JP4055505B2 - プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置として知られているプラズマディスプレイパネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータやテレビなどの画像表示に用いられているカラー表示デバイスにおいて、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPという。)は、大型で薄型軽量を実現することのできるカラー表示デバイスとして注目されている。
【0003】
図6は、従来のPDPの概略構造の一部を示す断面図である。
【0004】
前面基板101は、表示電極102と、表示スキャン電極103と、誘電体層104と、保護層105とを備え、前面板を構成する。
【0005】
表示電極102および表示スキャン電極103は、ともにITOと銀からなる電極であり、前面基板101上に交互かつ平行に並んでストライプ状に配設されている。
【0006】
誘電体層104は、鉛ガラスなどからなる層であり、前面基板101および各電極102、103を覆うように形成されている。
【0007】
保護層105は、例えば酸化マグネシウム(MgO)からなる層であり、誘電体層104表面上に形成されている。
【0008】
背面基板106は、アドレス電極107と、誘電体層108と、隔壁109と、蛍光体層110R、110G、110Bとを備え、背面板を構成する。
【0009】
アドレス電極107は、銀からなる電極であり、背面ガラス基板106上に平行に列設されている。
【0010】
誘電体層108は、例えば、酸化チタン(TiO2)や酸化アルミニウム(Al23)を含む誘電体ガラスからなる絶縁層層であって、アドレス電極107を被覆するように形成されている。
【0011】
隔壁109は、誘電体層108の表面上においてアドレス電極107と平行に列設されている。
【0012】
蛍光体層110R、110G、110Bは、それぞれ赤色(R),緑色(G)、青色(B)を発光する蛍光体粒子が結着した層である。
【0013】
そしてPDPは、前面板と背面板とを、間に複数の隔壁109を挟んで対向配置することで放電セル111を形成し、放電空間112内に放電ガス(例えば、ヘリウムやネオンとキセノンの混合ガス)が封入された構成であり、放電セル111内で放電により発生する中心波長147nmの紫外線によって3原色(赤、緑、青)の蛍光体層110R、110G、110Bを励起させ、その際に発光する3原色の可視光を加法混色することにより、フルカラー表示を行っている。
【0014】
以上においては、隔壁109は、紫外線による各色の蛍光体層110R、110G、110Bの励起を分離し、発光時の不要な混色を防止する機能を有する。したがって、隔壁109は、表示画像の画素の区分に対応して、高形状精度、且つ高位置精度に形成されることが要求される。そこで、隔壁109の製造方法としては、隔壁の材料を、感光性バインダー、低融点ガラス粉末、酸化物フィラー粉末などで構成される感光性ペーストとし、塗布した感光性ペーストを隔壁のパターンに紫外線で露光した後、現像することで隔壁を形成する、いわゆるフォトリソグラフィー法が用いられる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、隔壁109をフォトリソグラフィー法で形成する場合、隔壁109となる材料を誘電体層108上に塗布した後、隔壁109のパターンで露光し、現像するという工程が必要であり、現像工程においてはアルカリ溶液(例えば炭酸ナトリウム)が使用される。
【0016】
ここで、誘電体層108には、アドレス電極107近傍に蓄積した余剰電荷を取り除く目的で導電性のフィラーが含有されているが、アルカリ溶液による現像工程がある場合には、その含有量を多くすることができない。これは、誘電体層108に導電性フィラーが多く含まれていると、誘電体層108の膜質が緻密ではなくなり、アルカリ溶液による現像中にアルカリ溶液が誘電体層108中にしみ込んでしまい、誘電体層108中の導電性フィラーがアルカリ溶液中に溶出してしまうためである。そのような誘電体層108はポーラスな状態となってしまい、誘電体層としての役割を果たせなくなってしまう。
【0017】
