JP2001112796A - 補助人工心筋 - Google Patents

補助人工心筋

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JP2001112796A
JP2001112796A JP29272799A JP29272799A JP2001112796A JP 2001112796 A JP2001112796 A JP 2001112796A JP 29272799 A JP29272799 A JP 29272799A JP 29272799 A JP29272799 A JP 29272799A JP 2001112796 A JP2001112796 A JP 2001112796A
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heart
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JP29272799A
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English (en)
Inventor
Shigenao Maruyama
重直 圓山
Toshiyuki Takagi
敏行 高木
Tomoyuki Yamaya
智之 山家
Makoto Yamada
誠 山田
Masao Sato
征男 佐藤
Seiichi Zama
誠一 座間
Kiyoshi Yamauchi
清 山内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tohoku Electronic Industrial Co Ltd
Original Assignee
Tohoku Electronic Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の人工心臓装置は、装置形状が大型で患
者に負担を強いるとともに、消費電力が大きかった。 【解決手段】 運動素子11は棒状の形状記憶合金と、
この形状記憶合金の長手方向に複数個配置された熱電変
換素子としてのP型ペルチェ素子とN型ペルチェ素子を
用いて構成されている。この運動素子11は心臓12の
例えば心室の外壁に取着される。この運動素子11は、
P型ペルチェ素子とN型ペルチェ素子に対する電流の供
給方向に応じて、所要の方向に素早く曲げたり戻するこ
とができ、心臓をマッサージするかのように駆動するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば心臓の拍動
を補助し、心機能の回復を促す補助人工心筋に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、心機能を補助する装置としては、
人工心臓装置が知られている。この人工心臓装置は、患
者の血管にバイパス用のパイプを装着し、このパイプの
中間に設けられたポンプにより血流を発生する構成とさ
れている。
【0003】また、心臓に直接装着され、空気圧を利用
して心臓を直接駆動する人工心臓装置も開発されてい
る。
【0004】図9は、従来の人工心臓装置の一例を示し
ている。この人工心臓装置において、管101の一端部
には碗状で硬質のシェル102が連通して設けられてい
る。このシェルの開口部にはフレキシブルな材質の膜1
03が設けられ、この膜103により開口部が閉塞され
ている。この膜103は心臓104の心室の外壁に接し
ている。管101の他端部には、図示せぬ駆動装置が接
続され、この駆動装置により駆動用の空気が発生され
る。この発生された空気は管101内に導入され、この
空気の圧力によって膜103が変形し、心臓が押圧され
ることにより拍動が補助される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記パイプや
ポンプを用いた人工心臓装置は、パイプやポンプ内で血
栓が生じたり血球破壊が発生し易いという問題を有して
いる。
【0006】また、空気により拍動を補助する人工心臓
