JP4245200B2 - 基板処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハや液晶表示装置用のガラス基板などの電子部品製造用の基板を処理液に浸漬して所定の処理を行う処理槽に、複数種類の処理液を選択的に供給して複数種類の処理を基板に行うとともに、処理槽から排出される各種の排液を分離排液し得るように構成された基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の基板処理装置は、例えば、図13に示すように、基板Wを純水や薬液などの処理液に浸漬して洗浄処理などの所定の処理を行う処理槽100や、この処理槽100に純水と1種類以上の薬液などの複数種類の処理液を選択的に供給する処理液供給系110、処理槽100から排出される排液を廃液システム120に流す排液排出系130、入力部140、コントローラ150などを備えている。
【0003】
処理槽100の下部には処理液注入管101が取り付けられ、この処理液注入管101から処理槽1内に処理液が供給されるようになっている。また、処理槽100の外周上部には、処理槽100の上部から溢れ出て排出される排液を回収するためのオーバーフロー槽102が設けられている。
【0004】
処理液供給系110は、複数種類の処理液を選択的に流出する処理液供給部111と、処理液供給部111から流出される処理液を処理液注入管101に供給する処理液供給管112とを備えている。処理液供給部111は、コントローラ150に制御されて、処理液供給管112に流出する処理液の種類が切り換えられるようになっている。
【0005】
排液排出系130は、一端側がオーバーフロー槽102に接続され、他端側が排液の種類に応じた数に分岐された排液排出管131を備えている。排液排出管131から分岐された各種類別排液排出管132には各々、切換え手段としての開閉弁133が介装されている。各開閉弁133の開閉制御はコントローラ150により行われる。コントローラ150は、処理槽100から排出され、オーバーフロー槽102で回収され、排液排出管131を流れてくる排液を、その排液の種類に応じた種類別排液排出管132に介装された開閉弁133のみを開にするように制御し、排液をその排液の種類に応じた種類別排液排出管132にのみ流すようにして、排液を種類別に分離排液するように構成している。そして、分離排液された各種の排液は、廃液システム120に備えられた廃液処理設備121で、排液の種類に応じた適宜の廃液処理が施された後に廃棄される。
【0006】
コントローラ150は、入力部140から入力された処理手順(レシピ)に従って、処理液供給系110から処理槽100に各種の処理液を順次供給する。これに伴って、処理槽100の上部からは、処理槽100に供給された各種の処理液の排液が供給された順に順次排出される。コントローラ150は、処理槽100から排出される各種の排液の順序に応じて、各開閉弁133の開閉を行い、種類別に排液を分離排液する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
従来装置において、コントローラ150による各開閉弁133の開閉制御は、電気系統やエア系統などの弁制御系統を介して行われるが、この弁制御系統の故障などにより、本来閉じておくべき開閉弁133が開かれたり、本来開くべき開閉弁133が開かれずに閉じられたままになっていたりするなどの誤動作を起こすことがあった。
【0008】
また、装置の使用に伴い開閉弁133の弁体などが排液として流される薬液によって腐食され、開閉弁133を閉じておいても完全に閉じられずに、漏れが生じることもあった。
【0009】
さらに、例えば、基板Wの破片やゴミなどが排液とともに排液排出管131を流れて、開閉弁133内に詰まり、開閉弁133を閉にしても閉じられずに開かれたままになっているようなことも起こっていた。
【0010】
上述した各不都合によって、例えば、薬液Aの排液が薬液Bの排液に対応する種類別排液排出管132に流出されるなど、各種類の排液が本来流されるべきでない種類別排液排出管132に流出されるようなことが生じ、その結果、排液に所定の廃液処理が施されないまま廃棄されて自然環境や社会環境に悪影響を与えたり、廃液システム120内の廃液処理設備121にダメージを与えるなど廃液システム120にトラブルを引き起して、多大の損害を招いたりするなどの問題があった。また、本来開かれるべき開閉弁133が開かれずに閉じられたままになっていることにより、全ての開閉弁133が閉じられたままになる場合には、オーバーフロー槽102で回収した排液が廃液システム120に流されずにオーバーフロー槽102から溢れ出し、処理の中断を招いたり、装置自体にダメージを与えるなどの不都合を招来する。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、排液排出系内で排液の流出先を種類別に切り換える切換え手段の誤動作などに起因する種々の不都合を軽減することができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板を処理液に浸漬して所定の処理を行う処理槽と、前記処理槽に複数種類の処理液を選択的に供給する処理液供給系と、前記処理槽から排出される排液を廃液システムに流す排液排出系と、を備え、かつ、前記排液排出系は、前記排液を流す排液排出管と、排液の種類に応じて、前記排液排出管から分岐される複数の種類別排液排出管と、排液の流出先を切り換える切換え手段と、を備えて、排液を種類別に分離排液し得るように構成された基板処理装置において、前記排液排出管に設けられ、排液の比抵抗を測定する比抵抗計と、前記種類別排液排出管にそれぞれ設けられ、前記種類別排液排出管に排液が流れていることを、各々の種類別排液排出管ごとに検出して、その検出信号を出力する複数個の排液検出センサと、前記比抵抗計により測定される比抵抗に基づき、前記排液排出管を流れる排液が純水のみとなったこと、および、前記排液排出管を流れる排液に薬液が含まれるようになったことを検知して切換え手段を制御し、かつ、前記複数個の排液検出センサから出力される検出信号に基づき、前記処理槽から排出される排液が、その排液の種類に応じた種類別排液排出管にのみ流されるように切換え手段が正常に作動しているか否かを監視し、切換え手段が正常に作動していないとき、所定の異常処理を行う排液監視手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の基板処理装置において、前記排液監視手段が行う異常処理には、警報を発する処理を含むことを特徴とするものである。