従って、隔壁109をフォトリソグラフィー法で形成する場合には、誘電体層108には導電性フィラーを多く含有させることができず、その結果、アドレス電極107近傍の余剰電荷を効果的に除去することができなくなり、駆動時に残留する余剰電荷によりスパーク放電が発生してしまうという課題が生じていた。そしてこのスパーク放電による発光は、肉眼でも視認可能なレベルのため、PDPの画質の劣化と原因の一つとなっていた。
【0018】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、アドレス電極近傍の余剰電荷を抑制する構成を有し、良好な画像表示を行えるプラズマディスプレイパネルを実現することを目的とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明、前面板と複数の隔壁を備えた背面板とを、間に前記隔壁を挟んで対向配置することで放電セルを形成したプラズマディスプレイパネルであって、隔壁はフォトリソグラフィー法により形成されたものであり、隔壁間の内壁上のみに、厚みが0.5〜10μmで比抵抗が10 -1 〜10 9 Ω・cmの導電層が形成され、この導電層上に蛍光体層形成されたプラズマディスプレイパネルおよびその製造方法である
【0020】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明の請求項1に記載の発明は、前面板と、背面基板上に列設されたアドレス電極とこのアドレス電極を被覆するように形成された誘電体層とこの誘電体層上に形成された複数の隔壁とを備えた背面板とを、間に前記隔壁を挟んで対向配置することで放電セルを形成したプラズマディスプレイパネルであって、隔壁はフォトリソグラフィー法により形成されたものであり、誘電体層上と隔壁上とのうちの少なくとも誘電体層上に、厚みが0.5〜10μmで比抵抗が10 −1 〜10 Ω・cmの導電層が形成され、この導電層上に蛍光体層が形成されたプラズマディスプレイパネルである。
【0021】
また、請求項2に記載の発明は、前面板と、背面基板上に列設されたアドレス電極と複数の隔壁とを備えた背面板とを、間に前記隔壁を挟んで対向配置することで放電セルを形成したプラズマディスプレイパネルであって、隔壁はフォトリソグラフィー法により形成されたものであり、背面基板上とアドレス電極上と隔壁上とのうちの少なくとも背面基板上とアドレス電極上とに、厚みが0.5〜10μmで比抵抗が10 −1 〜10 Ω・cmの導電層が形成され、この導電層上に蛍光体層が形成されたプラズマディスプレイパネルである。
【0022】
また、請求項3に記載の発明は、前面板と、背面基板上に列設されたアドレス電極と、このアドレス電極を被覆するように形成された誘電体層と、この誘電体層上に形成された複数の隔壁とを備えた背面板とを、間に前記隔壁を挟んで対向配置することで放電セルを形成したプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、隔壁をフォトリソグラフィー法により形成し、その後、誘電体層上と隔壁上とのうちの少なくとも誘電体層上に、厚みが0.5〜10μmで比抵抗が10 −1 〜10 Ω・cmの導電層を形成し、その後、導電層上に蛍光体層を形成するプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
【0023】
また、請求項4に記載の発明は、前面板と、背面基板上に列設されたアドレス電極と複数の隔壁とを備えた背面板とを、間に前記隔壁を挟んで対向配置することで放電セルを形成したプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、隔壁をフォトリソグラフィー法により形成し、その後、背面基板上とアドレス電極上と隔壁上とのうちの少なくとも背面基板上とアドレス電極上とに、厚みが0.5〜10μmで比抵抗が10 −1 〜10 Ω・cmの導電層を形成し、その後、導電層上に蛍光体層を形成するプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
【0029】
以下、本発明の一実施の形態によるPDPについて、図面を参照しながら説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限るものではない。また、以下の説明における粒子とは、球状のものの他に、板状、針状のものも含むものである。
