JP4237782B2 - 曲面パネルの製造方法 - Google Patents
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Description
この特許文献1に記載の方法では、断面略コ字状の既存水路の表面を覆う複数のレジンコンクリート製のパネル材を配置後、これらパネル材と既存水路の表面との間に樹脂系接着剤を注入し、これを硬化させて接着層を形成する構成が採用されている。このパネル材により水路表面の粗度を改善して、円滑な通水の確保および、水路表面の外観の改善等を図っている。
しかも、流路壁面には優れた耐摩耗性や高強度が要求されるため、通常、上記特許文献1のようなレジンコンクリート板や、これに繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)層を積層形成したFRPM板等を使用することが好ましい。
ここにおいて、このような樹脂含有パネルを曲面状に加工する技術が課題となる。
熱可塑性樹脂は、加熱により軟化し、弾性を失うと共に塑性域に入り、最後には流動域に入る性状を示す。射出成形や押出成形はこの性状を利用したものである。このような熱可塑性樹脂を使用すれば、様々な形状の曲面パネルが得られ、また、形成後に再度加熱することで形状を矯正することも可能である。
しかしながら、熱可塑性樹脂は、比較的に耐摩耗性や強度、耐熱変形性などに劣るため、水路の更生構造用のパネルには適していない。
このような熱硬化性樹脂は、最初は液状であり、これを加熱することで硬化反応が進行して徐々に流動性を失い、塑性域を経て弾性が増し、硬化反応が完全に進行した後、最終的に固化するというように性状変化する。
前記樹脂としては、オルソ系、イソ系、テレ系のいずれの不飽和ポリエステル樹脂、および、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を使用できる。
そして、被成形材料としては、前記樹脂のみで構成されたもの、前記樹脂に硬化剤や、骨材、粘度調整材、ガラス繊維等を適宜混合したものなどが挙げられる。
また、平面状のプレス型枠は、例えば鋼材などで平面視長方形に形成されたものが挙げられ、例えば縦2m×横1mサイズ等の大型なものであることが望ましい。
さらに、平面パネルの軟化状態とは、被成形材料がプレス型枠から離型可能な程度に硬化しており、かつ、平面パネルが変形可能な状態を言う。
矯正台は、硬化工程における処理温度で変形しない例えば鋼材などの材料により形成され、平面パネルを載置・固定可能で、かつ、構造物の曲面部に対応する曲面形状を有しているものであればよい。
本発明における平面パネルの軟化状態とは、不飽和ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂が半硬化ないし完全硬化した状態であって、かつ、当該樹脂を熱変形温度よりも高温に加熱することにより軟化させて、平面パネル全体が変形可能な状態を言う。
このように、本発明は、熱硬化性樹脂の持つ上記熱的性質を利用したものであり、熱硬化性樹脂の熱変形温度よりも十分に高い温度領域で被成形材料をホットプレスすることにより、軟化状態の平面パネルを容易に成形することができる。そして、曲面形成工程において、平面パネルの軟化状態を維持したまま当該パネルを任意の曲面形状に形成し、かつ、冷却固化工程において当該パネルを矯正台ごと冷却すれば、目的の形状の曲面パネルを安価かつ簡便に製造できる。
なお、本発明では、高温で軟化状態の平面パネルの脱型装置を当該パネルの平面形状に合わせて荷重が分散するように設計する必要がある。また、平面パネル成形工程を終えて曲面形成工程に移行する際は、プレス型枠から取り出した軟化状態の平面パネルが急激な温度低下に曝されることがないよう、素早く平面パネルを矯正台に設置することが重要となる。
ここで、レジンコンクリートおよびレジンモルタルとは、ポリマーコンクリートの一種であって、結合材にレジン(樹脂)を用いて骨材を結合したものを言い、骨材に砂利を使用した場合はレジンコンクリートとなり、骨材に砂を使用した場合はレジンモルタルとなる。このようなレジンコンクリート等は、普通コンクリートに比べ、耐久性、耐摩耗性に富む性質を有している。
