JP4229789B2 - アイロンおよびそれを用いた浄化方法 - Google Patents

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この発明は、繊維製品などに用いるアイロン、および、そのアイロンを用いた、繊維製品などの浄化方法に関する。
特許文献1および特許文献2には、プラズマ生成用ガスを供給するとともに、大気圧近傍の圧力下でプラズマを生成し、その際生成されたガスの活性種により、被洗浄物を洗浄する装置が開示されている。
特開平8−78529号公報 特開2002−1253号公報
上記の特許文献1および2に記載された装置は、いずれも電子部品などの表面の金属酸化物を還元洗浄する装置であり、衣類、布団等の繊維製品の洗浄については何ら開示されていない。
また、近年の生活習慣として、あまり汚れていなくとも洗濯をしたり、柔軟剤を付加したり、消臭剤を付加するなどが行われている。これらの行為は衛生面では貢献があるものの、環境を保全し継続発展が可能な社会の実現を目指す生活志向との均衡が十分ではない。
一方、環境技術や表面処理技術の進歩は目覚しく、とりわけ薬剤を用いず処理が可能なプラズマが注目され始めている。
したがって、この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、薬剤や洗剤を用いずに、衣類等に付着した匂いや汚れを分解して浄化するアイロンおよびそれを用いた浄化方法を提供することを目的とする。
この発明に基づいたアイロンに従えば、プラズマ発生装置を備えている。上記アイロンによれば、プラズマ発生装置を備えているので、プラズマ発生装置により生成した活性種により、衣類などに付着した汚れ、害虫などの汚染物質を分解または殺虫することができる。また、アイロンにプラズマ発生装置を備えたので、アイロン掛けと同時またはアイロン掛けの前やアイロン掛けの後に、衣類などに付着した汚染物質を浄化することができ、作業性が向上する。
上記アイロンにおいて好ましくは、プラズマ発生装置は大気圧下において放電を行なうことにより活性種を生成する装置である。この構成によると、プラズマ発生装置を簡単な構成にすることができる。
上記アイロンにおいてさらに好ましくは、上記プラズマ発生装置における放電中に、空気以外のガスを上記プラズマ発生装置の周囲に供給するガス供給装置をさらに備えている。ガス供給装置により水蒸気を供給することも好ましい。さらに、供給するガスの量を調節する手段を設けることも好ましい。この構成によると、水蒸気などのガスにより、プラズマが発生する領域を拡大することができる。また、水蒸気を構成するH2Oが分解されて生成されたラジカルにより、汚染物質を浄化する効果を向上させることができる。さらに、水蒸気などのガスの供給量を調節する手段を設けることで、その効果を最適化することができる。
上記アイロンにおいてさらに好ましくは、アイロン底面が対象物から離れたことを検知すると、上記プラズマ発生装置を停止させる停止装置をさらに備えている。この構成によると、アイロン底面が対象物から離れた状態では、プラズマ発生装置が停止するので、プラズマ発生装置の放電中の電極などに、人体が誤って触れることを防止することができる。
上記アイロンにおいてさらに好ましくは、上記プラズマ発生装置は、アイロン底面に近接して設けられ、上記アイロン底面には、上記プラズマ発生装置で生成した活性種を送出する開口が設けられている。この構成によると、プラズマ発生装置がアイロン底面に近接して設けられているので、プラズマ発生装置により生成した活性種を、汚染物質に効果的に供給することができ、浄化性能が向上する。
上記アイロンにおいてさらに好ましくは、上記プラズマ発生装置は、アイロン底面に設けられた凹部内に配設され、上記プラズマ発生装置の放電電極は、アイロン底面から所定間隔を隔てて設けられている。この構成によると、プラズマ発生装置の電極と衣類などの浄化対象物とが所定間隔隔てられて配置されるので、衣類などが放電により損傷することを防止することができる。
