JP4240767B2 - 便座ボックス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、洋風便器の上面に設置され、ボルトによって係止される便座ボックスに係り、特に、洋風便器に対する位置調整が極めて容易となるよう改良された便座ボックスに関する。
【0002】
【従来の技術】
洋風便器に温水洗浄装置を設置する場合に、便鉢の後部上面に便座ボックスを設置することが多い。この便座ボックス内に温水を噴出するためのノズル及び温水供給機構が組み込まれると共に、さらに温風乾燥機構、脱臭機構などが組み込まれることもある。この便座ボックスに便座や、通常は更に便蓋が上下方向回動自在に取り付けられる。この便座ボックスの洋風便器への従来の取付構造について図9〜13を参照して説明する。なお、図12は図10のXII−XII線に沿う断面図、図13は図12のXIII−XIII線に沿う断面図である。
【0003】
便座ボックス1の底部プレート2に洋風便器4の前後方向に延在するスリット3が2条平行に設けられている。このスリット3にボルト5の頭部が差し込まれる。なお、スリット3は、後端側に拡幅部3aを備えており、ボルト5の頭部5aが該拡幅部3aを通って底部プレート2の上側に挿入され、ボルト5の螺子棒部5bが該スリット3を通って下方に延出される。
【0004】
洋風便器4の便鉢4aの後方部には、このボルト5の螺子棒部5bを通すためのボルト挿通孔4bが2個設けられている。平パッキン6を介してボルト5を該ボルト挿通孔4bに通し、半球パッキン8及びスリップワッシャ9を介してナット10を該ボルト5に装着する。便座ボックス1に装着された便座11の前端が図5の如く洋風便器4の前端から5〜20mm程度突出するように便座ボックス1の前後位置を調整してから該ナット10を締め込み、便座ボックス1を洋風便器4に固定する。
【0005】
図9〜11の便座ボックス1には、便蓋12も上下方向回動自在に取り付けられている。この便座ボックス1の内部に温水噴射ノズル等の機構が設置されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来、便座ボックス1の前後方向位置を調整するには、いちいちボルト5を緩め、再度締め直す必要があり、著しく手間がかかる。
【0007】
本発明は便座ボックスの前後方向の位置を容易に調整できるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明(請求項1)の便座ボックスは、洋風便器の上面に設置され、ボルトによって該洋風便器に固定される便座ボックスであって、底部プレートに洋風便器前後方向に延在するスリットが設けられており、該ボルトのうち、該洋風便器の上面から上方に突出した突出部が該スリットに挿入される便座ボックスにおいて、該スリットの長手方向の側面部の少なくとも一方に、該長手方向に連続する凹凸部が設けられており、該側面部の少なくとも一方がスリット幅方向に弾性的に進退可能とされ、該ボルトの突出部が該凹凸部に係合して該便座ボックスの前後方向移動が阻止されることを特徴とするものである。
【0009】
かかる便座ボックスにあっては、ボルトの突出部が凹凸部に係合することにより、便座ボックスの前後方向の位置決めが行われる。
【0010】
また、このスリット側面部の少なくとも一方がスリット幅方向に弾性的に進退自在であるので、便座ボックスを前後方向に強く押すと突出部と凹凸部との係合位置がずれるようになり、便座ボックスの前後方向の位置調整を行うことができる。
【0011】
本発明(請求項2)の便座ボックスは、洋風便器の上面に設置され、ボルトによって該洋風便器に固定される便座ボックスであって、底部プレートに洋風便器前後方向に延在するスリットが設けられており、該ボルトのうち、該洋風便器の上面から上方に突出した突出部が該スリットに挿入される便座ボックスにおいて、該スリットの長手方向の側面部の少なくとも一方に、該長手方向に連続する凹凸部が設けられており、該ボルトの前記突出部のうち上半側の該スリット幅方向の幅員は、該ボルトの突出部のうち下半側の該スリット幅方向の幅員よりも小さく、該上半側が前記スリット内に存在するときには便座ボックスは前後方向に移動可能であり、該下半側が該スリット内に存在するときには便座ボックスは前後方向に移動不可能であることを特徴とするものである。
【0012】
かかる便座ボックスにあっては、突出部の下半側を凹凸部に係合させることにより便座ボックスの前後方向の位置決めが行われる。また、便座ボックスを持ち上げて突出部の下半側を凹凸部から離脱させた場合には、便座ボックスを前後方向に動かすことができ、便座ボックスの前後方向位置を調整できる。前後方向位置を調整した後、便座ボックスを降ろして突出部の下半側を再度凹凸部と係合させることにより、便座ボックスが固定される。
【0013】
