JP4240253B2 - Atc地上装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動列車制御装置(以下、ATC装置と称する)に用いられる自動列車制御地上装置(以下、ATC地上装置と称する)に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、列車の走行する軌道には、複数の軌道回路が順次に構成される。ATC地上装置の典型例では、それぞれの軌道回路に対応させて送信器を設ける。これらの送信器は、それぞれ、自己に対応する軌道回路にATC信号を供給する。供給されたATC信号は、その軌道回路を流れ、その軌道回路上の列車に受信される。
【0003】
上述のATC地上装置では、軌道回路ごとに送信器を設けなければならない。従って、送信器が、少なくとも、制御対象となる軌道回路の数だけ必要になり、ATC地上装置の設置コストや保守コストが増大する。
【0004】
また、上述のATC地上装置では、複数の送信器のうち、或る送信器が故障した場合、その送信器に対応する軌道回路にATC信号を供給できなくなる。かかる問題を解決するため、通常は、それぞれの軌道回路に対応させて予備送信器を設ける。それぞれの予備送信器は、自己に対応する軌道回路の送信器が故障したとき、この送信器の動作を代行する。
【0005】
この場合、軌道回路ごとに予備送信器を設けなければならない。従って、予備送信器が、少なくとも、制御対象となる軌道回路の数(=送信器の数)だけ必要になり、ATC地上装置の設置コストや保守コストが更に増大する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、送信器の数を大幅に削減し得るATC地上装置を提供することである。
【0007】
本発明のもう1つの課題は、予備送信器の数を大幅に削減し得るATC地上装置を提供することである。
【0008】
本発明の更にもう1つの課題は、設置コストや保守コストを大幅に低減し得るATC地上装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、本発明に係るATC地上装置は、制御区間と、複数の送信器とを含む。前記制御区間は、複数の軌道回路により構成される。
【0010】
前記複数の送信器のそれぞれは、列車追跡情報が供給され、前記列車追跡情報を解読する。更に、前記複数の送信器のそれぞれは、前記制御区間に進入する列車のうち、自己の制御すべき列車を認識し、前記複数の軌道回路から自己の制御すべき列車の在線する軌道回路を選択し、選択した軌道回路の信号現示に対応したATC信号を生成し、選択した軌道回路に前記ATC信号を供給する。
【0011】
上述した本発明に係るATC装置において、制御区間は、複数の軌道回路により構成される。言い換えれば、複数の軌道回路により制御区間を構成する。
【0012】
複数の送信器のそれぞれは、列車追跡情報が供給され、列車追跡情報を解読し、制御区間に進入する列車のうち、自己の制御すべき列車を認識する。従って、複数の列車が制御区間に進入し、制御区間内に同時に在線する場合でも、これらの列車を異なる送信器に割り当てることができる。
【0013】
複数の送信器のそれぞれは、列車追跡情報を解読し、複数の軌道回路から自己の制御すべき列車の在線する軌道回路を選択する。従って、複数の送信器のそれぞれは、自己の制御すべき列車の走行に追従して、選択する軌道回路を切り替えることができる。
【0014】
更に、複数の送信器のそれぞれは、選択した軌道回路の信号現示に対応したATC信号を生成し、選択した軌道回路にATC信号を供給する。選択した軌道回路に供給されたATC信号は、その軌道回路上の列車に受信される。かようにして、複数の送信器のそれぞれは、自己の制御すべき列車を制御できる。
【0015】
既に述べたように、従来のATC地上装置では、軌道回路ごとに送信器を設けなければならない。従って、送信器が、少なくとも、制御対象となる軌道回路の数だけ必要になる。
【0016】
これに対し、本発明のATC地上装置では、複数の軌道回路により制御区間を構成する。送信器は、少なくとも、制御区間内の最大列車数だけ備えればよく、送信器の数は、制御区間を構成する軌道回路の数とは無関係である。従って、送信器の数を大幅に削減できる。このため、本発明のATC地上装置では、設置コストや保守コストを低減できる。
