JP4235284B2 - パターン検査装置およびその方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子線または光などを用いて半導体ウェハ、TFT、ホトマスクなどの対象物の物理的性質を現した画像を得、その画像を用いて対象物の欠陥を検査するパターン検査装置およびその方法に係り、特に、複数の検出光学系によって検査を高速に行うようにしたパターン検査技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、試料表面に形成されたパターンの検査においては、光学式顕微鏡あるいは電子顕微鏡などを応用して、パターンの画像を検出し、これらの画像を処理することにより、その表面の欠陥を検出する方法が用いられている。
【0003】
今日の半導体集積回路装置の高集積化に伴い、半導体ウェハ上に形成される回路パターンは急速に微細化している。このため、回路パターンの検査手段として、従来から用いられている光学式の検査装置に加え、原理的に分解能が高く、また電気的な性質の違いを画像として得ることができることから、走査型電子顕微鏡(以下、SEMと称する)を用いる必要性が高まってきている。
【0004】
これに関連する技術としては、例えば、特開平5−258703号公報には、エックス線マスクやこれと同等の導電性基板に形成されたパターンを、SEMを使用して検査する方法とそのシステムが開示されている。
【0005】
また、特開昭59−160948号公報には、電子線を一方向に走査し、半導体ウェハを設置したステージをこれとは垂直な方向に連続的に移動させて、SEM像を生成し、これを用いて高速に回路パターンの検査を行う手法が開示されている。
【0006】
さらに、特開昭63−218803号公報には、像取得時の半導体ウェハへの電子線照射時間を精密に制御して、半導体ウェハのチャージアップや階調ドリフトが像質に与える影響を低減し、検査に用いるSEM像の信頼性および感度を向上させる手法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
今日の半導体集積回路装置の製造技術分野においては、上述したような回路パターンの微細化と歩調を合わせて、半導体ウェハの大型化が進展している。したがって、回路パターンの検査には、より高い分解能で、より広い領域を検査することが要求されている。このためには、検査の高速化が必須である。
【0008】
上述したように、特開昭59−160948号公報には、電子線走査とステージの連続移動を併用することにより、SEM像を用いた回路パターン検査を高速化する手法が開示されている。しかし、このような高速化手法を講じても、現在半導体集積回路装置の製造に用いられている8インチウェハの全面検査の所要時間は、光学式検査装置が数分〜数十分であるのに対し、SEM式では数十時間を必要としている。今後さらに大型の12インチウェハが本格的に利用されるようになることは確実であり、現状の検査速度では対応が非常に困難になると見込まれる。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、被非検査物の表面を複数の検査領域に分割し、これらを複数の検出光学系を用いて同時に検査することで、検査の高速化を図ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記した目的を達成するため、複数の電子光学系および画像処理系を利用する。検査領域を複数に分け、それぞれの領域毎に電子光学系を配置し、これらから同時にSEM像を生成して、処理すれば、電子光学系の数に応じて検査時間の短縮が可能となることは、容易に想像できる。しかし、複数の電子光学系を用いる場合には、単独の電子光学系を用いる場合にはなかった新たな問題が発生するため、実際にはこれを解決しなければ、複数の電子線を利用してもその利点を活かすことができない。この問題とは、使用する複数の検出光学系の特性の違いにより生じる検査感度のばらつきである。特に、SEM式の検査装置においては、主に電子銃の特性によって、分解能などの検出画像の特性が決まるが、画像を用いた検査装置においては、この像質の良否によって検査性能が左右される。したがって、複数の電子光学系を用いた検査装置の実現のためには、これら複数の検出光学系の特性を揃える必要がある。しかし、完全に特性の揃った電子源や検出器を製作することは困難であり、また、これらの性能は各々の光軸調整などによっても変化するため、複数の電子光学系の特性を同程度に保つことは困難となる。製作後の選別などにより、ある程度特性の揃ったものを使用したとしても、電子源は消耗品であり、交換時にはまた特性の異なるものを使用することとなる。
【0011】
本発明では、この複数の電子光学系間の感度ばらつきの問題を、画像処理パラメータの調整や、検査結果のフィルタリング処理によって、抑えることにより解決する。
【0012】
また、このような検出光学系の特性差によって性能のばらつきを生じるのは、電子光学系の場合に限らない。光学式の検査装置においても、検出レンズ歪みなどの違いにより、欠陥検出性能にばらつきを生じる。このため、同様に複数の検出光学系を導入した検査装置を構成する場合には、本発明により感度ばらつきを抑制することができるが、本発明は、分解能が高く、画像生成に時間がかかる、SEM式の装置において特に大きな効果をもたらす。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の1実施形態に係る検査装置の全体概略構成図で、本実施形態は、検出光学系をN組持つSEM式の自動検査装置となっている。
【0014】
