JP4245749B2 - 撮影光学系 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、小型CCDカメラの撮影光学系であって、特に、小型CCDカメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラに用いる撮影光学系、ひいては銀塩カメラにも適用できる広角タイプの撮影光学系に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、CCDの製造技術の進歩にともない、高精細で、しかも画面サイズの小さなCCDが開発され、既に100万画素を越える高密度のCCDが小型CCDカメラ、デジタルカメラおよびビデオカメラ等に用いられることが一般化してきている。このように画面サイズが小さく且つ画素密度の高いCCDに対して、撮影光学系から撮影光を入射する際、CCDの微細な受光部分が入射してくる光束を蹴ってしまう恐れがあることから、斜め方向からの入射をできるだけ避け、平行光束に近い状態で撮影光をCCDに入射させることが要求される。
斯かる要求に対応する撮影光学系としては、従来、特開平9−189856号公報が知られている。特開平9−189856号公報に示された撮影光学系は、Fナンバーが2.8程度、短焦点距離で25°以上の半画角に対して収差の発生を良好に抑える性質を有し、しかもバックフォーカスが長い撮影レンズであるところから、CCDに対して平行光束に近似した状態で光を入射させることが達成できる。
しかしながら、このようにバックフォーカスを長くすると、どうしても撮影レンズの全系が長くなることが避けられず、コンパクトな撮影光学系が得られないという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記問題点を解決するもので、射出瞳位置と像面の距離を長くする一方、レンズ全長が短く、前玉径が小さく、且つ歪曲収差が良好に補正された広角タイプの撮影光学系を実現することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の本発明は、絞りより物体側の第1群と、絞りより像側の第2群とから構成される撮影光学系において、
前記第1群は両凹レンズ及び両凸レンズで構成され、全体として正のパワーを持ち、
前記第2群は正レンズと負レンズを物体側より順に接合した張り合わせレンズ及び両凸レンズからなり、全体として正のパワーを有する光学系であり、
前記第1群の前記両凸レンズの像側の面と、前記第2群の前記張り合わせレンズの物体側の面と、前記第2群の前記両凸レンズの像側の面とに張り合わせにより非球面を施したことを最も主要な特徴とする。
請求項2の発明は、絞りより物体側の第1群と、絞りより像側の第2群とから構成される撮影光学系において、
前記第1群は両凹レンズ及び両凸レンズで構成され、全体として正のパワーを持ち、
前記第2群は正レンズと負レンズを物体側より順に接合した張り合わせレンズ及び両凸レンズからなり、全体として正のパワーを有する光学系であり、
前記第1群の前記両凸レンズの両面と、前記第2群の前記張り合わせレンズの物体側の面と、前記第2群の前記両凸レンズの像側の面とに張り合わせにより非球面を施したことを主要な特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2記載の撮影光学系において、前記第1群の前記両凸レンズの物体側の非球面は光軸から離れるに従って曲率が大きくなるような非球面形状としたことを最も主要な特徴とする。
請求項4の発明は、請求項2記載の撮影光学系において、前記第1群の前記両凸レンズの像側の非球面は光軸から離れるに従って曲率が小さくなるような非球面形状としたことを主要な特徴とする。
請求項5の発明は、絞りより物体側の第1群と、絞りより像側の第2群とから構成される撮影光学系において、
前記第1群は両凹レンズ及び両凸レンズで構成され、全体として正のパワーを持ち、
前記第2群は正レンズと負レンズを物体側より順に接合した張り合わせレンズ及び両凸レンズからなり、全体として正のパワーを有する光学系であり、
前記第1群の前記両凹レンズの両面に非球面を施し、前記第2群の前記両凸レンズの像側の面に張り合わせにより非球面を施したことを主要な特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5記載の撮影光学系において、前記第1群の前記両凹レンズの物体側の非球面は光軸から離れるに従って曲率半径が大きくなり、像側の非球面は光軸から離れるに従って曲率半径が小さくなることを最も主要な特徴とする。