【0014】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1または2に記載の基板処理装置において、前記処理槽は、前記処理液供給系から処理液が供給されることに伴い、槽内の余分な処理液を排液として排出するように構成され、かつ、前記排液監視手段が行う異常処理には、前記処理液供給系から前記処理槽への処理液の供給を停止する処理を含むことを特徴とするものである。
【0015】
請求項4に記載の発明は、上記請求項3に記載の基板処理装置において、前記処理液供給系は、前記処理槽に純水と1種類以上の薬液を選択的に供給するものであり、かつ、前記排液監視手段は、前記処理液供給系から前記処理槽への処理液の供給を停止する処理を行おうとするとき、前記処理槽内において基板に影響がある薬液内に基板が浸漬されている場合には、少なくとも前記処理槽内に入っている、前記基板に影響がある薬液を純水に置換するまで、純水のみを前記処理槽に供給するように処理することを特徴とするものである。
【0016】
【作用】
請求項1に記載の発明の作用は次のとおりである。
排液排出管に設けられる比抵抗計は、排液の比抵抗を測定する。排液監視手段は、測定される比抵抗に基づき、排液排出管を流れる排液が純水のみとなったこと、および、前記排液排出管を流れる排液に薬液が含まれるようになったことを検知して切換え手段を制御する。
各排液検出センサは、種類別排液排出管に排液が流れていることを、各々の種類別排液排出管ごとに検出して、その検出信号を出力する。そして排液監視手段は、その排液検出センサから出力される検出信号に基づき、処理槽から排出される排液が、その排液の種類に応じた種類別排液排出管にのみ流されるように切換え手段が正常に作動しているか否かを監視し、切換え手段が正常に作動していないとき、例えば、請求項2ないし4に記載の発明のような処理を含む所定の異常処理を行う。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、排液監視手段が行う異常処理に、警報を発する処理を含むものであり、これにより、作業者は、切換え手段が正常に作動していないことをすぐに知ることができ、切換え手段が正常に作動しなくなってから短時間のうちに適宜の復旧作業を開始でき、切換え手段の誤動作などに起因する種々の不都合を最小限にくい止めることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明は、処理液供給系から処理液が供給されることに伴い、槽内の余分な処理液を排液として排出するように構成された処理槽に対する異常処理に関するものであり、処理液供給系から処理槽への処理液の供給を停止する処理を排液監視手段が行う異常処理に含める。これにより、切換え手段が正常に作動しなくなると、処理液供給系から処理槽への処理液の供給が停止されるので、処理槽から排液が排出されなくなり、排液排出系に排液が流れ込まず、排液排出系などで生じる不都合を自動的に最小限にくい止めることができる。
【0019】
ところで、処理液供給系が処理槽に純水と1種類以上の薬液を選択的に供給するものであり、請求項3に記載の発明の異常処理、すなわち、排液監視手段が処理液供給系から処理槽への処理液の供給を停止する処理を行おうとするとき、処理槽内において基板に影響がある薬液、例えば、基板としてのシリコンウエハのシリコンやウエハ上のSiO2 膜をエッチングする薬液などの内に基板が浸漬されている場合に、処理液供給系から処理槽への処理液の供給を停止すると、処理槽内において基板に影響がある薬液内に基板が浸漬された状態のまま放置されることになり、オーバーエッチングになるなど基板への影響が大きくなり、その結果、基板は不良品して廃棄せざるを得ず損害を被ることになる。処理槽を用いた処理は複数枚の基板を処理槽内で同時に処理するものであるので、上記のような不都合が起きたとき、同時に多数の基板を廃棄することになり、その損害は多大なものとなる。
【0020】
そこで、そのような不都合を考慮して、請求項4に記載の発明では、排液監視手段が、処理液供給系から処理槽への処理液の供給を停止する処理を行おうとするとき、処理槽内において基板に影響がある薬液内に基板が浸漬されている場合には、少なくとも処理槽内に入っている、基板に影響がある薬液を純水に置換するまで、純水のみを処理槽に供給するように処理する。この処理の結果、処理槽内の処理液が、基板に影響がある薬液から純水に置換され、オーバーエッチングになるなど基板への影響が大きくなることを防止でき、基板を廃棄するような不都合を防止することができる。一方で、純水のみを処理槽に供給するように処理した結果、処理槽に入っていた、基板に影響がある薬液が排液排出系に流されるが、例えば、基板に影響がある薬液が不所望な種類別排液排出管に流出しているような場合でも、不都合は処理槽に入っていた、基板に影響がある薬液だけに止めることができ、排液排出系などで生じる不都合を自動的に小規模にくい止めることができる。また、純水はどの種類別排液排出管に流出されても大きな問題にならないので、処理槽内に入っていた、基板に影響がある薬液を純水に置換した後も純水のみを処理槽に供給していてもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る基板処理装置の全体構成を示す図である。
なお、この実施形態では、純水と1種類以上の薬液を用いて処理槽で各種の洗浄処理を行う装置を例に説明するが、その他の複数種類の処理液を用いて処理槽で所定の処理を行う装置にも本発明は同様に適用できる。
【0022】
この実施形態に係る基板処理装置は、基板Wを純水や薬液に浸漬して各種の洗浄処理を行う処理槽1や、この処理槽1に純水と1種類以上の薬液を選択的に供給する処理液供給系2、処理槽1から排出される排液を廃液システム3に流す排液排出系4、警報ブザーや警報ランプなどの警報器5、入力部6、基板支持部材7、排液監視手段としての機能を有するコントローラ8などを備えている。
【0023】
処理槽1の下部には処理液注入管11が取り付けられている。処理液注入管11は、先端部が閉塞され、側面に多数の処理液噴出孔12が並設されていて、基端部から導入される処理液(純水や薬液)が各処理液噴出孔12から噴出されるように構成されている。各処理液噴出孔12が処理槽1内に臨むように処理液注入管11は処理槽1に取り付けられ、処理液注入管11の各処理液噴出孔12から処理槽1内に処理液が供給されるように構成されている。これにより、処理槽1の下部から処理液を供給することに伴い、槽内の余分な処理液を排液として槽上部から溢れ出させて排出するように構成されている。処理槽1の外周上部には、処理槽1の上部から溢れ出て排出される排液を回収するためのオーバーフロー槽13が設けられている。