本発明においては、結合材に熱硬化性樹脂を用いているので、さらに高い耐摩耗性や強度、耐熱変形性を有したレジンコンクリート等が得られる。
このようなレジンコンクリートパネル等やFRPM板により構造物の曲面部を被覆すれば、構造物表面に優れた耐久性や耐摩耗性を付与することができる。
ここで、トンネル状構造物とは、例えばトンネル状水路やトンネル道など、断面略円形の内周壁面を有する構造物を意味する。
特に、トンネル状水路の場合、水路表面の粗度を改善して、円滑な通水の確保および、水路表面の外観の改善を図ることができる。また、曲面パネルを使用することでパネル間の目地部を減らすことができ、砂礫などを含んだ流水が目地部から浸入し、施工したパネルが剥離するような事態を防止できるので好適である。
ここで、水路としては、例えばトンネル状水路、断面U字状の流路壁面を有した用水路や上下水道、河川、運河等の上部開放型の水路、平面視で蛇行した形状の水路などが挙げられる。
本発明の第1実施形態について図面に基づいて説明する。
(1-1)トンネル状水路の構成
図1は、本実施形態におけるトンネル状水路を示す側断面図である。この図1において、Tはトンネル状水路であり、例えば用水路や上下水道などとして使用される。このトンネル状水路Tにおける下部インバート部T1は、砂礫を含んだ流水などの流路となっており、下部インバート部T1の上面は、本発明の製造方法および製造装置により製造された曲面パネル1により被覆されている。
次に、曲面パネル1を製造する製造装置としての矯正台について説明する。図2は、本実施形態における矯正台を示す斜視図である。
図2において、矯正台2は、後述する曲面パネル1の製造方法における硬化工程において、軟化状態の平面パネル1Bを曲面状に形成した後に硬化させることにより、曲面パネル1を製造する装置である。具体的には、この矯正台2は、例えば鋼材などにて形成されており、成形型21と、固定部材22とを備えている。
本第1実施形態における曲面パネル1の製造方法は、熱硬化性樹脂の熱的性質を利用したものである。この曲面パネルの製造方法では、平面パネル成形工程(図3〜5参照)と、硬化工程(図6参照)とを実施する。
具体的には、例えば、被成形材料として、不飽和ポリエステル樹脂(熱変形温度70℃)13〜18質量%と、樹脂比0.5〜1.5部のベンゾイルパーオキサイド(硬化剤:反応開始温度80℃)と、樹脂比4〜6部の内部離型剤と、ガラス繊維5〜10質量%と、炭酸カルシウム粉35〜45質量%と、細砂(骨材)35〜45質量%とを調合し、混練したものを準備しておく。
曲面形成工程では、軟化状態の平面パネル1Bを、熱変形温度よりも高い温度を維持したまま矯正台2で曲面状に形成する。この際、平面パネル1Bは、平面パネル成形工程における加熱により、不飽和ポリエステル樹脂が完全硬化(半硬化状態であってもよい)しているものの、熱変形温度以上に加熱されて軟化状態となっているため、矯正台2の形状に沿って容易に変形できる。
冷却固化工程では、この曲面形成工程にて成形された当該曲面状のパネル1Bを、矯正台2に固定した状態で、扇風機や、空気または水などの冷却媒体による強制冷却、自然放熱などで常温に下げることによって冷却して固化させる。これにより、不飽和ポリエステル樹脂が完全固化して、最終強度を有した状態のレジンモルタルパネルである曲面パネル1(図1)が得られる。
次に、曲面パネルの施工方法について、図1に基づいて説明する。
本施工方法では、上記のようにして製造した曲面パネル1を、トンネル状水路Tにおける下部インバート部T1に対して、図1に示すような状態で取り付ける。
具体的には、まず、曲面パネル1の四隅および中間の適宜箇所に孔を形成し、裏にスペーサーを設けて、接着材を注入するのに適当な間隔を確保しておく。
次に、上記の曲面パネル1を、面状ファスナーや粘土状接着材などの脱着可能な貼付部材、あるいは差込式止め金具を用いて、下部インバート部T1に対して仮固定する(仮固定工程)。
