JP4245087B2 - ダイカットロール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙おむつ、サニタリーナプキンなどのシート状製品の裁断に使用するダイカットロールに関する。
【0002】
【従来の技術】
このダイカットロールは、切断すべきシート状製品の形状に合わせて形成した切刃を回転駆動ロールの表面に設けたダイカッターとアンビルロールの組み合わせとからなる。
【0003】
そして、この切刃の切れ味の改善とともに長寿命化のための試みが従来から多くなされており、たとえば、特許第2593570号公報には、切刃の押圧先端とアンビルロールの表面との硬さの関係がその寿命に影響し、両方の硬度差HrAを0.1以上とすることによってその寿命は10倍以上延びることが開示されており、また、特開平7−227798号公報には、硬度差を形成するための特定材料の選定が開示されている。
【0004】
また、特開平8−71999号公報には切刃の形状面からの長寿命化が開示されており、切刃の幅をダイカッターの軸方向部分を周方向部分よりも小さくすることによって長寿命化できることが開示され、また、特開平8−72000号公報にはアンビルロールの駆動をそれぞれ同調した2軸によって駆動させる二軸駆動方式と、ダイカッターのみを駆動させてアンビルロールをこれに従動させる一軸駆動方式のいずれにもクラウンを持たせたダイカッターが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ダイカットロールの摩耗形態は複雑であって、駆動方式の違いによってダイカッターとアンビルロールの摩耗形態は著しく異なり、駆動方式の違いによる不均一摩耗あるいは刃先のチッピングによる刃先の寿命低下を生じる。例えば、二軸回転駆動方式においては、ダイカッターとアンビルロールの回転を同期するために、アンビルロールのロール表面のダイカッター切刃と接触する特定部分が摩耗しやすく寿命が短くなり、また、一軸回転駆動方式においては、回転が非同期であるがために、アンビルロールのロール表面全体が一様に摩耗して寿命がのびる反面、ダイカッターにはアンビルロールの摩擦負荷がかかりダイカッターの寿命が短くなる。
【0006】
本発明の解決課題は、ダイカットロールの駆動方式の違いによるダイカッターとアンビルロールとでの著しく異なる摩耗形態に対応して、長寿命化を実現することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ダイカットロールの駆動方式ごとにダイカッターとアンビルロールの硬度差に差をつけたもので、具体的には、ダイカッターの切刃の少なくとも先端側の硬度(HRA)をH1、アンビルロールのうち少なくともロール表面硬度(HRA)をH2とすると、
H1とH2は、それぞれ82≦(H1、H2)≦96(HRA)であって、
二軸回転駆動方式の場合:0<H2−H1<5
一軸回転駆動方式の場合:−5<H2−H1<1
の条件を満足することを特徴とする。
【0008】
それぞれのダイカッターとアンビルロールを構成する材料としては、WC基合金等の超硬合金、Ti基合金等のサーメット、高速度鋼(ハイス)、Al2O3系・ZrO2系・SiC系・Si3N4系等のセラミックス等の硬質材料を使用できるが、そのうち特にWC基合金、Ti基合金等のカーバイドボンドの硬質材料の使用が好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は本発明を適用したダイカットロールを示す。図1は二軸回転駆動方式の場合を示し、モーター1の駆動軸は直接ダイカッター2を駆動し、ダイカッタギア4aにより、アンビルロールギア4bを駆動し、それに連結した駆動軸により、アンビルロール3が回転同期して駆動されている。これによって、ダイカッター2とアンビルロール3との間を通過するシート状ワーク5をダイカッター2の切刃のとおりに裁断する。図2は一軸回転駆動方式の場合を示し、ダイカッター2は直接モーター1の駆動軸によって駆動されるが、アンビルロール3はワーク5を介してダイカッター2に従動する。
【0010】
実施例1:
上記図1の二軸回転駆動方式におけるダイカッター2の切刃の先端側硬度(HRA)H1とアンビルロール3の硬度(HRA)H2の差(H2−H1)と寿命の関係を図3に示す。 同図において、ダイカットロールの実寿命曲線は、所定のHRA硬度差に設定されたWC−Co超硬合金製ダイカッターとアンビルロールとの組合せにより構成された各種のダイカットロールを製作し、テスト運転することによって、ある特定のカット不良率に到達するまでの総カット枚数を寿命として得たものである。また、理想ダイカッターの寿命曲線、理想アンビルロールの寿命曲線は、それぞれアンビルロール、ダイカッターの摩耗がほとんどなく、理想的に運転された場合の予測寿命(ある特定のカット不良率に到達するまでの総カット枚数)であり、相対的にその硬度が大きくなるほど寿命は長くなっている。実際には、ある一定時間運転を行い、その摩耗速度から理想寿命曲線を算出している。
【0011】