【0024】
処理液供給系2は、純水と1種類以上の薬液とを選択的に流出する処理液供給部21と、処理液供給部21から流出される処理液を処理液注入管11の基端部に供給する処理液供給管22とを備えている。
【0025】
処理液供給部21は、純水を処理液供給管22に供給する純水供給管23を備えている。この純水供給管23には下流側から順に純水供給弁(開閉弁)24、薬液混合部25が配設されている。
【0026】
純水供給弁24は、薬液混合部25(処理槽1)への純水の供給とその停止を切り換えるために設けられている。この純水供給弁24の開閉制御はコントローラ8により行われる。なお、純水供給弁24が開にされたときに薬液混合部25へ供給される純水流量が常に一定となるように構成されている。
【0027】
薬液混合部25は、純水と薬液とを混合する部分であり、1種類以上の薬液を個別に導入するためのn個(nは自然数)の薬液導入弁(開閉弁)26が連結された導入弁連結管27を純水供給管23と処理液供給管21との間に介装して構成されている。各薬液導入弁26の開閉制御はコントローラ8により行われる。薬液導入弁26が開に切り換えられることで、薬液供給管28を介して供給される薬液(の原液)が導入弁連結管27に導入される。この種の装置では、薬液の原液と純水とを所定の混合比率で混同して所定濃度に希釈した薬液を処理槽1に供給するようにしている。従って、処理槽1に薬液を供給するときには、供給する薬液に対応する薬液導入弁26と純水供給弁24とを共に開にして、導入弁連結管27で薬液(の原液)と純水とを混合するようにしている。なお、導入弁連結管27において薬液(の原液)と純水とが所定の混合比率で混合されるように、導入弁連結管27に供給される純水流量に対する薬液の導入流量が調節されている。
【0028】
上記純水供給弁24や薬液導入弁26は、例えば、本出願人の提案による実願平3−93634号公報に開示した圧縮エアで作動する開閉弁や、適宜の電磁開閉弁などで構成されている。
【0029】
なお、例えば、薬液導入弁26を、圧縮エアの供給圧に応じて弁の開度を適宜に調節可能に構成した流量調節弁や、適宜の電磁式の流量調節弁などで構成し、導入弁連結管27への薬液の導入流量を任意に調節可能に構成して、薬液(の原液)と純水との混合比率を任意に変更し得るように構成してもよい。この場合には、薬液導入弁26の弁の開度(完全に閉じる場合を含む)の調節制御がコントローラ8により行われる。
【0030】
以上のような構成により、処理槽1への純水と1種類以上の薬液(所定濃度の薬液)の切換え供給と、処理槽1への純水及び薬液の供給停止とがコントローラ8に制御されて行われる。
【0031】
排液排出系4は、一端側がオーバーフロー槽13に接続され、他端側が排液の種類に応じた数(m:mは2以上の自然数)に分岐された排液排出管41を備えている。排液排出管41から分岐された各種類別排液排出管42(421 〜42m )には各々、切換え手段としての開閉弁43と、排液検出手段としての排液検出センサ44とが設けられている。各開閉弁43の開閉制御はコントローラ8により行われる。コントローラ8は、処理槽1から排出され、オーバーフロー槽13で回収され、排液排出管41を流れてくる排液を、その排液の種類に応じた種類別排液排出管42(421 〜42m のいずれか1つ)に介装された開閉弁43のみを開にするように制御し、排液をその排液の種類に応じた種類別排液排出管42にのみ流すようにして、排液を種類別に分離排液するようにしている。
【0032】
排液の分類は種々の形態でなされる。例えば、図2(a)に示すように、処理液供給系2から供給される各種の薬液をそれぞれ含む各排液と純水のみの排液とをそれぞれ個別に分離排液する場合には、排液排出管41が(n+1)本の種類別排液排出管42に分岐(m=n+1)される。また、図2(b)に示すように、酸系の薬液を含む排液とアルカリ系の薬液を含む排液と純水のみの排液とに分離排液する場合には、排液排出管41が3本の種類別排液排出管42に分岐(m=3)され、図2(c)に示すように、酸系の薬液を含む排液をさらにフッ酸を含む排液とフッ酸以外の酸系の薬液を含む排液とに分離排液する場合には、排液排出管41が4本の種類別排液排出管42に分岐(m=4)される。また、処理槽1に純水(または薬液)が満たされている状態で処理槽1に薬液(または純水)を供給して処理槽1内の処理液を純水から薬液(または薬液から純水)に置換する場合、置換処理中、処理槽1の上部からは濃度が徐々に濃くなる薬液(または、濃度が序々に淡くなる薬液)が排出されるが、このように処理槽1の上部から排出される排液に濃度差が生じることに着目して、所定濃度以上の濃い濃度の薬液の排液と所定濃度未満の淡い濃度の薬液の排液というように薬液を含む排液を濃度差に応じて分離排液するような場合もある。
【0033】
図1に戻って、分離排液された各種の排液は、廃液システム3に備えられた廃液処理設備31で、排液の種類に応じた適宜の廃液処理が施された後に廃棄される。例えば、排液がフッ酸であればカルシウムが加えられて螢石にされ、排液がフッ酸以外の酸系の薬液であればアルカリ溶液と混合されて中和され、排液がアルカリ系の薬液であれば酸溶液と混合されて中和されるなどの廃液処理が行われる。なお、排液が純水のみであれば廃液処理は特に行わずにそのまま廃棄される。
【0034】
各種類別排液排出管421 〜42m に設けられた排液検出センサ44は、各種類別排液排出管421 〜42m に排液が流れていることを検出するセンサである。各種類別排液排出管421 〜42m に排液が流れていることを各々の排液検出センサ44が検出すると、その検出信号がコントローラ8に出力される。コントローラ8は、各排液検出センサ44から出力される検出信号に基づき、処理槽1から排出される排液が、その排液の種類に応じた種類別排液排出管42(421 〜42m のいずれか)にのみ流されるように各開閉弁43の開閉が正常に作動しているか否かを監視し、各開閉弁43の開閉が正常に作動していないとき、後述する異常処理を行う。
【0035】
なお、上記監視処理における正常、異常の判断は以下のように行う。
