JP4244934B2 - 面材の枠材への取付構造 - Google Patents

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Description

本発明は、パッキンを介在させた面材の枠材への取付構造に関するものである。
従来から、矩形状に組み上げた枠材2の内側に面材1を取付けた採光扉、戸等の建具や、窓等が知られている。この面材1の枠材2への取付けは、図13のように枠材2の内周面に形成した溝3に軟質パッキン4´を収容保持し、この軟質パッキン4を介して溝3に面材1の外縁部を挿入することで行われている。この軟質パッキン4´によると、溝3と面材1の外縁部との隙間を埋めることができて面材1の枠材2へのがたつき防止が図られている(たとえば特許文献1参照)。
ところで、近年の住居では開放的な部屋空間を得るために天井高さを高く設計する傾向があり、この傾向により採光扉、戸等の建具の高さ寸法も長く設定されるようになってきている。このように長さ寸法を長くした枠材2にあっては、枠材2に荷重がかかったときに枠材2に生じる撓み変形量も大きくなりがちであり、たとえば枠材2に外方に広がる撓み変形などが生じたときには、図13のように単なる溝3と面材1との隙間を埋めるための軟質パッキン4´では積極的に面材1を保持することができず、面材1が枠材2の溝3から外れてしまうといった恐れを有していた。
更に言うと、軟質パッキン4´は全体を軟質で構成しているから変形し易いものであり、しかして軟質パッキン4´を枠材2の溝3内に配置するには、ドライバー等の挿入治具を用いて軟質パッキン4´をその長さ方向に徐々に溝3内に圧入していかねばならず、その施工作業が煩雑であるという問題も有していた。
特開2004−232240号公報
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、施工性良くパッキンを枠材の溝内に配置できると共に、溝に収納保持させたパッキンで面材を保持して面材の枠材への取付強度を高めた面材の枠材への取付構造を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために本発明の請求項1に係る面材1の枠材2への取付構造にあっては、枠材2の内周面に形成した溝3内にパッキン4を介して面材1の外縁部を取付けてなる面材1の枠材2への取付構造において、上記パッキン4を、底片5の両端から一対の立ち上がり片6をそれぞれ立設させて内部にU字状の挿入溝7を形成し、底片5の中央部に挿入溝7内に山折りされた山部8を設けると共に両立ち上がり片6の先端に挿入溝7側に突出する挟持部9を設け、上記山部8及び挟持部9を形状変形容易な軟質材Aで形成する以外は軟質材Aよりも硬質の硬質材Bで形成し、溝3の両側壁31の一部に両立ち上がり片6をそれぞれ保持させて溝3内にパッキン4を収容し、パッキン4の挿入溝7内に挿入した面材1の外縁端面1aで底片5の山部8を押圧して溝3の溝底30に圧接し、この山部8を中心に両立ち上がり片6を挿入溝7側に傾倒させて両挟持部9で面材1をその厚み方向から挟み込むように押圧した面材の枠材への取付構造であって、一対の断面略L字形状のスペーサ板10を面材1の外縁端面1aの長手方向に連ねて配置し、一方のスペーサ板10を面材1の表面側板面1bに積層して被着すると共に、他方のスペーサ板10を面材1の裏面側板面1bに積層して被着し、このスペーサ板10を介してパッキン4の立ち上がり片6にて面材1の板面1bを押圧したことを特徴とする。これによると、面材1をパッキン4を介して枠材2の溝3内に挿入した際には、溝3内に保持されたパッキン4の挿入溝7内に挿入した面材1の外縁端面1aにて軟質材Aの底片5の山部8を押圧して溝3の溝底30に圧接し、この山部8を中心に硬質材Bの両立ち上がり片6を挿入溝7側に傾倒させて軟質材Aの両挟持部9で面材1をその厚み方向から挟み込むように押圧したので、溝3内に保持されたパッキン4にて効果的に面材1を保持することができて面材1の枠材2への取付強度を高めることができるのであり、また、パッキン4には硬質材Bが用いられているから、従来の軟質材Aのみで構成されたパッキン4に比べて自己保形性に優れており、溝3内にパッキン4を配置する際には両立ち上がり片6を近接させる様に摘んで溝3内に挿入していけば良く、従来のようにパッキン4を溝3内に圧入させるための挿入治具を用いなくてもよいから施工性の向上も図られている。