【0017】
また、従来のATC地上装置では、送信器の故障に備えて、軌道回路ごとに予備送信器を設けなければならない。従って、予備送信器が、少なくとも、制御対象となる軌道回路の数(=送信器の数)だけ必要になる。
【0018】
これに対し、本発明のATC地上装置では、複数の軌道回路により制御区間を構成する。この制御区間に対し、少なくとも1つの予備送信器を設けるだけでよい。かかる予備送信器は、複数の送信器のうち、何れの送信器の動作も代行できるように構成し得る。従って、予備送信器の数を大幅に削減できる。このため、本発明のATC地上装置では、設置コストや保守コストを大幅に低減できる。
【0019】
本発明のATC地上装置の或る具体例では、複数の送信器は、少なくとも、制御区間内で許容される最大列車数だけ備えられる。この場合、送信器の数が必要最小限の数に削減され、送信器の利用効率が最大となる。
【0020】
本発明の他の特徴及びそれによる作用効果は、添付図面を参照し、更に詳しく説明する。添付図面は単なる一例を示すに過ぎない。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係るATC地上装置の構成を概略的に示す図である。図示のように、本発明に係るATC地上装置は、制御区間1Uと、複数の送信器61〜63を含む。参照符号5は軌道である。軌道5には、複数の軌道回路0T〜9Tが順次に構成されている。軌道回路0T〜9Tは有絶縁式である。実施例と異なり、軌道回路が無絶縁式であってもよいし、軌道回路が誘導ループ式であってもよい。
【0022】
参照符号6は、列車検知装置である。列車検知装置6は、それぞれの軌道回路0T〜9T上に列車が有るか無いかを検知して列車位置情報D0を出力する。列車位置情報D0は、それぞれの軌道回路0T〜9T上における列車有無を示す情報である。
【0023】
制御区間1Uは、複数の軌道回路1T〜8Tにより構成される。図示の制御区間1Uは、軌道回路0T、9Tを含んでいない。
【0024】
実施例のATC地上装置には、追跡論理部3が備えられている。追跡論理部3は、上述した列車検知装置5から列車位置情報D0が供給される。そして、追跡論理部3は、列車位置情報D0を解読することにより、上述の制御区間1Uに進入する列車を認識し、列車認識結果を得る。
【0025】
更に、追跡論理部3は、上述の列車認識結果に基づき、指示情報を生成する。この指示情報は、複数の送信器61〜63のそれぞれに対し、制御すべき列車を指示する情報である。更に、追跡論理部3は、供給された列車位置情報D0と、自己が生成した指示情報とを、列車追跡情報K0として出力する。
【0026】
追跡論理部3は、ATC機器室2に設けられている。実施例では、追跡論理部3は、ATC地上装置の内部に含まれている。実施例と異なり、追跡論理部が、ATC地上装置の外部に設けられていてもよい。
【0027】
複数の送信器61〜63は、それぞれ、列車追跡情報K0が供給される。実施例において、複数の送信器61〜63は、それぞれ、上述の追跡論理部3から列車追跡情報K0が供給される。詳しく説明すれば、追跡論理部3及び複数の送信器61〜63は、伝送回路網(LAN)を構成しており、追跡論理部3から出力された列車追跡情報K0が、上述の伝送回路網により、複数の送信器61〜63のそれぞれに供給される。
【0028】
複数の送信器61〜63は、それぞれ、上述の列車追跡情報K0を解読する。そして、複数の送信器61〜63は、それぞれ、制御区間1Uに進入する列車のうち、自己の制御すべき列車を認識し、複数の軌道回路1T〜8Tから自己の制御すべき列車の在線する軌道回路を選択する。更に、実施例では、複数の送信器61〜63は、それぞれ、選択した軌道回路の信号現示を決定する。実施例と異なり、例えば、追跡論理部が、それぞれの軌道回路の信号現示を決定し、信号現示情報をそれぞれの送信器に供給してもよい。
【0029】
そして、複数の送信器61〜63は、それぞれ、選択した軌道回路の信号現示に対応したATC信号を生成し、選択した軌道回路にATC信号を供給する。実施例では、複数の送信器61〜63は、それぞれ、複数の軌道回路1T〜8Tのうち、選択した軌道回路のみにATC信号を供給する。
