JP4240211B2 - 固体撮像素子を使用した撮像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビカメラ等に使用される複数方向に分光するプリズムと、その出射面近傍に配設された固体撮像素子を貼着固定した撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、テレビジョンカメラ等の放送用カメラ、業務用カメラ、計測用カメラに複数方向に分光する色分解光学系にプリズムを使用して、例えば、青、赤、緑の3原色に分解し、それぞれの出射面に配設された固体撮像素子に撮像した光学像を結像させている。固体撮像素子上に結像された光学像は光電変換され、映像回路で増幅・処理されて所定の映像信号を得ている。
【0003】
このような色分解光学系では、図2の固体撮像素子の調整方向を示す斜視図に示すように、光軸に対して3個の固体撮像素子のそれぞれをX,Y,Z,θx,θy,θzの6軸について精度良く位置決めし、色分解プリズムに貼着固定する必要がある。
【0004】
従来の固体撮像素子を貼着固定した撮像装置としては、従来例1として、実開昭62−47289号公報「色分解光学系の取付板」に記載されたものが知られている。
【0005】
従来例1について、図に基づいて説明する。図10(a)は従来例1の色分解プリズムにスペーサを介して取付板に固体撮像素子を取り付けた平面図、図10(b)は従来例1の色分解プリズムにスペーサを介して取付板に固体撮像素子を取り付けた側面図、図11は従来例1の取付部の拡大図、図12は従来例1のスペーサの変形例を示す取付部の拡大図、である。
【0006】
図10に示すように、色分解光学系105の色分解プリズム101を挟むように取付板102が取り付けられ、3個の固体撮像素子103は前記6軸の位置決め調整後、それぞれ2個のスペーサ104を介して取付板102に接着固定される。
【0007】
図11において、色分解プリズム101に取り付けられた取付板102の出射側の端面は出射光軸に対して傾斜した傾斜面102Aを形成している。一方スペーサ104は右側面には垂直面104Aが、左側面には出射光軸に対して傾斜した傾斜面104Bがそれぞれ形成されている。図11から分かるように傾斜面102Aと傾斜面104Bの傾斜角度は略等しくして形成されている。また傾斜面102Aと傾斜面104B、垂直面104Aと固体撮像素子103の受光面側表面とは接着剤の塗布に必要な隙間を保っている。
【0008】
このような構造において、色分解光学系105を図示しない6軸調整治具に装填し、固体撮像素子103を、図2の固体撮像素子パッケージの調整方向を示す斜視図、に示すようにX,Y,Zの3軸方向及びθx,θy,θzの3軸回転方向に調整後、スペーサ104の垂直面104A、傾斜面104Bに接着剤を塗布し、取付板102の傾斜面102Aと固体撮像素子103との隙間に挿入する。
【0009】
このように構成することにより、取付板102の端面と固体撮像素子103の受光面側表面との隙間にばらつきがあってもスペーサ104の少なくとも一側面が傾斜面として構成されているので、スペーサ104の傾斜面104Bと取付板102の傾斜面102Aとは面接触となり、一対のスペーサ104で両者に接着することができる。
【0010】
また、図12に示すように、6軸調整治具による調整結果、傾斜面104B、傾斜面102Aの傾斜角度が異なっても、傾斜面104Bと傾斜面102Aとを線接触させて接着できる。
【0011】
その他に従来例2として、特開平5−37943号公報「固体撮像装置」に記載されたものが知られている。
【0012】
従来例2について、図に基づいて説明する。図13は従来例2の固体撮像装置の構成図、図14は従来例2の取付部の拡大断面図、図15は従来例2の固体撮像素子の変形例を示す取付部の拡大断面図、である。
【0013】
図13において、色分解プリズム201のそれぞれの出射面に固体撮像素子203を狭持するように一対の連結固定部材204を介して色分解プリズム201と連結固定部材204との間、及び連結固定部材204と固体撮像素子203との間を接着剤で固定している。色分解プリズム201は出射面を除き遮光用塗料202が塗布されている。
