JP4242003B2 - 固液分離装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固液分離装置に関し、詳しくは、小型で固液分離効率に優れた固液分離装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
水処理設備における凝集沈殿装置として、凝集剤によりフロックを形成する撹拌池及び撹拌機(フロキュレータ等)と、形成されたフロックを沈殿させる沈殿池(沈殿槽)とを組合わせたものが知られている。しかし、この装置は、撹拌機の駆動源等を必要とするとともに、撹拌池と沈殿池とを設置するスペースを必要とする。
【0003】
このようなことから、撹拌機を使用せずに撹拌作用を得ることができる凝集沈殿装置として、噴流撹拌固液分離装置が開発された。この噴流撹拌固液分離装置は、凝集剤を添加した原水を多孔板の通孔から噴出させ、噴出した水のエネルギーによって撹拌作用を得るものであり、水流中に適当数の多孔板を設置するだけで噴流撹拌を行えるので、駆動源を必要としないという利点を有している。
【0004】
さらに、多孔板の噴流撹拌によって沈降性に富んだフロックが形成されるので、フロックは、多孔板を設置した流路部分に沈殿していく。したがって、適当な流路中に、水流に対して垂直に多孔板を設置するだけでフロックの形成と沈殿とを同時に行うことができるので、設置スペースの点でも有利なものとなっている。
【0005】
本発明は、上記噴流撹拌固液分離装置を利用して分離効率を更に向上させることができる固液分離装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の固液分離装置は、凝集剤を添加した原水の流れ方向に対して垂直に多孔板を挿入し、該多孔板の通孔から噴出する水流の撹拌作用によってフロックの形成と沈殿とを行う噴流撹拌固液分離部の下流側に、上部に開口を有する第1仕切板及び下部に開口を有する第2仕切板からなる仕切部を介して、分離膜によって固液分離を行う膜分離部を連設したことを特徴とし、さらに、前記噴流撹拌固液分離部は、該噴流撹拌固液分離部の内部形状に対応した外形を有する板材の上方一側部に多数の通孔を設けた多孔板を、前記通孔の位置が互い違いになるように設置され、また、前記噴流撹拌固液分離部と前記膜分離部との間に、傾斜流路部からなる沈降促進部を設けたことを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の固液分離装置の第1形態例を示す概略断面図である。この固液分離装置は、噴流撹拌固液分離部10と、該噴流撹拌固液分離部10に仕切部20を介して連設した膜分離部30と、噴流撹拌固液分離部10と膜分離部30との間の沈降促進部40とを有しており、凝集剤が添加された原水は、スタティックミキサー(ラインミキサー)等の混合器1を経て流入部2から噴流撹拌固液分離部10に流入する。
【0008】
噴流撹拌固液分離部10は、原水の流れ方向に対して垂直に複数の多孔板11を挿入したものであって、凝集剤と混合した原水は、多孔板11の所定位置に設けられた複数の通孔12から下流側に噴出し、噴出した水のエネルギーによる撹拌作用で沈降性に富んだフロックを形成する。形成されたフロックは、槽底部に沈降して排泥弁(図示せず)から排出される。
【0009】
噴流撹拌固液分離部10から仕切部20の下部開口21を通過し、沈降促進部40を上昇して膜分離部30に流入した原水は、不織布,精密ろ過膜,限外ろ過膜等の平膜状の分離膜や、微細な目のスクリーンを利用した浸漬式の分離膜31によって最終的な固液分離が行われ、水中の微細なフロックが分離膜31に捕捉され、分離膜31を透過した処理水が流出部3から流出する。
【0010】
このように、噴流撹拌固液分離部10でフロックの形成を行うとともに、形成したフロックの大部分を沈降分離させ、最終的な固液分離を膜分離部30で行うように形成することにより、一つの処理槽で効果的な固液分離を行うことができる。さらに、噴流撹拌固液分離部10と膜分離部30とを仕切部20を介して連設したので、噴流撹拌固液分離部10で処理した水をポンプ等で膜分離部30に圧送する場合に比べて、原水中に残ったフロックが再び混合されることがなく、膜分離部30で処理する原水中のフロック量を少なくすることができるため、分離膜31の負荷を大幅に軽減して処理性能を向上させることができる。
【0011】
図2乃至図5は、本発明の固液分離装置の第2形態例を示すもので、図2は断面正面図、図3は平面図、図4は膜分離部の断面側面図、図5は噴流撹拌固液分離部の断面側面図である。
【0012】
この固液分離装置は、複数の多孔板11を設置した噴流撹拌固液分離部10と、上部に開口22を有する第1仕切板23及び下部に開口24を有する第2仕切板25からなる仕切部20と、浸漬式の分離膜31を設置した膜分離部30と、この膜分離部30の下方に設けられた沈降促進部40とにより形成されている。
【0013】
噴流撹拌固液分離部10に設けられる多孔板11は、図5に示すように、噴流撹拌固液分離部10の内部形状に対応した外形を有する板材の上方一側部に多数の通孔12を設けたものであって、噴流撹拌固液分離部10においては、通孔12の位置が互い違いになるように設置されている。
【0014】