この後、曲面パネル1に形成した孔を介して、ホールインアンカーのナットで曲面パネル1を下部インバート部T1に対して固定する。そして、パネル裏の隙間に樹脂モルタルや接着樹脂などの接着材を充填する(接着工程)。これにより、下部インバート部T1に曲面パネル1が接着材を介して取り付けられた状態となり、曲面パネル1の施工が完了する。
上述した本発明の第1実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
このような構成によれば、硬化工程では、平面パネル1Bが軟化状態であるので、矯正台2で所望の曲面形状に成形できる。そして、矯正台2で曲面状に形成された当該パネル1Bを完全硬化させれば、下部インバート部T1を被覆可能で、耐摩耗性や強度、耐熱変形性などに優れた熱硬化性樹脂含有の曲面パネル1が得られる。
また、比較的に安価な平面状の下側プレス型枠33および上側プレス型枠34を用いるので、これを大型化しても高価なものとはならず、当該プレス型枠に掛かるコストを大幅に低減できる。また、矯正台2も安価に製造できるので、下部インバート部T1の形状が異なる場合でもあっても、その曲面形状に対応した複数種の矯正台2を低コストで準備できる。このため、曲面パネル1の製造コストを大幅に低減できる。しかも、1種の上記プレス型枠と複数種の矯正台2とで、複数種の曲面パネル1を製造することが可能である。
施工面においては、曲面パネル1を使用するので、図9に示す従来例のように複数のパネル小片100に分割する必要がなくて済む。そして、大型の曲面パネル1を用いることで、パネル間の目地部を著しく減らすことができ、優れた耐摩耗性を示す構造が得られる。また、パネルの貼り付け枚数を減らすことができるので、作業効率を向上できる。しかも、下部インバート部T1と曲面パネル1との間には大きな隙間が形成されることもないので、接着材の使用量を著しく減らすことができ、施工コストを低減できる。
このような構成によれば、不飽和ポリエステル樹脂の熱変形温度よりも十分に高い温度領域で被成形材料をホットプレスすることにより、不飽和ポリエステル樹脂の持つ熱的性質を利用して、軟化状態の平面パネル1Bを容易に形成することができる。そして、曲面形成工程において、平面パネル1Bの軟化状態を維持したまま任意の曲面形状に形成し、かつ、冷却固化工程において当該パネル1Bを矯正台2ごと冷却することで、目的の形状の曲面パネル1を安価かつ簡便に製造できる。
このように、熱硬化性樹脂である不飽和ポリエステル樹脂を結合材として用いているので、高い耐摩耗性や強度、耐熱変形性を有したレジンモルタルパネルである曲面パネル1が得られる。この曲面パネル1により下部インバート部T1を被覆すれば、下部インバート部T1表面に優れた耐久性や耐摩耗性を付与することができる。
曲面パネル1を下部インバート部T1に沿って貼り付けることができるので、当該下部インバート部T1に優れた耐摩耗性や強度を付与することができる。下部インバート部T1の粗度を改善して、円滑な通水の確保および、水路表面の外観の改善を図ることができる。また、曲面パネル1を使用することでパネル間の目地部を減らすことができ、砂礫などを含んだ流水が目地部から浸入し、施工した曲面パネル1が剥離するような事態を防止できるので好適である。
このような施工法によれば、仮固定工程において、曲面パネル1を用いるので、図9に示すような従来のパネル小片100を取り付ける場合よりも、遥かに少ない工数でパネルを仮固定できる。また、曲面パネル1と下部インバート部T1との間に形成される隙間が小さいので、面状ファスナーや粘土状接着材などの脱着可能な貼付部材、あるいは差込式止め金具を用いて、位置ずれすることなく好適に曲面パネル1を仮固定できる。このため、仮止め工法を簡素化できかつ仮止め箇所数を減少できるので、作業の迅速化・効率化が図れる。
さらに、接着工程において、曲面パネル1を接着材を介して下部インバート部T1に取り付ける際、図9に示すような従来例に比べて遥かに少ない工数でパネルを取り付けることができ、接着材の使用量をより減少できる。そして、強度的に連続した大きな曲面パネル1を取り付けることができるため、現場での収まり安定が良くなる。
