JP4238485B2 - 密閉容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有害ガス分子、有害浮遊微粒子、有害微生物、劇物、遺伝子操作など、人体と作業対象製品や物質とを、人体有害性の回避の観点から隔絶する技術を利用する技術分野に関する。さらに、本発明は、逆に、大気あるいは人体が、作業対象物に対して悪影響を及ぼす作業に関わる技術分野およびその隔絶技術全般に関する。具体的代表例として、清浄化を必要とする半導体デバイスなどに代表される素子や精密機器などの工業製品製造方法とその製造装置、および清浄化技術に関する。また、大気中の酸素が作業に影響を及ぼすリチウム電池製造技術も関係技術分野の一つである。さらに、本発明は、パージを効率的に行うことを目的とした基礎技術であるため、今後発展が見込まれる環境制御技術やエコロジー関連技術および省エネルギー技術とコストダウン技術に関わる。本発明に関わる産業分野として、半導体工業分野、精密機械分野、化学工業分野、医療分野、バイオテクノロジー分野、ナノテクノロジー分野、宇宙航空分野、食品製造分野が挙げられる。具体的な工業製品を例として列挙すると、容器内での人間の手と腕による操作を可能とするグローブボックス、半導体工業におけるウェーハの搬送または保存のための容器(以下ではウェーハ搬送・保存容器と略する)、その他の密閉型容器類などが代表例としてあり、それらは本発明に関わる。以上、本発明は、全産業での製品製造及び、先端技術全般にかかる、基礎的技術である。
【0002】
【従来の技術】
多孔質物質で構成される板やシート状の布など、物質透過性のあるスクリーンを通してガスを供給し、それをもって圧力を供給面全面で均一にすることにより、層流を発生させる仕組みは、従来から存在する。具体的には、クリーンルームにおいてその天井からのクリーンエアの供給方式にそのような技術がある。特開昭62-288433号及びその改良特許の特開平成8-23426号として提案されているのがその例である。このような工夫を用いない普通のクリーンルーム、たとえば、クラス3(ISO規格、0.1micron以上の粒子が1E3個/m3ある場合に相当)程度の高性能クリーンルームにおいては、通常、ULPAフィルターとその吹き出し口を、蛍光灯設置部を除く天井のほぼ全面に配置している。このように、すでに層流方式は実用的に使われている。スクリーンを張り巡らせるメリットは、ULPAフィルター数を減らして建設コストを低減できることであるが、実際には、現状のクリーンルームでは、粒子除去用のULPAフィルターに加えて、アンモニアや有機物ガスを除去するためのケミカルフィルターも併せて併設されるようになっている。ケミカルフィルターは、数ヶ月に一度交換する必要があり、その設置数を減らす効果はさほど見いだせない。以上のように、大部屋方式の通常のクリーンルームでは、層流方式を発生するためのスクリーンの導入は、さほど意味を持っていなかった。
【0003】
一方、容器内など局所的な環境においては、これまでは、層流を用いる例は極めて限られてきた。なぜならば、極めて容積が小さいため、ガス置換は容易に行えるように信じられてきたこと、また、容器内のガス置換の完全性、すなわち、不要ガス、不要粒子のパージの残留濃度には、さほど厳しい要求がなかったことによる。
【0004】
しかし、環境問題が深刻化する現在、モノづくりに必要な環境と、人体に優しい環境は区別および隔絶する必要が生じている。具体的な一つの技術動向として、半導体工場における建設運営コストの低減の要求が厳しくなってきたことが挙げられる。この状況変化により、工場内に局所クリーン化技術を導入する動きが現実のものとなっている。また、ナノテクノロジーなど最先端分野では、局所的に環境を作り上げる潜在ニーズはますます高まっている。このような動向をふまえると、局所的な環境、特に人体が入り得ない小さな容器内などの局所環境に於いて、高純度ガス雰囲気やスーパークリーン環境など、その特別な環境を即座に形成して保持する技術は、今後不可欠な基礎的技術要素となってゆくであろう。
【0005】
