JP4240940B2 - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置として知られているプラズマディスプレイパネルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータやテレビなどの画像表示に用いられているカラー表示デバイスにおいて、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPという。)は、大型で薄型軽量を実現することのできるカラー表示デバイスとして注目されている。
【0003】
PDPは、いわゆる3原色(赤、緑、青)を加法混色することにより、フルカラー表示を行っている。このフルカラー表示を行うために、PDPには3原色である赤(R)、緑(G)、青(B)の各色を発光する蛍光体層が備えられており、PDP内部での放電により発生する中心波長147nmの真空紫外線によりこの蛍光体層が励起され、各色の可視光が生成される。
【0004】
そして、真空紫外線による各色の蛍光体層の励起を分離し、発光時の不要な混色を防止するために、各色の蛍光体層は隔壁によって区分されている。
【0005】
ここで、上記のような隔壁は、表示画像の画素の区分に対応することから高形状精度および高位置精度が要求される。そこで、隔壁の製造方法としては、隔壁の材料を、感光性バインダー、低融点ガラス粉末、酸化物フィラー粉末などで構成される感光性ペーストとし、塗布した感光性ペーストを隔壁のパターンに紫外線で露光した後、現像することで隔壁を形成する、いわゆるフォトリソグラフィー法が適している。
【0006】
しかしながら、上述のような感光性ペーストを用いた場合、感光性ペーストに含まれる粉末材料によって露光時の紫外線に散乱、反射などが発生してしまうことから露光パターンの精度が低下し、隔壁を精度良く形成することが困難になるという課題がある。特にこれは、隔壁が高精細且つ高アスペクト比となる、HD−TV仕様のPDPの隔壁を形成するような場合に顕著となる。
【0007】
そこで、従来はそのような紫外線の散乱、反射を防止する目的で、感光性ペースト中の低融点ガラス粉末や酸化物フィラー粉末に紫外線吸収特性を持つ有機染料を数%添加するということが行われる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような対策により、紫外線の散乱、反射は防止され、露光パターンの精度は向上するが、対策のために添加された有機染料の存在により、形成される隔壁には着色が生じる。
【0009】
そして、この着色のために、隔壁の可視光に対する反射率が低下してしまい、蛍光体層の隔壁側面からの反射光が減少する結果、パネルの輝度が従来の印刷法による隔壁と比較して低くなってしまうという課題が発生していた。
【0010】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、高精度、且つ可視光に対する高反射率を備える隔壁を有し、良好な画像表示を行えるプラズマディスプレイパネルを実現することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、背面ガラス基板上に、アドレス電極を形成する工程と、このアドレス電極の上に誘電体層を形成する工程と、さらにこの誘電体層の上に隔壁を形成する工程と、を備えるプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、隔壁を形成する工程が、低級酸化物を含有する感光性ペーストを隔壁の高さの厚みに塗布する工程と、その後、この隔壁の高さの厚みに塗布した観光性ペーストを、隔壁の配設ピッチに紫外線で露光・現像することで隔壁の形状を得る工程と、その後、これを焼成する工程と、を備えるものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明の請求項1に記載の発明は、背面ガラス基板上に、アドレス電極を形成する工程と、このアドレス電極の上に誘電体層を形成する工程と、さらにこの誘電体層の上に隔壁を形成する工程と、を備えるプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、隔壁を形成する工程が、低級酸化物を含有する感光性ペーストを隔壁の高さの厚みに塗布する工程と、その後、この隔壁の高さの厚みに塗布した観光性ペーストを、隔壁の配設ピッチに紫外線で露光・現像することで隔壁の形状を得る工程と、その後、これを焼成する工程と、を備えるプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
【0016】