上記アイロンにおいてさらに好ましくは、アイロン底面を構成し、内部にヒータを有する加熱部と、加熱部が連結されるアイロン本体部とを備えている。アイロン本体部に上記プラズマ発生装置が設けられていると共に、上記加熱部と前記アイロン本体部とは着脱可能である。上記加熱部を取り外した状態において、上記プラズマ発生装置は、アイロン本体部の下面に活性種を送出可能である。この構成によると、加熱部を取り外した状態において、プラズマ発生装置で活性種を生成することで、衣類などを浄化することができるので、アイロン本体部の下面には、広い面積の開口を形成することができ、多数のプラズマ発生装置を配列することができる。これにより効果的に浄化を行なうことができる。
上記のアイロンを用いて、次のような工程により汚染物質が付着した衣類などの対象物を浄化することができる。まず、プラズマ発生装置を対象物に対向させる。次に、プラズマ発生装置を作動させて、プラズマ発生装置から活性種を発生させ、活性種を汚染物質に接触させる。これにより衣類などの浄化対象物に付着した汚染物質を減少させる。このような工程により、洗剤などを用いることなく、衣類などを洗浄することができる。
本発明に係るアイロンによると、洗剤などを用いることなく、汚染物質が付着した洗浄対象物を、プラズマ発生装置で生成した活性種により浄化することができる。
本発明の基本的な拠り所は、熱的に非平衡な状態、即ち、気体やイオンの温度に対して電子温度が高い状態のプラズマでは、電子衝突で発生するイオンやラジカルが常温では起こらない化学反応を起こすところにある。下記の実施の形態で用いるプラズマ発生装置においては、放電によりプラズマが生成される。
これについて説明すると、放電によって、空気及び空気中の水分が高速に加速された電子と衝突し、電離、解離、励起などが起こり、OHやH、N、O、HO、オゾンなどのラジカルが生成される。これらのラジカルが、有機物に接触すると、その分子を切断したり分解する。
プラズマにおけるラジカルの生成過程や生じる物質、さらには物質が分解される過程は十分に解明されていない。しかし、効果はいくつかの分野で確認されており、LSIや液晶技術の分野における表面処理や、環境技術分野におけるダイオキシンの分解などで実用化も進んでいる。
本発明は、上記の産業分野で実用化が進んでいる、物質の分解や改質に関する技術を、日常生活の中に応用しようとするものであり、軽微な汚れや、洗濯による匂い等が付着した衣類、ハンカチ、タオル等を処理の対象とする発明である。衣類などに付着する汚れの多くは有機物でできており、繊維に絡まっているが、プラズマによりその分子が切断されたり、他の気体または液体物質に分解される。このような着眼は従来にはなかったものである。
さらに、放電の電撃パルスはダニや蚤などの表皮を損傷させ、殺すことも可能であるし、ラジカルが侵入してその組織を破壊するという2次的な効果もある。これにより、たとえば、アイロン台等に巣くう害虫などを確実に殺すことができる。
(実施の形態1)
以下、実施の形態1におけるアイロンについて、図1から図12を参照して説明する。なお、図1は、本実施の形態におけるアイロンの使用状態を示す側面図である。図2は、図1におけるA部拡大図である。図3は、アイロンの底面図である。図4は、加熱部の図3におけるB−B矢視断面図である。図5は、加熱部の変形例の図3におけるB−B矢視断面図である。図6は、プラズマ発生装置の縦断面図である。図7は、プラズマ発生装置の平面図である。図8は、異なるプラズマ発生装置を示す平面図である。図9は、加熱部の図3におけるB−B矢視断面図である。図10は、プラズマ発生装置に印加する電圧の波形の一例である。図11は、停止装置の構造を示す縦断面図である。図12は、本実施の形態におけるアイロンの効果を確認する実験の方法を示す説明図である。
図1では、衣類の繊維に絡んだ汚れを、本実施の形態のアイロン1で処理する工程を示している。アイロン1は、把手部11とアイロン本体部21と加熱部51とで構成されている。把手部11には、図示しない、電源スイッチや温度調節スイッチなどが設けられている他、後述するプラズマ発生装置71の動作をコントロールするスイッチなどが設けられている。
