JP4239609B2 - 生分解性の紙容器 - Google Patents
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- Y02W90/10—Bio-packaging, e.g. packing containers made from renewable resources or bio-plastics
Description
【発明の属する技術分野】
黴や酵母や細菌などの微生物によって分解する紙積層材料製の、主にファストフード用の菓子や食品や飲料などを収容する、カップ状やトレー状などの、工程閉塞や液漏れなどを起す恐れがない、防湿性が優れた地球環境に優しい生分解性の紙容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の地球環境に係る廃棄物処理問題に関連して、黴や酵母や細菌などの微生物によって分解して、そのまま土壌に帰化する各種の生分解性樹脂が、特に農業園芸用や包装材料用などとして、市販実用化されつつある。
【0003】
すなわち、従来から一般に広く便利に用いられている、適宜の強度と剛性とを有する紙材料層2の内面側に、図2Cに示すポリエチレンやポリプロピレンなどの、耐水性や防湿性などが優れた熱融着性樹脂層6を積層して構成した、主にファストフード用の菓子や食品や飲料などを収容する、図2A ,Bに示すカップ状や図示していないトレー状などの紙容器30において、図2Cに示す熱融着性樹脂層6に替えて、黴や酵母や細菌などの微生物によって分解する、図2Dに示す水蒸気遮断性が優れたポリヒドロキシブチレート(PHB )又はポリヒドロキシブチレート-ヴァリレート(P(3HB-3HV))を主成分とした、耐水性や防湿性などと熱融着性とを有する生分解性樹脂層3を積層して構成した、カップ状やトレー状などの紙容器30が、試験的に実用化されている。
【0004】
なお、黴や酵母や細菌などの微生物によって分解する、ポリエステル(PET )系やポリ乳酸(PLA )系やでんぷん系などの各種の生分解性樹脂については、包装材料用として最低必要な、耐水性と熱融着性とは有しているものの、唯一水蒸気遮断性が優れたポリヒドロキシブチレート(PHB )又はポリヒドロキシブチレート-ヴァリレート(P(3HB-3HV))を除いて、水蒸気遮断性やガス遮断性などが優れた生分解性樹脂は、現在は開発実用化されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、試験的に実用化されている紙容器30を構成する、図2Dに示すポリヒドロキシブチレート(PHB )又はポリヒドロキシブチレート-ヴァリレート(P(3HB-3HV))を主成分とした生分解性樹脂層3については、紙容器30用として必要な、耐水性や防湿性などと熱融着性とを有しているものの、徐々に結晶化して硬化する性質があるために、適宜の強度と剛性とを有する紙材料層2の内面側に積層した後に、紙材料層2のカールや内面側のクラックを起し易いことが問題であって、図2A ,Bに示すカップ状や図示していないトレー状などの成形工程で、紙材料層2のカールが原因で工程閉塞などを起すことが多くて、またカップ状やトレー状などの紙容器30に、内面側のクラックが原因で液漏れなどを起すことが多かった。
【0006】
そこで、本願の生分解性の紙容器の発明者らは、それぞれ適宜の強度と剛性とを有する紙材料層2と紙材料層4との間に、図2Dに示すポリヒドロキシブチレート(PHB )又はポリヒドロキシブチレート-ヴァリレート(P(3HB-3HV))を主成分とした生分解性樹脂層3を、挟んで積層することによって、前述したカールやクラックを起し易い問題を解決したものである。
【0007】
すなわち、本発明の目的は、黴や酵母や細菌などの微生物によって分解する紙積層材料製の、主にファストフード用の菓子や食品や飲料などを収容する、カップ状やトレー状などの紙容器20であって、防湿性を有する生分解性樹脂層3のカールやクラックが原因で、工程閉塞や液漏れなどを起す恐れがない、防湿性が優れた地球環境に優しい生分解性の紙容器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の生分解性の紙容器は、図1 に示すように、黴や酵母や細菌などの微生物によって分解する紙積層材料製の、カップ状やトレー状など(図1ではカップ状)の紙容器20であって、適宜の強度と剛性とを有する紙材料層2 と、ポリヒドロキシブチレート(PHB)又はポリヒドロキシブチレート− ヴァリレート(P(3HB−3HV))を主成分とし、ポリエステル樹脂又はポリアミド樹脂を5〜25重量%の範囲で混練した防湿性を有する生分解性樹脂層3と、適宜の強度と剛性とを有する紙材料層4と、熱融着性を有する生分解性樹脂層5とを、順に積層して構成したことを特徴とする生分解性の紙容器である。