【0014】
図14に示すように、色分解プリズム201とその出射面近傍に配設された固体撮像素子203とを、連結固定する連結固定部材204に紫外線選択透過性を有するフィルタガラス、又は白板ガラスや青板ガラスに光学多層膜を蒸着して紫外線選択透過膜を形成し、紫外線硬化型接着剤が硬化するのに必要な光のみを透過させて、固体撮像素子203の感度領域の光を遮断し、色分解プリズム201と連結固定部材204及び連結固定部材204と固体撮像素子203との間に紫外線硬化型接着剤205を塗布し、固体撮像素子203を図2に示すように図示しない6軸調整治具によりX,Y,Zの3軸方向及びθx,θy,θzの3軸回転方向に調整後、紫外線を照射して接着剤205を硬化させ、色分解プリズム201と連結固定部材204と固体撮像素子203を連結固定する。
【0015】
また、図15に示すように、図示しない6軸調整治具による調整結果、固体撮像素子203が傾斜しても塗布した紫外線硬化型接着剤205が変形し、紫外線を照射して接着剤205を硬化させ、色分解プリズム201と連結固定部材204と固体撮像素子203を連結固定することができる。
【0016】
一般に接着剤は硬化時に体積が数%縮小するという、いわゆる硬化収縮の性質を有しており、これが固定時の位置精度を悪化させるが、接着層の硬化収縮に対しても、連結部材の動きで追従させることができ、固体撮像素子とプリズムブロックとの位置関係を変化させることなく、精度を保ったまま硬化させられる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の色分解プリズムと固体撮像素子の固着方式では、紫外線硬化型接着剤の塗布量が均一でなかったり、6軸調整治具の紫外線の照射に偏りがあると紫外線硬化型接着剤の硬化収縮にも偏りが生じ、最初に位置合わせをした位置からずれた位置に固体撮像素子が固定されてしまう問題点を有していた。
【0018】
また、放送用カメラ、業務用カメラ、計測用カメラにおいても固体撮像素子の高画素数化で1画素面積が縮小化され、さらに撮像面積も2/3吋、1/2吋、1/3吋からさらに小型化が進み、従来の固着方式では接着剤の硬化収縮による位置決め誤差、及び運用時の周囲温度変化による位置変動を押さえ高精度画像を維持することが困難であった。
【0019】
以上説明した現状に鑑み、本発明は接着剤の塗布量が不均一であったり、紫外線の照射に偏りがあって紫外線硬化型接着剤の硬化収縮にも偏りが生じても、固体撮像素子の位置ずれを防止でき、かつフィルタガラス等の特殊な部材を使用せず、さらに固体撮像素子の高画素数化、小型化に対応できる色分解プリズムと固体撮像素子を連結固定する撮像装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記に鑑み鋭意研究の結果、次の手段によりこの課題を解決した。
(1)テレビカメラ等に使用される複数方向に分光する複数個のプリズムと、それらの出射面近傍に配設された複数の固体撮像素子パッケージと、該固体撮像素子パッケージの受光面側表面に当接する先端部がくさび状で前記プリズム両側面に貼着された各2枚の板状ホルダと、前記固体撮像素子パッケージ表面と前記板状ホルダ先端部のくさび状の表面とで形成された間隙に充填・硬化された接着剤とからなることを特徴とする固体撮像素子を使用した撮像装置。
【0021】
(2)前記板状ホルダが、同形状の該板状ホルダを複数枚重ねてそれぞれのくさび状先端部を前記固体撮像素子パッケージの受光面側表面に当接するようにプリズム両側面に貼着され、前記固体撮像素子パッケージ表面と前記各板状ホルダ先端部のくさび状の表面とで形成された各間隙に接着剤が充填・硬化されてなることを特徴とする前項(1)に記載の固体撮像素子を使用した撮像装置。
【0022】
(3)前記固体撮像素子パッケージ表面と前記板状ホルダ先端部のくさび状の表面とで形成された間隙に、棒材を挿設してなることを特徴とする前項(1)又は(2)に記載の固体撮像素子を使用した撮像装置。
【0023】