このような矯正台2によれば、上記した(1-5-1)に記載の曲面パネル1の製造方法と略同様の作用効果が得られる。すなわち、不飽和ポリエステル樹脂を含有する材料を用いて低コストで曲面パネル1を製造でき、かつ当該曲面パネル1で下部インバート部T1を良好に被覆できる。
このように、一対の固定部材22により半硬化状態の平面パネル1Bの両端を押えるだけで、パネル1Bを均一に保型できる。また、各板状体24間に形成された空間24Aから平面パネル1Bの熱を効率的に放出でき、冷却固化工程に要する時間を短縮できる。そして、矯正台2は、複数の板状体24に一対の固定部材22を設けるという簡易な構成であるので、安価に製造でき、結果として、様々な曲面形状を有した曲面パネル1を安価かつ高効率で製造できる。
このため、各板状体24間に形成された空間24Aから平面パネル1Bの熱をさらに効率的に放出でき、冷却固化工程に要する時間をさらに短縮できる。したがって、曲面パネル1の製造コストをさらに低減できる。
次に、上述した第1実施形態の効果を確認するための実施例について説明する。
[試料作製]
以下の被成形材料を用いて以下の条件でホットプレス処理を実施して、実験試料(実施例1,2)を作製した。
■実施例1
・被成形材料:オルソ系不飽和ポリエステル樹脂(熱変形温度(JIS K 6911)70℃)13質量%、硬化剤0.13質量%、内部離型剤5質量%、ガラス繊維5質量%、炭酸カルシウム粉35質量%、砂41.9質量%
・ホットプレス処理温度:105℃(熱変形温度に対して5割増)、140℃(熱変形温度に対して10割増)
・ホットプレス処理時間:6分40秒
・プレス圧力:40kg/cm2
・試料サイズ:幅60mm、長さ300mm、厚さ10mm
■実施例2
・被成形材料:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(熱変形温度(JIS K 6911)40℃)14.3質量%、硬化剤5.7%、ガラス繊維5質量%、炭酸カルシウム粉30質量%、砂45質量%
・ホットプレス処理温度:60℃(熱変形温度に対して5割増)、80℃(熱変形温度に対して10割増)
・ホットプレス処理時間:10分
・プレス圧力:40kg/cm2
・試料サイズ:幅60mm、長さ300mm、厚さ10mm
上記のようにして作製した各試料について、上記処理温度を維持したまま、片持ち梁実験を行った。
片持ち梁実験では、各試料の長手方向一端を固定し、固定端から自由端(長手方向他端)までの長さを200mmにセットした。当該長手方向他端部には2.3kgの錘を掛けて、この状態を上記処理温度下で15分間維持した。そして、この後の鉛直方向の変位量を測定した。
・実施例1(処理温度:105℃)−変位量 12mm
・実施例1(処理温度:140℃)−変位量 27mm
・実施例2(処理温度:60℃)−変位量 32mm
・実施例2(処理温度:80℃)−変位量 75mm
ただし、変位量は、同一系統の樹脂であっても、その種類や架橋密度によって影響され、さらに配合比によっても変わる。したがって、目的とする曲率に対する材料選定と成形条件の決定が必要となる。
次に、本発明の第2実施形態について、図面に基づいて説明する。
本第2実施形態は、熱硬化性樹脂の硬化過程での性状変化を利用して曲面パネルを製造するものである。
なお、本第2実施形態は、第1実施形態の上記(1-3)に示した曲面パネルの製造方法においてのみが構成が異なるものであるため、同一の構成については適宜説明を省略する。
本第2実施形態の曲面パネルの製造方法では、平面パネル成形工程(図3〜5参照)と、硬化工程(図6,7参照)とを実施する。
平面パネル成形工程(図3〜5参照)では、不飽和ポリエステル樹脂あるいはエポキシ樹脂、および硬化剤を含有する被成形材料を、平面状のプレス型枠を用いて、硬化剤の反応に必要な温度で、被成形材料を完全硬化に必要な時間の3分の1ないし2分の1の時間ホットプレスして、半硬化状態の平面パネルを成形する。
具体的には、例えば、被成形材料として、不飽和ポリエステル樹脂13〜18質量%と、樹脂比0.5〜1.5部のベンゾイルパーオキサイド(硬化剤:反応開始温度80℃)と、樹脂比4〜6部の内部離型剤と、ガラス繊維5〜10質量%と、炭酸カルシウム粉35〜45質量%と、細砂(骨材)35〜45質量%とを調合し、混練したものを準備しておく。
