JP2004363232A - 基板処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】化学汚染物質による汚染の評価の自動化をリアルタイムで実現する。
【解決手段】化学汚染物質検査装置60は筐体11の採取口61に接続された採取管62を備えており、採取管62の下流側端は分配弁64に止め弁63を介して接続され、分配弁64には供給管65A、65B、65Cが接続されている。供給管の下流側端は密閉室69A、69B、69Cに接続され、密閉室には温度コントローラ74で制御される温度調節器73A、73B、73Cと水晶振動子75A、75B、75Cとが設置されている。水晶振動子には発振回路76A、76B、76C、振動数検出部77A、77B、77C、化学汚染物質量演算部78A、78B、78C、コントローラ79が順に接続されている。
【選択図】 図3
【解決手段】化学汚染物質検査装置60は筐体11の採取口61に接続された採取管62を備えており、採取管62の下流側端は分配弁64に止め弁63を介して接続され、分配弁64には供給管65A、65B、65Cが接続されている。供給管の下流側端は密閉室69A、69B、69Cに接続され、密閉室には温度コントローラ74で制御される温度調節器73A、73B、73Cと水晶振動子75A、75B、75Cとが設置されている。水晶振動子には発振回路76A、76B、76C、振動数検出部77A、77B、77C、化学汚染物質量演算部78A、78B、78C、コントローラ79が順に接続されている。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板処理装置に関し、特に、有機物による汚染防止技術に係り、例えば、半導体集積回路装置(以下、ICという。)の製造方法においてICが作り込まれる半導体ウエハ(以下、ウエハという。)に絶縁膜や金属膜等のCVD膜を形成したり不純物を拡散したりするバッチ式縦形拡散・CVD装置に利用して有効なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
ICの製造方法においてウエハに絶縁膜や金属膜等のCVD膜を形成したり不純物を拡散したりする工程には、バッチ式縦形拡散・CVD装置(以下、単にCVD装置という。)が広く使用されている。従来のこの種のCVD装置においては、ウエハの表面を汚染しICの製造方法の歩留りに悪影響を及ぼすパーティクル(塵埃)を抑えるために、筐体の内部にクリーンエアを吹き出すクリーンユニットが設置されている。
【0003】
近年、反応性の高いガス状汚染化学物質である酸性ガスやアルカリ性ガスおよび有機ガスもウエハを汚染することが解明されている。例えば、REALIZE社発行の「ULSI製造における汚染の実態・製造現場の実態と今後の課題」においては、DOP(ジオクチルフタル酸)、DBP(ジブチルフタル酸)、多価アルコールといった有機物のウエハへの付着を低減することにより、ICの電気的不良数が低減することが明らかにされている。そこで、これらの物質(以下、化学汚染物質という。)を吸着して除去するためのフィルタ(以下、ケミカルフィルタという。)のCVD装置への設置が要求されて来ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ケミカルフィルタは濾過材に化学添着剤を担持させた活性繊維を使用して物理的吸着と化学反応とにより、酸やアルカリ、有機物といった化学汚染物質を除去するものであるため、物理的吸着能力および化学反応能力が経時劣化する。したがって、ケミカルフィルタが設置されたCVD装置においても、筐体内の雰囲気中の化学汚染物質の量や濃度を定期的または不定期的に評価する必要がある。ちなみに、化学汚染物質はケミカルフィルタの経時劣化による侵入に限らず、筐体の内部にウエハキャリアの筐体内への搬入搬出時に流入したり、筐体の隙間から侵入したりすることもある。
【0005】
筐体内の化学汚染物質の量や濃度を評価する方法としては、筐体内の雰囲気中に存在する化学汚染物質を筐体内に存置した吸着材(例えば、活性炭やウエハ)に吸着させてサンプリングして専用の分析器によってオフラインで評価する方法が、一般的に考えられる。しかしながら、このオフラインで評価する方法においては、次のような問題点がある。専用の評価システムの構築が必要になる。サンプリングのための吸着材の設置がCVD装置の稼働に影響を及ぼす。サンプリング時間の間隔が長時間にわたる場合もあり、評価結果が得られるまでに時間を要する。
そこで、本発明者等は、1個の水晶振動子によるQCM計測により装置内有機汚染の検出を行なった(特願2002−169787参照)。そこでは、振動子の再生、低沸点有機物と水分の事前除去を目的とした加熱機構を備え、周波数測定前に任意の温度で加熱することで、高、中、低沸点有機物(沸点は付着エネルギーと略比例する。)の濃度を概算するものである。しかし、この手法では高、中、低沸点有機物それぞれの濃度を同時にリアルタイムで検出することが困難であり、また、湿度の影響も水分除去の加熱プロセスを行なわないと排除できないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、化学汚染物質による汚染の評価の自動化するとともに、有機物を数段階の沸点レベルで分類し、それぞれの濃度レベルを雰囲気の温度、湿度の変化の影響なしにリアルタイムで実現させることができる基板処理装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される代表的な発明は、次の通りである。
(1)基板を処理する処理室を形成したプロセスチューブを収容する筐体と、この筐体の内部に設置されて筐体の内部の雰囲気の有機物を検出する複数個の水晶振動子(quartz crystal microbalance ) と、この複数個の水晶振動子の温度を制御する温度コントローラとを備えていることを特徴とする基板処理装置。
(2)前記(1)において、温度コントローラは各水晶振動子の温度をそれぞれ異ならせるように制御することを特徴とする基板処理装置。
(3)前記(1)または(2)において、温度コントローラは各水晶振動子の温度がそれぞれ異なる複数種類の有機物の沸点以上になるように制御することを特徴とする基板処理装置。
(4)前記(1)及至(3)のいずれかにおいて、温度コントローラは各水晶振動子の温度が、70℃以上になるように制御することを特徴とする基板処理装置。
(5)前記(1)及至(3)のいずれかにおいて、温度コントローラは水晶振動子の温度が、室温以下になるように制御することを特徴とする基板処理装置。
(6)基板処理装置の内部の有機物を検出する複数個の水晶振動子の温度をそれぞれ異なる温度に設定するステップと、前記それぞれ異なる温度に設定した複数個の水晶振動子を使用して基板処理装置の内部の複数種類の有機物を検出するステップと、を有する半導体装置の製造方法。
【0008】
前記(1)の手段によれば、水晶振動子によって化学汚染物質の増加を検出することができるため、その検出結果に基づいて化学汚染物質の評価を自動化することができる。また、複数個の水晶振動子の温度を温度コントローラによって適宜に設定することにより、各水晶振動子に吸着した化学汚染物質を分類することができるため、各化学汚染物質毎の増加の検出およびそれに基づく評価をそれぞれリアルタイムで実行することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に即して説明する。
【0010】
本実施の形態において、本発明に係る基板処理装置は、図1に示されているように、CVD装置(バッチ式縦形拡散・CVD装置)として構成されており、CVD装置10は気密室構造に構築された筐体11を備えている。一般に、ウエハを複数枚ずつ収容して搬送するためのキャリア(搬送治具)としては、互いに対向する一対の面が開口された略立方体の箱形状に形成されているオープンカセット(以下、カセットという。)と、一つの面が開口された略立方体の箱形状に形成されて開口面にキャップが着脱自在に装着されているFOUP(front opening unified pod 。)とがある。本実施の形態に係るCVD装置10においては、ウエハ1のキャリアとしてはカセット2が使用されている。
【0011】
筐体11の正面の下部にはカセット2を筐体11の内部に対して搬入搬出するためのカセット搬入搬出ポート(以下、カセットポートという。)12が構築されており、カセットポート12に対応する筐体11の正面壁には、フロントシャッタ13によって開閉されるカセット搬入搬出口14が開設されている。カセットポート12に対してはカセット2が工程内搬送装置(図示せず)によって搬入搬出されるようになっている。筐体11の内部のカセットポート12の後方には複数個のカセット2を保管する保管棚15が複数段、それぞれ水平に敷設されている。筐体11のカセットポート12と保管棚15との間にはカセット移載装置設置室16が設定されており、この設置室16にはスカラ形ロボット(selective compliance assembly robot arm 。SCARA)によって構成されたカセット移載装置17が設置されている。カセット移載装置17はカセットポート12と、保管棚15と、ウエハ1をローディングおよびアンローディングするためのポート(以下、ウエハポートという。)18との間でカセット2を搬送するように構成されている。
