JP4232199B2 - カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物の製造方法、当該変性物、当該硬化性組成物および当該有機−無機ハイブリッド硬化物 - Google Patents

カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物の製造方法、当該変性物、当該硬化性組成物および当該有機−無機ハイブリッド硬化物 Download PDF

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Description

本発明はカルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物の製造方法、当該変性物、当該硬化性組成物および当該有機−無機ハイブリッド硬化物に関する。本発明の当該変性物や当該硬化性組成物から得られる有機−無機ハイブリッド硬化物は、透明性、密着性、耐熱性、耐薬品性に優れるため、塗料や接着剤、シーリング剤、プリント配線基板材料、IC封止材、絶縁シール剤等として利用でき、特に発光素子、受光素子、光電変換素子、光伝送関連部品、導光板、偏光フィルム、液晶パネル、OHPフィルム、光ファイバー、液晶画面のコーティング剤、カラーフィルターの保護コート剤、光ディスク基板、プラスチックレンズ、非球形レンズ、ピックアップレンズ、プリズム、液晶画面のコーティング剤、カラーフィルターの保護コート剤等光学部品の構成材料として有用である。
近年、光学部品の軽量化、小型化、高密度化が求められており、従来用いられていた無機ガラスから透明有機材料への置換が進んでいる。しかしながら、無機ガラスに比べて有機材料は透明性、耐熱性、耐薬品性などの点に劣り、また密着性なども不満足であるため、これら性能の向上が求められている。
一方、有機材料の特性を一層改良する手段として、これら樹脂に無機材料を複合化させる、いわゆる有機−無機ハイブリッド化技術が近年注目されている。本出願人も、ハイブリッド化材料として、エポキシ基含有アルコールとアルコキシシラン部分縮合物との脱アルコール反応生成物を既に提案し、当該反応生成物を用いてポリイミド樹脂などを改質する技術を見出している(特許文献5参照)。
ところで、光学特性に優れた代表的樹脂として、環状オレフィン系付加重合体が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、当該重合体は概して耐熱性、耐薬品性、無機基材に対する接着性が不十分であるため、光学材料としての適用範囲が狭い。従って、当該重合体の耐熱性などの特性を向上させるために、当該重合体にアルコキシシリル基を導入する技術が提案されている(特許文献3、特許文献4参照)。しかしながら、特許文献3の方法によれば、過酷な条件下で水素化処理する必要があるため、目的生成物の着色・劣化の問題が生じやすい。また特許文献4の方法によれば、3次元架橋構造を有しないため、当該重合体の耐熱性は不十分であり、また基材に対する密着性が不満足である。また、特許文献3、特許文献4のいずれの方法でも、得られる硬化物がトルエンに対し膨潤するなど、耐薬品性が不満足であるという欠点がある。
特開昭60−26024号公報 特開昭61−292601号公報 特開平7−196736号公報 特開平5−214079号公報 国際公開第01/005862号パンフレット
本発明は、環状オレフィン系付加重合体固有の優れた光学特性を保持したまま、耐熱性、電気特性、耐薬品性、無機物に対する接着性などが改善された硬化物を提供しうるカルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物の製造方法、当該変性物、当該硬化性組成物および当該有機−無機ハイブリッド硬化物を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体の特定シラン変性物を用いることにより、上記課題を解決しうる組成物や硬化物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体(1)(以下、成分(1)という)ならびに、1分子中に1つの水酸基を有するエポキシ化合物(2a)(以下、成分(2a)という)およびメトキシシラン部分縮合物(2b)(以下、成分(2b)という)を脱メタノール反応させて得られるエポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(2)(以下、成分(2)という)を、開環エステル反応させてなることを特徴とするカルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物の製造方法に関する。また、本発明は、当該製造方法により得られるカルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物に関する。また、本発明は、当該カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物と溶剤からなる硬化性組成物に関する。更に本発明は、当該組成物を硬化してなる有機−無機ハイブリッド硬化物に関する。
本発明によれば、環状オレフィン系付加重合体の本来の性能である優れた光学特性を保持したまま、耐熱性、電気特性、耐薬品性、無機基材に対する接着性などが改善された硬化物を提供しうる、カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物の製造方法、当該組成物および当該有機−無機ハイブリッド硬化物を提供できるという、特有の効果を奏する。