例えば、ある排液が、種類別排液排出管42i (iは1〜mのいずれか)に流すものである場合、種類別排液排出管42i に排液が流れていて(種類別排液排出管42i に設けられた排液検出センサ44で排液が流れていることを検出していて)、種類別排液排出管42i 以外の種類別排液排出管42に排液が流れていない(種類別排液排出管42i に設けられた排液検出センサ44以外の全ての排液検出センサ44で排液が流れていることを検出していない)場合のみ正常と判断する。それ以外の場合、すなわち、種類別排液排出管42i 以外の種類別排液排出管42に排液が流れているか否か(種類別排液排出管42i に設けられた排液検出センサ44以外の各排液検出センサ44で排液が流れていることを検出しているか否か)にかかわらず、種類別排液排出管42i に排液が流れていない(種類別排液排出管42i に設けられた排液検出センサ44で排液が流れていることを検出していない)場合や、種類別排液排出管42i に排液が流れている(種類別排液排出管42i に設けられた排液検出センサ44で排液が流れていることを検出している)が、種類別排液排出管42i 以外の種類別排液排出管42の少なくともいずれか一つにも排液が流れている(種類別排液排出管42i に設けられた排液検出センサ44以外の排液検出センサ44の少なくとも1つの排液検出センサ44でも排液が流れていることを検出している)場合は異常と判断する。
【0036】
このように、各種類別排液排出管42に排液が実際に流れているか否かに基づき、切換え手段としての各開閉弁43が正常に作動しているか否かを判断することで、各開閉弁43の誤動作や故障などの検知の信頼性を高めることができる。
【0037】
次に、排液検出センサ44の具体例を図を参照して説明する。
図3に示す排液検出センサ44は以下のように構成している。
種類別排液排出管42の管内を貫通するように、種類別排液排出管42に回動自在に回動軸51が取り付けられている。種類別排液排出管42の管内において、回動軸51に板部材52が一体回転可能に連結されている。平面視において、回転軸51が板部材52の中心線CLからずらされた位置を貫通するように両部材51、52が連結されている。また、回動軸51で2分される板部材52の大小の部位52a、52bのうち、小さい方(軽い方)の部位52aにカウンタウエイト53を取り付けて、種類別排液排出管42に排液が流下していない状態で、板部材52が水平姿勢になるように構成している。種類別排液排出管42の管外にはマイクロスイッチ54が配設され、種類別排液排出管42の管外において、回動軸51の端部には、マイクロスイッチ54のヒンジ54aを押し下げ得る押下部材55が一体回転可能に連結されている。種類別排液排出管42に排液が流下していない状態(板部材52が水平姿勢の状態)では、押下部材55はマイクロスイッチ54のヒンジ54aを押し下げていないので、マイクロスイッチ54からは「OFF」の検出信号が出力される。その状態で、種類別排液排出管42に排液が流下してくると、流下する排液によって、回動軸51で2分される板部材52の大小の部位52a、52bのうち、大きい方の部位52bが下降されて板部材52全体が水平面に対して傾斜されることになる。これに伴って、回動軸51及び押下部材55が回転され、押下部材55がマイクロスイッチ54のヒンジ54aを押し下げ、マイクロスイッチ54から「ON」の検出信号が出力される。これによって、種類別排液排出管42に排液が流下している(流れている)ことを検出することができる。
【0038】
図4に示す排液検出センサ44は、図3に示す排液検出センサ44と同様の構成の回動軸51、板部材52及びカウンタウエイト53を備えている。そして、図4に示す排液検出センサ44では、回動軸51で2分される板部材52の大小の部位52a、52bのうち、大きい方の部位52bの先端部に永久磁石56を内設し、種類別排液排出管42の管外に磁気センサ57を配設した。板部材52が水平姿勢の状態における永久磁石56と磁気センサ57との位置関係(距離)に対して、種類別排液排出管42に排液が流下して、板部材52全体が水平面に対して傾斜されたときの永久磁石56と磁気センサ57との位置関係(距離)が変化するので、この変化を磁気センサ57で検出することができ、これによって、種類別排液排出管42に排液が流下している(流れている)ことを検出することができる。
【0039】
なお、図3、図4の構成では種類別排液排出管42が立設され、排液が上から下に流れる場合の構成を示しているが、種類別排液排出管42が横設され、排液が左右方向に流れる場合には、図5に示すように、回転軸51と板部材52を種類別排液排出管42に取り付ければよい。図5に構成では、種類別排液排出管42に排液が流れていない状態では、板部材52(大きい方の部位52b)の自重により、板部材52は鉛直面に平行な起立姿勢を採るので、この構成においては、カウンタウエイト53を省略できる。そして、種類別排液排出管42に排液が流れてくると、板部材52全体が鉛直面に対して傾斜されることになり、この姿勢変化をマイクロスイッチ54や磁気センサ57で検出する。
【0040】
図6は、排液検出センサ44を透過型の光学式センサで構成した構成例である。種類別排液排出管42が立設され、排液が上から下に流れる場合には、例えば、図6(a)、(b)に示すように、種類別排液排出管42の一部を細くしたり、開口61を形成した部材62を種類別排液排出管42内に嵌め込むなどして、流下する排液を一時溜める溜まり部63を形成し、その溜まり部63に検出光SLを通過させるようにセンサ44の投光部64と受光部65を配設する。なお、種類別排液排出管42全体、または、少なくとも検出光SLを通過する部分は、透光性のある材料(例えば、石英など)で構成する。種類別排液排出管42に排液が流れていなければ、溜まり部63には排液は溜まっていないが、種類別排液排出管42に排液が流れてくれば、溜まり部63に排液が溜まる。従って、種類別排液排出管42に排液が流れてくれば、検出光SLは排液を通過することになる。検出光SLが排液を通過すると光の吸収などによって光量が低下するので、受光部66で受光する検出光SLの光量は、検出光SLが排液を通過しないときと通過するときとで変化する。この変化に応じて受光部66から「ON」、「OFF」信号が出力されるように受光部66の検出レベルを調節しておく。これによって、種類別排液排出管42に排液が流下している(流れている)ことを検出することができる。
【0041】
また、類別排液排出管42が横設され、排液が左右方向に流れる場合には、図6(c)に示すように、透光性の材料で形成された検出管66を種類別排液排出管42の一部に設け、この検出管66を検出光SLが通過するように投光部64と受光部65を配設すればよい。なお、図6(c)では、図の紙面に垂直な方向に排液が流れている。