図1において、1はSEM部で、このSEM部1は、電界放出型電子源を含む電子発生装置2と、静電偏向系を含む走査装置3と、静電レンズ系を含む収束装置4と、半導体検出器を含む検出装置5とから構成される。SEM部1は、N組(図1の例ではN=2)備えられており、その各々より収束された電子線6が試料7に照射される。試料7は連続移動可能なステージ8上に保持されており、電子線6の走査とステージ8の移動との組み合わせにより、試料7表面の2次電子画像を得ることができる。ステージ8は試料7を平面内で移動させることができる。
【0015】
得られた2次電子画像信号9は、A/D変換器10によりディジタル信号に変換された後、画像処理部11へ入力される。画像処理部11は、SEM部1により取得した2次電子画像を処理することにより、欠陥検出および像質の評価を行う機能を有している。この画像処理部11は、SEM部1と同じN組備えられており、それぞれのSEM部から入力される2次電子画像を同時に処理する機能を有している。
【0016】
N組のSEM部1および画像処理部11により得られた画像処理結果は、全体制御部12へと入力される。全体制御部12は、ステージ制御装置13、走査制御装置14および焦点制御装置15を統括制御しており、これらを用いて最適な条件で2次電子画像を入力する機能を有している。また、本自動検査装置は、全体制御部12に接続されて、ユーザからの指示を受けるための入力装置16、装置の状態や検査結果などを表示する表示手段17および記憶装置18を備えている。全体制御部12は、各部を制御して2次電子画像入力を行う他に、N組のSEM部1および画像処理部11から得られる欠陥検出結果あるいは像質評価結果を用いて、得られる検査性能あるいはレビュー時の画像の質が、各々のSEM部1により異なることのないように調整する機能を備えている。この調整機能の詳細については後述する。
【0017】
次に、本実施形態による画像取得方法の1例について、図2および図3を用いて説明する。
【0018】
図2は、図1の装置構成の一部を拡大し、3次元で表示したものであるが、ここではSEM部1の数が、N=4の場合の配置例を示している。図2に示すように、試料7はステージ8上に保持されており、ステージ8は直交する2軸の方向への移動が可能である。このステージ8の移動と電子線6の走査の組み合わせにより、高速な画像入力を実現する。
【0019】
検査時は電子線6は一方向に走査される。この電子線の走査方向と垂直な移動方向を連続移動方向、電子線6の走査方向と平行な移動方向を送り方向と称する。また、これに対応してステージ8を連続移動ステージ20と送りステージ21とに分ける。ステージ8の移動はステージ制御装置13により制御され、ステージの移動量は図1に示した測長器19により検出され、そのステージ移動量に応じて電子線の位置を制御し、ステージの速度変動に対応した電子線走査が可能である。検査時は、連続移動ステージ20により連続移動方向に移動して、各SEM部に割り当てられた検査領域の端まで画像を取得し、次に走査幅に対応する分だけ送りステージ21を送り、折り返し連続移動を行い、先ほどの隣の走査幅の範囲内の画像を取得していく。以後、このSEM部をSi(i=1,2,……,N)として説明する。
【0020】
図3は、試料7のウェハ上面から見たSEM部の配置の1例と、各々のSEM部の検査領域を示している。図3に示すように、これら4組のSEM部は、D/2の間隔で並べられている(Dはウェハ直径、図3中のD’は直径Dからウェハのオリフラ分を差し引いたものであるが、ノッチの場合はDで良い。簡単のためここではDで説明する)。
【0021】
図3のように各SEM部1を配置すれば、各SEM部1による検査領域は、単一のSEM部を用いて検査を行う場合の4分の1になり、ステージに必要なストロークは2分の1となる。各々のSEM部1は対応する画像処理部11を持ち、4組のSEM部により得られる画像信号9は同時に処理されるため、検査に必要な時間は単一のSEM部1および画像処理部11を用いる場合の4分の1となり、検査の高速化が実現できる。
【0022】
同様に、N組の検出光学系および画像処理系を用いれば、検査に必要な時間を約N分の1に低減することが可能となる。以後、この検査領域をSEM部に対応させて、Ri(i=1,2,……,N)として説明する。ここで、図1および図2では、各検出光学系に1つずつ画像処理部が配置されているが、画像検出の速度に対して十分に早い処理が可能であれば、画像処理部は必ずしも1つずつは必要ない。
【0023】
本発明が解決する課題について、図4を用いて説明する。図4は、図2、図3と同様に、SEM部がN=4組の場合の例である。図3に示したように、4組のSEM部の検査領域が分割されているとき、これらSEM部の特性が互いに異なると、次のような問題が生じる。
【0024】
本発明の自動検査装置のように、検査対象物の画像を用いて検査を行う場合には、検査性能はその画像の質に大きく依存する。ここで像質とは、分解能や歪み、S/Nなどのことであり、それぞれの検出光学系の特性により違いが生じる。したがって、図2、3に示したように4組のSEM部を持つ自動検査装置により、試料表面の領域を分割して検査を行うと、各々のSEM部の特性のばらつきにより、検査領域毎に検査感度が異なることとなる。
【0025】
図4にその1例を示す。図4の菱形は検出された欠陥22を示しており、その大きさは欠陥の面積を示している。各々のSEM部の特性が異なると、図4に示すように、検出できる欠陥数やサイズも領域毎に異なってしまう。領域R1では非常に多く、また小さい欠陥も検出されているのに対し、領域R2では大きな欠陥のみしか検出されていない。このようになる所以は、存在する欠陥が検出されない現象や、実際には欠陥が存在しないのに欠陥として出力される(虚報)といった問題が生じているためであり、上記したごとく検出光学系の特性の違いにより生じる。像質と欠陥検出結果との関係については後述する。このように複数の検出光学系を同時に用いる場合には、それらの特性の違いを考慮してやらなければ、安定な検査結果が得られなくなってしまうのである。
【0026】