また、パッキン4による面材1の保持が、硬質材Bの立ち上がり片6によるスペーサ板10を介した面材1の板面1bを押圧でも行われることとなり、保持力を高めることができる。
しかも、パッキン4の挿入溝7への面材1の挿入作業の作業性を容易にしつつ、パッキン4による面材1の保持力を効果的に高めることができる。つまり、同断面で面材1の表面側及び裏面側の両板面1bにスペーサ板10を被着させることによると、面材1の厚さが厚くなり過ぎてパッキン4の挿入溝7に面材1を挿入する際にきつくなって挿入しにくいのであるが、上述のように一対のスペーサ板10を面材1に連ねて配置し、一方のスペーサ板10を面材1の表面側板面1bに被着すると共に、他方のスペーサ板10を面材1の裏面側板面1bに被着したことで、同断面には一のスペーサ板10のみ被着されているから、パッキン4の挿入溝7への面材1の挿入作業の容易な作業性が確保されているのであり、また、面材1の片側の板面1bにスペーサ板10が被着されたことでは、面材1には片側の立ち上がり片6からの押圧力のみがかかるだけで挟持による面材1の強固な保持力を得られないのであるが、上述のように面材1の表面側板面1bに被着した一方のスペーサ板10と面材1の裏面側板面1bに被着した他方のスペーサ板10とが面材1の外縁端面1aの長手方向に連ねて配置されているので、両立ち上がりによる押圧を近接位置で面材1に働かせることができ、すなわち両立ち上がりによって面材1を挟み込むように押圧でき、面材1を両立ち上がり片6にて強固保持することができるのである。
本発明は、軟質材に加えて硬質材で構成されたパッキンを用いているので、パッキンを枠材の溝内に配置する際には、従来技術にあるような挿入治具を用いずに行うことから良好な施工性を確保できるという利点を有すると共に、溝に収納保持させたパッキンにて面材を挟み込むように押圧力をかけて保持しているので、面材の枠材への取付強度を高めることができ、従来問題視された面材が枠材の溝から外れてしまう恐れを低減できるという利点を有している。
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
本例の戸体11は、図2のように、一対の縦枠12の上端同士を上枠13で連結すると共に一対の縦枠12の下端同士を下枠14で連結することで矩形状に組んだ枠材2を有し、この枠材2の内側に乳白樹脂製の半透光性を有する面材1を嵌め込んで形成されたものであり、図3のように、部屋の間仕切り壁15に設けた開口16を開閉する吊り引戸17として用いられるものである。詳しくは、図4のように、縦枠12上端には上方に突出するようにランナ18が取付けられ、開口16の上縁に取り付けられたレール枠19に上記ランナ18を走行可能に吊り下げられることで、開口に開閉自在に戸体11が設けられている。また、下枠14の外周面には長さ方向の両端に磁石(図示せず)を配置した係止溝20が設けられ、床面21には戸体11の磁石の磁力で適宜浮き上がるようにした係止突起22が適宜間隔毎に突没自在に配置され、開口16を開閉する戸体11に適宜の係止突起22が係止溝20に挿入されて、開口16に吊り下げられた戸体11の下部のぐらつきの抑制が図られている。また、面材1の枠材2への取付けは、面材1の外縁部を枠材2の内周面に形成された溝3にパッキン4を介装させて挿入することで行われている。近年では、室内の開放感を高めるために天井高を高く設計する傾向にあり、それに伴って戸体11の高さ寸法も高く設定されるようになってきている。すなわち、縦枠12の長さ寸法が長くなる傾向にあって、引戸17の戸体11のように縦枠12に手をかけて開閉のために引っ張る際や、特に戸体11を横にして上側の縦枠12を持って施工現場まで施工者が吊り下げて運ぶ際には、縦枠12にかかる外向きの力によって縦枠12の外側への撓みが生じ易くなっているが、本発明では面材1の枠材2(本例では縦枠12)への取付構造に特徴を有しており、面材1の枠材2への取付強度を高め、面材1が枠材2の溝3から抜け出てしまうことの防止が図られている。以下、詳述する。