【0012】
ウエハポート18の後方の空間には、ボート23がプロセスチューブ26への搬入搬出に対して待機する待機室19が設定されており、待機室19の前側の空間にはウエハ移載装置20が設置されている。ウエハ移載装置20はウエハ1をウエハポート18とボート23との間で搬送して、カセット2およびボート23に受け渡すように構成されている。待機室19の後側の空間にはボートエレベータ21が垂直に設置されており、ボートエレベータ21はボート23を支持したシールキャップ22を垂直方向に昇降させるように構成されている。すなわち、シールキャップ22はマニホールド27を介してプロセスチューブ26を気密封止することができる円盤形状に形成されており、シールキャップ22の上にはボート23が垂直に立脚されている。ボート23は多数枚のウエハ1を中心を揃えて水平に配置した状態で保持するように構成されており、シールキャップ22のボートエレベータ21による昇降によってプロセスチューブ26の処理室25に対して搬入搬出されるようになっている。
【0013】
筐体11の後端部の上部にはプロセスチューブ設置室24が設定されており、プロセスチューブ設置室24には処理室25を形成するプロセスチューブ26がマニホールド27を介して垂直に立脚され待機室19の上に設置されている。マニホールド27には処理室25に原料ガスやパージガス等を導入するためのガス導入管28と、処理室25を真空排気するための排気管29が接続されている。プロセスチューブ26の外側にはヒータユニット30が同心円に配されて筐体11に支持されており、ヒータユニット30は処理室25を全体にわたって均一または所定の温度分布に加熱するように構成されている。
【0014】
なお、筐体11の内部におけるカセットポート12の下部および上部には電気機器や電気配線および制御機器等を設置するための下側配電盤部31および上側配電盤部32がそれぞれ形成されている。
【0015】
上側配電盤部32とプロセスチューブ設置室24との間にはダクト33が垂直方向に延在するように敷設されており、このダクト33の吸入口34は筐体11の上面において開口され、ダクト33の吹出口35は保管棚15の後側において開口されている。ダクト33の吸入口34にはケミカルフィルタユニット36が設置されている。ケミカルフィルタユニット36はケミカルフィルタ37と複数のファン38とを備えており、ケミカルフィルタ37がファン38群の下流側になるように構成されている。ちなみに、ケミカルフィルタ37は濾過材に化学添着剤を担持させた活性繊維を使用して、物理的吸着と化学反応とによって酸やアルカリおよび有機物といった化学汚染物質を除去するように構成されている。
【0016】
ダクト33の吹出口35にはカセット移載装置室用クリーンユニット(以下、第一クリーンユニットという。)40が、垂直に配置されて全面をカバーするように建て込まれている。第一クリーンユニット40はパーティクルを捕集するフィルタ(以下、パーティクルフィルタという。)41と複数のファン42とを備えており、パーティクルフィルタ41がファン42群の下流側になるように構成されている。ダクト33の中間部からはサブダクト43が水平に分岐されており、サブダクト43の吹出口44はカセットポート12の真上において下向きに開口されている。サブダクト43の吹出口44にはカセットポート用クリーンユニット(以下、第二クリーンユニットという。)45が、水平に配置されて全面をカバーするように建て込まれている。第二クリーンユニット45はパーティクルフィルタ46と複数のファン47とを備えており、パーティクルフィルタ46がファン47群の下流側になるように構成されている。ダクト33の下端部からは第二のサブダクト48が斜め下方向に分岐されており、第二のサブダクト43の吹出口は待機室用クリーンユニット(以下、第三クリーンユニットという。)49に接続されている。第三クリーンユニット49は待機室19の略全面をカバーするように垂直に設置されている。詳細な図示は省略するが、第三クリーンユニット49もパーティクルフィルタと複数のファンとを備えており、パーティクルフィルタがファン群の下流側になるように構成されている。
【0017】
図2に示されているように、カセット移載装置設置室16の床面にはフロント排気ファン50が左右方向に延在するように水平に敷設されており、待機室19の床面には一対の排気ダクト51、51が左右に並べられて敷設されている。フロント排気ファン50の吹出口は左右の排気ダクト51、51の吸入口にそれぞれ接続されており、左右の排気ダクト51、51の吹出口は筐体11の外部において開口されている。待機室19の後端部の第三クリーンユニット49と反対側の片隅には、三台のリア排気ファン52、52、52が垂直線上において上中下段に並べられて設置されており、リア排気ファン52は待機室19の雰囲気を吸い込んで待機室19の外部に吹き出すように構成されている。
【0018】
図1に示されているように、ダクト33の中間部、第二クリーンユニット45の吹出口付近、カセット移載装置設置室16の下部および待機室19の下部には、図3に示された化学汚染物質検査装置60がそれぞれ設置されている。図3に示されているように、化学汚染物質検査装置60は筐体11内の雰囲気を採取する採取管62を備えており、採取管62の上流側端は筐体11におけるダクト33の中間部、第二クリーンユニット45の吹出口の付近、カセット移載装置設置室16の下部および待機室19の下部にそれぞれ開設された採取口61にそれぞれ接続されている。採取管62の下流側端は分配弁64に止め弁63を介して接続されており、分配弁64には複数本の供給管(本実施の形態においては、説明の便宜上三本とする。)65A、65B、65Cが接続されている。供給管65A、65B、65Cの途中には不活性ガス導入管66A、66B、66Cがそれぞれ接続されており、不活性ガス導入管66A、66B、66Cには止め弁67A、67B、67Cがそれぞれ介設されている。供給管65A、65B、65Cの下流側端には密閉容器68A、68B、68Cが接続されており、密閉容器68A、68B、68Cは密閉室69A、69B、69Cをそれぞれ形成している。密閉容器68A、68B、68Cおよび供給管65A、65B、65Cの外側には温度調節器70A、70B、70Cがそれぞれ設置されており、温度調節器70A、70B、70Cはペルチェ素子やヒータ等が使用されて構成されている。密閉容器68A、68B、68Cには排出管71A、71B、71Cがそれぞれ接続されており、排出管71A、71B、71Cはポンプ72に接続されている。
【0019】
密閉室69A、69B、69Cにも温度調節器73A、73B、73Cがそれぞれ設置されており、温度調節器73A、73B、73Cは外側の温度調節器70A、70B、70Cと連携されて温度コントローラ74によって制御されるように構成されている。密閉室69A、69B、69Cには水晶振動子75A、75B、75Cが設置されており、水晶振動子75A、75B、75Cの端子は密閉容器68A、68B、68Cを貫通して密閉室69A、69B、69Cの外部に引き出されている。水晶振動子75A、75B、75Cの端子が接続された発振回路76A、76B、76Cには振動数検出部77A、77B、77Cがそれぞれ接続されており、振動数検出部77A、77B、77Cの出力側は化学汚染物質量演算部(以下、演算部という。)78A、78B、78Cにそれぞれ接続されている。演算部78A、78B、78Cの出力側はコントローラ79にそれぞれ接続されており、コントローラ79の出力側にはブザーやランプおよびプリンタ等の出力装置79aが接続されている。
【0020】
次に、前記構成に係るCVD装置によるICの製造方法における成膜工程を説明する。
【0021】
図1に示されているように、カセット搬入搬出口14からカセットポート12に供給されたカセット2は、保管棚15へカセット移載装置設置室16のカセット移載装置17によって搬送されて一時的に保管される。保管棚15に保管されたカセット2はカセット移載装置17によって適宜にピックアップされて、ウエハポート18に搬送され移載される。ウエハポート18のカセット2に収納された複数枚のウエハ1は、ウエハ移載装置20によってボート23に移載されて装填(チャージング)される。
【0022】
