JP4231615B2 - 二重環縫いピコットミシン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばハンカチやテーブルクロス等の布端縁部に環状あるいは千鳥状の装飾飾りを形成する場合に用いられる二重環縫いピコットミシンに関し、詳しくは、針棒及びルーパーを縫製進行方向に対し直交する左右方向に移動させ、これらの移動に伴って、針板の複数の爪に連続した環状の縫目を形成し、布端縁部への装飾用縁飾りや2枚の布端部間に亘る装飾かがり等のピコットを形成可能とした二重環縫いピコットミシンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の二重環縫いピコットミシンは、縫製進行方向に対し直交する左右方向に等間隔をおいて複数の爪を延出している針板と、針棒を縫製進行方向に対し直交する左右方向に移動させる針振り機構と、針棒の左右方向への移動に連動してルーパーを縫製進行方向に対し左右方向に移動させるルーパー振り機構とを具備しており、それら針振り機構及びルーパー振り機構として、従来では、図9〜図12に示すような構成が採用されていた。
【0003】
すなわち、ミシンケーシング1内に水平姿勢に配置し支承された主軸(クランクシャフト)2にウォーム3及びウェームギア4を介して連動させてミシンケーシング1内に縦シャフト5を立設し、この縦シャフト5の上端部に固定した針振りカム6に上下一対のカムローラ7,7を介して支点軸8の周りに倣い揺動するリンク機構9を設け、このリンク機構9の一方の突片9aに形成した長孔10に針振り連結ロッド11の一端部11aを遊嵌するとともに、針振り連結ロッド11の他端部11bを、2本の針12を針株13を介して固定保持した針棒14を上下動自在に貫通支持する針棒ホルダ15に枢支連結し、これらカム6、リンク機構9、針振り連結ロッド11及び針棒ホルダ15により針棒14を支点軸15Aの周りで縫製進行方向に対し直交する左右方向に揺動移動させる針振り機構Aが構成されている。
【0004】
また、上記縦シャフト5の下端部近傍には、エキセン51が固定されており、このエキセン51にルーパー振り連結ロッド16の一端部16aを連結するとともに、ルーパー振り連結ロッド16の他端部16bを、ルーパー17を支点軸18の周りに揺動自在に保持するルーパーホルダ19にルーパーロッカー20を介して固定連結したルーパーシャフト21に球継手22を介して連結し、これらエキセン51、ルーパー振り連結ロッド16、球継手22、ルーパーシャフト21、ルーパーロッカー20及びルーパーホルダ19によりルーパー17を針棒14の左右方向への揺動移動に連動して縫製進行方向に対し直交する左右方向に移動させるルーパー振り機構Bが構成されている。
【0005】
一方、二重環縫いピコットミシンの縫製部には、図13に示すように、左右両側に押えガイド23,23を有し左右中央部が開口された布押え24と、中央開口に縫製進行方向に対し直交する左右方向に等間隔で5本の爪25を延出させた針板26と、この針板26の中央開口の縫製進行方向の前後に配設された送り歯27,28とを備えている。
【0006】
なお、上記針棒14をクランクシャフト2に連動させて上下方向に往復運動させるためのシャフト連結ロッド29や支点ピン30の周りに上下揺動する揺動レバー31等を含む針棒上下運動機構32及び上記ルーパー17をクランクシャフト2に連動させて支点軸18の周りで針落ち部の前後に往復揺動運動させるためのルーパー連結レバー33等を含むルーパー揺動運動機構34は、この種のピコットミシンでは周知であるため、それらの詳細な説明は省略する。
【0007】
上記のように構成された従来の二重環縫いピコットミシンにおいては、クランクシャフト2に連動する縦シャフト5の回転に伴い上記の針振り機構Aを介して針棒14及び針12が図10(左死点)と図12(右死点)に示すように、左右方向に揺動移動するとともに、この針棒14の揺動移動に連動して上記のルーパー振り機構Bを介してルーパー17が左右方向に移動し、これら針12及びルーパー17の移動に伴って針板26の隣接する爪25,25間に針落ちさせて各爪25に縫目を形成させ、かつ、各針落ち毎に送り歯27,28を介して布を縫製進行方向に送ることによって、図14に示すように、1サイクル4運針で、布端縁部Weに千鳥状の装飾用縁飾りP1(ピコットの一例)を形成したり、図15に示すように、2枚の布Wa,Wb間に三角形状の縫目が結合された装飾かがりP2(ピコットの他の例)を形成したりする。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した従来の二重環縫いピコットミシンでは、針振り機構Aの主要構成として縦シャフト5に固定したカム6が用いられている一方、ルーパー振り機構Bの主要構成として縦シャフト5に固定したエキセン51が用いられている。