【0009】
本発明の生分解性の紙容器においては、適宜の強度と剛性とを有する紙材料層2と、ポリヒドロキシブチレート(PHB )又はポリヒドロキシブチレート-ヴァリレート(P(3HB-3HV))を主成分とした、防湿性を有する生分解性樹脂層3と、適宜の強度と剛性とを有する紙材料層4と、熱融着性を有する生分解性樹脂層5とを、順に積層して、図1Cに示す紙積層材料を構成したことによって、ポリヒドロキシブチレート(PHB )又はポリヒドロキシブチレート-ヴァリレート(P(3HB-3HV))を主成分とした、防湿性を有する生分解性樹脂層3が、徐々に結晶化して硬化して、紙積層材料にカールを起そうとしても、それぞれ適宜の強度と剛性とを有する紙材料層2と紙材料層4との間に、この防湿性を有する生分解性樹脂層3を挟んで積層したために、紙材料層2と紙材料層4との剛性などのバランスでカールを起し得ないものであって、図1A ,Bに示すカップ状や図示していないトレー状などの成形工程で、防湿性を有する生分解性樹脂層3のカールが原因で、工程閉塞などを起す恐れがない生分解性の紙容器を提供することができる。
【0010】
また、本発明の生分解性の紙容器においては、前述と同様に順に積層して、図1Cに示す紙積層材料を構成したことによって、ポリヒドロキシブチレート(PHB )又はポリヒドロキシブチレート-ヴァリレート(P(3HB-3HV))を主成分とした、防湿性を有する生分解性樹脂層3が、徐々に結晶化して硬化して、紙材料層2と紙材料層4との間でクラックを起したとしても、この紙材料層4の内面側に積層した熱融着性を有する生分解性樹脂層5が、耐水性を有しているために、カップ状やトレー状などの紙容器20に、防湿性を有する生分解性樹脂層3のクラックが原因で、液漏れなどを起す恐れがない生分解性の紙容器を提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の生分解性の紙容器における、適宜の強度と剛性とを有する紙材料層2 ,紙材料層4については、通常の上質紙やアート紙やマニラ紙( カップ原紙 )などの、それぞれ60〜210g/m2 程度の、坪量( 厚さ )が同一の又は異なった紙材料層2と紙材料層4とを、特に制約なく積層することができる。
【0012】
また、本発明の生分解性の紙容器における、防湿性を有する生分解性樹脂層3については、市販のバイオポール( 商品名 ,イギリスICI社製 )やビオグリーン( 商品名 ,三菱ガス化学(株)製 )などの、5重量%程度のポリカプロラクトン(PCL ,改質材 )を含有した水蒸気遮断性が優れたポリヒドロキシブチレート(PHB )又はポリヒドロキシブチレート-ヴァリレート(P(3HB-3HV))の、50〜80μm程度の生分解性樹脂層3を、通常のウレタン系の接着剤を用いる方法や熱溶融して押出す方法などで、前述した紙材料層2と紙材料層4との間に挟んで積層することができる。
【0013】
なお、前述したバイオポールやビオグリーンなどの生分解性樹脂層3については、5〜25重量%の、水蒸気遮断性やガス遮断性などが優れたポリエステル(PET )やポリアミド(Ny)などを混練( 25重量%を超えると分解せずに残る恐れがある )して、防湿性を有する生分解性樹脂層3の耐水性や防湿性などを補強改良して、また5〜25重量%の、後述する耐水性と熱融着性とを有する生分解性樹脂を混練( 25重量%を超えると防湿性が低下する恐れがある )して、防湿性を有する生分解性樹脂層3の結晶化して硬化する性質を緩和して、それぞれ紙材料層2と紙材料層4との間に挟んで積層することもできる。
【0014】
さらに、本発明の生分解性の紙容器における、熱融着性を有する生分解性樹脂層5については、市販のネイチャーワークス( 商品名 ,米国カーギルダウ社製 )やエンポール( 商品名 ,IRE化学(株)製 )などの、前述した耐水性と熱融着性とを有するポリエステル(PET )系などの、25〜40μm程度の生分解性樹脂層5を、通常のウレタン系の接着剤を用いる方法や熱溶融して押出す方法などで、前述した紙材料層4の内面側に積層することができる。
【0015】
【実施例】
図1A ,Bは、本発明の実施例における、生分解性の紙容器の斜視図 ,断面図であって、図1Cは、その断面説明図である。
【0016】