ここで、現状の容器内パージの方法を挙げると、それには大きく分けて、ガスパージによる方法と、真空排気による方法がある。ガスパージは別のガスを導入するだけで容器内の不要粒子・ガスが取り除かれるため、構造的に簡便で低コストであり、さらにパージ操作が簡単であるという特徴を有している。しかし、容器内不要粒子・ガスを完全にパージするためには、大量のパージガスを長時間かけて導入し続ける必要があり、さほど効率的でない欠点がある。それを補う方法が真空パージ法である。この方法では、一旦容器内を真空に排気するため、その後容器内を満たすガスの必要体積は、容器内容積と同一量で済む利点がある。しかし、真空引きに耐えるため、大気圧に耐える容器強度を持たせる必要があり、真空に排気できない用途では使用不可能である。また、真空排気のための排気系も必要であり、高コストで操作が複雑になる欠点を一方で持っている。さらに、排気そのものに時間がかかるので、さほど短時間でパージを行うことはできない。
【0006】
上記問題を軽減するための方法として、パージを工夫する方法がありえる。ところが、広く一般的に様々なタイプの容器における容器内パージを対象とした場合、そのようなパージ方法自体の工夫技術はほとんど見かけないのが現状である。唯一の例外は、放射線粉体を扱う内部を負圧に保つグローブボックス内でのパージ技術である。この技術例においては、ガス流の流れを一定方向に整える工夫をした構造の特許が提案されている(特開平6-347592号)。負圧に保つためにポンプやファンによる強制排気を必要としているのが一つの特徴である。また、その応用として、装置内で発生する粉体の重力落下を妨げないように、パージガスの入口側と出口側に多孔質板を配置して、装置内ガス流を垂直方向に層流化する構造に関する特許が提出されている(特開平9-168993)。しかし、この特開平9-168993においては、重力の影響が支配的要因である粉体を対象にしているため、垂直方向にガス流を流す構造にする必要があり、また、この方法においては、重力の影響がある粉体が対象であるため、層流によるパージ時間の軽減がどの程度効率的に行えるのか、物理的観点からは利点をほとんど見いだせない。この技術における層流発生は、特開平9-168993の明細書にあるように、主に、容器の隅に堆積した粉体を除去するために利用されている。さらに、多孔質板より下部にたまってしまう粉体を吹き飛ばして取り除くためのガスラインが必要となっている。この多孔質板下部での粉体吹き飛ばし用ガスによる乱流と圧力のために、作業室から下部の多孔質板へのスムースなガス排出が阻害されることになり、結果として、作業室での層流の維持が難しいという欠点を持っている。
【0007】
以上のように、問題点を有しつつも、粉体に対しては効率的パージの技術が提案されているが、微粒子やガス分子のパージについては、重力の影響を受けないか無視できるほど小さいため、そのような特徴を生かしたパージ方法や容器構造などが検討される価値を有するが、これまでは特に技術的提案はなされていない。
【0008】
以上、パージに関する従来技術を述べたが、個別の応用例として、以下に半導体ウェーハ搬送・保存容器に関する技術について述べる。従来、1997年頃までは、半導体デバイスの製造は、シンプルなクリーンルーム内で行われてきた。製品チップ数に関する正常動作率、すなわち、歩留まりを向上させるため、ほとんどのデバイスチップは、スーパークリーンルームと呼ばれる、クラス3-5程度の大変清浄度の高い室内で製造されてきた。しかし、最近になって、工場の建設コストと運営・維持・チップ製造コストの増大が、製造会社の負担限度を超えるようになり、製造に関わる様々なコストの低減が必須となってきた。コストダウンと歩留まり向上のもっとも有効な手段として、局所クリーン化技術が導入されつつある。具体的には、200mmウェーハに対しては、SMIF(Standard Mechanical InterFace)と名付けられたウェーハ搬送容器が使用され、実績を上げつつある。また、昨年2000年から登場した300mmウェーハに対しては、FOUP(Front Opening Unified Pod)と呼ばれる容器が使用されるよう、仕様の規格化がほぼ完了している。
【0009】
ところが、残念なことに、これらウェーハ搬送容器は、開発されたばかりで、技術的に未熟であり、外界からのパーティクルと搬送時に発生するパーティクルを完全には防ぐことができない。しかも、市販されている全てのFOUPに対しては、圧力抜きポートが装着されており、ガスに対しては、全く密閉性機能を有していない。これがないと、蓋の開閉時に容器内外の圧力差が生じることで、気体の渦流が巻き起こり、パーティクルを沢山発生してしまうのである。SMIFの場合は、容器自体に特段のシール構造が施されておらず、パーティクルに対しても完全保護容器とは言えないものである。従って、このような容器を使用する限りは、クリーンルームのクリーン度(性能)を意図的に低下させることにはおのずと限度が生じている。