【作用】
上記のように構成されたズームレンズは、絞りより物体側の第1群と、絞りより像側の第2群とから構成される撮影光学系において、前記第1群は両凹レンズ及び両凸レンズで構成され、全体として正のパワーを持ち、前記第2群は正レンズと負レンズを物体側より順に接合した張り合わせレンズ及び両凸レンズからなり、全体として正のパワーを有する光学系であることとするので、前記第1群、前記第2群共に正のパワーを有する光学系であるため、歪曲収差の補正が極めて有利になるとともに、前記第1群の前記両凹レンズの第1面を凹面とすることにより前玉の有効径を小さくすることができ、又、前記第1群の前記両凹レンズを負レンズとすることで、射出瞳と像面との距離を長くすることができ、その結果、CCDに対する入射光を平行光束にすることができる。さらに、前記第1群の前記両凸レンズの像側の面と、前記第2群の正レンズと負レンズを物体側より順に接合された張り合わせレンズの物体側の面と、前記第2群の両凸レンズの像側の面とに張り合わせにより非球面を施したこととするので、更に歪曲収差を良好に補正することができる。また、前記光学系において、前記第1群の前記両凸レンズの両面と、前記第2群の正レンズと負レンズを物体側より順に接合された張り合わせレンズの物体側の面と、前記第2群の両凸レンズの像側の面とに張り合わせにより非球面を施したものとするので、歪曲収差を補正することに伴い発生する像面の面倒れを有効に補正することができる。また、前記光学系において、前記第1群の前記両凸レンズの物体側の非球面は光軸から離れるに従って曲率が大きくなるような非球面形状とするので、系全体に発生する歪曲収差と像面の倒れを良好に補正することができる。また、前記光学系において、前記第1群の前記両凸レンズの像側の非球面は光軸から離れるに従って曲率が小さくなるような非球面形状とするので、系全体に発生する歪曲収差と像面の倒れを良好に補正することができる。また、前記光学系において、前記第1群の前記両凹レンズの両面に非球面を施し、前記第2群の両凸レンズの像側の面に張り合わせにより非球面を施したこととするので、系全体に発生する歪曲収差と像面の倒れを良好に補正することができる。また、前記光学系において、前記第1群の前記両凹レンズの物体側の非球面は光軸から離れるに従って曲率半径が大きくなり、像側の非球面は光軸から離れるに従って曲率半径が小さくなるような非球面を施すこととするので、系全体に発生する歪曲収差と像面の倒れを良好に補正することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本件発明の第1の実施の態様に係わる撮影光学系のレンズ構成であり、物体側より順に、第1群は両凹レンズL1と、両凸レンズL2で構成され、全体として正のパワーを持たせてある。次に、第2群は正レンズL3と負レンズL4を物体側より順に接合された張り合わせレンズL34と、両凸レンズL5からなり、これ又、全体として正のパワーを有する。第1群、第2群共に正のパワーを有する光学系であるところから、歪曲収差の補正が極めて有利になり、第1群の両凹レンズL1の第1面を凹面とすることにより前玉の有効径を小さくすることができ、又、第1群の両凹レンズを負レンズとすることで、射出瞳と像面との距離を長くすることができ、CCDに対する入射光を平行光束にすることができる。
図1に示した撮影光学系において、第1群の前記両凸レンズL2の像側の面r4と、第2群の正レンズと負レンズを物体側より順に接合された張り合わせレンズの物体側の面r5と、第2群の両凸レンズL5の像側の面r10とに非球面を施してある。
第1群の前記両凸レンズL2の像側の面に施した非球面r4により、本撮影光学系の歪曲収差が良好に補正されることとなる。図2には、第1の実施態様の収差曲線が示されており、球面収差、非点収差、歪曲収差及びコマ収差が充分に補正され、像の鮮鋭度を保ちつつ歪曲収差が良好に補正されていることが明らかである。
図3に本発明の第2の態様を示す。第2の態様と図1に示した第1の態様との相違点は、図1においては、第1群の前記両凸レンズL2には像側の面r4に非球面が施されているのに対し、図3においては、両面、即ちr3、r4に非球面が施されている点である。第1群の前記両凸レンズL2の物体側の面に施した非球面r3により、本撮影光学系の歪曲収差の補正に伴い発生する面倒れが補正されることになる。図4に第2の態様の収差曲線が示されている。球面収差、非点収差、歪曲収差及びコマ収差が充分に補正され、像の鮮鋭度を保ちつつ歪曲収差が良好に補正されいることに加えて、歪曲収差を補正することに伴い発生する像面の面倒れが有効に補正されていることが明らかである。
