JP2004127975A - 基板処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】パーティクル汚染の増加を回避しつつ化学汚染を防止する。
【解決手段】ダクト33の取込口34にはケミカルフィルタユニット36がケミカルフィルタ37がファン38群の下流側になるように設置され、ダクト33の吹出口35には第一クリーンユニット40がPTFE繊維からなるパーティクルフィルタ42がファン41群の下流側に、光触媒ユニット43がパーティクルフィルタ42の下流側になるように設置されている。ダクト33から分岐されたサブダクト44の吹出口45には第二クリーンユニット46が同様に設置され、ダクト33の下端部から分岐された第二のサブダクト50の吹出口には第三クリーンユニット51が同様に設置されている。
【効果】ケミカルフィルタのパーティクルは下流のパーティクルフィルタで捕集できる。PTFE繊維から発生する有機物は光触媒ユニットで除去できる。
【選択図】 図1
【解決手段】ダクト33の取込口34にはケミカルフィルタユニット36がケミカルフィルタ37がファン38群の下流側になるように設置され、ダクト33の吹出口35には第一クリーンユニット40がPTFE繊維からなるパーティクルフィルタ42がファン41群の下流側に、光触媒ユニット43がパーティクルフィルタ42の下流側になるように設置されている。ダクト33から分岐されたサブダクト44の吹出口45には第二クリーンユニット46が同様に設置され、ダクト33の下端部から分岐された第二のサブダクト50の吹出口には第三クリーンユニット51が同様に設置されている。
【効果】ケミカルフィルタのパーティクルは下流のパーティクルフィルタで捕集できる。PTFE繊維から発生する有機物は光触媒ユニットで除去できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板処理装置に関し、特に、有機物や酸およびアルカリ等の化学物質による汚染防止技術に係り、例えば、半導体集積回路装置(以下、ICという。)の製造方法において半導体素子を含む半導体集積回路が作り込まれる半導体ウエハ(以下、ウエハという。)に絶縁膜や金属膜等のCVD膜を形成したり不純物を拡散したりするバッチ式縦形拡散・CVD装置に利用して有効なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
ICの製造方法においてウエハに絶縁膜や金属膜等のCVD膜を形成したり不純物を拡散したりする工程には、バッチ式縦形拡散・CVD装置(以下、単にCVD装置という。)が広く使用されている。従来のこの種のCVD装置においては、ウエハの表面を汚染しICの製造方法の歩留りに悪影響を及ぼすパーティクル(塵埃)を抑えるために、筐体の内部にクリーンエアを吹き出すクリーンユニットが設置されている。
【0003】
近年、反応性の高いガス状化学物質である酸性ガスやアルカリ性ガスおよび有機ガスもウエハを汚染することが解明されている。例えば、REALIZE社発行の「ULSI製造における汚染の実態・製造現場の実態と今後の課題」においては、DOP(ジオクチルフタル酸)、DBP(ジブチルフタル酸)、多価アルコールといった有機物のウエハへの付着を低減することにより、ICの電気的不良数が低減することが明らかにされている。そこで、これらの汚染の原因となる物質(以下、化学汚染物質という。)を吸着して除去するためのフィルタ(以下、ケミカルフィルタという。)のCVD装置への設置が要求されて来ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ケミカルフィルタは濾過材に化学添着剤を担持させた活性炭や活性繊維を使用して物理的吸着と化学反応とによって酸やアルカリ、有機物といった化学汚染物質を除去するものであり、ケミカルフィルタの活性炭の剥離等に起因したパーティクル汚染の増加が懸念されるので、ケミカルフィルタをCVD装置に単純に設置することはできない。
【0005】
本発明の目的は、パーティクル汚染の増加を回避しつつ化学汚染を防止することができる基板処理装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る基板処理装置は、筐体内にエアを取り込むエア取込路にはケミカルフィルタが設置され、その下流にはパーティクルフィルタが設置され、その下流には光触媒ユニットが設置されていることを特徴とする。
【0007】
前記した手段によれば、ケミカルフィルタはエアの流れの最上流に設置されているので、ケミカルフィルタにおいて活性炭や活性繊維の剥離等に起因したパーティクルが万一にも発生した場合であっても、そのパーティクルは下流側に配置されたパーティクルフィルタによって捕集されるので、パーティクル汚染が増加することは未然に防止されることになる。また、パーティクルフィルタにおいて発生する微量の有機物は光触媒フィルタによって除去することができるので、化学汚染を確実に防止することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に即して説明する。
【0009】
本実施の形態において、本発明に係る基板処理装置は、図1に示されているように、CVD装置(バッチ式縦形拡散・CVD装置)として構成されており、CVD装置10は気密室構造に構築された筐体11を備えている。一般に、ウエハを収容して搬送するためのキャリア(搬送治具)としては、互いに対向する一対の面が開口された略立方体の箱形状に形成されているオープンカセット(以下、カセットという。)と、一つの面が開口された略立方体の箱形状に形成され開口面にキャップが着脱自在に装着されているFOUP(front opening unified pod 。)とがある。本実施の形態に係るCVD装置10においては、ウエハ1のキャリアとしてはカセット2が使用されている。
【0010】
筐体11の正面の下部にはカセット2を筐体11の内部に対して搬入搬出するためのカセット搬入搬出ポート(以下、カセットポートという。)12が構築されており、カセットポート12に対応する筐体11の正面壁には、フロントシャッタ13によって開閉されるカセット搬入搬出口14が開設されている。カセットポート12に対してはカセット2が工程内搬送装置(図示せず)によって搬入搬出されるようになっている。筐体11の内部のカセットポート12の後方には、複数個のカセット2を保管する複数段の保管棚15が水平に敷設されている。筐体11のカセットポート12と保管棚15との間にはカセット移載装置17の設置室16が設定されており、この設置室16にはスカラ形ロボット(selective compliance assembly robot arm 。SCARA)によって構成されたカセット移載装置17が設置されている。カセット移載装置17はカセットポート12と、保管棚15と、ウエハ1をローディングおよびアンローディングするためのポート(以下、ウエハポートという。)18との間でカセット2を搬送するように構成されている。