【0010】
【本発明が解決しようとする課題】
このように、従来の容器内パージ法では、パージガスの大量消費や長時間のパージ時間、コスト高、操作の複雑さなどの欠点を有していた。本発明が解決しようとする課題は、容器内での非効率なパージ、具体的には、原理的に長時間を要するパージ時間の問題、パージガスの大量消費の問題、複雑な操作を必要とするパージの問題、排気系を必須とするパージの問題などを解決することである。また、特に、重力の影響を受けないか無視できるほど小さい浮遊微粒子およびガス分子に対する非効率パージ問題を解決することが課題である。
【0011】
また、半導体ウェーハ搬送・保存容器に対しては、クリーンルームのコストダウンと歩留まり向上の観点から、パーティクルやガス発生に対するより完全な保護性能がウェーハ容器に求められている。
【0012】
さらに、グローブボックス応用においては、通常のパージタイプでは、パージ時間がかかることと、パージガスの大量消費という問題があった。また、これまでより高性能なパージ性能、すなわち高速なガス置換と置換後の残留ガスの低濃度性を要求される用途においては、真空排気型グローブボックスが用いられてきた。この場合、真空装置類が必要となり、操作及び構造の複雑さと製造コスト高という問題、さらには、真空に排気できない用途では使用不可能であるという問題を抱えていた。それらの問題も、本発明が解決しようとする課題である。
【0013】
【課題を解決するための手段】
課題を解決するための手段として、密閉容器内の対抗する2つの側面に、物質透過性のシート状または板状のスクリーンを配置する。それにより、密閉容器内での場所に依存しない均一な流速を得、結果として、高効率にパージを行う。スクリーンに必要な機能は、スクリーン有効面積全面から物質が透過して、均一な流速が得られることである。それを満たすものであれば、どのようなスクリーン構造でも良い。膜、繊維質の布、無数に穴の空いた板、海綿体構造のスポンジ類、焼結体などが例として考えられる。
【0014】
また、半導体ウェーハ搬送・保存容器への応用においては、上記スクリーンを設けることより、パーティクルをウェーハに付着しにくくさせることができる。また、そのようなパージを行うためのパージガスは、密閉容器を接続する製造装置などの相手側から供給するよう、ガス供給コネクタを設ける。
【0015】
さらに、グローブボックス応用においては、上記スクリーンを設けることにより、層流化が促進され、パージ時間とパージガス消費量の大幅な減少が達成される。
【0016】
なお、本発明の対象とする、重力の影響を無視できる浮遊微粒子・ガス分子においては、下流スクリーンよりさらに下流にそれらが残留堆積する悪影響は無視できるので、その部分に特に工夫を施す必要はない。
【0017】
【作用】
重力の影響を強く受ける粉体など大きな粒子と違って、重力の影響を受けないか無視できる浮遊粒子またはガス分子においては、別のガス分子と極めて混合しやすい性質を有している。従って、容器内のガスパージにおいては、極めて排出されにくい。
【0018】
容器内容積の大きさをV [liter]とした場合、単位時間あたりの流入パージガス量をS [liter/min]とすると、V=St(tは時間[min])となる時間tで、ちょうど体積分のガスを導入したことになる。このとき、導入パージガスが、初めにあった浮遊微粒子・ガス分子と完全に分子レベルで混合する状態になっていた場合、V=Stになる時間tにおいて、パーティクルや汚染ガス分子は、初めの汚染物濃度をN0として、N/2まで低減される。この理想混合の場合状態を式で表すと、Nを濃度として、
【数1】
Figure 0004238485
となる。(1)式によれば、たとえば、10回入れ替えに対応するパージを行った場合、浮遊微粒子・ガス分子濃度は、N = N0/1024に低減されるが、パージガスを10V[liter]消費し、時間t = 10V/S [min]を必要とする。20回入れ替え時間に対して、N = N0/106 に低減できるが、そこでの消費パージガスは、20V [liter]で、t = 20V/S[min]の時間を必要とする。
