JP5106723B2 - 有機性廃水の処理装置および処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に都市下水を処理するのに好適な、有機性廃水の処理装置および処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
微生物を利用して生物学的酸素要求成分(BOD成分)を除去する廃水処理においては、従来から、標準活性汚泥法、ステップエアレーション法、オキシデーションディッチ法などの浮遊生物法や、回転生物接触法、散水ろ床法などの固着生物法、その他、浮遊物を担体に保持させる方法などが知られている。
【0003】
そして、近年では、活性汚泥や担体などを投入した水槽内に、中空糸膜や平膜をモジュール化した分離膜モジュールを処理水内に浸漬するように設け、微生物によりBOD成分を除去するとともに、分離膜によって懸濁成分(SS成分)をろ過分離し、清澄な処理水を提供する方法も提案されている。この方法によると、水槽内の微生物濃度を高く保持して微生物処理効率を高めることができるうえに、SS成分および水槽内の微生物をほぼ完全に除去できるという利点がある。
【0004】
しかしながら、一方で、有機性廃水をこの方法で処理すると、水槽内のSS成分が急増して分離膜表面に固着したり、中空糸膜モジュールの場合には糸束内に詰まったり、また、フミン質の様な溶解性有機物が分離膜に形成されている細孔を閉塞する。そのため、分離膜のろ過抵抗が急上昇するもしくはろ過水量が減少し、運転継続が困難になり運転・管理が煩雑になる。特に、都市下水のような有機性廃水を処理する場合、一日の水質変動や水量変動が大きいため、安定した処理を行うための運転条件の管理が容易でない。
【0005】
そこで、分離膜へのSS成分負荷を低減するために、有機性廃水を沈殿槽においてSS成分を沈降分離した後に分離膜を設けた水槽に供給するとともに、分離膜を設けた水槽内の水を沈殿槽に還流させる方法が特開平6−285496号公報に開示されているが、この方法では、沈殿槽に広大な面積を要するうえに沈殿槽での処理時間が長くなり、さらに、分離膜の膜面および細孔を目詰まりさせるフミン質のような溶解性有機物は、沈殿では十分な除去が困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、被処理水である有機性廃水の水質や水量の変動に関わらず、分離膜の膜面や細孔への汚れ成分の付着、目詰まりを防止できる有機性廃水の処理装置および処理方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、有機性廃水、凝集剤、pH調整剤を混合する混合装置と、噴流撹拌式のフロック形成装置と、フロックを分離する上向流交互傾斜管式の沈殿池とを備えた凝集沈殿手段の後段に、細孔径が10nm〜10μmの範囲にある分離膜を備えた分離膜モジュールと、散気装置と、微生物担体とを収容した水槽を設けた有機性廃水の処理装置を特徴とするものである。
【0008】
ここで、微生物担体は、比重が0.90〜1.10の円筒であり、その円筒は、直径が5〜20mm、長さが5〜20mmの範囲にあり、かつ、外周面には高さが0.5〜5mmのひだを備え、内部には内部空間を複数個に分ける隔壁を備えているものであることが好ましい。さらに、水槽の容積の60〜65(V/V)%未満の微生物担体が収容されていることが好ましい。
【0009】
また、本発明は、凝集剤およびpH調整剤を混合した有機性廃水を噴流撹拌式のフロック形成装置によって噴流として上向流交互傾斜管式の沈殿池に供給し、その後、その上澄み水を、細孔径が10nm〜10μmの範囲にある分離膜を備えた分離膜モジュールと、散気装置と、微生物担体とを収容した水槽に供給し、微生物で生物処理するとともに膜濾過する有機性廃水の処理方法を特徴とするものである。
【0010】
このとき、有機性廃水として都市下水を処理することが好ましい。
【0011】
さらに、上記いずれかの有機性廃水の処理装置、または、上記いずれかの処理方法を用いる造水方法も好適である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の有機性廃水処理装置は、たとえば図1に示すように、有機性廃水、凝集剤、pH調整剤を混合する混合装置1と、噴流撹拌式のフロック形成装置2と、フロックを分離する上向流交互傾斜管式の沈殿池3とを備えた凝集沈殿手段の後段に、細孔径が10nm〜10μmの範囲にある分離膜15を備えた分離膜モジュール13、散気装置11および微生物担体12を水槽4に収容した膜分離手段21を設けてなる。
