図1は、本発明の一実施例である無線タグ通信システム10を説明する図である。この図1に示すように、本実施例の無線タグ通信システム10は、本発明の一実施例である複数(図1では14台)の無線タグ通信装置12#1、12#2、12#3、・・・、12#14(以下、特に区別しない場合には単に無線タグ通信装置12と称する)と、それら無線タグ通信装置12の通信対象である単数乃至は複数(図1では6つ)の無線タグ14a、14b、14c、・・・、14f(以下、特に区別しない場合には単に無線タグ14と称する)とから構成される所謂RFID(Radio Frequency Identification)システムであり、上記無線タグ通信装置12はそのRFIDシステムの質問器として、上記無線タグ14は応答器としてそれぞれ機能する。すなわち、上記無線タグ通信装置12から質問波Fc(送信信号)が上記無線タグ14に向けて送信されると、その質問波Fcを受信した上記無線タグ14において所定の情報信号(データ)によりその質問波Fcが変調され、応答波Fr(返信信号)として上記無線タグ通信装置12に向けて返信されることで、その無線タグ通信装置12と無線タグ14との間で情報の通信が行われる。上記複数の無線タグ通信装置12は、好適には、図1に示すように互いに隣接する3台が平面視において正三角形の頂点それぞれに位置するように配設されている。すなわち、図1において各無線タグ通信装置12を中心とする細い破線で示す円は、それぞれの通信範囲(通信可能範囲)を示しており、各無線タグ通信装置12は、それらの通信範囲が間に隙間が生じないように周辺部が重複(オーバーラップ)する状態で配設されている。また、後述するように、上記無線タグ通信システム10は、上記複数の無線タグ通信装置12を制御する制御装置72(図示せず)を備えている。
図2は、上記無線タグ通信装置12の構成を説明する図である。図2に示すように、上記無線タグ通信装置12は、上記質問波Fcの主搬送波を発生させる基準周波数発生部16と、その基準周波数発生部16により発生させられる基準波と制御部30からの制御信号とに基づいて主搬送波の周波数を設定するPLL(Phase Locked Loop)17と、その主搬送波の周波数をPLL17からの制御電圧に応じて制御するVCO(Voltage Controlled Oscillator)18と、そのVCO18により制御された所定の周波数の主搬送波を所定の制御信号TX‐ASKに基づいて振幅変調して送信信号を生成する主搬送波変調部19と、その主搬送波変調部19から出力される送信信号を所定の制御信号TX‐PWRに基づいて増幅する送信信号増幅部20と、その送信信号増幅部20から出力される送信信号を所定のコマンドを含む質問波Fcとして通信対象である無線タグ14に向けて送信すると共に、その質問波Fcに応じてその無線タグ14から返信される応答波Frを受信するための、指向性が広角である送受信共用のアンテナ22と、そのアンテナ22により受信された受信信号を互いに直交するI相信号及びQ相信号に変換するI相信号変換部23及びQ相信号変換部24と、上記送信信号増幅部20から出力される送信信号を上記アンテナ22に供給すると共に、そのアンテナ22により受信された受信信号を上記I相信号変換部23及びQ相信号変換部24に供給する送受信分離部21と、そのI相信号変換部23から出力されるI相信号のうち所定の周波数帯域の信号のみを抽出するI相信号BPF(Band Pass Filter)25と、そのI相信号BPF25から出力されるI相信号を増幅するI相信号増幅部26と、上記Q相信号変換部24から出力されるQ相信号のうち所定の周波数帯域の信号のみを抽出するQ相信号BPF27と、そのQ相信号BPF27から出力されるQ相信号を増幅するQ相信号増幅部28と、上記I相信号増幅部26及びQ相信号増幅部28から出力されるI相信号及びQ相信号の強度を検出するRSSI(Recieved Signal Strength Indicator)29と、上記据置式無線タグ通信装置12の動作を制御するDSP(Digital Signal Processor)30とを、備えて構成されている。ここで、上記送受信分離部21としては、サーキュレータ若しくは方向性結合器等が好適に用いられる。
前記DSP30は、CPU、ROM、及びRAM等を含んで構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う所謂マイクロコンピュータであり、送信データの生成、前記無線タグ14に向けて前記送信信号を送信する送信制御、その送信信号に応じて前記無線タグ14から返信される返信信号を受信する受信制御、受信された受信信号を復調する復調制御、及び前記制御装置72等との間の情報通信制御等を実行する。斯かる制御を実行するため、送信データ生成部40、送信制御部42、受信制御部44、受信信号復調部48、記憶部52、及び通信インターフェイス54を機能的に含んでいる。
送信データ生成部40は、前記送信信号を変調するための所定の送信情報信号である送信データを生成して前記送信信号変調部18に供給する。送信制御部42は、前記制御装置72からの指令に従って前記無線タグ14に対して送信信号を送信する送信制御を行う。また、前記送信制御部42は、前記送信信号の送信タイミングを制御する送信タイミング制御部として機能するものであり、前記記憶部52に記憶されたグループ情報に応じて前記送信信号の送信タイミングを制御する。或いは、前記制御装置72による前記無線タグ通信装置12の識別番号(装置ID)の呼び出しに応じて前記送信信号の送信タイミングを制御する。また、受信制御部44は、前記するRSSI29の出力に基づき、前記I相信号あるいは前記Q相信号の何れの信号を受信信号として復調するかを判定する。これにより、二つの受信信号のうち、信号強度の強いほうを選択的に利用して受信することで、無線タグからの応答波の位相に関わらず、安定した受信を可能となる。受信信号復調部48は、上記受信制御部44により選択される前記I相信号或いは前記Q相信号の何れかの受信信号を復調する。好適には、前記受信信号をFM復号化して前記無線タグ14により返信された情報信号を読み出す。
