JP5397063B2 - 撮像光学系およびカメラ装置および携帯情報端末装置 - Google Patents
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Description
この撮像光学系は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラの撮影用レンズとして好適に用いることができるほか、銀塩写真カメラの撮影用レンズとして用いることができる。
従ってこの発明のカメラ装置は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、銀塩写真カメラとして実施できる。そして、このデジタルカメラやデジタルビデオカメラを撮影機能部として通信等の情報処理を可能とした携帯情報端末装置を実現できる。
レトロフォーカスタイプは、射出瞳位置を像面から遠ざけて「周辺光束が像面に対し垂直に近い角度で入射する」ようにできるため、「各画素に色フィルタやマイクロレンズを有するエリアセンサ」を用いるデジタルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像光学系の構成として好適である。
しかし反面、レトロフォーカスタイプは「屈折力配置の非対称性」が大きく、コマ収差や歪曲収差、倍率色収差等の補正が不完全になりがちである。
「第1Rレンズ群」は、少なくとも1枚の正レンズを有する。
第1正レンズと第1負レンズとは「正または負の合成焦点距離」を有し、第2負レンズと第2正レンズとが「正の接合レンズ」として接合されてなる。
また、第1負レンズは「像側に凸のメニスカスレンズ」である。
「第2Rレンズ群」は、少なくとも1枚のレンズを有する。
(1) 0.2 < f/f2 < 0.5
(3) |f1|/f > 8.0
(4) 0.3 > |f/f3| > 0.1
を満足する。
請求項1または2記載の撮像光学系は、第2Fレンズ群内における、第1正レンズと第1負レンズとの正または負の合成焦点距離:f21、第2負レンズと第2正レンズとの「正の接合レンズ」の合成焦点距離:f22が、条件:
(2) |f22/f21| < 0.5
を満足することが好ましい(請求項3)。
(5) 1 ≧ T2f/(T1+T2r) > 0.1
を満足することが好ましい(請求項4)。
請求項1〜5の任意の1に記載の撮像光学系は「第2レンズ群の全体または一部を移動させて、無限遠から近距離へのフォーカシングを行う」ことが好ましい(請求項6)。
このカメラ装置は、銀塩写真カメラとして実施することもできるが、「撮影画像をデジタル情報とする機能」を有することが好ましく(請求項8)、従ってデジタルカメラやデジタルビデオカメラとして好適に実施できる。
前述の如く、デジタルカメラやデジタルビデオカメラは、小型化、広角化に対する要望が強く、小型・広角を保ちつつ大口径化を進めることが求められている。
一般に、大口径化していくと、増大する「光線の収差」を補正するために撮像光学系が長大化する傾向にある。
この発明の撮像光学系は、上述の如く、開口絞りの物体側に第1レンズ群、像側に第2レンズ群を配したものであり、レンズタイプとしては「レトロフォーカスタイプ」に類するものである。
この発明の撮像光学系は、発明者が上記の如き構成により、上記各収差の良好な補正が可能であることを見出してなされたものである。
第2Fレンズ群は、屈折力配置として正・負・正の所謂トリプレット型を基本とし、トリプレット型の最後の正の屈折力を「第2負レンズと第2正レンズからなる正の接合レンズ」とし、第2Fレンズ群全体として「正・負・正のテッサータイプ」とした。
さらに、通常のテッサータイプでは「正・負・正における負レンズの前後の正のパワーバランス」が直接的に歪曲収差に影響しやすいが、この発明の撮像光学系では、開口絞りが第2Fレンズ群の物体側に配設されることから、第1負レンズの前後の正のパワーバランスが直接的に歪曲収差に影響しなくなり、コマ収差の補正や偏心感度の低減のための自由度が増大している。