図5に本発明の第3の実施の態様を示す。第3の態様と図1に示した第1の態様との相違点は、図1においては、第1群の前記両凸レンズL2には像側の面r4に非球面が施されているのに対し、図5においては、第1群の両凹レンズL1の両面r1、r2に非球面が施されている点にある。この非球面は張り合わせによるものではなく、材料自体に非球面が形成されている。又、第2群の正レンズと負レンズを物体側より順に接合された張り合わせレンズの物体側の面r5に非球面が施されていない点にある。図6に第2の態様の収差曲線が示されている。球面収差、非点収差、歪曲収差及びコマ収差が充分に補正され、像の鮮鋭度を保ちつつ歪曲収差が良好に補正されていることが明らかである。又、歪曲収差を補正することに伴い発生する像面の面倒れも有効に補正されていることが明らかである。
なお、図2、図4、図6の球面収差の図中の破線は、正弦条件を表し、非点収差の図中の実線はサジタル、破線はメリディオナルを表すものとする。
【0006】
次に、本発明の具体的実施例を表1、表2及び表3に示す。まず、実施例における記号の意味は以下の通りである。
Figure 0004245749
Figure 0004245749
Figure 0004245749
【0007】
【発明の効果】
上記のように構成された撮影光学系は、請求項1においては、絞りより物体側の第1群と、絞りより像側の第2群とから構成される撮影光学系であって、前記第1群は両凹レンズ及び両凸レンズで構成され、全体として正のパワーを持ち、前記第2群は正レンズと負レンズを物体側より順に接合した張り合わせレンズ及び両凸レンズからなり、全体として正のパワーを有する光学系としたので、前記第1群、前記第2群共に正のパワーを有する光学系であるため、歪曲収差の補正が極めて有利になるとともに、前記第1群の前記両凹レンズの第1面を凹面とすることにより前玉の有効径を小さくすることができ、又、前記第1群の前記両凹レンズを負レンズとすることで、射出瞳と像面との距離を長くすることができ、その結果、CCDに対する入射光を平行光束にすることができ、更にその結果として、レンズ全長が短く、小型化された撮影光学系を提供することができ、更に又、前記第1群の前記両凸レンズの像側の面と、前記第2群の前記張り合わせレンズの物体側の面と、前記第2群の前記両凸レンズの像側の面とに張り合わせにより非球面を施したことにより、更に歪曲収差を良好に補正することができる撮影光学系を提供することができた。
請求項2の発明は、絞りより物体側の第1群と、絞りより像側の第2群とから構成される撮影光学系により、前記第1群は両凹レンズ及び両凸レンズで構成され、全体として正のパワーを持ち、前記第2群は正レンズと負レンズを物体側より順に接合した張り合わせレンズ及び両凸レンズからなり、全体として正のパワーを有する光学系としたので、前記第1群、前記第2群共に正のパワーを有する光学系であるため、歪曲収差の補正が極めて有利になるとともに、前記第1群の前記両凹レンズの第1面を凹面とすることにより前玉の有効径を小さくすることができ、又、前記第1群の前記両凹レンズを負レンズとすることで、射出瞳と像面との距離を長くすることができ、CCDに対する入射光を平行光束にすることができさらに、その結果として、レンズ全長が長く、小型化された撮影光学系を提供することができ、更に前記第1群の前記両凸レンズの両面と、前記第2群の前記張り合わせレンズの物体側の面と、前記第2群の前記両凸レンズの像側の面とに張り合わせにより非球面を施したことにより、歪曲収差を補正することに伴い発生する像面の面倒れを有効に補正することができる撮影光学系を提供することができた。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2記載の撮影光学系において、前記第1群の前記両凸レンズの物体側の非球面は光軸から離れるに従って曲率が大きくなるような非球面形状としたので、系全体に発生する歪曲収差と像面の倒れを良好に補正することができる撮影光学系を提供することができた。
請求項4の発明は、請求項2記載の撮影光学系において、前記第1群の前記両凸レンズの像側の非球面は光軸から離れるに従って曲率が小さくなるような非球面形状としたので、系全体に発生する歪曲収差と像面の倒れを良好に補正することができる撮影光学系を提供することができた。
