JP4241495B2 - 導電性高分子の製造方法と製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子部品、固体電解コンデンサ等に有用な導電性高分子の製造方法と製造装置に関するものである。
従来技術の一例として、導電性高分子が用いられている電子部品特に固体電解コンデンサについて説明する。近年、固体電解コンデンサが使用される電子機器では、集積回路の高周波化、大電流化が著しい。これに伴い、等価直列抵抗(equivalent series resistance;以下「ESR」と略す)が低く、容量が大きく、かつ損失の小さい固体電解コンデンサが求められている。固体電解コンデンサについて、固体電解コンデンサの内部電極(即ちコンデンサ素子)の従来の製造方法を例示する。まず、陽極導体となる弁金属(valve metal;例えばタンタル金属)をリン酸などの電解質溶液中で陽極酸化し、その表面に酸化膜層(誘電体層)を形成する。次に、この酸化膜層の表面に固体電解質を形成する。固体電解質としては、例えば、陽極導体を硝酸マンガン溶液に浸漬し、引き上げ、さらに焼成することにより形成できる二酸化マンガンが知られている。最後に、固体電解質上に陰極導体を形成する。陰極導体としては、例えばカーボン層と外装銀導電性樹脂層との積層体が用いられる。コンデンサ素子には、外部への電気的接続のために、陽極導体に陽極リード端子が、陰極導体に陰極リード端子がそれぞれ接続される。
ESRには、上記各部材がそれぞれ有する抵抗が影響を及ぼし得るが、抵抗について最も考慮すべき余地があるのは固体電解質である。固体電解質の抵抗を引き下げるために、二酸化マンガン(導電率0.1S/cm程度)よりも導電率が高い導電性高分子材料を用いることが提案され、実用化されている。例えばポリピロールを用いれば、100S/cm程度の導電率を実現できる。導電性高分子材料を構成するための単量体(モノマー)としては、ピロールの他、アニリン、チオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェンなどが知られている。導電性高分子層の形成方法は、化学酸化重合と電解酸化重合とに大別できる。
ESRには層間の接触抵抗も影響を及ぼす。本出願人による下記特許文献1では、導電性高分子層に導電性ポリマー微粒子を混在させ、この微粒子によって形成された凹凸により導電性高分子層と陰極導体との接触抵抗を低下させることが開示されている。この公報に記載の方法では、導電性ポリマー微粒子を分散させた重合溶液を用いた化学酸化重合により、導電性高分子層が形成される。
コンデンサの大容量化のために、導電性高分子層を粒子状に形成することも提案されている。下記特許文献2では、酸化剤に対するモノマーの混合モル比を1以上とした重合溶液を用いた化学酸化重合により、粒径0.2μm以下の粒子状のポリピロールを形成することが開示されている。導電性高分子層の粒径を抑制すれば、この層の剥離が抑制され、誘電体層が潜在的に有する容量を引き出しやすくなる。
下記特許文献3では、化成皮膜を形成した陽極部材を備えるコンデンサ素子に化学重合法により導電性ポリマー層を形成するに当たっての好適な条件を解明し、小型、大容量、低ESRで生産性にも優れた固体電解コンデンサを提供する目的で、酸化重合により導電性ポリマーとなるモノマーと酸化剤とを含む溶液に浸漬した後、温度が約30℃〜約50℃で湿度が約60%以上の空気中に放置することにより、前記化成皮膜上に導電性ポリマー層を形成する工程を備えることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法が開示されている。
特開2000−232036号公報 特開平8−45790号公報 特開平10−64761号公報