次に、画像を用いたパターン検査方法の1例について簡単に説明し、像質が欠陥検出性能に与える影響について説明する。半導体装置のウェハ上には、チップあるいはセルといった単位で繰り返し形成されたパターンがあり、これらの繰り返しパターンの実画像を比較し、その差から欠陥を検出する手法が多く用いられている。
【0027】
図5に欠陥検出手法の1例を示す。図5中のa)、b)に示すような試料7表面の画像を、SEM部1により取得する。これら2枚の画像は、検査位置における検査部画像23と、その近傍にある同様のパターンの画像(比較画像24)である。これらの濃淡画像を比較し、それらの差から欠陥画像25を取得する。欠陥画像出力26のうち、しきい値(Th)27を用いて、出力がしきい値27を超えた部分を欠陥22とする。このようにして、2枚の画像の違いを欠陥として検出することができる。ここで、しきい値27は、欠陥部出力28よりも大きい値を設定すると欠陥が検出できず、ノイズ29よりも小さい値を設定すると虚報を発生することとなる。欠陥部出力28としきい値27の差であるマージン30が大きいほど安定な検査が可能であり、このようなしきい値27を設定してやる必要がある。通常、この検査時のしきい値27は実際に検査を試してみて、操作者が所望の感度になるよう設定する。
【0028】
しかし、上記のような欠陥画像出力26は、検出光学系の特性により変化する。検出信号量が少なく、十分なコントラストの検査画像23が得られなければ、欠陥部出力28を十分に得ることができない。また、検査画像23の分解能が悪ければ、欠陥部出力も鈍ってしまう。これに対し、S/Nが悪い画像では、ノイズ29のレベルが上がってしまい、しきい値27を大きく取らざるをえなくなってしまう。また、比較する画像間で異なる歪みを有する場合には、正常部の異なる場所を比較してしまうため、正常部であるにもかかわらず、欠陥画像出力が大きくなってしまう。このため、本発明の自動検査装置では、各検出光学系毎にその特性に応じたしきい値を決定しなければ、図4の例で示したような領域毎に検査感度が異なる問題が生じてしまうのである。しかし、複数の検出光学系の検査感度をそれぞれ人手により調整するのは、非常に困難な上、多くの時間を要する。そこで、本発明ではこれらの検出光学系の特性を評価し、その評価結果を用いて安定な検査感度を得る手法を提供する。
【0029】
以下に、検出光学系の違いにより生じる検査感度のばらつきを低減する手法について説明する。
【0030】
検出光学系の違いにより生じる、画像の明るさおよびノイズの評価方法と、その結果を用いた画像の補正方法の例について、図6、図7、図8、図9を用いて説明する。ここでは、簡単のため検出光学系N=2組の場合について説明するが、検出光学系の数が増えても方法は全く同じである。なお、異なる検出光学系間で同程度の欠陥検出性能を得るためには、検出画像の明るさは必ずしも同じである必要はないが、目視確認のための検査画像の表示などでは、同じパターンは同じ明るさで表示されなければ、操作者の混乱を招くこととなるため、同じ明るさであることが望ましい。
【0031】
SEM式の検査装置の場合、検出される画像の明るさは、試料表面の2次電子放出効率のみではなく、照射電子線の電流量や検出器の捕捉効率、検出系の回路のゲインなど、様々な要因により決定される。また同様に、検出される画像信号9に含まれるノイズの大きさも、電子源のノイズや伝送系のノイズなどに依存するため、加算的なものや乗算的なものなど様々である。
【0032】
上記の、検出光学系の違いによる明るさおよびノイズの違いを評価する簡単な方法について、図6を用いて説明する。画像の明るさの違いを評価するためには、同じ試料表面の画像を検出し、その画像信号9の明るさを評価すればよい。
【0033】
そこで、パターンの無いシリコンウェハなどを試料として用いて、その画像を取得すると、図6のa)のようなヒストグラムが得られる。各検出光学系についても、同様にヒストグラムを得ることができる。ここでは、図6のa)、c)をSEM部S1による処理内容、図6のb)、d)をSEM部S2による処理内容として説明する。パターンが無く表面が均一な試料を用いれば、検出される画像信号の値は一様となるはずであるが、実際にはノイズによるばらつきを含むこととなる。図6のa)、b)に示すように、SEM部S1とS2では検出される画像の明るさとばらつきが異なる。この明るさをSEM部S1とS2で同じにするために、それぞれの入力画像の平均値と暗レベルの値(電子線照射無しの場合の検出値)を用いて、図6のc)、d)に示すような階調変換を行えば良い。すなわち、
I0(Ii)=(Ii−di)*(m0−d0)/(mi−di)+d0
(i=1,2,……,N) (1)式
上記(1)式により階調変換を行えば良い。
【0034】
ここで、m0およびd0は、階調変換後の平均値および暗レベルであり、適当な値を決めればよい。例えば、常に基準としてSEM部S1を用いるものとするならば、m0=m1、d0=d1とすればよい。また、S1からSN全ての平均を用いて、m0=Σmi/N、d0=Σdi/Nとしても良い。実際には暗レベルに近い出力レベルを示すサンプルを検査することがないのであれば、暗レベルの値d0は負の値としても良い。広いレンジで画像を検出しておいて、その中で必要な部分のみを階調変換により取り出してデータ量を小さくして処理すれば、明るさの異なる様々な試料に対応することができる(例えば、10ビットで画像検出し、そのうち必要な階調を8ビットに変換して用いる)が、このような場合には、検査対象の試料の明るさに応じて、画像信号の劣化が生じないように適当なm0、d0を決定すればよい。
【0035】
試料表面における2次電子放出効率と検出される画像の明るさが、線形関係である場合には、図6に示した方法で、全ての明るさの試料に対応した階調変換を実現することができるが、前述のように検出される画像の明るさは2次電子放出効率のみでは決まらず、線形である保証はない。この場合、評価に用いた試料と検査対象の試料の2次電子放出効率が大きく異なる場合には、図6の方法では十分な対応ができない場合が考えられる。かような場合の、他の階調変換パラメタ調整方法については後述する。