上記の如く、請求項1の撮像光学系においては、第2Fレンズ群を収差補正上の最重要のレンズ群とし、また撮像光学系における「主要な結像作用」を担わせている。
パラメータ:|f1|/fに含まれる「f1(第1Fレンズ群の焦点距離)」は、正・負何れの値を取ることも可能であるが、第1Fレンズ群の屈折力が正である場合(f1>0)に、パラメータ:|f1|/fが条件(3)の下限値を超えると、第1Fレンズ群の正の屈折力が、全系の屈折力に対して相対的に小さくなるが、それに応じて第2Fレンズ群の結像作用が相対的に弱くなり、第2Fレンズ群が全系の中で担うべき収差補正の役割が小さくなり、軸上色収差と倍率色収差の双方を有効に低減させることが困難となる恐れがある。
さらに、第2レンズ群の屈折力を比較的強くする必要が生じ、像面の曲がりの増大や、負の歪曲収差が大きく発生しやすくなる。
第1Fレンズ群のパワーの正・負に係わらず、条件(3)の下限値を超えると、第1レンズ群内における「球面収差を初めとする諸収差のやり取り」が過大となって、レンズ間の偏心や空気間隔に対する要求精度が高くなり易い。
(3A) f1/f>8.0
を満足させるのがよい。
パラメータ:|f/f3|が条件(4)の上限を超えると、第2Rレンズ群の屈折力が正であっても負であっても、全系に対する第2Rレンズ群のパワーが強くなりすぎ、第2Fレンズ群との「球面収差を始めとする諸収差のやりとり」が大きくなり、第2Fレンズ群と第2Rレンズ群との偏心感度が上昇し、撮像光学系組み付けに高精度を要求され、製造上の困難を招来する恐れがある。
また、第2Rレンズ群の屈折力が正である場合に、条件(4)の下限を超えると、第2Fレンズ群の結像作用が比較的弱くなり、全系の中で第2Fレンズ群が担う収差補正の役割が相対的に小さくなり、軸上色収差と倍率色収差の双方を有効に低減させることが困難となる恐れがある。
第2Fレンズ群内における「第1正レンズと第1負レンズの合成焦点距離:f21」が負の場合、パラメータ:|f22/f21|が条件(2)の上限値を超えると、第1正レンズと第1負レンズによる合成の負のパワーが相対的に大きくなり、第2負レンズと第2正レンズによる「正の接合レンズ」における軸外光線が高くなり、正の接合レンズが大きくなり易い。
また、第1正レンズと第1負レンズのペアと、第2正レンズと第2負レンズのペアとの間における諸収差のやり取りが過大となり、レンズの偏心や空気間隔に対する要求精度が高くなり易い。
(2A) |f22/f21| < 0.25
を満足することが好ましい。
パラメータ:T2f/(T1+T2r)が条件(5)の下限値を超えると、第2Fレンズ群が薄くなって、この第2Fレンズ群を光軸から退避させることによる「鏡胴部分の厚み短縮」の効果が小さく、通常の沈胴鏡胴に対するメリットが減少する。
一方、倍率の色収差の補正は「主に第2負レンズと第2正レンズのペア」で行うことにより、軸上色収差補正と倍率色収差補正の役割を分担して行うことが可能となり、収差補正に対する自由度が向上する。
第1正レンズと第1負レンズ、第2負レンズと第2正レンズを「それぞれ接合」することにより実質的な製造誤差感度が低減され、安定した性能が得やすくなる。レンズを保持する鏡筒の部品削減にもつながる。
条件(3)が満足されることにより、第1レンズ群の焦点距離が比較的長いため、第1レンズ群と第2レンズ群間の空気間隔が変化しても、第2レンズ群の最も物体側の面を通る軸上マージナル光の高さ変化が少なく、上記空気間隔の誤差に起因する性能劣化が起こりにくい。
このため、第2Fレンズ群内の各レンズの「相対組付け精度」が比較的高く保たれていれば「他のレンズ群に対する第2Fレンズ群全体の組付け精度」が比較的低くても、撮像光学系全体の収差補正状態に大きな影響を与えにくい。
この理由により、他のレンズ群との位置精度を高く保つことが比較的に困難である第1レンズ群、第2Rレンズ群に対して、第2Fレンズ群を「光軸上から退避可能な群」として構成し、収納時には「光軸から、沈胴する他の群に干渉しない位置まで退避」させながら沈胴させることで、収納時の鏡胴部厚を大きく短縮することが可能である。
