JP4237303B2 - 拡開アンカー - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、長手方向スリットが設けられた拡開領域を有すると共に、軸線方向に延在する貫通孔が拡開領域に設けられ、該貫通孔が、打込み方向で後方に位置する後端部に向けて内径の減少するテーパ形状領域を有するスリーブと、該スリーブ内に紛失不能に配置され、かつ、前記貫通孔内で軸線方向に変位することにより拡開領域を半径方向に拡開させるよう、長手方向の少なくとも一部がテーパ形状に形成された拡開体とを具え、該拡開体がアンカーロッドを係合させるための円筒形状の貫通孔を有し、前記スリーブが、打込み方向で前方に位置する前端部に、打込み方向に向けての拡開体の軸線方向変位量を制限する停止面を有する拡開アンカーに関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来既知の拡開アンカーは、長手方向スリットを有する拡開領域と、拡開領域でテーパ形状を有する貫通孔とを有する拡開スリーブと、拡開スリーブの拡開領域が半径方向に拡開する際に貫通孔内に変位可能とされた拡開体とを具えている。既知の拡開アンカーにおいては、拡開スリーブの貫通孔が、拡開アンカーの打込み方向に対する拡開スリーブの前端に向けてテーパ形状を有する。拡開素子は、軸線方向の衝撃力によってテーパ形状の貫通孔内に打込まれる。その際、拡開スリーブは、貫通孔内に挿入した拡開スリーブの拡開領域が半径方向に拡開することによって基盤に係止される。この種の拡開アンカーの一実施形態において、貫通孔は拡開スリーブの前端部に向けて円錐状に拡大するテーパ形状とされている。拡開スリーブの前端部において、テーパ形状を有する拡開素子を保持する。拡開アンカーを孔内に係止させるため、ドリル孔底部に当接するテーパ形状の拡開素子を介して拡開スリーブを移動させる。その際、拡開スリーブの拡開領域は半径方向に拡開する。この既知の拡開アンカーは、拡開スリーブがドリル孔内に係止した後、構造部材の結合に供するアンカーロッドを拡開スリーブに固定するものである。そのために、拡開スリーブは貫通孔の後方領域に内ねじを設け、これに対応する外ねじを設けたアンカーロッドを締結可能とする。
【0003】
すなわち、既知の拡開アンカーにおいては、固定を実現するために、先ず拡開スリーブをドリル孔に係止させる必要がある。その後、初めてアンカーロッド及びねじロッドを拡開スリーブに締結し、これに構造部材を固定することが可能となる。その際、拡開スリーブの後端部における内ねじと、アンカーロッドの外ねじを、ねじの種類及び直径について相互に適合させる必要がある。特定の内径を有するメートル法の内ねじを設けた拡開スリーブには、対応する外径を有するメートル法の外ねじ設けたアンカーロッドだけが接続可能である。これらの既知の拡開アンカーにおいて、例えば、メートル法の内ねじを有する拡開スリーブと、インチ法の外ねじ(ホイットワースねじ)を有するアンカーロッドとを結合することは不可能である。また、既知の拡開アンカーに、ねじ形状または半径方向の外面輪郭部分を有する従来の補強鉄筋を接続することはできない。
【0004】
【発明の課題】
本発明の課題は、基盤に対する固定作業を簡便かつ迅速に達成することができる拡開アンカーを提案することにある。特に、本発明は、アンカーロッドの固定に先立って拡開スリーブをドリル孔に係止させるための特別な工程が不要であり、多様な外面輪郭部分を有するアンカーロッドを使用することができ、結合すべきアンカーロッドの外径に対して一定の許容誤差を維持することができ、亀裂の入った基盤中でも高い安全性をもって使用可能な拡開アンカーを提案するものである。
【0005】
【課題の解決手段】