以上のように、導電性高分子層を固体電解質とする固体電解コンデンサについては、多数の検討が進められてきた。しかし、固体電解コンデンサにおける低いESRと大容量との両立、さらには低い損失の実現、漏れ電流の低減は未だ十分に達成されていない。
本発明は前記従来の問題を解決するため、固体電解コンデンサにおける低いESRと大きい容量との両立、さらには低い損失の実現、低い漏れ電流が可能な導電性高分子の製造方法と製造装置及び導電性高分子を用いた電子部品並びに固体電解コンデンサの製造方法を提供する。
本発明の導電性高分子の製造方法は、少なくともモノマーと酸化剤とを反応させ、導電性高分子を得る化学重合法において、前記モノマーと酸化剤の反応を少なくとも過飽和水蒸気雰囲気の重合槽中で行うことを特徴とする。
本発明の導電性高分子の製造装置は、少なくともモノマーと酸化剤とを重合槽中で重合するための製造装置であって、前記過飽和水蒸気雰囲気の重合槽には、少なくとも前記重合槽にドライエアーと熱交換器により発生された水蒸気とを前記重合槽に送気する装置を含み、前記モノマーと酸化剤の反応を少なくとも過飽和水蒸気雰囲気の重合槽中で行うことを特徴とする。
本発明によれば、少なくともモノマーと酸化剤とを反応させ、導電性高分子を得る化学重合法において、モノマーと酸化剤の反応が少なくとも過飽和水蒸気雰囲気の重合槽中で行われる工程を含むことにより、基材側の重合速度とそれと反対面の気相側との重合速度をほぼ等しくし、また密度をほぼ等しくし、基材、特にガラス、セラミックと密着性が良く、低抵抗の導電性高分子膜とその製造方法と、導電性高分子膜のそりが小さく平坦なため、基材からの剥離が少ない導電性高分子が提供される。また、水蒸気を過飽和とすることで酸素濃度(酸素分圧)を低減でき、導電性高分子の酸素劣化を低減でき低抵抗の導電性高分子を提供できる。それにより低いESRと大きい容量との両立に適した固体電解コンデンサとその製造方法、さらには導電性高分子を用いた電子部品とその製造方法が提供できる。
本発明は、少なくともモノマーと酸化剤とを反応させ、導電性高分子を得る化学重合法において、前記モノマーと酸化剤の反応が少なくとも過飽和水蒸気雰囲気の重合槽中で行う工程を含む。また、過飽和水蒸気雰囲気の水蒸気濃度は5体積%以上であることが望ましい。溶媒の気化速度の低減と被重合体の温度上昇の両立を計るためである。水蒸気濃度が5体積%未満と低い場合は、両立させることは困難となる傾向にある。
過飽和水蒸気雰囲気の温度は85℃以上であることが望ましい。温度を高くすることで、重合反応が速くなり、重合膜の収率アップと重合時間の短時間化を計ることができる。
モノマーと酸化剤の反応を過飽和水蒸気雰囲気の重合槽中で行う前に、予め85℃未満の温度で予備重合してもよい。予備重合することにより、毛管現象により細孔部に重合液が浸透し、反応することで、重合膜を細孔内部に充填できる利点がある。
また、過飽和水蒸気雰囲気の酸素濃度は21体積%未満であることが望ましい。これにより、繰り返し重合を行うにあたり、前段で形成した重合膜の酸化劣化を防止することができる。
また、モノマーがピロール、チオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、アニリンとそれらの誘導体のうち少なくとも1つ以上であり、酸化剤が酸化マンガン、鉄(III)塩、銅(II)塩、過酸化水素、過硫酸塩のうち少なくとも1つ以上であり、モノマーと前記酸化剤が少なくとも水溶性の溶媒もしくは水に溶解していることが望ましい。これにより、水蒸気が被重合体に付着したときに親和性が高くなり、膜状の重合体が得られやすい。
また、本発明により得られた前記導電性高分子層を側面から観察したとき、基体からの剥離距離dと、長さLとの比率d/Lが、0以上0.02以下の範囲であることが好ましい。これにより、導電性高分子膜のそりが小さく平坦なため、基材からの剥離が少ない導電性高分子が提供できる。