【0042】
ところで、排液が薬液を含む場合、図3ないし図5の構成では、種類別排液排出管42の管内に配置される回動軸51や板部材52などを耐薬性で構成すればよく、種類別排液排出管42の管外に配置されるマイクロスイッチ54や磁気センサ57などは耐薬性で構成する必要がない。従って、耐薬性でない市販のマイクロスイッチ54や磁気センサ57などをそのまま使用することができる。図6の構成においても同様に耐薬性でない市販の光センサをそのまま使用することができる。
【0043】
なお、排液検出センサ44は、上記図3ないし図6の構成に限定されず、例えば、静電容量センサーや超音波センサーなどのように、その他の構成であってもよい。
【0044】
図1に戻って、排液排出管41には、排液の比抵抗を測定する比抵抗計45が設けられている。コントローラ8は、この比抵抗計45からの出力データに基づき、排液に薬液が含まれている状態から純水のみの排液となったことや、純水のみの排液に薬液が含まれるようになったことを検知して、各開閉弁43の開閉を切り換えるようにしている。
【0045】
警報器5の作動(警報ブザーの鳴動や警報ランプの点灯など)はコントローラ8により行われる。
【0046】
設定盤や通信機器などで構成される入力部6は、処理手順(レシピ)などを入力するためのもので、入力部6から入力されたレシピはコントローラ8に与えられる。レシピの入力は、作業者が直接行ったり、通信媒体を介してホスコンピュータから伝送されて入力される。
【0047】
基板支持部材7は、複数枚の基板Wを所定の間隔で整列させて支持する。この基板支持部材7は、コントローラ8に制御されて図1の二点鎖線で示す処理槽1の上方の上昇位置と図1の実線で示す処理槽1内の下降位置との間で昇降されるように構成されている。
【0048】
コントローラ8は、入力部6から入力されたレシピに従って各部を制御して基板Wに純水と1種類以上の薬液による洗浄処理を行う。なお、コントローラ8はタイマー81を内蔵していて、各洗浄処理を時間で管理している。また、処理液供給系2から処理槽1に供給される処理液を純水から薬液(または薬液から純水)に切り換えてから、処理槽1内の処理液が純水から薬液(または薬液から純水)に置換され終わるまでに要する置換時間は予め実験的に求められる。従って、コントローラ8は処理槽1内の処理液の置換処理も時間で管理している。
【0049】
次に、洗浄処理を実施するコントローラ8の動作の一例を図7、図8のタイムチャートを参照して説明する。なお、以下では、薬液Aによる洗浄処理、純水による洗浄処理、薬液Bによる洗浄処理、純水による洗浄処理の順で一連の洗浄処理を行う場合を例に採り説明する。また、排液排出系4は、図9に示すように、薬液Aを含む排液と薬液Bを含む排液と純水のみの排液とに分離排液するように構成している。さらに、処理液供給系2において、導入弁連結管27に薬液Aを導入する薬液導入弁を26MQA 、薬液Bを導入する薬液導入弁を26MQB として説明する。
【0050】
ここでは、処理を開始する段階で装置は次のような状態(初期状態)にあるものとする。すなわち、処理槽1内には純水が満たされている。排液排出系4では、開閉弁43DIW のみが開にされている。処理液供給系2から処理槽1への純水及び薬液の供給は停止(純水供給弁24及び薬液導入弁26MQA 、26MQB は全て閉に)されている。基板支持部材7は、複数枚の未処理の基板Wを支持して上昇位置に位置している。
【0051】
まず、基板支持部材7の昇降や処理液供給系2の制御を中心として、洗浄処理の全体的な流れを図7のタイムチャートを参照して説明する。
【0052】
上記初期状態で、純水供給弁24を開にし、処理液供給系2から処理槽1への純水の供給を開始して、処理を開始する(T1)。これにより、処理槽1内に純水の上昇液流が形成され、処理槽1の上部から純水が溢れ出す状態となる。そして、上昇位置に位置する基板支持部材7を下降位置へ下降させ、処理槽1内の純水の中に基板Wを浸漬させていき、基板支持部材7が下降位置に位置して、基板支持部材7とともに未処理基板Wが処理槽1の純水内に浸漬されて以降、薬液導入弁26MQA を開にして、処理槽1への薬液Aの供給を開始する(T2)。
【0053】
処理槽1内の処理液が純水から薬液Aに置換されるのに要する置換時間をtc1、薬液Aによる洗浄処理時間をtp1とすると、上記T2から(tc1+tp1)が経過すると、薬液Aによる洗浄処理が完了するので、上記T2から(tc1+tp1)が経過したとき(T3)、薬液導入弁26MQA を閉にして、処理槽1へ純水のみが供給されるようにする。
【0054】
処理槽1内の処理液が薬液Aから純水に置換されるのに要する置換時間をtc2、薬液Aによる洗浄処理後の純水による洗浄処理時間をtp2とすると、上記T3から(tc2+tp2)が経過すると、この純水による洗浄処理が完了するので、上記T3から(tc2+tp2)が経過したとき(T4)、薬液導入弁26MQB を開にして、処理槽1への薬液Bの供給を開始する。
【0055】
処理槽1内の処理液が純水から薬液Bに置換されるのに要する置換時間をtc3、薬液Bによる洗浄処理時間をtp3とすると、上記T4から(tc3+tp3)が経過すると、薬液Bによる洗浄処理が完了するので、上記T4から(tc3+tp3)が経過したとき(T5)、薬液導入弁26MQB を閉にして、処理槽1へ純水のみが供給されるようにする。
【0056】
処理槽1内の処理液が薬液Bから純水に置換されるのに要する置換時間をtc4、薬液Bによる洗浄処理後の純水による洗浄処理時間をtp4とすると、上記T5から(tc4+tp4)が経過すると、この純水による洗浄処理が完了するので、上記T5から(tc4+tp4)が経過したとき(T6)、下降位置に位置する基板支持部材7を上昇位置へ上昇させ、処理槽1内に純水が満たされ、処理槽1内に純水の上昇液流が形成された状態で、基板Wを引き上げていき、基板支持部材7とともに洗浄処理済の基板Wが上昇位置に位置すると、純水供給弁24を閉にし、処理液供給系2から処理槽1への純水の供給は停止して、処理を終了する(T7)。
【0057】
次に、上記洗浄処理中の排液排出系4内の各開閉弁43の開閉制御や、分離排液の監視処理などの動作を図8のタイムチャートを参照して説明する。
【0058】
排液排出系4内の各開閉弁43の開閉制御は、比抵抗計45からの出力データに基づき行う。すなわち、処理開始(T1)以後は、処理槽1の上部からは純水のみの排液が排出されるので、比抵抗計45で計測される比抵抗値は排液が純水のみであることを示している。このとき、開閉弁43DIW のみが開になっているので、純水のみの排液は純水の排液用の種類別排液排出管42DIW を介して排出される状態である。
