JP4235651B2 - ストーカ式焼却炉及びその運転方法 - Google Patents
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Description
このようなストーカ式焼却炉において、ストーカ上の燃焼室内の燃焼排ガスの一部を抽出した再循環ガスを、再循環通路を通して前記燃焼室内の二次燃焼部に還流させて二次空気と共に燃焼に供するようにした技術が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、前記従来技術においては、ストーカ上方の燃焼室内の燃焼排ガスの一部を抜き出して再循環ガスとして熱交換器に送り、該熱交換器にて一次空気及び二次空気と熱交換することにより該再循環ガスを冷却した後、この降温された再循環ガスを前記熱交換器の後流側に配置されたファンによって、燃焼室内の二次空気供給口よりも上流側部位に投入しているため、該再循環ガスを空気(一次空気及び二次空気)と熱交換してこれを降温してからファンに送り込むための熱交換器を必要とし、燃焼排ガス再循環系の構造が複雑になるとともに機器数が多くなって装置コストが上昇する。
また、前記ファンには、前記熱交換器によって降温されてはいるが、腐食成分の多い燃焼排ガスがそのまま送り込まれるため、ファンの腐食が進行し易く、該ファンの耐久性及び寿命の低下を招いている。
(1)被燃焼物が投入されるストーカの下方より一次空気を導入し、該ストーカ上方の燃焼室で一次燃焼を行った後、該燃焼室の上方部位で二次燃焼を行うとともに、前記燃焼室内の燃焼排ガスの一部を炉内へ再循環ガスとしてファンにより再循環通路を通して再循環せしめる際に、前記再循環通路の前記ファンの上流部位において前記再循環ガスに空気を混合し、この混合ガスを前記燃焼室に還流するようにしたストーカ式焼却炉の運転方法において、前記再循環通路の前記ファンの上流部位に除塵装置を備え、前記再循環通路の前記除塵装置の上流部位において前記再循環ガスに空気を混合する運転方法。
さらに、本発明には、前記ストーカ式焼却炉の運転方法に加えて次の運転方法が含まれる。
(2)前記空気を混合した再循環ガスを、前記燃焼室の上流部位の燃焼排ガス流動方向の複数箇所に導入する運転方法。
これによって、従来技術のような再循環ガスを冷却し降温させるための熱交換器は不要となり、燃焼排ガス再循環系の構造を簡単化できるとともに構成機器数を低減でき、焼却設備の装置コストを低減させることができる。
また、再循環ガスに一次空気または二次空気のいずれか一方からなる空気を混合することで、新たにファンやダクトを設置する必要が無く、構成がさらに簡略になる。
そのため、当該ファンには、大きな遠心応力とともに再循環ガスの温度が高い場合には大きな熱応力が重畳されて、高応力状態でかつ燃焼排ガスからなる再循環ガスによって高腐食環境となる。
然るに本発明によれば、前記再循環ガス還流用のファンに導入される再循環ガスは、低温の空気によって冷却されて降温され、また該空気によって希釈化されて燃焼排ガス濃度が低くなり、さらには前記冷却によって排ガス中の腐食成分である塩類が固化されることにより腐食成分が低減された再循環ガスとなるため、ファンの温度が低下して該ファンの熱応力が小さくなるとともに、前記のように腐食成分が低減された再循環ガスをファンに導入することによりファンの腐食を抑制でき、これにより高価な耐熱材料を使用をすることなく低コスト化したファンが得られ、所要の耐久性及び寿命を維持することができる。
特に、ファンの上流部位に設置した温度計測器にて混合ガス温度を監視し、その混合ガス温度が400℃以下になるように前記再循環ガスと空気の割合を制御することで、当該ファンを長期間運用するに十分の低熱応力となり、さらに、再循環ガスの高温状態ではガス状態にあるナトリウム塩等の低融点物質の融点が概略700℃であることから、前記低融点物質を完全に固化できることになり、低融点物質の当該ファンへの付着、腐食を回避できる。
図1は本発明の第1実施形態に係るストーカ式焼却炉の構成図である。
図1において、1はごみや産業廃棄物等の被燃焼物が投入されるごみホッパ、2はストーカ式焼却炉である。このストーカ式焼却炉2は、ごみホッパ1からの投入口の炉内底部に主として乾燥帯を構成する乾燥帯ストーカ21、主として燃焼帯を構成する主燃焼帯ストーカ22、及び主としておき燃焼帯を構成するおき燃焼帯ストーカ23が敷設されている。乾燥帯ストーカ21は最上流側に位置し、主燃焼帯ストーカ22は乾燥帯ストーカ21の下流側に位置し、おき燃焼帯ストーカ23は主燃焼帯ストーカ22の下流で最下流側に位置している。ここで、主燃焼帯とは、ごみ層上で火炎を上げて燃えている領域を指している。