したがって、混合器1で凝集剤と混合し、流入部2から噴流撹拌固液分離部10に流入した原水は、各多孔板11の通孔12を順次通過することにより、図3に示すような蛇行流を形成して流れ、通孔12を通過して噴出する水のエネルギーで撹拌されることによってフロックが形成される。形成されたフロックは、各多孔板11の間の槽底部にそれぞれ沈降し、図5に示すようにして設けられている排泥弁13から適宜排出される。
【0015】
噴流撹拌固液分離部10でフロックの形成と沈降分離とが行われた原水は、第1仕切板23の上部開口22を溢流して両仕切板23,25間を下降し、第2仕切板25の下部開口24から流出し、沈降促進部40の下方に流入する。このとき、第1仕切板23の上部開口22を溢流させることにより、噴流撹拌固液分離部10から沈降促進部40に流れる原水中のフロックを噴流撹拌固液分離部10の最終段で沈降させることができ、下流側に流れるフロック量を少なくすることができる。
【0016】
沈降促進部40は、多数の管体あるいは板材を所定角度で設置したものであって、原水中に残存するフロックの沈降を促進する作用を有している。したがって、この沈降促進部40の傾斜流路部分を上昇する間に、原水中に残存するフロックの沈降が促進され、ほとんどのフロックが原水から分離して槽底部41に沈降沈殿し、排泥弁42から適宜排出される。
【0017】
沈降促進部40を上昇することによってほとんどのフロックを分離した原水は、さらに膜分離部30の分離膜31で固液分離処理されることにより、清浄な処理水となって流出部3から流出する。
【0018】
このように、膜分離部30の下方(上流側)に沈降促進部40を設けることにより、膜分離部30で処理する原水中のフロック残存量を減少させることができ、分離膜31の負荷を大幅に軽減することができるので、処理性能が向上するだけでなく、分離膜31の洗浄等に要するコストも低減することができる。
【0019】
また、本形態例では、膜分離部30及び沈降促進部40を設置する部分を噴流撹拌固液分離部10よりも下方に延出しているので、膜分離部30及び沈降促進部40のスペースを十分にとることができる。これにより、分離膜31の面積を十分に大きくできるとともに、沈降促進部40の流路長も十分に長くすることができるので、膜分離部30及び沈降促進部40における処理性能を向上させることができる。また、沈降促進部40の外殻43を、沈降促進部40の外形状に合わせた傾斜状態で形成したので、沈降促進部40近傍のデッドスペースを小さくすることができる。
【0020】
なお、原水への凝集剤の添加混合は、任意の機器で行うことができる。例えば、原水を圧送して固液分離装置に流入させる場合は、圧送用ポンプをブースターポンプとし、ここで凝集剤の添加混合を行うようにしてもよい。
【0021】
また、噴流撹拌固液分離部10における多孔板11の設置数や設置間隔、通孔12の形状、設置数等は、原水の状態に応じて適宜に設定することができる。同様に、沈降促進部40の構造も原水やフロックの状態に応じて適宜に設定することができる。さらに、膜分離部30には、膜洗浄等を行うための機器、例えば散気管等を設置しておくこともできる。また、分離膜31の洗浄は、原水の流入を停止させてそのままの状態で行うようにしてもよく、別の洗浄槽に取出して行うようにしてもよい。
【0022】
さらに、噴流撹拌固液分離部10、沈降促進部40及び膜分離部30を、適宜な仕切部や配管を介して同一レベルに並列に設けてもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の固液分離装置によれば、簡単な構成の小型の装置で効果的な固液分離を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の固液分離装置の第1形態例を示す概略断面図である。
【図2】 本発明の固液分離装置の第2形態例を示す断面正面図である。
【図3】 同じく平面図である。
【図4】 同じく膜分離部の断面側面図である。
【図5】 同じく噴流撹拌固液分離部の断面側面図である。
【符号の説明】
1…混合器、2…流入部、3…流出部、10…噴流撹拌固液分離部、11…多孔板、12…通孔、13…排泥弁、20…仕切部、21…下部開口、22…上部開口、23…第1仕切板、24…下部開口、25…第2仕切板、30…膜分離部、31…分離膜、40…沈降促進部、41…槽底部、42…排泥弁、43…外殻

Claims (3)

  1. 凝集剤を添加した原水の流れ方向に対して垂直に多孔板を挿入し、該多孔板の通孔から噴出する水流の撹拌作用によってフロックの形成と沈殿とを行う噴流撹拌固液分離部の下流側に、上部に開口を有する第1仕切板及び下部に開口を有する第2仕切板からなる仕切部を介して、分離膜によって固液分離を行う膜分離部を連設したことを特徴とする固液分離装置。
  2. 前記噴流撹拌固液分離部は、該噴流撹拌固液分離部の内部形状に対応した外形を有する板材の上方一側部に多数の通孔を設けた多孔板を、前記通孔の位置が互い違いになるように設置されていることを特徴とする請求項1記載の固液分離装置。
  3. 前記噴流撹拌固液分離部と前記膜分離部との間に、傾斜流路部からなる沈降促進部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の固液分離装置。
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