の尿失禁用用具。
  10. 前記弾性部材が、捩れた、カールした、又は化学的に架橋したセルロース繊維又はその混合物で形成されることを特徴とする請求項1に記載の尿失禁用用具。
  11. (a)弾性部材と、
    (b)少なくとも部分的に前記弾性部材を包む非吸収体
    を備え、
    前記非吸収体及び前記弾性部材が、第1の端部、第2の端部、前記第1の端部に隣接して位置する第1の部分、前記第2の端部に隣接して位置する第2の部分、及び前記第1及び第2の部分の間に位置する第3の部分を有する細長いソフト巻に形成され、前記ソフト巻が、前記第1及び第2の端部が互いに隣接して位置合わせされて閉じた輪が形成されるようにそれ自身の上に折り畳まれ、前記第1及び第2の部分が互いに引き寄せられて前記閉じた輪が最小にされ、前記第3の部分をドーム形に変形させ前記ソフト巻が圧縮されることにより、挿入端及び後部端を有し前記弾性部材が少なくとも前記挿入端に配置された細長い柱状の綿撒糸にされ、女性の膣に挿入されると、前記弾性部材が、前記第3の部分の少なくとも一部を膨張させ、女性の尿道に対して背後からの支持を与えることができるように構成され
    (c)前記ソフト巻を包むカバーと、
    (d)尿失禁用用具を女性の膣から除去するための引出し手段と、
    が設けられたことを特徴とする尿失禁用用具。
  12. 前記弾性部材の長さが、前記第3の部分の長さの約50%であることを特徴とする請求項11に記載の尿失禁用用具。
  13. 前記弾性部材の長さが、前記第3の部分の長さの約40%未満であることを特徴とする請求項12に記載の尿失禁用用具。
  14. 前記弾性部材の長さが、前記第3の部分の長さの約35%未満であることを特徴とする請求項13に記載の尿失禁用用具。
  15. 前記ソフト巻が、半径方向にのみ圧縮されることを特徴とする請求項11に記載の尿失禁用用具。
  16. (a)非吸収体を切断し、縦方向中央軸線を有する形状にする段階と、
    (b)前記非吸収体の前記縦方向中央軸線に隣接して弾性部材を位置合わせする段階と、
    (c)前記非吸収体及び前記弾性部材を、第1の端部、第2の端部、前記第1の端部に隣接して位置する第1の部分、前記第2の端部に隣接して位置する第2の部分、及び前記第1の部分と第2の部分との間に位置する第3の部分を有する細長いソフト巻に形成する段階と、
    (d)前記ソフト巻を、前記第1及び第2の端部を互いに隣接して位置合わせし、閉じた輪を形成するようにそれ自身の上に折り畳み、前記第1及び第2の部分を互いに引き合わせて前記閉じた輪を最小にし、前記第3の部分をドーム形に変形させる段階と、
    (e)前記ソフト巻を圧縮して、挿入端及び後部端を有する細長い柱状の綿撒糸にし、前記弾性部材が少なくとも前記挿入端に配置されていることにより、前記綿撒糸が女性の膣に挿入されると、前記弾性部材が、前記第3の部分の少なくとも一部を膨張させることができ、女性の尿道に対する背後からの支持を与えるようにする段階と、
    を含むことを特徴とする尿失禁用用具を製造する方法。
  17. 前記ソフト巻が、半径方向に圧縮されることを特徴とする請求項16に記載の尿失禁用用具を製造する方法
  18. 前記綿撒糸の前記後部端に穴を開けて、引出し手段を取り付けるための開口部を設けることを特徴とする請求項16に記載の尿失禁用用具を製造する方法
  19. 引出し紐を前記開口部に通して輪にし、前記引出し紐が有する1対の自由端を結び合わせて、前記引出し紐が前記綿撒糸から分離しないようにすることを特徴とする請求項18に記載の尿失禁用用具を製造する方法
  20. 前記第3の部分が1対の向き合う縁部を有し、前記縁部がそれぞれ前記第1及び第2の部分の前記第1及び第2の端部に向かって下向きに曲げられ、前記ドーム形を形成することを特徴とする請求項16に記載の尿失禁用用具を製造する方法
  21. (a)非吸収体を切断し、縦方向中央軸線を有する長方形の形状にする段階と、
    (b)前記非吸収体の前記縦方向中央軸線に平行且つ隣接して、弾性部材の長方形のストリップを位置合わせする段階と、
    (c)前記非吸収体を、前記弾性部材の周りに折り畳み、折り畳まれた部材を形成し、前記折り畳まれた部材を再び折り畳んで、第1の端部及び第2の端部を有する細長いソフト巻に形成する段階と、
    (d)前記ソフト巻を、前記第1及び第2の端部を互いに隣接するように位置合わせし、閉じた輪を形成するようにそれ自身の上に折り畳み、前記第1及び第2の部分を互いに引き合わせて前記閉じた輪を最小にし、前記第3の部分をドーム形に変形する段階、
    (e)前記ソフト巻を半径方向に圧縮して、挿入端及び後部端を有する細長い柱状の綿撒糸にし、前記弾性部材が少なくとも前記挿入端に配置されていることにより、前記綿撒糸が女性の膣に挿入されると、前記弾性部材が、前記第3の部分の少なくとも一部を膨張させることができ、女性の尿道に対する背後からの支持を与えるようにする段階と、
    (f)前記綿撒糸に引出し紐を固定し、尿失禁用用具を形成する段階と、
    を含むことを特徴とする尿失禁用用具を製造する方法。
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