そのうち、カム6は、図16の太い実線で示すように、縦シャフト5の1回転(0〜360°回転角)による針振り運動軌跡中に自由に停止位置を設定することが可能である反面、エキセン51は停止位置を設定することができないので、縦シャフト5の1回転(0〜360°回転角)によるルーパー振り運動軌跡が図16の細実線で示すようなサインカーブSになってしまう。そのため、ルーパー17に保持される針糸ループとルーパー糸及びルーパー17によって形成される略三角形の中に針12を落とし入れて縫目を形成する時の針とルーパーの振り運動タイミングにずれを生じて針糸とルーパー糸の糸調子が不均等、不安定となり、その結果、目飛び等を起こして所定の二重環縫いの縫目によるピコットを形成することができないという問題があった。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、針及びルーパーの振り運動タイミングを同期させるとともに、両振り運動軌跡中の同一位置で針及びルーパーの振り運動を停止させ糸調子を大幅に改善し、目飛び等を生じることなく所定の二重環縫いの縫目によるピコットを確実に形成することができる二重環縫いピコットミシンを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る二重環縫いピコットミシンは、針棒を縫製進行方向に対し直交する左右方向に移動させる針振り機構と、上記針棒の左右方向への移動に連動してルーパーを縫製進行方向に対し左右方向に移動させるルーパー振り機構とを備え、針棒及びルーパーの左右方向への移動に伴って、針板の複数の爪に連続した環状の縫目を形成し、布端縁部にピコットを形成可能とした二重環縫いピコットミシンであって、上記針振り機構が、主軸に連動させてミシンケーシング内に設けられた縦シャフトに固定したカムと、このカムにカムローラを介して支点軸周りに倣い揺動するリンク機構と、このリンク機構の支点軸周りの倣い揺動に連動して針棒を左右方向に移動させる針振り連結ロッドとから構成されているとともに、上記ルーパー振り機構が、上記縦シャフトに固定したカムと、このカムにカムローラを介して支点軸周りに倣い揺動するリンク機構と、このリンク機構の支点軸周りの倣い揺動に連動してルーパーを左右方向に移動させるルーパー振り連結ロッドとから構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
上記構成の本発明によれば、主軸に連動する縦シャフトの回転に伴い、針振り機構を構成するカム、リンク機構及び針振り連結ロッドを介して針棒が左右方向に移動されるとともに、ルーパー振り機構を構成し針振り機構側のカムと同時に作動するカム、リンク機構及びルーパー振り連結ロッドを介してルーパーが左右方向に移動される。このように針振り機構及びルーパー振り機構の主要構成として一本の縦シャフトに固定されたカムを使用することによって、針及びルーパーの振り運動タイミングを完全に同期させることが可能であるとともに、両振り運動軌跡中の同一位置で針及びルーパーの振り運動を停止させることが可能であるから、針糸及びルーパー糸の糸調子を均等かつ安定化して針板の各爪にそれぞれ二重環縫いの縫目を目飛びなどなく所定どおり形成させることができ、これによって、布端縁部への装飾用縁飾りや2枚の布端縁間に亘る装飾縁かがり等のピコットを確実かつ仕上がりよく形成することができる。
【0012】
上記構成の本発明に係る二重環縫いピコットミシンにおける針振り機構用及びルーパー振り機構用のカムとしては、請求項2に記載のように、上記ルーパー振り機構におけるカムを上記針振り機構におけるカムで兼用し、ルーパー振り機構におけるリンク機構と針振り機構におけるリンク機構との間に両リンク機構を連動させる連結シャフトを設けた構成、あるいは、請求項3に記載のように、縦シャフトの上下位置に各別に固定する構成のいずれであってもよいが、特に、請求項2のように、縦シャフトの上端部に固定した単一のカムで兼用する構成を採用することによって、部品点数をできるだけ節減して組立の容易化及びコストダウンを図ることができるとともに、ミシンケーシング内の占有スペースを削減してミシンの小形化を図ることもできる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図6は本発明の第1の実施の形態による二重環縫いピコットミシンの構成を示すものであり、針振り機構A、針棒上下運動機構32及びルーパー揺動運動機構34は図9〜図12に示す従来のピコットミシンと同様な構成が採用され、また、縫製部は図13に示すものと同様な構成が採用されているため、それら各図9〜13と同一もしくは対応する部品、部位には同一の符号を付して、それらの詳しい説明を省略し、従来のピコットミシンと異なる構成が採用されているルーパー振り機構Bについて詳しく説明する。
