JP4230100B2 - フューエルレール - Google Patents

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Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のエンジンに燃料を供給する燃料供給系で利用されるフューエルレールに係り、特に、インジェクタの開閉に伴って燃料供給配管内に発生する燃料の圧力変化を抑制するフューエルレールに関する。
【０００２】
【従来の技術】
自動車のエンジンにおける燃料供給系では、燃料供給配管にインジェクタに燃料を分配するフューエルレールを接続し、電子制御のインジェクタから適正量の燃料をエンジンの吸気ポートに噴射する。
【０００３】
この種の燃料供給系では、インジェクタから燃料を噴射すると、燃料供給配管内の燃料体積の減少により圧力が減少し、インジェクタを閉じると燃料の圧力が上昇するというように、燃料の圧力が交互に増減する脈動現象が顕著に現れる。この燃料の脈動は振動となって車体に伝わり、車体の床下から車内に騒音となって伝わるという問題を惹起する。このため、従来から燃料の脈動を低減させるための種々の改良が提案されている。
【０００４】
従来、一般的なのは、脈動を吸収するパルセーションダンパやゴムチューブ等の減衰要素を燃料配管の途中に接続するもので、この種の従来技術としては、例えば、実開昭６２−２６５６１号に開示されているものを挙げることができる。
【０００５】
また、フューエルレールにパルセーションダンパを外付けするタイプのものや、フューエルレールの内部にパルセーションダンパを収容するタイプの従来技術も知られている（例えば、米国特許第５，６１７，８２７号参照）。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、パルセーションダンパを燃料供給配管の途中に接続するタイプのものは、車体側の配管スペースによる配管引き回し上での制約があり、また、パルセーションダンパの単体自体が安価でない上に燃料供給配管との接続用の部品が別途必要となる。また、実開昭６２−２６５６１号の従来技術のように、通路容積を膨縮可能な弾性部材よりなる脈動減衰管を燃料供給管として利用する場合、燃料の圧力減少を吸収する作用がパルセーションダンパに比べて劣るとともに、耐圧性能が他の燃料供給管を構成するチューブに比べて低いため、信頼性の点で問題がある。
【０００７】
一方、パルセーションダンパを外付けするタイプの従来のフューエルレールは、構造が複雑となり部品点数が増加しコスト高となる欠点があり、パルセーションダンパを内部に収納するタイプのものも、同様にダンパの固定構造やシール構造が必要となりコストが増大する。
【０００８】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の有する問題点を解消し、燃料噴射時の燃料供給配管内部の圧力変化の抑制効果に優れ、シンプルな構造で部品点数が少なく、信頼性の高いフューエルレールを提供することにある。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、請求項１に記載した発明は、燃料を自動車のエンジンに導く燃料供給配管と接続され燃料をインジェクタに分配するフューエルレールにおいて、内部に空気室が気密に区画され、前記空気室を外気に通じさせる空気穴を密閉するキャップ部材を有する二重構造の本体ケースを有し、前記空気室を区画する隔壁が金属製薄板からなることを特徴とするものである。
【００１０】
この請求項１に係る発明によれば、燃料噴射時に管内容積が減少して空気室の圧力と燃料圧力のバランスがくずれようとすると、空気圧力に押されて薄板の鋼板からなる隔壁が変形して管内容積の減少を吸収する。これにより、インジェクタでの燃料噴射時の管内の圧力変化を抑制することができる。また、本体ケースを炉中ロー付けで組み立てる場合には、空気孔を開放してロー付けを行い、本体ケースを一体にしてから気密検査をした後にキャップ部材で空気室を密閉すればよい。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるフューエルレールの一実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
第１実施形態
図１は、本発明の第１の実施形態によるフューエルレールを示す断面図である。この図１において、参照符号１０は、フューエルレールの全体を示している。このフューエルレール１０は、自動車のエンジンに燃料を供給するリターンレスタイプの燃料供給装置に使用されるものである。１２は燃料供給配管で、フューエルレール１０は、この燃料供給管１２を介して図示されない燃料ポンプと接続されている。
【００１２】
フューエルレール１０は、一方向に長い箱状の金属製の本体ケースからなり、この本体ケースは、下部ケース１４と、上部ケース１６に２分割した構造となっており、下部ケース１４と上部ケース１６とはロー付けによって結合されるようになっている。下部ケース１４の底部には、インジェクタが装着される複数個のインジェクタホルダ１８が長手方向に所定の間隔で取り付けられている。
【００１３】