装置の場合、前記管101の他端部が体外に出ているた
め、この管101を通じて感染症を誘発する虞を有して
いる。また、管101の径も数cmと大きく、さらに、
硬質のシェル102を体内に埋め込む必要があるため、
患者の負担が大きい。さらに、空気圧を発生する駆動装
置の装置形状が大型で消費電力が大きく、装置全体を小
型化することが困難であるという問題を有している。
【0007】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、その目的とするところは、良好に拍動
を補助でき、しかも、装置形状が小型で患者の負担を大
幅に軽減することができるとともに、消費電力を削減可
能な補助人工心筋を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の補助人工心筋
は、上記課題を解決するため、心臓の外壁に取着され、
心臓を押圧又は拡張するための形状が記憶された形状記
憶合金と、この形状記憶合金を電気信号により加熱又は
冷却する複数の熱電変換素子とからなる運動素子と、前
記電気信号を発生し、この電気信号を前記運動素子に供
給する制御装置とを有している。
【0009】前記運動素子は、前記心臓の拡張状態又は
収縮状態のうちの一方の外壁の形状が記憶された形状記
憶合金と、前記形状記憶合金の少なくとも一側面で、前
記形状記憶合金の長手方向に沿って交互に配置されると
ともに互いに電気的に接続され、一端部が前記形状記憶
合金に当接された複数の熱電変換素子と、前記熱電変換
素子の前記形状記憶合金と反対側の他端部に設けられた
ヒートシンクと、前記ヒートシンクの外側全体を覆う保
護膜とを具備し、前記形状記憶合金は、空気層により前
記保護膜から断熱されている。
【0010】また、前記形状記憶合金は円筒形状とさ
れ、前記熱電変換素子は前記形状記憶合金との当接部が
形状記憶合金の外形と同一形状とされている。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0012】図1は本発明の実施例を示すものである。
この実施例は、棒状の形状記憶合金と、この形状記憶合
金の長手方向に複数個配置された熱電変換素子としての
例えばP型ペルチェ素子とN型ペルチェ素子を用いて運
動素子11を構成した例を示している。この運動素子1
1は、P型ペルチェ素子とN型ペルチェ素子に対する電
流の供給方向に応じて、所要の方向に素早く曲げたり戻
したりすることができる。この運動素子11は心臓12
の例えば心室の外壁に取着される。すなわち、運動素子
11の数箇所を縫合糸13により心室の外壁に直接縫い
付けることにより取着される。この運動素子11の縫合
位置、配筋方向に対する取り付け角度等は任意である。
【0013】運動素子11には、給電用の配線14の一
端が接続されている。この配線14の他端は体表面16
の外側に導出され、制御装置15に接続されている。こ
の制御装置15は、例えば発振回路15aと、この発振
回路15aに接続された駆動回路15b、及びこれらを
制御する例えば図示せぬマイクロコンピュータ等により
構成されている。発振回路15aの発振周波数は、例え
ば心臓の状態に応じて制御すればよく、例えば心臓手術
後の心臓が弱っているときは、例えば1〜2.5Hzの
信号を発振させ、心臓の状態が回復してきた場合、二拍
動に1回とか、三拍動に1回発振させるように制御され
る。駆動回路15bは発振回路15aの発振信号に応じ
て、ペルチェ素子に供給する電流の供給方向を制御す
る。
【0014】また、運動素子11に対する給電は上記の
ように配線14を使用する場合に限定されるものではな
く、無線による経皮給電とすることも可能である。すな
わち、例えば図1に破線で示すように、制御装置15に
送信アンテナとしてのコイル17を接続し、体表面16
の内側に運動素子11に接続された受信アンテナとして
のコイル18を設け、これらコイル17、18を介して
制御装置15から運動素子11に給電することも可能で
ある。この場合、制御装置15には図示せぬ周知の送信
器が設けられ、この送信器を介して駆動回路15bの出
力がコイル17に供給される。