【0030】
図1は、PDPにおける前面基板を取り除いた概略平面図であり、図2は、PDPの画像表示領域について一部を断面で示す斜視図である。また図3は、PDPの画像表示領域の一部の断面図である。なお、図1においては表示電極群、表示スキャン電極群、アドレス電極群の本数などについては、分かり易くするため一部省略して図示している。また、図1〜図3においては、図6と同じ構成部品には同じ番号を付している。
【0031】
図1に示すように、PDP100は、透明且つ絶縁性の前面基板101(図示せず)と、絶縁性の背面基板106と、N本の表示電極102と、N本の表示スキャン電極103と、M本のアドレス電極群107、および斜線で示す気密シール層121とからなり、各電極102、103、107による3電極構造の電極マトリックスを有しており、表示電極102および表示スキャン電極103とアドレス電極107との交点に放電セル111が形成されている。そして放電セル111が集合して画像表示領域123が形成される。
【0032】
図2と図3に示すように、前面基板101は、基板面の一方に、表示電極102、表示スキャン電極103、誘電体層104、保護層105を備え、前面板を構成する。表示電極102および表示スキャン電極103は、交互且つ平行に並んでストライプ状に配設されている。誘電体層104は、鉛ガラス等からなる層である。保護層105は、MgO等からなる膜である。
【0033】
背面基板106は、基板面の一方に、アドレス電極107、誘電体層108、隔壁109、および蛍光体層110R、110G、110Bを備え、背面板を構成する。アドレス電極107は平行にストライプ状に配設されている。
【0034】
誘電体層108は、アドレス電極107を被覆するように形成されており、誘電体としての機能を持つ。
【0035】
導電層113は、隔壁109間の内壁上のみに、すなわち本実施の構成では、少なくとも誘電体層108上に形成されている。誘電体層108がない構成では、少なくともアドレス電極107と背面ガラス基板106上に形成される。この導電層113は、アドレス電極107近傍、例えば誘電体層108や背面基板106に余剰電荷が蓄積することを抑制する機能を持つものである。
【0036】
隔壁109は、背面基板106上もしくは誘電体層108上にアドレス電極107と平行に配設されている。この隔壁109の間の凹部および隔壁109の側壁には、各蛍光体層110R、110G、110Bがそれぞれ形成されている。蛍光体層110R、110G、110Bは、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)を発光する蛍光体粒子が結着した層である。
【0037】
そしてPDP100は、上述の前面板と背面板とが、隔壁109を介して張り合わされ、その間に形成される放電空間112内に放電ガス(例えば、ヘリウムやネオンとキセノンの混合ガス)が封入された構成となっている。
【0038】
ここで、導電層113の導電性は、良すぎると誘電体層108表面に電荷が全く蓄積しなくなり、通常の画像表示時のための放電発生に悪影響が発生する。ここで、導電層113は、その形成する際の工法から、現実的な厚みとしては0.5〜10μmであり、そのような厚みの場合には、導電層113の比抵抗として、10-1〜109Ω・cmとすれば、導電性が良すぎることがなく、且つアドレス電極107の近傍、例えば誘電体層108や背面基板106に余剰電荷が蓄積することを抑制する程度の導電性を有するようになる。
【0039】
ここで、導電層113が白色であれば、蛍光体層110R、110G、110Bで発生する可視光を前面板側に反射することとなり、パネル輝度を向上させるという効果を併せ持つこととなる。このような材料としては、例えば酸化チタン(TiO2)の粒子を挙げることができる。ここで、酸化チタンは通常、絶縁体であるが、若干、酸素が欠乏した(TiOx)粒子や、酸化アンチモンを添加した酸化スズ、酸化アンチモンを添加した酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛などの中から選ばれる少なくとも一つの導電物質を表面に備える構成、例えば0.001μm〜0.1μmの厚みにコートした構成の粒子とすることで、白色度を低下させることなく、余剰電荷の蓄積を抑制する導電層113を構成するのに適した程度の導電性を有する酸化チタン粒子とすることができる。以後の説明における酸化チタン粒子とは、上述のような処理によって導電性を付与したものとする。また、酸化チタン粒子の平均粒径としては、導電層113の総厚と電気抵抗かつ光反射の面からの充填率との関係から、0.2〜0.5μmとすることが好ましい。