(4)前記棒材が、プリズムの熱膨張係数と近似するもので、透明なガラス材、セラミック材又は金属材から選択される1又は2以上のものであることを特徴とする前項(1)〜(3)のいずれか1項に記載の固体撮像素子を使用した撮像装置。
【0024】
(5)テレビカメラ等に使用される複数方向に分光する複数個のプリズムと、それらの出射面近傍に配設された複数の固体撮像素子パッケージと、該固体撮像素子パッケージの受光面側表面に当接する先端部の断面が半円形状で前記プリズム両側面に貼着された各2枚の板状ホルダと、前記固体撮像素子パッケージ表面と前記板状ホルダ先端部の半円形状の表面とで形成された間隙に充填・硬化された接着剤とからなることを特徴とする固体撮像素子を使用した撮像装置。
【0025】
(6)前記板状ホルダが、プリズムの熱膨張係数と近似するもので、透明なガラス材、セラミック材又は金属材から選択される1又は2以上のものであることを特徴とする前項(1)〜(5)のいずれか1項に記載の固体撮像素子を使用した撮像装置。
【0026】
(7)前記接着剤が、光硬化型接着剤で、光線を照射して前記光硬化型接着剤を硬化させ、前記板状ホルダとプリズム及び前記板状ホルダと固体撮像素子パッケージとを連結固定してなることを特徴とする前項(1)〜(6)のいずれか1項に記載の固体撮像素子を使用した撮像装置。
【0027】
(8)前記接着剤が、熱硬化型接着剤で、熱源により前記熱硬化型接着剤を硬化させ、前記板状ホルダとプリズム及び前記板状ホルダと固体撮像素子パッケージとを連結固定してなることを特徴とする前項(1)〜(6)のいずれか1項に記載の固体撮像素子を使用した撮像装置。
(9)前記接着剤が、透光性球状フィラーを混有するものであることを特徴とする前項(1)〜(8)のいずれか1項に記載の固体撮像素子を使用した撮像装置。
【0028】
【発明の実施の形態】
本願発明実施例を図に基づいて説明する。
図1(a)は本願発明実施例の色分解プリズムの板状ホルダと固体撮像素子パッケージを取り付けた構成図、図1(b)は同発明実施例1の板状ホルダと固体撮像素子パッケージを取り付けたA,A’側面図、図2は固体撮像素子パッケージの調整方向を示す斜視図、図3は同発明実施例1の板状ホルダと固体撮像素子パッケージを取り付けた変形例1のA,A’側面図、図4は同発明実施例1の板状ホルダと固体撮像素子パッケージを取り付けた変形例2のA,A’正面図、 図5は同発明実施例2の板状ホルダと固体撮像素子パッケージを取り付けたA,A’側面図、図6は同発明実施例3の板状ホルダと固体撮像素子パッケージを取り付けたA,A’側面図、図7は同発明実施例4の板状ホルダと固体撮像素子パッケージを取り付けたA,A’側面図、図8は同発明実施例5の板状ホルダと固体撮像素子パッケージを取り付けたA,A’側面図、図9は同発明実施例6の板状ホルダと固体撮像素子パッケージの固着部拡大断面図、である。
【0029】
[実施例1]
図1において、テレビカメラ等に使用される色分解光学系1は、3方向に色分解するプリズム2と、その出射面近傍に配設された3個の固体撮像素子パッケージ3と、該固体撮像素子パッケージ3の受光面側パッケージ表面5に当接する先端部がくさび状で前記プリズム2の両側面に貼着された各2枚の板状でプリズム2の熱膨張係数と近似する透明なガラス材の板状ホルダ4と、前記固体撮像素子パッケージ表面5と前記ホルダ4先端部のくさび状の傾斜面が外側を向いた表面6とで形成された三角形状の間隙に接着剤7を充填し、前記ホルダ4と固体撮像素子パッケージ3とを連結固定するように構成され、取付板9を介して図示しないテレビカメラ筐体の前面パネル背面に取り付けられている。
【0030】
なお、固体撮像素子パッケージ3の受光面に周囲からの防害光の入射を防止するため、固体撮像素子パッケージ3の受光面を取り囲むように柔軟性を有する遮光幕をプリズム2間に配設することが好ましい。
【0031】
このような色分解光学系では、図2の固体撮像素子パッケージ3の調整方向を示す斜視図に示すように、光軸に対して3個の固体撮像素子のそれぞれをX,Y,Z,θx,θy,θzの6軸について精度良く位置決めし、色分解プリズム101に貼着固定する必要がある。