図3から明らかなように、この実施例においてはダイカッター2の切刃の先端側硬度(HRA)H1と、アンビルロール3硬度(HRA)H2とを0<H2−H1<5の範囲内に設定することが好ましい。
【0012】
ここで、0<H2−H1としたのは次のような理由による。ダイカッター2がアンビルロール3よりも硬いと、アンビルロール3表面が集中して摩耗する。特に回転同期している場合、摩耗がダイカッター2の切刃と接触するアンビルロール3表面に一極化するので、寿命が実用上問題となる程度まで短くなってしまう。また、相対的にダイカッター2の刃先靭性がアンビルロール3と比較して低下するのでダイカッター2の刃先のチッピングを起こす。一方、H2−H1<5とした理由は、H2−H1を5より大きくするとダイカッター2の硬度がアンビルロール3の硬度と比較して、低くなりすぎて、ダイカッター2の刃先の摩滅が起こりやすくなり、寿命が実用上問題となる程度まで短くなるためである。
【0013】
実施例2:
上記図2の一軸回転駆動方式におけるダイカッター2の切刃の先端側硬度(HRA)H1とアンビルロール3の硬度(HRA)H2の差(H2−H1)と寿命の関係を図4に示す。材料の種類、テスト方法などは二軸回転駆動方式の場合と同じである。
【0014】
図3の二軸回転駆動方式と比べ、理想ダイカッターの寿命曲線は、刃先部分にワーク5を介してアンビルロール3を摩擦駆動することによって負荷がかかるため寿命曲線は全体に下がる。また、理想アンビルロールの寿命曲線は、摩耗面積がアンビルロール3のロール表面全体に広がり、摩耗速度が低下するため、全体に上がる。したがって、その硬度差を−5<H2−H1<1の範囲内にしたとき、寿命は最大になる。
【0015】
−5<H2−H1とした理由はH2−H1を−5よりも小さくすると、アンビルロール3の摩耗速度がダイカッター2と比較して著しく大きくなり寿命が実用上問題となる程度まで短くなったり、また、ダイカッター2の刃先靭性がアンビルロール3と比較して低下するので、ダイカッター2の刃先がチッピングを起こすためである。一方、H2−H1<1とした理由は、H2−H1を1より大きくするとダイカッター2の硬度がアンビルロール3の硬度と比較して低くなりすぎて、ダイカッター2の刃先の摩滅が起こりやすくなり、寿命が実用上問題となる程度まで短くなるためである。
【0016】
【発明の効果】
本発明によって以下の効果を奏する。
【0017】
(1)駆動方式毎に長寿命化が実現でき、チッピングの発生を防ぐことができ、信頼性が著しく向上する。
【0018】
(2)二軸回転駆動方式においては、ダイカッターとアンビルロールの硬度差を0<H2−H1<5とするとダイカッター摩耗をアンビルロール摩耗と同程度の速度にでき、ダイカットロールの寿命がのびる。
【0019】
(3)一軸回転駆動方式においては、ダイカッターとアンビルロールの硬度差を−5<H2−H1<1とするとダイカッター摩耗とアンビルロール摩耗の速度が均等化でき、ダイカットロールの寿命がのびる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用した二軸回転駆動方式によるダイカットロールを示す。
【図2】 本発明を適用した一軸回転駆動方式によるダイカットロールを示す。
【図3】 二軸回転駆動方式における硬度差と寿命の関係を示す。
【図4】 一軸回転駆動方式における硬度差と寿命の関係を示す。
【符号の説明】
1:モーター 2:ダイカッター 3:アンビルロール
4a:ダイカッタギア 4b:アンビルロールギア
5:ワーク(被加工物)
Claims (1)
- 切断すべき製品の形状に合わせて形成した切刃を表面に設けたダイカッターとアンビルロールの組み合わせとからなり、ダイカッターの切刃の少なくとも先端側とアンビルロールのうち少なくともロール表面とに硬度差を設けたダイカットロールにおいて、その駆動方式は、ダイカッターとアンビルロールが二軸駆動される方式またはダイカッターとアンビルロールが一軸駆動される方式であり、
ダイカッターの切刃の少なくとも先端側の硬度(HRA)をH1、アンビルロールのうち少なくともロール表面の硬度(HRA)をH2とすると、82≦(H1、H2)≦96(HRA)であり、
ダイカッターとアンビルロールが二軸駆動される方式の場合、0<H2−H1<5の関係式が成立し、
ダイカッターとアンビルロールが一軸駆動される方式の場合、−5<H2−H1<1の関係式が成立することを特徴とするダイカットロール。
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Cited By (1)
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1997
- 1997-12-26 JP JP35921797A patent/JP4245087B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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