【0059】
次に、処理槽1への薬液Aの供給を開始(T2)して後、処理槽1の上部から排出される排液に薬液Aが含まれるようになってくるので、比抵抗計45で計測される比抵抗値が低下して、排液に薬液Aが含まれていることを示すようになる。コントローラ8は、排液の比抵抗値が所定値以下になると、開閉弁43DIW を閉に、開閉弁43MQA を開にするように開閉弁43DIW 、43MQA の開閉を切り換える(T11)。これにより、薬液Aを含む排液は薬液Aの排液用の種類別排液排出管42MQA を介して排出できる状態になる。
【0060】
次に、処理槽1への純水のみの供給を開始(T3)して後、処理槽1の上部から排出される排液に含まれる薬液Aが減少してくるので、比抵抗計45で計測される比抵抗値が回復して、排液が純水のみになったことを示すようになる。コントローラ8は、排液の比抵抗値が回復すると、開閉弁43MQA を閉に、開閉弁43DIW を開にするように開閉弁43DIW 、43MQA の開閉を切り換える(T12)。これにより、純水のみの排液は純水の排液用の種類別排液排出管42DIW を介して排出できる状態になる。
【0061】
以後同様に、コントローラ8は、処理槽1への薬液Bの供給を開始(T4)して後、比抵抗計45で計測される排液の比抵抗値が所定値以下になると、開閉弁43DIW を閉に、開閉弁43MQB を開にするように開閉弁43DIW 、43MQB の開閉を切り換え(T13)、薬液Bを含む排液を薬液Bの排液用の種類別排液排出管42MQB を介して排出できる状態にし、処理槽1への純水のみの供給を開始(T5)して後、比抵抗計45で計測される排液の比抵抗値が回復すると、開閉弁43MQB を閉に、開閉弁43DIW を開にするように開閉弁43DIW 、43MQB の開閉を切り換え(T14)、純水のみの排液を純水の排液用の種類別排液排出管42DIW を介して排出できる状態にする。
【0062】
また、処理開始(T1)により、処理槽1の上部から純水の排出が始まる。この純水の排出が開始してから、純水のみの排液が純水の排液用の種類別排液排出管42DIW に設けた排液検出センサ44DIW の設置位置に流れてくるようになるまでにある程度の時間が必要であるが、この時間は予め実験的に求めておける。この時間をtx1とすると、上記T1から上記時間tx1が経過するまでは、排液検出センサ44を用いた分離排液の監視が適正に行えないことになる。従って、コントローラ8は、上記T1から上記時間tx1が経過してより以後、上記T11までの間は、図8の監視処理DIWを行う。監視処理DIW(後の監視処理DIWも同じ)は、各排液検出センサ44からの検出信号に基づき、各開閉弁43が正常に作動して、純水のみの排液が純水の排液用の種類別排液排出管42DIW にのみ排出されるように分離排液が正常に行われているか否かを監視する処理である。この監視処理DIW中に、各開閉弁43が正常に作動していないことを検知すると、後述する異常処理を実行する。
【0063】
次に、上記T11から薬液Aを含む排液が薬液Aの排液用の種類別排液排出管42MQA に設けた排液検出センサ44MQA の設置位置に流れてくるようになるまでにもある程度の時間が必要であり、上記T11からこの時間が経過するまでは、排液検出センサ44を用いた分離排液の監視が適正に行えないが、この時間も実験的に求めておくことができ、この時間をtx2とすると、コントローラ8は、上記T11から上記時間tx2が経過してより以後、上記T12までの間は、図8の監視処理MQAを行う。監視処理MQAは、各排液検出センサ44からの検出信号に基づき、各開閉弁43が正常に作動して、薬液Aを含む排液が薬液Aの排液用の種類別排液排出管42MQA にのみ排出されるように分離排液が正常に行われているか否かを監視する処理である。この監視処理MQA中に、各開閉弁43が正常に作動していないことを検知すると、後述する異常処理を実行する。
【0064】
以後同様にして、上記T12、T14から純水のみの排液が純水の排液用の種類別排液排出管42DIW に設けた排液検出センサ44DIW の設置位置に流れてくるようになるまでの時間をtx3、上記T13から薬液Bを含む排液が薬液Bの排液用の種類別排液排出管42MQB に設けた排液検出センサ44MQB の設置位置に流れてくるようになるまでの時間をtx4とすると、コントローラ8は、上記T12から上記時間tx3が経過してより以後、上記T13までの間は、図8の監視処理DIWを行い、上記T13から上記時間tx4が経過してより以後、上記T14までの間は、図8の監視処理MQBを行い、上記T14から上記時間tx3が経過してより以後、上記T7までの間は、図8の監視処理DIWを行い、各監視処理中に、各開閉弁43が正常に作動していないことを検知すると、後述する異常処理を実行する。なお、監視処理MQBは、各排液検出センサ44からの検出信号に基づき、各開閉弁43が正常に作動して、薬液Bを含む排液が薬液Bの排液用の種類別排液排出管42MQB にのみ排出されるように分離排液が正常に行われているか否かを監視する処理である。
【0065】
次に、各開閉弁43が正常に作動していないときに行う異常処理の一例を図10のフローチャートを参照して説明する。
【0066】
この異常処理では、まず、コントローラ8は警報器5を作動させて、各開閉弁43が正常に作動しなくなったことを作業者に知らせる(ステップA1)。これにより、作業者は、各開閉弁43が正常に作動していないことをすぐに知ることができ、各開閉弁43が正常に作動しなくなってから短時間のうちに適宜の復旧作業を開始でき、各開閉弁43の誤動作などに起因する種々の不都合を最小限にくい止めることができる。
【0067】
次に、この異常処理を実行するときに、処理槽1内において基板Wに影響がある薬液、例えば、基板Wとしてのシリコンウエハのシリコンやウエハ上のSiO2 膜をエッチングする(NH4OH - H2O2 - H2O)や(HF - H2O)などの薬液の内に基板Wが浸漬されている状態か否かを判定し(ステップA2)、処理槽1内において基板Wに影響がある薬液内に基板Wが浸漬されている場合には、ステップA3を実行し、そうでない場合にはステップA4を実行する。なお、コントローラ8は、処理液供給系2から処理槽1への処理液の供給を制御しているので、この異常処理を実行するときに処理槽1内にどのような処理液が入っているかを判断することができる。
【0068】