また、本発明は、過飽和水蒸気雰囲気の重合槽の設備が、少なくとも重合槽にドライエアーと熱交換器により発生された水蒸気とを重合槽に送気する装置を有する。また、熱交換器により発生された水蒸気の温度がドライエアーの温度より高いことが望ましい。重合槽内での水蒸気濃度バラツキを低減するためである。このとき熱交換器により発生した水蒸気の温度がドライエアーの温度より高いと、熱容量の大きな水蒸気が被重合体に接触するので、被重合体温度を早く上げることができる。
また、本発明は、上記の方法により形成され得られた導電性高分子膜が平坦な導電性高分子を用いた電子部品、特に固体電解コンデンサを提供する。また、導電性高分子膜の表裏密度がほぼ等しい導電性高分子膜を用いたの電子部品、特に固体電解コンデンサを提供する。さらに、固体電解コンデンサの陽極導体は微細孔を数多く有する多孔体に導電性高分子が充填されやすくするため、モノマーと酸化剤の反応を60℃以下(水蒸気量は限定せず、乾燥雰囲気でも良い)で行う工程と85℃以上の過飽和水蒸気雰囲気の重合槽中で行われる工程を含む固体電解コンデンサの製造方法を提供する。
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照してさらに説明する。
図3に示すように、コンデンサ素子は、一般に、陽極導体1上に、誘電体層2、固体電解質3、陰極導体4がこの順に積層された構造を有している。陰極導体4は、カーボン層5と外装銀導電性樹脂層6とからなる2層構造としてもよい。陽極導体1は、弁作用を有する金属の板、箔もしくは線と弁作用を有する金属の微粒子からなる焼結体、または例えばエッチングにより拡面処理を施した金属箔によって形成される。弁金属には、タンタル、アルミニウム、チタン、ニオブ、ジルコニウムまたはこれら金属の合金、好ましくはタンタル、アルミニウムおよびニオブから選ばれる少なくとも1種、を用いればよく、例えばタンタル粉末とニオブ箔または線を用いたコンデンサとしてもよい。
誘電体層2は、陽極導体1の表面を電解酸化させた酸化膜であり、焼結体やエッチング箔などの空孔部にも形成される。酸化膜の厚みは電解酸化の電圧により調整できる。
固体電解質3には、少なくとも導電性高分子層が含まれている。導電性高分子層は、例えばポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン、特にピロール、チオフェンおよび3,4−エチレンジオキシチオフェンおよびこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種の重合体、を含むことが好ましい。導電性高分子層は、ピロールなどのモノマーと、アルキルナフタレンスルホン酸などのドーパントと、二酸化マンガン、硫酸鉄(III)、硫酸銅(II)、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素水などの酸化剤とを用いる化学酸化重合により形成できる。化学酸化重合とともに、詳細は後述する電解酸化重合により形成してもよい。
なお、固体電解質3には、例えば酸化ルテニウムなどの酸化物導電体、TCNQ錯体(7,7,8,8−テトラシアノキノジメタンコンプレックス塩)などの有機物半導体が含まれていてもよい。
陰極導体4は、例えば、カーボン層5と外装銀導電性樹脂層6とからなる積層体とするとよい。カーボン層5は、導電性粒子としてカーボン粒子を含み、このカーボン粒子により、導電性樹脂層6に含まれる銀粉と固体電解質層3との電気的接続が密に保たれる。
図3では省略したが、コンデンサ素子は、陽極導体1に陽極リード端子が、陰極導体4に陰極リード端子がそれぞれ接続され、さらに、例えばエポキシ樹脂である外装樹脂内に封止され、固体電解コンデンサとなる。
以下、図4を参照して、電解酸化重合について説明する。