【0014】
すなわち、ミシンケーシング1内の底部近くに軸受ブロック36を介して支点軸35の周りに揺動自在なルーパー駆動用リンク機構37が枢支されており、このリンク機構37の一端部にルーパー振り連結ロッド16の一端部16aを連結されているとともに、リンク機構37の他端部に下端部39aを枢支連結した連結シャフト39の上端部39bを、上記針振り機構Aにおけるリンク機構9と一体に揺動すべく突出させた突片38に形成の長孔38aに遊嵌接続して両リンク機構37,9を連結シャフト39を介して連動させることによって、上記針振り機構Aにおけるカム6をルーパー振り機構Bにおけるカムに兼用させている。つまり、カム6、連結シャフト39、リンク機構37、ルーパー振り連結ロッド16、球継手22、ルーパーシャフト21、ルーパーロッカー20及びルーパーホルダ19によりルーパー17を針棒14の左右方向への揺動移動に連動して縫製進行方向に対し直交する左右方向に移動させるルーパー振り機構Bが構成されている。
【0015】
上記のように構成された本発明の第1の実施の形態による二重環縫いピコットミシンにおいては、クランクシャフト2に連動する縦シャフト5の回転に伴い、針振り機構Aを構成するカム6、リンク機構9及び針振り連結ロッド11を介して針棒14及び支点軸15Aの周りで針12が図2(左死点)と図6(右死点)との間に亘って左右方向に揺動移動されるとともに、この針棒14及び針12の揺動移動に連動して上記ルーパー振り機構Bを構成する兼用カム6、連結シャフト39、リンク機構37及びルーパー振り連結ロッド16、球継手22、ルーパーシャフト21、ルーパーロッカー20及びルーパーホルダ19を介してルーパー17が左右方向に移動され、これら針12及びルーパー17の移動に伴って針板26の隣接する爪25,25間に針落ちさせて各爪25に縫目が形成され、かつ、各針落ち毎に送り歯27,28を介して布が縫製進行方向に送られることによって、図14に示すように、1サイクル4運針で、布端縁部Weに千鳥状の装飾用縁飾りP1(ピコットの一例)を形成したり、図15に示すように、2枚の布Wa,Wb端縁間に三角形状の縫目が結合された装飾かがりP2(ピコットの他の例)を形成したりするものである。
【0016】
このように針振り機構A及びルーパー振り機構Bの主要構成として共にカム6を使用することによって、針12及びルーパー17の振り運動タイミングを完全に同期させるとともに、図16の太い実線で示すように、縦シャフト5の1回転(0〜360°回転角)による針振り及びルーパー振り運動軌跡中の同一位置で針12及びルーパー17の振り運動を停止させることが可能であるから、針糸及びルーパー糸の糸調子を均等かつ安定化して針板26の各爪25…にそれぞれ二重環縫いの縫目を目飛びなどなく所定どおり形成させて、布端縁部Weへの装飾用縁飾りP1や2枚の布Wa,Wb端縁間に亘る装飾縁かがりP2等のピコットを確実かつ仕上がりよく形成することができる。
【0017】
また、縦シャフト5の上端部に固定した単一のカム6を針振り機構A及びルーパー振り機構Bに兼用させることによって、部品点数をできるだけ節減して組立の容易化及びコストダウンを図ることができるとともに、それら振り機構A,Bによるミシンケーシング1内の占有スペースを削減してミシンの小形化を図ることができる。
【0018】
図7及び図8は本発明の第2の実施の形態による二重環縫いピコットミシンの構成を示すものであり、上記第1の実施の形態による二重環縫いピコットミシンと異なる点は、ミシンケーシング1内に立設した縦シャフト5の上下両端部にそれぞれカム6,40を固定し、そのうち上端部のカム6を針振り機構A専用のカムとするとともに、下端部のカム40をルーパー振り機構B専用のカムとしたものである。なお、この第2の実施の形態の場合は、連結シャフト39の使用が不要である。
【0019】
このように、針振り機構A専用のカム6とルーパー振り機構B専用のカム40を各別に設けた第2の実施の形態による場合でも、針12及びルーパー17の振り運動タイミングを完全に同期化し、かつ、針振り及びルーパー振り運動軌跡中の同一位置で針12及びルーパー17の振り運動を停止することが可能であり、第1の実施の形態と同様な糸調子改善効果を奏することができる。
【0020】