図1は縦枠12と面材1との取付構造を示す断面図である。縦枠12の内周面には外方に凹没せる溝3がその長手方向に亙って形成されている。この溝3は戸体11の内方に開口せる断面リップ付きコ字状に形成され、詳しくは、面材1の厚み寸法よりも充分に広い幅寸法を有した溝底30の幅方向の両端から側壁31を戸体11の内側に向けて立設し、両側壁31の先端から溝底30と水平で且つ対向方向に縦枠12の内周面を構成するリップ壁32をそれぞれ突出し、両リップ壁32の間に溝3の開口を形成し、リップ壁32の突出先端部を溝3内にL字状に折り曲げたような係止壁部33がそれぞれ形成されている。この係止壁部33により、溝3の開口縁には溝3内方向に凹没する凹段部34が形成されている。
この溝3内には図5に示すパッキン4が配置される。このパッキン4は、硬質材Bと軟質材Aとを一体にした2色成形の樹脂製長尺材であり、底片5の幅方向の両端から一対の立ち上がり片6をそれぞれ略垂直に立設させて内部にU字状の挿入溝7が形成され、底片5の幅方向の中央部に挿入溝7内に山折りにされた山部8が設けられ、両立ち上がり片6の先端に挿入溝7側に突出する挟持部9が設けられており、上記山部8及び挟持部9を形状変形容易な軟質材Aで形成する以外(山部8以外の底片5の部位や立ち上がり片6)は軟質材Aよりも硬質の硬質材Bで形成されている。詳しくは、軟質材Aにはたとえばエラストマーが、硬質材Bにはポリプロピレンが使用されている。また、このパッキン4は自然状態で、山部8によって底片5全体が挿入溝7側に突出する山型板状の形状を有し、底片5の他の部位に比べて底片5と立ち上がり片6との角部が挿入溝7と反対方向に突出するようになっており、すなわち自然状態のパッキン4の全体断面形状は、底片5側を下方と仮定すると上広がり状の断面U字状になっているのである。また、立ち上がり片6の先端部分には挿入溝7側に凹ませるようにL字状に折り曲げた折曲部23が形成されており、この立ち上がり片6の先端には立ち上がり片6と略直交してT字を形成するように挟持部9が設けられている。つまり、挟持部9は立ち上がり片6の先端から挿入溝7の内外方向にそれぞれ突設されており、立ち上がり片6の先端部分における挿入溝7側と反対側の部位にあっては、折曲部23と挟持部9とで囲まれて挿入溝7側に凹んだ保持溝24が形成されている。なお、挿入溝7側に突出する挟持部9の突出端面には、挿入溝7の溝幅を底片5側程広げるような傾斜面28が形成されている。また、山部8の頂き部分における挿入溝7側と反対側の部位には底片5を薄肉にする折曲用溝25が形成されており、山部8の頂き部分で底片5が容易に折り曲げ変形可能にされている。
縦枠12の溝3内に上記パッキン4を収容配置するには、施工者は自然状態で上広がりU字断面状のパッキン4の両立ち上がり片6を摘んで近接させるように弾性変形させ、その状態で底片5側から縦枠12の溝3内に挿入するようにして行われる。本例のパッキン4は軟質材Aのみならず硬質材Bでも構成されているので、従来の軟質材Aのみで構成されたパッキン4に比べて自己保形性に優れており、従来のようにパッキン4を溝3内に圧入させるための挿入治具を用いなくてもよいために良好な施工性が確保されている。図6のように縦枠12の溝3内にパッキン4を収容配置した状態では、パッキン4の底片5が溝3の溝底30に接地し、立ち上がり片6の弾性復帰によって縦枠12の係止壁部33が保持溝24に嵌り込むと共に、挟持部9における立ち上がり片6から挿入溝7と反対方向に突出した部位が凹段部34に嵌り込んでいる。このとき、パッキン4の底片5の山部8は溝3の溝底30には接地せずに山部8と溝底30との間には山部変形用の空隙26があり、パッキン4の底片5における立ち上がり片6との角部が溝3の溝底30に接地されている。また、パッキン4の立ち上がり片6と溝3の側壁31との間、特に立ち上がり片6の突出基部近傍には、立ち上がり片変形用の空隙27が生じている。また、立ち上がり片6の弾性復帰を利用して係止壁部33が保持溝24に嵌合していることでパッキン4が溝3内に収容保持され、パッキン4の溝3からの抜け落ちが防止されている。また、このときには挟持部9の上面が縦枠12の内周面を構成するリップ壁32と略面一にされ、パッキン4の縦枠12の溝3内への収容が収まり良く行われている。また、このときパッキン4の挿入溝7の開口幅は面材1の厚み寸法と略同幅寸法にされている。