【0030】
実施例では、複数の送信器61〜63は、3つ備えられている。更に、複数の送信器61〜63は、ATC機器室2に設けられている。
【0031】
次に、図1に示した列車運行状態を説明する。2つの列車41、42が、制御区間1Uに進入し、制御区間1U内に同時に在線している。詳しくは、列車41は軌道回路3T上に在線しており、列車42は軌道回路1T上に在線している。列車41の進行方向を参照符号a1で示し、列車42の進行方向を参照符号a2で示す。図1に示した列車運行状態は、例えば、軌道回路0T上から制御区間1Uに列車41を進入させ、その後、軌道回路0T上から制御区間1Uに列車42を進入させることにより得られる。
【0032】
上述の列車運行状態について、追跡論理部3及び複数の送信器61〜63の動作を具体的に説明する。
【0033】
追跡論理部3は、供給された列車位置情報D0に基づき、制御区間1Uに進入する列車41、42を認識した列車認識結果を得る。更に、追跡論理部3は、上述の列車認識結果に基づき、指示情報を生成する。この指示情報は、複数の送信器61〜63のうち、送信器61に対し列車41を制御すべきと指示し、送信器62に対し列車42を制御すべきと指示する情報である。追跡論理部3は、供給された列車位置情報D0と、自己が生成した指示情報とを列車追跡情報K0として出力する。この列車追跡情報K0が、複数の送信器61〜63のそれぞれに供給される。
【0034】
送信器61は、列車追跡情報K0が供給され、列車追跡情報K0を解読する。そして、送信器61は、制御区間1Uに進入する列車41、42のうち、自己の制御すべき列車41を認識し、複数の軌道回路1T〜8Tから自己の制御すべき列車41の在線する軌道回路3Tを選択する。更に、実施例の送信器61は、選択した軌道回路3Tの信号現示を決定する。
【0035】
そして、送信器61は、選択した軌道回路3Tの信号現示に対応したATC信号S3を生成し、選択した軌道回路3TにATC信号S3を供給する。実施例の送信器61は、複数の軌道回路1T〜8Tのうち、選択した軌道回路3TのみにATC信号S3を供給する。
【0036】
上述した送信器61と同様にして、送信器62も、列車追跡情報K0が供給され、列車追跡情報K0を解読する。そして、送信器62は、制御区間1Uに進入する列車41、42のうち、自己の制御すべき列車42を認識し、複数の軌道回路1T〜8Tから自己の制御すべき列車42の在線する軌道回路1Tを選択する。更に、実施例の送信器62は、選択した軌道回路1Tの信号現示を決定する。
【0037】
そして、送信器62は、選択した軌道回路1Tの信号現示に対応したATC信号S1を生成し、選択した軌道回路1TにATC信号S1を供給する。実施例の送信器62は、複数の軌道回路1T〜8Tのうち、選択した軌道回路1TのみにATC信号S1を供給する。
【0038】
上述した送信器61、62と同様にして、送信器63も、列車追跡情報K0が供給され、列車追跡情報K0を解読する。図1に示した列車運行状態では、制御区間1Uに進入する列車41、42の数は2つである。上述のように、列車41、42のうち、列車41が、送信器61の制御すべき列車と認識され、列車42が、送信器62の制御すべき列車と認識される。列車41、42のうちには、送信器63の制御すべき列車は存在しない。
【0039】
次に、信号現示について説明する。信号現示は、1閉塞1列車の原則に基づき、閉塞区間ごとに決定される。1つの閉塞区間は、少なくとも1つの軌道回路により構成される。本実施例では、説明の簡単化のため、それぞれの軌道回路0T〜9Tが個別に閉塞区間を構成し、軌道回路と閉塞区間が1対1に対応しているものとして説明する。
【0040】
軌道回路2Tの信号現示を例にとる。軌道回路3T上に列車が在線しているとき、軌道回路2Tの信号現示は0信号(停止信号)になる。軌道回路3T上に列車が在線しておらず、軌道回路4T上に列車が在線しているとき、軌道回路1Tの信号現示は45信号になる。軌道回路3T及び4T上に列車が在線しておらず、軌道回路5T上に列車が在線しているとき、軌道回路2Tの信号現示は70信号になる。
【0041】
次に、ATC信号の生成を説明する。複数の送信器61〜63のそれぞれにおいて、ATC信号は、変調波により搬送波を変調して生成される。