【0040】
また、各蛍光体層110R、110G、110Bの、アドレス電極107上での厚みは、各蛍光体層を構成する蛍光体粒子の平均粒径の8〜20倍程度であることが望ましい。これは、蛍光体層に一定の紫外線を照射した時の輝度(発光効率)を確保するために、蛍光体層は、放電空間において発生した紫外線を透過させることなく吸収するために蛍光体粒子が最低でも8層、好ましくは10層程度積層された厚みを保持することが望ましく、それ以上の厚みとなれば背面蛍光体層の発光効率はほとんど飽和してしまうとともに、20層程度積層された厚みを超えると放電空間122の大きさを十分に確保できなくなるからである。
【0041】
図4は、上述のPDP100をPDPの駆動装置に接続することによりプラズマディスプレイ装置として構成した状態の概略構成を示すブロック図である。
【0042】
プラズマディスプレイ装置は、図4に示すように、PDP100に表示ドライバ回路153、表示スキャンドライバ回路154、アドレスドライバ回路155を有しており、コントローラ152の制御に従い点灯させようとするセルにおいて表示スキャン電極104とアドレス電極107に電圧を印加することによりその間でアドレス放電を行い、その後、表示電極103、表示スキャン電極104間にパルス電圧を印加して維持放電を行う。この維持放電により、当該放電セルセル111において紫外線が発生し、この紫外線により励起された蛍光体層が発光することで放電セル111が点灯するもので、各色の放電セル111の点灯、非点灯の組み合わせによって画像が表示される。
【0043】
ここで、従来の構成においてはアドレス電極107近傍に蓄積した余剰電荷により、放電セル111においては正常な放電に混じって、スパーク放電が発生し、その放電による発光は肉眼でも観察できる程度のものであることから、画像の品質を著しく低下させていたのであるが、本実施の形態では導電層113を設けたことから、余剰電荷は効果的に除去されるため、そのような課題の発生は抑制され良好な画像表示が実現できる。
【0044】
次に、上述したPDP100について、その製造方法を図1および図2を参照しながら説明する。
【0045】
前面板は、前面基板101上にまず、各n本の表示電極102および表示スキャン電極103(図2においては各2本のみ表示している。)を交互かつ平行にストライプ状に形成した後、その上に誘電体層104で被覆し、さらにその表面に保護層105を形成することによって作製する。
【0046】
表示電極102および表示スキャン電極103は、例えばITOからなる透明電極と銀からなるバス電極とから構成される電極である。透明電極は、例えば前面基板101の全面に透明電極を形成した後、フォトリソグラフィー法などによりパターニングすることで形成する。またバス電極は、例えば透明電極上にスクリーン印刷やフォトグラフィー法などによってストライプ状に形成し、その後、焼成することによって形成する。
【0047】
誘電体層104は、鉛系あるいは亜鉛系のガラス材料を含むペーストをスクリーン印刷で塗布した後、所定温度、所定時間(例えば、560℃で20分)焼成することによって、所定の層の厚み(25μm)となるように形成する。上記鉛系あるいは、亜鉛系のガラスとしては、例えば、鉛系では、PbO(70wt%)、B23(15wt%)、SiO2(10wt%)、およびAl23(5wt%)などのガラスが、亜鉛系ではZnO(37wt%)、B23(34wt%)、SiO2(15wt%)、Al23(6wt%)、K2O(6wt%)、MnO2(2wt%)などのガラスが用いられ、いずれも有機バインダー(α−ターピネオールに10%のエチルセルローズを溶解したもの)と混合して使用する。ここで、有機バインダーとは樹脂を有機溶媒に溶解したものであり、エチルセルローズ以外に樹脂としてアクリル樹脂、有機溶媒としてブチルカービトールなども使用することができる。さらに、こうした有機バインダーに分散剤(例えば、グリセルトリオレート)を混入させても良い。
【0048】