【0036】
さらに、図5、図6を用いて、ノイズの評価結果を用いた検査感度の調整方法の例について説明する。図6のa)、b)に示したように、明るさが一様な試料の画像を検出しても、ノイズにより検出画像の明るさにばらつきを生じる。このノイズは画像の標準偏差σにより評価し、その評価結果をもとに、各検出光学系により得られる画像でのしきい値を調整する。以下に、手順を説明する。
【0037】
図6の例で示したように、パターンの無い試料の画像を取得し、明るさが同程度となるように階調変換を施す。次に、階調変換後の画像にて、各検出光学系毎に標準偏差σi(i=1,2,……,N)を求める。図5に示したノイズの成分は、この標準偏差σiと同様に変化するため、しきい値Thi(i=1,2,……,N)もこれに応じて変更すればよい。例えば、しきい値を設定したSEM部をSsとして、
Thi=(Ths−dd)*σi/σs + dd (2)式とすれば良い。ここで、ddは人手により設定したしきい値とノイズの最大値の差であり、しきい値設定時に測定するか、あるいは経験的に適当な値を与えてやればよい。
【0038】
(2)式の方法を用いれば、各検出光学系のノイズレベルに応じたしきい値の設定が可能となるが、各々の検出光学系によりしきい値の値が異なると、検査感度も検出光学系毎に異なってしまうおそれがある。そこで、(2)式の代わりに次の(3)式を用いて、全ての検出光学系における検査しきい値を同じものにしてやれば良い。
Thi=(Ths−dd)*σMax/σs + dd (3)式
ここで、σMaxは、ノイズ評価結果の最大値σMax=Max(σi)である。ノイズにより欠陥部出力28も変化するため、完全に感度を一致させることはできないが、検出光学系毎の感度ばらつきを低減できる。
【0039】
しかし、このしきい値設定方法についても、図6で示した階調変換の場合と同様に、評価した試料と検査する試料の画像の明るさが大きく異なる場合には、問題が生じる。図7のa)に示すように、通常、画像に含まれるノイズは画像の明るさに対して非線形な特性を持つ。このため、例えば2つのSEM部Ss、Skが、図7のa)に示すようなノイズ特性を持つ場合には、図7のb)に示すように、それらの比Ss/Skは、入力される画像の明るさにより変化することとなる。例えば、標準偏差σによりノイズ評価を行った試料の明るさが図7のb)のIb、検査対象の画像の明るさがIaであったとすると、Iaにおける各検出光学系間のノイズの関係を知ることはできない。
【0040】
この場合の他のしきい値設定方法については後述するが、検査するパターンと同じ材質で構成された一様な領域を用いれば、本方式によりしきい値の設定は可能である。前述の階調変換も同様であるが、ノイズの評価を行うためには100画素程度の画像があれば十分である。このため、半導体装置であれば、周辺回路の比較的パターンの疎な部分から、明るさの一様な適当な領域を切り出して評価すればよい。この評価位置の設定は、操作者がマニュアルで指示してもよいし、また、周辺回路部の画像を処理し領域分割して、その中で検査領域と同程度の明るさの領域を自動的に選択して評価を行ってもよい。
【0041】
なお、実際の標準偏差σを用いるノイズ評価では、階調変換後の画像は量子化により画像の劣化が生じる可能性が高いため、階調変換前の画像で標準偏差σを求め、階調変換の際のゲインを乗じて変換してやればよい。例えば、(1)式の場合は(m0−d0)/(mi−di)を掛ければよい。
【0042】
次に、階調変換のパラメタを調整する別の方法として、実際に検査を行うパターンの画像を用いる例について、図8を用いて説明する。検査対象である試料は、主に下地bとパターンpの2つの異なる材質から構成されており、その画像のヒストグラムは、図8のa)、b)に示すように、それぞれ下地bとパターンpに対応する2つの山を持つものとなる。
【0043】
そこで、図8に示すように、検査対象の画像を用いて、それぞれの検出光学系においてヒストグラムを取得する。これらのヒストグラムの2つの極大値Ibi、Ipiを用いて、図6で示した例と同様に階調変換を行えばよい。つまり、次の(4)式により階調変換を行えばよい。
I0(Ii)=(Ii−Ibi)*(Ip−Ib)/(Ipi−Ibi)
+Ibi (4)式
但し、Ipi>Ibiの場合である。Ipi<Ibiの場合は、IpiとIbiを入れ替える。この場合も図6の例と同様に、IpとIbは適当なものを設定してやればよい。
【0044】
検出光学系に応じて階調変換を行う他の方法について、図9を用いて説明する。図9に示しているのは、像質評価用サンプル31の1例である。図9の例では、それぞれ材質の異なる5つの領域からなるサンプルを示している。それぞれの領域内にはパターンはなく、一様な画像が取得できるようになっており、またその材質は導電性で帯電による像の変化のないものである。この評価用サンプル31を用いて、予め検出光学系毎に階調変換テーブルを作成しておけば、試料交換の度に明るさの評価を行う必要はない。
【0045】
前述の図6および図8の例と同様に、基準のSEM部を選択するか、あるいは全てのSEM部の平均を用いるなどの手段で、はじめに図9に示した各サンプルの基準明るさI0を決定する。同様に、各SEM部において各サンプルの明るさIiを測定し、横軸をI0、縦軸をIiとしてプロットすると、図9のようになる。これらの明るさの関係がどのようになるかは検出系に依存するが、その系に応じて最小自乗近似などの手法を用いて、適当な関数の近似曲線を求める。この曲線を用いれば、SEM部Siにより検出された画像Iiから、基準明るさI0への階調変換を行うことができる。
【0046】