指定された枚数のウエハ1がボート23に装填されると、ボート23はボートエレベータ21によって上昇されてプロセスチューブ26の処理室25に搬入される。ボート23が上限に達すると、ボート23を保持したシールキャップ22の上面の周辺部がプロセスチューブ26をシール状態に閉塞するため、処理室25は気密に閉じられた状態になる。
【0023】
次いで、プロセスチューブ26の処理室25が気密に閉じられた状態で、所定の真空度に排気管29によって真空排気され、ヒータユニット30によって所定の温度に加熱され、所定の原料ガスがガス導入管28によって所定の流量だけ供給される。これにより、所定のCVD膜がウエハ1に形成される。
【0024】
そして、予め設定された処理時間が経過すると、ボート23がボートエレベータ21によって下降されることにより、処理済みウエハ1を保持したボート23が待機室19における元の待機位置に搬出(ボートアンローディング)される。
【0025】
待機室19に搬出されたボート23の処理済みウエハ1は、ボート23からウエハ移載装置20によってピックアップされてウエハポート18に搬送され、ウエハポート18に移載された空のカセット2に収納される。処理済みのウエハ1が収納されたカセット2は、保管棚15の指定された位置にカセット移載装置17によって搬送されて一時的に保管される。処理済みウエハ1を収納したカセット2は、保管棚15からカセットポート12へカセット移載装置17によって搬送される。カセットポート12に移載されたカセット2は次工程へ搬送される。
【0026】
以降、前述した作用が繰り返されてウエハ1がCVD装置10によってバッチ処理されて行く。
【0027】
以上のバッチ処理が実施されている際には、図2に矢印で示されているように、カセット移載装置設置室16、カセットポート12および待機室19にはクリーンエア53が第一クリーンユニット40、第二クリーンユニット45および第三クリーンユニット49から吹き出され、フロント排気ファン50およびリア排気ファン52によって吸い込まれて排気ダクト51、51から筐体11の外部に排気される。このクリーンエア53の流れにより、カセット2やウエハ1の表面に付着したパーティクル、カセット移載装置17やウエハ移載装置20およびボートエレベータ21の稼働によって発生したパーティクル等が吹き落とされる。
【0028】
この際、第一クリーンユニット40、第二クリーンユニット45および第三クリーンユニット49に接続されたダクト33の吸入口34にはケミカルフィルタユニット36が設置されているため、第一クリーンユニット40、第二クリーンユニット45および第三クリーンユニット49から吹き出されるクリーンエア53は酸性ガスやアルカリ性ガスおよび有機ガス等の化学汚染物質を予め除去された状態になっている。
【0029】
ところで、ケミカルフィルタ37は濾過材に化学添着剤を担持させた活性繊維を使用して物理的吸着と化学反応とにより、酸やアルカリ、有機物といった化学汚染物質を除去するものであるため、物理的吸着能力および化学反応能力が経時劣化する。ケミカルフィルタ37の物理的吸着能力および化学反応能力が劣化すると、ケミカルフィルタ37が化学汚染物質を充分に除去することができなくなるため、ウエハ1が化学汚染物質によって汚染される事態が発生し、ICの製造方法の歩留りの低下等が引き起こされる。
【0030】
そこで、本実施の形態においては、ダクト33のクリーンエア53中の化学汚染物質量の増加をケミカルフィルタユニット36の下流に設置された化学汚染物質検査装置60によって測定することにより、ケミカルフィルタ37の化学汚染物質の除去能力の低下の有無を検査するとともに、検査の結果、ケミカルフィルタ37の化学汚染物質の除去能力の低下が有ると判定された場合には、その旨を警報し、ケミカルフィルタ37の交換時期を知らせるだけでなく、さらに、ICの製造方法の歩留りの低下等の発生を未然に防止することができるようにしている。
【0031】
以下、化学汚染物質検査装置60の作用および効果を説明する。
水晶振動子75A、75B、75Cの振動数変化量は、次式(1)によって与えられる。
−Δf=Δm×(f2 /N×A×ρ)・・・(1)
(1)式中、fは基本発振周波数、Δfは振動数変化量、Δmは振動子質量変化値、Nは振動数定数、Aは振動子表面積、ρは水晶の密度である。
ここで、振動子質量変化値Δmは雰囲気中に存在する化学汚染物質が振動子表面に付着することで変化するため、化学汚染物質の変化量はΔmを演算することにより求めることができる。
ここで、ケミカルフィルタユニット36から化学汚染物質が吹き出されると、ケミカルフィルタユニット36の下流に設置された化学汚染物質検査装置60の水晶振動子75A、75B、75Cには化学汚染物質が付着するため、基本振動数fは減少する。すなわち、化学汚染物質検査装置60の一定のサンプリング時間において、化学汚染物質の濃度が高いほど水晶振動子75A、75B、75Cの表面に付着する化学汚染物質の付着レートが高いため、低濃度の化学汚染物質の汚染環境下では振動数変化量Δfは小さいが、高濃度の化学汚染物質の汚染環境下では振動数変化量Δfは大きくなる。したがって、一定のサンプリング時間における振動数変化量Δfの値を演算することにより、次の(2)式から化学汚染物質の濃度を求めることができる。
表面汚染量=係数×雰囲気濃度×{1−exp(−a×t)}・・・(2)
(2)式中、aは係数、tは時間である。よって、化学汚染物質検査装置60のコントローラ79にサンプリング時間における振動数変化量Δfに基準値を設定しておき、演算部78A、78B、78Cからの振動数変化量Δfがその基準値を超えた場合には、コントローラ79は出力装置79aに警報を発生させる信号を指令する。また、化学汚染物質検査装置60は雰囲気濃度レベルを数段階(例えば、高・中・低)をもって告知するように構築することもできる。
【0032】
さらに、本実施の形態においては、表1に示されているように、第一有機物(例えば、DOP)A、第二有機物(例えば、DBP)B、第三有機物(例えば、多価アルコール)の水晶振動子から脱離する温度がTA℃、TB℃、TC℃(TA<TB<TCとする。)であった場合において、表2に示されているように、三個の水晶振動子75A、75B、75Cの温度を温度調節器73A、73B、73Cによってそれぞれ調節することにより、三個の水晶振動子75A、75B、75Cにそれぞれ付着する有機物A、B、Cを分類して、それぞれの有機物を検出できる。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
例えば、ダクト33の中間部に設置された化学汚染物質検査装置60において、止め弁63が開かれると、ダクト33に開設された採取口61から採取されたクリーンエア53は採取管62を通って分配弁64に流れ、分配弁64により三本の供給管65A、65B、65Cにそれぞれ分配され、各密閉室69A、69B、69Cにそれぞれ供給される。表2に示されているように、密閉室69Aの水晶振動子(以下、第一振動子という。)75Aの温度Tは第一有機物Aが水晶振動子から脱離する温度TA未満に設定されているために、第一振動子75Aには第一有機物A、第二有機物B、第三有機物Cが付着する。密閉室69Bの水晶振動子(以下、第二振動子という。)75Bの温度TBは、第一有機物Aの脱離温度TAよりも高く、第二有機物の脱離温度TB未満に設定されているために、第二振動子75Bには第二有機物B、第三有機物Cが付着し、密閉室69Cの水晶振動子(以下、第三振動子という。)75Cの温度Tは前記TBよりも高く、第三有機物の脱離温度TC未満に設定されているために、第三振動子75Cには第三有機物Cが付着する。したがって、コントローラ79は第一振動子75A、第二振動子75B、第三振動子75Cに基づく演算部78A、78B、78Cからの送信データを比較することにより、第一有機物A、第二有機物B、第三有機物Cを分類することができるとともに、それら毎にリアルタイムで警報や濃度レベルを出力装置79aによって出力することができる。
【0036】
ところで、水晶振動子75A、75B、75Cに付着した化学汚染物質をサンプリング後も付着したままにしておくと、基本発振周波数fが変動したままの状態になっているために、水晶振動子75A、75B、75Cの化学汚染物質の検出精度が低下してしまう。そこで、本実施の形態に係る化学汚染物質検査装置60においては、サンプリング後の適当な時期に温度調節器73A、73B、73Cによって水晶振動子75A、75B、75Cを加熱することにより、水晶振動子75A、75B、75Cに付着した化学汚染物質を加熱脱離させて清浄化し、基本発振周波数fを初期値に戻し、もって、水晶振動子75A、75B、75Cによる検出精度の低下を防止し、水晶振動子75A、75B、75Cによる繰り返しの検出を可能にする。この水晶振動子75A、75B、75Cに付着した化学汚染物質を加熱脱離して水晶振動子75A、75B、75Cを清浄化するための加熱温度としては、250℃以上で水晶振動子75A、75B、75Cの耐熱温度以下の任意の温度が好ましい。
