JP4231918B2 - 運動素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の産業分野で用いられエネルギーを変位、速度、力などの実際の物理量に変換するアクチュエータ等の運動素子に関し、特に、エネルギー消費が少なく、大きな力を発生することができ、且つ反応速度が速く、さらに小形化することができる運動素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の運動素子としては、例えばマイクロマシンの分野で使われているアクチュエータ等がある。このような運動素子は、例えば電磁気的な吸引力と斥力とを用いて直線運動や回転運動などを行う電磁弁やモータ等、或いは電気ヒータによる加熱で部材を変形させるもの等がその例である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の運動素子においては、電磁気的な吸引力と斥力とを用いたり、電気ヒータによる加熱で部材を変形させたりしているので、あまり大きな力は発生できなかった。また、電気ヒータによる加熱は、ジュール熱の発生によるものであり、エネルギー消費が大きいと共に、急激に冷すことができないことから反応速度を速くすることができなかった。さらに、モータを必要とする場合には、あまり小形化することはできなかった。
【0004】
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、エネルギー消費が少なく、大きな力を発生することができ、且つ反応速度が速く、さらに小形化することができる運動素子を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第一の手段による運動素子は、高温と低温とで異なる形状を呈する形状記憶合金から成り所定長さの細長状に形成された運動部材と、この運動部材の片面に設けられペルチエ効果を利用して該運動部材を加熱又は冷却する複数個の熱電素子とを備え、上記運動部材の片面にて上記熱電素子と運動部材とが接触する相互の面に、凸形のアリと凹形のアリミゾとを設け該両者を嵌合してスライド可能な構成とし、上記熱電素子に電流を正方向又は逆方向に流すことにより上記運動部材を加熱又は冷却して変形させ、該運動部材の変形によって運動力を発生させるものである。
【0007】
また第二の手段による運動素子は、一定温度以上で互いに反対方向の曲率を持つ変形をする形状記憶合金から成り所定長さの細長状に形成されると共に平行に配設された二つの運動部材と、これらの運動部材の間に挟まれて設けられペルチエ効果を利用して該運動部材を加熱又は冷却する複数個の熱電素子とを備え、上記二つの運動部材が対向する面にて上記熱電素子と運動部材とが接触する相互の面に、凸形のアリと凹形のアリミゾとを設け該両者を嵌合してスライド可能な構成とし、上記各熱電素子に電流を正方向又は逆方向に流すことにより上記各運動部材を加熱又は冷却して同一方向に変形させ、該運動部材の変形によって運動力を発生させるものである。
【0008】
また、上記二つの運動部材は、一定温度以上で互いに反対方向の曲率を持つ変形をする形状記憶合金から成り所定長さの十字形状又は放射形状に形成されると共に平行に配設されたものとしてもよい。
【0009】
さらに、上記二つの運動部材は、一定温度以上で互いに反対方向の球状の曲率を持つ変形をする形状記憶合金から成り所定面積の平板状に形成されると共に平行に配設されたものとしてもよい。
【0010】
さらにまた、上記各手段において、熱電素子に、電流を正方向に流して運動部材を加熱又は冷却して変形させ、一定時間後に電流を逆方向に流して該運動部材を加熱又は冷却して変形させ、上記運動部材に往復運動をさせるようにしてもよい。
【0011】
また、第三の手段による運動素子は、一定温度以上で互いに反対方向の曲率を持つ変形をする形状記憶合金から成り所定長さの細長状に形成されると共に平行に配設された二つの運動部材をその平行配設の軸を直交させて配置した二組の運動部材と、これら各組の運動部材の間に挟まれると共に各組毎に絶縁されて設けられペルチエ効果を利用して該運動部材を加熱又は冷却する複数個の熱電素子とを備え、上記各組の二つの運動部材が対向する面にて上記熱電素子と運動部材とが接触する相互の面に、凸形のアリと凹形のアリミゾとを設け該両者を嵌合してスライド可能な構成とし、上記各組の熱電素子に電流を正方向又は逆方向に流すことにより上記各組の運動部材を加熱又は冷却して直交二方向に任意に変形させ、これらの運動部材の変形によって運動力を発生させるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は第一の発明による運動素子の実施の形態を示す側面図であり、図2はその底面図である。この運動素子は、各種の産業分野で用いられエネルギーを変位、速度、力などの実際の物理量に変換するアクチュエータ等であり、運動部材1と、熱電素子2とを備えて成る。