記憶部52は、フラッシュROMやハードディスク等の記憶装置であり、前記無線タグ通信装置12による前記無線タグ14との間の通信に関する情報を記憶する。また、この記憶部52は、前記無線タグ通信装置12の属するグループ情報を記憶するグループ情報記憶部として機能するものであり、好適には、後述するように他の無線タグ通信装置12との相対位置関係から求められたグループ情報を記憶する。
通信インターフェイス54は、LAN等を介して前記制御装置72との間で情報の通信を行う。例えば、前記制御装置72からの指令を受信したり、前記無線タグ14との間で情報の通信を行った結果(検出結果)を前記制御装置72へ送信する等の制御を行う。
図3は、前記無線タグ14の構成を説明する図である。この図3に示すように、前記無線タグ14は、前記無線タグ通信装置12との間で信号の送受信を行うためのアンテナ部56と、そのアンテナ部56により受信された信号を処理するためのIC回路部58とを、備えて構成されている。そのIC回路部58は、上記アンテナ部56により受信された前記無線タグ通信装置12からの質問波(送信信号)を整流する整流部60と、その整流部60により整流された質問波のエネルギを蓄積するための電源部62と、上記アンテナ部56により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部70に供給するクロック抽出部64と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部66と、上記アンテナ部56に接続されて信号の変調及び復調を行う変復調部68と、上記整流部60、クロック抽出部64、及び変復調部68等を介して上記無線タグ14の作動を制御するための制御部70とを、機能的に含んでいる。この制御部70は、前記無線タグ通信装置12と通信を行うことにより上記メモリ部66に上記所定の情報を記憶する制御や、上記アンテナ部56により受信された質問波を上記変復調部68において上記メモリ部66に記憶された情報信号に基づいて変調したうえで応答波として上記アンテナ部56から反射返信する制御等の基本的な制御を実行する。
図4は、前記制御装置72に備えられた制御機能を説明すると共に、その制御装置72と前記複数の無線タグ通信装置12が接続されている様子を説明する図である。前記制御装置72は、CPU、ROM、及びRAM等を含んで構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う所謂マイクロコンピュータであり、前記複数の無線タグ通信装置12の駆動を制御することにより、それら無線タグ通信装置12を連携動作させ、前記無線タグ通信システム10における前記無線タグ14の検出乃至は管理を統合的に制御する。斯かる制御を実行するため、位置関係判定部74、送信制御部76、及び通信インターフェイス80を機能的に含んでいる。また、ハードディスク等の記憶装置78を備えている。
位置関係判定部74は、前記複数の無線タグ通信装置12の相対位置関係を判定する。この判定は、例えば、前記複数の無線タグ通信装置12に自局の通信範囲内に配設されている無線タグ14を検出する動作を実行させ、その検出結果を受信して参照することとにより行う。図1では、各無線タグ通信装置12の通信範囲(通信可能範囲)を細い鎖線で示しているが、この図1に示すように、前記複数の無線タグ通信装置12は、それぞれの通信範囲が一部の範囲において他の無線タグ通信装置12の通信範囲と重なっている。上記位置関係判定手段74は、そのように通信範囲が重なっている複数の無線タグ通信装置12をを互いに隣接した位置関係にあると判定するものであり、好適には、所定時間内に同一の無線タグ14との間で情報の通信が成立する複数の無線タグ通信装置12を互いに隣接した位置関係にあると判定する。更に好適には、所定時間内に同一の無線タグ14との間で情報の通信が複数回連続して成立する複数の無線タグ通信装置12を互いに隣接した位置関係にあると判定する。
送信制御部76は、前記位置関係判定部74による判定結果に応じて各無線タグ通信装置12からの前記送信信号の送信を制御する。この送信制御部76は、好適には、前記無線タグ通信装置12が隣接位置関係にある場合、その無線タグ通信装置と異なるタイミングで前記送信信号を送信するように制御する。また、好適には、前記複数の無線タグ通信装置12を複数のグループに分類して各グループ毎に異なるタイミングで前記送信信号を送信するように制御するものであり、前記位置関係判定部74により互いに隣接した位置関係にあると判定された無線タグ通信装置12をそれぞれ別グループとなるように分類する。更に、異なるグループに属する各無線タグ通信装置12からの前記送信信号の送信タイミングを乱数を用いる等して無作為に変化させて相互に異ならせる。
記憶装置78は、前記複数の無線タグ通信装置12の相対位置関係を記憶する。好適には、前記位置関係判定部74による判定結果を記憶する。また、好適には、上記送信制御部76により決定された前記複数の無線タグ通信装置12と、それら無線タグ通信装置12が分類されたグループの対応関係を記憶する。図5は、この記憶装置78に記憶される前記複数の無線タグ通信装置12の相対位置関係を例示する図である。この図5では、同一の無線タグ14との間で情報の通信が成立する単数乃至は複数の無線タグ通信装置12を示している。例えば、前記無線タグ通信装置12#2及び12#5は共に前記無線タグ14b(Tag_B)との間で通信が成立することを示しており、これらの無線タグ通信装置12#2及び12#5は互いに隣接した位置関係にあると考えることができる。また、前記無線タグ通信装置12#8、12#9、12#12は共に前記無線タグ14f(Tag_F)との間で通信が成立することを示しており、これらの無線タグ通信装置12#8、12#9、12#12は互いに隣接した位置関係にあると考えることができる。この記憶装置78の記憶内容は、好適には、前記無線タグ通信装置12により前記無線タグ14との間で情報の通信が成立する毎に更新される。