【0037】
水晶振動子75A、75B、75Cは化学汚染物質のほかに、水分が付着するので、温度、湿度により化学汚染物質の検査(検出)結果に影響がでる可能性がある。この場合は、前述した化学汚染物質の検査作業を実行する前に、水晶振動子75A、75B、75Cを温度調節器73A、73B、73Cによって水晶振動子75A、75B、75Cの清浄化温度すなわち水晶振動子75A、75B、75Cに付着した化学汚染物質を加熱脱離させる温度よりも低い温度をもって加熱することにより、水晶振動子75A、75B、75Cの表面に付着した水分を化学汚染物質の検出作業以前に予め除去し、もって、化学汚染物質検査装置60による検査の精度を高めることができる。この水晶振動子75A、75B、75Cの表面に付着した水分を除去するための加熱温度としては、70℃以上の任意の温度が好ましい。
【0038】
なお、振動子の温度を室温よりも低い温度に制御した場合には、揮発性の高い有機物、雰囲気濃度が低い有機物の振動子への付着確率が向上し、これらの雰囲気濃度も検出することができるようになる。
【0039】
以上のようにしてダクト33に設置された化学汚染物質検査装置60によれば、ケミカルフィルタ37の化学汚染物質の除去能力の低下の有無を自動的にリアルタイムで検査するだけでなく、有機物の種類毎に警報や濃度レベルを告知することができる。
【0040】
ところで、化学汚染物質の筐体11の内部への侵入としては、ケミカルフィルタ37の経時劣化による侵入に限らず、筐体11の囲い壁の継ぎ目や隙間からの侵入、カセットポート12のカセット搬入搬出口14からの侵入、待機室19のメンテナンス口19aからの侵入等がある。したがって、カセットポート12、カセット移載装置設置室16、待機室19における化学汚染物質量の変化を自動的にモニタリングすることが望ましい。
【0041】
そこで、本実施の形態にかかるCVD装置10においては、化学汚染物質検査装置60が第二クリーンユニット45の吹出口付近、カセット移載装置設置室16の下部および待機室19の下部にそれぞれ設置されている。これらの化学汚染物質検査装置60によってカセットポート12やカセット移載装置設置室16および待機室19における化学汚染物質の量を検査することができるため、これらに侵入した化学汚染物質によるウエハ1の汚染を防止することができ、ICの製造方法における歩留りの低下を未然に防止することができる。なお、これらの化学汚染物質検査装置60の作用は前述したダクト33に設置された化学汚染物質検査装置60と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0042】
図4は本発明の他の実施の形態である枚葉式CVD装置を示す側面断面図である。図4に示された枚葉式CVD装置80は筐体81を備えており、筐体81の正面の下部にはカセット2を筐体81内に搬入搬出するためのカセットポート82が構築されている。カセットポート82に対応する筐体81の正面壁にはフロントシャッタ83によって開閉されるカセット搬入搬出口84が開設されている。カセットポート82に対してはカセット2が工程内搬送装置(図示せず)によって搬入搬出されるようになっている。筐体81の内部のカセットポート82の後方には予備室85が設置されており、予備室85にはゲートバルブ87によって開閉されるカセット搬入搬出口86が開設されている。予備室85の後方にはウエハ移載装置設置室88が設置されており、ウエハ移載装置設置室88にはゲートバルブ90によって開閉されるウエハ搬入搬出口89が開設されている。ウエハ移載装置設置室88にはウエハ移載装置91が設置されている。ウエハ移載装置設置室88の後方にはプロセスチューブ92が設置されており、プロセスチューブ92とウエハ移載装置設置室88との間にはゲートバルブ93が介設されている。
【0043】
カセットポート82の上側にはクリーンユニット94が下向きに設置されており、クリーンユニット94の吹出口付近には化学汚染物質検査装置60が設置されている。本実施の形態によれば、カセットポート82における化学汚染物質の変化量を化学汚染物質検査装置60によってモニタリングすることができるため、化学汚染物質による枚葉式CVD装置80の歩留りの低下を防止することができる。
【0044】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
【0045】
前記実施の形態では化学汚染物質検査装置を筐体内部雰囲気の採取口毎にそれぞれ設置した場合について説明したが、化学汚染物質検査装置は複数個の採取口相互において共用するように構成してもよい。
【0046】
前記実施の形態ではバッチ式縦形CVD装置および枚葉式CVD装置の場合について説明したが、本発明はこれに限らず、バッチ式縦形拡散装置や枚葉式拡散装置やアニール装置等の熱処理装置(furnace )や枚葉式プラズマCVD装置等の基板処理装置全般に適用することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数個の水晶振動子をそれぞれ異なる温度に制御して、有機物汚染物質の沸点の違いを利用することにより化学汚染物質による汚染の評価をリアルタイムで実現することができ、かつ、複数種類の化学汚染物質毎に分類して評価することができる。また、評価結果はリアルタイムで出力装置によりユーザに告知することができるようにすると、半導体素子製造に比較的影響の少ない低沸点有機物のレベルの警報は注意として、中沸点有機物の警報が出たところでケミカルフィルタを交換するといったことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるCVD装置を示す側面断面図である。
【図2】そのクリーンエアの流れを示す一部省略斜視図である。
【図3】それに使用された化学汚染物質検査装置を示す模式図である。
【図4】本発明の他の実施の形態である枚葉式CVD装置を示す側面断面図である。
【符号の説明】
1…ウエハ(基板)、2…カセット(ウエハキャリア)、10…CVD装置(基板処理装置)、11…筐体、12…カセットポート(カセット搬入搬出ポート)、13…フロントシャッタ、14…カセット搬入搬出口、15…保管棚、16…カセット移載装置設置室、17…カセット移載装置、18…ウエハポート、19…待機室、19a…メンテナンス口、20…ウエハ移載装置、21…ボートエレベータ、22…シールキャップ、23…ボート、24…プロセスチューブ設置室、25…処理室、26…プロセスチューブ、27…マニホールド、28…ガス導入管、29…排気管、30…ヒータユニット、31…下側配電盤部、32…上側配電盤部、33…ダクト、34…吸入口、35…吹出口、36…ケミカルフィルタユニット、37…ケミカルフィルタ、38…ファン、40…第一クリーンユニット(カセット移載装置室用クリーンユニット)、41…パーティクルフィルタ、42…ファン、43…サブダクト、44…吹出口、45…第二クリーンユニット(カセットポート用クリーンユニット)、46…パーティクルフィルタ、47…ファン、48…サブダクト、49…第三クリーンユニット(待機室用クリーンユニット)、50…フロント排気ファン、51…排気ダクト、52…リア排気ファン、53…クリーンエア、60…化学汚染物質検査装置、61…採取口、62…採取管、63…止め弁、64…分配弁、65A、65B、65C…供給管、66A、66B、66C…不活性ガス導入管、67A、67B、67C…止め弁、68A、68B、68C…密閉容器、69A、69B、69C…密閉室、70A、70B、70C…温度調節器、71A、71B、71C…排出管、72…ポンプ、73A、73B、73C…温度調節器、74…温度コントローラ、75A、75B、75C…水晶振動子、76A、76B、76C…発振回路、77A、77B、77C…振動検出部、78A、78B、78C…化学汚染物質量演算部、79…コントローラ、79a…出力装置、80…枚葉式CVD装置、81…筐体、82…カセットポート、83…フロントシャッタ、84…カセット搬入搬出口、85…予備室、87…ゲートバルブ、86…カセット搬入搬出口、88…ウエハ移載装置設置室、89…ウエハ搬入搬出口、90…ゲートバルブ、91…ウエハ移載装置、92…プロセスチューブ、93…ゲートバルブ、94…クリーンユニット。
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板処理装置に関し、特に、有機物による汚染防止技術に係り、例えば、半導体集積回路装置(以下、ICという。)の製造方法においてICが作り込まれる半導体ウエハ(以下、ウエハという。)に絶縁膜や金属膜等のCVD膜を形成したり不純物を拡散したりするバッチ式縦形拡散・CVD装置に利用して有効なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