【0015】
上記運動部材1は、この部材の変形によって実際に運動力を発生するもので、高温と低温とで異なる形状を呈する形状記憶合金から成り、例えば適宜の長さの矩形状板に形成されている。上記形状記憶合金は、高温で成形したときの形状を記憶していて、室温で変形を与えても、加熱すると瞬間的に元の成形時の形状に戻る性質があり、形状回復に伴って大きな力を発生するという特徴を有する。実用的な形状記憶合金としては、例えばTiNi,Cu-Zn-Al,Cu-Al-Niなどがある。そして、図1においては、高温時(温度Tが変態温度Afより高い)には破線で示すように一側方に反り返った状態の形状を記憶しており、低温時(温度Tが変態温度Afより低い)には実線で示すように直線状に伸びた状態の形状を記憶している場合を示している。
【0016】
熱電素子2は、上記運動部材1をペルチエ効果を利用して加熱又は冷却するもので、例えば適宜の大きさのブロック状に形成されたペルチエ素子から成り、運動部材1の片面の一部に設けられている。上記ペルチエ素子は、異種の導体の接点に電流を流すとき、その接点でジュール熱以外に熱の発生又は吸収が起こる現象を利用したもので、電流の方向を逆にすれば熱の発生と吸収は反対になる性質を有する。図1及び図2においては、上記熱電素子2の両端部にリード線3a,3bを介して直流電源Eが接続されており、途中に設けられた切換スイッチ4により上記直流電源Eの接続極性を適宜変えるようになっている。なお、図1及び図2において、符号5は上記熱電素子2に供給する電流を調整するボリュームを示している。また、上記直流電源Eは、バッテリでもよいし、交流電源を直流に整流したものでもよい。
【0017】
このような状態で、上記熱電素子2に直流電源Eにより電流を正方向又は逆方向に流すことにより上記運動部材1を加熱又は冷却して変形させ、この運動部材の変形によって運動力を発生させるようになっている。例えば図1において、運動部材1が低温時には実線で示すように直線状に伸びた状態になっており、この状態で熱電素子2に電流を正方向に供給して上記運動部材1に接している面を加熱すると(このとき反対側の面は冷却される)、運動部材1は素早く加熱されて高温になり破線で示すように一側方に反り返った状態の記憶形状に回復する。
【0018】
次に、切換スイッチ4を切り換えて熱電素子2に供給する電流の向きを上記と逆方向にすると、熱電素子2の運動部材1に接している面が冷却され、実線で示すように低温時に記憶している直線状に伸びた状態に変形する。このような運動部材1の変形によって運動力が発生する。
【0019】
図3は、図1及び図2に示す運動素子6を直線搬送装置に適用した場合を示す断面説明図である。ある平面上に、運動部材1が露出するようにして複数個の運動素子61,62,…,65を直線状に並べてある。そして、各運動素子61〜65の運動部材11〜15は、それぞれの熱電素子2にある極性で通電時に立ち上がり、通電していないときは寝ている状態に構成されているとする。この場合、上記運動素子61〜65に順次通電し遮断することにより、それらの運動部材11〜15が一端側から順次立ち上がり、該運動部材11〜15の上に置いた物体を直線状に搬送することができる。
【0020】
また、図4は、図1及び図2に示す運動素子6を回転搬送装置に適用した場合を示す平面説明図である。ある平面上に、運動部材11〜1nが露出するようにして複数個の運動素子6(図示略)が円形状に並べてある。この場合、上記運動素子6に順次通電し遮断することにより、それらの運動部材11〜1nが1ヶ所から円を描くように順次立ち上がり、該運動部材11〜1nの上に置いた物体を円周方向に回転させながら搬送することができる。
【0021】
図5は、第二の発明による運動素子の実施の形態を示す側面図であり、図6はその平面図である。この実施形態の運動素子6は、高温と低温とで異なる形状を呈する形状記憶合金から成り所定長さの細長状に形成された運動部材1と、この運動部材1の片面に設けられペルチエ効果を利用して該運動部材1を加熱又は冷却する複数個の熱電素子2,2,…とを備えて成る。