保護層105は、酸化マグネシウム(MgO)からなるものであり、例えばスパッタリング法やCVD(化学蒸着法)によって、所定の厚み(約0.5μm)となるように形成する。
【0049】
一方、背面板は、まず背面基板106上に電極用の感光性銀ペーストをスクリーン印刷法やフォトリソグラフィー法によってパターニング状に形成した後、焼成することによって、M本のアドレス電極107が列設された状態に形成する。
【0050】
そしてその上に鉛系あるいは亜鉛系のガラス材料をスクリーン印刷法で塗布して誘電体層108を形成する。
【0051】
さらに、誘電体層108の上に、感光性ペーストを用いてフォトリソグラフィー法により、隔壁109を形成する。この隔壁109により、放電空間112は、ライン方向にセル(単位発光領域)毎に区画される。
【0052】
そして、導電層113を、隔壁109間の内壁上、すなわち本実施の構成では、少なくとも誘電体層108上に形成する。図2および図3では、誘電体層108と隔壁109との表面に形成した例を示す。誘電体層108がない構成では、少なくともアドレス電極107と背面ガラス基板106上に形成する。形成方法としては、例えば酸化チタン粒子と有機バインダーとを備える導電性インキを隔壁109間に塗布する方法を挙げることができる。
【0053】
次に、上述の導電層113を含む領域に、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各蛍光体粒子と有機バインダーとからなる蛍光体インキを塗布し、その後、これを400〜600℃の温度で空気中焼成して有機バインダーを焼失させることによって、各蛍光体粒子が結着してなる蛍光体層110R、110G、110Bを形成する。この際、導電層113の領域と、蛍光体層110R、110G、110Bとの領域は厳密に同一とする必要はなく、両者が重なり合う領域があれば良い。
【0054】
この各蛍光体粒子としては、水熱合成法等により得られた蛍光体粒子のように、その粒径が十分小さく、かつ球状のものを用いるのであれば、球状でない粒子を用いる場合に比べ、積層段数が同じ場合であっても蛍光体層充填度が高まるとともに、蛍光体粒子の総表面積も増加するため、紫外線により励起される蛍光体層における蛍光体粒子の表面積が増加することとなり、さらに発光効率が高まるため、好ましい。
【0055】
このようにして作製された前面板と背面板は、前面板の各電極102、103と背面板のアドレス電極107とが直交するように重ね合わされるとともに、パネル周縁に封着用ガラスを配置し、これを例えば450℃程度で10〜20分間焼成して気密シール層121を形成することにより封着される。そして、一旦、放電空間122内を高真空(例えば、1.1×10-4Pa)に排気したのち、放電ガス(例えば、He−Xe系、Ne−Xe系の不活性ガス)を所定の圧力で封入することによってPDP100が作製される。
【0056】
次に、導電性インキ、およびその製法、およびそれを用いた導電層113の形成方法について詳細に述べる。
【0057】
導電性インキとして、例えば、酸化チタン粒子と有機バインダーとを混練したものを作製する。
【0058】
ここで、上述での酸化チタン粒子とは、前述のとおり、通常、絶縁体であるものを、若干、酸素を欠乏させたもの(TiOx)や、表面に、例えば、酸化アンチモンを添加した酸化スズ、酸化アンチモンを添加した酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛などの中から選ばれる少なくとも一つの導電物質を備える構成、例えば0.001μm〜0.1μmの厚みにコートした構成の粒子であり、白色度を低下させることなく、余剰電荷の蓄積を抑制する導電層113を形成するのに適した程度の導電性、例えば粒子状態での比抵抗が10-1〜109Ω・cmとしたものである。
【0059】
また、有機バインダーとしては、例えばエチルセルロースを5%含むα−ターピネオールを用い、導電性インキの粘度としては、100cp〜30000cp(0.1Pa.s〜30Pa.s)にする。
【0060】
次に、この導電性インキを、隔壁109の間隔に応じた細いノズルから、隔壁190間に吐出させて塗布し、導電層113を形成する。導電層113の膜厚は、乾燥後で0.5〜10μmとなるようにする。
【0061】