【0042】
まず、搬送波の周波数(以下、搬送周波数と称する)について説明する。送信器61において、複数の軌道回路1T〜8Tのうち、どの軌道回路を選択しても、生成されるATC信号の搬送周波数は同一である。他の送信器62、63についても同様である。また、複数の送信器61〜63において、生成されるATC信号の搬送周波数は同一である。ATC信号の搬送周波数は、例えば、2850Hzである。
【0043】
次に、変調波の周波数(以下、変調周波数と称する)について説明する。変調周波数は、選択された軌道回路の信号現示に対応する。例えば、信号現示が0信号(停止信号)のとき、変調周波数は64Hzである。複数の送信器61〜63において、変調周波数と信号現示との対応関係は共通である。
【0044】
実施例のATC地上装置において、複数の送信器61〜63は、少なくとも、制御区間1U内で許容される最大列車数だけ備えられる。実施例では、制御区間1U内で許容される最大列車数は3であり、3つの送信器61〜63が備えられている。実施例と異なり、制御区間内で許容される最大列車数が例えば5の場合、送信器は、少なくとも5つ備えればよい。
【0045】
次に、上述のATC地上装置における送信器の故障検出及び故障検出後の動作維持のための構成を説明する。実施例のATC地上装置は、少なくとも1つの予備送信器64を含む。予備送信器64は、複数の送信器61〜63のうち、何れかの送信器が故障したとき、故障した送信器の動作を代行する。実施例では、予備送信器の個数は1つである。実施例と異なり、予備送信器の個数は複数であってもよい。予備送信器64は、上述した複数の送信器61〜63とともに、ATC機器室2に設けられている。
【0046】
複数の送信器61〜63及び予備送信器64は、それぞれ、自己が故障しているか否かを示す送信器故障情報F0を出力する。出力された送信器故障情報F0は、前述の伝送回路網により追跡論理部3に供給される。
【0047】
追跡論理部3は、前述の列車認識結果に加えて、送信器故障情報F0に基づき、指示情報を生成する。この指示情報は、複数の送信器61〜63及び予備送信器64のそれぞれに対し、制御すべき列車を指示する情報である。更に、追跡論理部3は、供給された列車位置情報D0と、自己が生成した指示情報とを、列車追跡情報K0として出力する。
【0048】
上述の送信器61〜63と同様にして、予備送信器64も、列車追跡情報K0が供給され、この列車追跡情報K0を解読する。予備送信器64は、故障した送信器の動作を代行するものであり、予備送信器64の動作は、それぞれの送信器61〜63の動作と、実質的に同じであるので、説明を省略する。
【0049】
図1に示した列車運行状態では、前述のように、列車41、42が制御区間1Uに進入し、制御区間1Uに同時に在線している。複数の送信器61〜63の何れも故障していない場合、列車41、42のうちには、予備送信器64の制御すべき列車は存在しない。
【0050】
上述した追跡論理部3、複数の送信器61〜63及び予備送信器64は、それぞれ、リレー、電気・電子回路やマイクロコンピュータ等、またはそれらの組み合わせにより構成できる。
【0051】
次に、本発明に係るATC地上装置の作用及び効果を説明する。上述した本発明のATC地上装置において、制御区間1Uは、複数の軌道回路1T〜8Tにより構成される。言い換えれば、複数の軌道回路1T〜8Tにより制御区間1Uを構成する。
【0052】
複数の送信器61〜63は、それぞれ、列車追跡情報K0が供給され、列車追跡情報K0を解読し、制御区間1Uに進入する列車のうち、自己の制御すべき列車を認識する。従って、図1に示すように、複数の列車41、42が制御区間1Uに進入し、制御区間1U内に同時に在線する場合でも、これらの列車41、42を異なる送信器61、62に割り当てることができる。
【0053】
例えば、図1の列車運行状態では、送信器61が、2つの列車41、42のうち、自己の制御すべき列車41を認識する。更に、送信器62が、2つの列車41、42のうち、自己の制御すべき列車42を認識する。このように、2つの列車41、42が異なる送信器61、62に割り当てられる。
【0054】