【0013】
混合装置1は、パドル式、プロペラ式、タービン式などの攪拌機8と、有機性廃水を所定のpHに調整するためのpH調整剤貯槽7および凝集剤を貯えた凝集剤貯槽6を有しており、有機性廃水にpH調整剤と凝集剤とを添加して混合攪拌し、有機性廃水中の不純物質をマイクロフロック化する。
【0014】
pH調整剤として、有機性廃水を酸性にするためには硫酸、塩酸などを用いることができ、中でも安価なことから硫酸がこのましい。また、有機性廃水をアルカリにするためには、消石灰、ソーダ灰、苛性ソーダ、炭酸カルシウムなどを用いることができる。
【0015】
凝集剤としては、使いやすく沈降性のよいフロックを形成することができる、ポリ塩化アルミニウムや硫酸アルミニウム等のアルミニウム系凝集剤が好ましく、また、鉄系の凝集剤も沈降性のよいフロックを形成し、フロックが沈降することによって発生する汚泥の脱水性が良いことから好ましく用いられる。これらの凝集剤は、pH6〜8の範囲でフミン質および濁度物質を好適に沈降・沈殿させることができる。
【0016】
そして、この混合装置1の後段に設けられた噴流攪拌式のフロック形成装置2は、水槽に、直径5〜30mmの範囲の多数の円形孔または幅2〜15mm、長さ10〜200cmの範囲の矩形孔を配列した多孔板9を多段に設け、マイクロフロックを含む有機性廃水がこれらの円形孔や矩形孔を通過するように構成されている。
【0017】
一般に、フロック形成装置としては、水流による攪拌を用いる左右迂流型、上下迂流型、パイプ式、噴流攪拌式などのフロック形成装置と、機械的攪拌を行うボルテックス型、直角流式パドル型、軸流式パドル型などのフロック形成装置があるが、水流による攪拌を用いた左右迂流型、上下迂流型、パイプ式、噴流攪拌式のフロック形成装置は、フロック形成のため動力を必要としない。そして、この中でも噴流攪拌式のフロック形成装置は、処理水の滞留時間を短くすることができ、また、装置の容積をコンパクトにできる。したがって、本発明においては噴流攪拌式のフロック形成装置を用いる。
【0018】
噴流攪拌式フロック形成装置においては、有機性廃水が円形孔や矩形孔を通過することで、水が水平方向に噴流として流れるようになり、その際、局所的にマイクロフロックの密度が高くなり、マイクロフロックが粗大フロック化する。すなわち、この噴流攪拌式のフロック形成装置は、無動力のフロッキュレーターとなる。なお、マイクロフロックとは、寸法が数十μm程度の微粒子で沈殿除去不能なフロックのことであり、粗大化したフロックは寸法が数百μm程度の粒子で沈殿除去可能なフロックのことである。
【0019】
上向流交互傾斜管式の沈殿池3は、フロック形成装置2にて粗大化したフロックを沈降分離するためのもので、沈殿池内に、長手方向に対する垂直断面が50mm程度の矩形状の管が鉛直方向に対して30度程度1列ごと交互に傾斜して取り付けられて構成されている。沈殿池3としては、単層式、2階層、3階層の多階層式、中間取出式、傾斜板式などの横流式沈殿池や、傾斜管式などの上向流式沈殿池、さらには、高速凝集沈殿池など様々な方式のものがあるが、本発明においては、上向流交互傾斜管式の沈殿池を採用する。なお、沈殿池3そのものの形状としては、長方形、円形などいかなる形状であってもよい。
【0020】
本発明においては、上向流交互傾斜管式の沈殿池3を上述の噴流攪拌式フロック形成装置2と組み合わせて使用することにより、フロックを効率良く沈降分離することができる。すなわち、噴流攪拌式フロック形成装置により、局所的にマイクロフロックの密度が高くなりマイクロフロックが粗大フロック化した有機性廃水は、密度流として上向流交互傾斜管式の沈殿池3の下方に流れ込む。そして、上向流交互傾斜管式の沈殿池3では、傾斜管のために有機性廃水の流れが水平方向の噴流から上向流に変わり、フロックは重力により沈殿池3の底部に、水は上方へと移動するので、精密かつ効率良く分離することができる。したがって、被処理水の水質が急激に変化する場合にも、処理後の水の水質変動が小さく、安定した水質の凝集沈殿後水を得ることができる。また、凝集沈殿手段での滞留時間を短くでき、さらに、コンパクトな凝集沈殿手段にまとめることができる。
【0021】
膜分離手段21は、フロックを沈降分離した被処理水を貯える水槽4と、その水槽4に貯えられた被処理水に酸素を供給する散気装置11と、被処理水中のBOD成分を除去するための微生物を保持させた微生物担体12と、有機物が除去された被処理水中に残存するSS成分をろ過分離する分離膜モジュール13などから構成される。
