JP4237293B2 - 経皮吸収型貼付剤 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は、4−アミノ−3,5−ジクロロ−α−〔((1,1−ジメチルエチル)アミノ)メチル〕ベンゼンメタノール(以下本件薬剤という)を含有し経皮的に供給することにより経時的に安定した薬物血中濃度を達成し得る経皮吸収型貼付剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
4−アミノ−3,5−ジクロロ−α−〔((1,1−ジメチルエチル)アミノ)メチル〕ベンゼンメタノールは、β2受容体選択性のβ刺激薬で、選択的に気管支拡張作用を示すことから気管支喘息、慢性気管支炎、肺気道等の気道閉塞性障害に基づく呼吸困難などの諸症状の緩解に治療剤として使用されている。
4−アミノ−3,5−ジクロロ−α−〔((1,1−ジメチルエチル)アミノ)メチル〕ベンゼンメタノールの製剤としては、錠剤、顆粒剤が知られている。この薬物は経口投与では吸収性及び薬効の持続性は良好な特性を有しており、その生物学的半減期は約35時間と長い。
しかし心拍数増加等の循環器系の副作用、振戦、頭痛、興奮、目まい等の精神神経系の副作用、嘔気、食欲不振等の消化器系副作用が問題となっている。この原因は経口投与後の一時的な血中濃度の上昇と考えられている。
【0003】
一方これらの欠点を解決する手段として経皮的投与による試みがなされている。例えば特開昭63−10716号公報において4−アミノ−3,5−ジクロロ−α−〔((1,1−ジメチルエチル)アミノ)メチル〕ベンゼンメタノールを経皮的に吸収させる外用剤が提案されている。この製剤は4−アミノ−3,5−ジクロロ−α−〔((1,1−ジメチルエチル)アミノ)メチル〕ベンゼンメタノールを軟膏剤またはクリーム剤を主体とする新規な剤型とすることによって、経口投与における一時的な血中濃度上昇を制御しようとするものである。
しかし、この外用剤は従来の経口剤に比べ効力の持続性は期待されるものの、軟膏剤やクリーム剤では塗布後、衣服などによって薬効成分が擦り取られ投与量の厳格な制御が困難である。
また溶解剤としての開示されているものが、アルコール類、グリコール類、脂肪酸エステル類、鉱物油類、炭酸プロピレン、N−メチルピロリドン等の一般的な記載がなされているが、実施例の開示においてはアルコール類、グリコール類、脂肪酸エステル類の一部のみが検討されているだけである。
また、脂肪酸エステル類は該薬物が遊離塩基の場合は溶解助剤となるが、塩酸塩の場合は溶解助剤にはならず、更にN−メチルピロリドンは該薬物の溶解助剤としての作用は認められるものの該薬物の基剤中の活量を低下させる為に経皮吸収を阻害的し製剤化の妨げとなる。
更に、投与方法が簡便であり、かつ薬物投与量の制御が比較的容易行える貼付剤については検討がなされていない。
さらに、生理活性物質、有機酸(脂肪族カルボン酸、芳香族カルオボン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホン酸誘導体、コール酸誘導体又はそれらの水溶性無機塩類)、疎水性高分子、粘着剤付与樹脂、可塑剤及び吸収促進剤(L−メント−ル、ラウリルアルコール又はピロチオデカン)を含む粘着剤層を有するテープ剤の例(国際公開WO96/16642)等が報告されていが、有機酸によるイオン対の形成を介し薬物の透過性の向上を目的としているものの、有機酸による皮膚に対する刺激性の問題や、薬物の放出量が治療に十分な効果をもたらすに至っておらず、更に該薬物については検討がなされていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記欠点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、該薬効成分を含有し、該薬物の投与量の制御および投与方法が容易に行え且つ小面積であっても充分な量の薬物が供給される皮膚透過性の高い製剤であり、薬物の血中濃度が急激に上昇せず緩徐に上昇した後、一定範囲に安定した血中濃度が維持することにより、副作用発現の軽減と安定的に効果を維持できる新規処方の経皮吸収型貼付剤を提供するところにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的の製剤を開発すべく製剤の処方について鋭意研究を重ねた結果、(A−B)n−A型弾性重合体を主体とした粘着剤層に薬効成分である4−アミノ−3,5−ジクロロ−α−〔((1,1−ジメチルエチル)アミノ)メチル〕ベンゼンメタノールを配合し、以下の数2で示される薬物のFluxss値を人皮膚換算で0.15〜 