本発明で用いられる成分(1)としては、格別限定されず、従来公知のカルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体を適宜に選択して使用できる。成分(1)の具体例としては、特開2001−98026号、特開2002−363263号などに記載された各種の開環メタセシス共重合体のうち、カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体を挙げることができる。より具体的には、一般式(1):
Figure 0004232199
(式中、R〜Rのうち少なくとも1つがカルボキシル基であり、R〜Rが合計で2つ以上のカルボキシル基を含む場合はこれらが酸無水物基を形成していてもよい。R〜Rのいずれかがカルボキシル基または酸無水物基である場合を除き、その他は、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表わす。mは0〜2の整数を表す。)で示される繰り返し単位を有する化合物を好ましく使用できる。
成分(1)に当該繰り返し単位を導入するために用いる環状オレフィン系単量体としては、各種のノルボルネン系単量体が使用でき、例えば一般式(1)中、mが0であるビシクロヘプテン誘導体、mが1であるテトラシクロドデセン誘導体、mが2であるヘキサシクロヘプタデセン誘導体が挙げられる。より詳しくは、例えば2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−プロピル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−ペンチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−ヘプチル−2−ノルボルネン、5−オクチル−2−ノルボルネン、5−デシル−2−ノルボルネン、5−ドデシル−2−ノルボルネン、5,6−ジメチル−2−ノルボルネン、5−メチル,5−エチル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−アリル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシル−2−ノルボルネン、3−トリシクロ[4.3.0.12,5]デセン、3,7−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカジエン(別名、ジシクロペンタジエン)、3−テトラシクロ[4.4.0.12,57,10]ドデセン、8−メチル,3−テトラシクロ[4.4.0.12,57,10]ドデセン、3−テトラシクロ[4.4.0.12,57,10]ドデセンなどのノルボルネン類に、カルボキシル基、その前駆官能基、または酸無水物基を導入してなる各種化合物が使用できる。カルボキシル基を有するノルボルネン類としては、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、2−メチル,5−ノルボルネン−2−カルボン酸、アクリル酸2−メチル−5−ノルボルネン、メタクリル酸2−メチル−5−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸などが挙げられる。カルボキシル基の前駆官能基を有するノルボルネン類としては、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチル、2−メチル,5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、2−メチル,5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチル、2−メチル,5−ノルボルネン−2−カルボン酸プロピル、2−メチル,5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチル、アクリル酸2−メチル−5−ノルボルネン、メタクリル酸2−メチル−5−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸ジメチル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸ジエチル、8−メチル,8−メトキシカルボニル,3−テトラシクロ[4.4.0.12,57,10]ドデセン、8−メチル,8−エトキシカルボニル,3−テトラシクロ[4.4.0.12,57,10]ドデセンなどを挙げることができる。また、ジカルボン酸無水物基を有するノルボルネン系単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、テトラシクロ[4.4.0.12,57,10]ドデカ−3−エン−8,9−ジカルボン酸無水物、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,57,10]ドデカ−3−エン−8,9−ジカルボン酸無水物、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−ヘプタデカ−4−エン−11,12−ジカルボン酸無水物、11−メチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14] −ヘプタデカ−4−エン−11,12−ジカルボン酸無水物などを挙げることができる。