【0032】
図1において、色分解光学系1を、図示しない6軸調整治具本体に取付板9によって固定し、R,G,Bチャンネルの固体撮像素子パッケージ3とホルダ4の表面に配設された1〜3個の治具挿着用の穴8を利用又はホルダ4の端面を狭持するように、それぞれ6軸調整治具を装着し、固体撮像素子パッケージ3の表面5にホルダ4のくさび状の先端部が常に当接するように調整され、固体撮像素子パッケージ3とホルダ4の6軸調整治具は6軸調整信号によって一体となって作動する。
【0033】
光軸に対して3個の固体撮像素子のそれぞれをX,Y,Z,θx,θy,θzの6軸について精度良く位置決めが終了すると、各2枚のホルダ4の周囲と、前記固体撮像素子パッケージ表面5と前記ホルダ4先端部のくさび状の表面6とで形成された三角形状の間隙に紫外線硬化型接着剤7を充填し、紫外線を照射して接着剤7を硬化させ前記ホルダ4と固体撮像素子パッケージ3とを連結固定する。
【0034】
図3は同発明実施例1のホルダ4と固体撮像素子パッケージ3を取り付けた変形例1のA,A’側面図で、上記の図示しない6軸調整治具の調整結果、R,G,Bチャンネルの固体撮像素子パッケージ3のいずれかに左右方向のレジストレーション調整の必要性を生じ、固体撮像素子パッケージ3を傾ける場合、6軸調整治具によって固体撮像素子パッケージ3の光軸中心を維持しながらホルダ4A及びホルダ4Bを互いに前後して固体撮像素子パッケージ3を傾けてレジストレーション調整を行う。調整終了後、上記と同様に、紫外線を照射して接着剤7を硬化させてホルダ4と固体撮像素子パッケージ3を連結固定し、同様に各2枚のホルダ4の周囲に塗布された接着剤により、プリズム2とホルダ4とを連結固定する。
【0035】
図4は同発明実施例1のホルダと固体撮像素子パッケージを取り付けた変形例2のA,A’正面図で、上記の図示しない6軸調整治具の調整結果、R,G,Bチャンネルの固体撮像素子パッケージ3のいずれかに上下方向のレジストレーション調整の必要性を生じ、固体撮像素子パッケージ3を傾ける場合、6軸調整治具によって固体撮像素子パッケージ3の光軸中心を維持しながらホルダ4A及びホルダ4Bを光軸に対して同時に傾けて固体撮像素子パッケージ3のレジストレーション調整を行う。調整終了後、紫外線を照射して接着剤7を硬化させてホルダ4と固体撮像素子パッケージ3を連結固定し、同様に各2枚のホルダ4の周囲に塗布された接着剤により、プリズム2とホルダ4とを連結固定する。
【0036】
上記説明で明らかなように、変形例1と変形例2を組み合わせて調整することにより、3軸方向のX,Y,Zと、θx,θy,θzの3軸回転方向とを含む6軸方向について精度良く位置決めすることができる。
【0037】
以上の6軸調整完了後は、プリズム2の出射面を除く周囲に図示しない遮光のための塗料を塗布することが好ましい。
【0038】
[実施例2]
図5において、実施例1で示したホルダ4A,4Bに、それぞれホルダ4A’,4B’を接着剤を介して(又はホルダ周辺に接着剤を塗布して)ホルダ4先端部のくさび状の表面6,6’の傾斜が同じ方向で重ねた構成で、前記同様6軸調整後、それぞれの接着剤7及び7’に紫外線を照射して硬化させ2枚重ねのホルダ4と固体撮像素子パッケージ3を連結固定し、同様に各2枚のホルダ4同士の接着と、プリズム2とホルダ4とを連結固定する。その他の構成及び作用は実施例1と同様である。
【0039】
[実施例3]
図6において、実施例1で示したホルダ4A,4Bに、それぞれホルダ4A’,4B’を接着剤を介して(又はホルダ周辺に接着剤を塗布して)ホルダ4先端部のくさび状の表面6,6’の傾斜が相対するように重ねた構成で、前記同様6軸調整後、それぞれの接着剤7及び7’に紫外線を照射して硬化させ2枚重ねのホルダ4と固体撮像素子パッケージ3を連結固定し、同様に各2枚のホルダ4同士の接着と、プリズム2とホルダ4とを連結固定する。その他の構成及び作用は実施例1と同様である。
【0040】
[実施例4]