ICの製造方法においてウエハに絶縁膜や金属膜等のCVD膜を形成したり不純物を拡散したりする工程には、バッチ式縦形拡散・CVD装置(以下、単にCVD装置という。)が広く使用されている。従来のこの種のCVD装置においては、ウエハの表面を汚染しICの製造方法の歩留りに悪影響を及ぼすパーティクル(塵埃)を抑えるために、筐体の内部にクリーンエアを吹き出すクリーンユニットが設置されている。
【0003】
近年、反応性の高いガス状汚染化学物質である酸性ガスやアルカリ性ガスおよび有機ガスもウエハを汚染することが解明されている。例えば、REALIZE社発行の「ULSI製造における汚染の実態・製造現場の実態と今後の課題」においては、DOP(ジオクチルフタル酸)、DBP(ジブチルフタル酸)、多価アルコールといった有機物のウエハへの付着を低減することにより、ICの電気的不良数が低減することが明らかにされている。そこで、これらの物質(以下、化学汚染物質という。)を吸着して除去するためのフィルタ(以下、ケミカルフィルタという。)のCVD装置への設置が要求されて来ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ケミカルフィルタは濾過材に化学添着剤を担持させた活性繊維を使用して物理的吸着と化学反応とにより、酸やアルカリ、有機物といった化学汚染物質を除去するものであるため、物理的吸着能力および化学反応能力が経時劣化する。したがって、ケミカルフィルタが設置されたCVD装置においても、筐体内の雰囲気中の化学汚染物質の量や濃度を定期的または不定期的に評価する必要がある。ちなみに、化学汚染物質はケミカルフィルタの経時劣化による侵入に限らず、筐体の内部にウエハキャリアの筐体内への搬入搬出時に流入したり、筐体の隙間から侵入したりすることもある。
【0005】
筐体内の化学汚染物質の量や濃度を評価する方法としては、筐体内の雰囲気中に存在する化学汚染物質を筐体内に存置した吸着材(例えば、活性炭やウエハ)に吸着させてサンプリングして専用の分析器によってオフラインで評価する方法が、一般的に考えられる。しかしながら、このオフラインで評価する方法においては、次のような問題点がある。専用の評価システムの構築が必要になる。サンプリングのための吸着材の設置がCVD装置の稼働に影響を及ぼす。サンプリング時間の間隔が長時間にわたる場合もあり、評価結果が得られるまでに時間を要する。
そこで、本発明者等は、1個の水晶振動子によるQCM計測により装置内有機汚染の検出を行なった(特願2002−169787参照)。そこでは、振動子の再生、低沸点有機物と水分の事前除去を目的とした加熱機構を備え、周波数測定前に任意の温度で加熱することで、高、中、低沸点有機物(沸点は付着エネルギーと略比例する。)の濃度を概算するものである。しかし、この手法では高、中、低沸点有機物それぞれの濃度を同時にリアルタイムで検出することが困難であり、また、湿度の影響も水分除去の加熱プロセスを行なわないと排除できないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、化学汚染物質による汚染の評価の自動化するとともに、有機物を数段階の沸点レベルで分類し、それぞれの濃度レベルを雰囲気の温度、湿度の変化の影響なしにリアルタイムで実現させることができる基板処理装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される代表的な発明は、次の通りである。
(1)基板を処理する処理室を形成したプロセスチューブを収容する筐体と、この筐体の内部に設置されて筐体の内部の雰囲気の有機物を検出する複数個の水晶振動子(quartz crystal microbalance ) と、この複数個の水晶振動子の温度を制御する温度コントローラとを備えていることを特徴とする基板処理装置。
(2)前記(1)において、温度コントローラは各水晶振動子の温度をそれぞれ異ならせるように制御することを特徴とする基板処理装置。
(3)前記(1)または(2)において、温度コントローラは各水晶振動子の温度がそれぞれ異なる複数種類の有機物の沸点以上になるように制御することを特徴とする基板処理装置。
(4)前記(1)及至(3)のいずれかにおいて、温度コントローラは各水晶振動子の温度が、70℃以上になるように制御することを特徴とする基板処理装置。
(5)前記(1)及至(3)のいずれかにおいて、温度コントローラは水晶振動子の温度が、室温以下になるように制御することを特徴とする基板処理装置。
(6)基板処理装置の内部の有機物を検出する複数個の水晶振動子の温度をそれぞれ異なる温度に設定するステップと、前記それぞれ異なる温度に設定した複数個の水晶振動子を使用して基板処理装置の内部の複数種類の有機物を検出するステップと、を有する半導体装置の製造方法。
【0008】
前記(1)の手段によれば、水晶振動子によって化学汚染物質の増加を検出することができるため、その検出結果に基づいて化学汚染物質の評価を自動化することができる。また、複数個の水晶振動子の温度を温度コントローラによって適宜に設定することにより、各水晶振動子に吸着した化学汚染物質を分類することができるため、各化学汚染物質毎の増加の検出およびそれに基づく評価をそれぞれリアルタイムで実行することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に即して説明する。
【0010】
本実施の形態において、本発明に係る基板処理装置は、図1に示されているように、CVD装置(バッチ式縦形拡散・CVD装置)として構成されており、CVD装置10は気密室構造に構築された筐体11を備えている。一般に、ウエハを複数枚ずつ収容して搬送するためのキャリア(搬送治具)としては、互いに対向する一対の面が開口された略立方体の箱形状に形成されているオープンカセット(以下、カセットという。)と、一つの面が開口された略立方体の箱形状に形成されて開口面にキャップが着脱自在に装着されているFOUP(front opening unified pod 。)とがある。本実施の形態に係るCVD装置10においては、ウエハ1のキャリアとしてはカセット2が使用されている。
【0011】
筐体11の正面の下部にはカセット2を筐体11の内部に対して搬入搬出するためのカセット搬入搬出ポート(以下、カセットポートという。)12が構築されており、カセットポート12に対応する筐体11の正面壁には、フロントシャッタ13によって開閉されるカセット搬入搬出口14が開設されている。カセットポート12に対してはカセット2が工程内搬送装置(図示せず)によって搬入搬出されるようになっている。筐体11の内部のカセットポート12の後方には複数個のカセット2を保管する保管棚15が複数段、それぞれ水平に敷設されている。筐体11のカセットポート12と保管棚15との間にはカセット移載装置設置室16が設定されており、この設置室16にはスカラ形ロボット(selective compliance assembly robot arm 。SCARA)によって構成されたカセット移載装置17が設置されている。カセット移載装置17はカセットポート12と、保管棚15と、ウエハ1をローディングおよびアンローディングするためのポート(以下、ウエハポートという。)18との間でカセット2を搬送するように構成されている。
【0012】
ウエハポート18の後方の空間には、ボート23がプロセスチューブ26への搬入搬出に対して待機する待機室19が設定されており、待機室19の前側の空間にはウエハ移載装置20が設置されている。ウエハ移載装置20はウエハ1をウエハポート18とボート23との間で搬送して、カセット2およびボート23に受け渡すように構成されている。待機室19の後側の空間にはボートエレベータ21が垂直に設置されており、ボートエレベータ21はボート23を支持したシールキャップ22を垂直方向に昇降させるように構成されている。すなわち、シールキャップ22はマニホールド27を介してプロセスチューブ26を気密封止することができる円盤形状に形成されており、シールキャップ22の上にはボート23が垂直に立脚されている。ボート23は多数枚のウエハ1を中心を揃えて水平に配置した状態で保持するように構成されており、シールキャップ22のボートエレベータ21による昇降によってプロセスチューブ26の処理室25に対して搬入搬出されるようになっている。
【0013】
筐体11の後端部の上部にはプロセスチューブ設置室24が設定されており、プロセスチューブ設置室24には処理室25を形成するプロセスチューブ26がマニホールド27を介して垂直に立脚され待機室19の上に設置されている。マニホールド27には処理室25に原料ガスやパージガス等を導入するためのガス導入管28と、処理室25を真空排気するための排気管29が接続されている。プロセスチューブ26の外側にはヒータユニット30が同心円に配されて筐体11に支持されており、ヒータユニット30は処理室25を全体にわたって均一または所定の温度分布に加熱するように構成されている。