これらの単量体は、いずれも単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のカルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物を製造するためには、成分(1)と成分(2)とを開環エステル反応させることが必要であるため、成分(1)の構成単量体として前記の如きカルボキシル基含有環状オレフィン系単量体を必須使用しなければならない。成分(1)の製造において、当該カルボキシル基含有環状オレフィン系単量体の含有率は全単量体中、5モル%程度以上、好ましくは10%以上である。5モル%未満の場合は、成分(2)との開環エステル反応点が過少となり、本発明の目的とするカルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物を得難い。なお、カルボキシル基含有環状オレフィン系単量体を与えることができる前駆単量体(例えば、ノルボルネン系エステル基含有単量体)は、加水分解等の操作により容易にカルボキシル基含有環状オレフィン系単量体に誘導できるため、当該操作は当該単量体の段階でも、成分(1)を得た後の段階でも行うことができる。
成分(1)の前記必須単量体のほかに、例えば2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−プロピル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−ペンチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−ヘプチル−2−ノルボルネン、5−オクチル−2−ノルボルネン、5−デシル−2−ノルボルネン、5−ドデシル−2−ノルボルネン、5,6−ジメチル−2−ノルボルネン、5−メチル,5−エチル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−アリル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシル−2−ノルボルネン、3−トリシクロ[4.3.0.12,5]デセン、3,7−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカジエン、3−テトラシクロ[4.4.0.12,57,10]ドデセン、8−メチル,3−テトラシクロ[4.4.0.12,57,10]ドデセン、3−テトラシクロ[4.4.0.12,57,10]ドデセンなどのカルボキシル基や酸無水物基を有しないノルボルネン類などを、前記の使用量の範囲内で任意に使用できる。
成分(1)は、中性の電子供与性配位子を有する有機ルテニウム化合物を主成分とする触媒および必要により溶媒の存在下で、前述のノルボルネン系単量体を開環メタセシス共重合し、次いで必要に応じて加水分解等を行って、カルボキシル基または酸無水物基に変性することにより製造される。また、当該開環メタセシス共重合し、当該共重合体の主鎖二重結合を水素化した後、必要に応じて加水分解等を行ってもよい。
成分(1)の製造に用いる当該触媒は、中性の電子供与性配位子が配位している有機ルテニウム化合物を主成分とする触媒であり、アニオン性配位子が配位した有機ルテニウム化合物が好ましく使用できる。より詳細には特開2002−363263号を参照できる。
当該溶媒としては、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタンなどの脂環式炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどの含窒素系炭化水素;ジエチルエ−テル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエ−テル類;クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどの含ハロゲン系炭化水素などの極性溶媒などから選ばれた溶媒が用いられる。
上記のような溶媒中で成分(1)を製造する場合には、環状オレフィン系単量体の濃度は、通常1〜50重量%程度、好ましくは2〜45重量%とされる。環状オレフィン系単量体の濃度が1重量%未満では共重合体の生産性が悪くなったり、50重量%を超えると共重合後の粘度が高すぎて、その後に行われうる水素化操作などが困難となることがある。
当該触媒の使用量は、当該触媒中の金属ルテニウムに対するノルボルネン系単量体のモル比で、(金属ルテニウム:単量体=)1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:500〜1:1,000,000である。触媒量が1:100の比よりも多くなると触媒除去が困難となることがある。1:2,000,000の比よりも少なくなると十分な共重合活性が得られないことがある。重合温度は特に制限はないが、通常、−100℃〜200℃、好ましくは−50℃〜180℃である。重合時間は、通常1分〜100時間であり、共重合の進行状況によって適宜調節することができる。
成分(1)の製造においては、共重合体およびその水素化物の分子量を調整するために、分子量調整剤を用いることができる。分子量調整剤としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン;スチレン、ビニルトルエンなどのスチレン類;エチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどのエーテル類;アリルクロライドなどのハロゲン含有ビニル化合物;酢酸アリル、アリルアルコール、グリシジルメタクリレートなど酸素含有ビニル化合物;アクリルアミドなどの窒素含有ビニル化合物などを挙げることができる。