【0011】
ウエハポート18の後方の空間には後記するボート23がプロセスチューブ26への搬入搬出に対して待機する待機室19が設定されており、待機室19の前側の空間にはウエハ移載装置(water transfer equipment)20が設置されている。ウエハ移載装置20はウエハポート18とボート23との間でウエハ1を搬送してカセット2およびボート23に受け渡すように構成されている。待機室19の後側の空間にはボートエレベータ21が垂直に設置されており、ボートエレベータ21はボート23を支持したシールキャップ22を垂直方向に昇降させるように構成されている。すなわち、シールキャップ22はマニホールド27を介してプロセスチューブ26を気密封止することができる円盤形状に形成されており、シールキャップ22の上にはボート23が垂直に立脚されている。ボート23は多数枚のウエハ1を中心を揃えて水平に配置した状態で保持するように構成されており、シールキャップ22のボートエレベータ21による昇降によってプロセスチューブ26の処理室25に対して搬入搬出されるようになっている。
【0012】
筐体11の後端部の上部にはプロセスチューブ設置室24が設定されており、プロセスチューブ設置室24には処理室25を形成するプロセスチューブ26がマニホールド27を介して垂直に立脚され待機室19の上に設置されている。マニホールド27には処理室25に原料ガスやパージガス等を導入するためのガス導入管28と、処理室25を真空排気するための排気管29が接続されている。プロセスチューブ26の外側にはヒータユニット30が同心円に配されて筐体11に支持されており、ヒータユニット30は処理室25を全体にわたって均一または所定の温度分布に加熱するように構成されている。
【0013】
なお、筐体11の内部におけるカセットポート12の下部および上部には電気機器や電気配線および制御機器等を設置するための下側配電盤部31および上側配電盤部32がそれぞれ形成されている。
【0014】
上側配電盤部32とプロセスチューブ設置室24との間には、エア取込路としてのダクト33が垂直方向に延在するように敷設されており、このダクト33の取込口34は筐体11の上面において開口され、ダクト33の吹出口35は保管棚15の後側において開口されている。ダクト33の取込口34にはケミカルフィルタユニット36が設置されている。ケミカルフィルタユニット36はケミカルフィルタ37と複数のファン38とを備えており、ケミカルフィルタ37がファン38群の下流側になるように構成されている。
【0015】
ダクト33の吹出口35にはカセット移載装置室用クリーンユニット(以下、第一クリーンユニットという。)40が、垂直に配置されて全面をカバーするように建て込まれている。第一クリーンユニット40は複数のファン41と、パーティクルを捕集するフィルタ(以下、パーティクルフィルタという。)42と、光触媒ユニット43とを備えており、パーティクルフィルタ42がファン41群の下流側に、光触媒ユニット43がパーティクルフィルタ42の下流側になるように構成されている。パーティクルフィルタ42は濾過材に使用されたPTFE(ポリテトラフルオロエチレン。ポリ四弗化エチレン。)繊維によってクリーンエア中のパーティクルを捕集して除去するように構成されている。また、図3に示されているように、光触媒ユニット43は複数枚の光触媒シート43aおよび複数本の紫外線ランプ43bを備えており、後述する原理により有機物を除去する。光触媒シート43aは酸化チタンを主成分にした長方形のシート形状に形成されており、互いに両端を揃えられて等間隔の平行に整列されている。複数本の紫外線ランプ43bは光触媒シート43aの下流側端において適当な間隔を置かれて直角方向に延在するように整列されている。
【0016】
ダクト33の中間部からはサブダクト44が水平に分岐されており、サブダクト44の吹出口45はカセットポート12の真上において下向きに開口されている。サブダクト44の吹出口45にはカセットポート用クリーンユニット(以下、第二クリーンユニットという。)46が、水平に配置されて全面をカバーするように建て込まれている。第二クリーンユニット46は複数のファン47とパーティクルフィルタ48と光触媒ユニット49とを備えており、パーティクルフィルタ48がファン47群の下流側に、光触媒ユニット49がパーティクルフィルタ48の下流側になるように構成されている。ダクト33の下端部からは第二のサブダクト50が斜め下方向に分岐されており、第二のサブダクト50の吹出口は待機室用クリーンユニット(以下、第三クリーンユニットという。)51に接続されている。第三クリーンユニット51は待機室19の略全面をカバーするように垂直に設置されている。詳細な図示は省略するが、第三クリーンユニット51も複数のファンとパーティクルフィルタと光触媒ユニットとを備えており、パーティクルフィルタがファン群の下流側に、光触媒ユニットがパーティクルフィルタの下流側になるように構成されている。
【0017】
図2に示されているように、カセット移載装置設置室16の床面にはフロント排気ファン60が左右方向に延在するように水平に敷設されており、待機室19の床面には一対の排気ダクト61、61が左右に並べられて敷設されている。フロント排気ファン60の吹出口は左右の排気ダクト61、61の取込口にそれぞれ接続されており、左右の排気ダクト61、61の吹出口は筐体11の外部において開口されている。待機室19の後端部の第三クリーンユニット51と反対側の片隅には、三台のリア排気ファン62、62、62が垂直線上において上中下段に並べられて設置されており、リア排気ファン62は待機室19の雰囲気を吸い込んで待機室19の外部に吹き出すように構成されている。
【0018】
次に、前記構成に係るCVD装置によるICの製造方法におけるCVD膜の形成工程を説明する。
【0019】
図1に示されているように、カセット搬入搬出口14からカセットポート12に供給されたカセット2は、保管棚15へカセット移載装置設置室16のカセット移載装置17によって搬送されて一時的に保管される。保管棚15に保管されたカセット2はカセット移載装置17によって適宜にピックアップされて、ウエハポート18に搬送され移載される。ウエハポート18のカセット2に収納された複数枚のウエハ1は、ウエハ移載装置20によってボート23に移載されて装填(チャージング)される。
【0020】