【0022】
上記運動部材1は、図6に示すように長さがa(例えば50mm程度)、幅がb(例えば4mm程度)の細長い板状に形成され、図5に示すように高温時(T>Af)には破線で示すように一側方に反り返った状態の形状を記憶しており、低温時(T<Af)には実線で示すように直線状に伸びた状態の形状を記憶している 。なお、図5及び図6において、細長状の運動部材1の根本部には、この運動素子6を所要の箇所に取り付けるための取付部材7が溶接、ビス等により固定されている。
【0023】
熱電素子2は、上記運動部材1の片面に図6に示す所定間隔c(例えば1mm程度)をあけて複数個1列状に並べられており、その片面に対して適宜スライド可能に設けられている。例えば、図7(a)に示すように、熱電素子2と運動部材1とが接触する面に凸形のアリ8と、凹形のアリミゾ9とを設け、この両者を嵌合して互いに滑りうるように組み合わせてある。また、図7(b)に示すように、上記運動部材1と熱電素子2との接合面間には、熱伝導ペースト10が介在されている。この熱伝導ペースト10は、熱電素子2の加熱による熱を運動部材1に伝達すると共に、運動部材1と熱電素子2との間の潤滑の役目をするものである。なお、上記複数個の熱電素子2,2,…は、リード線3a,3bで直列に接続されている。その他の部分は、図1及び図2に示す運動素子6の構成と同様である。
【0024】
このような状態で、上記各熱電素子2に電流を正方向又は逆方向に流すことにより上記運動部材1を加熱又は冷却して変形させ、この運動部材の変形によって運動力を発生させるようになっている。この場合の基本的な動作は、図1の実施形態と同様であるが、図5及び図6の場合は運動部材1が長いことと、熱電素子2が複数個設けられていることから、該熱電素子2,2,…が運動部材1上を適宜スライドして大きい曲率で長い寸法にわたって変形が生じる。
【0025】
なお、図5及び図6に示す運動素子6において、運動部材1及び複数個の熱電素子2,2,…の全体を細長いフレキシブルなチューブ又は人工皮膚等で覆ってもよい。また、取付部材7に取り付ける運動部材1の根本部に、該運動部材1を長手方向の軸周りに回転させる回転機構を設けてもよい。この場合は、上記運動部材1を任意の向きに回転させて変形させることができる。さらに、運動部材1は、細長い板状に限らず、細長い棒状又は線状に形成してもよい。
【0026】
図8は、図5及び図6に示す運動素子6をフレキシブルなチューブの開閉装置に適用した場合を示す説明図である。この場合、フレキシブルなチューブ11の両側面に2個の運動素子6a,6bを沿わせて配置し、これらの運動素子6a,6bを変形させてチューブ11を開閉させるようになっている。即ち、各運動素子6a,6bの運動部材1,1は、低温時(T<Af)には図8(a)に示すように互いに内側に反り返るアーチ状の形状を記憶しており、高温時(T>Af)には同図(b)に示すように平面状或いは曲率半径の大きい円弧状に湾曲した形状を記憶していて、熱電素子2に通電しない低温時には図8(a)に示すように変形してチューブ11を閉じ、通電して加熱時には同図(b)に示すように変形してチューブ11を開く。より具体的な適用例として、尿道を通常の体温では閉じておき(図8(a)参照)、必要に応じて熱電素子2を加熱して尿道を開く(図8(b)参照)医療用のバルブとして用いることができる。
【0027】
図9は、バルブとして用いる場合の変形例を示す説明図である。この場合は、1個の運動素子6をチューブ押え具12の回りに固定したもので、チューブ押え具12の内方に差し込まれたフレキシブルなチューブ又はパイプ(図示略)を開閉するものである。上記運動素子6は、図9(a)に示す高温時(T>Af)には略円形に開いており、同図(b)に示す低温時(T<Af)には略三角形に閉じた状態となり、内部のチューブ又はパイプを開閉するようになっている。
【0028】
図10は、図9で示したバルブの応用例を示す説明図である。血管13の回りに複数個の運動素子61,62,63,…を配置し、該運動素子61,62,63,…を一端方から順に開閉を繰り返して上記血管13を押え、一種のフィンガーポンプ状の機構により例えば心拍に同期して血流に脈動を発生させるものである。
【0029】