縦枠12の溝3には、図1のように、面材1の外縁部がパッキン4を介して挿入される。具体的には、溝3内に収納保持されたパッキン4の挿入溝7に面材1の外縁部が挿入される。なお、パッキン4の挿入溝7への面材1の外縁部の挿入時には、挿入溝7の開口縁付近で面材1の板面1bが挟持部9の挿入溝7側の突出端面に接触するのであるが、上記突出端面には傾斜面28が形成されていて、挿入溝7への面材1の挿入時に面材1の板面1bへの接触面積を極力小さくするようにしているから、パッキン4の挿入溝7への面材1の外縁部の挿入作業を行い易くしている。また、パッキン4の挿入溝7に面材1の外縁部を挿入する際には、挿入溝7内に差し込んだ面材1の外縁端面1aをパッキン4の底片5に強く当接させるように行う。このとき、パッキン4の底片5にはその中央に挿入溝7内に突出する山部8があると共に山部8と溝底30との間には山部変形用の空隙26があるから、面材1の外縁端面1aは山部8を溝3の溝底30に向けて上記空隙26を潰すように押圧するのであって山部8を溝3の溝底30に圧接させるのである。そして、パッキン4の山部8が溝3の溝底30への圧接されたことによると、既に溝3の溝底30に接地されているパッキン4の底片5の幅方向の両端部が溝3の溝底30上に幅方向外方に滑るように立ち上がり片変形用の空隙27に移動し、パッキン4の底片5の全てが溝3の溝底30に沿うように変形されるのであり、これに伴って、硬質材Bから構成されて底片5から略垂直に立ち上がる両立ち上がり片6が挿入溝7側に傾倒され、挿入溝7に挿入されている面材1をその厚み方向から軟質材Aの両挟持部9で挟み込むように押圧させるのである(図1矢印)。つまり、軟質材Aで構成されて面材1の外縁端面1aに押圧により潰れるように変形する山部8はヒンジのような役割を果たすものであり、山部8が変形することに従って、硬質材Bで構成されて所定形状に維持された山部8以外の底片5の部位及び立ち上がり片6を山部8を中心に回動させるのであり、パッキン4のうち山部8から最も離れた位置(回動端)にある両立ち上がり片6の先端に設けられた各挟持部9が強固に面材1をその厚み方向から挟み込むように押圧するのである。なお、軟質材Aで構成された挟持部9は、面材1の押圧時には面材1の板面1bに沿うように弾接され、面材1との間に高いすべり抵抗を付与することができる。このように、本例のパッキン4を介して縦枠12の溝3に面材1を取付けたことによると、溝3内に保持されたパッキン4にて効果的に面材1を保持することができ、面材1の枠材2への取付強度を高めることができたものである。
また、本例では図2(a)のように、縦枠12に取付ける面材1の外縁部には、その長さ方向の所定間隔毎に配設箇所Cを設定し、この配設箇所Cにスペーサ板10が被着されている。このスペーサ板10は面材1の板面1bに積層被着されるもので、スペーサ板10を介してパッキン4の立ち上がり片6にて面材1の板面1bを押圧させて面材1の枠材2への取付強度を向上させるようにしたものである。具体的に、スペーサ板10は、図7のように、ABS等の硬質樹脂材にて構成され、縦片35の端部から横片36を略垂直に突設させた断面L字状板材である。なお、横片36の外面の突出先端部には、外方に突出する引っ掛け突起37が形成されている。そして、このスペーサ板10は、図8のように、横片36の内面を面材1の外縁端面1aに、縦片35の内面を面材1の板面1bにそれぞれ沿わせ、縦片35を両面テープ41で面材1の板面1bに貼着させることで、面材1に被着される。つまり、スペーサ板10の面材1への取付けは、横片36の内面を面材1の外縁端面1aに沿わせて行うことで、縦片35を面材1の板面1bの所定位置に位置決めして沿設することができる。図8は、スペーサ板10を被着した位置での面材1の縦枠12への取付状態の断面図である。この図からもわかるように、スペーサ板10が被着された面材1を溝3内に収納保持されたパッキン4の挿入溝7に挿入した際には、引っ掛け突起37がパッキン4の山部8に引っ掛けられ、パッキン4に対するスペーサ板10の位置決めがなされて縦片35がパッキン4の底片5と挟持部9との間に配置され、縦片35を介してパッキン4の立ち上がり片6の折曲部23で面材1の板面1bが押圧されるのであり、すなわち面材1、スペーサ板10及びパッキン4の立ち上がり片6といった硬質材B間でパッキン4の面材1への押圧が強く行われ、パッキン4による面材1の保持力の向上が高められているのである。なお、スペーサ板10の縦片35はパッキン4の挟持部9よりも挿入溝7内に位置しているから、たとえ面材1が挿入溝7から抜け出ようとしても、縦片35をパッキン4の挟持部9に引っ掛けることができて、この点でもパッキン4による面材1の保持力の向上が高められているのである。