ここで、低級酸化物とは、酸化物において、金属と酸素の割合が、酸素の方が化学量論より少ない方にずれた酸化物を指すものであり、酸素欠陥を有することから、常温では黒色あるいは褐色を呈するものである。
【0017】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、低級酸化物を含有する感光性ペーストが、ガラス粉末及び無機フィラー粉末を低級酸化物でコーティングした粉末を含む材料であるというものである。
【0018】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、低級酸化物が、Ti、Al、Mo、Si、Snの低級酸化物の中から選ばれる少なくとも一つであるというものである。
【0019】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の発明において、低級酸化物が、TiO 2-x (0.5≦x≦1)、Al 2 O 3-x (0.5≦x≦1)、MoO 3-x (0.5≦x≦1)、SiO 2-x (0.5≦x≦1)、SnO 2-x (0.5≦x≦1)の中から選ばれる少なくとも一つであるというものである。
【0025】
以下、本発明の一実施の形態によるPDPの製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、PDPにおける前面ガラス基板を取り除いた概略平面図であり、図2は、PDPの画像表示領域について一部を断面で示す斜視図である。なお、図1においては表示電極群、表示スキャン電極群、アドレス電極群の本数などについては、分かり易くするため一部省略して図示している。
【0027】
図1に示すように、PDP100は、前面ガラス基板101(図示せず)と、背面ガラス基板102と、N本の表示電極103と、N本の表示スキャン電極104と、M本のアドレス電極107、および斜線で示す気密シール層121とからなり、各電極103,104,107による3電極構造の電極マトリックスを有しており、表示電極103および表示スキャン電極104とアドレス電極107との交点にセルが形成されている。そしてセルが集合して画像表示領域123が形成される。
【0028】
図2に示すように、前面ガラス基板101は、基板面の一方に、表示電極103、表示スキャン電極104、誘電体層105、保護層106を備え、前面板を構成する。表示電極103および表示スキャン電極104は、交互且つ平行に並んでストライプ状に配設されている。誘電体層105は、鉛ガラス等からなる層である。保護層106は、MgO等からなる層である。
【0029】
背面ガラス基板102は、基板面の一方に、アドレス電極107、誘電体層108、隔壁109、および蛍光体層110R、110G、110Bを備え、背面板を構成する。アドレス電極107は平行にストライプ状に配設されている。誘電体層108は、例えば、酸化チタン(TiO2)を含む誘電体ガラスからなる層であって、アドレス電極107を被覆するように形成されており、誘電体としての機能と、各蛍光体層110R、110G、110Bで発生する可視光を反射する機能とを併せ持つ。隔壁109は、低級酸化物を含む感光性ペーストを用いて形成したものであり、アドレス電極107と平行に配設されている。この隔壁109の間の凹部および隔壁109の側壁には、各蛍光体層110R、110G、110Bがそれぞれ形成されている。蛍光体層110R、110G、110Bは、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)を発光する蛍光体粒子が結着した層である。
【0030】
ここで、各蛍光体層110R、110G、110Bの、アドレス電極107上での厚みは、各蛍光体層を構成する蛍光体粒子の平均粒径の8〜20倍程度であることが望ましい。これは、蛍光体層に一定の紫外線を照射した時の輝度(発光効率)を確保するために、蛍光体層は、放電空間において発生した紫外線を透過させることなく吸収するために蛍光体粒子が最低でも8層、好ましくは10層程度積層された厚みを保持することが望ましく、それ以上の厚みとなれば背面蛍光体層の発光効率はほとんど飽和してしまうとともに、20層程度積層された厚みを超えると放電空間122の大きさを十分に確保できなくなるからである。
【0031】
そしてPDP100は、上述の前面板と背面板とが、隔壁109を介して張り合わされ、その間に形成される放電空間122内に放電ガス(例えば、ヘリウムやネオンとキセノンの混合ガス)が封入された構成となっている。そして、図3に示すPDP駆動装置に接続することによりプラズマディスプレイ装置が構成される。
【0032】