前記各ストーカ21,22,23は、固定火格子の間に配設された移動火格子を備え、該移動火格子の往復運動によりごみ(被燃焼物)を投入した後、該ごみをストーカ21で乾燥し、ストーカ22で主燃焼を行い、最後にストーカ23でおき燃焼を行うものである。なお、この実施形態では前記主燃焼帯ストーカ22は3個であるが、1個または複数個設けられていればよい。8は灰捕集槽である。
また、前記ストーカ21,22,23の上方には一次燃焼室3が設けられ、さらにその上方には二次燃焼室4が設けられている。
19a,19bは二次燃焼室4に臨んで設置された再循環ガス吹出しノズルである。また、81は二次燃焼室4の排気ガス出口に接続されるボイラである。
30は一次空気主管5から分岐されて再循環ファン13の上流部位である吸入通路31に接続される混入空気通路、30aは混入空気通路30を開閉する開閉弁であり、当該開閉弁30aを開くと、一次空気主管5からの一次空気が混入空気通路30を通って吸入通路31の再循環ファン13の入口に投入され、前記再循環ガスに一次空気を混合して再循環ファン13に導入されるようになっている。
60は再循環ガスと空気との混合ガスの温度を計測する温度計測器、61は開閉弁7、開閉弁013、開閉弁30aの開閉を制御する制御装置である。該制御装置61は、温度計測器60で計測した温度が設定温度になるように開閉弁7、開閉弁013、開閉弁30aの開度を自動的に調整するように設定されており、これによって、混入空気通路30を流れる一次空気の流量が調整され、再循環ファン13に導入される再循環ガスの燃焼排ガスと一次空気との混合割合を調整するように構成されている。
なお、この実施形態では、再循環ファン13の入口の再循環ガスに一次空気を混合して再循環ファン13に導入するように構成したが、当該一次空気に代えて二次燃焼室4内に噴出される二次空気あるいは外部からの空気を再循環ガスに混合して再循環ファン13に導入するように構成してもよい。
これにより、従来技術のような燃焼室内から抜き出した燃焼排ガス(再循環ガス)を冷却し降温させるための熱交換器は不要となり、燃焼排ガス再循環系の構造を簡単化するとともに構成機器数を減らし、ごみ焼却設備の装置コストを低減させることができる。
また、再循環ガスに一次空気からなる空気を混合しているため、空気混合用のファンやダクトを新たに設置する必要が無く、構成がさらに簡略になる。
従って、本発明の第1実施形態のストーカ式焼却炉2及びその運転方法によれば、再循環ファン13の温度が低下して再循環ファン13の熱応力が小さくなるとともに、前記のように腐食成分が低減された再循環ガスを再循環ファン13に導入することにより、再循環ファン13の腐食を抑制することができる。これにより、高価な耐熱材料を使用することなく低コスト化した再循環ファン13が得られ、所要の耐久性及び寿命を維持することができる。
特に、再循環ファン13の上流部位に設置した温度計測器60にて混合ガス温度を監視し、その混合ガス温度が400℃以下になるように前記再循環ガスと空気の割合を制御することで、当該再循環ファン13を長期間運用するに十分の低熱応力となり、さらに、再循環ガスの高温状態ではガス状態にあるナトリウム塩等の低融点物質の融点が概略700℃であることから、前記低融点物質を完全に固化できることになり、低融点物質の当該再循環ファン13への付着、腐食を回避できる。
この作用を具体的に説明する。通常運転状態では、制御装置61の混合ガス温度は400℃以下に設定されており、温度計測器60で計測された温度が設定温度以下になるよう、開閉弁7、開閉弁013、開閉弁30aが設定されている。この状態では、燃焼に寄与しなかった一次燃焼室3の炉内ガスの一部が混合空気と混合され、二次空気として炉内へ再投入されるため、新規に投入する二次空気量が削減された低空気比運転を実現している状態である。さらに、二次空気に低酸素濃度の炉内ガスが含まれているため、緩慢燃焼による低NOx運転が実現している状態でもある。再循環ガス温度が高くなり、温度計測器60で計測される混合ガス温度が制御装置61の設定温度を超える場合、開閉弁30aを開いて空気量を多くするか、開閉弁013を閉めることで再循環ガス量を減らすか、または、その両方の手段を採ることで、混合ガス温度を下げる。その際、開閉弁30aを開くことで一次空気が減少するため、開閉弁7を開くことで一次空気量を一定に保つ。この作用により、混合ガス温度を常に400℃以下に保つことが可能になり、これにより、当該再循環ファン13を長期にわたり運用できるとともに、低融点物質の再循環ファン13への付着、腐食を回避できる。
図2は本発明の第2実施形態に係るストーカ式焼却炉の構成図である。
この第2実施形態においては、前記第1実施形態の構成に付加して、再循環通路16に除塵装置の一例としてサイクロン12が設置され、該サイクロン12の出口と再循環ファン13とを接続する吸入通路12aに、一次空気主管5から分岐された混入空気通路30が接続されている。