図5は、導電層113を形成する際に用いる塗布装置200の概略構成図である。同図に示すように、塗布装置200は、サーバ210、加圧ポンプ220、ヘッダ230などを備え、導電性インキを蓄えるサーバ210から供給される導電性インキは、加圧ポンプ220によりヘッダ230に加圧されて供給される。ヘッダ230にはインキ室230aおよびノズル240が設けられており、加圧されてインキ室230aに供給された導電性インキは、ノズル240から連続的に吐出されるようになっている。このノズル240の口径Dは、30μm〜100μmに設定されている。ヘッダ230は、図示しないヘッダ走査機構によって直線的に駆動されるように構成されており、ヘッダ230を走査させるとともにノズル240から導電性インキ250を連続的に吐出することにより、放電セル111の内壁の、少なくとも背面板上、すなわち本実施の構成では、少なくとも誘電体層108上に導電性インキが均一に塗布されることになる。
【0062】
また、上述の塗布装置200は、導電性インキの塗布だけでなく、蛍光体インキの塗布に際しても用いることができる。
【0063】
以下、本発明のプラズマディスプレイパネルの性能を評価するために、上記実施の形態に基づくサンプルを作製し、その性能評価実験を行ったので、その結果を検討する。
【0064】
ここで、実験では、42インチのPDPを作製して評価を行った。このPDPは、隔壁109の高さが0.1mm、隔壁109と隔壁109との間隔が0.15mmのものである(HD−TV仕様)。放電ガスの組成としては、キセノンガス(5%)とネオン(95%)の混合ガスを使用し、封入圧力は66500Paである。
【0065】
サンプルとしては、隔壁109を形成した後、放電セル111の内壁の、誘電体層108と隔壁109上に導電層113を形成したサンプル(サンプル1から10)と、導電層113を形成しない従来の構成のサンプル(サンプル11)と、酸化チタンを、本実施の形態の様な導電性を付与したものとせず、絶縁体の状態のまま塗布したサンプル(サンプル12)である。
【0066】
サンプル1〜10のPDPは、背面板の隔壁109を、感光性有機成分(感光性モノマー、感光性ポリマー、光重合開始剤、増感剤、安定化剤)のそれぞれの量は一定(8部、15部、3部、3部、1部)とし、無機成分である低融点ガラス、無機フィラーの種類と量とを変化させたものである。
【0067】
また、導電層113を形成する際の方法および使用した導電性インキは本実施の形態で述べたものである。
【0068】
以上のサンプルの作製条件を表1に示す。
【0069】
【表1】
Figure 0004055505
【0070】
(実験1)
上記サンプルを通常のアドレス電圧で駆動した時(通常の動画を表示した時)の異常放電(スパーク状放電)の発生具合を観察した。
【0071】
(実験2)
焼成した背面パネルを隔壁上から分光色差計(日本電色工業株式会社製NF777)を用いて隔壁の色差L、a*、b*の値(ただし、L、a*、b*の値は、色差表示方式JIS Z 8730によるものである。)、および可視光の反射率を測定した。ここで、隔壁の白さは、Lが高く(最高100)、a*、b*が0であれば見た目に非常に白く、可視光の反射率が高いと言える。
【0072】
(実験3)
上記サンプルNo.1〜12の初期の輝度は、各色の輝度利用率が100%となるように白表示を行い測定した。そして、これらのPDPの輝度(全白表示時の輝度)を輝度計を用いて測定した。
【0073】
これらの実験結果を、表1に示したサンプルの作製条件と併せて表2に示す。
【0074】
【表2】
Figure 0004055505
【0075】
表2から、導電層を形成した構成のPDP(サンプル1〜10)は、スパーク状放電の発生もなく、良好な画像表示を行うことができることが判る。
【0076】
また、導電層を、酸化チタン粒子で構成することについては、絶縁体のままでは反射率向上による輝度の上昇は見られるが、スパーク状放電の発生を抑制することはできず、良好な画像表示が行えないことがわかる。
【0077】
そして、酸化チタンとして、若干、酸素が欠乏したもの(TiOx)とすることや、表面に、例えば、酸化アンチモンを添加した酸化スズ、酸化アンチモンを添加した酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛などの中から選ばれる少なくとも一つの導電物質を備える構成、例えば0.001μm〜0.1μmの厚みにコートした構成とすることで、白色度を低下させることなく導電性を付与したものを用いて導電層113を形成した本実施の構成によれば、スパーク状放電の発生もなく、且つ、反射率を高めることにより輝度を向上させることが可能なPDPが実現できることがわかる。