プラズマディスプレイ装置は、図3に示すように、PDP100に表示ドライバ回路153、表示スキャンドライバ回路154、アドレスドライバ回路155を有しており、コントローラ152の制御に従い点灯させようとするセルにおいて表示スキャン電極104とアドレス電極107に電圧を印加することによりその間でアドレス放電を行い、その後、表示電極103、表示スキャン電極104間にパルス電圧を印加して維持放電を行う。この維持放電により、当該セルにおいて紫外線が発生し、この紫外線により励起された蛍光体層が発光することでセルが点灯するもので、各色セルの点灯、非点灯の組み合わせによって画像が表示される。
【0033】
次に、上述したPDP100について、その製造方法を図1および図2を参照しながら説明する。
【0034】
前面板は、前面ガラス基板101上にまず、各N本の表示電極103および表示スキャン電極104(図2においては各2本のみ表示している。)を交互かつ平行にストライプ状に形成した後、その上に誘電体層105で被覆し、さらにその表面に保護層106を形成することによって作製する。
【0035】
表示電極103および表示スキャン電極104は、例えばITOからなる透明電極と銀からなるバス電極とから構成される電極である。透明電極は、例えば前面ガラス基板101の全面に透明電極を形成した後、フォトリソグラフィー法などによりパターニングすることで形成する。またバス電極は、例えば透明電極上にスクリーン印刷やフォトグラフィー法などによってストライプ状に形成し、その後、焼成することによって形成する。
【0036】
誘電体層105は、鉛系あるいは亜鉛系のガラス材料を含むペーストをスクリーン印刷で塗布した後、所定温度、所定時間(例えば、560℃で20分)焼成することによって、所定の層の厚み(25μm)となるように形成する。上記鉛系あるいは、亜鉛系のガラスとしては、例えば、鉛系では、PbO(70wt%)、B2O3(15wt%)、SiO2(10wt%)、およびAl2O3(5wt%)などのガラスが、亜鉛系ではZnO(37wt%)、B2O3(34wt%)、SiO2(15wt%)、Al2O3(6wt%)、K2O(6wt%)、MnO2(2wt%)などのガラスが用いられ、いずれも有機バインダー(α―ターピネオールに10%のエチルセルローズを溶解したもの)と混合して使用する。ここで、有機バインダーとは樹脂を有機溶媒に溶解したものであり、エチルセルローズ以外に樹脂としてアクリル樹脂、有機溶媒としてブチルカービトールなども使用することができる。さらに、こうした有機バインダーに分散剤(例えば、グリセルトリオレート)を混入させても良い。
【0037】
保護層106は、酸化マグネシウム(MgO)からなるものであり、例えばスパッタリング法やCVD(化学蒸着法)によって層が所定の厚み(約0.5μm)となるように形成する。
【0038】
一方、背面板は、まず背面ガラス基板102上に、電極用の感光性銀ペーストをスクリーン印刷法やフォトリソグラフィー法によってパターニング状に形成した後、焼成することによって、M本のアドレス電極107が列設された状態に形成する。そしてその上に鉛系あるいは亜鉛系のガラス材料および酸化チタン(TiO2)を含むペーストをスクリーン印刷法で塗布して誘電体層108を形成する。
【0039】
そしてさらにこの上に、低級酸化物を含有する感光性ペーストを用いて、フォトリソグラフィー法によって隔壁109を形成する。
【0040】
この隔壁109により、放電空間122は、ライン方向にセル(単位発光領域)毎に区画される。
【0041】
この感光性ペーストの製法およびこれを用いた隔壁109の形成方法については、後述する。
【0042】
次に、この隔壁109と隔壁109の間に、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各蛍光体粒子と有機バインダーとからなるペースト状の蛍光体インキを塗布する。その後、これを400℃〜600℃の温度で空気中焼成して有機バインダーを焼失させることによって、各蛍光体粒子が結着してなる蛍光体層110R、110G、110Bを形成する。
【0043】
この各蛍光体粒子としては、水熱合成法等により得られた蛍光体粒子のように、その粒径が十分小さく、かつ球状のものを用いるのであれば、球状でない粒子を用いる場合に比べ、積層段数が同じ場合であっても蛍光体層の充填度が高まるとともに、蛍光体粒子の総表面積も増加するため、紫外線により励起される蛍光体層における蛍光体粒子の表面積が増加することとなり、さらに発光効率が高まるため、好ましい。
【0044】
このようにして作製された前面板と背面板は、前面板の各電極と背面板のアドレス電極とが直交するように重ね合わされるとともに、パネル周縁に封着用ガラスを配置し、これを例えば450℃程度で10〜20分間焼成して気密シール層121を形成することにより封着される。そして、一旦、放電空間122内を高真空(例えば、1.1×10-4Pa)に排気したのち、放電ガス(例えば、He−Xe系、Ne−Xe系の不活性ガス)を所定の圧力で封入することによってPDP100が作製される。