4.0μg/cm2/hrの範囲に特定し、更に有効投与面積の範囲を0.5〜10cm2に特定したマトリックス型貼付剤とすることにより上記目的の経皮吸収型貼付剤を完成することができた。
【0006】
【数2】
【0007】
薬物のFluxについては、薬物動態学において、使用される値であり定常状態単位面積皮膚透過速度として、外用薬物の開発等に利用されている。
【0008】
本発明の経皮吸収型貼付製剤の粘着剤ベースとして用いられる(A−B)n−A型弾性重合体は、具体的には市販品として入手できるシェル化学製のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(クレイトンD−1101)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(クレイトンD−1107、クレイトンD−1111)等が挙げられるが、特にスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体が好適である。このような(A−B)n−A型弾性体を製剤ベースとして用いることによって、該薬物の放出、生物学的利用率の大幅な向上が図れる。
【0009】
次に本発明の経皮吸収型貼付剤について具体的に説明する。
本発明に用いられる該薬効成分である本件薬剤は、通常塩酸塩として提供されるが、本発明の経皮吸収型貼付剤では塩酸塩のままでもよいし、遊離塩基としてもよい。しかし、一般に溶解性が悪く、溶解助剤を必要とする。
【0010】
本発明の経皮吸収型貼付剤は、該薬効成分の血中濃度を有効領域に制御するには、薬物固有の体内クリアランスにより体内吸収速度をコントロールする必要がある。該薬物を経皮投与した時に理想とする薬物吸収速度は約1.5〜2.0μg/hrであり、有効投与面積が0.5〜10cm2の時に単位面積当たりの吸収速度を人皮膚換算で0.15〜 4.0μg/cm2/hrの範囲に制御する必要がある。吸収速度がこれよりも早ければ副作用や皮膚に対する刺激性が問題となる。また、これよりも低ければ治療上の効果が期待できない。尚、実験等で使用されるラット皮膚の経皮吸収速度は、実際に貼付する人皮膚に比較して吸収速度が早く、その2倍乃至10倍と言われている。
【0011】
本発明における薬物の定常皮膚透過速度を制御するための吸収助剤としては、炭素数7以上の高級脂肪酸エステル(炭素数が7以上)、高級脂肪族アルコール(炭素数が7以上)を用いる。
使用に供する炭素数7以上の高級脂肪酸エステル、高級脂肪族アルコールとしては、炭素数6〜18の脂肪酸と炭素数1〜20のアルコールから得られる高級脂肪酸エステルまたは高級脂肪族アルコールが用いられる。
このような高級脂肪酸エステルまたは高級脂肪族アルコールを形成し得る炭素数6〜18の脂肪酸としては、アジピン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸などがある。炭素数1〜20のアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ペンタノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、セタノールなどがある。
高級脂肪酸エステルとしてはミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチルなどがあり、高級脂肪族アルコールとしてはミリスチルアルコール、オレイルアルコールなどがある。