図7において、実施例1で示したホルダ4A,4Bに、それぞれ前記ホルダ4A’,4B’を一体構造にしてホルダ4とし、その先端部のくさび状の表面6,6’の傾斜が互いに反対方向になるように形成した構成で、前記同様6軸調整後、それぞれの接着剤7及び7’に紫外線を照射して硬化させホルダ4と固体撮像素子パッケージ3を連結固定し、同様にプリズム2とホルダ4とを連結固定する。その他の構成及び作用は実施例1と同様である。
【0041】
[実施例5]
図8において、実施例1で示したホルダ4A,4Bの、その先端部のくさび状の表面に替えて、半円形状の表面11になるように形成した構成で、前記同様6軸調整後、それぞれの接着剤7及び7’に紫外線を照射して硬化させホルダ4と固体撮像素子パッケージ3を連結固定し、同様にプリズム2とホルダ4とを連結固定する。その他の構成及び作用は実施例1と同様である。
【0042】
[実施例6]
図9において、前記固体撮像素子パッケージ3の受光面側パッケージ表面5に当接する先端部がくさび状で前記プリズム2の側面に貼着された各2枚の板状でプリズム2の熱膨張係数と近似する透明なガラス材のホルダ4と、前記固体撮像素子パッケージ表面5と前記ホルダ4先端部のくさび状の傾斜面が外側を向いた表面6とで形成された三角形状の間隙にプリズム2の熱膨張係数と近似する透明なガラス材で円柱状の棒材10をそれぞれの面に当接するように配設して接着剤7を塗布し、前記同様6軸調整後、接着剤7に紫外線を照射して硬化させ、ホルダ4と固体撮像素子パッケージ3を連結固定し、同様にプリズム2とホルダ4とを連結固定する。その他の構成及び作用は実施例1と同様である。
【0043】
以上の実施例において、接着剤は紫外線硬化型接着剤を用いて説明したが、この他に、6軸調整治具の接着作業用の光線源に拡散型メタルハライドランプなど可視光線により硬化し固着できる光硬化型接着剤を使用しても良い。
【0044】
さらに、前記接着剤が透光性球状フィラーを混有することにより、かたさ等機械的性質が向上し、さらに重合収縮が少なくなり、熱膨張係数が小さくなることが期待できる。
【0045】
以上の実施例において、棒材10及びホルダ4の材質はガラス材としたが、その他にプリズム2の熱膨張係数と近似するセラミック材又はチタンなど金属材でも良く、その場合は接着剤に熱硬化型接着剤を使用し、熱風源又は熱線源によって接着剤を硬化させ、ホルダ4と固体撮像素子パッケージ3を連結固定し、同様にプリズム2とホルダ4とを連結固定しても良い。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような効果が発揮される。
1.本願発明の請求項1の発明によれば、
熱硬化型又は光硬化型接着剤の塗布量が不均一であったり、熱分布又は光線の照射に偏りがあって接着剤の硬化収縮に偏りが生じても、前記板状ホルダのくさび状の先端部が固体撮像素子パッケージの受光面側表面に当接しているため、接着剤の硬化収縮があってもその影響を受けず、したがって、固体撮像素子パッケージの位置ずれを防止できるので、固体撮像素子の高画素数化、小型化に対応できる高精度連結固定が可能になる。
【0047】
また、前記板状ホルダが固体撮像素子パッケージの受光面側表面に当接しているので、運用時においても周囲温度変化による接着剤の収縮の影響を受けないため、固体撮像素子パッケージの位置変動が無く高精度画像を提供できる。
【0048】
さらに、前記板状ホルダが固体撮像素子パッケージの受光面側表面に当接しているため、接着剤の塗布作業時に接着剤が固体撮像素子の受光面側にはみ出すことがないので、光学系を汚したり、接着剤による光学像の乱反射等が防止できる。
【0049】
2.本願発明の請求項2の発明によれば、
前項の効果に加え、同形状の前記板状ホルダを複数枚重ねてそれぞれのくさび状先端部を前記固体撮像素子パッケージの受光面側表面に当接するようにプリズム側面に貼着され、前記固体撮像素子パッケージ表面と前記各板状ホルダ先端部のくさび状の表面とで形成された各三角形状の間隙に接着剤を塗布し、前記複数枚の板状ホルダと固体撮像素子パッケージとを連結固定しているので、接着面積が2倍以上に大きくなり接着強度が増強されるので、極めて小型なプリズムと小型な固体撮像素子パッケージの組み合わせでも強固に固着できる。