複数の送信器61〜63は、それぞれ、列車追跡情報K0を解読し、複数の軌道回路1T〜8Tから自己の制御すべき列車の在線する軌道回路を選択する。従って、複数の送信器61〜63は、それぞれ、自己の制御すべき列車の走行に追従して、選択する軌道回路を切り替えることができる。
【0055】
例えば、図1の列車運行状態では、送信器61は、列車追跡情報K0を解読することにより、複数の軌道回路1T〜8Tから自己の制御すべき列車41の在線する軌道回路3Tを選択している。送信器61は、自己の制御すべき列車41の走行に追従して、選択する軌道回路を切り替えることができる。送信器62についても同様である。
【0056】
更に、複数の送信器61〜63は、それぞれ、選択した軌道回路の信号現示に対応したATC信号を生成し、選択した軌道回路にATC信号を供給する。選択した軌道回路に供給されたATC信号は、その軌道回路上の列車に受信される。かようにして、複数の送信器61〜63は、それぞれ、自己の制御すべき列車を制御できる。
【0057】
例えば、図1の列車運行状態では、送信器61は、選択した軌道回路3Tの信号現示に対応したATC信号S3を生成し、選択した軌道回路3TにATC信号S3を供給する。選択した軌道回路3Tに供給されたATC信号S3は、その軌道回路3T上の列車41に受信される。かようにして、送信器61は、自己の制御すべき列車41を制御できる。送信器62についても同様である。
【0058】
既に述べたように、従来のATC地上装置では、軌道回路ごとに送信器を設けなければならない。従って、送信器が、少なくとも、制御対象となる軌道回路の数だけ必要になる。例えば、8つの軌道回路が制御対象になれば、8つの送信器が必要になる。
【0059】
これに対し、本発明のATC地上装置では、複数の軌道回路1T〜8Tにより制御区間1Uを構成する。送信器61〜63は、少なくとも、制御区間1U内の最大列車数だけ備えればよく、送信器61〜63の数は、制御区間1Uを構成する軌道回路1T〜8Tの数とは無関係である。従って、送信器の数を大幅に削減できる。このため、本発明のATC地上装置では、設置コストや保守コストを低減できる。
【0060】
送信器の数の削減を更に説明する。通常の列車運行において、制御区間1U内で許容される最大列車数は、その制御区間1Uを構成する軌道回路1T〜8Tの数の半分以下である。従って、本発明のATC地上装置では、従来のATC地上装置に比べて、必要な送信器の数を半分以下に削減し得ることになる。実施例では、制御区間1U内で許容される最大列車数が3であり、その制御区間1Uを構成する軌道回路1T〜8Tの数が8であるので、送信器の数を8から3に削減し得ることになる。
【0061】
また、従来のATC地上装置では、送信器の故障に備えて、軌道回路ごとに予備送信器を設けなければならない。従って、予備送信器が、少なくとも、制御対象となる軌道回路の数(=送信器の数)だけ必要になる。例えば、8つの軌道回路が制御対象になれば、8つの予備送信器が必要になる。
【0062】
これに対し、本発明のATC地上装置では、複数の軌道回路1T〜8Tにより制御区間1Uを構成する。この制御区間1Uに対し、少なくとも1つの予備送信器64を設けるだけでよい。かかる予備送信器64は、複数の送信器61〜63のうち、何れの送信器の動作も代行できるように構成し得る。従って、予備送信器の数を大幅に削減できる。このため、本発明のATC地上装置では、設置コストや保守コストを大幅に低減できる。
【0063】
実施例において、複数の送信器61〜63は互いに同一な構成である。予備送信器64も、これらの送信器61〜63と同一な構成である。従って、予備送信器64は、複数の送信器61〜63のうち、何れの送信器の動作も代行することができる。
【0064】
実施例のATC地上装置では、複数の送信器61〜63は、少なくとも、制御区間1U内で許容される最大列車数だけ備えられる。この場合、送信器の数が必要最小限の数に削減され、送信器の利用効率が最大となる。
【0065】
また、実施例では、複数の送信器61〜63は、それぞれ、選択した軌道回路の信号現示を決定する。複数の送信器61〜63は、それぞれ、列車追跡情報K0を解読することにより、選択した軌道回路の信号現示を決定できる。
【0066】