この課題を解決するため、本発明は、長手方向スリットが設けられた拡開領域を有すると共に、軸線方向に延在する貫通孔が拡開領域に設けられ、該貫通孔が、打込み方向で後方に位置する後端部に向けて内径の減少するテーパ形状領域を有するスリーブと、該スリーブ内に紛失不能に配置され、かつ、前記貫通孔内で軸線方向に変位することにより拡開領域を半径方向に拡開させるよう、長手方向の少なくとも一部がテーパ形状に形成された拡開体とを具え、該拡開体がアンカーロッドを係合させるための円筒形状の貫通孔を有し、前記スリーブが、打込み方向で前方に位置する前端部に、打込み方向に向けての拡開体の軸線方向変位量を制限する停止面を有する拡開アンカーにおいて、前記拡開体が複数の弧状セグメントから形成され、該セグメントは軸線方向に延在すると共に半径方向で弾性力に抗して拡径しうるように相互に結束されており、前記スリーブの貫通孔に、前記停止面と前記テーパ形状領域との間で円筒形状領域が設けられており、該円筒形状領域内で前記拡開体が打込み方向に、又は逆方向に軸線方向変位可能であることを特徴とするものである。
【0006】
本発明において、複数の弧状セグメントから形成され、半径方向に弾性的に拡径可能しうるように結束された拡開体は、中心の貫通孔と協働すると共に拡開スリーブの後端部に向けてテーパ形状を有する貫通孔とも協働する。この協働により、拡開アンカーをドリル孔内に係止すると共にアンカーロッドを1工程で結合することが可能となる。拡開スリーブは、基盤の孔内に挿入するだけで、アンカーロッドの急速結合と同時に係止が実現される。その際、弧状セグメントからなる拡開体の貫通孔内にアンカーロッドを挿入すると共に、結合部に引張荷重が加わる。アンカーロッドの挿入に際して、弧状セグメントは半径方向で弾性力に抗して拡径する。弧状セグメントはアンカーロッドの外側に対して押圧されると共に、加圧結合または形状結合によってアンカーロッドを保持する。引張荷重の作用下で、テーパ形状の拡開体は、テーパ形状の貫通孔内に引き込まれ、弧状セグメントが更に加圧されてアンカーロッドの外面に押圧される。その結果、アンカーロッドとの加圧結合または形状結合が強化される。同時に、複数のセグメントで構成された拡開体が拡開スリーブの貫通孔で変位することにより、拡開領域は半径方向で拡開し、拡開アンカーはドリル孔に係止する。
【0007】
半径方向で弾性力に抗して拡径可能な弧状セグメントからなる拡開体は、内径を超過するアンカーロッドに対して所定の公差を有する。したがって、例えば拡開アンカー接続径の公称値に対して10%以下の範囲で内径を超過するアンカーロッドを使用することができる。本発明による拡開アンカーによれば、多様な外面輪郭部分を有するアンカーロッドを使用することが可能である。すなわち、メートル法によるねじを有するアンカーロッドと、ホイットワースねじ(インチねじ)を有するアンカーロッドを使用することが可能である。さらに、外面に半径方向またはヘリカル形状の輪郭部分を有する補強鉄筋を本発明による拡開アンカーに確実に固定することも可能である。
【0008】
拡開体の弧状セグメントを半径方向で弾性的に結合する場合、特に簡単な方法として、少なくとも1本の弾性O−リングを使用する。この弾性O−リングは、弧状セグメントの外面に設けた環状溝内に配置される。
【0009】
対称性を重視する製造上の観点から、拡開体を少なくとも4個の弧状セグメントで構成し、該弧状セグメントは弾性保持部材のばね力に抗して半径方向に拡径可能とするのが有利である。
【0010】
アンカーロッドの固定特性を改善するために、弧状セグメントの内面には、アンカーロッドの外面輪郭部分と形状結合する結合手段を具える。特に、ねじロッドとして構成したアンカーロッドにおけるねじ状輪郭部分の場合、結合手段によってアンカーロッドの高さを事後的に調整することが可能である。
【0011】
形状結合を実現するための結合手段として、例えば、アンカーロッドの材料よりも軟質の被覆層を設けることが可能であり、この被覆層は少なくとも弧状セグメントの長手方向の一部に亘って施される。アンカーロッドに引張荷重を負荷する際、被覆層はアンカーロッドの外面の輪郭部分を弧状セグメントの貫通孔を限定する内面に圧入することができる。
【0012】
本発明による別の簡便な実施形態においては、弧状セグメント内面の輪郭部分は、拡開体の軸線に対し傾斜し、少なくとも弧状セグメントの全長の一部に亙って延在するものとする。弧状セグメント内面の輪郭部分は一般的にこのような形状とするため、多様な形状の外面輪郭部分を有するアンカーロッドが使用可能である。弧状セグメントの内面輪郭部分をねじ状とした構成は、高い係止値を実現する上で特に有利である。その結果、異種のねじを有するねじロッドも形状結合によって保持可能であり、アンカーロッドの外面輪郭部分および弧状セグメントの内面輪郭部分は、弧状セグメントの全長に亙って互いに形状結合を実現する。弧状セグメントの内側においてねじ状の内面輪郭部分を設けたねじと一致するねじロッドは、そのねじ込み量に応じて極めて容易に高さを調整することが可能である