【0015】図2は、運動素子11を構成する形状記憶
合金の記憶形態の例を示している。図2(a)は、高温
時の形状記憶合金の形状を心臓の外壁の湾曲に沿い、外
壁の曲率より大きく湾曲するように設定した場合を示し
ている。すなわち、非加熱状態において、運動素子11
は心臓12の外壁に沿って湾曲している。この状態にお
いて、後述するペルチェ素子により形状記憶合金を加熱
すると、運動素子11は11aに示すように心臓12の
外壁の曲率より大きく湾曲するように変形する。このた
め、心臓12の外壁は運動素子11の長手方向両端部に
より挟み込まれ、長手方向中央部により外方に拡張され
る。したがって、心室の容積が拡張される。
【0016】一方、図2(b)は、高温時の形状記憶合
金の形状を心臓の外壁の湾曲方向と逆方向に湾曲するよ
うに設定した場合を示している。すなわち、非加熱状態
において、運動素子11は心臓12の外壁に沿って湾曲
している。この状態において、後述するペルチェ素子に
より形状記憶合金を加熱すると、運動素子11は11b
に示すように心臓12の外壁の湾曲方向と逆方向に湾曲
する。このため、心臓12の外壁は運動素子11の長手
方向中央部により内側に押圧される。したがって、心室
の容積が非加熱時より縮小される。
【0017】図2(a)あるいは図2(b)に示すよう
に形状記憶合金の記憶形態を設定することにより、運動
素子11の動作に応じて心室を拡張又は収縮して心室の
容積変えることができる。したがって、心臓の拍動を補
助することができる。
【0018】図3、図4は、本発明に適用される運動素
子11の一例を示している。この運動素子11は、主と
して棒状の形状記憶合金31と、熱電変換素子としての
例えば複数のP型ペルチェ素子32a〜32h、複数の
N型ペルチェ素子33a〜33hとにより構成されてい
る。前記形状記憶合金31は、例えばTiNi,Cu−
Zn−Al、Cu−Al−Niを適用することが可能で
あるが、材質はこれらに限定されるものではない。形状
記憶合金31の高温時の変形方向は、図2(a)あるい
は図2(b)に示すように設定されている。形状記憶合
金31は、図3に示すように断面が矩形状とされ、この
形状記憶合金31の平行する両側面に、図4に示すよう
に一対のP型ペルチェ素子とN型ペルチェ素子が、発熱
位置と吸熱位置が同一方向となるように交互に配置され
る。すなわち、形状記憶合金31の一方の側面には、P
型ペルチェ素子32a〜32dとN型ペルチェ素子33
a〜33dが交互に配置され、他方の側面にはP型ペル
チェ素子32e〜32hとN型ペルチェ素子33e〜3
3hが交互に配置される。このため、形状記憶合金31
の長手方向の同一位置には同一導電型のペルチェ素子が
配置される。しかし、同一導電型のペルチェ素子を形状
記憶合金31の長手方向の同一位置に配置する必要はな
く、各ペルチェ素子の発熱位置と冷却位置が一致してい
ればよい。
【0019】形状記憶合金31の一方の側面に配置され
たP型ペルチェ素子32a〜32dとN型ペルチェ素子
33a〜33dは、例えば導電性金属片からなる複数の
電極34a〜34e、35a〜35dにより直列接続さ
れ、他方の側面に配置されたP型ペルチェ素子32e〜
32hとN型ペルチェ素子33e〜33hは導電性の金
属片からなる複数の電極36a〜36e、37a〜37
dにより直列接続される。形状記憶合金31の長手方向
一端部に位置するP型ペルチェ素子32a、32eに接
続された電極34a、36aと、長手方向他端部に位置
するN型ペルチェ素子33d、33hに接続された電極
34e、36eはそれぞれ前記配線14に接続され、こ
の配線14を介して各ペルチェ素子に電流が供給され
る。尚、電極34a〜34e、36a〜36eと形状記
憶合金31の相互間には、例えば熱伝導率が良好な図示
せぬ絶縁フィルムが設けられる。
【0020】また、前記電極35a〜35d、37a〜
37dには、各ペルチェ素子にそれぞれ対応して図3に
示すように、熱伝導率が良好な金属からなるコ字状のヒ
ートシンク38a〜38h、39a〜39hが設けられ
る。さらに、これらヒートシンク38a〜38h、39