上記の脂肪酸エステル及び/又は脂肪族アルコールのうち1種又は2種以上の組み合わせでもよい。
本件薬剤の溶解助剤としては、Nメチル−2−ピロリドンを使用するが、該助剤は逆に経皮吸収を負の方向に促進する傾向があり、皮膚透過速度を高すぎる場合の経皮吸収制御剤としての機能をも持つ。
【0012】
本発明に用いる非イオン性界面活性剤としてはグリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類等がある。上記の非イオン性界面活性剤のうち1種又は2種以上の組み合わせでもよい。
【0013】
本発明の経皮吸収型貼付剤の粘着性基剤層には粘着付与樹脂を添加してもよく、例えばロジン誘導体(例えば、ロジン、ロジンのグリセリンエステル、水添ロジン、水添ロジンのグリセリンエステル等)、脂環族飽和炭化水素樹脂、ポリテルペン樹脂等が挙げられる。
【0014】
本発明の経皮吸収型貼付剤の粘着性基剤層には可塑剤を添加してもよい。例えば石油系炭化水素(流動パラフィン)、クロタミトン、N−メチル−2−ピロリドン、液状ゴム(例えば、ポリブテン、液状イソプレンゴム)、液状ポリブテンゴム等が挙げられる。
【0015】
テープ製剤やパッチ剤およびパップ剤の支持体としては、貼付剤に通常利用される支持体が用いられる。このような支持体の素材としては、酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート(PET)、可塑性酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ナイロン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、可塑性ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、アルミニウムなどがある。これらは、例えば、単層のシート(フィルム)や二層以上の積層(ラミネート)体として用いられる。アルミニウム以外の素材は織布や不織布として利用してもよい。
【0016】
該粘着性基剤層の厚みは貼付剤の柔軟性、得られた粘着性基剤層の粘着力と関係する。ヒトの皮膚に貼付する時、十分な粘着力を付与するためには該粘着性基剤層の厚みは最低10μmは必要であり、好ましくは20μm以上である。
一方この粘着性基剤層の厚みが増加すると薬物濃度低下ならびに薬物の粘着性基剤層表面への移動速度の低下により薬物利用率が低下する。また溶媒法により製造する時には残留溶媒が増加して皮膚刺激性が悪化しカブレの原因となる。かかる理由から粘着性基剤層の厚みは200μm以下であり、好ましくは100μm以下である。
【0017】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜8)
薬効成分である4−アミノ−3,5−ジクロロ−α−〔((1,1−ジメチルエチル)アミノ)メチル〕ベンゼンメタノールを1重量%とし、以下の表1に示されるような組成からなるスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(シェル・ジャパンの商品名:クレイトンD−1107)を52乃至54重量%、水添ロジンエステル(荒川化学工業の商品名KE−311)を37乃至45重量%、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、Nメチル−2−ピロリドン(NMP)、オレイルアルコール(OA)、流動パラフィン(LP)、モノオレイン酸ソルビタン(SO−10)、トリオレイン酸POE(20)ソルビタン(TO−30)、クロタミトン(Crota)、セバシン酸ジエチル(DES)を適宜選択添加した組成のものを溶解した後、厚さが約40μmとなるようにPETフィルムに塗膏した実施例1乃至8の貼付剤を得る。
【0018】
【表1】
【0019】