【0022】
散気装置11としては、ディフューザ式、インジェクタ式等がある。ディフューザ式は、セラミックや合成樹脂などの散気管、散気板、散気膜を使用する。インジェクタ式は、ポンプやプロペラ、羽根車により水を吸い込み、吐出し、そのエネルギーにより供給空気を微細気泡化して、吐出水とともに槽内に空気を供給する。このような散気装置11により、被処理水への散気量がたとえば5〜30L/分の範囲内になるように曝気して、微生物に酸素を供給するとともに被処理水を流動・攪拌する。
【0023】
微生物担体12としては、水槽4内において曝気によって流動しやすいように、比重が0.90〜1.10の範囲にあるものとすることが好ましく、特に、水とともに流動しやすいように比重が0.95〜1.05の範囲にあるものがより好ましい。また、その材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなどのプラスティック類が挙げられるが、いずれを用いてもよい。さらに、この微生物担体12の形状としては、球形、立方体、直方体、柱体などの中実や中空の様々なものを用いることができるが、表面積が広く、かつ付着した微生物が剥離しにくいものが好ましい。特に、図2に示すような、直径が5〜20mm、好ましくは10〜15mmで、長さが5〜20mm、好ましくは10〜15mmの範囲にある円筒で、円筒40の外周部に高さが0.5〜5mm、好ましくは1〜2mmの範囲にあるひだ41を設けることや、円筒の内部を複数個に分ける隔壁42を設けたものは、円筒の内部に広い表面積を有することによって微生物を多量に保持することができ、保持した微生物が担体同士の接触によっても剥離しにくいので好ましい。
【0024】
そして、水槽4内に投入する微生物担体12の量は、水槽4の容積から分離膜モジュール13、散気装置11の容積を除いた水槽4の実質容積に対し、70容積%を超えると、担体が曝気槽内に充填されてしまい、担体を流動させることができなくなることから、担体の投入量が70容積%未満が好ましい。担体保持微生物量が最大にでき、担体を流動せしめることができることから、担体投入量は60〜65容積%の範囲が好ましい。
【0025】
分離膜モジュール13としては、中空糸膜や管状膜のモジュールや、平膜をプレートアンドフレーム式またはスパイラル式にモジュール化したもの、回転円板上に平膜を設置した回転円板式の平膜モジュールなどを用いることができる。中でも、装置単位容積あたりの有効膜面積が大きい中空糸膜を用いた中空糸膜モジュールや、分離膜表面の洗浄性が高いプレートアンドフレーム式または回転円板式の平膜モジュールが好ましい。
【0026】
そして、分離膜15としては、低コスト・大量処理のために、単位膜面積あたりの造水量が多い細孔径が10nm〜10μmの範囲内のいわゆる精密ろ過膜(MF膜)または限外ろ過膜(UF膜)を用いる。MF膜は、造水量が多く得られるうえに小さいろ過圧力によって操業ができるので好ましく、UF膜は、高品質の処理水が得られるので好ましく、目的により適宜に選択されればよい。
【0027】
なお、本発明における分離膜15の細孔径(Rp:m)は、膜透過速度(Jv:m3/(m2・s))および透過膜による圧力差(ΔP:Pa)から(1)式により膜の透水性(Lp:m3/(m2・s・Pa))を求め、算出した膜の透水性を用いて(2)式から導く。ただし、H:膜含水率、L:膜の厚さ(m)、η:水の粘度(Pa・s)とする。
【0028】
Jv=Lp・ΔP (1)
Lp=(H/L)・Rp2/(8η) (2)
また、分離膜15の素材としては、ポリアクリロニトリル、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンスルフィドスルフォン、ポリフッ化ビニリデン、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレンなどや、セラミック等の無機素材を挙げることができる。中でも親水性素材のポリアクリロニトリル、酢酸セルロースは、汚れにくく洗浄回復性が高いため好ましい。また、分離膜の薬液洗浄の際に各種薬剤を使用する有機性廃水処理において、ポリフッ化ビニリデンは比較的耐品性が高いため好ましい。
【0029】
そして、本発明の膜分離においては、一定量の処理水が得られる定量ろ過でも、運転操作が容易である定圧ろ過でもよい。このとき、ポンプを使用せずに水位差を利用してろ過すると、圧力もほぼ一定に保つことができ、エネルギーコストも抑えられて有利である。