分子量調整剤の使用量は、ノルボルネン系単量体に対して、0.1〜100モル%程度である。
成分(1)の製造における水素化反応は、水素化触媒の存在下に水素を導入し、開環メタセシス共重合体の主鎖に存する不飽和二重結合を飽和単結合にする反応である。当該反応条件は成分(1)の分解やカルボキシル基などの過度の還元(水酸基への還元)が起こらない程度の緩和な条件下で行う。水素化触媒は、オレフィン化合物の水素化に際して一般的に使用されているものであればよい。例えば、遷移金属化合物とアルカリ金属化合物の組み合わせからなるチーグラー系触媒;有機ロジウム化合物、有機ルテニウム化合物などの貴金属錯体触媒などの均一系触媒;ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウムなどの金属を、カーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタンなどの担体に担持させた不均一触媒などが挙げられる。これらの水素化触媒のうち、官能基が変性するなどの副反応が起きず、共重合体中の炭素−炭素不飽和結合を選択的に水素化できる点から、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属錯体触媒や有機ルテニウム化合物が好ましい。
水素化反応は、操作性や反応効率の点から通常は有機溶媒中で実施される。当該有機溶媒は生成する水素化物の溶解性に応じて適宜選択することができ、前記共重合溶媒と同様のものを使用できる。
水素化反応の好適条件は、使用する水素化触媒によって異なるが、水素化温度は、通常、−20〜250℃、好ましくは−10〜220℃であり、水素圧力は、通常0.01〜10MPa、好ましくは0.05〜8MPaである。水素化温度が−20℃未満では反応速度が遅くなり、逆に250℃を超えると副反応が起こりやすい。また、水素圧力が0.01MPa未満では水素化速度が遅くなり、10MPaを超えると高耐圧反応装置が必要となる。水素化反応時間は、目的とする水素化率に応じて適宜選択され、通常0.1〜50時間の範囲であれば、成分(1)中の炭素−炭素二重結合の50%以上、好ましくは70%以上を水素化することができる。
前記のとおり、成分(1)の製造において用いた環状オレフィン系単量体がエステル系化合物である場合は、必要に応じて従来公知の方法により官能基をカルボキシル基に変性することができる。当該方法としては、加水分解、水素化還元による方法等がある。
上記製造方法により得られる成分(1)は、非晶性樹脂であり、そのガラス転移温度は100℃以上、好ましくは120℃以上であり、またその280℃におけるメルトインデックス(ASTMD1238に準拠)は約1〜200、好ましくは約5〜100である。成分(1)の重量平均分子量は、通常1,000〜500,000程度、好ましくは2,000〜400,000である。分子量が小さいと機械的強度が不十分であり、大きいと共重合後の水素化反応が困難になることがある。また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、通常1〜4程度、好ましくは1.5〜3である。重量平均分子量及び数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の値である。
本発明に用いる成分(2)は、前記のように、成分(2a)と成分(2b)を脱アルコール反応させて得られる。
成分(2a)としては、分子中にエポキシ基および水酸基を有するものであれば、特に制限されず公知のものを使用することができる。当該成分としては、通常、一般式(2):
Figure 0004232199
(式中、nは1〜10の整数を表す。)で表される化合物を用いることが、得られる硬化膜の柔軟性が向上するため好ましい。なお、一般式(2)においてnが3以上のものを用いた場合には毒性が低くなり、かつ硬化膜の柔軟性の向上が著しいため特に好ましい。
成分(2b)としては、一般式(3):Si(OCHおよび/または一般式(4):SiCH(OCHで表される加水分解性メトキシシランモノマーを、酸または塩基触媒、および水の存在下で加水分解し、部分的に縮合させて得られるものが用いられる。
当該成分(2b)の1分子中のSiの平均個数は2〜100程度であることが好ましく、さらに好ましくは、3〜8である。Siが2未満であると、成分(b1)との脱メタノール反応の際、反応せずメタノールと一緒に系外に流出するメトキシラン類の量が増える傾向がある。また、100を超えると、成分(2a)との反応性が悪くなりやすく、目的とする成分(2)が得られにくくなりやすい。
成分(2a)と成分(2b)との使用割合は、特に限定されないが、通常は、成分(2a)の水酸基の当量/成分(2b)のメトキシシリル基の当量=0.01/1〜0.5/1となる仕込み比率で脱メタノール反応させることが好ましい。
上記仕込み比率において、該比率が小さくなると、未反応の成分(2b)の割合が増加し、また該比率が大きくなると、残存する未反応の成分(2a)によって硬化物の耐熱性が悪くなる傾向があるため、前記仕込み比率は、0.1/1〜0.4/1とするのがより好ましい。
成分(2a)と成分(2b)との当該反応は、例えば、これら成分を仕込み、加熱して副生するメタノールを留去しながら行う。反応温度は50〜150℃程度、好ましくは70〜110℃である。なお、110℃を超える温度で脱メタノール反応させると、反応系中に成分(2b)の縮合に伴って、反応生成物の分子量が上がりすぎ高粘度化やゲル化する傾向がある。このような場合には、脱メタノール反応を反応途中で停止させる等の方法により高粘度化、ゲル化を防止できる。