【0050】
3.本願発明の請求項3の発明によれば、
さらに前項の効果に加え、前記各三角形状の間隙に棒材を挿設することで接着剤の塗布量が少なく、かつ接着剤が分散され、また、前記固体撮像素子パッケージ表面と前記板状ホルダ先端部のくさび状の表面とで形成された三角形状の間隙に、それぞれの面に当接するように棒材を挿設し、前記板状ホルダと固体撮像素子パッケージとを連結固定しているので、接着剤の硬化収縮があってもその影響を受けない。
【0051】
4.本願発明の請求項4の発明によれば、
前記棒材が、プリズムの熱膨張係数と近似する透明なガラス材、セラミック材又は金属材のいずれでも使用できるので、固体撮像素子の6軸調整治具の前記板状ホルダをプリズムに固着する接着方式によって使用材料を選定することができる。
【0052】
5.本願発明の請求項5の発明によれば、
請求項1の効果と同様に、熱硬化型又は光硬化型接着剤の塗布量が不均一であったり、熱分布又は光線の照射に偏りがあって接着剤の硬化収縮に偏りが生じても、前記板状ホルダ断面の半円形状表面先端部が固体撮像素子パッケージの受光面側表面に当接しているため、接着剤の硬化収縮があってもその影響を受けず、したがって、固体撮像素子パッケージの位置ずれを防止できるので、固体撮像素子の高画素数化、小型化に対応できる高精度連結固定が可能になる。
【0053】
6.本願発明の請求項6の発明によれば、
前記板状ホルダが、プリズムの熱膨張係数と近似する透明なガラス材、セラミック材又は金属材のいずれでも使用できるので、固体撮像素子の6軸調整治具の前記板状ホルダをプリズムに固着する接着方式によって使用材料を選定することができる。
【0054】
7.本願発明の請求項7の発明によれば、
前記板状ホルダ及び棒材に透明でプリズムの熱膨張係数と近似するガラス材を用いて前記光硬化型接着剤を塗布し、光線を照射して硬化し、前記板状ホルダとプリズム及び前記板状ホルダと固体撮像素子パッケージとを連結固定できるので、製造工数の削減と、作業効率が向上する効果がある。
【0055】
8.本願発明の請求項8の発明によれば、
前記板状ホルダ及び棒材にセラミック材又は金属材を用いて熱硬化型接着剤を塗布し、熱源により前記熱線硬化型接着剤を硬化させ、前記板状ホルダとプリズム及び前記板状ホルダと固体撮像素子パッケージとを連結固定する方式も採用できるため前記6軸調整治具の固着方式に対応が容易になる。
【0056】
9.本願発明の請求項9の発明によれば、
前記接着剤に透光性球状フィラーを混有することにより、かたさ等機械的性質が向上し、さらに重合収縮が少なくなり、熱膨張係数が小さくなることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本願発明実施例の色分解プリズムの板状ホルダと固体撮像素子パッケージを取り付けた構成図。
(b)同発明実施例1の板状ホルダと固体撮像素子パッケージを取り付けたA,A’側面図。
【図2】固体撮像素子パッケージの調整方向を示す斜視図。
【図3】同発明実施例1の板状ホルダと固体撮像素子パッケージを取り付けた変形例1のA,A’側面図。
【図4】同発明実施例1の板状ホルダと固体撮像素子パッケージを取り付けた変形例2のA,A’平面図。
【図5】同発明実施例2の板状ホルダと固体撮像素子パッケージを取り付けたA,A’側面図。
【図6】同発明実施例3の板状ホルダと固体撮像素子パッケージを取り付けたA,A’側面図。
【図7】同発明実施例4の板状ホルダと固体撮像素子パッケージを取り付けたA,A’側面図。
【図8】同発明実施例5の板状ホルダと固体撮像素子パッケージを取り付けたA,A’側面図。
【図9】同発明実施例6の板状ホルダと固体撮像素子パッケージの固着部拡大断面図。
【図10】(a)従来例1の色分解プリズムにスペーサを介して取付板に固体撮像素子を取り付けた平面図。
(b)従来例1の色分解プリズムにスペーサを介して取付板に固体撮像素子を取り付けた側面図。
【図11】従来例1の取付部の拡大図。
【図12】従来例1のスペーサの変形例を示す取付部の拡大図。