ホットプレスには、上記第1実施形態と同様のホットプレス機3(図3〜5参照)を使用する。
これにて、半硬化状態の平面パネル1Bが形成され、この平面パネル1Bは下側プレス型枠33より取り出された後(図5参照)、速やかに次工程の硬化工程へと移される。
曲面形成工程(図6参照)では、半硬化状態の平面パネル1Bを矯正台2で曲面状に形成する。この際、平面パネル1Bは熱硬化性樹脂である不飽和ポリエステル樹脂を含有するものの、平面パネル成形工程においてプレートゲルタイムに基づいて所定時間加熱されて半硬化状態となっているため、矯正台2の形状に沿って容易に変形できる。
この後、高温室4より矯正台2を取り出し、扇風機や、空気または水などの冷却媒体による強制冷却、自然放熱などで常温に下げる。これにより、最終強度を有した完全固化状態のレジンモルタルパネルである曲面パネル1(図1)が得られる。
上述した本発明の第2実施形態によれば、第1実施形態の上記(1-5-1)、(1-5-3)〜(1-5-8)に記載した作用効果に加えて、以下の作用効果を奏することができる。
このような方法によれば、硬化剤の反応に必要な温度で、被成形材料を完全硬化に必要な時間の3分の1ないし2分の1の時間ホットプレスすることにより、半硬化状態の平面パネル1Bを容易に成形することができる。そして、曲面形成工程において、平面パネル1Bの半硬化状態を維持したまま任意の曲面形状に形成し、かつ、加熱硬化工程において、再度当該パネル1Bを矯正台2ごと加熱することで、当該パネル1B中の不飽和ポリエステル樹脂が完全に硬化し、目的の形状の曲面パネル1を安価かつ簡便に製造できる。
次に、本発明の第3実施形態について、図面に基づいて説明する。
本第3実施形態は、反応開始温度の異なる2種類の硬化剤を利用して曲面パネルを製造するものである。
なお、本第3実施形態は、第1実施形態の上記(1-3)に示した曲面パネルの製造方法のみが構成が異なるものであるため、同一の構成については適宜説明を省略する。
本第3実施形態の曲面パネルの製造方法では、平面パネル成形工程(図3〜5参照)と、硬化工程(図6,7参照)とを実施する。
平面パネル成形工程では、不飽和ポリエステル樹脂と、所定の反応開始温度を有する第1硬化剤と、この第1硬化剤の反応開始温度よりも高い反応開始温度を有する第2硬化剤とを含有する被成形材料を用いる。そして、平面状のプレス型枠を用いて、第1硬化剤の反応開始温度と第2硬化剤の反応開始温度との中間の温度でホットプレスして、半硬化状態の平面パネルを成形する。
ホットプレスには、上記第1実施形態と同様のホットプレス機3(図3〜5参照)を使用する。
そして、予め80〜100℃に加熱された下側プレス型枠33に上記の被成形材料1Aを所定量投入し(図3参照)、油圧シリンダ35にて平方センチあたり30〜50kgの圧力で被成形材料1Aをプレスする(図4参照)。このプレス処理は、必要によりエア抜きを行いながら、3〜5分行う。この際、被成形材料1Aには、第1硬化剤(ベンゾイルパーオキサイド)が不飽和ポリエステル樹脂の完全硬化に必要な量に満たない量だけ含まれており、第1硬化剤の反応開始温度と第2硬化剤(t−ブチルパーオキシベンゾエート)の反応開始温度との中間の温度(80〜100℃)でホットプレスするので、これにより、半硬化状態の平面パネル1Bを成形することができる。
この平面パネル1Bは下側プレス型枠33より取り出された後(図5参照)、速やかに次工程の硬化工程へと移される。
曲面形成工程(図6参照)では、半硬化状態の平面パネル1Bを矯正台2で曲面状に形成する。この際、上記の平面パネル成形工程において、平面パネル1Bは半硬化状態となっているので、矯正台2の形状に沿って容易に変形できる。
加熱硬化工程(図7参照)では、この曲面形成工程にて形成された当該曲面状のパネル1Bを矯正台2に固定した状態で、再度、第2硬化剤(t−ブチルパーオキシベンゾエート)の反応開始温度よりも高い温度(130〜150℃)に加熱された高温室4内の基台41上に載置して、この状態を5〜15分維持する。これにより、当該パネル1B内の不飽和ポリエステル樹脂が完全硬化する。