通信インターフェイス80は、LAN等を介して前記複数の無線タグ通信装置12との間で情報の通信を行う。例えば、各無線タグ通信装置12への指令を送信したり、前記無線タグ14との間で情報の通信を行った結果(検出結果)を各無線タグ通信装置12から受信する等の制御を行う。
図6は、前記制御装置72による前記複数の無線タグ通信装置12を用いた前記無線タグ14の検出制御(RFID通信制御)について説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)SAにおいて、各グループに属している無線タグ通信装置12による前記無線タグ14の検出(探索)が行われる。次に、SBにおいて、グループに属さない無線タグ通信装置12による前記無線タグ14の検出が行われる。次に、SCにおいて、検出された無線タグ14のID及びその無線タグ14を検出した無線タグ通信装置12のIDが関連付けられてリスト化される。そして、SDにおいて、前記記憶装置78の記憶内容である前記複数の無線タグ通信装置12の相対位置関係及びグループ情報が更新された後、本ルーチンが終了させられる。
図7は、図6のSAにおける各グループに属している無線タグ通信装置12による前記無線タグ14の検出制御を詳述するサブルーチンである。この制御では、先ず、SA1において、グループ番号が初期化される。次に、SA2において、全グループのチェックが終了したか否かが判断される。このSA2の判断が肯定される場合には、それをもってメインルーチンへ復帰させられるが、SA2の判断が否定される場合には、SA3において、グループNiに1台の無線タグ通信装置12も登録されていないか否かが判断される。このSA3の判断が肯定される場合には、SA8において、次のグループ番号が指定された後、SA2以下の処理が再び実行されるが、SA3の判断が否定される場合には、SA4において、グループNiに登録された無線タグ通信装置12は1台であるか否かが判断される。このSA4の判断が肯定される場合には、SA5において、グループNiに属する無線タグ通信装置12に対してそのID(スキャナ名)が指定されて前記無線タグ14の検出が指示され、SA7において、SA5の指示に応じた前記無線タグ通信装置12による前記無線タグ14の検出結果がその無線タグ通信装置12と関連付けられて記憶された後、SA8以下の処理が実行されるが、SA4の判断が否定される場合には、SA6において、グループNiに属する無線タグ通信装置12に対してそのグループ名Niが指定されて前記無線タグ14の検出が指示され、SA7において、SA5の指示に応じた前記無線タグ通信装置12による前記無線タグ14の検出結果がその無線タグ通信装置12と関連付けられて記憶された後、SA8以下の処理が実行される。
図8は、図6のSBにおける各グループに属さない無線タグ通信装置12による前記無線タグ14の検出制御を詳述するサブルーチンである。この制御では、先ず、SB1において、何れのグループにも属さない無線タグ通信装置12がリストアップされる。次に、SB2において、SB1にて作成されたリストに無線タグ通信装置12が入っているか否かが判断される。このSB2の判断が否定される場合には、それをもってメインルーチンへ復帰させられるが、SB2の判断が肯定される場合には、SB3において、SB1にて作成されたリストの先頭にある無線タグ通信装置12に対してそのIDが指定されて前記無線タグ14の検出が指示される。次に、SB4において、SB3の指示に応じた前記無線タグ通信装置12による前記無線タグ14の検出結果がその無線タグ通信装置12と関連付けられて記憶される。次に、SB5において、SB3にて指定された無線タグ通信装置12がリストから消去された後、SB2以下の処理が再び実行される。
図9、図10、及び図10a乃至図10cは、図6のSCにおける検出された無線タグ14のID及びその無線タグ14を検出した無線タグ通信装置12のIDを相互に関連付けてリスト化する制御を詳述するサブルーチンである。この制御では、先ず、図9のSC1において、タグリストにおける先頭の無線タグ14が選択される。次に、SC2において、SC1にて選択された無線タグ14が2台の無線タグ通信装置12によって検出されて(読まれて)いるか否かが判断される。このSC2の判断が否定される場合には、SC7以下の処理が実行されるが、SC2の判断が肯定される場合には、SC3において、SC1にて選択された無線タグ14を検出した2台の無線タグ通信装置12が何れも所定のグループに属しているか否かが判断される。このSC3の判断が肯定される場合には、図10のSC10以下の処理が実行されるが、SC3の判断が否定される場合には、SC4において、SC1にて選択された無線タグ14を検出した2台の無線タグ通信装置12のうち一方の無線タグ通信装置12だけが所定のグループに属しているか否かが判断される。このSC4の判断が肯定される場合には、SC5において、グループに属している方の無線タグ通信装置12のグループと同じサフィックスiを持つ新しいグループXi (XはA、B、C以外の値とする)が作成され、SC1にて選択された無線タグ14を検出した2台の無線タグ通信装置12のうちグループに属していない方の無線タグ通信装置12がそのグループXiに配属された後、SC7以下の処理が実行されるが、SC4の判断が否定される場合には、SC6において、他のグループに使われていないサフィックスjを持つ新しいグループAj、Bj作成され、SC1にて選択された無線タグ14を検出した2台の無線タグ通信装置12のうちIDが小さい方の無線タグ通信装置12がAjに、IDが大きい方の無線タグ通信装置12がBjにそれぞれ配属された後、SC7において、タグリストの最後であるか否かが判断される。このSC7の判断が肯定される場合には、SC8において、グループ名が変更された無線タグ通信装置12にグループ名の変更が指示された後、メインルーチンへ復帰させられるが、SC7の判断が否定される場合には、タグリストから次の無線タグ14が選択された後、SC2以下の処理が再び実行される。