また、当該脱メタノール反応に際しては、反応促進のために従来公知の触媒の内、オキシラン環を開環しないものを使用することができる。該触媒としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、砒素、セリウム、カドミウム、マンガン等の金属;これら金属の酸化物、有機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド等が挙げられる。これらの中でも、特に、有機錫、有機酸錫が好ましく、具体的には、ジブチル錫ラウレート、オクチル酸錫等が有効である。
また、上記反応は溶剤中で行うこともできる。溶剤としては、成分(2a)と成分(2b)を溶解するものであれば特に制限はない。このような有機溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレンなどの非プロトン性極性溶媒を用いるのが好ましい
なお、成分(2)を構成するすべての分子がエポキシ基を含有する必要はなく、上記割合となるエポキシ基を含有していればよい。即ち、成分(2)は、未反応の成分(2b)を上限30重量%程度まで含んでいてもよい。
本発明のカルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物は、前記成分(1)と成分(2)とを反応させて得られるが、この反応は主に、成分(1)中に存在するカルボキシル基および/または酸無水物基と成分(2)に存在するエポキシ基との間で生じる、オキシラン環の開環エステル化反応である。ここで、成分(2)のメトキシシリル基自体は、反応系内に存在する水分等によって消費されることも考えられるが、通常は開環エステル化反応には関与しないため、通常、メトキシシリル基は、カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物中に60%以上残存することになる。メトキシシリル基の80%以上を残存させることが好ましい。
成分(1)と成分(2)との使用比率は、成分(2)中のエポキシ基/成分(1)中のカルボキシル基および/または酸無水物基(モル比)が0.03〜1.0程度であることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.8である。0.03未満の場合には、成分(2)の導入量が少なくなりすぎるため、本発明の特徴である耐熱性、密着性、耐薬品性などの効果が得られにくい。
反応系内へ前記溶剤を添加使用する方法は、特に限定されないが、通常は、「i)成分(1)を合成する時に加えた溶剤をそのまま使用する。ii)成分(2a)と成分(2b)とから成分(2)を合成する時に加えた溶剤をそのまま使用する。iii)成分(1)と成分(2)との反応の前に加える。」の3つの態様から少なくとも1つを選択採用すればよい。
また、成分(1)と成分(2)の反応には、反応を促進するための触媒を使用できる。例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、ベンズイミダゾール等のイミダゾール類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボーレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボーレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボーレート等のテトラフェニルボロン塩等を挙げることができる。触媒は、成分(1)100重量部に対し、0.01〜5重量部程度の割合で使用するのが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、前記のようにして得られたカルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物を必須構成成分として含有するものであり、当該変性物は、その分子中に成分(2)に由来するメトキシシリル基を有している。当該メトキシシリル基は、溶剤の蒸発や加熱処理により、または水分(湿気)との反応により、脱メタノール縮合反応して、相互に縮合した硬化物を形成する。かかる硬化物は、ゲル化した微細なシリカ部位(シロキサン結合の高次網目構造)を有するものである。
本発明の硬化性組成物は、前記のように、カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物を含有することを特徴とするものであるが、本発明の目的を逸脱しない範囲で、所望により前記成分(2b)、成分(2)等を適宜配合してもよい。
上記硬化性組成物は、通常、硬化残分10〜70重量%程度の液状であるのが適当である。また、その溶媒としては、成分(1)および成分(2)を溶解するものであれば、従来公知の溶剤を使用することができる。例えば、成分(1)や成分(2)の製造に用いた溶媒や、エステル系、ケトン系、アルコール系等の溶剤を使用できる。
また、上記硬化性組成物におけるカルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物の含有量は、特に限定されないが、通常、当該組成物の硬化残分中の10重量%以上であることが好ましい。ここで硬化残分とは上記硬化性組成物を塗布した後、ゾル−ゲル硬化(メトキシシリル基の脱メタノール縮合反応)や溶剤乾燥を行って、揮発性成分を除いて得られる固形分を意味し、硬化性組成物を100μm以下で塗布した後、180℃で2時間乾燥、硬化させた後の固形物である。