ステップA3では、少なくとも処理槽1内に入っている、上記基板Wに影響がある薬液を純水に置換するまで、処理液供給系2から純水のみを処理槽2に供給する。例えば、この異常処理を実行するときに、処理液供給系2から処理槽1に基板Wに影響がある薬液を供給していれば、その薬液の処理槽1への供給を停止するとともに、純水のみを処理槽2に供給し、また、この異常処理を実行するときに、基板Wに影響がある薬液が処理槽1内に入っていて、処理液供給系2からは処理槽1に純水のみを供給され、処理槽1内の処理液を、基板Wに影響がある処理液から純水へ置換している途中であれば、処理液供給系2から処理槽1への純水のみの供給を継続する。
【0069】
処理槽1内の処理液の置換時間(基板Wに影響がある薬液から純水への置換時間)は予め実験的に求めておくことができるので、その置換時間に基づき、処理槽1内に入っている、上記基板Wに影響がある薬液を純水に置換し終えた後、処理槽1への純水の供給を停止することができる。なお、ステップA3の処理を実行するときに、処理槽1内の処理液を、基板Wに影響がある処理液から純水へ置換している途中である場合、コントローラ8はその置換の開始からの経過時間を把握しているので、残りの置換時間を算出することができる。
【0070】
この結果、処理槽1内の処理液は基板Wに影響がある薬液から純水に置換され、オーバーエッチングになるなど基板Wへの影響が大きくなることを防止でき、基板Wを廃棄するような不都合を防止することができる。一方で、このステップA3の実行以降は、処理槽1に入っていた、基板Wに影響がある薬液を含む排液が排液排出系4に流されるが、例えば、基板Wに影響がある薬液Wの排液が不所望な種類別排液排出管42に流出しているような場合ても、不都合は処理槽1に入っていた、基板Wに影響がある薬液だけに止めることができ、排液排出系4などで生じる不都合を自動的に小規模にくい止めることができる。
【0071】
なお、純水はどの種類別排液排出管42に流出されても大きな問題はならないので、処理槽1内に入っていた、基板Wに影響がある薬液を純水に置換した後も純水のみを処理槽1に供給していてもよい。また、このとき、処理槽1内の処理液が置換された後、排液排出系4に純水のみの排液が流されるようになると、開閉弁43DIW のみを開にするように制御して、置換以降に排液排出系4に流れてくる純水のみの排液を純水の排液用の種類別排液排出管42DIW に流すようにしてもよい。
【0072】
ステップA4では、処理液供給系2から処理槽1への純水及び薬液の供給を停止する。これにより、処理槽1の上部から排液が排出されなくなり、排液排出系4に排液が流れ込まず、排液排出系4などで生じる不都合を自動的に最小限にくい止めることができる。
【0073】
なお、異常処理としては、上記ステップA2〜A4の処理の後に上記ステップA1の処理を行うように処理の順序を変更してもよいし、上記ステップA1の処理とステップA2〜A4の処理とのいずれか一方のみを行うようにしてもよい。また、まず、ステップA2の処理を実行して、ステップA3を実行する場合のみステップA1の処理を実行するようにしてもよい。
【0074】
さらに、基板Wに影響がある薬液を用いない場合には、ステップA2、A3の処理を省略してもよい。その場合は、ステップA1とA4の処理を行ってもよいし、ステップA1、A4のいずれか一方の処理のみを行うようにしてもよい。
【0075】
また、ステップA2とステップA4とを省略し、異常処理を実行するときに、処理槽1内において基板Wに影響がある薬液内に基板Wが浸漬されている状態か否かにかかわず、ステップA3の処理を実行するようにしてもよい。
【0076】
また、異常処理としては、上記以外の処理を含めてもよい。
例えば、図11に示すように、開閉弁43と排液検出センサ44とを設けた各種類別排液排出管42を2組備え、通常は、一方の組の各種類別排液排出管42を用いて排液の分離排液を行い、異常が起きたときに、三方弁などで構成される切換え弁46を切り換えて、他方の組の各種類別排液排出管42を用いて排液の分離排液を行うように処理してもよい。
【0077】
また、図12に示すように、開閉弁47を介装した予備配管48を排液排出管41から分岐させておき、上記ステップA3の処理を実行するときに、全ての開閉弁43が閉になっている場合に、基板Wに影響がある薬液を含む排液が排液排出系4に流れてくると、開閉弁47を開にして、基板Wに影響がある薬液を含む排液を、予備配管48を介して、基板Wに影響がある薬液の排液用の種類別排液排出管42MQに流すようにして、オーバーフロー槽13からの排液の溢れ出しを防止するように処理してもよい。また、図12の二点鎖線に示すように、予備配管48を介して、基板Wに影響がある薬液を含む排液を回収タンク49に回収するようにしてもよい。さらに、図12の一点鎖線に示すように、開閉弁47を介装した予備配管48をもう1本、排液排出管41から分岐させておき、処理槽1内に入っていた、基板Wに影響がある薬液を純水に置換した後も純水のみを処理槽1に供給するとき、全ての開閉弁43が閉になっている場合に、処理槽1内の処理液の置換の完了後に排液排出系4に純水のみの排液が流れてくるようになると、一点鎖線の開閉弁47を開にして、純水のみの排液を、一点鎖線の予備配管48を介して、純水の排液用の種類別排液排出管42DIW に流すようにしてもよい。
【0078】
なお、上記実施形態では、各開閉弁43の開閉制御を比抵抗計45からの出力データに基づき行うようにしているが、図8におけるT2からT11の間の時間、T3からT12までの間の時間、T4からT13の間の時間、T5からT14までの間の時間を実験的に求めておいて、比抵抗計45を用いずに、各開閉弁43の開閉制御も時間管理で行うようにしてもよい。
【0079】
また、上記洗浄処理の説明では、処理の開始時に処理槽1に純水が満たされている状態で処理する場合について説明したが、処理槽1が空の状態から処理を開始する場合や、処理槽1の底部に排液排出口を設けて、処理槽1内の処理液を処理槽1の底部から排出可能に構成し、処理中に処理槽1内の処理液を処理槽1の底部から排出する工程を含むような場合などにも本発明は同様に適用することができる。
【0080】
また、上記実施形態では、槽下部から処理液を供給して、槽内の余分な処理液を排液として槽上部から溢れ出させて排出するように構成した処理槽1を用いているが、槽上部から処理液を供給して、槽内の余分な処理液を排液として槽下部から排出するように構成した処理槽を用いた装置にも本発明は同様に適用することができる。