図11は、第三の発明による運動素子の実施の形態を示す側面図であり、図12はその平面図である。この実施形態の運動素子6は、一定温度以上で互いに反対方向の曲率を持つ変形をする形状記憶合金から成り所定長さの細長状に形成されると共に平行に配設された二つの運動部材1a,1bと、これらの運動部材1a,1bの間に挟まれて設けられペルチエ効果を利用して該運動部材1a,1bを加熱又は冷却する複数個の熱電素子2,2,…とを備えて成る。
【0030】
上記二つの運動部材1a,1bは、図6に示すと同様に長さがa(例えば50mm程度)、幅がb(例えば4mm程度)の細長い板状に形成され、図11に示すように高温時(T>Af)にはそれぞれ破線で示すように互いに反対方向の曲率を持って反り返った状態の形状を記憶しており、低温時(T<Af)には実線で示すように直線状に伸びた状態の形状を記憶している。
【0031】
熱電素子2は、上記運動部材1a,1bの間に挟まれて図6に示すと同様に所定間隔c(例えば1mm程度)をあけて複数個1列状に並べられており、その両部材間で適宜スライド可能に設けられている。例えば、図13(a)に示すように、熱電素子2と運動部材1a,1bとが接触する面に凸形のアリ8と、凹形のアリミゾ9とを設け、この両者を嵌合して互いに滑りうるように組み合わせてある。また、図13(b)に示すように、上記運動部材1a,1bと熱電素子2との接合面間には、熱伝導ペースト10が介在されている。その他の部分は、図5及び図6に示す運動素子6の構成と同様である。
【0032】
このような状態で、上記各熱電素子2に電流を正方向又は逆方向に流すことにより上記各運動部材1a,1bを加熱又は冷却して同一方向に変形させ、この運動部材の変形によって運動力を発生させるようになっている。この場合の基本的な動作は、図5及び図6の実施形態と同様であるが、図11及び図12の場合は運動部材1が平行に配設された二つの部材1a,1bを有していることから、次のように動作する。
【0033】
即ち、直列に接続された複数個の熱電素子2,2,…にヒートポンプの作用をさせて一方の面と他方の面とで加熱及び冷却を同時に行うことにより、一定温度以上になると互いに反対方向の曲率を持つ変形をする形状記憶合金から成る二つの運動部材1a,1bの一方の部材1aの温度を速やかに昇温して図11に破線1aで示すように変形させ、他方の部材1bは冷却されて弾性率が低下し上記加熱側の運動部材1aの変形に従って変形し、二つの部材1a,1bは全体として図11に破線1aで示すように変形する。次に、上記熱電素子2,2,…に逆方向に電流を流すと、一方の面と他方の面とで加熱、冷却を高速に転換でき、上記と逆方向の変形を素早く起こさせ、二つの部材1a,1bは全体として図11に破線1bで示すように変形する。このとき、上記の変形に必要なエネルギーは、電気ヒータによる加熱に比べて数分の一のエネルギーですむ。また、他方側の運動部材の温度を速やかに冷却して変形し易くするので、運動素子6としての反応速度を速くすることができる。
【0034】
なお、図11及び図12に示す運動素子6において、運動部材1a,1b及び複数個の熱電素子2,2,…の全体を細長いフレキシブルなチューブ又は人工皮膚等で覆ってもよい。また、取付部材7に取り付ける運動部材1a,1bの根本部に、該運動部材1a,1bを長手方向の軸周りに回転させる回転機構を設けてもよい。この場合は、上記運動部材1a,1bを任意の向きに回転させて変形させることができる。さらに、運動部材1a,1bは、細長い板状に限らず、細長い棒状又は線状に形成してもよい。
【0035】
図14は、図11及び図12に示す運動素子6をぜん動運動するアクチュエータに適用した場合を示す説明図である。この場合、図14(a)に示すように、高温時(T>Af)にアーチ状の形状記憶をした二つの運動部材1a,1bの間に、隣同士で極性を反対にした熱電素子2を複数個並べたものである。そして、同図(b)に示すように、一方の熱電素子2aは下面側が加熱で上面側が冷却とされており、他方の熱電素子2bは上面側が加熱で下面側が冷却とされている。したがって、図14(a)に示す運動素子6は、各熱電素子2a,2bによる加熱部と冷却部とが隣合っており、該熱電素子2a,2bに通電、遮断することにより上記運動部材1a,1bは波打つようにぜん動運動をするようになる。
【0036】
図15は、図14で示したぜん動運動するアクチュエータの応用例を示す説明図である。図15(a)に示すように血管13の断面回りに三つの運動素子61 ,62,63を該血管13の長手方向に沿わせて配置し、同図(b)に示すように各運動素子61,62,63の周期を合わせてぜん動運動をさせることにより、血流に脈動を発生させるものである。