ここで、パッキン4による面材1の保持力の更なる向上のためには、スペーサ板10の縦片35を介してパッキン4の両立ち上がり片6で面材1の板面1bを挟み込むように押圧することが好ましいのであるが、面材1の板面1bに積層したスペーサ板10の縦片35は実質的に面材1の厚み寸法を大きくするものであり、面材1の表面側及び裏面側の両板面1bにスペーサ板10の縦片35を積層してしまうと、面材1のパッキン4の挿入溝7への挿入の容易性を著しく損ねてしまうものである。しかして、本例では、面材1のパッキン4の挿入溝7への挿入の容易性も確保しつつ、スペーサ板10の縦片35を介してパッキン4の両立ち上がり片6で面材1の板面1bを挟み込むように押圧させ得るように、面材1のスペーサ板10の配設箇所Cには、図9のように、面材1の表面側板面1bに縦片35を被着するスペーサ板10と、面材1の裏面側板面1bに縦片35を被着するスペーサ板10とを一組のペアにして連設配置させている。つまり、同断面で面材1の表面側及び裏面側の両板面1bにスペーサ板10の縦片35を被着させることによると、面材1の厚さが厚くなり過ぎてパッキン4の挿入溝7に面材1を挿入する際にきつくなって挿入しにくいのであるが、上述のように一対のスペーサ板10を面材1に連ねて配置し、一方のスペーサ板10の縦片35を面材1の表面側板面1bに被着すると共に、他方のスペーサ板10の縦片35を面材1の裏面側板面1bに被着したことで、同断面には一のスペーサ板10の縦片35のみ被着されているから、パッキン4の挿入溝7への面材1の挿入作業の容易な作業性が確保されているのであり、また、面材1の片側の板面1bにスペーサ板10が被着されたことでは、面材1には片側の立ち上がり片6からの押圧力のみがかかるだけで挟持による面材1の強固な保持力を得られないのであるが、上述のように面材1の表面側板面1bに被着した一方のスペーサ板10と面材1の裏面側板面1bに被着した他方のスペーサ板10とが面材1に連ねて配置されているので、両立ち上がりによる押圧を近接位置で面材1に働かせることができ、すなわち両立ち上がりによって面材1を挟み込むように押圧でき、パッキン4による面材1の保持力の向上が更に高められているのである。
図10は下枠14と面材1との取付構造を示す断面図である。なお上枠13と面材1との取付構造も同構造にされている。下枠14の内周面には詳細は省くが縦枠12と略同構造の溝3が形成されており、この溝3に面材1の外縁部が図11のパッキン40を介して挿入され、下枠14に面材1が取付けられている。図11のパッキン40は、図5のパッキン4と近似する構造を有し、詳しくは山部8を設ける代わりに底片5の中央部の挿入溝7側に板状の軟質材Aで形成した緩衝部29が積層形成されている。
このパッキン40を下枠14の溝3内に収容配置するには、施工者は自然状態で上広がりU字断面状のパッキン40の両立ち上がり片6を摘んで近接させるように弾性変形させ、その状態で底片5側から縦枠12の溝3内に挿入するようにして行われる。このパッキン40も主体部分(底片5及び立ち上がり片6)を硬質材Bで形成しているから、従来の軟質材Aのみで構成されたパッキン40に比べて自己保形性に優れており、従来のようにパッキン40を溝3内に圧入させるための挿入治具を用いなくてもよいために良好な施工性が確保されている。下枠14の溝3内にパッキン40を収容配置した状態では、パッキン40の底片5が溝3の溝底30に接地し、立ち上がり片6の弾性復帰によって縦枠12の係止壁部33が保持溝24に嵌り込むと共に、挟持部9における立ち上がり片6から挿入溝7の外方向へ突出した部位が凹段部34に嵌り込んでいる。このように立ち上がり片6の弾性復帰を利用して係止壁部33が保持溝24に嵌合していることでパッキン40が溝3内に収容保持され、パッキン40の溝3からの抜け落ちが防止されている。また、このときには挟持部9の上面が縦枠12の内周面を構成するリップ壁32と略面一にされ、パッキン40の縦枠12の溝3内への収容が収まり良く行われていると共に、パッキン40の挿入溝7の開口幅は面材1の厚み寸法と略同幅寸法にされている。