また、前記硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、各種用途の必要に応じて、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、離型剤、表面処理剤、粘度調節剤、カップリング剤、フィラー等を配合してもよい。
本発明の硬化性組成物を硬化物として使用する一態様を例示する。当該硬化組成物を基材に塗工した後、低温で部分的に硬化、乾燥させ、基材から剥がし取る。剥がし取ったフィルムを金属枠に固定し、加熱して完全に硬化、乾燥させることにより、所望のハイブリッド硬化物が得られる。当該乾燥・硬化工程では、溶剤などの揮発分の急激な飛散による発泡や硬化収縮を制御するため、このように2段階以上で行うことが好ましい。従って、硬化温度および加熱時間は、使用したカルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物がメトキシシリル基の脱メタノール縮合反応の際に副生するメタノールの量、および溶剤の種類、硬化物の厚みなどを考慮して、適宜決定する。1段階目は硬化物の表面タックが無くなる程度に部分的に硬化、乾燥させるため、通常は10〜50℃で1分〜2時間の条件とするのが好ましい。次いで130℃〜200℃、好ましくは150℃以上180℃未満で、1分〜6時間加熱することにより、残存溶剤を完全に除くとともにメトキシシリル基の脱メタノール縮合反応を完了させる。こうして得られる硬化膜は、カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物中のメトキシシリル基に由来するシリカ(SiO)部位を有しており、当該硬化物はシリカ複合化の効果によって、耐熱性、耐薬品性、密着性に優れるという特徴を有する。
以下、実施例および比較例をあげて本発明を具体的に説明する。なお、カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体(成分(1))としては、特開2003−128776に記載の方法で製造したカルボキシル基含有環状オレフィン系重合体(酸価150、数平均分子量Mn=23,100、重量平均分子量Mw=48,500)を用いた。
製造例1 (エポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(成分(2))の製造)
攪拌機、分水器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、グリシドール(日本油脂(株)製、商品名「エピオールOH」)1400gおよびテトラメトキシシラン部分縮合物(多摩化学(株)製、商品名「メチルシリケート51」、Siの平均個数が4)8957.9gを仕込み、窒素気流下、攪拌しながら、90℃に昇温した後、触媒としてジブチル錫ジラウレート2.0gを加え、反応させた。反応中、分水器を使って生成したメタノールを留去し、その量が約630gに達した時点で冷却した。昇温後冷却までに要した時間は5時間であった。ついで、13kPaで約10分間、系内に残存するメタノール約80gを減圧除去した。このようにして、エポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物を得た。
なお、成分(2a)の水酸基の当量/成分(2b)のメトキシシリル基の当量(仕込み時の当量比)=0.10、エポキシ当量は512g/eqである。
製造例2 (エポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(成分(2))の製造)
攪拌機、分水器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、7,8−エポキシ−1−オクタノール((株)クラレ製、商品名「EOA」)145.5gおよびテトラメトキシシラン部分縮合物(多摩化学(株)製、商品名「メチルシリケート51」、Siの平均個数が4)454.4gを仕込み、窒素気流下、攪拌しながら、110℃に昇温した後、触媒としてジブチル錫ジラウレート2.0gを加え、反応させた。反応中、分水器を使って生成したメタノールを留去し、その量が約35gに達した時点で冷却した。昇温後冷却までに要した時間は7時間であった。
なお、成分(2a)の水酸基の当量/成分(2b)のメトキシシリル基の当量(仕込み時の当量比)=0.10、エポキシ当量は595g/eqである。
実施例1 (カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物の溶液の製造)
攪拌機、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体40g、シクロヘキサノン132.9gを仕込み、105℃に加熱して溶解させた。続いて製造例1で得たエポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物9.67gを加え、105℃で12時間反応させた。反応終了後室温まで冷却し、テトラヒドロフラン45.64gを加え、硬化残分20%のカルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物の溶液を得た(以下、HB1溶液という)。なお、成分(2)中のエポキシ基のモル数/成分(1)中のカルボキシル基のモル数=0.18である。