この場合、スリットの該側面部の少なくとも一方が該スリットの幅方向に弾性的に進退自在であり、且つ該突出部の上半側の幅員が該スリットの最小幅員よりも大きい構成(請求項3)としておくことが好ましい。この構成にあっては、便座ボックスを持ち上げて凹凸部と突出部上半側とを係合させたときに、該突出部上半側が凹凸部の凸部を1段ずつ乗り越えるようにして移動するようになる。このため、凹凸部と突出部下半側とを係合させるべく便座ボックスを降ろしたときに、突出部下半側と凹凸部とがスムーズに係合するようになる。
【0014】
本発明においては、ボルトの上端に、前記スリットを上下方向に通過しえない拡大部を設けておくのが好ましい。この拡大部を設けておくと、便座ボックスを持ち上げてもボルトの上端がスリットから抜け出さないので、便座ボックスが便器から無闇に取り外されることが防止される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。図1は第1の実施の形態に係る便座ボックスの下方からの斜視図、図2は図1のII−II線に沿う断面図、図3は図2のIII−III線に沿う断面図、図4はボルトの斜視図、図5は便座ボックスの固定状態のスリット付近の縦断面図、図6は便座ボックスの移動状態のスリット付近の縦断面図である。
【0016】
この便座ボックス1Aには、後端面から前方に向って2条のスリット20が延設されている。このスリット20の両側面部23,23の相互対向面に凹凸部21がスリット20の長手方向に設けられている。この実施の形態では、凹凸部21は鋸歯状となっている。
【0017】
この側面部23,23をコ字形に囲むように透口部22が設けられ、これによって側面部23,23が相互に接近、離反方向に弾性変形可能となっている。なお、側面部23,23を接近方向に付勢するバネ、ゴム等の弾性体を設けてもよい。
【0018】
この便座ボックス1Aを固定するためのボルト30は、螺子棒部31と、該螺子棒部31の上部に設けられた平面視形状が菱形のブロック(突出部下半側)32と、該ブロック32から螺子棒部と同軸に上方に突設されたシャフト(突出部上半側)33と、シャフト33の上端の拡大部34とを有する。この拡大部34の幅員はスリット20の最大幅よりも大きく、該拡大部34はスリット20を上下方向に通過しえない大きさとなっている。ブロック32は側面部23,23の凹凸部21,21に係合しうる大きさとなっている。
【0019】
シャフト33は、スリット20の最小幅よりも太く、スリット20の最大幅よりも細い太さのものとなっている。
【0020】
このボルト30は、図5,6の通り、前記図9と同様に、半球パッキン8、ワッシャ9及びナット10によって洋風便器4の2個のボルト挿通孔4bにそれぞれ固定される。
【0021】
図6の如く、便座ボックス1Aを少し浮かせ、シャフト33をスリット20に係合させるようにして便座ボックス1Aをボルト30の突出部に係合させ、便座ボックス1Aを所望の位置まで後退させた後、便座ボックス1Aを降ろす。これにより、図5の通り、ブロック32が凹凸部21,21に係合し、便座ボックス1Aが洋風便器4に固定される。
【0022】
便座ボックス1Aの位置を調整するときには、図5の状態から便座ボックス1Aを持ち上げて図6の状態とし、便座ボックス1Aを前後方向に動かして位置調整し、次いで便座ボックス1Aを降ろし、ブロック32を凹凸部21,21に係合させる。
【0023】
なお、図6の状態にあっては、シャフト33が凹凸部21,21間に介在している。スリット20の最小幅(凹凸部21,21間の最小幅)はシャフト33の太さ(直径)よりも小さいので、図6の状態で便座ボックス1Aを前後方向に移動させると、凹凸部21,21の凸(山)を乗り越えるようにしてボルト30と便座ボックス1Aとが相対移動する。ボルト30のシャフト33が凸(山)を乗り越えるときには、側面部23,23は離反方向に弾性変形し、該シャフト33が凹(谷)に入り込むと側面部23,23は元の形状に復帰する。シャフト33が凹(谷)に入っている状態で、便座ボックス1Aを下降させると、この凹(谷)がスムーズにブロック32と係合する。
【0024】
このようにして、便座ボックス1Aの洋風便器への取付及び前後方向位置調整をきわめて簡単に行うことができる。また、ボルト30の頂部に拡大部34を設けているので、便座ボックス1Aを持ち上げてもボルト34の頂部がスリット20から抜け出すことはない。このため、便座ボックス1Aが無闇に取り外されることが防止される。
【0025】
なお、ブロック32を下方に向ってすぼまるテーパー形状としておき、ブロック32が凹凸部21の凹(谷)にきつく嵌まるようにし、便座ボックス1Aのガタツキを防止するようにするのが好ましい。ブロック32をテーパー形とする代りに、凹凸部21をテーパー状としてもよい。
【0026】
図7は第2の実施の形態に係る便座ボックスの前記図3と同様部分の断面図、図8はボルト40の斜視図である。