指定された枚数のウエハ1がボート23に装填されると、ボート23はボートエレベータ21によって上昇されてプロセスチューブ26の処理室25に搬入される。ボート23が上限に達すると、ボート23を保持したシールキャップ22の上面の周辺部がプロセスチューブ26をシール状態に閉塞するため、処理室25は気密に閉じられた状態になる。
【0021】
次いで、プロセスチューブ26の処理室25が気密に閉じられた状態で、所定の真空度に排気管29によって真空排気され、ヒータユニット30によって所定の温度に加熱され、所定の原料ガスがガス導入管28によって所定の流量だけ供給される。これにより、所定のCVD膜がウエハ1に形成される。
【0022】
そして、予め設定された処理時間が経過すると、ボート23がボートエレベータ21によって下降されることにより、処理済みウエハ1を保持したボート23が待機室19における元の待機位置に搬出(ボートアンローディング)される。
【0023】
待機室19に搬出されたボート23の処理済みウエハ1は、ボート23からウエハ移載装置20によってピックアップされてウエハポート18に搬送され、ウエハポート18に移載された空のカセット2に収納される。処理済みのウエハ1が収納されたカセット2は、保管棚15の指定された位置にカセット移載装置17によって搬送されて一時的に保管される。処理済みウエハ1を収納したカセット2は、保管棚15からカセットポート12へカセット移載装置17によって搬送される。カセットポート12に移載されたカセット2は次工程へ搬送される。
【0024】
以降、前述した作用が繰り返されて、ウエハ1への成膜工程がCVD装置10によってバッチ処理されて行く。
【0025】
以上のバッチ処理が実施されている際には、図2に矢印で示されているように、カセット移載装置設置室16、カセットポート12および待機室19にはクリーンエア63が第一クリーンユニット40、第二クリーンユニット46および第三クリーンユニット51から吹き出され、フロント排気ファン60およびリア排気ファン62によって吸い込まれて排気ダクト61、61から筐体11の外部に排気される。このクリーンエア63の流れにより、カセット2やウエハ1の表面に付着したパーティクル、カセット移載装置17やウエハ移載装置20およびボートエレベータ21の稼働によって発生したパーティクル等が吹き落とされる。
【0026】
この際、第一クリーンユニット40、第二クリーンユニット46および第三クリーンユニット51に接続されたダクト33の取込口34にはケミカルフィルタユニット36が設置されているため、第一クリーンユニット40、第二クリーンユニット46および第三クリーンユニット51から吹き出されるクリーンエア63は酸性ガスやアルカリ性ガスおよび有機ガス等の化学汚染物質を予め除去された状態になっている。
【0027】
ところで、ケミカルフィルタの濾過材に使用された活性炭や活性繊維の剥離等に起因するパーティクル汚染の増加が懸念される。しかし、本実施の形態においては、ケミカルフィルタユニット36はクリーンエア63の流れの最上流であるダクト33の取込口34に設置されているので、ケミカルフィルタユニット36のケミカルフィルタ37において活性炭や活性繊維の剥離等に起因したパーティクルが万一にも発生した場合であっても、パーティクル汚染の増加は防止することができる。すなわち、ケミカルフィルタユニット36のケミカルフィルタ37において活性炭や活性繊維の剥離等に起因したパーティクルが万一にも発生した場合であっても、そのパーティクルは下流側に配置された第一クリーンユニット40、第二クリーンユニット46および第三クリーンユニット51の各パーティクルフィルタによって捕集されるので、パーティクル汚染が増加することは未然に防止されることになる。
【0028】
ところで、パーティクルフィルタは濾過材にガラス繊維またはPTFE繊維を使用することによってクリーンエア中のパーティクルを捕集し除去するものである。パーティクルフィルタの濾過材に使用されるガラス繊維内には、微量のボロン(B)が含有しており、このボロンはガラス繊維が弗酸(HF)等の酸性雰囲気によってエッチングされた際にはクリーンエア中に飛散する懸念がある。ボロンは半導体のキャリア(電子および正孔)の濃度を制御する重要な物質であり、ICの品質や信頼性に意図しない影響を与えるので、ICの製造方法の歩留り低下の原因になる。そのため、最近ではガラス繊維はパーティクルフィルタの濾過材として使用されない傾向にある。
【0029】
他方のPTFE繊維はボロンの影響がないので、パーティクルフィルタの濾過材の主流になって来ている。しかし、PTFE繊維の濾過材は若干の有機物を発生する。そして、筐体内の有機物の汚染濃度を主としたケミカル汚染濃度は、PTFE繊維を使用したパーティクルフィルタからの有機物の発生によって決定される傾向が本発明者によって究明された。
【0030】
そこで、本実施の形態においては、光触媒ユニット43、49等を第一クリーンユニット40、第二クリーンユニット46および第三クリーンユニット51のパーティクルフィルタ42、48等の下流側に設置することにより、これらパーティクルフィルタから発生した有機物(パーティクルではない)を光触媒ユニットによってそれぞれ除去するように構成している。光触媒ユニットによる有機物の除去原理は次の通りである。
【0031】
例えば、第一クリーンユニット40のパーティクルフィルタ42のPTFE繊維から発生した有機物は、光触媒ユニット43の光触媒シート40aに付着する。ここで、酸化チタンを主成分にする光触媒シート40aに紫外線が紫外線ランプ40bによって照射されると、光触媒シート40aの酸化チタンの内部に電子(e− )および正孔(h+ )が生じる。この電子および正孔は空気中の酸素(O2 )および水(H2 O)と接触して、次式(1)および(2)の反応を起こす。
O2 +e− →O2 − ・・・(1)
H2 O+h+ →・OH+H・・・(2)
このO2 − および・OHはそれぞれ、スーパーオキサイドイオン(スーパーオキサイドアニオン)および水酸ラジカル(ヒドロキシラジカル)と呼ばれる活性酸素であり、光触媒シート40aの表面に付着した有機物を分解する。つまり、第一クリーンユニット40のパーティクルフィルタ42のPTFE繊維から発生した有機物は光触媒ユニット43によって除去されることになる。なお、酸化チタンを主成分とする光触媒シート40aの表面は比較的に硬いために、剥離して新たなパーティクル汚染を発生させることはない。
【0032】
図4は有機汚染低減効果を示すグラフであり、図5はパーティクル汚染低減効果を示すグラフである。図4および図5において、実線の折れ線は光触媒ユニットが設置された本実施の形態に係る場合を示しており、破線の折れ線は光触媒ユニットが設置されていない比較例の場合を示している。なお、図4および図5において、符号A〜Dは測定位置をそれぞれ示しており、第一測定位置Aはケミカルフィルタユニット36の上流側の位置、第二測定位置Bはダクト33の分岐点、第三測定位置Cは光触媒ユニット43や49の下流側の位置、第四測定位置Dはパーティクルフィルタ42や48と光触媒ユニット43や49との間の位置である。