図8の例では、試料を交換する度に各検出光学系により得られた画像の評価が必要であった。しかし、図9の方法であれば、各SEM部に対し同様の曲線をもとめ、一度階調変換テーブルを作成しておけば、部品の交換などにより検出光学系の特性が変更されるまでは、同じテーブルを用いることができる。通常は定期的に評価を行えばよく、また、その変化をモニタしておくことで、検出光学系の異常を発見することもできる。
また、検査対象の試料の画像を取得からその明るさ(例えば平均値)のみを測定できれば、必要な階調を切り出すのも容易である。
【0047】
同様にノイズ評価に関しても、図9に示した評価用サンプル31を用いることで、図7で説明した問題を解決することができる。評価用サンプル31を用いて、図9の明るさの評価と同様に、全ての階調における明るさとノイズの関係(図7)を求め、各SEM部と基準値との標準偏差の比σi/σsを求めることができる。このようにして求めた標準偏差の比σi/σsを、(2)式、(3)式に適用すれば、様々な2次電子放出効率を有する試料に対しても、容易に各検出光学系間のしきい値調整が可能となる。
【0048】
次に、分解能の評価方法と、その結果による検査感度の調整方法の例について説明する。
【0049】
従来、SEMの分解能の評価は、カーボン上に蒸着した金粒子などを人間が目視で評価していたが、本発明の装置では、分解能の絶対値が必要なのではなく、検査に同時に使用する複数のSEM部の分解能の違いを、自動で評価することが重要である。そこで、図10に示すような分解能評価用サンプル32を用いて分解能を評価し、その結果により画像処理パラメタを調整し、複数の検出光学系における感度調整を行う方法について説明する。
【0050】
各SEM部の分解能を評価するために、図10に示すような評価用サンプルを用いる。図10に示すように、コントラストが顕著な試料の境界部の画像を取得する。ビーム径が小さく、分解能がよい程、境界部における画像信号の傾きは急峻となる。このため、この傾きを1次微分を用いてその大きさで評価することができる。また、この1次微分値を見れば、電子線が境界部を走査し始める位置と走査し終わる位置を知ることができる。例えば、図10に示すような1次微分値が描く曲線の半値幅等を電子線のビーム径とすることができる。
【0051】
なお、図10で示した例の他の分解能評価方法としては、微細な縞状のパターンの画像を取得し、その振幅で評価する方法や、2つのスリットあるいはスポット状の近接したパターンの画像を取得し、その分離度を評価するといった方法も考えられる。また、分解能評価用サンプル32で顕著なコントラストを得るためには、その材質は原子番号の差異の大きなもの、例えばタンタルとシリコンなどを選択すればよい。また、図10で示した分解能評価用サンプル32は、図9で示した像質評価用サンプル31の一部分を用いても同様の評価が可能であるので、例えば図9の領域AとBにコントラストが顕著になるような材質を並べて、分解能の評価に使用すればよい。
【0052】
次に、図10の分解能評価用サンプル32を用いて分解能を評価した結果を用いて、検出光学系の分解能の違いによる検査感度のばらつきを抑える方法について説明する。
【0053】
画像処理による欠陥検出を行う場合、ノイズ成分の除去やエッジの強調を目的として、平滑化などの機能をもつフィルタを画像入力時に使用することがある。そこで、先の例により評価した分解能の結果に基づいて、分解能の良い検出光学系の入力画像に、より平滑化の効果の高いフィルタを用いて、それぞれの検出光学系によって得られる画像の分解能がほぼ同じ程度になるように調節することができる。このとき、分解能の悪いものをよくすることはできないので、分解能評価を行い、複数のSEM部のうち最も分解能の悪いものに合わせるよう処理を施す。
【0054】
例えば、図10に示した1次微分の半値幅をビーム径として評価を行い、各々のSEM部のビーム径をdbi(i=1,2,……,N)とし、そのうち最も分解能の悪かったSEM部のビーム径評価結果をdbw(i=w)とする。一般に平滑化のフィルタとして用いられるガウシアンフィルタを用いる場合を考えて、フィルタのパラメタである標準偏差の大きさを変更することで感度の調整を行う。SEM部Siにおける入力フィルタの標準偏差をFiとして、次の(5)式により、他のSEM部のフィルタのパラメタを決定すればよい。
Fi=Fw*dbw/dbi (5)式
ここで、Fwはノイズ除去に十分なフィルタを予め設定しておく。
【0055】
このように、入力フィルタを使用して分解能の調整を行うと、入力フィルタの平滑化の効果により、ノイズの特性が変化してしまう。このため、前述のノイズ評価を行う際には、入力フィルタ通過後の画像を用いて行うか、あるいは、入力フィルタによるノイズ除去の効果は、フィルタ係数の自乗和の平方根で推定することができるため、それを考慮してしきい値を決定すればよい。
【0056】
分解能のばらつきを低減するための他の方法として、検査はそのままの画像で行い、その結果をフィルタリングする方法もある。図5に示したように、画像処理により欠陥を検出することができるが、このとき欠陥の位置のみでなく、その形状や大きさといった情報も同時に得ることができる。そこで、検出された欠陥情報から分解能の悪い光学系の出力に合わせて、分解能の高い光学系により得られた検査結果を欠陥の寸法によりフィルタリングすれば、各光学系の分解能が異なっていても、検出される欠陥の最小寸法つまり検査感度は一定となるため、図4に示したような検査結果のばらつきを抑えることが可能となる。この最小欠陥寸法は操作者が所望の感度に設定すればよいが、その最小値は、装置として、ばらつきがあっても最低限保障されている感度を限度として決めればよい。この場合は特に分解能の評価は必要としないため、明るさやノイズの評価を検査対象である試料を用いて行えば、特別に評価用のサンプルを作成する必要はない。
【0057】
検査手順の概要について説明する。図11は図1の一部を拡大し、画像処理部11の内部を示したものである。