【0014】
なお、筐体11の内部におけるカセットポート12の下部および上部には電気機器や電気配線および制御機器等を設置するための下側配電盤部31および上側配電盤部32がそれぞれ形成されている。
【0015】
上側配電盤部32とプロセスチューブ設置室24との間にはダクト33が垂直方向に延在するように敷設されており、このダクト33の吸入口34は筐体11の上面において開口され、ダクト33の吹出口35は保管棚15の後側において開口されている。ダクト33の吸入口34にはケミカルフィルタユニット36が設置されている。ケミカルフィルタユニット36はケミカルフィルタ37と複数のファン38とを備えており、ケミカルフィルタ37がファン38群の下流側になるように構成されている。ちなみに、ケミカルフィルタ37は濾過材に化学添着剤を担持させた活性繊維を使用して、物理的吸着と化学反応とによって酸やアルカリおよび有機物といった化学汚染物質を除去するように構成されている。
【0016】
ダクト33の吹出口35にはカセット移載装置室用クリーンユニット(以下、第一クリーンユニットという。)40が、垂直に配置されて全面をカバーするように建て込まれている。第一クリーンユニット40はパーティクルを捕集するフィルタ(以下、パーティクルフィルタという。)41と複数のファン42とを備えており、パーティクルフィルタ41がファン42群の下流側になるように構成されている。ダクト33の中間部からはサブダクト43が水平に分岐されており、サブダクト43の吹出口44はカセットポート12の真上において下向きに開口されている。サブダクト43の吹出口44にはカセットポート用クリーンユニット(以下、第二クリーンユニットという。)45が、水平に配置されて全面をカバーするように建て込まれている。第二クリーンユニット45はパーティクルフィルタ46と複数のファン47とを備えており、パーティクルフィルタ46がファン47群の下流側になるように構成されている。ダクト33の下端部からは第二のサブダクト48が斜め下方向に分岐されており、第二のサブダクト43の吹出口は待機室用クリーンユニット(以下、第三クリーンユニットという。)49に接続されている。第三クリーンユニット49は待機室19の略全面をカバーするように垂直に設置されている。詳細な図示は省略するが、第三クリーンユニット49もパーティクルフィルタと複数のファンとを備えており、パーティクルフィルタがファン群の下流側になるように構成されている。
【0017】
図2に示されているように、カセット移載装置設置室16の床面にはフロント排気ファン50が左右方向に延在するように水平に敷設されており、待機室19の床面には一対の排気ダクト51、51が左右に並べられて敷設されている。フロント排気ファン50の吹出口は左右の排気ダクト51、51の吸入口にそれぞれ接続されており、左右の排気ダクト51、51の吹出口は筐体11の外部において開口されている。待機室19の後端部の第三クリーンユニット49と反対側の片隅には、三台のリア排気ファン52、52、52が垂直線上において上中下段に並べられて設置されており、リア排気ファン52は待機室19の雰囲気を吸い込んで待機室19の外部に吹き出すように構成されている。
【0018】
図1に示されているように、ダクト33の中間部、第二クリーンユニット45の吹出口付近、カセット移載装置設置室16の下部および待機室19の下部には、図3に示された化学汚染物質検査装置60がそれぞれ設置されている。図3に示されているように、化学汚染物質検査装置60は筐体11内の雰囲気を採取する採取管62を備えており、採取管62の上流側端は筐体11におけるダクト33の中間部、第二クリーンユニット45の吹出口の付近、カセット移載装置設置室16の下部および待機室19の下部にそれぞれ開設された採取口61にそれぞれ接続されている。採取管62の下流側端は分配弁64に止め弁63を介して接続されており、分配弁64には複数本の供給管(本実施の形態においては、説明の便宜上三本とする。)65A、65B、65Cが接続されている。供給管65A、65B、65Cの途中には不活性ガス導入管66A、66B、66Cがそれぞれ接続されており、不活性ガス導入管66A、66B、66Cには止め弁67A、67B、67Cがそれぞれ介設されている。供給管65A、65B、65Cの下流側端には密閉容器68A、68B、68Cが接続されており、密閉容器68A、68B、68Cは密閉室69A、69B、69Cをそれぞれ形成している。密閉容器68A、68B、68Cおよび供給管65A、65B、65Cの外側には温度調節器70A、70B、70Cがそれぞれ設置されており、温度調節器70A、70B、70Cはペルチェ素子やヒータ等が使用されて構成されている。密閉容器68A、68B、68Cには排出管71A、71B、71Cがそれぞれ接続されており、排出管71A、71B、71Cはポンプ72に接続されている。
【0019】
密閉室69A、69B、69Cにも温度調節器73A、73B、73Cがそれぞれ設置されており、温度調節器73A、73B、73Cは外側の温度調節器70A、70B、70Cと連携されて温度コントローラ74によって制御されるように構成されている。密閉室69A、69B、69Cには水晶振動子75A、75B、75Cが設置されており、水晶振動子75A、75B、75Cの端子は密閉容器68A、68B、68Cを貫通して密閉室69A、69B、69Cの外部に引き出されている。水晶振動子75A、75B、75Cの端子が接続された発振回路76A、76B、76Cには振動数検出部77A、77B、77Cがそれぞれ接続されており、振動数検出部77A、77B、77Cの出力側は化学汚染物質量演算部(以下、演算部という。)78A、78B、78Cにそれぞれ接続されている。演算部78A、78B、78Cの出力側はコントローラ79にそれぞれ接続されており、コントローラ79の出力側にはブザーやランプおよびプリンタ等の出力装置79aが接続されている。
【0020】
次に、前記構成に係るCVD装置によるICの製造方法における成膜工程を説明する。
【0021】
図1に示されているように、カセット搬入搬出口14からカセットポート12に供給されたカセット2は、保管棚15へカセット移載装置設置室16のカセット移載装置17によって搬送されて一時的に保管される。保管棚15に保管されたカセット2はカセット移載装置17によって適宜にピックアップされて、ウエハポート18に搬送され移載される。ウエハポート18のカセット2に収納された複数枚のウエハ1は、ウエハ移載装置20によってボート23に移載されて装填(チャージング)される。
【0022】
指定された枚数のウエハ1がボート23に装填されると、ボート23はボートエレベータ21によって上昇されてプロセスチューブ26の処理室25に搬入される。ボート23が上限に達すると、ボート23を保持したシールキャップ22の上面の周辺部がプロセスチューブ26をシール状態に閉塞するため、処理室25は気密に閉じられた状態になる。
【0023】
次いで、プロセスチューブ26の処理室25が気密に閉じられた状態で、所定の真空度に排気管29によって真空排気され、ヒータユニット30によって所定の温度に加熱され、所定の原料ガスがガス導入管28によって所定の流量だけ供給される。これにより、所定のCVD膜がウエハ1に形成される。
【0024】
そして、予め設定された処理時間が経過すると、ボート23がボートエレベータ21によって下降されることにより、処理済みウエハ1を保持したボート23が待機室19における元の待機位置に搬出(ボートアンローディング)される。
【0025】
待機室19に搬出されたボート23の処理済みウエハ1は、ボート23からウエハ移載装置20によってピックアップされてウエハポート18に搬送され、ウエハポート18に移載された空のカセット2に収納される。処理済みのウエハ1が収納されたカセット2は、保管棚15の指定された位置にカセット移載装置17によって搬送されて一時的に保管される。処理済みウエハ1を収納したカセット2は、保管棚15からカセットポート12へカセット移載装置17によって搬送される。カセットポート12に移載されたカセット2は次工程へ搬送される。
【0026】
以降、前述した作用が繰り返されてウエハ1がCVD装置10によってバッチ処理されて行く。
【0027】
以上のバッチ処理が実施されている際には、図2に矢印で示されているように、カセット移載装置設置室16、カセットポート12および待機室19にはクリーンエア53が第一クリーンユニット40、第二クリーンユニット45および第三クリーンユニット49から吹き出され、フロント排気ファン50およびリア排気ファン52によって吸い込まれて排気ダクト51、51から筐体11の外部に排気される。このクリーンエア53の流れにより、カセット2やウエハ1の表面に付着したパーティクル、カセット移載装置17やウエハ移載装置20およびボートエレベータ21の稼働によって発生したパーティクル等が吹き落とされる。