【0045】
上述においては、隔壁109の形成に際しては、低級酸化物を含む感光性ペースト、もしくは、ガラス粉末および無機フィラー粉末を低級酸化物でコーティングした粉末を含む感光性ペーストを用いていることから、高形状精度、高位置精度の隔壁109を得ることが可能となる。これは、低級酸化物は、それ自身が有する酸素欠陥により常温で黒色を呈するため紫外線吸収特性を有し、露光の際の紫外線は、ガラス粉末および無機フィラー粉末によって反射されたり散乱されたりすることがなくなり、パターニング精度が向上するためである。さらに、このようにして得られた隔壁に対して、最終工程として空気中での焼成を行うと、低級酸化物は酸化されて、すなわち酸素欠陥がなくなり本来の化学量論の酸化物に戻ることから白色を呈するようになる。そのため、隔壁の、可視光に対する反射率が向上し、パネル輝度を向上させることが可能となる。
【0046】
次に、感光性ペースト、およびその製法、およびこれを用いた隔壁109の形成方法について詳細に述べる。
【0047】
まず、感光性ペーストは、感光性化合物を含む有機成分、低融点ガラス粉末、及び、低級酸化物、無機フィラー、溶剤などからなるものである。
【0048】
そして、有機成分は、感光性ポリマー、感光性モノマー、バインダー、光重合開始剤、増感剤、安定化剤、有機溶媒などからなる。無機成分は、低級酸化物、低融点ガラス粉末、無機フィラーなどからなる。
【0049】
ここで、感光性ポリマーとしては、例えばメタアクリル酸、メチルメタアクリルレート、及びスチレンから成る重合体のカルボキシル基に対してグリシジルメタアクリレートを付加反応させたポリマーが用いられる。また、感光性モノマーとしては、例えばトリメチルアクリルレート、エチルアクリルレート、ビスフェノールAアクリルレートの内のいずれか一種が用いられる。また、光重合開始剤としては、例えば2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパンが用いられる。また、増感剤としては、例えば2、4−ジエチルチオキサントンが用いられる。また、安定化剤としては、例えばベンゾトリアゾールが用いられる。
【0050】
また、無機成分の低級酸化物としては、例えば平均粒径0.02μm〜10μm、好ましくは0.2μm〜2μmの、TiO2-x(0.5≦x≦1)、SnO2-x(0.5≦x≦1)、Al2O3-x(0.5≦x≦1)、MoO3-x(0.5≦x≦1)、SiO2-x(0.5≦x≦1)などの中から選ばれる少なくとも一つが用いられる。また、低融点ガラス粉末としては、例えば平均粒径0.2μm〜10μm、好ましくは0.2μm〜2μmの、ガラス軟化点が350℃〜590℃、熱膨張係数が70〜85×10-7/℃の、Bi2O3−B2O3−SiO2系ガラス、あるいはZnO−B2O3−SiO2−R2O系ガラスが用いられる。また、無機フィラーとしては、例えば平均粒径0.2μm〜10μm、好ましくは0.2μm〜2μmのTiO2、Al2O3が用いられる。
【0051】
以上の感光性有機成分である感光性ポリマー、感光性モノマー、光重合開始剤、増感剤、安定化剤、及び無機成分である黒色低級酸化物、低融点ガラス紛末、無機フィラーの配合比は、有機成分が20%〜40%、無機成分が80%〜60%の割合とし、それぞれを配合したものに溶剤(ガンマブチロラクトン、ブチルセルソルブ)を加え、3本ロールやプラネテタリーミキサーなどで混合することにより感光性ペーストを作製する。
【0052】
次に、この感光性ペーストを用いた隔壁109の形成方法の一例について説明する。
【0053】
まず、背面ガラス基板102上の誘電体層108上に、上述した感光性ペーストを印刷法などで隔壁109の高さの厚みで塗布した後、乾燥させ、その後、隔壁109の配設ピッチにフォトマスクを用いて紫外線での露光を行う。その後、アルカリ現像液(モノエタノールアミン、水酸化ナトリウム)にて現像を行った後、水洗で光硬化していない部分を除去することで、隔壁109の形状を得る。そしてこれを空気中500℃〜600℃の温度で60分焼成することで隔壁109の形成が完了する。
【0054】
以下に、本発明のプラズマディスプレイ装置の性能を評価するために、上記実施の形態に基づくサンプルを作製し、そのサンプルについて性能評価実験を行った実験結果を示す。
【0055】
ここで、実験のために作製したPDPは42インチであり、隔壁109の高さは0.1mm、隔壁109と隔壁109との間隔は0.15mmのものである(HD−TV仕様)。放電ガスの組成としては、キセノンガス(5%)とネオン(95%)の混合ガスを使用し、封入圧力は66500Paである。
【0056】