実施例2 (カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物の溶液の製造)
攪拌機、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体60g、シクロヘキサノン189.2gを仕込み、105℃に加熱して溶解させた。続いて製造例1で得たエポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物6.88gを加え、105℃で9時間反応させた。反応終了後室温まで冷却し、テトラヒドロフラン64.01gを加え、硬化残分20%のカルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物の溶液を得た(以下、HB2溶液という)。なお、成分(2)中のエポキシ基のモル数/成分(1)中のカルボキシル基のモル数=0.085である。
実施例3 (カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物の溶液の製造)
攪拌機、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体60g、シクロヘキサノン223.2gを仕込み、105℃に加熱して溶解させた。続いて製造例1で得たエポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物32.4gを加え、105℃で16時間反応させた。反応終了後室温まで冷却し、テトラヒドロフラン78.88gを加え、硬化残分20%のカルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物の溶液を得た(以下、HB3溶液という)。なお、成分(2)中のエポキシ基のモル数/成分(1)中のカルボキシル基のモル数=0.40である。
実施例4 (カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物の溶液の製造)
攪拌機、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体60g、シクロヘキサノン205.5gを仕込み、105℃に加熱して溶解させた。続いて製造例2で得たエポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物18.8gを加え、105℃で12時間反応させた。反応終了後室温まで冷却し、テトラヒドロフラン71.07gを加え、硬化残分20%のカルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物の溶液を得た(以下、HB4溶液という)。なお、成分(2)中のエポキシ基のモル数/成分(1)中のカルボキシル基のモル数=0.20である。
比較例1(カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体溶液)
カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体50gをテトラヒドロフラン200gに溶解させ、硬化残分20%のカルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体溶液とした(以下、CP1溶液という)。
比較例2 (カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体とエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物との混合溶液)
カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体40gをシクロヘキサノン132.9g、テトラヒドロフラン45.64gに溶解させた後、製造例1で得たエポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物9.67gを加えて混合することにより、カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体とエポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物との混合溶液を得た(以下、CP2溶液という)。
HB1〜HB4およびCP1〜CP3の各溶液を用いて得られる各硬化物の諸性能につき、以下の方法および基準で評価した。
(透明性)
HB1〜HB4およびCP1〜CP3溶液を、それぞれガラス板に硬化後の膜厚が5μmとなるように塗布し、HB1〜HB3およびCP2、CP3の各溶液は室温で15分、120℃で1時間、CP1溶液は室温で10分、90℃で30分硬化させた。なお、硬化条件に差異を設けた理由は、溶剤の違い(シクロヘキサノンを含むか含まないか)を考慮したためである。得られた硬化物の外観について目視観察し、以下の基準に従って評価した。評価結果を表1に示す。
○:硬化物が無色透明。
×:硬化物が白濁、不透明。
(表面硬度)
同上の条件で塗布、硬化させて得られた各硬化物につき、JIS K−5401の一般試験法による鉛筆硬度試験を行った。評価結果を表1に示す。
(密着性)
HB1〜HB4およびCP1溶液を、それぞれガラス板に硬化後の膜厚が5μmとなるように塗布し、HBP1〜HBP4溶液は室温で15分、120℃で1時間の条件で、CP1溶液は室温で10分、90℃で30分の条件で硬化させた。得られた各硬化物につき、JIS K−5400の一般試験法によるゴバン目セロハンテープ剥離試験を行った。評価結果を表1に示す。