【0028】
この際、第一クリーンユニット40、第二クリーンユニット45および第三クリーンユニット49に接続されたダクト33の吸入口34にはケミカルフィルタユニット36が設置されているため、第一クリーンユニット40、第二クリーンユニット45および第三クリーンユニット49から吹き出されるクリーンエア53は酸性ガスやアルカリ性ガスおよび有機ガス等の化学汚染物質を予め除去された状態になっている。
【0029】
ところで、ケミカルフィルタ37は濾過材に化学添着剤を担持させた活性繊維を使用して物理的吸着と化学反応とにより、酸やアルカリ、有機物といった化学汚染物質を除去するものであるため、物理的吸着能力および化学反応能力が経時劣化する。ケミカルフィルタ37の物理的吸着能力および化学反応能力が劣化すると、ケミカルフィルタ37が化学汚染物質を充分に除去することができなくなるため、ウエハ1が化学汚染物質によって汚染される事態が発生し、ICの製造方法の歩留りの低下等が引き起こされる。
【0030】
そこで、本実施の形態においては、ダクト33のクリーンエア53中の化学汚染物質量の増加をケミカルフィルタユニット36の下流に設置された化学汚染物質検査装置60によって測定することにより、ケミカルフィルタ37の化学汚染物質の除去能力の低下の有無を検査するとともに、検査の結果、ケミカルフィルタ37の化学汚染物質の除去能力の低下が有ると判定された場合には、その旨を警報し、ケミカルフィルタ37の交換時期を知らせるだけでなく、さらに、ICの製造方法の歩留りの低下等の発生を未然に防止することができるようにしている。
【0031】
以下、化学汚染物質検査装置60の作用および効果を説明する。
水晶振動子75A、75B、75Cの振動数変化量は、次式(1)によって与えられる。
−Δf=Δm×(f2 /N×A×ρ)・・・(1)
(1)式中、fは基本発振周波数、Δfは振動数変化量、Δmは振動子質量変化値、Nは振動数定数、Aは振動子表面積、ρは水晶の密度である。
ここで、振動子質量変化値Δmは雰囲気中に存在する化学汚染物質が振動子表面に付着することで変化するため、化学汚染物質の変化量はΔmを演算することにより求めることができる。
ここで、ケミカルフィルタユニット36から化学汚染物質が吹き出されると、ケミカルフィルタユニット36の下流に設置された化学汚染物質検査装置60の水晶振動子75A、75B、75Cには化学汚染物質が付着するため、基本振動数fは減少する。すなわち、化学汚染物質検査装置60の一定のサンプリング時間において、化学汚染物質の濃度が高いほど水晶振動子75A、75B、75Cの表面に付着する化学汚染物質の付着レートが高いため、低濃度の化学汚染物質の汚染環境下では振動数変化量Δfは小さいが、高濃度の化学汚染物質の汚染環境下では振動数変化量Δfは大きくなる。したがって、一定のサンプリング時間における振動数変化量Δfの値を演算することにより、次の(2)式から化学汚染物質の濃度を求めることができる。
表面汚染量=係数×雰囲気濃度×{1−exp(−a×t)}・・・(2)
(2)式中、aは係数、tは時間である。よって、化学汚染物質検査装置60のコントローラ79にサンプリング時間における振動数変化量Δfに基準値を設定しておき、演算部78A、78B、78Cからの振動数変化量Δfがその基準値を超えた場合には、コントローラ79は出力装置79aに警報を発生させる信号を指令する。また、化学汚染物質検査装置60は雰囲気濃度レベルを数段階(例えば、高・中・低)をもって告知するように構築することもできる。
【0032】
さらに、本実施の形態においては、表1に示されているように、第一有機物(例えば、DOP)A、第二有機物(例えば、DBP)B、第三有機物(例えば、多価アルコール)の水晶振動子から脱離する温度がTA℃、TB℃、TC℃(TA<TB<TCとする。)であった場合において、表2に示されているように、三個の水晶振動子75A、75B、75Cの温度を温度調節器73A、73B、73Cによってそれぞれ調節することにより、三個の水晶振動子75A、75B、75Cにそれぞれ付着する有機物A、B、Cを分類して、それぞれの有機物を検出できる。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
例えば、ダクト33の中間部に設置された化学汚染物質検査装置60において、止め弁63が開かれると、ダクト33に開設された採取口61から採取されたクリーンエア53は採取管62を通って分配弁64に流れ、分配弁64により三本の供給管65A、65B、65Cにそれぞれ分配され、各密閉室69A、69B、69Cにそれぞれ供給される。表2に示されているように、密閉室69Aの水晶振動子(以下、第一振動子という。)75Aの温度Tは第一有機物Aが水晶振動子から脱離する温度TA未満に設定されているために、第一振動子75Aには第一有機物A、第二有機物B、第三有機物Cが付着する。密閉室69Bの水晶振動子(以下、第二振動子という。)75Bの温度TBは、第一有機物Aの脱離温度TAよりも高く、第二有機物の脱離温度TB未満に設定されているために、第二振動子75Bには第二有機物B、第三有機物Cが付着し、密閉室69Cの水晶振動子(以下、第三振動子という。)75Cの温度Tは前記TBよりも高く、第三有機物の脱離温度TC未満に設定されているために、第三振動子75Cには第三有機物Cが付着する。したがって、コントローラ79は第一振動子75A、第二振動子75B、第三振動子75Cに基づく演算部78A、78B、78Cからの送信データを比較することにより、第一有機物A、第二有機物B、第三有機物Cを分類することができるとともに、それら毎にリアルタイムで警報や濃度レベルを出力装置79aによって出力することができる。
【0036】
ところで、水晶振動子75A、75B、75Cに付着した化学汚染物質をサンプリング後も付着したままにしておくと、基本発振周波数fが変動したままの状態になっているために、水晶振動子75A、75B、75Cの化学汚染物質の検出精度が低下してしまう。そこで、本実施の形態に係る化学汚染物質検査装置60においては、サンプリング後の適当な時期に温度調節器73A、73B、73Cによって水晶振動子75A、75B、75Cを加熱することにより、水晶振動子75A、75B、75Cに付着した化学汚染物質を加熱脱離させて清浄化し、基本発振周波数fを初期値に戻し、もって、水晶振動子75A、75B、75Cによる検出精度の低下を防止し、水晶振動子75A、75B、75Cによる繰り返しの検出を可能にする。この水晶振動子75A、75B、75Cに付着した化学汚染物質を加熱脱離して水晶振動子75A、75B、75Cを清浄化するための加熱温度としては、250℃以上で水晶振動子75A、75B、75Cの耐熱温度以下の任意の温度が好ましい。
【0037】
水晶振動子75A、75B、75Cは化学汚染物質のほかに、水分が付着するので、温度、湿度により化学汚染物質の検査(検出)結果に影響がでる可能性がある。この場合は、前述した化学汚染物質の検査作業を実行する前に、水晶振動子75A、75B、75Cを温度調節器73A、73B、73Cによって水晶振動子75A、75B、75Cの清浄化温度すなわち水晶振動子75A、75B、75Cに付着した化学汚染物質を加熱脱離させる温度よりも低い温度をもって加熱することにより、水晶振動子75A、75B、75Cの表面に付着した水分を化学汚染物質の検出作業以前に予め除去し、もって、化学汚染物質検査装置60による検査の精度を高めることができる。この水晶振動子75A、75B、75Cの表面に付着した水分を除去するための加熱温度としては、70℃以上の任意の温度が好ましい。
【0038】
なお、振動子の温度を室温よりも低い温度に制御した場合には、揮発性の高い有機物、雰囲気濃度が低い有機物の振動子への付着確率が向上し、これらの雰囲気濃度も検出することができるようになる。
【0039】
以上のようにしてダクト33に設置された化学汚染物質検査装置60によれば、ケミカルフィルタ37の化学汚染物質の除去能力の低下の有無を自動的にリアルタイムで検査するだけでなく、有機物の種類毎に警報や濃度レベルを告知することができる。
【0040】
ところで、化学汚染物質の筐体11の内部への侵入としては、ケミカルフィルタ37の経時劣化による侵入に限らず、筐体11の囲い壁の継ぎ目や隙間からの侵入、カセットポート12のカセット搬入搬出口14からの侵入、待機室19のメンテナンス口19aからの侵入等がある。したがって、カセットポート12、カセット移載装置設置室16、待機室19における化学汚染物質量の変化を自動的にモニタリングすることが望ましい。
【0041】