次に、複数の送信器61〜63及び予備送信器64の具体的な構成を説明する。図2は、図1に示したATC地上装置に含まれる複数の送信器のうち、1つの送信器の構成を示す図である。図2では、送信器61の構成が示されている。複数の送信器61〜63と、予備送信器64とは、実質的に同一な構成であるので、以下、送信器61の構成を代表的に説明する。
【0067】
送信器61は、送信部71と、切替部81と、故障検出器91とを含む。送信部71は、伝送処理回路711と、軌道選択回路712と、現示決定回路715と、ATC信号生成回路716と、増幅回路717とを有する。
【0068】
伝送処理回路711は、上述の追跡論理部3から列車追跡情報K0が供給され、供給された列車追跡情報K0を送信器62に供給する。伝送処理回路711は、列車追跡情報K0を解読し、制御区間1Uに進入する列車のうち、自己の制御すべき列車を認識する。更に、伝送処理回路711は、列車追跡情報K0に含まれる列車位置情報D0を得る。
【0069】
軌道選択回路712は、伝送処理回路711から上述の列車位置情報D0が供給され、この列車位置情報D0に基づき、複数の軌道回路1T〜8Tから自己の制御すべき列車の在線する軌道回路を選択する。
【0070】
現示決定回路715は、伝送処理回路711から上述の列車位置情報D0が供給され、この列車位置情報D0に基づき、複数の軌道回路1T〜8Tのそれぞれの信号現示を決定する。ATC信号生成回路716は、選択した軌道回路の信号現示に対応したATC信号を生成する。増幅回路717は、ATC信号生成回路716から供給されたATC信号を増幅して出力する。
【0071】
次に、切替部81について説明する。切替部81は、複数のリレー1R〜8Rと、接点1R1〜8R1、1R2〜8R2とを有する。
【0072】
複数のリレー1R〜8Rは、それぞれ、複数の軌道回路1T〜8Tに対応して備えられ、上述の軌道選択回路712により制御される。軌道選択回路712は、軌道回路を選択していないとき、複数のリレー1R〜8Rのそれぞれを無励磁とする。軌道選択回路712は、軌道回路を選択したとき、複数のリレー1R〜8Rのうち、選択した軌道回路に対応するリレーのみを励磁する。
【0073】
接点1R1及び接点1R2は、それぞれ、上述のリレー1Rにより制御される。接点1R1は、リレー1Rが励磁された状態では開いており、リレー1Rが無励磁の状態では落下して閉じている接点(落下接点)である。接点1R2は、リレー1Rが無励磁の状態では開いており、リレー1Rが励磁された状態では扛上して閉じている接点(扛上接点)である。接点1R1の一端及び接点1R2の一端は、共通であり、増幅回路717の出力端に接続されている。接点1R2の他端は、軌道回路1Tに導かれている。
【0074】
接点2R1及び接点2R2は、それぞれ、上述のリレー2Rにより制御される。リレー2Rに対する接点2R1及び接点2R2の動作は、リレー1Rに対する接点1R1及び接点1R2の動作と同様である。接点2R1の一端及び接点2R2の一端は、共通であり、上述の接点1R1の他端に接続されている。接点2R2の他端は、軌道回路2Tに導かれている。
【0075】
接点3R1〜8R1及び接点3R2〜8R2については、上述の接点2R1及び接点2R2と同様であるので説明を省略する。
【0076】
故障検出器91は、送信部71の増幅回路717の出力端と、切替部81の接点8R1の他端とに接続されている。故障検出器91は、増幅回路717の出力端から供給されたATC信号と、接点8R1の他端から供給されたATC信号とに基づき、送信部71、切替部81及び自己の故障を検出して送信器故障情報F0を得る。
【0077】
更に、故障検出器91は、得られた送信器故障情報F0を送信部71の伝送処理回路711に供給する。伝送処理回路711は、送信器故障情報F0が供給されたとき、この送信器故障情報F0を上述の伝送回路網により追跡論理部3に供給する。
【0078】
次に、図1の列車運行状態について、上述の送信器61の動作を詳しく説明する。
【0079】
送信器61の送信部71において、伝送処理回路711は、上述の追跡論理部3から列車追跡情報K0が供給され、列車追跡情報K0に基づき、制御区間1Uに進入する列車41、42のうち、自己の制御すべき列車41を認識する。更に、伝送処理回路711は、列車追跡情報K0を解読して列車位置情報D0を得る。
【0080】