図4は、電解酸化重合における重合電極の各種配置例を示す。この図に示されているとおり、電解酸化重合は、膜を形成する対象となる膜形成母体(予め導電性を付与された陽極導体1)、重合用陽極(陽電極)7および重合用陰極(陰電極)8を重合溶液9に浸漬して行う。陽極7および陰極8は電源12に接続されている。通常、陽極7は、膜形成母体1の近傍に固定される。このとき、陽極7および陰極8は、図4に示すように、これら電極7、8の間に膜形成母体の少なくとも一部が介在するように配置することが好ましい。
本発明によれば、固体電解コンデンサにおける低いESRと大きい容量との両立、さらには低い損失の実現、低漏れ電流が容易となる。
以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
ガラス基板上に化学酸化重合における水蒸気濃度の相違による導電性高分子膜の性状を確認した。そのときの断面模式図を図1に示す。
ガラス基板11を洗浄、乾燥した後、導電性高分子10を形成した。導電性高分子としてポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンを形成した。まず、重合溶液は、3,4−エチレンジオキシチオフェン2g、アルキルナフタレンスルホン酸鉄(III)40重量%のエタノール溶液を44g、水20gを混合して調製した。この重合溶液をガラス基板上に塗布し、室温で5分乾燥後、150℃で20分間、水蒸気量70体積%(図1Aに示す)、乾燥雰囲気0体積%(図1Bに示す)の条件雰囲気で重合させた。引き続き、エタノールでの洗浄、85℃の0.5%クエン酸水溶液中での洗浄、90℃の温水シャワー洗浄を行い、ガラス基板より導電性高分子膜を強制的に剥離させ、105℃で10分間乾燥した。その光学顕微鏡写真を図2A及びBに示す。図2Aに水蒸気量70体積%、図2Bに乾燥雰囲気、すなわち水蒸気量0体積%の場合(横河電機社製の湿度センサで検出限界以下)を示す。
重合槽の過飽和水蒸気雰囲気は、図9に示す模式図のようにドライエアーと熱交換器により水を蒸気化させた水蒸気とを重合槽に導入して得た。このとき熱交換器により発生された水蒸気の温度がドライエアーの温度より高いほうが熱容量の大きな水蒸気が被重合体に接触することで、被重合体温度を早く上げることができる。さらに、図10に示すように予めドライエアーと水蒸気とを混合した後、重合槽に導入してもよい。重合槽内での水蒸気濃度バラツキを低減するためである。このとき熱交換器により発生した水蒸気の温度がドライエアーの温度より高いと、熱容量の大きな水蒸気が被重合体に接触するので、被重合体温度を早く上げることができる。
図1、図2から明らかなように、過飽和水蒸気雰囲気で重合を行うことにより、基材であるガラス基板基材側の重合速度とそれと反対面の気相側との重合速度をほぼ等しくし、また密度をほぼ等しいために、ガラスと密着性が良く、導電性高分子膜のそりが小さく平坦なため、基材からの剥離が少ない導電性高分子が提供され、導電性高分子を用いた電子部品に応用可能である。
(実施例2)
弁作用を有するタンタル金属の比表面積が100000μF・V/gである微粉末を、0.3mm×3.0mm×3.8mmに成形し、陽極引き出し用タンタルワイヤーリードを備えた形で真空焼結し、焼結体ペレットからなる陽極導体を作製した。次に、この陽極導体を90℃の5重量%リン酸水溶液中で印加電圧7.5Vの条件で化成することにより、陽極導体の表面に誘電体層として酸化タンタル膜を形成した。