図10のSC10では、図9のSC1にて選択された無線タグ14を検出した2台の無線タグ通信装置12が何れも同一のサフィックスで同じグループに属しているか否かが判断される。このSC10の判断が肯定される場合にはグループ内の無線タグ通信装置12が隣接している状態なので、SC11において、図9のSC1にて選択された無線タグ14を検出した2台の無線タグ通信装置12がグループから削除され、その削除によってグループが空になった場合にはそのグループ自体も削除された後、図9のSC7以下の処理が実行される。SC10の判断が否定される場合には、SC12において、図9のSC1にて選択された無線タグ14を検出した2台の無線タグ通信装置12が互いに異なるサフィックスを持つグループにそれぞれ属しているか否かが判断される。このSC12の判断が肯定される場合には、サフィックスで分けられた二つのグループ群の隣接関係が判るため、SC13において、サフィックスの大きい方すなわちjの無線タグ通信装置12が登録されているグループのグループ名をサフィックスが小さい方すなわち i のグループ群の新しいグループXiに変更され、SC14において、サフィックスがjである他のグループ名が全てX(n)iに変更された後、図9のSC7以下の処理が実行される。SC12の判断が否定される場合には、同じグループ群内の隣接関係をさらに明確にすることができるので、SC15において、図9のSC1にて選択された無線タグ14を検出した2台の無線タグ通信装置12の両方が、グループAi、Bi、Ciの何れかに属しているか否かが判断される。このSC15の判断が肯定される場合には、選択された二つの無線タグ通信装置12の隣接関係が既に最適化されているので、図9のSC7以下の処理が実行されるが、SC15の判断が否定される場合には、SC16において、図9のSC1にて選択された無線タグ14を検出した2台の無線タグ通信装置12の何れかが、グループAi、Bi、Ciの何れかに属しているか否かが判断される。このSC16の判断が否定される場合には、選択された二つの無線タグ通信装置12の隣接関係の最適化には情報が不足しているため、図9のSC7以下の処理が実行される。SC16の判断が肯定される場合には、選択された二つの無線タグ通信装置12の隣接関係の最適化が行えるため、SC17において、片方の無線タグ通信装置12がグループAiに分類されているか否かが判断され、このSC17の判断が肯定される場合には、図10aのSC19以下の処理が実行されるが、SC17の判断が否定される場合は、SC18において、片方の無線タグ通信装置12がグループBiに分類されているか否かが判断される。SC18の判断が肯定される場合には、図10bのSC23以下の処理が実行されるが、否定される場合は、片方の無線タグ通信装置12がグループCiに分類されていると判断され、図10cのSC27以下の処理が実行される。
図10aのSC19では、他方の無線タグ通信装置12かそれと同じグループにある無線タグ通信装置12が、過去にグループBiの無線タグ通信装置12と隣接関係があったか否かが判断される。このSC19の判断が肯定される場合は、他方の無線タグ通信装置12が含まれるグループが、グループAi、グループBiの両方と隣接関係があると判断できるので、SC20において、他方の無線タグ通信装置12が分類されているグループのグループ名をCiとして、SC7以下の処理が再び実行される。SC19の処理が否定される場合は、SC21において、他方の無線タグ通信装置12かそれと同じグループにある無線タグ通信装置12が、過去にグループCiの無線タグ通信装置12と隣接関係があったか否かが判断される。このSC21の判断が肯定される場合は、他方の無線タグ通信装置12が含まれるグループが、グループAi、グループCiの両方と隣接関係があると判断できるので、SC22において、他方の無線タグ通信装置12が分類されているグループのグループ名をBiとして、SC7以下の処理が再び実行される。SC21の判断が否定される場合は、隣接関係の最適化を行うための情報が不十分と判断され、SC7以下の処理が再び実行される。
同様に、図10bのSC23では、他方の無線タグ通信装置12かそれと同じグループにある無線タグ通信装置12が、過去にグループAiの無線タグ通信装置12と隣接関係があったか否かが判断される。このSC23の判断が肯定される場合は、他方の無線タグ通信装置12が含まれるグループが、グループAi、グループBiの両方と隣接関係があると判断できるので、SC24において、他方の無線タグ通信装置12が分類されているグループのグループ名をCiとして、SC7以下の処理が再び実行される。SC23の判断が否定される場合は、SC25において、他方の無線タグ通信装置12かそれと同じグループにある無線タグ通信装置12が、過去にグループCiの無線タグ通信装置12と隣接関係があったか否かが判断される。このSC25の判断が肯定される場合は、他方の無線タグ通信装置12が含まれるグループが、グループBi、グループCiの両方と隣接関係があると判断できるので、SC26において、他方の無線タグ通信装置12が分類されているグループのグループ名をAiとして、SC7以下の処理が再び実行される。SC25の判断が否定される場合は、隣接関係の最適化を行うための情報が不十分と判断され、SC7以下の処理が再び実行される。