この後、高温室4より矯正台2を取り出し、扇風機や、空気または水などの冷却媒体による強制冷却、自然放熱などで常温に下げる。これにより、最終強度を有した完全固化状態のレジンモルタルパネルである曲面パネル1(図1)が得られる。
上述した本発明の第3実施形態によれば、第1実施形態の上記(1-5-1)、(1-5-3)〜(1-5-8)に記載した作用効果に加えて、以下の作用効果を奏することができる。
このような方法によれば、温度や時間を厳密に制御せずとも、半硬化状態の平面パネルを容易に形成することができる。つまり、平面パネル1Bの半硬化状態を容易に制御できる。また、曲面形成工程において、平面パネルの半硬化状態を維持したまま任意の曲面形状に成形し、かつ、加熱硬化工程において、当該パネル1Bを矯正台2ごと第2硬化剤の反応開始温度以上に加熱することにより、目的の形状の曲面パネル1を安価かつ簡便に製造できる。
なお、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
すなわち、例えば、図8に示すような構成の矯正台5であってもよい。図8において、矯正台5は、鋼材などの熱伝導性の高い材料で形成された一対の成形型51,52と、固定部材としてのボルト53およびナット54とを備えている。一対の成形型51,52は、トンネル状水路Tの下部インバート部T1(図1参照)に対応する曲面形状を有している。そして、硬化工程(図6参照)では、軟化状態の平面パネル1Bを一対の成形型51,52で挟み込み、この状態を維持するようにボルト53およびナット54で一対の成形型51,52を固定する。
このような構成でも、図2に示す矯正台2と略同様に、軟化状態の平面パネル1Bを下部インバート部T1に沿った曲面形状に形成できる。また、矯正台5の構造が非常に単純であるので、矯正台5の製造コストは非常に少なくて済み、結果として、平面パネル1Bの製造コストを低減できる。
1A…被成形材料
1B…軟化状態の平面パネル
2…矯正台(曲面パネルの製造装置)
21…成形型
22…固定部材
24…板状体
33…下側プレス型枠
34…上側プレス型枠
5…矯正台
51,52…成形型
53…ボルト(固定部材)
54…ナット(固定部材)
T…トンネル状水路(構造物)
T1…下部インバート部(曲面部)
Claims (4)
- 表面の少なくとも一部に曲面部を有する構造物の当該曲面部を被覆可能な曲面パネルを製造する方法であって、
不飽和ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂を含有する被成形材料を、平面状のプレス型枠を用いて当該不飽和ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂の熱変形温度(JIS K 6911)よりも高い温度でホットプレスして平面パネルを成形する平面パネル成形工程と、
当該軟化状態の平面パネルを、前記熱変形温度よりも高い温度を維持したまま矯正台で曲面状に形成する曲面形成工程と、この曲面形成工程にて形成された当該曲面状のパネルを前記矯正台に固定した状態で冷却して固化させる冷却固化工程とを実施する
ことを特徴とする曲面パネルの製造方法。 - 請求項1に記載の曲面パネルの製造方法において、
前記被成形材料は、骨材と、この骨材を結合する結合材としての前記樹脂とを含有している
ことを特徴とする曲面パネルの製造方法。 - 請求項1または2に記載の曲面パネルの製造方法において、
前記構造物はトンネル状構造物であり、
前記曲面部は前記トンネル状構造物の内周壁面である
ことを特徴とする曲面パネルの製造方法。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の曲面パネルの製造方法において、
前記構造物は水路であり、
前記曲面部は当該水路の流路壁面である
ことを特徴とする曲面パネルの製造方法。
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