【0078】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、アドレス電極近傍の余剰電荷を抑制する導電層を有する構成により、スパーク放電を抑制することができ良好な画像表示を行えるプラズマディスプレイパネルを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの前面基板を除いた平面図
【図2】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの画像表示領域の構造の一部を示す断面斜視図
【図3】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの画像表示領域の構造の一部を示す断面図
【図4】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルを用いたプラズマディスプレイ装置のブロック図
【図5】導電性インキの塗布装置の概略構成図
【図6】従来のプラズマディスプレイパネルの画像表示領域の構造の一部を示す断面図
【符号の説明】
100 PDP
101 前面基板
102 表示電極
103 表示スキャン電極
104 誘電体層
105 保護層
106 背面基板
107 アドレス電極
108 誘電体層
109 隔壁
110R、110G、110B 蛍光体層
111 放電セル
113 導電層

Claims (4)

  1. 前面板と、背面基板上に列設されたアドレス電極とこのアドレス電極を被覆するように形成された誘電体層とこの誘電体層上に形成された複数の隔壁とを備えた背面板とを、間に前記隔壁を挟んで対向配置することで放電セルを形成したプラズマディスプレイパネルであって、
    隔壁はフォトリソグラフィー法により形成されたものであり、
    誘電体層上と隔壁上とのうちの少なくとも誘電体層上に、厚みが0.5〜10μmで比抵抗が10 −1 〜10 Ω・cmの導電層が形成され、
    この導電層上に蛍光体層が形成された
    プラズマディスプレイパネル
  2. 前面板と、背面基板上に列設されたアドレス電極と複数の隔壁とを備えた背面板とを、間に前記隔壁を挟んで対向配置することで放電セルを形成したプラズマディスプレイパネルであって、
    隔壁はフォトリソグラフィー法により形成されたものであり、
    背面基板上とアドレス電極上と隔壁上とのうちの少なくとも背面基板上とアドレス電極上とに、厚みが0.5〜10μmで比抵抗が10 −1 〜10 Ω・cmの導電層が形成され、
    この導電層上に蛍光体層が形成された
    プラズマディスプレイパネル
  3. 前面板と、背面基板上に列設されたアドレス電極と、このアドレス電極を被覆するように形成された誘電体層と、この誘電体層上に形成された複数の隔壁とを備えた背面板とを、間に前記隔壁を挟んで対向配置することで放電セルを形成したプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
    隔壁をフォトリソグラフィー法により形成し、
    その後、誘電体層上と隔壁上とのうちの少なくとも誘電体層上に、厚みが0.5〜10μmで比抵抗が10 −1 〜10 Ω・cmの導電層を形成し、
    その後、導電層上に蛍光体層を形成する
    プラズマディスプレイパネルの製造方法
  4. 前面板と、背面基板上に列設されたアドレス電極と複数の隔壁とを備えた背面板とを、間に前記隔壁を挟んで対向配置することで放電セルを形成したプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
    隔壁をフォトリソグラフィー法により形成し、
    その後、背面基板上とアドレス電極上と隔壁上とのうちの少なくとも背面基板上とアドレス電極上とに、厚みが0.5〜10μmで比抵抗が10 −1 〜10 Ω・cmの導電層を形成し、
    その後、導電層上に蛍光体層を形成する
    プラズマディスプレイパネルの製造方法
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