【0019】
一方、分子レベルでの完全混合が行われていない場合は、パージガス流の流れに押し流される効果が出てきて、より短時間で排気されるようになり、浮遊微粒子・ガス分子の排気はN/2よりももっと速くなる。この場合は、
【数2】
Figure 0004238485
となる。ここで、Nsは、パージガス自体に含まれるか、容器外部からリークしてくる残留浮遊微粒子・ガス分子濃度の合計である。Cは微粒子の大きさに関係する混合度を表す定数で、0 < C < 1である。理想混合の場合は、C = 1となる。Nsは、右辺第一項がかなり小さくなってきた場合に、飽和値として現れてくるので、パージの主たる挙動は、右辺第一項で決まっている。(2)式のCは1未満であるから、原理的には、浮遊微粒子・ガス分子においては、理想混合の(1)式の場合が最大時間を要する。図1にその傾向を示す。
【0020】
また、さらにずっと大きくなり、重力の影響が支配的になるような粒子においては、重力の影響で容器内に残留しやすくなり、(1)と(2)式の挙動はもはや成立しなくなり、図1に示すように、到達粒子濃度が飽和する傾向を示すようになる。そのような粒子排気では、パージガス総量よりも、押し流す力がより重要になり、そのパージ流速S自体が排気所要時間に対して、支配因子の一つとなる。重力の影響を受けない粒子の場合には、軽いものほど、混合が進んで排気しにくくなるが、重力の影響が支配的な粒子においては、重いものほど排気しにくいという逆の性質を持っている。図2に、パージ対象物が所定の残留濃度に達するのに必要なパージガス総量St [liter]と、パージ速度S [liter/min]の関係を示す。非理想混合パージの場合は、粒子径が大きくなるにつれて、パージガス消費総量が減少して効率的パージが行われているのがわかるが、さらに粒子が大きくなって重力の影響を受けるようになると、パージガス流速が遅い場合には、排気されなくなる傾向が現れている。
【0021】
さて、ここで、層流化パージを密閉容器に導入した場合を考えてみる。この場合、理想的には容器内容積と同一のパージガスの導入を行えば、全てガスが入れ替わるので、浮遊微粒子・ガス分子の残留量は、その飽和値Nsまで一挙に低下し、そこで飽和する。Nsが初期値N0に対して、10-6 の濃度を持っていた場合、(1)式では、20Vのガスを消費するのに対して、層流化パージでは、Vで済むので、消費ガス量は、1/20で済むことになる。図2にその層流化パージの効果が示されている。Vの導入ですむので、パージ時間も大幅に短縮されることになる。その様子は、図1に示してある。
【0022】
さて、層流化が完全になされた場合でも、導入されたパージガスの先端とすでにある浮遊微粒子・ガス分子を含むガスとの境界付近では多少のガス混合が起こるので、実際には、Vより多少多めのガス量とパージ時間を必要とする。しかし、それは原理的にマイナーな効果である。層流化によるパージ経過時間と濃度との関係は、図2に示されているようになる。
【0023】
なお、重力の影響が支配的になる粒子の場合は、層流化による効果は、図1、図2に示すようにほとんど期待できないか、または逆に乱流による壁面付着粒子の叩き出し効果が期待できない分、到達残留濃度の観点では逆効果の要因も無視できない。このような粒子では、排出口の面積が広いことが主たる効率向上効果である。
【0024】
【実施の形態】
図3に、本発明を実証するために用いられた、密閉型容器の構造を示す。容器内のパージガス流の上流側側面と、下流側側面には、それぞれ、物質透過性のスクリーンが設けてある。パージガスは、導入口6より容器内に導入され、上流スクリーン5を通過して、作業・保存空間2へ導かれる。その後、パージガスは、下流スクリーン4を透過してパージガス排出口7から排出される。矢印でガスの流れを示している。作業・保存空間2では、上流・下流スクリーン5,4の作用により、パージガスは層流となって流れている。
【0025】