【0013】
本発明による有利な実施形態において、互いに隣接する弧状セグメントの内面には、異種のねじに対応する内面輪郭部分を、アンカーロッドの円周方向において交互に付与する。4個の弧状セグメントの場合、例えば、互いに対角線上で対向する2個の弧状セグメントはメートル法によるねじを有するものとし、第2の対角線上に互いに対向する弧状セグメントはホイットワースねじを有するものとする。メートル法の外ねじを設けたねじロッドが挿入されると、対応するメートル法のねじ部を有する2個の弧状セグメントがねじロッドと形状結合する。ホイットワースねじを設けたねじロッドの場合には、別の弧状セグメントが形状結合する。それぞれ別の弧状セグメントが形状結合を強化し、長手方向に沿って、互いの輪郭部分が概ね一致する部分においても同様に形状結合を実現する。メートル法による外ねじを設けたねじロッドのみならず、ホイットワースねじを設けたねじロッドについても、高さ調整の可能性が維持される。
【0014】
本発明による別の実施形態において、弧状セグメントの内面輪郭部分をカッターとして形成し、該カッターは挿入されたアンカーロッドの材料よりも高硬度とする。引張荷重を加え、カッターを設けたアンカーロッドの外面に埋め込み、形状結合を達成する。弧状セグメントの内側にカッターをねじ状に配置する場合、カッターはアンカーロッドの荷重下で外面にねじ状に結合される。その結果、アンカーロッドは、そのねじ込み量に応じて高さが調整可能である
【0015】
ドリル孔内に挿入された拡開アンカーのスリーブを事前に仮固定するために、スリーブは少なくとも拡開領域にリングカッター状の突部を具え、該突部はスリーブの外面から突出させるのが有利である。突部は、一方において、ドリル孔に拡開アンカーを予め固定させる。この措置により、本発明の拡開アンカーは頭上の取り付け作業にも使用可能となる。他方では、リングカッターとしての突部は、荷重の作用下で拡開領域が拡開するとドリル孔内壁に侵入し、背面側からの形状結合を生じる。すなわち、ドリル孔内壁と拡開アンカーのスリーブとの間には形状結合が実現する。
【0016】
【実施の形態】
以下、本発明を図示の好適な実施形態について更に具体的に説明する。
【0017】
図1及び図2は、本発明の一実施形態による拡開アンカー1を示す縦断面図である。拡開アンカー1はスリーブ2を具え、スリーブ2は軸線方向のスリット4を設けた拡開領域3を有する。スリーブ2は軸線方向に延在する貫通孔5を有し、この貫通孔5は拡開領域3にテーパ形状部分を有する。図示の実施形態では、矢印Sで示す打込み方向に関して、拡開領域3がスリーブ2のほぼ後半部に亙って延在し、貫通孔5はスリーブ2の後端部6に向けて内径の減少するテーパ形状を有する。スリーブ2の前端部に環状停止面7を配置し、この停止面7はスリーブ2の貫通孔5内に突出して内径を減少させる。スリーブ2の外面20には、リングカッター形状の突部19を配置するのが有利である。突部19は、スリーブ2の外面20から半径方向外方に突出させる。
【0018】
貫通孔5内には、拡開体8を軸線方向に変位可能に配置する。拡開体8は、長手方向の一部が円錐テーパ形状の外周輪郭を有する。その外周輪郭のテーパ形状は、スリーブ2の貫通孔5におけるテーパ部分のテーパ形状に近似させるのが有利である。拡開体8は円筒形状の貫通孔9を具え、この貫通孔9の内径は拡開アンカー1の接続径の公称値を決定する。拡開体8は、図2に示すように、4個の弧状セグメント11〜14から構成する。これらの弧状セグメントは弾性O−リング10によって結束され、そのO−リング10は弧状セグメント11〜14の外面15に設けた環状溝16内に配置される。O−リングは弾性的に拡径可能である。そのため、アンカーロッドAが挿入される際に弧状セグメント11〜14は半径方向に移動することが可能である。拡開体8の円筒形状部分における最大外径は、スリーブ2の前端で環状停止面7により狭められた貫通孔5の内径よりも大とする。