【0033】
図5の破線の折れ線で示されているように、比較例の場合には、パーティクル汚染レベルは第三測定位置Cにおいて最小になる。しかし、図4の破線の折れ線で示されているように、有機汚染レベルはケミカルフィルタの直下である第二測定位置Bよりも第三測定位置Cにおいて悪化している。これはパーティクルフィルタのPTFE繊維から有機物が発生しているためと、考察される。
【0034】
これに対して、図4に実線の折れ線で示されているように、本実施の形態に係る場合には、有機汚染レベルは第四測定位置Dにおいて増加するが、光触媒ユニットの下流側の位置である第三測定位置Cにおいて低減されている。これは、パーティクルフィルタのPTFE繊維から発生した有機物が光触媒ユニットによって除去されているためである。なお、図5に実線の折れ線で示されているように、本実施の形態に係る場合にはパーティクル汚染レベルは第四測定位置D、第三測定位置Cにおいて最小となる。
【0035】
前記実施の形態によれば、次の効果が得られる。
【0036】
1) ケミカルフィルタをエアの流れの最上流に設置することにより、ケミカルフィルタから発生したパーティクルを下流側に配置されたパーティクルフィルタによって捕集することができるので、パーティクル汚染が増加するのを防止することができる。
【0037】
2) パーティクルフィルタの下流側に光触媒ユニットを設置することにより、パーティクルフィルタのPTFE繊維から発生する有機物を光触媒ユニットによって除去することができるので、化学汚染を確実に防止することができる。
【0038】
3) 化学汚染を確実に防止することにより、ICの製造方法における成膜工程の製造歩留りを向上させることができるので、成膜工程ひいてはIC製造方法のスループットを向上させることができる。
【0039】
図6は本発明の他の実施の形態である枚葉式CVD装置を示す側面断面図である。
【0040】
図6に示された枚葉式CVD装置80は筐体81を備えており、筐体81の正面の下部にはカセット2を筐体81内に搬入搬出するためのカセットポート82が構築されている。カセットポート82に対応する筐体81の正面壁にはフロントシャッタ83によって開閉されるカセット搬入搬出口84が開設されている。カセットポート82に対してはカセット2が工程内搬送装置(図示せず)によって搬入搬出されるようになっている。筐体81の内部のカセットポート82の後方には予備室85が設置されており、予備室85にはゲートバルブ87によって開閉されるカセット搬入搬出口86が開設されている。予備室85の後方にはウエハ移載装置設置室88が設置されており、ウエハ移載装置設置室88にはゲートバルブ90によって開閉されるウエハ搬入搬出口89が開設されている。ウエハ移載装置設置室88にはウエハ移載装置91が設置されている。ウエハ移載装置設置室88の後方にはプロセスチューブ92が設置されており、プロセスチューブ92とウエハ移載装置設置室88との間にはゲートバルブ93が介設されている。
【0041】
カセットポート82の上側にはエア取込路としてのダクト94が垂直方向に延在するように敷設されており、このダクト94には上流側から順に、ファン95、ケミカルフィルタ96、パーティクルフィルタ97および光触媒ユニット98が設置されている。本実施の形態によれば、ケミカルフィルタ96において発生したパーティクルはパーティクルフィルタ97によって除去することができ、パーティクルフィルタ97において発生した有機物は光触媒ユニット98によって除去することができるので、枚葉式CVD装置80における化学汚染を確実に防止することができる。
【0042】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
【0043】
例えば、光触媒ユニットは酸化チタンからなるシートおよび紫外線ランプによって構成するに限らず、他の材料や構造によって構成してもよい。
【0044】
パーティクルフィルタの濾過材としてはPTFE繊維を使用するに限らず、光触媒ユニットをボロンを除去可能に構成した場合にはガラス繊維を使用してもよい。
【0045】
前記実施の形態ではバッチ式縦形CVD装置および枚葉式CVD装置の場合について説明したが、本発明はこれに限らず、バッチ式縦形拡散装置や枚葉式拡散装置やアニール装置等の熱処理装置(furnace )や枚葉式プラズマCVD装置等の基板処理装置全般に適用することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、パーティクル汚染の増加を回避しつつ化学汚染を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるCVD装置を示す側面断面図である。
【図2】そのクリーンエアの流れを示す一部省略斜視図である。
【図3】それに使用された光触媒ユニットを示す模式図である。
【図4】有機汚染の低減効果を示すグラフである。
【図5】パーティクル汚染の低減効果を示すグラフである。
【図6】本発明の他の実施の形態である枚葉式CVD装置を示す側面断面図である。
【符号の説明】
1…ウエハ(基板)、2…カセット(ウエハキャリア)、10…CVD装置(基板処理装置)、11…筐体、12…カセットポート(カセット搬入搬出ポート)、13…フロントシャッタ、14…カセット搬入搬出口、15…保管棚、16…カセット移載装置設置室、17…カセット移載装置、18…ウエハポート、19…待機室、19a…メンテナンス口、20…ウエハ移載装置、21…ボートエレベータ、22…シールキャップ、23…ボート、24…プロセスチューブ設置室、25…処理室、26…プロセスチューブ、27…マニホールド、28…ガス導入管、29…排気管、30…ヒータユニット、31…下側配電盤部、32…上側配電盤部、33…ダクト(エア取込路)、34…取込口、35…吹出口、36…ケミカルフィルタユニット、37…ケミカルフィルタ、38…ファン、40…第一クリーンユニット(カセット移載装置室用クリーンユニット)、40a…光触媒シート、40b…紫外線ランプ、41…ファン、42…パーティクルフィルタ、43…光触媒ユニット、43a…光触媒シート、43b…紫外線ランプ、44…サブダクト、45…吹出口、46…第二クリーンユニット(カセットポート用クリーンユニット)、47…ファン、48…パーティクルフィルタ、49…光触媒ユニット、50…サブダクト、51…第三クリーンユニット(待機室用クリーンユニット)、60…フロント排気ファン、61…排気ダクト、62…リア排気ファン、63…クリーンエア、80…枚葉式CVD装置(基板処理装置)、81…筐体、82…カセットポート、83…フロントシャッタ、84…カセット搬入搬出口、85…予備室、86…カセット搬入搬出口、87…ゲートバルブ、88…ウエハ移載装置設置室、89…ウエハ搬入搬出口、90…ゲートバルブ、91…ウエハ移載装置、92…プロセスチューブ、93…ゲートバルブ、94…ダクト(エア取込路)、95…ファン、96…ケミカルフィルタ、97…パーティクルフィルタ、98…光触媒ユニット。