この発明によれば、後述する実施例に示すように、半画角:38度以上の広画角、Fナンバ:2.0以下の大口径で、1000万〜2000万画素の撮像素子に好適に適合できる高性能を有する撮像光学系を実現できる。
図1〜図4に、撮像光学系の実施の形態を4例示す。これらの実施の形態は、具体的には、それぞれ後述する実施例1〜4に関するものである。混同の恐れは無いと思われるので、これら図1〜図4を通じて同一の符合を用いる。
図1〜図4に示す撮像光学系は、単焦点の撮像光学系であって、開口絞りSと、この開口絞りSの物体側(図1〜図4の左方)に配置される第1レンズ群G1と、開口絞りSの像側(図1〜図4の右方)に配置される第2レンズ群G2とで構成される。
図9(A)は形態情報端末装置の「正面側と上部面」とを示し、同図(B)は「背面側と上部面」を示す。
携帯情報端末装置は「撮像光学系」である撮影レンズ1として、上に説明した請求項1〜6の任意の1に記載の撮像光学系(具体的には後述の実施例1〜4の適宜のもの)が用いられる。
図10に示すように、携帯情報端末装置は「撮像光学系」である撮影レンズ1と受光素子13を有し、撮影レンズ1によって形成される「撮影対象物の像」を受光素子13によって読取るように構成されている。
受光素子13の出力は、中央演算装置11の制御を受ける信号処理装置14によって処理されてデジタル情報に変換される。即ち、携帯情報端末装置は「撮影画像をデジタル情報とする機能(請求項8)」を有している。
デジタル情報化された撮影画像は、中央演算装置11による制御を受ける画像処理装置12により画像処理される。画像処理された画像は、液晶モニタ7に表示することも、半導体メモリ15に記憶させることもできる。また、通信カード等16を介して外部に送信することもできる。通信カード16等は、図9(A)に示すスロット9内に収納される。
図12において、第2Fレンズ群は保持枠31にされている。
図示されない駆動源からの駆動力は、ギヤ71、72、74による「ギヤ列」により導力され、リードスクリュ34を回転させる。
リードスクリュ34の回転は、リードスクリュ34に螺合した雌ねじ部材35をリードスクリュ34にそって変位させる。リードスクリュ34は、撮像光学系の光軸に実質的に平行である。
第2Fレンズ群は、沈胴時には、上記の如く撮像素子側に沈胴しながら、図示されないカム構造と圧縮トーションスプリング37による負勢により、図11においてリードスクリュ34の周りに反時計回りに回転することにより、「矢印で示すように退避」する。
鏡胴が、撮影状態に繰出す場合は、図示されない上記保持枠および直進筒が「規定の位置まで繰出した時点」で、図示されないカム構造と圧縮トーションスプリング37による負勢とにより、図11に示す矢印と逆方向、すなわち時計回りに保持枠31が回転し、位置決め軸33に突き当たることにより「光軸上の位置」を確保する。
図13の上の図は、撮影状態にある撮像光学系の群位置を示している。
図13の下の図は、沈胴状態(収納時)におけるレンズ群の配置を示している。この図のように、第2Rレンズ群G2Rは沈胴して撮像面に近づき、第1レンズ群G1は沈胴して第2Rレンズ群G2Rとの間隔を縮め、第2Fレンズ群G2Fは、沈胴して撮像面に近づく共に光軸から退避している。
f:全系の焦点距離
F:Fナンバ
ω:半画角
R:曲率半径
D:面間隔
Nd:屈折率
νd:アッベ数
K:非球面の円錐定数
A4:4次の非球面係数
A6:6次の非球面係数
A8:8次の非球面係数
A10:10次の非球面係数
「非球面」は、近軸曲率半径の逆数(近軸曲率):C、光軸からの高さ:H、円錐乗数:k、上記各非球面係数を用いて、周知の次式で表現される。
+A4・H4+A6・H6+A8・H8+A10・H10+A12・H12+A14・H14+A16・H16+A18・H18
また、硝種は、株式会社オハラ及び、株式会社住田光学ガラスの光学硝種名である。
実施例1のデータを表1に示す。
非球面のデータを表2に示す。