また、図10cのSC27では、他方の無線タグ通信装置12かそれと同じグループにある無線タグ通信装置12が、過去にグループAiの無線タグ通信装置12と隣接関係があったか否かが判断される。このSC27の判断が肯定される場合は、他方の無線タグ通信装置12が含まれるグループが、グループAi、グループCiの両方と隣接関係があると判断できるので、SC28において、他方の無線タグ通信装置12が分類されているグループのグループ名をBiとして、SC7以下の処理が再び実行される。SC27の判断が否定される場合は、SC29において、他方の無線タグ通信装置12かそれと同じグループにある無線タグ通信装置12が、過去にグループBiの無線タグ通信装置12と隣接関係があったか否かが判断される。このSC29の判断が肯定される場合は、他方の無線タグ通信装置12が含まれるグループが、グループBi、グループCiの両方と隣接関係があると判断できるので、SC30において、他方の無線タグ通信装置12が分類されているグループのグループ名をAiとして、SC7以下の処理が再び実行される。SC29の判断が否定される場合は、隣接関係の最適化を行うための情報が不十分と判断し、SC7以下の処理が再び実行される。
図11は、前記無線タグ通信装置12による前記無線タグ14の検出制御について説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
先ず、S1において、前記制御装置72よりグループ名の変更指示(前記制御装置72におけるSDの処理)があったか否かが判断される。このS1の判断が肯定される場合には、S2において、自局のグループ名が前記制御装置72から指示されたグループ名に変更され、そのグループ名が前記記憶部52に記憶された後、S1以下の処理が再び実行されるが、S1の判断が否定される場合には、S3において、前記制御装置72からグループ名(Ni)を指定した前記無線タグ14の検出指示(前記制御装置72におけるSA6の処理)があったか否かが判断される。このS3の判断が否定される場合には、S11以下の処理が実行されるが、S3の判断が肯定される場合には、S4において、前記制御装置72から指示されたグループ名(Ni)が前記記憶部52に記憶された自局のグループ名と同一であるか否かが判断される。このS4の判断が否定される場合には、S1以下の処理が再び実行されるが、S4の判断が肯定される場合には、S5において、乱数Aが算出される。次に、S6において、S5にて算出された乱数Aが0.5以下であるか否かが判断される。このS6の判断が肯定される場合には、S10において、前記無線タグ14を検出するためのタグ探索処理が実行され、S13以下の処理が実行されるが、S6の判断が否定される場合には、S9において、同じグループ内の他の無線タグ通信装置12と送信信号の送信タイミングを異ならせるために所定時間待機(ウェイト)させられ、S10において、前記無線タグ14を検出するためのタグ探索処理が実行された後、S13以下の処理が実行される。S11では、前記制御装置72から自局のスキャナIDを指定した前記無線タグ14の検出指示(前記制御装置72におけるSA5またはSB3の処理)があったか否かが判断される。このS11の判断が肯定される場合には、S10において、前記無線タグ14を検出するためのタグ探索処理が実行され、S13において、前記無線タグ14の検出結果が前記制御装置72に送信(報告)された後、S1以下の処理が再び実行されるが、S11の判断が否定される場合には、S13において、前記無線タグ14の検出結果が前記制御装置72に送信された後、S1以下の処理が再び実行される。
ここで、図8を用いて前述した制御は、図12に示すような制御に置き換えられてもよい。この図12において、図8を用いて前述した制御と共通するステップについては同一の符号を付してその説明を省略する。この制御において、SB2の判断が肯定される場合、すなわち前述したSB1にて作成されたリストに無線タグ通信装置12が入っていると判断される場合には、SB6において、リスト内からランダムにN個の無線タグ通信装置12が選択される。次に、SB7において、SB6にて選択された無線タグ通信装置12に対してそれらのスキャナIDが指定され、前記無線タグ14の検出が指示された後、SB4以下の処理が実行される。このような制御によっても、互いに隣接する無線タグ通信装置12による通信が繰り返し重畳するのを防止することができる。
図13乃至図19は、以上に詳述した制御により、前記複数の無線タグ通信装置12が通信の重畳を発生させることなく可及的に効率の良い連携を行い得るようにグループ分けされる様子を順を追って説明する図である。先ず、図13は、前記複数の無線タグ通信装置12が、互いに隣接する3台が平面視において正三角形の頂点それぞれに位置するように配設された初期状態を示している。この状態では、前記複数の無線タグ通信装置12の相対位置関係(隣接関係)は判定されておらず、それら無線タグ通信装置12は、未だ何れのグループにも分類されていない。この場合には、図13の右側に示すように、スキャナが順に呼び出されてタグ探索の通信が行われる。