請求項5の発明は、絞りより物体側の第1群と、絞りより像側の第2群とから構成される撮影光学系において、前記第1群は両凹レンズ及び両凸レンズで構成され、全体として正のパワーを持ち、前記第2群は正レンズと負レンズを物体側より順に接合した張り合わせレンズ及び両凸レンズからなり、全体として正のパワーを有する光学系であることとしたので、前記第1群、前記第2群共に正のパワーを有する光学系であるため、歪曲収差の補正が極めて有利になるとともに、前記第1群の前記両凹レンズの第1面を凹面とすることにより前玉の有効径を小さくすることができ、又、前記第1群の前記両凹レンズを負レンズとすることで、射出瞳と像面との距離を長くすることができ、CCDに対する入射光を平行光束にすることができ、更に、その結果、レンズ全長が短く小型化された前記第1群の前記両凹レンズの両面に非球面を施し、前記第2群の前記両凸レンズの像側の面に張り合わせにより非球面を施したことにより、系全体に発生する歪曲収差と像面の倒れを良好に補正することができる撮影光学系を提供することができた。
請求項6の発明は、請求項5記載の撮影光学系において、前記両凹レンズの物体側の非球面は光軸から離れるに従って曲率半径が大きくなり、像側の面は光軸から離れるに従って曲率半径が小さくなる非球面を施すこととしたので、系全体に発生する歪曲収差と像面の倒れを良好に補正することができる撮影光学系を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の撮影光学系の第1の実施態様の説明図である。
【図2】本発明の撮影光学系の第1の実施態様の収差曲線図である。
【図3】本発明の撮影光学系の第2の実施態様の説明図である。
【図4】本発明の撮影光学系の第2の実施態様の収差曲線図である。
【図5】本発明の撮影光学系の第3の実施態様の説明図である。
【図6】本発明の撮影光学系の第3の実施態様の収差曲線図である。
【符号の説明】
L1 両凹レンズ
L2 両凸レンズ
L3 正レンズ
L4 負レンズ
L5 両凸レンズ
L34 張り合わせレンズ
r1 物体側の面
r2 像側の面
r3 物体側の面
r4 像側の面
r5 物体側の面
r10 像側の面

Claims (6)

  1. 絞りより物体側の第1群と、絞りより像側の第2群とから構成される撮影光学系において、
    前記第1群両凹レンズ及び両凸レンズで構成され、全体として正のパワーを持ち、
    前記第2群は正レンズと負レンズを物体側より順に接合した張り合わせレンズ及び両凸レンズからなり、全体として正のパワーを有する光学系であり、
    前記第1群の前記両凸レンズの像側の面と、前記第2群の前記張り合わせレンズの物体側の面と、前記第2群の前記両凸レンズの像側の面とに張り合わせにより非球面を施したこと
    を特徴とする撮影光学系。
  2. 絞りより物体側の第1群と、絞りより像側の第2群とから構成される撮影光学系において、
    前記第1群は両凹レンズ及び両凸レンズで構成され、全体として正のパワーを持ち、
    前記第2群は正レンズと負レンズを物体側より順に接合した張り合わせレンズ及び両凸レンズからなり、全体として正のパワーを有する光学系であり、
    前記第1群の前記両凸レンズの両面と、前記第2群の前記張り合わせレンズの物体側の面と、前記第2群の前記両凸レンズの像側の面とに張り合わせにより非球面を施したこと
    を特徴とする撮影光学系。
  3. 請求項2記載の撮影光学系において、前記第1群の前記両凸レンズの物体側の非球面は光軸から離れるに従って曲率が大きくなるような非球面形状としたこと
    を特徴とする撮影光学系。
  4. 請求項2記載の撮影光学系において、前記第1群の前記両凸レンズの像側の非球面は光軸から離れるに従って曲率が小さくなるような非球面形状としたこと
    を特徴とする撮影光学系。
  5. 絞りより物体側の第1群と、絞りより像側の第2群とから構成される撮影光学系において、
    前記第1群は両凹レンズ及び両凸レンズで構成され、全体として正のパワーを持ち、
    前記第2群は正レンズと負レンズを物体側より順に接合した張り合わせレンズ及び両凸レンズからなり、全体として正のパワーを有する光学系であり、
    前記第1群の前記両凹レンズの両面に非球面を施し、前記第2群の前記両凸レンズの像側の面に張り合わせにより非球面を施したこと
    を特徴とする撮影光学系。
  6. 請求項5記載の撮影光学系において、前記第1群の前記両凹レンズの物体側の非球面は光軸から離れるに従って曲率半径が大きくなり、像側の非球面は光軸から離れるに従って曲率半径が小さくなること
    を特徴とする撮影光学系。
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