【0058】
像質評価時には、評価用サンプルあるいは検査対象試料の画像信号9を入力し、像質評価部33により評価を行い、像質評価結果34は全体制御部12に渡される。全体制御部12にて、各々のSEM部Siについて同様の評価を行った結果を総合評価し、その結果から各SEM部の処理パラメタを決定する。分解能評価を行い、入力フィルタを変更する場合には、設定するフィルタ係数35を前処理部36に設定する。前処理部36では、入力時のフィルタ処理や、像歪み補正などの処理を行う。処理結果をフィルタリングする場合には、検出する欠陥の最小寸法を出力フィルタ38に設定する。画像の明るさ評価の結果より、各SEM部に適切な階調変換テーブル39を定め、これを階調変換部40に設定する。検査しきい値41は、予め操作者が所望の検査感度が得られるように、どれか一組のSEM部を用いて設定した値をもとに、各SEM部のしきい値をノイズ評価結果を考慮して決定し、欠陥検出部42に設定する。
【0059】
これまでは、像質評価結果のみを用いて検査感度を調整する方法について説明した。次に、実際に検査を行って検査パラメタを最適化する方法について説明する。
【0060】
図3にSEM部が4組の場合の、試料上の検査領域の分割例を挙げたが、図12に示すように、互いのSEM部により検査可能な領域が重なり合うように設定すれば、この共通の領域を用いて検査感度の違いを評価することが可能となる。図12は、R1とR2の共通検査領域43の幅がMの場合を示しており、R3、R4は図示していないが、同様に設定する。すると、図12に細かい斜線で示した領域が、隣り合うSEM部1間で共通な領域となり、中央の領域は全てのSEM部で検査可能な共通検査領域43となる。
【0061】
このような共通検査領域43を持つ場合に、実際に検査を行い、SEM部間の感度を調整する方法について、図13を用いて説明する。
【0062】
前述した方法により像質評価を行い、その結果にもとづいて全てのSEM部の検査パラメタの設定を行う。次に、共通検査領域43の画像を、全てのSEM部にて検出してメモリに保存する。次に、得られた画像を検査して、検出された欠陥情報を比較する。例えば、複数のSEM部により得られた結果の中で、検出位置が一致する欠陥が存在しないものの数をカウントし、その個数def_numがあるしきい値εよりも多い場合には、検査パラメタの微調整を行う。この微調整は、例えば、予め像質評価を行った結果、検査感度が高いと判断されたSEM部に寸法の小さい欠陥が多く出力されていれば、入出力フィルタやしきい値を変更して感度を下げる。予め雑音が多いと評価されていたSEM部の結果に多くの欠陥情報が出力された場合には、虚報の可能性が高いので、しきい値を上げるといった調整を行えばよい。微調整の結果、全てのSEM部による検査感度が同程度になれば、その条件で検査を行う。
【0063】
ここで、共通領域の画像を一度メモリに保存するのは、パラメタの微調整の際に、画像取得のやり直しを避けるためである。これは、全てのSEM部で同一箇所の画像を取得するためには、ステージを大きく動かして順に取得する必要があり、多くの時間を要することと、同じ場所の画像取得を続けて何度も行うと、電子線照射によって試料へダメージを与えるおそれがあるためである。同一箇所の画像検出を複数回行う場合には、その検出順による画質の補正や、光学系により検出順序を変えるといった作業がある方が望ましい。また、図12の例では全てのSEM部の共通検査領域が存在しているが、さらに多くのSEM部を有し、それらが離れている場合には、隣り合うSEM部に共通領域があればそれを用いて互いの検査感度を調整すればよく、必ずしも全てのSEM部の共通領域は必要ではない。
【0064】
図12に示した例のように、一部のみを共通検査領域として設けるのではなく、全てのSEM部で試料ウェハ全体を検査可能とすることもできる。この場合は、SEM部を複数にしてもステージの移動範囲を低減することはできないが、他の利点がある。例えば、複数のSEM部のうちの1つが電子銃の寿命等で使用できなくなった場合に、その交換作業中の待ち時間にも他のSEM部を用いて検査を実施しておくことができる。
【0065】
例えば図14に示すように、像質評価結果あるいは検査結果などから、例えば信号量が急激に低下したといった異常を検知することができる。このような異常が検知されると、SEM部Seの異常を操作者へ知らせ、現象によって疑わしい部分を表示し、修理の依頼を促す。このとき、単一のSEM部しか持たない検査装置では、依頼によりサービスエンジニアが修理に来るまでの間、検査ができなくなってしまう。しかし、複数のSEM部を持ち、かつ、1つのSEM部で全ての領域を検査する機能を有していれば、修理の必要なSEM部Seの代わりに、他のSEM部を用いて検査を行うことができる。同様に、部品の交換などで、SEM部の一部を取り外し交換作業する場合にも、取り外して修理している間も、他のSEM部で検査を行うことができる。
【0066】
図20に示すように、真空試料室49および各SEM部のそれぞれは、真空排気系50を有しており、かつ、各SEM部と真空試料室の間には、真空遮断可能な開閉部51が設けられている。SEM部に故障等の不具合が起きた場合には、不具合の起きたSEM部のみを試料室から遮断し、必要に応じて修理あるいは交換を行うことが可能である。図14では、電子源交換の例を示している。耐熱部材や磁気シールドなどを用いて装置を構成し、SEM部のベーキング中も、他のSEM部に影響を与えないようにできれば、非常に長時間を要する電子源交換後のベーキングの間にも、検査を実施することができる。例えば、図20に示すように、ベーキング中のSEM部が他へ影響を与えないようなカバー52を取り付ければよい。
【0067】