他方、上部ケース１６の内部には、筐体状のウォールパネル２０が取り付けられることによって、空気室２２が気密に区画された２重構造になっている。このウォールパネル２０は、薄板の鋼板からなるもので、フューエルレール１０の内部空間２３と空気室２２を隔壁２４で区画している。薄板の鋼板としては、好ましくは、板厚が０．７ｍｍ程度のニッケルメッキ鋼板が用いられ、このニッケルメッキ鋼板を絞り加工して薄底のフランジ付きの細長い箱状のウォールパネル２０に成形されている。上部ケース１６の内側面に対してフランジ部２０ａはロー付けによって結合している。上部ケース１６の中央部には、空気穴２６が開口しており、この空気穴２６には、キャップ部材２８が挿着されることで密閉されている。
【００１４】
本実施形態によるフューエルレールは、以上のように構成されるものであり、次に、その作用について説明する。
図１において、図示しないポンプから吐出された燃料が燃料供給配管１２を通ってフューエルレール１０に供給されると、インジェクタを介して燃料がエンジンに分配され、インジェクタが開いたときに燃料がエンジンに噴射される。このとき、噴射された燃料分だけフューエルレール１０および燃料供給配管１２を含む燃料供給系の管内容積が減少しようとするが、次のようにして容積変化が吸収される。
【００１５】
すなわちフューエル１２では、ウォールパネル２０で区画された空気室２２には空気が密封されているため、管内容積が減少して空気室２２の圧力と内部空間２３の燃料圧力のバランスがくずれようとすると、空気圧力に押されて薄板の鋼板からなる隔壁２４が変形して管内容積の減少を吸収する。これにより、インジェクタでの燃料噴射時の管内の圧力変化を抑制することができる。
【００１６】
このように、上部ケース１６を空気室２２が薄板鋼板の隔壁２４で区画された二重構造とすることにより、部品点数を大幅に削減しながらもダンパーと同様の機能をフューエルレール１０に付加することができる。
【００１７】
しかも、隔壁２４を構成するウォールパネル２０の素材にニッケルメッキ鋼板を使用することにより、空気室２２の内壁面があらかじめメッキにより表面処理されたかたちになるため、空気との接触による錆の発生を防止することができ、長期間にわたって使用寿命を確保することが可能となる。
【００１８】
さらに、フューエルレール１０を組立てる過程では、炉中ロー付けによって上部ケース１６、ウォールパネル２０、下部ケース１４とを一体にする場合には、空気穴２２を開放しておいて行うことができるとともに、一体にしてから気密検査を行なった後にキャップ２８で密閉すればよく、確実に気密性をチェックすることが可能となり、信頼性を高めることができる。また、使用中に万が一にウォールパネル２０に穴があいても、燃料が外部に漏れることがないという利点がある。
【００１９】
第２実施形態
図２は、本発明の第２の実施形態によるフューエルレールを示す断面図である。
この第２実施形態によるフューエルレール３０は、第１実施形態のフューエルレール１０と空気室２２の区画構造が異なるものであり、その他の同一の構成要素には同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。
【００２０】
この第２実施形態では、２段底に成形した上部ケース３２を用い、その段部３３を利用して平板な薄板鋼板３４をロー付けすることで、この薄板鋼板３４を隔壁として空気室２２を気密に区画するようにした実施の形態である。このように上部ケース３２では、空気室２２を区画する２重構造に薄板鋼板３４との組み合わせによる設計の自由度が大きいので、取付スペース等に応じて柔軟な２重構造にすることができる。
【００２１】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るフューエルレールは、内部に空気室が気密に区画され、前記空気室を外気に通じさせる空気穴を密閉するキャップ部材を有する二重構造の本体ケースを有し、前記空気室を区画する隔壁が金属製薄板からなるので、燃料噴射時の燃料供給配管内部の圧力変化の抑制効果に優れ、シンプルな構造で部品点数が少なくコスト低減を達成でき、さらに空気室の気密性に対する信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１の実施形態によるフューエルレールを示す縦断面図。
【図２】本発明の第２の実施形態によるフューエルレールを示す縦断面図。
【符号の説明】
１０ フューエルレール
１２ 燃料供給配管
１４ 下部ケース
１６ 上部ケース
１８ インジェクタホルダ
２０ ウォールパネル
２２ 空気室
２３ 内部空間
２４ 隔壁
２６ 空気穴
２８ キャップ部材
３４ 薄板鋼板

Claims (3)

  1. 燃料を自動車のエンジンに導く燃料供給配管と接続され燃料をインジェクタに分配するフューエルレールにおいて、内部に空気室が気密に区画され、前記空気室を外気に通じさせる空気穴を密閉するキャップ部材を有する二重構造の本体ケースを有し、前記空気室を区画する隔壁が金属製薄板からなることを特徴とするフューエルレール。
  2. 前記本体ケースは、空気室が区画され、前記キャップ部材を有する２重構造の上部ケースと、インジェクタホルダが取り付けられる下部ケースとからなることを特徴とする請求項１に記載のフューエルレール。
  3. 前記金属製薄板は、Ｎｉメッキ鋼板からなることを特徴とする請求項１に記載のフューエルレール。
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