図14は、前記無線タグ通信装置12#2と無線タグ通信装置12#5との隣接関係が判定された際のグループ分けを示している。この図14に示すように、前記無線タグ通信装置12#2と無線タグ通信装置12#5とが互いに隣接関係にあると判定された場合、それらは別グループとなるように分類される。例えば、前記無線タグ通信装置12#2がグループA1に、前記無線タグ通信装置12#5がグループB1にそれぞれ分類される。これにより、前記無線タグ通信装置12#2と無線タグ通信装置12#5との通信の重畳が避けられる。この場合には、図14の右側に示すように、グループ分けされた無線タグ通信装置12#2及び無線タグ通信装置12#5の通信が行われた後に、グループに分類されていない他の無線タグ通信装置12の通信が行われる。
図15は、図14の状態から更に前記無線タグ通信装置12#10と無線タグ通信装置12#14との隣接関係が判定された際のグループ分けを示している。この図15に示すように、前記無線タグ通信装置12#10と無線タグ通信装置12#14とが互いに隣接関係にあると判定された場合、それらは別グループとなるように分類される。例えば、前記無線タグ通信装置12#10がグループA2に、前記無線タグ通信装置12#14がグループB2にそれぞれ分類される。これにより、前記無線タグ通信装置12#10と無線タグ通信装置12#14との通信の重畳が避けられる。この場合には、図15の右側に示すように、グループ分けされた無線タグ通信装置12#2、無線タグ通信装置12#5、無線タグ通信装置12#10及び無線タグ通信装置12#14の通信が行われた後に、グループに分類されていない他の無線タグ通信装置12の通信が行われる。
図16は、図15の状態から更に前記無線タグ通信装置12#2と無線タグ通信装置12#3との隣接関係が判定された際のグループ分けを示している。この図16に示すように、前記無線タグ通信装置12#2と無線タグ通信装置12#3とが互いに隣接関係にあると判定された場合、それらは別グループとなるように分類される。例えば、前記無線タグ通信装置12#2はグループA1に分類されたまま、前記無線タグ通信装置12#3がグループD1に分類される。前記無線タグ通信装置12#2は、前述したように前記無線タグ通信装置12#5とも隣接関係にあると判定されており、その無線タグ通信装置12#5と無線タグ通信装置12#3と相対位置関係は未だ判定されていないため、その無線タグ通信装置12#3は無線タグ通信装置12#5が属するグループB1とは別のグループに分類されるのである。これにより、前記無線タグ通信装置12#2と無線タグ通信装置12#3との通信の重畳が避けられる。この場合には、図16の右側に示すように、グループ分けされた無線タグ通信装置12#2、無線タグ通信装置12#5、無線タグ通信装置12#3、無線タグ通信装置12#10及び無線タグ通信装置12#14の通信が行われた後に、グループに分類されていない他の無線タグ通信装置12の通信が行われる。
図17は、図16の状態から更に前記無線タグ通信装置12#5と無線タグ通信装置12#6との隣接関係が判定された際のグループ分けを示している。この図17に示すように、前記無線タグ通信装置12#5と無線タグ通信装置12#6とが互いに隣接関係にあると判定された場合、それらは別グループとなるように分類される。例えば、前記無線タグ通信装置12#5はグループB1に分類されたまま、前記無線タグ通信装置12#6がグループE1に分類される。前記無線タグ通信装置12#5は、前述したように前記無線タグ通信装置12#2とも隣接関係にあると判定されており、その無線タグ通信装置12#2と無線タグ通信装置12#6と相対位置関係は未だ判定されていないため、その無線タグ通信装置12#6は無線タグ通信装置12#2が属するグループA1とは別のグループに分類されるのである。これにより、前記無線タグ通信装置12#5と無線タグ通信装置12#6との通信の重畳が避けられる。この場合には、図17の右側に示すように、グループ分けされた無線タグ通信装置12#2、無線タグ通信装置12#5、無線タグ通信装置12#3、無線タグ通信装置12#6、無線タグ通信装置12#10及び無線タグ通信装置12#14の通信が行われた後に、グループに分類されていない他の無線タグ通信装置12の通信が行われる。
図18は、図17の状態から更に前記無線タグ通信装置12#2と無線タグ通信装置12#6との隣接関係が判定された際のグループ分けを示している。前記無線タグ通信装置12#6は、前述したように前記無線タグ通信装置12#5とも隣接関係にあると判定されており、その無線タグ通信装置12#5は前記無線タグ通信装置12#2と隣接関係にあると判定されているため、無線タグ通信装置12#6は無線タグ通信装置12#2が属するグループA1及び無線タグ通信装置12#5が属するグループB1の両方と隣接関係があるグループC1に分類される。これにより、前記無線タグ通信装置12#2及び前記無線タグ通信装置12#5と無線タグ通信装置12#6との通信の重畳が避けられる。この場合には、図18の右側に示すように、グループ分けされた無線タグ通信装置12#2、無線タグ通信装置12#5、無線タグ通信装置12#6、無線タグ通信装置12#3、無線タグ通信装置12#10及び無線タグ通信装置12#14の通信が行われた後に、グループに分類されていない他の無線タグ通信装置12の通信が行われる。