a〜39hの外周には、全体を覆う保護膜40が設けら
れている。この保護膜40は、例えばシリコーン等の生
体親和性に優れ、フレキシブルな材料により構成され
る。
【0021】上記構成において、直列接続されたペルチ
ェ素子群に対する電流の供給方向を変えることにより、
各ペルチェ素子の形状記憶合金31側を高温としたり、
低温とすることができる。例えばN型ペルチェ素子33
d、33hに接続された前記電極34e、36eを正
(+)、P型ペルチェ素子32a、32eに接続された
前記電極34a、36aを負(−)にすると、各ペルチ
ェ素子の形状記憶合金31側が高温となり、形状記憶合
金31は記憶された形状に変形する。また、逆にP型ペ
ルチェ素子32a、32eに接続された前記電極34
a、36aを正(+)、N型ペルチェ素子33d、33
hに接続された前記電極34e、36eを負(−)にす
ると、各ペルチェ素子の形状記憶合金31側が低温とな
り、形状記憶合金31はもとの形状に復帰する。
【0022】上記実施例によれば、形状記憶合金と、こ
の形状記憶合金を加熱、冷却する複数のペルチェ素子等
とにより運動素子11を構成している。この運動素子1
1は形状が小型であり、従来の空気圧を利用する人工心
臓装置のように硬質で、大型のシェルを必要としない。
このため、この運動素子11を心臓の外壁に直接縫合で
き、直接心臓を駆動することができる。
【0023】さらに、この運動素子11は心臓の外壁を
直接駆動することができるため、心臓を直接手でマッサ
ージするかのように押圧でき、心臓の拍動を確実に補助
できる。
【0024】しかも、この実施例によれば、細い配線1
4により運動素子11に電流を供給することができるた
め、体表面に僅かな径の開口を開ければ良く、また、無
線による経皮給電を行う構成とすれば体表面に全く開口
を開ける必要がない。したがって、空気圧を利用する人
工心臓装置のように、パイプを通すために体表面に大き
な開口をあける場合に比べて患者に与える負担を大幅に
軽減できる。
【0025】また、この運動素子11は、従来のポンプ
を用いた人工心臓装置のように体内を循環する血液に接
触しないため、血栓の発生や血球の破壊を防止でき、さ
らに、空気圧を利用する人工心臓装置のように、体外と
体内を連通するパイプを必要としないため、このパイプ
を通した感染症の虞を回避できる。
【0026】さらに、各ペルチェ素子にヒートシンクを
設けているため、形状記憶合金31から吸収した熱を良
好に放熱することができる。しかも、ヒートシンクによ
り、ペルチェ素子に発生したジュール熱も放熱すること
ができる。このため、ジュール熱によるペルチェ素子が
高温となることを防止でき、熱的平衡状態を保持するこ
とができる。したがって、一定の温度範囲内で高速に熱
を移動できるため、形状記憶合金51を高速に駆動する
ことが可能である。
【0027】しかも、形状記憶合金31は各ペルチェ素
子を接続する電極にのみ接し、保護膜40とは空気層に
より断熱されている。このため、各ペルチェ素子の発熱
側からの熱を効率良く形状記憶合金31に伝達すること
ができ、形状記憶合金31を高効率に駆動できる。
【0028】また、複数のペルチェ素子を駆動するため
の電力は僅かであり、従来のポンプや空気圧を利用する
場合に比べて消費電力を大幅に削減することができる利
点を有している。
【0029】図5乃至図7は、本発明に適用される運動
素子の他の例を示すものである。形状記憶合金51は、
例えばTiNi,Cu−Zn−Al、Cu−Al−Ni
を適用することが可能であるが、材質はこれらに限定さ
れるものではない。形状記憶合金51の高温時の変形方
向は、図2(a)あるいは図2(b)に示すように設定
されている。形状記憶合金51は、図6に示すように断
面が矩形状とされ、この形状記憶合金51の平行する両
側面に、図7に示すようにP型ペルチェ素子とN型ペル
チェ素子が、発熱位置と吸熱位置が同一方向となるよう
に、交互に配置される。すなわち、形状記憶合金51の
一方の側面には、P型ペルチェ素子52a〜52dとN
型ペルチェ素子53a〜53dが交互に配置され、他方
の側面にはN型ペルチェ素子53e〜53hとP型ペル