薬効成分である4−アミノ−3,5−ジクロロ−α−〔((1,1−ジメチルエチル)アミノ)メチル〕ベンゼンメタノールを1重量%とし、以下の表2に示されるように(A−B)n−A型弾性重合体と水添ロジンエステルの代わりにアクリル系粘着剤69.5乃至99重量%を選択し、その他にミリスチン酸イソプロピル(IPM)、Nメチル−2−ピロリドン(NMP)、オレイルアルコール(OA)、流動パラフィン(LP)、モノオレイン酸ソルビタン(SO−10)、トリオレイン酸POE(20)ソルビタン(TO−30)、クロタミトン(Crota)、セバシン酸ジエチル(DES)を適宜選択添加した組成のものを溶解した後、厚さが約40μmとなるようにPETフィルムに塗膏した比較例1乃至12の貼付剤を得る。
【0020】
【表2】
【0021】
薬効成分である4−アミノ−3,5−ジクロロ−α−〔((1,1−ジメチルエチル)アミノ)メチル〕ベンゼンメタノールを1重量%とし、以下の表3に示されるように(A−B)n−A型弾性重合体と水添ロジンエステルの代わりにシリコン系粘着剤69.5乃至99.0重量%を選択し、その他にミリスチン酸イソプロピル(IPM)、Nメチル−2−ピロリドン(NMP)、オレイルアルコール(OA)、流動パラフィン(LP)、モノオレイン酸ソルビタン(SO−10)、トリオレイン酸POE(20)ソルビタン(TO−30)、クロタミトン(Crota)、セバシン酸ジエチル(DES)を適宜選択添加した組成のものを溶解した後、厚さが約40μmとなるようにPETフィルムに塗膏した比較例13乃至24の貼付剤を得る。
【0022】
【表3】
【0023】
(試験方法1)
In vitro 皮膚透過試験
まず、つぎのように各製剤の前記実施例1乃至8および比較例1乃至24にかかる各テープ剤を試料片とした。
【0024】
これらの試料片について、下記の手法により性能試験を行った。
まず図1に示すFranz-Improved型の拡散セル(1)を準備した。拡散セル(1)は下側の有底円筒状のレセプター槽(2)と、これの上に配置された円筒状のドナー槽(3)とよりなる。またドナー槽(3)の下端およびレセプター槽(2)の上端にはそれぞれ上部フランジ(4)および下部フランジ(5)を対向状に重ね合わせることによって、ドナー槽(3)とレセプター槽(2)が気密状にかつ同心状に積み重ねられている。レセプター槽には側部に側方突出状のサンプリング口(6)が取り付けられ、レセプター槽(2)の内部にはマグネット撹拌子(10)が入れてある。
【0025】
ヘアレスラット(8週齢、雄)を頚椎脱臼により屠殺した直後、直ちに腹部皮膚を剥離して皮下脂肪と筋層を除去し、皮膚片を得た。
この皮膚片(11)を拡散セル(1)の上部フランジ(4)と下部フランジ(5)の間に挟着して、ドナー槽(3)とレセプター槽(2)の間を完全に閉じるようにした。なお、この際皮膚片(11)は表皮側をドナー槽側に真皮側をレセプター槽側にセットし、ジャケット(7)にジャケット入口(8)及びジャケット出口(9)を介して37℃の水を恒温槽から循環させた。
【0026】
皮膚片(11)の表皮側に試料片を圧着し、レセプター槽には37℃の水を満たし、マグネット撹拌装置によりレセプター液の撹拌を行った。
試験開始後24時間にわたり、所要時間おきにサンプリング口(6)からレセプター液0.5mlを採取し、その直後に新たなレセプター液0.5mlを補充した。採取したレセプター液に含まれる本件薬効成分量を高速液体クロマトグラフ法により測定した。各貼付剤のサンプル数はそれぞれ3例とした。
測定した薬効成分量に基づき、ラット皮膚に関する定常状態単位面積皮膚透過速度(Flux)を算出し、さらにこのFlux値をヒト皮膚に換算のために5で除したものをヒト皮膚に関する換算定常状態単位面積皮膚透過速度(Flux’)とした。
実施例及び比較例の各試料片の該薬効成分のラット皮膚に関する定常状態単位面積皮膚透過速度(Flux)、ヒト皮膚換算の定常状態単位面積皮膚透過速度(Flux’)及び24時間累積透過量Qを各表の下段に示す。
【0027】
(試験方法2)
各実施例及び比較例で作成された試料片について、その粘着性及び膏体強度について、下記の判定基準に基づき官能試験を行ったところ、各表の下段に示す通りとなった。
評価基準
粘 着 性:本実施例及び比較例にかかる試料片を皮膚に1時間貼付した後に剥離した場合の状況を
弱い:×、強すぎ(剥離時に痛い):△、良好:○