すなわち、表面に美麗な印刷をした上質紙70g/m2 の、適宜の強度と剛性とを有する紙材料層2と、5重量%のポリカプロラクトン(PCL )を含有した水蒸気遮断性が優れたポリヒドロキシブチレート(PHB)(ビオグリーン ,三菱ガス化学(株)製 )60μmの、防湿性を有する生分解性樹脂層3と、カップ原紙と通称するマニラ紙170g/m2 の、適宜の強度と剛性とを有する紙材料層4と、耐水性と熱融着性とを有する脂肪族ポリエステル( エンポールG5000 ,IRE化学(株)製 )30μmの、熱融着性を有する生分解性樹脂層5とを、紙材料層2と紙材料層4との間と紙材料層4の内面側とに、それぞれ生分解性樹脂層3と生分解性樹脂層5とを熱溶融して押出す方法( タンデムエクストルーダーと通称する )で順に積層して、黴や酵母や細菌などの微生物によって分解する、図1Cに示す紙積層材料を作製した。
【0017】
次に、従来から一般に広く便利に用いられている紙容器30用の、通常の紙カップ成形工程で、図1Cに示す紙積層材料を用いて、口径が81mmφ( 底径65mmφ )で高さが100mmの、図1A ,Bに示すカップ状の紙容器20を作製したところ、紙積層材料のカールが原因の、紙カップ成形工程の閉塞などが全くなくて、界面活性剤の着色2%水溶液による液漏れテストによっても、紙容器20の液漏れなどが全く認められない、モコン法による水蒸気透過率が30g/m2.dayの、防湿性が優れた生分解性の紙容器を得ることができた。
【0018】
続いて、本実施例の生分解性の紙容器に、主にファストフード用の菓子や食品や飲料などを収容して、図1Cと同様の紙積層材料で作製した81mmφの円板状の蓋材21を被せて、図1A ,Bに示すように、カップ状の紙容器20のフランジaに、この円板状の蓋材21を熱融着して密封した後に、研究所の庭の土壌( 深さ5cm )に埋めて放置したところ、3ヶ月が経過した後には、印刷をするなどした紙材料層2 ,紙材料層4の痕跡が、僅かに残っているものの、生分解性樹脂層3 ,生分解性樹脂層5については、収容した菓子や食品や飲料などとともに、完全に分解して土壌に帰化して消滅する、地球環境に優しい生分解性の紙容器を得ることができた。
【0019】
なお、本実施例に対する比較例として、カップ原紙と通称するマニラ紙210g/m2 の、適宜の強度と剛性とを有する紙材料層2と、実施例と同一の5重量%のポリカプロラクトン(PCL )を含有した水蒸気遮断性が優れたポリヒドロキシブチレート(PHB )60μmの、耐水性や防湿性などと熱融着性とを有する生分解性樹脂層3とを、紙材料層2の内面側に、生分解性樹脂層3を熱溶融して押出す方法で積層して、図2Dに示す紙積層材料を作製した後に、実施例と同一の紙カップ成形工程で、実施例と同一の口径が81mmφ( 底径65mmφ )で高さが100mmの、図2A ,Bに示すカップ状の紙容器30を作製したところ、耐水性や防湿性などと熱融着性とを有する生分解性樹脂層3が結晶化して硬化する性質があるための、紙材料層2に発生したカールが原因で、紙カップ成形工程の閉塞などが多く発生して、また生分解性樹脂層3に発生したクラックが原因で、紙容器30に液漏れなどが多く発生して、実際に用いることができる生分解性の紙容器は得られなかった。
【0020】
【発明の効果】
以上、実施例ほかに示すとおり、本発明の生分解性の紙容器においては、黴や酵母や細菌などの微生物によって分解する紙積層材料製の、主にファストフード用の菓子や食品や飲料などを収容する、カップ状やトレー状などの紙容器20であって、防湿性を有する生分解性樹脂層3のカールやクラックが原因で、工程閉塞や液漏れなどを起す恐れがない、防湿性が優れた地球環境に優しい生分解性の紙容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における、図1A ,Bは、生分解性の紙容器の斜視図 ,断面図であって、図1Cは、その断面説明図である。
【図2】従来又は比較例における、図2A ,Bは、紙容器30の斜視図 ,断面図であって、図2C ,Dは、その断面説明図である。
【符号の説明】
2 ,4 …紙材料層
3 …防湿性を有する生分解性樹脂層
5 …熱融着性を有する生分解性樹脂層
6 …熱融着性樹脂層
20 ,30 …紙容器
21 …蓋材
a …フランジ
Claims (1)
- 適宜の強度と剛性とを有する紙材料層と、ポリヒドロキシブチレート(PHB 又はポリヒドロキシブチレート− ヴァリレート(P(3HB−3HV))を主成分とし、ポリエステル樹脂又はポリアミド樹脂を5〜25重量%の範囲で混練した防湿性を有する生分解性樹脂層と、適宜の強度と剛性とを有する紙材料層と、熱融着性を有する生分解性樹脂層とを、順に積層して構成したことを特徴とする生分解性の紙容器。
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