通常パーティクルと呼ばれる浮遊微粒子(英語ではairborne particle)のパージガスによる低減の様子を計測した。図4にその時間変化を示す。計測を始める前に、蓋3を開け、外部のパーティクルを容器内に呼び込んである。横軸の時間は、蓋を閉じた時から計測される時間である。スクリーン4,5を用いない場合のパーティクル変化は、("乱流")と図中で表記されている実測値である。0.1, 0.2, 0.3micronのデータは、それぞれ、それ以上の粒径のパーティクルについてパーティクル量を計測した値である。理想混合式(1)も併せて示されている。パーティクル粒径が大きくなるにつれ、理想混合式よりも速くパーティクル量が減少しているのがわかる。この傾向は、図1の概念図と同じ結果である。
【0026】
スクリーン4,5を装着した場合は、図4の0.1micron(層流)と表記されているデータで示すように、急速にパーティクルがパージされる。この計測に用いた容器の内容積は、約100liter、窒素パージレートは、30liter/minであるので、ほぼ3分くらいで1容積分(1V)パージガスを消費しているが、実際のデータでは、それよりもわずかに遅いくらいで、パージの4桁にわたる減少結果が得られている。スクリーンを用いない乱流方式では、4桁の減少量を得るのに、約40分かかっているので、1桁程度高速なパージ能力を持っていることが実証された。このような高速性は、真空排気とその後のガス導入の方式と比較しても、それと同等かそれ以上の性能である。
【0027】
また、本実施例では、1時間放置後、パーティクルは全く計測されなくなった。これは、現状の半導体工場の最高性能スーパークリーンルームのクラス3より遙かに良い値である。より詳細な測定においては、本発明にかかる構造により、クラス1以下、つまりスーパークリーンルームの1/100以下の驚異的環境が容易に構築できることが実証された。
【0028】
次に、ウェーハ搬送・保存容器に層流方式を応用した実施例を図5に示す。図の構造では、スクリーンは、容器の奥の面のみに配置してある。搬送容器であるから、パージガスは、脱着可能なコネクタ36を介して、ウェーハ搬送・保存容器31と接続される製造装置側から供給される。コネクタが製造装置側の相手のコネクタから離れると、コネクタ内部が周囲の汚染を受けるので、その部分的汚染ガスが容器内に入り込まないよう、パージガス導入口34とコネクタ36の間に、フィルター35が挿入されている。
【0029】
容器が製造装置に接続されると、同時ないし相前後してコネクタ36も相手コネクタと接続され、パージガス導入が可能となる。容器の蓋(図5には省略されて描かれていない)が製造装置内へ取り込まれて、容器が開かれる直前に、パージガスが導入される。これにより、容器の蓋の開閉に関わって発生するパーティクルや不要ガスは、容器内に入ることなく、装置内部へ排気される。
【0030】
以上のように、パージガス導入ポートと、層流発生用スクリーンという大変シンプルな構造を通常の容器に付加するだけの構造であるにもかかわらず、前述の従来型ウェーハ搬送・保存容器の欠点を一挙に克服することができるので、本発明は、極めて特許性が高い。
【0031】
グローブボックス構造の実施例を図6に示す。本構造では、左右両側面にスクリーンが配置されている。ガスの流れは、パージガス導入口60から、上流スクリーン52,作業・保存空間54,下流スクリーン53を通って、パージガス排出口61より排出される。上流と下流スクリーンの間の作業・保存空間54では、パージガスは層流状になって流れているので、不要ガス・浮遊微粒子の排出は図4に示したのと同様に極めて効率的に行われる。スクリーンが劣化したときは、本実施例では、蓋57を開けて、新しいものと交換できる。本発明においては、通常市販されている様々なグローブボックスにスクリーンを装着するだけの改良で済むという簡便性という利点がある。
【0032】
【発明の効果】
これまで局所クリーン化は技術的に難しいと思われていたり、または、その有用性に気づかなかった多くの産業分野で、本発明は有効である。なぜならば、本発明は、極めて簡便でありながら、局所環境を迅速に形成する技術的要素を指摘、提案しているからである。本発明は、局所環境技術を様々な分野へ導入してゆくきっかけとなるであろう。これにより、あらゆる製造工程において、人間に必要な環境と、製造対象物に必要な環境とを分離することが容易になる。これは今後の生産技術全般にとって重要な考え方であり、また進むべき方向性である。
【0033】
本発明の具体的応用実施例を極めて実用性の高い技術として2つ提案した。
【0034】