チェ素子52e〜52hが交互に配置される。したがっ
て、形状記憶合金51の長手方向の同一位置には、導電
型の異なるペルチェ素子が配置される。
【0030】形状記憶合金51の一方の側面に配置され
たP型ペルチェ素子52a〜52dとN型ペルチェ素子
53a〜53dは、形状記憶合金51の他方の側面に配
置されたN型ペルチェ素子53e〜53hとP型ペルチ
ェ素子52e〜52hに導電性の金属片からなる電極5
4a〜54e、55a〜55d、56a〜56hを介し
て直列接続される。すなわち、形状記憶合金51の一方
の側面に配置されたP型ペルチェ素子52aの一端部に
は電極54aが接続される。N型ペルチェ素子53aの
一端部と、P型ペルチェ素子52bの一端部には電極5
4bが接続される。N型ペルチェ素子53bの一端部
と、P型ペルチェ素子52cの一端部には電極54cが
接続され、N型ペルチェ素子53cの一端部と、P型ペ
ルチェ素子52dの一端部には電極54dが接続され
る。さらに、N型ペルチェ素子53cの一端部には電極
54eが接続される。
【0031】また、形状記憶合金51の他方の側面に配
置されたN型ペルチェ素子53eの一端部と、P型ペル
チェ素子52eの一端部には電極55aが接続され、N
型ペルチェ素子53fの一端部と、P型ペルチェ素子5
2fの一端部には電極55bが接続される。さらに、N
型ペルチェ素子53gの一端部と、P型ペルチェ素子5
2gの一端部には電極55cが接続され、N型ペルチェ
素子53hの一端部と、P型ペルチェ素子52hの一端
部には電極55dが接続される。尚、電極54a〜54
eと形状記憶合金51の相互間、及び電極55a〜55
dと形状記憶合金51の相互間には、例えば熱伝導率が
良好な図示せぬ絶縁フィルムが設けられる。
【0032】前記P型ペルチェ素子52aの他端部とN
型ペルチェ素子53eの他端部は湾曲された電極56a
により接続され、N型ペルチェ素子53aの他端部とP
型ペルチェ素子52eの他端部は電極56bにより接続
される。以下同様にして、形状記憶合金51の一方の側
面に配置されたペルチェ素子の他端部と、形状記憶合金
51の他方の側面に配置されたペルチェ素子の他端部と
が電極56c〜56hにより接続される。このようにし
て、複数個のペルチェ素子が直列接続される。これら電
極56a〜56hは、各ペルチェ素子の放熱用のヒート
シンクを兼ねている。さらに、これらの外周には、全体
を覆う保護膜57が設けられている。この保護膜57
は、例えばシリコーン等の生体親和性に優れ、フレキシ
ブルな材料により構成される。電極56a〜56hの端
部は、形状記憶合金51の底面より突出しているため、
形状記憶合金51と保護膜57は、これらの間の空気層
により断熱されている。
【0033】上記構成において、直列接続されたペルチ
ェ素子群に対する電流の供給方向を変えることにより、
各ペルチェ素子の形状記憶合金51側を高温としたり、
低温とすることができる。例えば電極54eを正
(+)、電極54aを負(−)にすると、各ペルチェ素
子の一端部(形状記憶合金51の側面側)が高温とな
り、他端部(形状記憶合金51の側面と反対側)が低温
となる。このため、形状記憶合金51は記憶された形状
に変形する。また、電極54aを正(+)、電極54e
を負(−)にすると、各ペルチェ素子の一端部は低温と
なり、他端部が高温となる。このため、形状記憶合金5
1は元の形状に復帰される。
【0034】上記構成としても、図3、図4の構成と同
様の効果を得ることができる。
【0035】図8は、本発明に適用される運動素子の他
の例を示すものであり、図3、図4に示す例の変形例を
示している。図8は図3と同様に、P型ペルチェ素子3
2a、32eの部分のみを示しており、他のペルチェ素
子、及び電極等の配置は図3、図4と同様である。
【0036】図8に示すように、形状記憶合金31は円
筒状とされ、図4に示すP型ペルチェ素子32a〜32
e、N型ペルチェ素子33a〜33e、電極34a〜3
4e、35a〜35d、36a〜36e、37a〜37
d、ヒートシンク38a〜38d、39a〜39dは半
円環状とされている。前記形状記憶合金31の一方の半