で評価した。
膏体強度:本実施例及び比較例にかかる試料片を皮膚に1時間程度貼付した後において基剤等が皮膚に残存する状況を
基剤が肌に残る:×、糸引きを起こす:△、基剤が肌に残存しない:○
で評価した。
【0028】
この表1、表2及び表3の下段の試験結果の比較からも明らかなように、各実施例の試料片は比較例の試料片に比べて優れた皮膚透過性を示した。
また添加物としてのN−メチル−2−ピロリドンは、定常状態単位面積皮膚透過速度(Flux)を下げる要素として機能し、流動パラフィン、クロタミトン、オレイルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル及びセバシン酸ジエチルは定常状態単位面積皮膚透過速度(Flux)を上げる要素として機能することが判明した。特にオレイルアルコール、ミリスチン酸イソプロピルは、定常状態単位面積皮膚透過速度(Flux)を上げる要素として機能する要素である。
【0029】
前記実施例1乃至8の透過試験の結果、SIS系の粘着剤を用いたものが優れていることが判明したので、皮膚透過速度を上昇させる要素、下降させる要素並びに薬効成分の配合量とSISの配合との関係、さらにはPETフィルムに塗膏する厚さの影響を検討するべくSIS系粘着剤としてシェル・ジャパン社製クレイトンD−1107(SIS−1)及びシェル・ジャパン社製以下のクレイトンD−1111(SIS−2)23乃至46重量%、水添ロジンエステルを0乃至33.5重量%(ロジンと呼ぶ)、ポリテルペン樹脂(ヤスハラ化学の商品名:「クリアロンK100」(K100と呼ぶ)、脂環族飽和炭化水素樹脂アルコンP100(ALと呼ぶ)、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、Nメチル−2−ピロリドン(NMP)、オレイルアルコール(OA)、流動パラフィン(LP)、クロタミトン(Crota)、アジピン酸ジイソプロピル(DIAと呼ぶ)、液状イソプレンゴム(LIR−50と呼ぶ)、セバシン酸ジエチル(DES)、モノオレイン酸ソルビタン(SO−10)、トリオレイン酸POE(20)ソルビタン(TO−30)、POE(5)硬化ヒマシ油(HCO−5と呼ぶ)、POE(20)硬化ヒマシ油(HCO−20と呼ぶ)、POE(100)硬化ヒマシ油(HCO−100と呼ぶ)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(4EO)(MYS-4と呼ぶ)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(10EO)(MYS-10と呼ぶ)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(55EO)(MYS-55と呼ぶ)、ポリオキシエチレン(2)セチルエーテル(以下BC-2と呼ぶ)、ポリオキシエチレン(5.5)セチルエーテル(以下BC-5.5と呼ぶ)、ポリオキシエチレン(15.5)セチルエーテル(以下BC-15TXと呼ぶ)を適宜添加した表4〜表7に示すような組成からなる実施例9〜実施例47を作成し、これらの試料片について前述同様の試験方法を用いて各試料片の該薬効成分の定常状態単位面積皮膚透過速度(Flux)、24時間累積透過量、粘着性及び膏体強度について、試験を行ったところ以下の表4〜表7の下段に示すような結果が得られた。定常状態単位面積皮膚透過速度(Flux)の結果、本件薬効成分が0.1重量%の時(実施例14)の時には、人皮膚換算の定常状態単位面積皮膚透過速度(Flux’)は、0.05μg/cm2/hrと落ちるが、0.5重量%以上の場合には、所望の範囲に入ることが判明した。
【0030】
【表4】
【0031】
【表5】
【0032】
【表6】
【0033】
【表7】
【0034】
(試験方法3)
実施例43と比較例11につきヒト皮膚を用いて、試験例1と同様に操作し皮膚透過試験を行い、ラット皮膚における定常状態単位面積皮膚透過速度(Flux)との違いについて比較検討した。
【0035】