そして、図10のように、下枠14の溝3に内に収納保持されたパッキン40の挿入溝7に面材1の外縁部を挿入させることで、下枠14への面材1の取付けが行われる。パッキン40の挿入溝7に面材1の外縁部を挿入した状態では、面材1の表側及び裏面側の板面1bに対して両挟持部9がそれぞれ弾接すると共に、面材1の外縁端面1aがパッキン40の緩衝部29に対向配置または当接している。このパッキン40にあっては、山部8がないために先のパッキン40のように挟持部9が面材1を厚み方向から挟み込む様に押圧することはないが、面材1に接する部位が軟質材Aで形成された挟持部9や緩衝部29であるために、面材1が枠材2内でぐらついたときにも硬質な衝撃音の発生を抑制して面材1を軟質材Aで包み込むように下枠14に保持できるようにされているのである。
本例では、枠材2に面材1を取付ける施工として枠材2の溝3内にパッキン4を配置した後に面材1をパッキン4の挿入溝7内に挿入した例を説明したが、面材1の外縁部をパッキン4の挿入溝7に挿入して面材1にパッキン4を装着した後にこのパッキン4付きの面材1を枠材2の溝3に挿入することもできるのは言うまでもない。また、縦枠12への面材1の取付部位にのみパッキン4を用いているが、上下枠13,14への面材1の取付部位にパッキン4を用いることができるのは言うまでもない。また、実施例にある戸体11は引戸17であるが、開き戸の戸体11に対しても適用できるのは言うまでもない。また、実施例にある戸体11に限らず、ガラス板や透明樹脂板等で構成された面材1をサッシ枠に取付けてなる窓体に対しても適用できるのは言うまでもない。更には、たとえば図12のように矩形状に組んだ枠材2内に横桟38や縦桟39を架設した各種の戸体11や窓体に対しても適用できるのは言うまでもない。
本発明の実施の形態の例の面材の枠材への取付構造を示す断面図(図2(b)の要部の拡大図)である。 (a)は同上の戸体の正面図であり、(b)は(a)のD−D線断面図である。 同上の戸体における引戸としての使用形態の斜視図である。 同上の戸体における引戸としての使用形態の縦断面図である。 同上のパッキンの断面図である。 同上の枠材(縦枠)の溝内にパッキンを収容保持させた状態の断面図である。 同上のスペーサ板の断面図である。 同上のスペーサ板を被着した位置での面材の枠材への取付構造を示す断面図である。 同上の面材のスペーサ板の配設箇所付近を示し、(a)は分解斜視図であり、(b)は正面図である。 同上の下枠(上枠)と面材との取付構造を示す断面図である。 同上のパッキンの断面図である。 (a)〜(d)は各種戸体の正面図である。 背景技術の例の面材の枠材への取付構造を示す断面図である。
符号の説明
1 面材
1a 外縁端面
1b 板面
2 枠材
3 溝
4 パッキン
5 底片
6 立ち上がり片
7 挿入溝
8 山部
9 挟持部
10 スペーサ板
11 戸体
12 縦枠

Claims (1)

  1. 枠材の内周面に形成した溝内にパッキンを介して面材の外縁部を取付けてなる面材の枠材への取付構造において、上記パッキンを、底片の両端から一対の立ち上がり片をそれぞれ立設させて内部にU字状の挿入溝を形成し、底片の中央部に挿入溝内に山折りされた山部を設けると共に両立ち上がり片の先端に挿入溝側に突出する挟持部を設け、上記山部及び挟持部を形状変形容易な軟質材で形成する以外は軟質材よりも硬質の硬質材で形成し、溝の両側壁の一部に両立ち上がり片をそれぞれ保持させて溝内にパッキンを収容し、パッキンの挿入溝内に挿入した面材の外縁端面で底片の山部を押圧して溝の溝底に圧接し、この山部を中心に両立ち上がり片を挿入溝側に傾倒させて両挟持部で面材をその厚み方向から挟み込むように押圧した面材の枠材への取付構造であって、一対の断面略L字形状のスペーサ板を面材の外縁端面の長手方向に連ねて配置し、一方のスペーサ板を面材の表面側板面に積層して被着すると共に、他方のスペーサ板を面材の裏面側板面に積層して被着し、このスペーサ板を介してパッキンの立ち上がり片にて面材の板面を押圧したことを特徴とする面材の枠材への取付構造
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