【図13】従来例2の固体撮像装置の構成図。
【図14】従来例2の取付部の拡大断面図。
【図15】従来例2の固体撮像素子の変形例を示す取付部の拡大断面図。
【符号の説明】
1:色分解光学系 2:プリズム
3:固体撮像素子パッケージ
4,4A,4A’4B,4B’:ホルダ
5:パッケージ表面 6,6’:くさび状の表面
7,7’:接着剤 8:穴
9:取付板 10:棒材
11:半円形状の表面
101:色分解プリズム 102:取付板
102A:傾斜面 103:固体撮像素子
104:スペーサ 104A:垂直面
104B:傾斜面 105:色分解光学系
201:色分解プリズム 202:遮光用塗料
203:固体撮像素子 204:連結固定部材
205:紫外線硬化型接着剤
Claims (9)
- テレビカメラ等に使用される複数方向に分光する複数個のプリズムと、それらの出射面近傍に配設された複数の固体撮像素子パッケージと、該固体撮像素子パッケージの受光面側表面に当接する先端部がくさび状で前記プリズム両側面に貼着された各2枚の板状ホルダと、前記固体撮像素子パッケージ表面と前記板状ホルダ先端部のくさび状の表面とで形成された間隙に充填・硬化された接着剤とからなることを特徴とする固体撮像素子を使用した撮像装置。
- 前記板状ホルダが、同形状の該板状ホルダを複数枚重ねてそれぞれのくさび状先端部を前記固体撮像素子パッケージの受光面側表面に当接するようにプリズム両側面に貼着され、前記固体撮像素子パッケージ表面と前記各板状ホルダ先端部のくさび状の表面とで形成された各間隙に接着剤が充填・硬化されてなることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子を使用した撮像装置。
- 前記固体撮像素子パッケージ表面と前記板状ホルダ先端部のくさび状の表面とで形成された間隙に、棒材を挿設してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体撮像素子を使用した撮像装置。
- 前記棒材が、プリズムの熱膨張係数と近似するもので、透明なガラス材、セラミック材又は金属材から選択される1又は2以上のものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体撮像素子を使用した撮像装置。
- テレビカメラ等に使用される複数方向に分光する複数個のプリズムと、それらの出射面近傍に配設された複数の固体撮像素子パッケージと、該固体撮像素子パッケージの受光面側表面に当接する先端部の断面が半円形状で前記プリズム両側面に貼着された各2枚の板状ホルダと、前記固体撮像素子パッケージ表面と前記板状ホルダ先端部の半円形状の表面とで形成された間隙に充填・硬化された接着剤とからなることを特徴とする固体撮像素子を使用した撮像装置。
- 前記板状ホルダが、プリズムの熱膨張係数と近似するもので、透明なガラス材、セラミック材又は金属材から選択される1又は2以上のものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体撮像素子を使用した撮像装置。
- 前記接着剤が、光硬化型接着剤で、光線を照射して前記光硬化型接着剤を硬化させ、前記板状ホルダとプリズム及び前記板状ホルダと固体撮像素子パッケージとを連結固定してなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体撮像素子を使用した撮像装置。
- 前記接着剤が、熱硬化型接着剤で、熱源により前記熱線硬化型接着剤を硬化させ、前記板状ホルダとプリズム及び前記板状ホルダと固体撮像素子パッケージとを連結固定してなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体撮像素子を使用した撮像装置。
- 前記接着剤が、透光性球状フィラーを混有するものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体撮像素子を使用した撮像装置。
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