陽極導体を洗浄、乾燥した後、固体電解質を形成した。ここでは、導電性高分子としてポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンを形成した。まず、誘電体層に導電性を付与するために、化学酸化重合を行った。重合溶液は、3,4−エチレンジオキシチオフェン1.8g、アルキルナフタレンスルホン酸鉄(III)40重量%のエタノール溶液を44g、水30gを混合して調製した。この重合溶液に陽極導体を浸漬させ、40℃の大気中で10分重合させ、その後水蒸気濃度70体積%、40体積%、10体積%、5体積%、0体積%の5種、温度85℃、105℃、155℃、205℃の4種の組み合わせで重合させる作業を6回繰り返することにより化学酸化重合を行った。引き続き、再化成電圧7.5Vで濃度約0.1%の酢酸溶液中で再化成し、誘電体層を修復した。さらに、陽極導体を約90℃の純水中で洗浄し、約120℃の大気中で乾燥させた。図5A−Cに155℃、水分率:0体積%(比較例)、図6A−Bに155℃、水分率:70体積%の素子の平面と断面の模式図を示す。過飽和水蒸気中である155℃、70体積%では導電性高分子膜の剥離は観察されなかった。こうして、電解酸化重合の膜形成母体として、誘電体層および化学酸化重合による導電性高分子膜が形成された陽極導体を得た。
電解酸化重合のための電極の配置は、図4に示したとおりとした。陽極として線径200μmのニッケル線を、膜形成母体の近傍に固定し、これを、陰極とともに重合溶液に浸漬した。重合溶液は、40重量%アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム水溶液100g、3,4−エチレンジオキシチオフェン10g、水500g、所定量の硫酸を混合して調製した。ここで、硫酸は、pHが所定値7となるように添加した。
電解酸化重合は、印加電圧2.5Vで行った。重合時間は、膜形成母体表層の導電性高分子層の厚みがいずれも20μm程度となるように調整した。
引き続き、導電性高分子層を形成した陽極導体を、カーボン微粒子を含有する水性サスペンション液に浸漬し、130℃の大気中で30分放置し、サスペンション液を乾燥・固化させた。こうして、導電性高分子層上にカーボン層を形成した。さらに、銀ペイント液中に浸漬して室温で1時間放置し、引き上げて145℃の大気中で1時間放置し、銀ペイント液を乾燥・固化させた。こうして、カーボン層上に外装銀導電性樹脂層を形成した。
さらに、カーボン層と外装銀導電性樹脂層とからなる陰極導体に陰極リード端子を銀導電性接着剤で接続し、陽極導体から引き出されたタンタルワイヤーを陽極リード端子に溶接した。最後に、コンデンサ素子をエポキシ樹脂で外装して、固体電解コンデンサを完成させた。
こうして得た各固体電解コンデンサについて、周波数120Hzおよび100kHzにおける静電容量と、周波数100kHzにおけるESRとを測定した。さらに、各固体電解コンデンサに電圧2.5Vを印加し、30秒後の電流を測定して漏れ電流とした。結果を図7A−B、図8A−Bに示す。図7A−Bでは、サンプル数20個についての平均値をそれぞれ示す。
図7A−B、図8A−Bに示したとおり、過飽和水蒸気雰囲気で重合させることにより大容量、低ESR、低漏れ電流の電解コンデンサが得られていることがわかる。また、酸素濃度(酸素分圧)を低減でき、導電性高分子の酸素劣化を低減でき低抵抗の導電性高分子を得たことと、膜剥離が小さい導電性高分子を得たことにより低いESRと大きい容量との両立に適した固体電解コンデンサが得られている。
また、研磨により本実施例と比較例で得られたコンデンサの断面を出した後、1mol/リットルの過塩素酸水溶液中で超音波照射することで、第1の導電性高分子層(化学重合層)と第2の導電性高分子層(電解酸化重合層)との界面を出し、顕微鏡観察したところ、第1の導電性高分子層10の断面の陽極導体からの剥離距離dと、断面の陽極導体方向の長さLとの比率d/L(図5C)は、本実施例でほぼ0.02以下、比較例では0.03以上であった。
(実施例3)
弁作用を有するタンタル金属の比表面積が100000μF・V/gである微粉末を、0.3mm×3.0mm×3.8mmに成形し、陽極引き出し用タンタルワイヤーリードを備えた形で真空焼結し、焼結体ペレットからなる陽極導体を作製した。次に、この陽極導体を90℃の5重量%リン酸水溶液中で印加電圧7.5Vの条件で化成することにより、陽極導体の表面に誘電体層として酸化タンタル膜を形成した。