【0037】
図16は、図11及び図12に示す第三の発明による運動素子の他の実施形態を示す平面説明図である。この実施形態の運動素子6は、二つの運動部材1a,1bを、一定温度以上で互いに反対方向の曲率を持つ変形をする形状記憶合金から成り所定長さの十字形状又は放射形状に形成すると共に、平行に配設したものである。そして、上記十字形状又は放射形状に形成された二つの運動部材1a,1bの両側面に弾性を有する膜14を接着してある。なお、図16においては、片面側の運動部材1a及び膜14を省略して図示している。
【0038】
図17は、図16に示す運動素子6を人工心臓15の右心室と左心室との隔壁に適用した場合を示す説明図である。この場合、上記二つの運動部材1a,1b間の熱電素子2,2,…に電流を一方向又は逆方向に流すことにより、上記運動部材1a,1bを加熱又は冷却して変形させ、図17に破線で示すように膜14を一側方又は他側方にふくらむ曲面に変形させて、血流を送るポンプ機構を備えた人工心臓15が構成される。このような人工心臓15では、モータなどの回転部分が無く、血球を破壊しにくいと共に、少ないエネルギーで駆動できる。
【0039】
図18は、図11及び図12に示す第三の発明による運動素子の他の実施形態を示す平面説明図である。この実施形態の運動素子6は、二つの運動部材1a,1bを、一定温度以上で互いに反対方向の球状の曲率を持つ変形をする形状記憶合金から成り所定面積の平板状(例えばダイヤフラム状)に形成すると共に、平行に配設したものである。なお、図18においては、片面側の運動部材1aを省略して図示している。この場合も、図17に示すと同様に、人工心臓15の右心室と左心室との隔壁に適用することができる。
【0040】
なお、以上で説明した運動素子6の各実施の形態において、上記熱電素子2に、電流を一方向に流して運動部材1を加熱又は冷却し、一定時間後に電流を逆方向に流して該運動部材1を加熱又は冷却して変形させ、上記運動部材1に往復運動をさせるようにしてもよい。
【0041】
図19は、第四の発明による運動素子の実施の形態を示す側面図であり、図20はそのE−E線断面図である。この実施形態の運動素子6は、一定温度以上で互いに反対方向の曲率を持つ変形をする形状記憶合金から成り所定長さの細長状に形成されると共に平行に配設された二つの運動部材をその平行配設の軸を直交させて配置した二組の運動部材1a,1b;1c,1dと、これら各組の運動部材1a,1b;1c,1dの間に挟まれると共に各組毎に絶縁されて設けられペルチエ効果を利用して該運動部材を加熱又は冷却する複数個の熱電素子2,2,…とを備えて成る。
【0042】
上記二組の運動部材1a,1b;1c,1dは、図6に示すと同様に長さがa(例えば50mm程度)で、1mm角程度の断面積の細長い棒状又は線状に形成され、図19に示すように高温時(T>Af)にはそれぞれ破線で示すように互いに反対方向の曲率を持って反り返った状態の形状を記憶しており、低温時(T<Af)には実線で示すように直線状に伸びた状態の形状を記憶している。
【0043】
熱電素子2は、上記二組の運動部材1a,1b;1c,1dの間に挟まれて図6に示すと同様に所定間隔c(例えば1mm程度)をあけて複数個互い違いに直交状態に並べられており、二組の運動部材1a,1b;1c,1dのそれぞれの間で適宜スライド可能に設けられている。そして、上記運動部材1a,1b;1c,1dと熱電素子2との接合面間には、熱伝導ペーストが介在されている。なお、図20において、符号16は上記各熱電素子2,2,…に電流を供給するためのリード線を示し、符号17は二組の運動部材1a,1b;1c,1d及び複数個の熱電素子2,2,…の全体を覆った細長いフレキシブルなチューブ又は人工皮膚等を示している。
【0044】
このような状態で、上記各組の熱電素子2,2,…に電流を正方向又は逆方向に流すことにより上記各組の運動部材1a,1b;1c,1dを加熱又は冷却して直交二方向に任意に変形させ、この運動部材の変形によって運動力を発生させるようになっている。この場合の基本的な動作は、図11及び図12の実施形態と同様であるが、図19及び図20の場合は二つの運動部材の平行配設の軸を直交させて配置した二組の運動部材1a,1b;1c,1dと、これら各組の運動部材1a,1b;1c,1dの間に挟まれた熱電素子2,2,…を有していることから、上記熱電素子2,2,…の電流を個別に制御することにより、任意の形状に変形できる。