条件式の各パラメータの値を表3に示す。
実施例2のデータを表4に示す。
非球面のデータを表5に示す。
条件式の各パラメータの値を表6に示す。
実施例3のデータを表7に示す。
非球面のデータを表8に示す。
条件式の各パラメータの値を表9に示す。
実施例4のデータを表10に示す。
非球面のデータを表11に示す。
条件式の各パラメータの値を表12に示す。
球面収差の破線は正弦条件を、非点収差の図中の実線はサジタル、破線はメリディオナルを表す。「d」、「g」はそれぞれd線、g線を表す。
G1F 第1Fレンズ群
G1R 第1Rレンズ群
G2 第2レンズ群
G2F 第2Fレンズ群(退避可能群)
G2R 第2Rレンズ群
S 開口絞り
F フィルタ
Claims (11)
- 単焦点の撮像光学系であって、
開口絞りと、この開口絞りの物体側に配置される第1レンズ群と、上記開口絞りの像側に配置され正のパワーを有する第2レンズ群とで構成され、
上記第1レンズ群は、物体側から順に、負のパワーを有する第1Fレンズ群と、正のパワーを有する第1Rレンズ群とを、上記第1レンズ群中で最も広い空気間隔を隔して配置してなり、
上記第1Fレンズ群は、少なくとも2枚の負レンズを有し、
上記第1Rレンズ群は、少なくとも1枚の正レンズを有し、
上記第2レンズ群は、物体側から順に、第2Fレンズ群と、第2Rレンズ群とを配してなり、
上記第2Fレンズ群は、物体側から順に、第1正レンズ、第1負レンズ、第2負レンズ、第2正レンズが、この順序に配置されて正のパワーを持ち、
上記第1負レンズが、像側に凸のメニスカスレンズで、上記第1正レンズと第1負レンズとが正または負の合成焦点距離を有し、上記第2負レンズと第2正レンズとが正の接合レンズとして接合されてなり、
上記第2Rレンズ群は、少なくとも1枚のレンズを有し、
全系の焦点距離:f、第1レンズ群の焦点距離:f1、第2Fレンズ群の焦点距離:f2、第2Rレンズ群の焦点距離:f3が、条件:
(1) 0.2 < f/f2 < 0.5
(3) |f1|/f > 8.0
(4) 0.3 > |f/f3| > 0.1
を満足することを特徴とする撮像光学系。 - 請求項1記載の撮像光学系において、
第1Fレンズ群は、2枚の負レンズからなることを特徴とする撮像光学系。 - 請求項1または2記載の撮像光学系において、
第2Fレンズ群内における、第1正レンズと第1負レンズとの正または負の合成焦点距離:f21、第2負レンズと第2正レンズとの正の接合レンズの合成焦点距離:f22が、条件:
(2) |f22/f21| < 0.5
を満足することを特徴とする撮像光学系。 - 請求項1または2または3記載の撮像光学系において、
光軸上における、第2Fレンズ群の厚み:T2f、第1レンズ群の厚み:T1、第2Rレンズ群の厚み:T2rが、条件:
(5) 1 ≧ T2f/(T1+T2r) > 0.1
を満足することを特徴とする撮像光学系。 - 請求項1〜4の任意の1に記載の撮像光学系において、
第2Fレンズ群内の、第1正レンズと第1負レンズが、接合レンズとして接合されていることを特徴とする撮像光学系。 - 請求項1〜5の任意の1に記載の撮像光学系において、
第2レンズ群の全体または一部を移動させて、無限遠から近距離へのフォーカシングを行うことを特徴とする撮像光学系。 - 請求項1〜6の任意の1に記載の撮像光学系を有するカメラ装置。
- 請求項7記載のカメラ装置において、
撮影画像をデジタル情報とする機能を有することを特徴とするカメラ装置。 - 請求項8記載のカメラ装置を撮影機能部として有する携帯情報端末装置。
- 請求項7または8記載のカメラ装置において、
撮像光学系が沈胴式に収納され、
撮像光学系の第2Fレンズ群が、収納時に、光軸上から退避可能であることを特徴とするカメラ装置。 - 請求項9記載の携帯情報端末装置において、
撮像光学系の第2Fレンズ群が、収納時に、光軸上から退避可能であることを特徴とする携帯情報端末装置。
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