陽極導体を洗浄、乾燥した後、固体電解質を形成した。ここでは、導電性高分子としてポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンを形成した。まず、誘電体層に導電性を付与するために、化学酸化重合を行った。重合溶液は、3,4−エチレンジオキシチオフェン1.8g、アルキルナフタレンスルホン酸鉄(III)40重量%のエタノール溶液を44g、水30gを混合して調製した。この重合溶液に陽極導体を浸漬させ、60℃の大気中で10分重合させ、その後水蒸気濃度70体積%(試料1作製条件)、0体積%(試料2作製条件)の2種、温度155℃で重合させ、引き続き、再化成電圧6Vで濃度約0.1%の酢酸溶液中で再化成し、誘電体層を修復する作業を20回繰り返することにより化学酸化重合を行い、固体電解コンデンサ(試料1、試料2)を作製した。
引き続き、導電性高分子層を形成した陽極導体を、カーボン微粒子を含有する水性サスペンション液に浸漬し、130℃の大気中で30分放置し、サスペンション液を乾燥・固化させた。こうして、導電性高分子層上にカーボン層を形成した。さらに、銀ペイント液中に浸漬して室温で1時間放置し、引き上げて145℃の大気中で1時間放置し、銀ペイント液を乾燥・固化させた。こうして、カーボン層上に外装銀導電性樹脂層を形成した。
さらに、カーボン層と外装銀導電性樹脂層とからなる陰極導体に陰極リード端子を銀導電性接着剤で接続し、陽極導体から引き出されたタンタルワイヤーを陽極リード端子に溶接した。最後に、コンデンサ素子をエポキシ樹脂で外装して、固体電解コンデンサを完成させた。
こうして得た各固体電解コンデンサについて、周波数120Hzおよび100kHzにおける静電容量と、周波数100kHzにおけるESRとを測定した。さらに、各固体電解コンデンサに電圧2.5Vを印加し、30秒後の電流を測定して漏れ電流とした。結果を表1に示す。表1では、上段にサンプル数20個について最小値と最大値、下段に平均値をそれぞれ示す。
Figure 0004241495
表1に示したとおり、過飽和水蒸気雰囲気で重合させることにより大容量、低ESR、低漏れ電流の電解コンデンサが得られていることがわかる。また、酸素濃度(酸素分圧)を低減でき、導電性高分子の酸素劣化を低減でき低抵抗の導電性高分子を得たことと、膜剥離が小さい導電性高分子を得たことにより低いESRと大きい容量との両立に適した固体電解コンデンサが得られている。実施例2と同様の結果が得られ、過飽和水蒸気中での重合が幅広く適用できることがわかる。
本発明のさらに好ましい要旨を下記に列記する。
1.本文に記載するいずれかの方法により得られた導電性高分子膜であって、平坦な導電性高分子膜を用いたことを特徴とする電子部品。
2.前記導電性高分子膜の表裏密度がほぼ等しい前記第1項に記載の電子部品。
3.前記電子部品が、弁金属からなる陽極導体と、前記陽極導体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の表面に形成され少なくとも導電性高分子層を含む固体電解質とを含む固体電解コンデンサである前記第1項または第2項に記載の電子部品。
4.弁金属からなる陽極導体と、前記陽極導体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の表面に形成され少なくとも導電性高分子層を含む固体電解質とを含む固体電解コンデンサの製造方法において、前記陽極導体は、モノマーと酸化剤の反応を60℃以下で行う工程と85℃以上の過飽和水蒸気雰囲気の重合槽中で行われる工程により製造されることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