【0027】
この実施の形態に係る便座ボックス1Bにあっては、スリット20の両側面部23に湾曲した波状の凹凸部25が設けられている。
【0028】
ボルト40は、螺子棒部41と、この螺子棒部41の上端部に設けられたブロック(突出部下半側)42と、このブロック42の上側に設けられた拡大部43とを有している。
【0029】
このブロック42は、図7に2点鎖線で示すように凹凸部25,25にぴったりと嵌まる大きさとなっている。拡大部43は、スリット20の最大幅(凹凸部25,25間の最大幅)よりも大きなものとなっている。
【0030】
このボルト40を前記ボルト30と同様に洋風便器に固定した後、便座ボックス1Bのスリット20をボルト40の上部に図7の如く係合させる。ブロック42が凹凸部25の凸(山)を越える時には、側面部23,23は離反方向に弾性的に変形し、凹(谷)がブロック42と係合すると、側面部23,23は元の形状に復帰する。
【0031】
図7のようにして、便座ボックス1Bが洋風便器に取り付けられた後、便座ボックス1Bの前後方向の位置調整を行うには、便座ボックス1Bを前又は後に強く押す。これにより、ブロック42が凹凸部25の凸(山)を乗り越えるように便座ボックス1Bとボルト40とが相対的に移動し、位置調整が行われる。
【0032】
上記実施の形態では側面部23,23の双方が弾性変形するものとなっているか、一方のみが弾性変形するよう構成してもよい。
【0033】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると、便座ボックスを洋風便器の上面に容易に位置調整可能に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る便座ボックスの下方からの斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】ボルトの斜視図である。
【図5】便座ボックスの固定状態のスリット付近の縦断面図である。
【図6】便座ボックスの移動状態のスリット付近の縦断面図である。
【図7】第2の実施の形態に係る便座ボックスの図3と同様部分の断面図である。
【図8】ボルト40の斜視図である。
【図9】従来の便座ボックスと洋風便器を示す斜視図である。
【図10】従来の便座ボックスを示す斜視図である。
【図11】従来の便座ボックスと洋風便器を示す斜視図である。
【図12】図10のXII−XII線に沿う断面図である。
【図13】図6のXIII−XIII線に沿う断面図である。
【符号の説明】
1,1A,1B 便座ボックス
2 底部プレート
3 スリット
4 洋風便器
5 ボルト
20 スリット
21,25 凹凸部
22 透口部
23 側面部
30 ボルト
32 ブロック(突出部上半側)
33 シャフト(側面部下半側)
34 拡大部
40 ボルト
42 ブロック
43 拡大部
Claims (4)
- 洋風便器の上面に設置され、ボルトによって該洋風便器に固定される便座ボックスであって、底部プレートに洋風便器前後方向に延在するスリットが設けられており、
該ボルトのうち、該洋風便器の上面から上方に突出した突出部が該スリットに挿入される便座ボックスにおいて、
該スリットの長手方向の側面部の少なくとも一方に、該長手方向に連続する凹凸部が設けられており、
該側面部の少なくとも一方がスリット幅方向に弾性的に進退可能とされ、
該ボルトの突出部が該凹凸部に係合して該便座ボックスの前後方向移動が阻止されることを特徴とする便座ボックス。 - 洋風便器の上面に設置され、ボルトによって該洋風便器に固定される便座ボックスであって、底部プレートに洋風便器前後方向に延在するスリットが設けられており、該ボルトのうち、該洋風便器の上面から上方に突出した突出部が該スリットに挿入される便座ボックスにおいて、
該スリットの長手方向の側面部の少なくとも一方に、該長手方向に連続する凹凸部が設けられており、
該ボルトの前記突出部のうち上半側の該スリット幅方向の幅員は、該ボルトの突出部のうち下半側の該スリット幅方向の幅員よりも小さく、
該上半側が前記スリット内に存在するときには便座ボックスは前後方向に移動可能であり、該下半側が該スリット内に存在するときには便座ボックスは前後方向に移動不可能であることを特徴とする便座ボックス。 - 請求項2において、スリットの該側面部の少なくとも一方が該スリットの幅方向に弾性的に進退自在であり、且つ該突出部の上半側の幅員が該スリットの最小幅員よりも大きいことを特徴とする便座ボックス。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記ボルトの上端に、前記スリットを上下方向に通過しえない拡大部が設けられていることを特徴とする便座ボックス。
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