なお、上記実施の形態では、4点千鳥状のピコットを形成するものについて説明したが、カム6または6,40の停止位置の設定数及び針板26における爪25の数を変更することで、4点以外に、2点、3点、5点等の複数点千鳥状のピコットも容易に形成することが可能である。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、針振り機構及びルーパー振り機構の主要構成として一本の縦シャフトに固定されたカムを使用することにより、針及びルーパーの振り運動タイミングを完全に同期させることができるとともに、両振り運動軌跡中の同一位置で針及びルーパーの振り運動を停止させることができるので、針糸及びルーパー糸の糸調子を均等かつ安定化して針板の各爪にそれぞれ二重環縫いの縫目を目飛びなどなく所定どおり形成させることができ、したがって、布端縁部への装飾用縁飾りや2枚の布端縁間に亘る装飾縁かがり等のピコットを確実かつ仕上がりよく形成することができるという効果を奏する。
【0022】
特に、請求項2に記載の構成を採用することにより、針振り機構及びルーパー振り機構の構成部品点数を節減するとともに、それらが占有するミシンケーシング内のスペースを削減して、組立の容易化及びコストダウン並びにこの種ピコミシンの小形化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による二重環縫いピコットミシンの全体構成を一部破断して示す斜視図である。
【図2】図1の要部で、針棒及び針が左死点に揺動移動している状態の正面図である。
【図3】図2のX−X矢視側面図である。
【図4】図2のY−Y矢視側面図である。
【図5】図2の要部の平面図である。
【図6】図1の要部で、針棒及び針が右死点に揺動移動している状態の正面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態による二重環縫いピコットミシンの要部の正面図である。
【図8】図7のZ−Z矢視側面図である。
【図9】従来の二重環縫いピコットミシンの全体構成を一部破断して示す斜視図である。
【図10】図9の要部で、針棒及び針が左死点に揺動移動している状態の正面図である。
【図11】図10のX´−X´矢視側面図である。
【図12】図9の要部で、針棒及び針が右死点に揺動移動している状態の正面図である。
【図13】本発明及び従来の二重環縫いピコットミシンにおいて共通する縫製部の構成を示す要部の斜視図である。
【図14】ピコット形態の一例を説明する概略平面図である。
【図15】ピコット形態の他の例を説明する概略平面図である。
【図16】4点千鳥状のピコットを形成するためのカム及びエキセンの運動軌跡を示す線図である。
【符号の説明】
1 ミシンケーシング
2 クランクシャフト(主軸)
5 縦シャフト
6,40 カム
7 カムローラ
8,35 支点軸
9,37 リンク機構
11 針振り連結ロッド
12 針
14 針棒
16 ルーパー振り連結ロッド
17 ルーパー
25 爪
26 針板
39 連結シャフト
A 針振り機構
B ルーパー振り機構
Claims (3)
- 針棒を縫製進行方向に対し直交する左右方向に平行移動させる針振り機構と、上記針棒の左右方向への平行移動に連動してルーパーを縫製進行方向に対し左右方向に移動させるルーパー振り機構とを備え、
針棒及びルーパーの左右方向への移動に伴って、針板の複数の爪に連続した環状の縫目を形成し、布端縁部にピコットを形成可能とした二重環縫いピコットミシンであって、
上記針振り機構が、主軸に連動させてミシンケーシング内に設けられた縦シャフトに固定したカムと、このカムにカムローラを介して支点軸周りに倣い揺動するリンク機構と、このリンク機構の支点軸周りの倣い揺動に連動して針棒を左右方向に移動させる針振り連結ロッドとから構成されているとともに、
上記ルーパー振り機構が、上記縦シャフトに固定したカムと、このカムにカムローラを介して支点軸周りに倣い揺動するリンク機構と、このリンク機構の支点軸周りの倣い揺動に連動してルーパーを左右方向に移動させるルーパー振り連結ロッドとから構成されていることを特徴とする二重環縫いピコットミシン。 - 上記ルーパー振り機構におけるカムが上記針振り機構におけるカムで兼用されており、ルーパー振り機構におけるリンク機構と針振り機構におけるリンク機構との間には両リンク機構を連動させる連結シャフトが設けられている請求項1に記載の二重環縫いピコットミシン。
- 上記ルーパー振り機構におけるカムと上記針振り機構におけるカムとが縦シャフトの上下位置に各別に固定されている請求項1に記載の二重環縫いピコットミシン。
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CN102877222A (zh) * | 2012-10-19 | 2013-01-16 | 浙江美机缝纫机有限公司 | 珠边线迹缝纫机 |
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