【0045】
図21は、図19及び図20に示す運動素子6を医療用カテーテルに適用した場合を示す説明図である。即ち、医療用カテーテル18の内部に上記の運動素子6を適宜の個数挿入し、熱電素子2,2,…の電流を個別に制御することにより任意の形状に変形して、上記医療用カテーテル18を例えば血管内に容易に誘導挿入できる。
【0048】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されたので、請求項1,5に係る発明によれば、高温と低温とで異なる形状を呈する形状記憶合金から成り所定長さの細長状に形成された運動部材の片面にて、ペルチエ効果を利用して該運動部材を加熱又は冷却する複数個の熱電素子と上記運動部材とが接触する相互の面に、凸形のアリと凹形のアリミゾとを設け該両者を嵌合してスライド可能な構成としたことにより、上記熱電素子に電流を正方向又は逆方向に流すこと上記運動部材を加熱又は冷却して変形させ、該運動部材の変形によって運動力を発生させることができる。この場合、所定長さの運動部材の片面にて複数個の熱電素子が凸形のアリと凹形のアリミゾとの嵌合により、適宜スライドして大きい曲率で長い寸法にわたって変形が生じる。これにより、エネルギー消費が少なく、大きな力を発生することができ、且つ反応速度が速く、さらに小形化することができる運動素子を実現することができる。
また、請求項2〜5に係る発明によれば、一定温度以上で互いに反対方向の曲率を持つ変形をする形状記憶合金から成り所定長さの細長状に形成されると共に平行に配設された二つの運動部材が対向する面にて、それらの間に挟まれて設けられペルチエ効果を利用して該運動部材を加熱又は冷却する複数個の熱電素子と上記運動部材とが接触する相互の面に、凸形のアリと凹形のアリミゾとを設け該両者を嵌合してスライド可能な構成としたことにより、上記各熱電素子に電流を正方向又は逆方向に流すことで上記各運動部材を加熱又は冷却して同一方向に変形させ、該運動部材の変形によって運動力を発生させることができる。この場合、二つの運動部材が対向する面にて複数個の熱電素子が凸形のアリと凹形のアリミゾとの嵌合により、適宜スライドして大きい曲率で長い寸法にわたって変形が生じる。これにより、エネルギー消費が少なく、大きな力を発生することができ、且つ反応速度が速く、さらに小形化することができる運動素子を実現することができる。
さらに、請求項6に係る発明によれば、一定温度以上で互いに反対方向の曲率を持つ変形をする形状記憶合金から成り所定長さの細長状に形成されると共に平行に配設された二つの運動部材をその平行配設の軸を直交させて配置した各組の二つの運動部材が対向する面にて、各組の運動部材の間に挟まれると共に各組毎に絶縁されて設けられペルチエ効果を利用して該運動部材を加熱又は冷却する複数個の熱電素子と運動部材とが接触する相互の面に、凸形のアリと凹形のアリミゾとを設け該両者を嵌合してスライド可能な構成としたことにより、上記各組の熱電素子に電流を正方向又は逆方向に流すことで上記各組の運動部材を加熱又は冷却して直交二方向に任意に変形させ、これらの運動部材の変形によって運動力を発生させることができる。この場合、各組の二つの運動部材が対向する面にて複数個の熱電素子が凸形のアリと凹形のアリミゾとの嵌合により、適宜スライドして大きい曲率で長い寸法にわたって変形が生じる。これにより、エネルギー消費が少なく、大きな力を発生することができ、且つ反応速度が速く、さらに小形化することができる運動素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の発明による運動素子の実施の形態を示す側面図である。
【図2】図1に示す運動素子の底面図である。
【図3】図1及び図2に示す運動素子を直線搬送装置に適用した場合を示す断面説明図である。
【図4】図1及び図2に示す運動素子を回転搬送装置に適用した場合を示す平面説明図である。
【図5】第二の発明による運動素子の実施の形態を示す側面図である。
【図6】図5に示す運動素子の平面図である。
【図7】図5に示す運動素子の部分拡大説明図であり、(a)図は図5のA−A線断面図、(b)図は(a)図のB−B線断面図である。
【図8】図5及び図6に示す運動素子をフレキシブルなチューブの開閉装置に適用した場合を示す説明図である。
【図9】上記運動素子をバルブとして用いる場合の変形例を示す説明図である。
【図10】図9で示したバルブの応用例を示す説明図である。