各試料片の該薬効成分の経時的透過速度を図2のグラフに示す。これらのグラフからも明らかなように、実施例43の試料片11は比較例の試料片に比べて優れた皮膚透過性を示し有効投与面積を0.5〜10cm2とした時、実施例43のものは必要とする透過速度範囲にあるが比較例は必要な皮膚透過速度に満たない。
以上のようにラット皮膚と人皮膚における薬剤の定常状態皮膚透過速度は以下の通りとなる。
対象薬剤 ラット皮膚の Flux a 人皮膚の Flux b Flux a /Flux b
比較例11 0.47 0.07 6.71
実施例43 3.53 1.20 2.98
得られた結果は、人皮膚がラットの皮膚に比較して透過しにくく、本件薬物に関しては1/6.71〜1/2.98であり、ラット皮膚の方は人皮膚に比較してFluxが高いという事実が確認された。
そこでここで得られた人皮膚の皮膚透過速度の割合をラットの5分の1を換算レートとして他の実施例や比較例のFlux値にあてはめて概算させたものが表1乃至表7のFlux'の値である。
【0036】
(試験方法4)
In vivo経皮投与試験(単回投与)
まず、つぎのように各製剤の試料片を用意した
実施例43及び比較例11の製剤を10cm2の大きさに裁断し試料片とした。
【0037】
これらの、試料片について、下記の手法により性能試験を行った。
各試料片をそれぞれ、投与前日に腹部をバリカンで苅毛したヘアレスラット(10週齢、雄)に腹部に貼付し試料片をガーゼで覆い、保定テープで固定し、貼付24時間後に各試料片は剥離した。
各試料片貼付開始から48時間後まで経時的に頚静脈から250μLを採血し血漿中の該薬効成分の量を高速液体クロマトグラフ法で測定した。各貼付剤のサンプル数は3例とした。
【0038】
各試料片の該薬効成分の血中濃度の推移を図3のグラフに示す。このグラフからも明らかなように実施例は比較例にIn vitro皮膚透過試験の結果を反映していた。
【0039】
【発明の効果】
本発明の経皮吸収型貼付剤は、支持体の片面に薬効成分4−アミノ−3,5−ジクロロ−α−〔((1,1−ジメチルエチル)アミノ)メチル〕ベンゼンメタノールまたは、その塩酸塩を(A−B)n−A型弾性重合体を主体とした粘着性基剤層に含有させ、有効投与面積が0.5〜10cm2で該薬効成分のFluxss値が特定の範囲の貼付剤により、該薬効成分が経皮的に吸収され血中濃度が緩徐に上昇した後、安定した血中濃度が維持され持続的に薬効が発揮される。また、経口投与時に起こり得る消化器官系の副作用や、急激な血中濃度の上昇に伴って起こり得る副作用を回避する事もできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の皮膚透過試験に使用するフランツ改良型セルの正面断面図である。
【図2】 実施例43と比較例11に関する各試料片の該薬効成分の経時的透過速度を示すグラフである。
【図3】 実施例43と比較例11に関する各試料片の該薬効成分の血漿中濃度の経時変化を示すグラフである。
【符号の説明】
3 ドナー
4 上部フランジ
5 下部フランジ
6 サンプリング口
7 ジャケット
8 ジャケット入口
9 ジャケット出口
10 マグネット撹拌子
11 皮膚片
Claims (4)
- 粘着性基剤成分の(A−B)n−A型弾性重合体が、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体又はスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体である請求項1に記載の経皮吸収型貼付剤。
- 粘着基剤成分に脂肪酸エステル類(炭素数が7以上)及び/又は脂肪族アルコール(炭素数が7以上)及び/又は非イオン性界面活性剤を必須成分とし、充填剤及び有機酸を含有しない請求項1又は2に記載の経皮吸収型貼付剤。
- 粘着基剤成分に高級脂肪族アルコールのオレイルアルコール及び/又は高級脂肪酸エステルのミリスチン酸イソプロピルを必須成分として添加したことを特徴とする請求項1又は2に記載の経皮吸収型貼付剤。
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