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板処理装置に関し、特に、有機物や酸およびアルカリ等の化学物質による汚染防止技術に係り、例えば、半導体集積回路装置(以下、ICという。)の製造方法において半導体素子を含む半導体集積回路が作り込まれる半導体ウエハ(以下、ウエハという。)に絶縁膜や金属膜等のCVD膜を形成したり不純物を拡散したりするバッチ式縦形拡散・CVD装置に利用して有効なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
ICの製造方法においてウエハに絶縁膜や金属膜等のCVD膜を形成したり不純物を拡散したりする工程には、バッチ式縦形拡散・CVD装置(以下、単にCVD装置という。)が広く使用されている。従来のこの種のCVD装置においては、ウエハの表面を汚染しICの製造方法の歩留りに悪影響を及ぼすパーティクル(塵埃)を抑えるために、筐体の内部にクリーンエアを吹き出すクリーンユニットが設置されている。
【0003】
近年、反応性の高いガス状化学物質である酸性ガスやアルカリ性ガスおよび有機ガスもウエハを汚染することが解明されている。例えば、REALIZE社発行の「ULSI製造における汚染の実態・製造現場の実態と今後の課題」においては、DOP(ジオクチルフタル酸)、DBP(ジブチルフタル酸)、多価アルコールといった有機物のウエハへの付着を低減することにより、ICの電気的不良数が低減することが明らかにされている。そこで、これらの汚染の原因となる物質(以下、化学汚染物質という。)を吸着して除去するためのフィルタ(以下、ケミカルフィルタという。)のCVD装置への設置が要求されて来ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ケミカルフィルタは濾過材に化学添着剤を担持させた活性炭や活性繊維を使用して物理的吸着と化学反応とによって酸やアルカリ、有機物といった化学汚染物質を除去するものであり、ケミカルフィルタの活性炭の剥離等に起因したパーティクル汚染の増加が懸念されるので、ケミカルフィルタをCVD装置に単純に設置することはできない。
【0005】
本発明の目的は、パーティクル汚染の増加を回避しつつ化学汚染を防止することができる基板処理装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る基板処理装置は、筐体内にエアを取り込むエア取込路にはケミカルフィルタが設置され、その下流にはパーティクルフィルタが設置され、その下流には光触媒ユニットが設置されていることを特徴とする。
【0007】
前記した手段によれば、ケミカルフィルタはエアの流れの最上流に設置されているので、ケミカルフィルタにおいて活性炭や活性繊維の剥離等に起因したパーティクルが万一にも発生した場合であっても、そのパーティクルは下流側に配置されたパーティクルフィルタによって捕集されるので、パーティクル汚染が増加することは未然に防止されることになる。また、パーティクルフィルタにおいて発生する微量の有機物は光触媒フィルタによって除去することができるので、化学汚染を確実に防止することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に即して説明する。
【0009】
本実施の形態において、本発明に係る基板処理装置は、図1に示されているように、CVD装置(バッチ式縦形拡散・CVD装置)として構成されており、CVD装置10は気密室構造に構築された筐体11を備えている。一般に、ウエハを収容して搬送するためのキャリア(搬送治具)としては、互いに対向する一対の面が開口された略立方体の箱形状に形成されているオープンカセット(以下、カセットという。)と、一つの面が開口された略立方体の箱形状に形成され開口面にキャップが着脱自在に装着されているFOUP(front opening unified pod 。)とがある。本実施の形態に係るCVD装置10においては、ウエハ1のキャリアとしてはカセット2が使用されている。
【0010】
筐体11の正面の下部にはカセット2を筐体11の内部に対して搬入搬出するためのカセット搬入搬出ポート(以下、カセットポートという。)12が構築されており、カセットポート12に対応する筐体11の正面壁には、フロントシャッタ13によって開閉されるカセット搬入搬出口14が開設されている。カセットポート12に対してはカセット2が工程内搬送装置(図示せず)によって搬入搬出されるようになっている。筐体11の内部のカセットポート12の後方には、複数個のカセット2を保管する複数段の保管棚15が水平に敷設されている。筐体11のカセットポート12と保管棚15との間にはカセット移載装置17の設置室16が設定されており、この設置室16にはスカラ形ロボット(selective compliance assembly robot arm 。SCARA)によって構成されたカセット移載装置17が設置されている。カセット移載装置17はカセットポート12と、保管棚15と、ウエハ1をローディングおよびアンローディングするためのポート(以下、ウエハポートという。)18との間でカセット2を搬送するように構成されている。
【0011】
ウエハポート18の後方の空間には後記するボート23がプロセスチューブ26への搬入搬出に対して待機する待機室19が設定されており、待機室19の前側の空間にはウエハ移載装置(water transfer equipment)20が設置されている。ウエハ移載装置20はウエハポート18とボート23との間でウエハ1を搬送してカセット2およびボート23に受け渡すように構成されている。待機室19の後側の空間にはボートエレベータ21が垂直に設置されており、ボートエレベータ21はボート23を支持したシールキャップ22を垂直方向に昇降させるように構成されている。すなわち、シールキャップ22はマニホールド27を介してプロセスチューブ26を気密封止することができる円盤形状に形成されており、シールキャップ22の上にはボート23が垂直に立脚されている。ボート23は多数枚のウエハ1を中心を揃えて水平に配置した状態で保持するように構成されており、シールキャップ22のボートエレベータ21による昇降によってプロセスチューブ26の処理室25に対して搬入搬出されるようになっている。