また、本発明の効果を確認するためとして、サンプル1〜10のPDPを作製し、そして比較のためとして、従来構成でサンプル11、12のPDPを作製した。
【0057】
サンプル1〜10のPDPは、背面板の隔壁109が、感光性有機成分(感光性モノマー、感光性ポリマー、光重合開始剤、増感剤、安定化剤、)のそれぞれの量は一定(8部、15部、3部、3部、1部)であり、無機成分である低級酸化物、低融点ガラス、無機フィラーの種類と量とが異なるものである。
【0058】
また、サンプル11、12は、従来構成であり、露光時の紫外線の散乱を抑えるために着色染料を用いたものである。それ以外のペースト材料や隔壁などの条件は、サンプル1〜10と同様である。
【0059】
これらのサンプルの作製条件を表1にまとめて示す。
【0060】
【表1】
【0061】
以下に、実験内容について述べる。
【0062】
(実験1)
先ず、焼成した隔壁を隔壁上から分光色差計(日本電色工業株式会社製NF777)を用いて隔壁の色差(L、a*、b*:但し、L、a*、b*の値は、色差表示方式JIS Z 8730による)、および可視光の反射率を測定した。ここで隔壁の白さは、Lの値が高く(最高100)、a*、b*の値が0であれば、見た目に非常に白く可視光の反射率が高いと言える。
【0063】
(実験2)
サンプルNo.1〜12の初期の輝度を、各色の輝度利用率が100%となるように白表示を行い測定した。そして、これらのPDPの輝度(全白表示時の輝度)を輝度計を用いて測定した。
【0064】
以上の実験の結果を、表1に示したサンプルの作製条件と共に表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
表2からわかるように,本実施の形態に係る背面板に用いられた感光性ペーストを用いて作製した隔壁は、従来の感光性ペーストを用いて作製した隔壁と比較して白色度が高いため可視光の反射率が高く、したがって隔壁内で発生した蛍光体の可視光を前面板側により多く放出できることにより、輝度が高い。
【0067】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、高精度、且つ可視光に対する高反射率を備える隔壁を有し、良好な画像表示を行えるプラズマディスプレイパネルを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの前面ガラス基板を除いた平面図
【図2】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの画像表示領域の構造を示す一部断面斜視図
【図3】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルを用いたプラズマディスプレイ装置のブロック図
【符号の説明】
100 PDP
101 前面ガラス基板
102 背面ガラス基板
103 表示電極
104 表示スキャン電極
105 誘電体層
106 保護層
107 アドレス電極
108 誘電体層
109 隔壁
110R、110G、110B 背面蛍光体層
121 気密シール層
122 放電空間
Claims (4)
- 背面ガラス基板上に、アドレス電極を形成する工程と、このアドレス電極の上に誘電体層を形成する工程と、さらにこの誘電体層の上に隔壁を形成する工程と、を備えるプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
隔壁を形成する工程が、低級酸化物を含有する感光性ペーストを隔壁の高さの厚みに塗布する工程と、その後、この隔壁の高さの厚みに塗布した観光性ペーストを、隔壁の配設ピッチに紫外線で露光・現像することで隔壁の形状を得る工程と、その後、これを焼成する工程と、を備えるプラズマディスプレイパネルの製造方法。 - 低級酸化物を含有する感光性ペーストが、ガラス粉末及び無機フィラー粉末を低級酸化物でコーティングした粉末を含む材料である請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
- 低級酸化物が、Ti、Al、Mo、Si、Snの低級酸化物の中から選ばれる少なくとも一つである請求項1または2に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
- 低級酸化物が、TiO2-x(0.5≦x≦1)、Al2O3-x(0.5≦x≦1)、MoO3-x(0.5≦x≦1)、SiO2-x(0.5≦x≦1)、SnO2-x(0.5≦x≦1)の中から選ばれる少なくとも一つである請求項1から3のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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