【0030】
続いて、上記の装置を用いて都市下水などの有機性廃水を処理する方法について説明する。
【0031】
まず、混合装置1に供給された有機性廃水に凝集剤貯槽6から凝集剤を、また、pH調整剤貯槽7からpH調整剤を添加して、攪拌機8を作動させて混合攪拌して有機性廃水中の不純物質をマイクロフロック化する。
【0032】
次いで、マイクロフロックを含む有機性廃水は、フロック形成装置2に送水され、多段に配列した多孔板の孔を通過することで、水が水平方向に噴流として流れるようになり、その際、局所的にマイクロフロックの密度が高くなり、マイクロフロックが粗大フロック化する。その後、マイクロフロックが粗大フロック化した有機性廃水は、密度流として上向流交互傾斜管式の沈殿池3の下方に流れ込み、傾斜管により有機性廃水の流れが水平方向の噴流から上向流に変わり、フロックが重力により沈殿池3の底部に、水が上方へと移動する。これにより、フロックと水とを精密かつ効率良く分離することができる。
【0033】
その後、沈殿池3の上澄み水が水槽4に供給され、微生物担体12に担持されている微生物によりBOD成分が除去されるとともに、分離膜モジュール13およびポンプ16によってSS成分が濾過され、清澄な水として系外に排出される。このとき、散気装置14により曝気して微生物に酸素を供給するとともに被処理水を流動・攪拌し、分離膜の膜面に濾過物が付着しないようにする。
【0034】
このようにして造水された清澄水は、水洗便所用水、親水用水、修景用水、散水用水、農業用水、工業用水として使用される。なお、親水用水は、人が触れることが前提であって噴水、水遊びなどに使用するもので、修景用水は、人が触れないことを前提して、公園、池、水量の少ない川などに放流して、修景・環境維持に利用するものである。散水用水は、運動施設、公園、植樹の散水、潅漑に利用し、寒冷地では融雪用水としても利用できる。
【0035】
【実施例】
<実施例1>
北海道札幌市の都市下水の最初沈殿池流出水を、図1に示すフローの凝集沈殿手段20における滞留時間が1時間となるように供給し、膜分離手段21の水槽4における滞留時間が2時間となるようにして廃水処理を行った。
【0036】
凝集剤としては、ポリ塩化アルミニウムを10ppm添加し、pH調整剤としては、塩酸溶液および水酸化ナトリウム溶液を用い、被処理水がpH7.0になるように調整した。pHの調整は、混合装置1内に設置した市販のpHセンサーとpHコントローラーを用いて、塩酸溶液および水酸化ナトリウム溶液の送液ポンプの流量を制御することによって行った。
【0037】
上向流交互傾斜管式の沈殿池3でフロックを沈降分離した後の上澄水について、濁度(度)、溶解性有機炭素(DOC,mg/l)、波長260nmの紫外部吸光度(E260,1/cm)を測定した結果を表1に示す。DOCおよびE260は、膜面の汚れや膜細孔の目詰まりの原因となる有機物量と相関がある指標である。
【0038】
散気装置11による散気量は20L/分とした。
【0039】
微生物担体12としては、直径が10mm、長さが5mmのポリエチレン製円筒を形成し、この円筒の外周面には高さ1mmのひだを、また、円筒の内部を4つに分ける隔壁を設けた比重0.95のものを用いた。投入量は、水槽の実質容積の65容積%であった。
【0040】
分離膜モジュール13としては、細孔径が0.01μmのポリアクリロニトリル系中空糸限外ろ過膜を束ねた膜面積12m2のモジュール1本をポンプ16に接続し、中空糸膜の外側から内側へと濾液を吸引することによって清澄な濾過水を得るようにした。また、分離膜モジュール13での濾過は、膜ろ過流速が0.2m/dになるように定流量ろ過運転とし、60分に1回膜濾過水による逆圧洗浄を行った。
【0041】
この結果、約1500時間経過後も分離膜モジュールで必要となるろ過圧力は小さく、安定して運転が行えた。ろ過圧力(kPa、at 20℃)の経時変化は図3中に示すとおりであった。また、ろ過水の濁度(度)、溶解性有機炭素(DOC,mg/l)、波長260nmの紫外部吸光度(E260,1/cm)を測定した結果は表1に示す。膜濾過水の濁度の期間中平均値は0.00度で濁質は良好に除去されており、DOCの期間中平均値は4.60mg/l、除去率は71%、E260の期間中平均値は0.059cm-1、除去率52%で、処理水質も良好であった。
<比較例1>