【図11】第三の発明による運動素子の実施の形態を示す側面図である。
【図12】図11に示す運動素子の平面図である。
【図13】図11に示す運動素子の部分拡大説明図であり、(a)図は図11のC−C線断面図、(b)図は(a)図のD−D線断面図である。
【図14】図11及び図12に示す運動素子をぜん動運動するアクチュエータに適用した場合を示す説明図である。
【図15】図14で示したぜん動運動するアクチュエータの応用例を示す説明図である。
【図16】図11及び図12に示す第三の発明による運動素子の他の実施形態を示す平面説明図である。
【図17】図16に示す運動素子を人工心臓の右心室と左心室との隔壁に適用した場合を示す説明図である。
【図18】図11及び図12に示す第三の発明による運動素子の他の実施形態を示す平面説明図である。
【図19】第四の発明による運動素子の実施の形態を示す側面図である。
【図20】図19のE−E線断面図である。
【図21】図19及び図20に示す運動素子を医療用カテーテルに適用した場合を示す説明図である。
【符号の説明】
1…運動部材
2…熱電素子
3a,3b,16…リード線
4…切換スイッチ
5…ボリューム
6…運動素子
8…アリ
9…アリミゾ
10…熱伝導ペースト
14…弾性を有する膜
15…人工心臓
17…フレキシブルなチューブ

Claims (6)

  1. 高温と低温とで異なる形状を呈する形状記憶合金から成り所定長さの細長状に形成された運動部材と、
    この運動部材の片面に設けられペルチエ効果を利用して該運動部材を加熱又は冷却する複数個の熱電素子とを備え、
    上記運動部材の片面にて上記熱電素子と運動部材とが接触する相互の面に、凸形のアリと凹形のアリミゾとを設け該両者を嵌合してスライド可能な構成とし、
    上記各熱電素子に電流を正方向又は逆方向に流すことにより上記運動部材を加熱又は冷却して変形させ、該運動部材の変形によって運動力を発生させることを特徴とする運動素子。
  2. 一定温度以上で互いに反対方向の曲率を持つ変形をする形状記憶合金から成り所定長さの細長状に形成されると共に平行に配設された二つの運動部材と、
    これらの運動部材の間に挟まれて設けられペルチエ効果を利用して該運動部材を加熱又は冷却する複数個の熱電素子とを備え、
    上記二つの運動部材が対向する面にて上記熱電素子と運動部材とが接触する相互の面に、凸形のアリと凹形のアリミゾとを設け該両者を嵌合してスライド可能な構成とし、
    上記各熱電素子に電流を正方向又は逆方向に流すことにより上記各運動部材を加熱又は冷却して同一方向に変形させ、該運動部材の変形によって運動力を発生させることを特徴とする運動素子。
  3. 上記二つの運動部材は、一定温度以上で互いに反対方向の曲率を持つ変形をする形状記憶合金から成り所定長さの十字形状又は放射形状に形成されると共に平行に配設されたものであることを特徴とする請求項記載の運動素子。
  4. 上記二つの運動部材は、一定温度以上で互いに反対方向の球状の曲率を持つ変形をする形状記憶合金から成り所定面積の平板状に形成されると共に平行に配設されたものであることを特徴とする請求項記載の運動素子。
  5. 上記熱電素子に、電流を正方向に流して運動部材を加熱又は冷却して変形させ、一定時間後に電流を逆方向に流して該運動部材を加熱又は冷却して変形させ、上記運動部材に往復運動をさせることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の運動素子。
  6. 一定温度以上で互いに反対方向の曲率を持つ変形をする形状記憶合金から成り所定長さの細長状に形成されると共に平行に配設された二つの運動部材をその平行配設の軸を直交させて配置した二組の運動部材と、
    これら各組の運動部材の間に挟まれると共に各組毎に絶縁されて設けられペルチエ効果を利用して該運動部材を加熱又は冷却する複数個の熱電素子とを備え、
    上記各組の二つの運動部材が対向する面にて上記熱電素子と運動部材とが接触する相互の面に、凸形のアリと凹形のアリミゾとを設け該両者を嵌合してスライド可能な構成とし、
    上記各組の熱電素子に電流を正方向又は逆方向に流すことにより上記各組の運動部材を加熱又は冷却して直交二方向に任意に変形させ、これらの運動部材の変形によって運動力を発生させることを特徴とする運動素子。
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