周面には、形状記憶合金31の長手方向に沿って半円環
状のP型ペルチェ素子32a〜32dとN型ペルチェ素
子33a〜33dが交互に配置され、形状記憶合金31
の他方の半周面には、長手方向に沿って半円環状のP型
ペルチェ素子32e〜32hとN型ペルチェ素子33e
〜33hが交互に配置される。また、これらペルチェ素
子は、半円環状の電極34a〜34e、35a〜35
d、36a〜36e、37a〜37dにより直列接続さ
れる。これら34a〜34e、35a〜35d、36a
〜36e、37a〜37dは半田溶接をせず、直接ある
いは例えば導電性のグリース等を介してペルチェ素子に
接合される。電極35a〜35d、37a〜37dに
は、熱伝導率が良好な金属からなる半円環状のヒートシ
ンク38a〜38d、39a〜39dがそれぞれ設けら
れる。これらヒートシンクの外周には、全体を覆う保護
膜40が設けられている。この場合も、形状記憶合金3
1は空気層により保護膜40から断熱されている。
【0037】図8に示す形状の運動素子11は、形状記
憶合金31を円筒形状とし、この円筒形状の外面に接す
る2組のペルチェ素子を配置している。このため、形状
記憶合金31が変形した際に形状記憶合金31からペル
チェ素子に対する応力、あるいはペルチェ素子から形状
記憶合金31に対する応力を逃すことができるため、結
果として運動素子11の寿命を長くすることができる。
また、形状記憶合金31を円筒形状としているため、こ
の運動素子をカテーテルとして利用することもできる。
【0038】尚、上記各ペルチェ素子は半円形状とした
が、これに限定されるものではなく、形状記憶合金31
との当接部が形状記憶合金31の外形と同一形状とさ
れ、形状記憶合金31に密着する形状であればよい。し
たがって、形状記憶合金31と反対側の形状は曲面であ
る必要はなく、用途に応じた形状とすればよい。
【0039】さらに、図8に示す例では、円筒形状の形
状記憶合金31の外周面に対して半円形状の2組みの各
ペルチェ素子を配置しているが、これに限定されるもの
ではなく、例えば形状記憶合金31の外周面の一部に例
えば半円形状の1組みのペルチェ素子を配置したり、あ
るいは形状記憶合金31の外周面に3組み以上のペルチ
ェ素子を配置してもよい。このように、形状記憶合金3
1の周囲に配置される、ペルチェ素子の数を多くするに
従い、各ペルチェ素子のサイズが小さくなる。このた
め、形状記憶合金が変形した際に形状記憶合金の表面と
ペルチェ素子の表面との密着度を保持できるとともに、
形状記憶合金の動きをペルチェ素子により阻害すること
を防止できる。したがって、このような構成とすれば、
ペルチェ素子と形状記憶合金との熱の間の移動を良好に
行えるとともに、一層形状記憶合金31とペルチェ素子
との間の応力を緩和できる。
【0040】また、円筒形状の形状記憶合金31の内部
に超弾性のパイプあるいは線材を挿入し、パイプあるい
は線材の復元力を利用して変形前の形状に復帰させるよ
うにしてもよい。
【0041】さらに、超弾性のパイプあるいは高分子材
料で形成されたパイプを円筒形状の形状記憶合金31の
外側に配置してペルチェ素子を覆い、このパイプの復元
力を利用して変形前の形状に復帰させるようにしてもよ
い。
【0042】また、この運動素子を例えばカテーテルと
して利用する場合、円筒形状の形状記憶合金31に軸周
りのねじれを記憶させ、この形状記憶合金31と保護膜
40の両端部を固定してもよい。このとき、複数のペル
チェ素子と電極は円筒形状の形状記憶合金31と保護膜
40に固定されていない。このため、ペルチェ素子によ
り形状記憶合金31を加熱、冷却することにより、これ
らペルチェ素子と電極の位置関係が変わることなく、形
状記憶合金31と保護膜40を回転することができ、カ
テーテルとして所望の運動をさせることができる。
【0043】尚、図3、図4及び図8に示す運動素子1
1において、ペルチェ素子は形状記憶合金31の両側面
に配置したが、これに限定されるものではなく、一方の
側面のみに配置してもよい。
【0044】さらに、熱電変換素子としては、ペルチェ
素子を用いたがこれに限定されるものではなく、その他