図19は、図18の状態から更に前記無線タグ通信装置12#3と無線タグ通信装置12#6との隣接関係が判定された際のグループ分けを示している。前記無線タグ通信装置12#5は、前述したように前記無線タグ通信装置12#2及び無線タグ通信装置12#6と隣接関係にあると判定されており、前記複数の無線タグ通信装置12が互いに隣接する3台が平面視において正三角形の頂点それぞれに位置するように配設されている関係上、同様に前記無線タグ通信装置12#2及び無線タグ通信装置12#6と隣接関係にあると判定された前記無線タグ通信装置12#3が斯かる無線タグ通信装置12#5と隣接関係となることはありえない。このため、前記無線タグ通信装置12#3は無線タグ通信装置12#5が属するグループB1に分類される。これにより、前記無線タグ通信装置12#3と無線タグ通信装置12#6とが同時に通信を行っても通信の重畳が起こらない位置関係にあることが判定される。この場合には、図19の右側に示すように、グループA1に分類された無線タグ通信装置12#2の通信、グループB1に分類された無線タグ通信装置12#3、無線タグ通信装置12#5の通信、グループC1に分類された無線タグ通信装置12#3の通信、グループA2に分類された無線タグ通信装置12#10の通信、グループB2に分類された無線タグ通信装置12#14の通信の順にグループに分類されている無線タグ通信装置12の通信が行われた後、グループに分類されていない他の無線タグ通信装置12の通信が行われる。
図20は、前記複数の無線タグ通信装置12の相対位置関係の判定が繰り返されて定常状態となった際のグループ分けを示しており、グループA1に属する無線タグ通信装置12の通信範囲を一点鎖線で、グループB1に属する無線タグ通信装置12の通信範囲を二点鎖線で、グループC1に属する無線タグ通信装置12の通信範囲を実線でそれぞれ示している。また、図21は、この定常状態のときの通信タイミングを示す図である。この図20に示すように、図13乃至図19を用いて前述した隣接関係の判定及びその判定結果に応じたグループ分けが繰り返されることにより、前記複数の無線タグ通信装置12は、グループA1、B1、C1のうち何れかのグループにそれぞれ分類されることで、他の無線タグ通信装置12との通信の重畳を発生させることなく可及的に効率の良い連携を行い得る状態とされる。ここでは、前記無線タグ通信装置12#2、12#7、12#9、12#14がグループA1に、前記無線タグ通信装置12#3、12#5、12#10、12#12がグループB1に、前記無線タグ通信装置12#1、12#4、12#6、12#8、12#11、12#13がグループC1にそれぞれ属しており、互いに隣接関係にある無線タグ通信装置12は、何れも自局とは異なるグループに属していることがわかる。この場合、図21に示すように、同じグループに属する無線タグ通信装置12は、それぞれのグループに分けられた送信タイミング内において、前半と後半をランダムに使い分けながら、通信が行われる。このように、互いに隣接する3台が平面視において正三角形の頂点それぞれに位置するように配設された複数の無線タグ通信装置12においては、このように3つに分類されたグループ毎に異なるタイミングで前記送信信号を送信するのが最適な送信タイミングの設定とされ、これにより各無線タグ通信装置12による送信信号の送信に必要十分な時間間隔をとることができるのである。
上記の方法で無線タグ通信装置12の隣接関係を判定する場合、隣接する無線タグ通信装置12の間隔を広くしすぎると、無線タグを見つけられない不感地帯を作る。また、隣接する無線タグ通信装置12の間隔を狭くしすぎると、同じグループに分類された無線タグ通信装置12同士でも通信可能範囲が重なり、通信の重畳が起きる。このため、好適には、隣接する無線タグ通信装置12の間隔は、無線タグ通信装置12の最大通信距離以上で、最大通信距離の2倍以下となるように配設すべきである。
また、隣接する無線タグ通信装置12の間隔を広くしすぎると、隣接関係を判定するために複数の無線タグ通信装置12に一定期間内に読み取られる確率が下がり、隣接関係の判定に時間がかかってしまう。また、無線タグの特性の劣化などによって通信が悪化した場合、無線タグを見つけられない不感地帯を作る原因ともなる。しかし、無線タグ通信装置12の間隔を狭くしすぎると無線タグ通信装置12の必要数が増えるので、無駄な通信を増やし前記制御装置72の負荷を増加させる原因となる。無線タグ通信装置12の間隔を、最大通信距離の1.4倍以上1.8倍以下となるように配設すれば、通信が理想的に行われると仮定して配置する無線タグ通信装置の数と比べて2倍以内の無線タグ通信装置の数に抑えられる上、隣接関係の判断も最適に行われ、無線タグの特性の劣化などによって通信が悪化した場合でも、実用的に通信を成立させることが可能となる。
このように、本実施例によれば、前記複数の無線タグ通信装置12の相対位置関係を判定する位置関係判定部74(SC)と、その位置関係判定部74による判定結果に応じて各無線タグ通信装置12からの前記送信信号の送信を制御する送信制御部76(SA、SB、及びSC)とを、含むことから、互いに隣接する無線タグ通信装置12による送信信号の送信に必要十分な時間間隔をとることができる。すなわち、通信範囲が重なるように無線タグ通信装置を配置した場合でも、通信の重畳を発生させることなく可及的に効率の良い連携を行い得る無線タグ通信システム10を提供することができる。
また、前記複数の無線タグ通信装置12の相対位置関係を記憶する記憶装置72を有し、それら無線タグ通信装置12により前記無線タグ14との間で情報の通信が成立する毎にその記憶装置72の記憶内容を更新するものであるため、前記複数の無線タグ通信装置12の相対位置関係を実用的な態様で把握及び管理できる。
また、前記位置関係判定部74は、所定時間内に同一の無線タグ14との間で情報の通信が成立する複数の無線タグ通信装置12を互いに隣接した位置関係にあると判定するものであるため、互いに隣接する無線タグ通信装置12の相対位置関係を実用的な態様で判定できる。
また、前記位置関係判定部74は、所定時間内に同一の無線タグ14との間で情報の通信が複数回連続して成立する複数の無線タグ通信装置12を互いに隣接した位置関係にあると判定するものであるため、高速に移動する無線タグ14を受信した場合におこる無線タグ通信装置12の相対位置関係の誤検出を防止し、互いに隣接する無線タグ通信装置12の相対位置関係を実用的な態様で確実に判定できる。