【0012】
筐体11の後端部の上部にはプロセスチューブ設置室24が設定されており、プロセスチューブ設置室24には処理室25を形成するプロセスチューブ26がマニホールド27を介して垂直に立脚され待機室19の上に設置されている。マニホールド27には処理室25に原料ガスやパージガス等を導入するためのガス導入管28と、処理室25を真空排気するための排気管29が接続されている。プロセスチューブ26の外側にはヒータユニット30が同心円に配されて筐体11に支持されており、ヒータユニット30は処理室25を全体にわたって均一または所定の温度分布に加熱するように構成されている。
【0013】
なお、筐体11の内部におけるカセットポート12の下部および上部には電気機器や電気配線および制御機器等を設置するための下側配電盤部31および上側配電盤部32がそれぞれ形成されている。
【0014】
上側配電盤部32とプロセスチューブ設置室24との間には、エア取込路としてのダクト33が垂直方向に延在するように敷設されており、このダクト33の取込口34は筐体11の上面において開口され、ダクト33の吹出口35は保管棚15の後側において開口されている。ダクト33の取込口34にはケミカルフィルタユニット36が設置されている。ケミカルフィルタユニット36はケミカルフィルタ37と複数のファン38とを備えており、ケミカルフィルタ37がファン38群の下流側になるように構成されている。
【0015】
ダクト33の吹出口35にはカセット移載装置室用クリーンユニット(以下、第一クリーンユニットという。)40が、垂直に配置されて全面をカバーするように建て込まれている。第一クリーンユニット40は複数のファン41と、パーティクルを捕集するフィルタ(以下、パーティクルフィルタという。)42と、光触媒ユニット43とを備えており、パーティクルフィルタ42がファン41群の下流側に、光触媒ユニット43がパーティクルフィルタ42の下流側になるように構成されている。パーティクルフィルタ42は濾過材に使用されたPTFE(ポリテトラフルオロエチレン。ポリ四弗化エチレン。)繊維によってクリーンエア中のパーティクルを捕集して除去するように構成されている。また、図3に示されているように、光触媒ユニット43は複数枚の光触媒シート43aおよび複数本の紫外線ランプ43bを備えており、後述する原理により有機物を除去する。光触媒シート43aは酸化チタンを主成分にした長方形のシート形状に形成されており、互いに両端を揃えられて等間隔の平行に整列されている。複数本の紫外線ランプ43bは光触媒シート43aの下流側端において適当な間隔を置かれて直角方向に延在するように整列されている。
【0016】
ダクト33の中間部からはサブダクト44が水平に分岐されており、サブダクト44の吹出口45はカセットポート12の真上において下向きに開口されている。サブダクト44の吹出口45にはカセットポート用クリーンユニット(以下、第二クリーンユニットという。)46が、水平に配置されて全面をカバーするように建て込まれている。第二クリーンユニット46は複数のファン47とパーティクルフィルタ48と光触媒ユニット49とを備えており、パーティクルフィルタ48がファン47群の下流側に、光触媒ユニット49がパーティクルフィルタ48の下流側になるように構成されている。ダクト33の下端部からは第二のサブダクト50が斜め下方向に分岐されており、第二のサブダクト50の吹出口は待機室用クリーンユニット(以下、第三クリーンユニットという。)51に接続されている。第三クリーンユニット51は待機室19の略全面をカバーするように垂直に設置されている。詳細な図示は省略するが、第三クリーンユニット51も複数のファンとパーティクルフィルタと光触媒ユニットとを備えており、パーティクルフィルタがファン群の下流側に、光触媒ユニットがパーティクルフィルタの下流側になるように構成されている。
【0017】
図2に示されているように、カセット移載装置設置室16の床面にはフロント排気ファン60が左右方向に延在するように水平に敷設されており、待機室19の床面には一対の排気ダクト61、61が左右に並べられて敷設されている。フロント排気ファン60の吹出口は左右の排気ダクト61、61の取込口にそれぞれ接続されており、左右の排気ダクト61、61の吹出口は筐体11の外部において開口されている。待機室19の後端部の第三クリーンユニット51と反対側の片隅には、三台のリア排気ファン62、62、62が垂直線上において上中下段に並べられて設置されており、リア排気ファン62は待機室19の雰囲気を吸い込んで待機室19の外部に吹き出すように構成されている。
【0018】
次に、前記構成に係るCVD装置によるICの製造方法におけるCVD膜の形成工程を説明する。
【0019】
図1に示されているように、カセット搬入搬出口14からカセットポート12に供給されたカセット2は、保管棚15へカセット移載装置設置室16のカセット移載装置17によって搬送されて一時的に保管される。保管棚15に保管されたカセット2はカセット移載装置17によって適宜にピックアップされて、ウエハポート18に搬送され移載される。ウエハポート18のカセット2に収納された複数枚のウエハ1は、ウエハ移載装置20によってボート23に移載されて装填(チャージング)される。
【0020】
指定された枚数のウエハ1がボート23に装填されると、ボート23はボートエレベータ21によって上昇されてプロセスチューブ26の処理室25に搬入される。ボート23が上限に達すると、ボート23を保持したシールキャップ22の上面の周辺部がプロセスチューブ26をシール状態に閉塞するため、処理室25は気密に閉じられた状態になる。
【0021】
次いで、プロセスチューブ26の処理室25が気密に閉じられた状態で、所定の真空度に排気管29によって真空排気され、ヒータユニット30によって所定の温度に加熱され、所定の原料ガスがガス導入管28によって所定の流量だけ供給される。これにより、所定のCVD膜がウエハ1に形成される。
【0022】
そして、予め設定された処理時間が経過すると、ボート23がボートエレベータ21によって下降されることにより、処理済みウエハ1を保持したボート23が待機室19における元の待機位置に搬出(ボートアンローディング)される。
【0023】
待機室19に搬出されたボート23の処理済みウエハ1は、ボート23からウエハ移載装置20によってピックアップされてウエハポート18に搬送され、ウエハポート18に移載された空のカセット2に収納される。処理済みのウエハ1が収納されたカセット2は、保管棚15の指定された位置にカセット移載装置17によって搬送されて一時的に保管される。処理済みウエハ1を収納したカセット2は、保管棚15からカセットポート12へカセット移載装置17によって搬送される。カセットポート12に移載されたカセット2は次工程へ搬送される。