Figure 0004232199
表1より、HB1〜HB4の各溶液から得られる硬化物は、いずれも透明であり、無機基材に対する密着性が良好であり、且つ硬度が高いことが分かる。
(耐溶剤性)
HB1〜HB4の各溶液を当該硬化後の膜厚が25μmとなるよう、基材(PETフィルム)上に塗布し、室温で30分間乾燥させた後、当該基材より剥離することにより、それぞれの半硬化フィルムを得た。当該各半硬化フィルムをさらに180℃で1時間加熱硬化させて、各硬化フィルムを得た。CP1についても当該基材上に同様の膜厚となるよう塗布し、室温で10分間乾燥させた後、剥離して、半硬化フィルムを得、さらに当該半硬化フィルムを90℃で1時間硬化させて当該硬化フィルムを得た。こうして得られた各種硬化フィルムを下記条件下で溶剤に浸漬し、以下の基準に従って耐溶剤性を評価した。評価結果を表2に示す。
(外観) 目視により浸漬前後の状態変化を観察した。
(膨潤度)浸漬前後の重量比から算出した。
Figure 0004232199
表2より、HB1〜HB4の各溶液から得られる本発明の有機−無機ハイブリッド硬化物は、いずれもゾル−ゲル硬化によるシリカの架橋構造に起因して、耐溶剤性が明らかに向上している。
(耐熱性)
HB1およびCP1から得られたの硬化フィルム(耐溶剤性の評価に用いたと同様)を5mm×20mmにカットし、粘弾性測定器(レオロジ社製、商品名「DVE−V4」、測定条件:振幅2μm、振動数10Hz、スロープ3℃/分)を用いて動的貯蔵弾性率を測定して、耐熱性を評価した。測定結果を図1に示す。
図1から明らかなように、CP1から得られた硬化フィルムは210℃付近で弾性率が大きく低下して切断してしまったのに対し、HB1から得られた本発明の有機−無機ハイブリッド硬化物は、高温でも弾性率の低下が少なく、耐熱性に優れていると認められる。なおHB2〜HB4から得られた本発明の有機−無機ハイブリッド硬化物も、HB1から得られた硬化物と同様の挙動を示した。
(電気的特性:誘電率、絶縁抵抗)
耐溶剤性の評価に用いたと同様のHB1およびCP1から得られた各硬化フィルムを用い、周波数1kHzでの誘電率、およびJIS K−6911に準拠して表面抵抗と体積抵抗を測定することにより、電気的特性を評価した。結果を表3に示す。
Figure 0004232199
表3から明らかなように、誘電率、体積抵抗の値は、どちらの硬化物ともにほぼ同等であり、電気絶縁性が維持されていることが示された。また、HB−1から得られる本発明の有機−無機ハイブリッド硬化物では、表面抵抗が比較的低くなることより、静電気を帯び難くなるため、埃の吸着やフィルム同士のくっつきを防止できる。
本発明の硬化物および比較利の硬化物に関する動的貯蔵弾性率の測定結果を示した説明図である。

Claims (7)

  1. カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体(1)ならびに、1分子中に1つの水酸基を有するエポキシ化合物(2a)およびメトキシシラン部分縮合物(2b)を脱メタノール反応させて得られるエポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(2)を、開環エステル反応させることを特徴とするカルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物の製造方法。
  2. カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体(1)が、一般式(1):
    Figure 0004232199
    (式中、R〜Rのうち少なくとも1つがカルボキシル基であり、R〜Rが合計で2つ以上のカルボキシル基を含む場合はこれらが酸無水物基を形成していてもよい。R〜Rのいずれかがカルボキシル基または酸無水物基である場合を除き、その他は、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表わす。mは0〜2の整数を表す。)で示される繰り返し単位を有するものである請求項1記載の製造方法。
  3. エポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(2)が、前記エポキシ化合物(2a)の水酸基の当量/メトキシシラン部分縮合物(2b)のメトキシシリル基の当量=0.01/1〜0.5/1となる仕込み比率で脱メタノール反応してなるものである請求項1または2に記載の製造方法。
  4. エポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(2)中のエポキシ基/カルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体(1)中のカルボキシル基(モル比)=0.03〜1.0である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られるカルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物。
  6. 請求項5に記載のカルボキシル基含有環状オレフィン系付加重合体シラン変性物および溶剤を含有することを特徴とする硬化性組成物。
  7. 請求項6に記載の硬化性組成物を硬化させてなることを特徴とする有機−無機ハイブリッド硬化物。
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