このように、それぞれのSEM部が試料全体を検査可能であれば、部品交換や修理の際の装置の占有時間を少なくすることができる。また、図14の例で示したように、像質評価を定期的に行い、その変化をモニタしておくことで、装置の異常をモニタする機能を持たせることもできるのである。SEM部1内の部品交換や調整などを行うと、その特性が変化するため、再度必ず像質評価を行い、検査パラメタを自動で再調整するか、または操作者に再調整が必要であることを指示する。
【0068】
次に、像質評価の別の例として、像歪みの評価を行う例を図15を用いて説明する。前述のように、比較する画像間で異なる像歪みが生じている場合には、虚報の原因となる。そこで、像歪みを評価し、その結果を画像処理に反映させる。
【0069】
像歪みの評価は、図15に示すように、同じパターンの繰り返しの画像を用いて行う。検査対象パターンあるいは評価用に作成したパターンの中から、図15に示すように適当なテンプレートを選択し、一般によく知られたテンプレートマッチングなどの手法により、そのピッチの変化を測定する。本来一定であるはずのピッチのばらつきが像歪みであり、これが大きいと虚報の原因となる。定期的に評価を行い、この歪みが定常的なものであれば、図11の前処理部にその歪み評価結果を与え、補正を行う。また、図14に示した例と同様に、像歪みも定期的にモニタし続け、これが許容値を超えた場合には、操作者に警告を与えるようにする。像歪みは電子線の光路途中にコンタミなどで汚れが生じると、その帯電などにより電子線が曲げられることがあるため、像歪みが大きくなって、問題が生じていないか確認する必要があるからである。
【0070】
次に、図9あるいは図10に示したような像質評価用サンプルの配置について説明する。
【0071】
像質評価用のパターンを検査対象の試料と同様にウェハ上に形成すれば、ウェハの交換により像質の評価を行うことができる。また、試料を保持するステージ上に作成することもできる。例えば、図16のように、SEM部の間隔と同じ間隔で評価用サンプル44を配置しておけば、P1とP2およびP3とP4は同時に評価が可能となる。ステージの可動範囲が十分広い場合には、評価用サンプルは1つあればよく、ステージを移動して像を取得すればよい。
【0072】
また、像質評価用の異なるサンプルの例を図17に示す。図9あるいは図10のサンプルでは、検査感度までは評価することができず、実際の試料7を検査して調整を行ったが、図17に示すように、予め寸法の明らかな欠陥を作り込んだ、感度評価用サンプル45を作成すれば、それを用いて検査を実施することで、感度評価も行える。
【0073】
次に、本発明による効果について図18を用いて説明する。本発明では、検査の高速化を実現すると共に、検査に必要な移動ステージの移動範囲を小さくすることが可能となる。
【0074】
図18のa)に示すように、従来通常の、単一の検出光学系しか持たない装置46では、ウェハ全面を検査するために、2軸のステージは共にウェハの直径Dよりも大きな可動範囲を備えていなければならない。しかし、例えば図18のb)に示すように、3組の検出光学系を配置すれば、検査時に必要なステージの移動範囲は、ウェハの直径Dの3分の1となる。このように、ステージ移動の軸方向にN組の検出光学系をD/Nの間隔で配置すれば、検査時に必要なステージの移動量をN分の1に低減することができる。
【0075】
一般に、ステージ移動量の検出はレーザ干渉計などを用いて行うが、移動範囲を小さくできれば、このようなステージ移動量検出においても、その精度を確保することが比較的容易になるという利点がある。さらに大きな利点として、装置を小型化可能である点が挙げられる。図18のa)に示すように通常の単一の検出光学系を用いる場合には、ウェハ移動ステージはウェハ径Dの2倍以上の寸法を必要とする。これに対し、図18のb)に示すように複数の検出光学系を用いることにより、ステージの移動量を小さくすることができれば、ステージの寸法も小さくすることが可能となり、その結果、検査装置の占有床面積を小さくすることができる。
【0076】
最後に、本発明の像質評価結果を用いた検査パラメタの調整機能の応用例について、図19を用いて説明する。
【0077】
例えば、同じ製造ライン上で使われている複数のSEM式検査装置48に対しても、複数のSEM部を調整する場合と同様にパラメタを調整すれば、検査装置間の機差を低減することができる。図19に示す例のように、装置間がネットワークでつながれていれば、データのやりとりは容易にできる。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の検出光学系の検査感度が同程度になるように、検査パラメタを調整することができる。これを複数の検出光学系を持つ検査装置に適用することにより、非検査物の表面を複数の検査領域に分割し、これらを同時に検査することで、従来困難であった電子線式検査装置の高速化を図ることが可能となる。これは、今後大口径化の進む半導体ウェハの検査に対して非常に有効である。また、検査領域を分割することにより、各々の検査領域が小さくなり、試料移動用のステージの移動範囲を小さくすることができ、装置の占有床面積を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態に係る検査装置の概略構成図である。
【図2】図1の検査装置における要部を斜視して示す図である。
【図3】本発明の実施形態における各SEM部の検査領域の1例を示す図である。
【図4】4組のSEM部の特性が異なる場合に生じる問題を説明するための図である。
【図5】欠陥検出方法の1例を説明するための図である。
【図6】検出光学系の明るさ評価および階調変換の方法を説明するための図である。
【図7】検出光学系毎のノイズ特性の違いに対応する方法の1例を説明するための図である。
【図8】図6とは異なる、検出光学系の明るさ評価および階調変換の方法を説明するための図である。
【図9】明るさおよびノイズ評価用のサンプルの1例を示す図である。
【図10】分解能評価用のサンプルの1例を示す図である