【0024】
以降、前述した作用が繰り返されて、ウエハ1への成膜工程がCVD装置10によってバッチ処理されて行く。
【0025】
以上のバッチ処理が実施されている際には、図2に矢印で示されているように、カセット移載装置設置室16、カセットポート12および待機室19にはクリーンエア63が第一クリーンユニット40、第二クリーンユニット46および第三クリーンユニット51から吹き出され、フロント排気ファン60およびリア排気ファン62によって吸い込まれて排気ダクト61、61から筐体11の外部に排気される。このクリーンエア63の流れにより、カセット2やウエハ1の表面に付着したパーティクル、カセット移載装置17やウエハ移載装置20およびボートエレベータ21の稼働によって発生したパーティクル等が吹き落とされる。
【0026】
この際、第一クリーンユニット40、第二クリーンユニット46および第三クリーンユニット51に接続されたダクト33の取込口34にはケミカルフィルタユニット36が設置されているため、第一クリーンユニット40、第二クリーンユニット46および第三クリーンユニット51から吹き出されるクリーンエア63は酸性ガスやアルカリ性ガスおよび有機ガス等の化学汚染物質を予め除去された状態になっている。
【0027】
ところで、ケミカルフィルタの濾過材に使用された活性炭や活性繊維の剥離等に起因するパーティクル汚染の増加が懸念される。しかし、本実施の形態においては、ケミカルフィルタユニット36はクリーンエア63の流れの最上流であるダクト33の取込口34に設置されているので、ケミカルフィルタユニット36のケミカルフィルタ37において活性炭や活性繊維の剥離等に起因したパーティクルが万一にも発生した場合であっても、パーティクル汚染の増加は防止することができる。すなわち、ケミカルフィルタユニット36のケミカルフィルタ37において活性炭や活性繊維の剥離等に起因したパーティクルが万一にも発生した場合であっても、そのパーティクルは下流側に配置された第一クリーンユニット40、第二クリーンユニット46および第三クリーンユニット51の各パーティクルフィルタによって捕集されるので、パーティクル汚染が増加することは未然に防止されることになる。
【0028】
ところで、パーティクルフィルタは濾過材にガラス繊維またはPTFE繊維を使用することによってクリーンエア中のパーティクルを捕集し除去するものである。パーティクルフィルタの濾過材に使用されるガラス繊維内には、微量のボロン(B)が含有しており、このボロンはガラス繊維が弗酸(HF)等の酸性雰囲気によってエッチングされた際にはクリーンエア中に飛散する懸念がある。ボロンは半導体のキャリア(電子および正孔)の濃度を制御する重要な物質であり、ICの品質や信頼性に意図しない影響を与えるので、ICの製造方法の歩留り低下の原因になる。そのため、最近ではガラス繊維はパーティクルフィルタの濾過材として使用されない傾向にある。
【0029】
他方のPTFE繊維はボロンの影響がないので、パーティクルフィルタの濾過材の主流になって来ている。しかし、PTFE繊維の濾過材は若干の有機物を発生する。そして、筐体内の有機物の汚染濃度を主としたケミカル汚染濃度は、PTFE繊維を使用したパーティクルフィルタからの有機物の発生によって決定される傾向が本発明者によって究明された。
【0030】
そこで、本実施の形態においては、光触媒ユニット43、49等を第一クリーンユニット40、第二クリーンユニット46および第三クリーンユニット51のパーティクルフィルタ42、48等の下流側に設置することにより、これらパーティクルフィルタから発生した有機物(パーティクルではない)を光触媒ユニットによってそれぞれ除去するように構成している。光触媒ユニットによる有機物の除去原理は次の通りである。
【0031】
例えば、第一クリーンユニット40のパーティクルフィルタ42のPTFE繊維から発生した有機物は、光触媒ユニット43の光触媒シート40aに付着する。ここで、酸化チタンを主成分にする光触媒シート40aに紫外線が紫外線ランプ40bによって照射されると、光触媒シート40aの酸化チタンの内部に電子(e− )および正孔(h+ )が生じる。この電子および正孔は空気中の酸素(O2 )および水(H2 O)と接触して、次式(1)および(2)の反応を起こす。
O2 +e− →O2 − ・・・(1)
H2 O+h+ →・OH+H・・・(2)
このO2 − および・OHはそれぞれ、スーパーオキサイドイオン(スーパーオキサイドアニオン)および水酸ラジカル(ヒドロキシラジカル)と呼ばれる活性酸素であり、光触媒シート40aの表面に付着した有機物を分解する。つまり、第一クリーンユニット40のパーティクルフィルタ42のPTFE繊維から発生した有機物は光触媒ユニット43によって除去されることになる。なお、酸化チタンを主成分とする光触媒シート40aの表面は比較的に硬いために、剥離して新たなパーティクル汚染を発生させることはない。
【0032】
図4は有機汚染低減効果を示すグラフであり、図5はパーティクル汚染低減効果を示すグラフである。図4および図5において、実線の折れ線は光触媒ユニットが設置された本実施の形態に係る場合を示しており、破線の折れ線は光触媒ユニットが設置されていない比較例の場合を示している。なお、図4および図5において、符号A〜Dは測定位置をそれぞれ示しており、第一測定位置Aはケミカルフィルタユニット36の上流側の位置、第二測定位置Bはダクト33の分岐点、第三測定位置Cは光触媒ユニット43や49の下流側の位置、第四測定位置Dはパーティクルフィルタ42や48と光触媒ユニット43や49との間の位置である。
【0033】
図5の破線の折れ線で示されているように、比較例の場合には、パーティクル汚染レベルは第三測定位置Cにおいて最小になる。しかし、図4の破線の折れ線で示されているように、有機汚染レベルはケミカルフィルタの直下である第二測定位置Bよりも第三測定位置Cにおいて悪化している。これはパーティクルフィルタのPTFE繊維から有機物が発生しているためと、考察される。
【0034】
これに対して、図4に実線の折れ線で示されているように、本実施の形態に係る場合には、有機汚染レベルは第四測定位置Dにおいて増加するが、光触媒ユニットの下流側の位置である第三測定位置Cにおいて低減されている。これは、パーティクルフィルタのPTFE繊維から発生した有機物が光触媒ユニットによって除去されているためである。なお、図5に実線の折れ線で示されているように、本実施の形態に係る場合にはパーティクル汚染レベルは第四測定位置D、第三測定位置Cにおいて最小となる。
【0035】
前記実施の形態によれば、次の効果が得られる。
【0036】