そこで、本実施の形態にかかるCVD装置10においては、化学汚染物質検査装置60が第二クリーンユニット45の吹出口付近、カセット移載装置設置室16の下部および待機室19の下部にそれぞれ設置されている。これらの化学汚染物質検査装置60によってカセットポート12やカセット移載装置設置室16および待機室19における化学汚染物質の量を検査することができるため、これらに侵入した化学汚染物質によるウエハ1の汚染を防止することができ、ICの製造方法における歩留りの低下を未然に防止することができる。なお、これらの化学汚染物質検査装置60の作用は前述したダクト33に設置された化学汚染物質検査装置60と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0042】
図4は本発明の他の実施の形態である枚葉式CVD装置を示す側面断面図である。図4に示された枚葉式CVD装置80は筐体81を備えており、筐体81の正面の下部にはカセット2を筐体81内に搬入搬出するためのカセットポート82が構築されている。カセットポート82に対応する筐体81の正面壁にはフロントシャッタ83によって開閉されるカセット搬入搬出口84が開設されている。カセットポート82に対してはカセット2が工程内搬送装置(図示せず)によって搬入搬出されるようになっている。筐体81の内部のカセットポート82の後方には予備室85が設置されており、予備室85にはゲートバルブ87によって開閉されるカセット搬入搬出口86が開設されている。予備室85の後方にはウエハ移載装置設置室88が設置されており、ウエハ移載装置設置室88にはゲートバルブ90によって開閉されるウエハ搬入搬出口89が開設されている。ウエハ移載装置設置室88にはウエハ移載装置91が設置されている。ウエハ移載装置設置室88の後方にはプロセスチューブ92が設置されており、プロセスチューブ92とウエハ移載装置設置室88との間にはゲートバルブ93が介設されている。
【0043】
カセットポート82の上側にはクリーンユニット94が下向きに設置されており、クリーンユニット94の吹出口付近には化学汚染物質検査装置60が設置されている。本実施の形態によれば、カセットポート82における化学汚染物質の変化量を化学汚染物質検査装置60によってモニタリングすることができるため、化学汚染物質による枚葉式CVD装置80の歩留りの低下を防止することができる。
【0044】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
【0045】
前記実施の形態では化学汚染物質検査装置を筐体内部雰囲気の採取口毎にそれぞれ設置した場合について説明したが、化学汚染物質検査装置は複数個の採取口相互において共用するように構成してもよい。
【0046】
前記実施の形態ではバッチ式縦形CVD装置および枚葉式CVD装置の場合について説明したが、本発明はこれに限らず、バッチ式縦形拡散装置や枚葉式拡散装置やアニール装置等の熱処理装置(furnace )や枚葉式プラズマCVD装置等の基板処理装置全般に適用することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数個の水晶振動子をそれぞれ異なる温度に制御して、有機物汚染物質の沸点の違いを利用することにより化学汚染物質による汚染の評価をリアルタイムで実現することができ、かつ、複数種類の化学汚染物質毎に分類して評価することができる。また、評価結果はリアルタイムで出力装置によりユーザに告知することができるようにすると、半導体素子製造に比較的影響の少ない低沸点有機物のレベルの警報は注意として、中沸点有機物の警報が出たところでケミカルフィルタを交換するといったことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるCVD装置を示す側面断面図である。
【図2】そのクリーンエアの流れを示す一部省略斜視図である。
【図3】それに使用された化学汚染物質検査装置を示す模式図である。
【図4】本発明の他の実施の形態である枚葉式CVD装置を示す側面断面図である。
【符号の説明】
1…ウエハ(基板)、2…カセット(ウエハキャリア)、10…CVD装置(基板処理装置)、11…筐体、12…カセットポート(カセット搬入搬出ポート)、13…フロントシャッタ、14…カセット搬入搬出口、15…保管棚、16…カセット移載装置設置室、17…カセット移載装置、18…ウエハポート、19…待機室、19a…メンテナンス口、20…ウエハ移載装置、21…ボートエレベータ、22…シールキャップ、23…ボート、24…プロセスチューブ設置室、25…処理室、26…プロセスチューブ、27…マニホールド、28…ガス導入管、29…排気管、30…ヒータユニット、31…下側配電盤部、32…上側配電盤部、33…ダクト、34…吸入口、35…吹出口、36…ケミカルフィルタユニット、37…ケミカルフィルタ、38…ファン、40…第一クリーンユニット(カセット移載装置室用クリーンユニット)、41…パーティクルフィルタ、42…ファン、43…サブダクト、44…吹出口、45…第二クリーンユニット(カセットポート用クリーンユニット)、46…パーティクルフィルタ、47…ファン、48…サブダクト、49…第三クリーンユニット(待機室用クリーンユニット)、50…フロント排気ファン、51…排気ダクト、52…リア排気ファン、53…クリーンエア、60…化学汚染物質検査装置、61…採取口、62…採取管、63…止め弁、64…分配弁、65A、65B、65C…供給管、66A、66B、66C…不活性ガス導入管、67A、67B、67C…止め弁、68A、68B、68C…密閉容器、69A、69B、69C…密閉室、70A、70B、70C…温度調節器、71A、71B、71C…排出管、72…ポンプ、73A、73B、73C…温度調節器、74…温度コントローラ、75A、75B、75C…水晶振動子、76A、76B、76C…発振回路、77A、77B、77C…振動検出部、78A、78B、78C…化学汚染物質量演算部、79…コントローラ、79a…出力装置、80…枚葉式CVD装置、81…筐体、82…カセットポート、83…フロントシャッタ、84…カセット搬入搬出口、85…予備室、87…ゲートバルブ、86…カセット搬入搬出口、88…ウエハ移載装置設置室、89…ウエハ搬入搬出口、90…ゲートバルブ、91…ウエハ移載装置、92…プロセスチューブ、93…ゲートバルブ、94…クリーンユニット。
Claims (1)
- 基板を処理する処理室を形成したプロセスチューブを収容する筐体と、この筐体の内部に設置されて筐体の内部の雰囲気の有機物を検出する複数個の水晶振動子と、この複数個の水晶振動子の温度を制御する温度コントローラとを備えていることを特徴とする基板処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003157955A JP2004363232A (ja) | 2003-06-03 | 2003-06-03 | 基板処理装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003157955A JP2004363232A (ja) | 2003-06-03 | 2003-06-03 | 基板処理装置 |
Publications (1)
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JP2004363232A true JP2004363232A (ja) | 2004-12-24 |
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ID=34051518
Family Applications (1)
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JP2003157955A Pending JP2004363232A (ja) | 2003-06-03 | 2003-06-03 | 基板処理装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007173805A (ja) * | 2005-12-20 | 2007-07-05 | Asml Netherlands Bv | リソグラフィ装置内の少なくとも1つの汚染種を検出するシステムおよび方法 |
JP2011064599A (ja) * | 2009-09-17 | 2011-03-31 | Seiko Eg&G Co Ltd | マイクロセンシング装置 |
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- 2003-06-03 JP JP2003157955A patent/JP2004363232A/ja active Pending
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