【図11】像質評価結果を用いた画像処理パラメタ設定手順の1例を説明するための図である。
【図12】複数の検出光学系の検査領域の設定方法の1例を示す図である。
【図13】複数の検出光学系における検査感度を調整する手順の1例を示す図である。
【図14】検出光学系の異常時の対処方法の1例を示す図である。
【図15】像歪みの評価方法の1例を説明するための図である。
【図16】像質評価用サンプルの配置方法の1例を示す図である。
【図17】感度評価用サンプルの1例を示す図である。
【図18】本発明により検査装置の占有床面積を低減できることを説明するための図である。
【図19】複数の検査装置の感度調整を行う方法を説明するための図である。
【図20】検出光学系の異常時に施す修理あるいは交換方法の1例を説明するための図である。
【符号の説明】
1 SEM(走査型電子顕微鏡)部
2 電子線発生装置
3 走査装置
4 収束装置
5 検出装置
6 電子線
7 試料
8 ステージ
9 画像信号
10 A/D変換器
11 画像処理部
12 全体制御部
13 ステージ制御装置
14 走査制御装置
15 焦点制御装置
16 入力装置
17 表示手段
18 記憶装置
19 測長器
20 連続移動ステージ
21 送りステージ
22 欠陥(検査結果)
23 検査部画像
24 比較画像
25 欠陥画像
26 欠陥画像出力
27 しきい値
28 欠陥部出力
29 ノイズ
30 マージン
31 像質評価用サンプル
32 分解能評価用サンプル
33 像質評価部
34 像質評価結果
35 フィルタ係数
36 前処理部
37 最小欠陥寸法設定値
38 出力フィルタ
39 階調変換テーブル
40 階調変換部
41 検査しきい値
42 欠陥検出部
43 共通検査領域
44 像質評価用サンプル
45 感度評価用サンプル
46 単一のSEM部を持つ検査装置
47 3組のSEM部を持つ検査装置
48 SEM式検査装置
49 真空試料室
50 真空排気系
51 開閉部
52 カバー

Claims (13)

  1. 対象物上複数の領域に区分され、該領域毎に設けられて該対象物の割り当てられた該領域の表面の物理的性質を現した画像を検出する複数の検出光学系と、
    該各々の検出光学系により検出された画像信号を処理可能な画像処理部と、
    対象物を保持し移動可能なステージと、
    上記検出光学系により得られる画像の質としての検出信号量,分解能,検出信号の雑音,画像歪みのうち少なくとも1つ以上を定量的に評価する像質評価手段と、
    該像質評価手段による像質評価結果にもとづいて、複数の上記検出光学系間の特性の違いにより生ずる検査感度のばらつきを低減させるように画像を平滑化するためのフィルタのパラメータを調整する画像処理パラメータ調整手段
    を有することを特徴とするパターン検査装置。
  2. 請求項1記載において、
    隣り合って配置される2つの前記検出光学系が、少なくとも1箇所以上の共通な検査領域を有することを特徴とするパターン検査装置。
  3. 請求項記載において、
    前記隣り合って配置される2つの前記検出光学系による前記共通な検査領域の検出画像の像質あるいは検査結果あるいはその両方にもとづいて、2つの前記検出光学系の検査感度が同程度となる前記フィルタのパラメータを決定することを特徴とするパターン検査装置。
  4. 請求項1記載において、
    複数の前記検出光学系全てが、被検査領域全体、あるいは、被検査領域全体と像質評価用試料の画像検出が可能なことを特徴とするパターン検査装置。
  5. 請求項1記載において、
    複数の前記検出光学系のうち、1つ以上の任意の検出光学系を選択して使用することにより、被検査領域全体の検査が可能なことを特徴とするパターン検査装置。
  6. 請求項1記載において、
    前記した像質評価結果により装置の不具合を検知する手段と、該不具合を操作者に提示する手段とを有することを特徴とするパターン検査装置。
  7. 請求項1記載において、
    複数の前記検出光学系が、電子光学系であることを特徴とするパターン検査装置。
  8. 対象物上複数の領域に区分され、該領域毎に設けられた複数の検出光学系にて該対象物の表面の物理的性質を現した画像を検出し、
    複数の検出光学系により得られる画像の質としての検出信号量,分解能,検出信号の雑音,画像歪みのうち少なくとも1つ以上を定量的に評価して、この画像の質を定量的に評価した結果にもとづいて複数の上記検出光学系間の特性の違いにより生ずる検査感度のばらつきを低減させるように画像を平滑化するためのフィルタのパラメータを調整し、
    このパラメータが調整されたフィルタを用いて複数の上記検出光学系により検出された検出感度のばらつきが低減された画像信号を同時に処理する
    ことを特徴とするパターン検査方法。
  9. 請求項記載において、
    隣り合って配置される2つの前記検出光学系が、少なくとも1箇所以上の共通な検査領域を有することを特徴とするパターン検査方法。
  10. 請求項記載において、
    複数の前記検出光学系全てが、被検査領域全体、あるいは、被検査領域全体と像質評価用試料の画像検出が可能なことを特徴とするパターン検査方法。
  11. 請求項記載において、
    複数の前記検出光学系のうち、1つ以上の任意の検出光学系を選択して使用することにより、被検査領域全体の検査が可能なことを特徴とするパターン検査方法。
  12. 請求項記載において、
    前記した像質評価結果により装置の不具合を検知し、該検知した不具合を操作者に提示 するようにしたことを特徴とするパターン検査方法。
  13. 請求項記載において、
    複数の前記検出光学系が、電子光学系であることを特徴とするパターン検査方法。
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