Aは本発明の実施例1におけるガラス基板上に形成した導電性高分子膜の一例を示す断面図、Bは比較例の導電性高分子膜を示す断面図である。 Aは本発明の実施例1におけるガラス基板上に形成した導電性高分子膜の光学顕微鏡写真の一例であり、Bは比較例の導電性高分子膜の光学顕微鏡写真である。 本発明による電解コンデンサの断面の一例を示す図である。 本発明の方法の実施に用いる重合用電極の配置の一例を示す図である。 Aは比較例の乾燥雰囲気中で重合させた重合膜の付着状態を説明する平面図、Bは同断面図、Cは同第1の導電性高分子層の断面の陽極導体からの剥離距離dと、断面の陽極導体方向の長さLとの比率d/Lを示す説明図である。 Aは本発明の実施例2における過飽和水蒸気中で重合させた重合膜の付着状態を説明する平面図、Bは同断面図である。 Aは本発明の実施例2における周波数120Hzの静電容量と水蒸気濃度及び重合温度の関係を示す図、Bは同100kHzにおける静電容量と水蒸気濃度及び重合温度の関係を示す図である。 Aは本発明の実施例2の周波数100kHzにおけるESRを測定した図、Bは同、各固体電解コンデンサに電圧2.5Vを印加し、30秒後の漏れ電流を測定した図である。 本発明の方法の実施に用いる導電性高分子の製造装置の一例を示す模式図である。 本発明の方法の実施に用いる導電性高分子の製造装置の一例を示す模式図である。
符号の説明
1 陽極導体
2 誘電体層
3 固体電解質
4 陰極導体
5 カーボン層
6 外装銀導電性樹脂層
7 重合用陽極(陽電極)
8 重合用陰極(陰電極)
9 重合溶液
10 導電性高分子膜
11 ガラス基板

Claims (11)

  1. 少なくともモノマーと酸化剤とを反応させ、導電性高分子を得る化学重合法において、前記モノマーと酸化剤の反応を少なくとも過飽和水蒸気雰囲気の重合槽中で行うことを特徴とする導電性高分子の製造方法。
  2. 前記過飽和水蒸気雰囲気の水蒸気濃度が、5体積%以上である請求項1に記載の導電性高分子の製造方法。
  3. 前記過飽和水蒸気雰囲気の温度が、85℃以上である請求項1に記載の導電性高分子の製造方法。
  4. モノマーと酸化剤の反応を過飽和水蒸気雰囲気の重合槽中で行う前に、予め85℃未満の温度で予備重合する請求項1に記載の導電性高分子の製造方法。
  5. 前記過飽和水蒸気雰囲気の酸素濃度が21体積%未満である請求項1に記載の導電性高分子の製造方法。
  6. 前記モノマーがピロール、チオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、アニリン及びそれらの誘導体から選ばれる少なくとも1つである請求項1に記載の導電性高分子の製造方法。
  7. 前記酸化剤が酸化マンガン、鉄(III)塩、銅(II)塩、過酸化水素及び過硫酸塩から選ばれる少なくとも1つである請求項1に記載の導電性高分子の製造方法。
  8. 前記モノマーと前記酸化剤が少なくとも水溶性の溶媒もしくは水に溶解している請求項1に記載の導電性高分子の製造方法。
  9. 前記導電性高分子層を側面から観察したとき、基体からの剥離距離dと、長さLとの比率d/Lが、0.02以下である請求項1に記載の導電性高分子の製造方法。
  10. 少なくともモノマーと酸化剤とを重合槽中で重合するための製造装置であって、
    前記過飽和水蒸気雰囲気の重合槽には、少なくとも前記重合槽にドライエアーと熱交換器により発生された水蒸気とを前記重合槽に送気する装置を含み、
    前記モノマーと酸化剤の反応を少なくとも過飽和水蒸気雰囲気の重合槽中で行うことを特徴とする導電性高分子の製造装置。
  11. 前記熱交換器により発生された水蒸気の温度が前記ドライエアーの温度より高い請求項10に記載の導電性高分子の製造装置。

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