また、前記送信制御部76は、前記無線タグ通信装置12が隣接位置関係にある場合、その無線タグ通信装置12と異なるタイミングで前記送信信号を送信するように制御するものであるため、隣接する無線タグ通信装置12相互間での通信の重畳を実用できな態様で防止できる。
また、前記送信制御部76は、前記複数の無線タグ通信装置12を複数のグループに分類して各グループ毎に異なるタイミングで前記送信信号を送信するように制御するものであり、前記位置関係判定部74により互いに隣接した位置関係にあると判定された無線タグ通信装置12をそれぞれ別グループとなるように分類するものであるため、隣接する無線タグ通信装置12相互間での通信の重畳を防止できる上、隣接していない無線タグ通信装置12間で同時に通信を行うことができるので、通信に使用する時間を実用的な態様で短縮できる。
また、前記送信制御部76は、同じグループに属する各無線タグ通信装置12からの前記送信信号の送信タイミングを無作為に相互に異ならせ得るものであるため、グループの分類に誤りがあった場合でも、前記無線タグ通信装置12相互間での通信の重畳を確実に防止できる。
また、前記複数の無線タグ通信装置12は、互いに隣接する3台が平面視において正三角形の頂点それぞれに位置するように配設されたものであるため、前記複数の無線タグ通信装置12が平面視において所謂ハニカム(honey comb)状を成すように配設されることで、所定の面積を可及的に少ない無線タグ通信装置12により通信可能範囲として覆うことができることに加え、隣接する他の無線タグ通信装置12の台数を予め限定できる。
また、互いに隣接する無線タグ通信装置12の距離が、無線タグ通信装置12の最大通信距離以上で、最大通信距離の2倍以下の範囲内となるように配設されたものである。このようにすれば、無線タグ通信装置12が配置されている範囲内において無線タグ14と通信できない領域を作らない上、無線タグ通信装置12の通信範囲が重なっている台数が最大3台と限定できる。
また、互いに隣接する無線タグ通信装置12の距離が、無線タグ通信装置の最大通信距離の1.4倍以上1.8倍以下の範囲内となるように配設されたものであるため、通信が理想的に行われると仮定して配置する無線タグ通信装置の数と比べて2倍以内の無線タグ通信装置の数に抑えられ、隣接関係の検出を行うのに十分な通信範囲の重なりがある上、無線タグの特性の劣化などによって通信が悪化した場合でも実用的に通信を成立させることが可能となる。
また、自局が属するグループ情報を記憶するグループ情報記憶部である記憶部52と、その記憶部52に記憶されたグループ情報に基づいて前記送信信号を送信するタイミングを制御する送信タイミング制御部である送信制御部42(S5乃至S10、及びS12)とを、含むことから、互いに隣接する無線タグ通信装置12による送信信号の送信に必要十分な時間間隔をとることができる。すなわち、通信の重畳を発生させることなく可及的に効率の良い連携を行い得る無線タグ通信装置12を提供することができる。
また、前記記憶部52は、前記他の無線タグ通信装置12との相対位置関係から求められたグループ情報を記憶するものであるため、隣接する他の無線タグ通信装置12との相対位置を記憶し、その情報に基づいて送信タイミングを決めることができる。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
例えば、前述の実施例において、前記無線タグ通信システム10では、前記複数の無線タグ通信装置12とは別に制御装置72が設けられており、前記位置関係判定部74及び送信制御部76はその制御装置72に機能的に備えられたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図21に示すように、それらの制御機能はメインスキャナとして機能する所定の無線タグ通信装置12に機能的に備えられたものであっても構わない。このようにすれば、前記制御装置72を設置する必要がないため、装置の設置面積を可及的に小さくすることができる。
また、前述の実施例において、前記位置関係判定部74及び送信制御部76は前記制御装置72に、前記送信制御部42等は前記無線タグ通信装置12のDSP30にそれぞれ制御機能として備えられたものであったが、これらは何れも個別の制御装置として備えられたものであっても構わない。また、それらの制御は、ディジタル信号処理によるものであるとアナログ信号処理によるものであるとを問わない。
また、前述の実施例において、前記無線タグ通信装置12は、前記無線タグ14に向けて前記送信信号を送信すると共に、その送信信号に応じて無線タグ14から返信される返信信号を受信するための送受信アンテナ素子20を備えたものであったが、前記無線タグ14に向けて前記送信信号を送信するための送信アンテナ素子と、その送信信号に応じて無線タグ14から返信される返信信号を受信するための受信アンテナ素子とを、それぞれ個別に備えたものであっても構わない。
また、前述の実施例において、前記無線タグ通信装置12は、前記DSP30に無線タグ位置検出部50を機能的に備えて、前記無線タグ14の位置乃至は方向を検出し得るものであったが、前記無線タグ14との間で情報の通信を行うことができれば本発明の一応の効果は得られるため、斯かる構成は必ずしも備えられていなくともよい。
また、前述の実施例において、同じグループに分類された前記無線タグ通信装置12は、前記制御装置72からタグ検出指示を受けた際に、乱数によってタグ検出のタイミングを決めていたが、同じグループに分類された全ての前記無線タグ通信装置が同時にタグ検出を行ってもよい。また、乱数以外の方法、例えば擬似ランダム等により送信タイミングを異ならせるものであっても構わない。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。