まず、半導体用のウェーハ搬送・保存容器についてその波及効果を述べる。現在実際に半導体工場で使用されている、SMIFとFOUPウェーハ搬送容器では、本発明にある容器側からのガス導入機構が全くないため、パーティクルやガスは、少なからず容器内へ侵入してしまう。これは、従来技術の最も憂慮すべき欠点であった。本発明では、容器側からのガス流によりそのような問題点は大幅に軽減される。さらに、層流が装置方向へ向かっているために、その効果により、パーティクルとガス汚染は、無視できるまで低減される。
【0035】
より重要なことは、これまで圧力差を容器内外で生じさせないために設けてあった圧力抜きポートは、本発明により原理的に不要になる。なぜならば、圧力は、コネクタ36を介して制御可能となるからである。それにより、容器前面の蓋のシール性能を確実なものとする事が出来、その二つの技術的問題の解決により、完全密閉型容器を実際に実現し使用することができる。この利点は、ウェーハ搬送容器にとって、もっとも重要な技術的課題の克服を意味している。さらには、今後ウェーハ雰囲気環境を、ガス環境という観点から、クリーンルーム内の人体向け環境と分離することが初めて可能になることをも直接意味してくる。本発明により、半導体チップ製造工場の生産方式に大きな変化をもたらすことができる。結果として、半導体チップ工場建設、運営コストと半導体製造工程コストに大幅なコストダウンが可能になり、歩留まりが大変向上することになる。
【0036】
グローブボックス応用においては、これまでパージタイプに対して、ほぼ10倍くらいの価格で販売されてきた真空排気型グローブボックスという汎用商品と同等で、コストはパージタイプ並の、本発明に係るグローブボックスが広く利用されるようになる。これにより、局所クリーン環境での作業が今後これまでよりもずっと広範に利用されるようになる。
【0037】
また、ナノテクノロジー・バイオテクノロジー分野では、これまで、局所クリーン化技術は積極的に利用されてこなかった。それは、これらの先端分野がまだ産業としてスタートラインにたっている段階だからである。しかし、今後これらの先端技術分野が産業応用されるようになる時、それらは本質的にミクロスコピックな技術であることに由来して、クリーン化環境や環境ガスの制御が必ず必要とされるようになる。これらの新しいテクノロジーに対して、半導体の大工場生産方式は明らかに不向きであり、局所クリーン化技術がインフラ的に利用されるようになるだろう。本発明はその近未来に必須となる技術要素を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】パージ対象粒子のパージ経過時間との関係を示す図である。
【図2】パージガス消費総量のパージガス流速依存性を示す図である。
【図3】層流化密閉容器構造の例を示す斜視図である。
【図4】パージ対象粒子のパージ経過時間との関係を示す実施例1の図である。
【図5】ウェーハ搬送・保存容器構造の例を示す実施例2の斜視図である。
【図6】グローブボックス構造の例を示す実施例3の斜視図である。
【符号の説明】
1 容器
2 作業・保存空間
3 蓋
4 物質透過性の下流スクリーン
5 物質透過性の上流スクリーン
6 パージガス導入口
7 パージガス排出口
8、10 パージガス流の方向
9 パージガス流の方向(層流)
31 容器
32 容器前面
33 物質透過性のスクリーン
34 パージガス導入口
35 フィルター
36 パージガス導入コネクタ
37 パイプ支持板
38 ウェーハ
51 グローブボックス
52 物質透過性の上流スクリーン
53 物質透過性の下流スクリーン
54 作業・保存空間
55、56 手袋用装着用穴
57 蓋
58、59 留金
60 パージガス導入口
61 パージガス排出口

Claims (2)

  1. パージガスを用いて容器内の重力の影響をうけない浮遊微粒子及びガス分子をパージするための容器であって、容器にパージガスの導入口及びパージガスの排出口を設けると共に、前記パージガス流の上流端である側面と下流端である側面のそれぞれに、有効面積全面から物質が透過して、均一な流速が得られる物質透過性のスクリーンを配置することにより、容器内部にパージガスの水平な層流を形成する仕組みを有することを特徴とする密閉容器。
  2. 前記密閉容器が、グローブボックスである請求項1に記載の密閉容器。
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