【0081】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1に記載の発明によれば、種類別排液排出管に排液が流れていることを、各々の種類別排液排出管ごとに検出し、その検出結果に基づき、処理槽から排出される排液が、その排液の種類に応じた種類別排液排出管にのみ流されるように切換え手段が正常に作動しているか否かを監視し、切換え手段が正常に作動していないとき、例えば、請求項2ないし4に記載の発明のような処理を含む所定の異常処理を行うように構成したので、排液排出系などで生じる不都合を軽減することができる。また、各種類別排液排出管に排液が実際に流れているか否かに基づき、切換え手段が正常に作動しているか否かを判断するように構成しているので、切換え手段の誤動作や故障などの検知の信頼性を高めることができる。
【0082】
請求項2に記載の発明によれば、排液監視手段が行う異常処理に、警報を発する処理を含めたので、作業者は、切換え手段が正常に作動していないことをすぐに知ることができ、切換え手段が正常に作動しなくなってから短時間のうちに適宜の復旧作業を開始でき、切換え手段の誤動作などに起因する種々の不都合を最小限にくい止めることができる。
【0083】
請求項3に記載の発明によれば、処理液供給系から処理液が供給されることに伴い、槽内の余分な処理液を排液として排出するように構成された処理槽に対する異常処理として、処理液供給系から処理槽への処理液の供給を停止する処理を排液監視手段が行う異常処理に含めたことにより、切換え手段が正常に作動しなくなると、処理槽から排液が排出されなくなり、排液排出系に排液が流れ込まず、排液排出系などで生じる不都合を自動的に最小限にくい止めることができる。
【0084】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明の異常処理において、排液監視手段が処理液供給系から処理槽への処理液の供給を停止する処理を行おうとするとき、処理槽内において基板に影響がある薬液内に基板が浸漬されている場合には、少なくとも前記処理槽内に入っている、基板に影響がある薬液を純水に置換するまで、純水のみを処理槽に供給するように処理するので、基板を廃棄するような不都合を防止することができるとともに、排液排出系などで生じる不都合を自動的に小規模にくい止めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の全体構成を示す図である。
【図2】排液の分類形態の一例を示す図である。
【図3】排液検出センサの一例の構成を示す横断面図と側面図である。
【図4】排液検出センサの別の例の構成を示す横断面図と縦断面図である。
【図5】図3、図4の排液検出センサの変形例の構成を示す縦断面図である。
【図6】排液検出センサのさらに別の例の構成を示す縦断面図と横断面図である。
【図7】洗浄処理を実施するコントローラの動作の一例を示すタイムチャートである。
【図8】同じく、洗浄処理を実施するコントローラの動作の一例を示すタイムチャートである。
【図9】図7、図8の洗浄処理時の排液の分類形態を示す図である。
【図10】異常処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】図1の装置の変形例の要部構成を示す図である。
【図12】図1の装置の別の変形例の要部構成を示す図である。
【図13】従来装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1:処理槽
2:処理液供給系
3:廃液システム
4:排液排出系
5:警報器
8:コントローラ
42(421 〜42m ):種類別排液排出管
43:開閉弁
44:排液検出センサ
W:基板
Claims (4)
- 基板を処理液に浸漬して所定の処理を行う処理槽と、
前記処理槽に複数種類の処理液を選択的に供給する処理液供給系と、
前記処理槽から排出される排液を廃液システムに流す排液排出系と、
を備え、かつ、
前記排液排出系は、
前記排液を流す排液排出管と、
排液の種類に応じて、前記排液排出管から分岐される複数の種類別排液排出管と、
排液の流出先を切り換える切換え手段と、
を備えて、排液を種類別に分離排液し得るように構成された基板処理装置において、
前記排液排出管に設けられ、排液の比抵抗を測定する比抵抗計と、
前記種類別排液排出管にそれぞれ設けられ、前記種類別排液排出管に排液が流れていることを、各々の種類別排液排出管ごとに検出して、その検出信号を出力する複数個の排液検出センサと、
前記比抵抗計により測定される比抵抗に基づき、前記排液排出管を流れる排液が純水のみとなったこと、および、前記排液排出管を流れる排液に薬液が含まれるようになったことを検知して切換え手段を制御し、かつ、前記複数個の排液検出センサから出力される検出信号に基づき、前記処理槽から排出される排液が、その排液の種類に応じた種類別排液排出管にのみ流されるように切換え手段が正常に作動しているか否かを監視し、切換え手段が正常に作動していないとき、所定の異常処理を行う排液監視手段と、
を備えたことを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1に記載の基板処理装置において、
前記排液監視手段が行う異常処理には、警報を発する処理を含むことを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1または2に記載の基板処理装置において、
前記処理槽は、前記処理液供給系から処理液が供給されることに伴い、槽内の余分な処理液を排液として排出するように構成され、かつ、
前記排液監視手段が行う異常処理には、前記処理液供給系から前記処理槽への処理液の供給を停止する処理を含むことを特徴とする基板処理装置。 - 請求項3に記載の基板処理装置において、
前記処理液供給系は、前記処理槽に純水と1種類以上の薬液を選択的に供給するものであり、かつ、
前記排液監視手段は、前記処理液供給系から前記処理槽への処理液の供給を停止する処理を行おうとするとき、前記処理槽内において基板に影響がある薬液内に基板が浸漬されている場合には、少なくとも前記処理槽内に入っている、前記基板に影響がある薬液を純水に置換するまで、純水のみを前記処理槽に供給するように処理することを特徴とする基板処理装置。
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JPH11162921A (ja) | 1999-06-18 |
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