軌道選択回路712は、伝送処理回路711から上述の列車位置情報D0が供給され、この列車位置情報D0に基づいて、複数の軌道回路1T〜8Tから自己の制御すべき列車41の在線する軌道回路3Tを選択する。軌道選択回路712は、軌道回路3Tを選択したとき、複数のリレー1R〜8Rのうち、選択した軌道回路3Tに対応するリレー3Rのみを励磁する。
【0081】
現示決定回路715は、伝送処理回路711から上述の列車位置情報D0が供給され、この列車位置情報D0に基づき、複数の軌道回路1T〜8Tのそれぞれの信号現示を決定する。図1の列車運行状態では、現示決定回路715は、軌道回路2Tの信号現示を0信号(停止信号)に決定する。
【0082】
ATC信号生成回路716は、選択した軌道回路3Tの信号現示に対応したATC信号S3を生成する。増幅回路717は、ATC信号生成回路716から供給されたATC信号S3を増幅して出力する。
【0083】
次に、切替部81について説明する。上述した軌道選択回路712の制御動作により、複数のリレーのうち、リレー3Rのみが励磁される。
【0084】
リレー1Rが無励磁の状態なので、接点1R2が開いており、接点1R1が閉じている。同様にして、リレー2Rが無励磁の状態なので、接点2R2が開いており、接点2R1が閉じている。
【0085】
リレー3Rが励磁されると、接点3R2が閉成し、接点3R1が開成する。従って、増幅回路717から出力されたATC信号S3は、接点1R1、接点2R1及び接点3R2を順次に経由して軌道回路3Tに供給される。
【0086】
以上、図1の列車運行状態について、送信器61の動作を詳しく説明したが、送信器62の動作も同様である。
【0087】
本発明のATC地上装置では、ATC信号を車上に伝送する手段として、軌道回路を利用する。誘導ループが軌道に沿って設けられている場合、車上伝送手段として、軌道回路の代わりに誘導ループを利用してもよい。
【0088】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果が得られる。
(a)送信器の数を大幅に削減し得るATC地上装置を提供することができる。
(b)予備送信器の数を大幅に削減し得るATC地上装置を提供することができる。
(c)設置コストや保守コストを大幅に低減し得るATC地上装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るATC地上装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1に示したATC地上装置に含まれる複数の送信器のうち、1つの送信器の構成を示す図である。
【符号の説明】
1U 制御区間
1T〜8T 軌道回路
61〜63 送信器
K0 列車追跡情報
41、42 列車
S1、S3 ATC信号
Claims (3)
- 制御区間と、複数の送信器と、少なくとも1つの予備送信器とを含むATC地上装置であって、
前記制御区間は、複数の軌道回路により構成され、
前記複数の送信器と前記予備送信器のそれぞれは、
前記複数の軌道回路のそれぞれに対応するリレー及び接点を有し、
前記制御区間に在線する複数の列車のうち、供給された指示情報により割り当てられた1つの列車を自己の制御すべき列車として認識し、
供給された列車位置情報に基づいて、前記複数の軌道回路から前記自己の制御すべき列車の在線する軌道回路を、列車の走行に追従して選択し、選択した軌道回路に対応する前記リレーのみを励磁して前記接点を制御することにより、この軌道回路と接続され、前記軌道回路の信号現示に対応したATC信号を生成して前記軌道回路に供給し、
前記予備送信器は、前記指示情報が前記送信器の故障情報に基づき生成されることにより、前記複数の送信器のうち、何れかの送信器が故障したとき、故障した送信器の動作を代行する、
ATC地上装置。 - 請求項1に記載されたATC地上装置であって、
前記複数の送信器は、少なくとも、前記制御区間内で許容される最大列車数だけ備えられる
ATC地上装置。 - 請求項1または2の何れかに記載されたATC地上装置であって、
前記複数の送信器のそれぞれは、選択した軌道回路の信号現示を決定する
ATC地上装置。
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