【0019】
弧状セグメント11〜14の内面17は所定形状、好適にはねじ形状の輪郭部分18を具える。その際、例えば、対角線上で互いに対向する2個の弧状セグメント11,13は、メートル法に基くねじ部の輪郭を有する。他方、別の弧状セグメント12,14の対は、ウィットワースねじに相当する輪郭を有する。全ての弧状セグメント11〜14の内面17が同種の輪郭部分18を有する構成とすることも可能である。弧状セグメント11〜14の内面17の輪郭部分18はカッター形状とすることも可能であり、この場合には、アンカーロッドAへの荷重負荷に際し、アンカーロッドAの外面Mにおける軟質の輪郭部分Pが、弧状セグメント11〜14の内面17の輪郭部分18内に圧入される。輪郭部分18の代わりに、弧状セグメント11〜14の内面17に、アンカーロッドAの材料よりも軟質の被覆を施すことができる。その結果、アンカーロッドAへの荷重負荷に際して、外面Mの輪郭部分Pは弧状セグメント11〜14の内面に圧入される。
【0020】
本発明による拡開アンカー1を用いて固定作業を行うため、先ず、拡開アンカーをドリル孔内に挿入する。スリーブ2の外面20におけるリングカッター形状の突部19は、拡開アンカー1を予め仮固定する。それにより、例えば、頭上での取付け作業に際して拡開アンカーがドリル孔から落下することはない。アンカーロッドAの結合と同時に拡開アンカー1の係止が達成され、アンカーロッドが拡開体8の貫通孔9内に挿入される。外面Mに輪郭部分Pを有するアンカーロッドAを挿入する際に、拡開体8が変位して環状停止面7に当接する。拡開体8がストッパ7に当接すると、アンカーロッドAは更に前進して拡開体8の貫通孔9内に侵入する。このことは、O−リング10で結束された弧状セグメント11〜14の半径方向への弾性的な拡径により容易化される。アンカーロッドAが所望深度だけ貫通孔9内に侵入すると、引張荷重を直ちに加えることができる。アンカーロッドAのプロファイルPと、弧状セグメント11〜14の内面17における輪郭部分18とが形状結合するため、アンカーロッドが拡開体8の貫通孔9から落下することはない。アンカーロッドAの引張荷重により、拡開体8のテーパ形状部分は、スリーブ2の貫通孔5におけるテーパ形状領域に引き込まれる。その際、弧状セグメント11〜14は、荷重の増加に伴い、アンカーロッドの外面Mに対して一層強力に押圧される。同時に、拡開体8を貫通孔5のテーパ形状領域に引き込むことにより、スリーブ2の拡開領域3が半径方向に拡開する。その結果、スリーブ2の外面20はドリル孔内壁に対して押圧され、ドリル孔内壁におけるリングカッター形状の突部19が裏側からの形状結合を達成する。その結果、ドリル孔におけるスリーブ2の加圧係止は形状結合部分によりバックアップされ、一層高い係止値が達成可能となる。
【0021】
本発明による拡開アンカーは、次に列記する一連の利点を発現するものである。先ず、半径方向で弾性力に抗して拡開可能な弧状セグメントからなる拡開体は、アンカーロッドに対する急速結合システムである。拡開アンカーをドリル孔内に挿入すると共にアンカーロッドを急速結合すると、直ちに荷重を負荷することが可能となる。その際、拡開アンカーのスリーブにおける拡開領域が半径方向に拡開し、拡開アンカーがドリル孔内に係止される。本発明による拡開アンカーは、多様なアンカーロッドと組合わせて使用することが可能である。これらのアンカーロッドは、メートル法のねじ又はホイットワースねじとしての外面輪郭部分を設けた構成とすることができる。外面に半径方向又は螺旋形状の輪郭部分を有する補強鉄筋も使用可能である。ねじを設けたアンカーロッドの場合、接続部材の高さを調整することが可能である。複数の弧状セグメントからなる拡開体は、拡開アンカーの接続直径の公称値を超える外径のアンカーロッドを係合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明による拡開アンカーをねじロッドの装着状態で示す縦断面図である。
【図2】 図2は、図1のII−II線に沿う横断面図である。
【符号の説明】
1 拡開アンカー
2 スリーブ
3 拡開領域
4 スリット
5 貫通孔
6 後端部
7 環状停止面
8 拡開体
9 貫通孔
10 O−リング