すなわち、本発明の第2実施形態においては、再循環通路16からサイクロン12に導入された燃焼排ガスからなる再循環ガスを、サイクロン12にて公知の手段で当該再循環ガス中の塵類を除去した後、混入空気通路30からの一次空気を当該再循環ガスと混合させて、再循環ファン13に導入するようになっている。
その他の構成は前記第1実施形態(図1)と同様であり、これと同一の部材は同一の符号を付して説明を省略する。
図3は本発明の第3実施形態に係るストーカ式焼却炉の構成図である。
この第3実施形態においては、前記第1実施形態に付加して、再循環通路16にサイクロン12が設置され、該サイクロン12の入口通路14が再循環通路16に接続され、該入口通路14に、一次空気主管5から分岐された混入空気通路30が接続されている。
すなわち、本発明の第3施形態においては、再循環通路16からサイクロン12に導入する前の再循環ガスに、混入空気通路30からの一次空気を混合してからサイクロン12に導入し、サイクロン12にて公知の手段で当該再循環ガス中の塵類を除去した後、再循環ファン13に導入するようになっている。
その他の構成は前記第1実施形態(図1)あるいは第2実施形態(図2)と同様であり、これと同一の部材は同一の符号を付して説明を省略する。
図4は本発明の第4実施形態に係るストーカ式焼却炉の構成図である。
この第4実施形態において、前記第1実施形態に付加して、再循環通路16にサイクロン12が設置され、該サイクロン12の入口通路14が再循環通路16に接続され、該入口通路14に、一次空気主管5から分岐された混入空気通路30が接続されている構成は前記第3実施形態と同様である。
これに加えて、この第4実施形態においては、二次燃焼室4に臨んで、再循環ガス吹出しノズル19a,19bの上流側に再循環ガス吹出しノズル19c,19dが追設されて再循環通路17,18に接続され、再循環ファン13からの一次空気を混合した再循環ガスを再循環ガス吹出しノズル19a,19b及び再循環ガス吹出しノズル19c,19dの2段位置から二次燃焼室4内に噴出するように構成されている。
なお、前記再循環ガス吹出しノズルは、3段以上設けられていてもよい。
また、本発明の第4実施形態は、前記第1実施形態のように除塵装置を備えないストーカ式焼却設備にも適用可能である。
その他の構成は前記第1実施形態(図1)あるいは第2実施形態(図2)と同様であり、これと同一の部材は同一の符号を付して説明を省略する。
2 ストーカ式焼却炉
3 一次燃焼室
4 二次燃焼室
5 一次空気主管
12 サイクロン除塵装置
12a,31 吸入通路
13 再循環ファン
14 入口通路
15,16,17 再循環通路
19a,19b,19c,19d 再循環ガス吹出しノズル
21 乾燥帯ストーカ
22 主燃焼帯ストーカ
23 おき燃焼帯ストーカ
30 混入空気通路
40 再循環ガス抜出し口
51,52,53 一次空気管
60 温度計測器
61 制御装置
Claims (3)
- 被燃焼物が投入されるストーカの下方より一次空気を導入し、該ストーカ上方の燃焼室で一次燃焼を行った後、該燃焼室の上方部位で二次燃焼を行うとともに、前記燃焼室内の燃焼排ガスの一部を炉内へ再循環ガスとしてファンにより再循環通路を通して再循環せしめる際に、前記再循環通路の前記ファンの上流部位において前記再循環ガスに空気を混合し、この混合ガスを前記燃焼室に還流するようにしたストーカ式焼却炉の運転方法において、前記再循環通路の前記ファンの上流部位に前記混合ガスの温度を計測する計測器を設置し、前記混合ガスの温度が400℃以下になるように前記再循環ガスと空気の割合を制御することを特徴とするストーカ式焼却炉の運転方法。
- 被燃焼物が投入されるストーカの下方より一次空気を導入し、該ストーカ上方の燃焼室で一次燃焼を行った後、該燃焼室の上方部位で二次燃焼を行うとともに、前記燃焼室内の燃焼排ガスの一部を炉内へ再循環ガスとしてファンにより再循環通路を通して再循環せしめる際に、前記再循環通路の前記ファンの上流部位において前記再循環ガスに空気を混合し、この混合ガスを前記燃焼室に還流するようにしたストーカ式焼却炉の運転方法において、前記再循環通路の前記ファンの上流部位に除塵装置を備え、前記再循環通路の前記除塵装置の上流部位において前記再循環ガスに空気を混合することを特徴とするストーカ式焼却炉の運転方法。
- 前記空気を混合した再循環ガスを、前記燃焼室の上流部位の燃焼排ガス流動方向の複数箇所に導入することを特徴とする請求項1または2に記載のストーカ式焼却炉の運転方法。
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