1) ケミカルフィルタをエアの流れの最上流に設置することにより、ケミカルフィルタから発生したパーティクルを下流側に配置されたパーティクルフィルタによって捕集することができるので、パーティクル汚染が増加するのを防止することができる。
【0037】
2) パーティクルフィルタの下流側に光触媒ユニットを設置することにより、パーティクルフィルタのPTFE繊維から発生する有機物を光触媒ユニットによって除去することができるので、化学汚染を確実に防止することができる。
【0038】
3) 化学汚染を確実に防止することにより、ICの製造方法における成膜工程の製造歩留りを向上させることができるので、成膜工程ひいてはIC製造方法のスループットを向上させることができる。
【0039】
図6は本発明の他の実施の形態である枚葉式CVD装置を示す側面断面図である。
【0040】
図6に示された枚葉式CVD装置80は筐体81を備えており、筐体81の正面の下部にはカセット2を筐体81内に搬入搬出するためのカセットポート82が構築されている。カセットポート82に対応する筐体81の正面壁にはフロントシャッタ83によって開閉されるカセット搬入搬出口84が開設されている。カセットポート82に対してはカセット2が工程内搬送装置(図示せず)によって搬入搬出されるようになっている。筐体81の内部のカセットポート82の後方には予備室85が設置されており、予備室85にはゲートバルブ87によって開閉されるカセット搬入搬出口86が開設されている。予備室85の後方にはウエハ移載装置設置室88が設置されており、ウエハ移載装置設置室88にはゲートバルブ90によって開閉されるウエハ搬入搬出口89が開設されている。ウエハ移載装置設置室88にはウエハ移載装置91が設置されている。ウエハ移載装置設置室88の後方にはプロセスチューブ92が設置されており、プロセスチューブ92とウエハ移載装置設置室88との間にはゲートバルブ93が介設されている。
【0041】
カセットポート82の上側にはエア取込路としてのダクト94が垂直方向に延在するように敷設されており、このダクト94には上流側から順に、ファン95、ケミカルフィルタ96、パーティクルフィルタ97および光触媒ユニット98が設置されている。本実施の形態によれば、ケミカルフィルタ96において発生したパーティクルはパーティクルフィルタ97によって除去することができ、パーティクルフィルタ97において発生した有機物は光触媒ユニット98によって除去することができるので、枚葉式CVD装置80における化学汚染を確実に防止することができる。
【0042】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
【0043】
例えば、光触媒ユニットは酸化チタンからなるシートおよび紫外線ランプによって構成するに限らず、他の材料や構造によって構成してもよい。
【0044】
パーティクルフィルタの濾過材としてはPTFE繊維を使用するに限らず、光触媒ユニットをボロンを除去可能に構成した場合にはガラス繊維を使用してもよい。
【0045】
前記実施の形態ではバッチ式縦形CVD装置および枚葉式CVD装置の場合について説明したが、本発明はこれに限らず、バッチ式縦形拡散装置や枚葉式拡散装置やアニール装置等の熱処理装置(furnace )や枚葉式プラズマCVD装置等の基板処理装置全般に適用することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、パーティクル汚染の増加を回避しつつ化学汚染を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるCVD装置を示す側面断面図である。
【図2】そのクリーンエアの流れを示す一部省略斜視図である。
【図3】それに使用された光触媒ユニットを示す模式図である。
【図4】有機汚染の低減効果を示すグラフである。
【図5】パーティクル汚染の低減効果を示すグラフである。
【図6】本発明の他の実施の形態である枚葉式CVD装置を示す側面断面図である。
【符号の説明】
1…ウエハ(基板)、2…カセット(ウエハキャリア)、10…CVD装置(基板処理装置)、11…筐体、12…カセットポート(カセット搬入搬出ポート)、13…フロントシャッタ、14…カセット搬入搬出口、15…保管棚、16…カセット移載装置設置室、17…カセット移載装置、18…ウエハポート、19…待機室、19a…メンテナンス口、20…ウエハ移載装置、21…ボートエレベータ、22…シールキャップ、23…ボート、24…プロセスチューブ設置室、25…処理室、26…プロセスチューブ、27…マニホールド、28…ガス導入管、29…排気管、30…ヒータユニット、31…下側配電盤部、32…上側配電盤部、33…ダクト(エア取込路)、34…取込口、35…吹出口、36…ケミカルフィルタユニット、37…ケミカルフィルタ、38…ファン、40…第一クリーンユニット(カセット移載装置室用クリーンユニット)、40a…光触媒シート、40b…紫外線ランプ、41…ファン、42…パーティクルフィルタ、43…光触媒ユニット、43a…光触媒シート、43b…紫外線ランプ、44…サブダクト、45…吹出口、46…第二クリーンユニット(カセットポート用クリーンユニット)、47…ファン、48…パーティクルフィルタ、49…光触媒ユニット、50…サブダクト、51…第三クリーンユニット(待機室用クリーンユニット)、60…フロント排気ファン、61…排気ダクト、62…リア排気ファン、63…クリーンエア、80…枚葉式CVD装置(基板処理装置)、81…筐体、82…カセットポート、83…フロントシャッタ、84…カセット搬入搬出口、85…予備室、86…カセット搬入搬出口、87…ゲートバルブ、88…ウエハ移載装置設置室、89…ウエハ搬入搬出口、90…ゲートバルブ、91…ウエハ移載装置、92…プロセスチューブ、93…ゲートバルブ、94…ダクト(エア取込路)、95…ファン、96…ケミカルフィルタ、97…パーティクルフィルタ、98…光触媒ユニット。
Claims (3)
- 筐体内にエアを取り込むエア取込路にはケミカルフィルタが設置され、その下流にはパーティクルフィルタが設置され、その下流には光触媒ユニットが設置されていることを特徴とする基板処理装置。
- 前記ケミカルフィルタの上流にはファンが設置されていることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
- ケミカルフィルタを通過したエアを一つまたは複数のエア供給対象部に送るダクトを備えており、このダクトの出口にはファンが設置され、その下流にはパーティクルフィルタが設置され、その下流には光触媒ユニットが設置されていることを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
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