の素子を用いることも可能である。
【0045】また、上記例では、運動素子をカテーテル
に適用する場合について説明したが、これに限定される
ものではなく、運動素子を内視鏡、気管内送管チューブ
や腹腔鏡先端部等に適用することも可能である。
【0046】その他、本発明の要旨を変えない範囲で種
々変形実施可能なことは勿論である。
【0047】
【発明の効果】以上、詳述したようにこの発明によれ
ば、良好に拍動を補助でき、しかも、装置形状が小型で
患者の負担を大幅に軽減することができるとともに、消
費電力を削減可能な補助人工心筋を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す概略構成図。
【図2】図2(a)、図2(b)はそれぞれ図1に示す
形状記憶合金を用いた補助人工心筋の動作を説明するた
めに示す図。
【図3】本発明に適用される運動素子の一例を示す断面
図。
【図4】図3の4−4線に沿った断面図。
【図5】本発明に適用される運動素子の他の例を示す一
部切除した側面図。
【図6】図5の6−6線に沿った断面図。
【図7】図6の7−7線に沿った断面図。
【図8】本発明に適用される運動素子の他の例を示す断
面図。
【図9】従来の人工心臓装置の一例を示す斜視図。
【符号の説明】
11…運動素子、 15…制御装置、 31…形状記憶合金、 32a〜32h…P型ペルチェ素子、 33a〜33h…N型ペルチェ素子、 34a〜34e、35a〜35d…電極、 36a〜36e、37a〜37d…電極、 38a〜38h、39a〜39h…ヒートシンク、 40…保護膜、 51…形状記憶合金、 52a〜52h…P型ペルチェ素子、 53a〜53h…N型ペルチェ素子、 54a〜54e、55a〜55d、56a〜56h…電
極、 57…保護膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高木 敏行 宮城県仙台市太白区緑ヶ丘3−38−15 (72)発明者 山家 智之 宮城県仙台市太白区金剛沢1−4−30 (72)発明者 山田 誠 宮城県仙台市太白区向山2−36−4 東北 電子産業株式会社内 (72)発明者 佐藤 征男 宮城県仙台市宮城野区扇町5−8−10 株 式会社アインテック内 (72)発明者 座間 誠一 神奈川県横浜市神奈川区松本町1−1−5 東京マイクロデバイス株式会社内 (72)発明者 山内 清 宮城県仙台市太白区郡山6−7−1 株式 会社トーキン内 Fターム(参考) 4C097 AA26 BB01 BB06 CC01 DD09 MM09

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 心臓の外壁に取着され、心臓を押圧又は
    拡張するための形状が記憶された形状記憶合金と、この
    形状記憶合金を電気信号により加熱又は冷却する複数の
    熱電変換素子とからなる運動素子と、 前記電気信号を発生し、この電気信号を前記運動素子に
    供給する制御装置とを具備することを特徴とする補助人
    工心筋。
  2. 【請求項2】 前記運動素子は、前記心臓の拡張状態又
    は収縮状態のうちの一方の外壁の形状が記憶された形状
    記憶合金と、 前記形状記憶合金の少なくとも一側面で、前記形状記憶
    合金の長手方向に沿って交互に配置されるとともに互い
    に電気的に接続され、一端部が前記形状記憶合金に当接
    された複数の熱電変換素子と、 前記熱電変換素子の前記形状記憶合金と反対側の他端部
    に設けられたヒートシンクと、 前記ヒートシンクの外側全体を覆う保護膜とを具備し、 前記形状記憶合金は、空気層により前記保護膜から断熱
    されていることを特徴とする請求項1記載の補助人工心
    筋。
  3. 【請求項3】 前記形状記憶合金は円筒形状とされ、前
    記熱電変換素子は前記形状記憶合金との当接部が形状記
    憶合金の外形と同一形状とされていることを特徴とする
    請求項2記載の補助人工心筋。
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