11〜14 弧状セグメント
15 セグメント外面
16 環状溝
17 弧状セグメントの内面
18 内面の輪郭部分
19 突部
20 スリーブの外面
A アンカーロッド
M アンカーロッドの外面
P 外面の輪郭部分

Claims (10)

  1. 長手方向スリット(4)が設けられた拡開領域(3)を有すると共に、軸線方向に延在する貫通孔(5)が拡開領域(3)に設けられ、該貫通孔(5)が、打込み方向(S)で後方に位置する後端部(6)に向けて内径の減少するテーパ形状領域を有するスリーブ(2)と、該スリーブ(2)内に紛失不能に配置され、かつ、前記貫通孔(5)内で軸線方向に変位することにより拡開領域(3)を半径方向に拡開させるよう、長手方向の少なくとも一部がテーパ形状に形成された拡開体(8)とを具え、該拡開体(8)がアンカーロッド(A)を係合させるための円筒形状の貫通孔(9)を有し、前記スリーブ(2)が、打込み方向(S)で前方に位置する前端部に、打込み方向(S)に向けての拡開体(8)の軸線方向変位量を制限する停止面(7)を有する拡開アンカーにおいて、前記拡開体(8)が複数の弧状セグメント(11〜14)から形成され、該セグメント(11〜14)は軸線方向に延在すると共に半径方向で弾性力に抗して拡径しうるように相互に結束されており、前記スリーブ(2)の貫通孔(5)に、前記停止面(7)と前記テーパ形状領域との間で円筒形状領域が設けられており、該円筒形状領域内で前記拡開体(8)が打込み方向(S)に、又は逆方向に軸線方向変位可能であることを特徴とする拡開アンカー。
  2. 請求項1記載の拡開アンカーにおいて、拡開体(8)の弧状セグメント(11〜14)が、その外周面(15)に設けられた環状溝(16)内に配置された少なくとも1本のO‐リング(10)によって結束されていることを特徴とする拡開アンカー。
  3. 請求項1又は2に記載の拡開アンカーにおいて、拡開体(8)は少なくとも4個の弧状セグメント(11〜14)を含むことを特徴とする拡開アンカー。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の拡開アンカーにおいて、弧状セグメント(11〜14)の内面(17)に、挿入されたアンカーロッド(A)の外面(M)における輪郭部分(P)と形状結合する結合手段が設けられていることを特徴とする拡開アンカー。
  5. 請求項4記載の拡開アンカーにおいて、前記結合手段として、弧状セグメント(11〜14)の内面(17)における長手方向の少なくとも一部に、アンカーロッド(A)の材料よりも軟質の被覆層が形成されており、アンカーロッド(A)に荷重を負荷する際に、弧状セグメント(11〜14)の内面(17)における被覆層にアンカーロッド(A)の外面(M)の輪郭部分(P)が圧入可能とされていることを特徴とする拡開アンカー。
  6. 請求項4記載の拡開アンカーにおいて、前記結合手段として、弧状セグメント(11〜14)の内面(17)に所定形状の輪郭部分(18)が設けられており、該輪郭部分(18)は拡開体(8)の中心軸線に対して傾斜すると共に弧状セグメント(11〜14)の全長の少なくとも一部に亙って延在することを特徴とする拡開アンカー。
  7. 請求項6記載の拡開アンカーにおいて、弧状セグメント(11〜14)における内面(17)の輪郭部分(18)が、ねじ部として形成されていることを特徴とする拡開アンカー。
  8. 請求項7記載の拡開アンカーにおいて、弧状セグメント(11〜14)の内面(17)に異種規格のねじが、拡開アンカーの円周方向において交互に配置されていることを特徴とする拡開アンカー。
  9. 請求項6記載の拡開アンカーにおいて、弧状セグメント(11〜14)の内面(17)における輪郭部分(18)が、アンカーロッド(A)の材料よりも高硬度のカッターとして形成されていることを特徴とする拡開アンカー。
  10. 請求項1〜9の何れか一項に記載の拡開アンカーにおいて、スリーブ(2)の少なくとも拡開領域(3)に、スリーブ(2)の外面(20)から突出するリングカッター状の突部(19)が設けられていることを特徴とする拡開アンカー。
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