図1に示す装置において被処理水を膜分離手段21に直接供給した以外は実施例1と同様に廃水処理を行った。水質測定の結果を表1に示す。水槽4に供給される処理水の水質は、運転期間中のある半日の濁度の経時変化が図4に示すとおり、変動が非常に大きく、また、全体的に水質が実施例に比べて非常に悪かったために、膜表面や膜細孔の目詰まりが発生して、図3に示すように約500時間でろ過圧力が60kPaに達し、薬液洗浄時期に到達した。さらに得られたろ過水の水質も、濁度を除くと実施例に比べて悪かった。
<比較例2>
水槽4内に微生物担体12を投入しなかったこと以外は、実施例1と全く同様に廃水処理を行った。水質測定の結果を表1に示す。水槽4内の中空糸膜に汚れ物質が固着したうえに、中空糸膜の糸束の間に汚れ物質が詰まってしまったために、図3に示すように約600時間でろ過圧力が60kPaに達し、薬液洗浄時期に到達した。得られた膜ろ過水の水質も、濁度を除くと実施例に比べて悪かった。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
本発明は、有機性廃水、凝集剤、pH調整剤を混合する混合装置と、噴流撹拌式のフロック形成装置と、フロックを分離する上向流交互傾斜管式の沈殿池とをこの順序で備えた凝集沈殿手段の後段に、細孔径が10nm〜10μmの範囲にある分離膜を備えた分離膜モジュールと、散気装置と、微生物担体とを収容した水槽を設けた装置において、有機性廃水に凝集剤およびpH調整剤を混合し、その後、その有機性廃水を噴流撹拌式のフロック形成装置によって噴流として上向流交互傾斜管式の沈殿池に供給して形成されたフロックを沈降分離し、上澄み水を微生物で生物処理するとともに膜濾過するので、被処理水である有機性廃水の水質や水量の変動に関わらず、分離膜の膜面や細孔への汚れ成分の付着、目詰まりを防止しつつ廃水処理を行うことができ、安定した水質の水を造水することができる。また、その結果、分離膜の寿命が延び、造水コストや廃棄物を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の有機性廃水処理装置のフロー図である。
【図2】 本発明で用いる微生物を保持させるための担体の形状である。
【図3】 実施例、比較例2のろ過圧力の推移を示したグラフである。
【図4】 比較例1の最初沈殿池流出水濁度の推移を示したグラフである。
【符号の説明】
1:混合装置(急速攪拌槽)
2:フロック形成装置(噴流撹拌装置)
3:沈殿池
4:水槽
5:原水供給配管
6:凝集剤貯槽
7:pH調整剤貯槽
8:攪拌機
9:多孔板
10:上向流交互傾斜管
11:散気装置
12:微生物担体
13:分離膜モジュール
14:エアーコンプレッサー
15:分離膜
16:ポンプ
17:処理水導出配管
20:凝集沈殿手段
21:膜分離手段
40:円筒
41:ひだ
42:隔壁
Claims (6)
- 有機性廃水、凝集剤、pH調整剤を混合する混合装置と、噴流撹拌式のフロック形成装置と、フロックを分離する上向流交互傾斜管式の沈殿池とをこの順序で備えた凝集沈殿手段の後段に、細孔径が10nm〜10μmの範囲にある分離膜を備えた分離膜モジュールと、散気装置と、微生物担体とを収容した水槽を設けたことを特徴とする有機性廃水の処理装置。
- 微生物担体は、比重が0.90〜1.10の円筒であり、その円筒は、直径が5〜20mm、長さが5〜20mmの範囲にあり、かつ、外周面には高さが0.5〜5mmのひだを備え、内部には内部空間を複数個に分ける隔壁を備えている、請求項1に記載の有機性廃水の処理装置。
- 微生物担体は、水槽の実質容積の60〜65容積%の範囲で収容されている、請求項1または2のいずれかに記載の有機性廃水の処理装置。
- 凝集剤およびpH調整剤を混合した有機性廃水を噴流撹拌式のフロック形成装置によって噴流として上向流交互傾斜管式の沈殿池に供給し、その後、その上澄み水を、細孔径が10nm〜10μmの範囲にある分離膜を備えた分離膜モジュールと、散気装置と、微生物担体とを収容した水槽に投入し、微生物で生物処理するとともに膜濾過することを特徴とする有機性廃水の処理方法。
- 有機性廃水として都市下水を処理する、請求項4に記載の有機性廃水の処理方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の有機性廃水の処理装置、または、請求項4もしくは請求項5に記載の処理方法を用いることを特徴とする造水方法。
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