図1のA部を拡大した図2に模式的に示すような衣類等の繊維製品91の繊維に絡んだ汚れ(汚染物質)95は、有機物の分子と考えることができる。この分子が、プラズマ発生装置71で生成される活性種96により切断あるいは分解されると、汚れ95を繊維から容易に離脱させることができる。
図3に示すように、アイロン1の底面を構成する加熱部51には、プラズマ発生装置71で生成した活性種を、対象物である繊維製品などに向かって送出するため、一対の開口52が設けられている。各開口52の内部には、それぞれプラズマ発生装置71が配設されている。この開口52を設ける位置や大きさは、種々変更することができる。たとえば、アイロン本来の機能より、プラズマ発生装置71による浄化機能を優先する場合には、開口52を拡大し、図3の境界線Cで囲まれた領域の全てを開口52としてもよい。この場合には、プラズマ発生装置71も増設し、上記領域内に均等に分布するように配設する。
またアイロン1の底面の先端部および中央部後寄りには、それぞれ複数の蒸気排出口53が設けられている。これは、いわゆるスチームアイロンとしてこのアイロン1を使用する際に、蒸気を繊維製品に向かって放出するものである。アイロン1の底面の後端部付近には、棒状に構成されたアクチュエータ61の先端が突出している。これについては後述する。
図4に示すように、加熱部51は、中空の断面台形状に構成されている。加熱部51の加熱部本体55は、鉄などの金属で構成され、表面にはフッ素樹脂塗装が施されている。加熱部本体55の上面の開口には、蓋体57が配設されている。加熱部51の内部には、電熱線などで構成されたヒータ66が設けられており、加熱部51の下面を高温にすることができる。
開口52の上方には、上述のようにプラズマ発生装置71が設けられている。プラズマ発生装置71は、保持部81に保持されており、プラズマ発生装置71は、加熱部本体55には直接接触しないように構成されている。また、プラズマ発生装置71の下面は、加熱部51の下面近傍に位置している。保持部81には、図示しない電線などが設けられており、プラズマ発生装置71に電気を供給している。プラズマ発生装置71については、詳しくは後述するが、本実施の形態では、誘電体72と板状電極73と、対極電極74とで構成している。
図5に示す変形例には、加熱部51の上面に蒸気排出部82が設けられている。蒸気排出部82から蒸気が排出されて、加熱部51内部の中空部56全体に蒸気が供給される。この蒸気排出部82には、たとえば図5に示すような蒸気発生装置83が接続され、この蒸気発生装置83からの蒸気がこの蒸気排出部82に導かれる。蒸気発生装置83については、詳しくは説明しないが、通常のスチームアイロンに設けられているような周知の蒸気発生装置を用いることができる。この蒸気排出部82から排出される蒸気の作用については後述するが、蒸気をプラズマ発生装置71の周囲に充満させるようにすればよい。この蒸気の量を調節するため、蒸気排出部82または蒸気発生装置83には、図示しない開閉弁などで構成された調節手段が設けられている。なおこの蒸気排出部82および蒸気発生装置83は、省略することも可能である。
本実施の形態では、プラズマ発生装置71として、沿面放電プラズマと呼ばれるプラズマを発生する装置を用いている。このプラズマ発生装置71の構造について説明する。プラズマ発生装置71は、誘電体72と、その表面に設けられた複数の細い板状電極73を有している。板状電極73は、相互に適当な間隔、たとえば0.5mmから2mmの間隔を隔てて取り付ける。誘電体72としては、たとえばアルミナセラミックスなどの材料からなるものを用いることができる。誘電体72の内部には、放電のための細長い対極電極74が埋め込まれている。この対極電極74には、リード線75が接続され、プラズマ発生装置71の下面側から外部に導出されている。プラズマ発生装置71は、この板状電極73が、繊維製品などの対象物に対向するように配置される。すなわち、図6におけるプラズマ発生装置71の板状電極73の上面が、図4および5におけるプラズマ発生装置71の下面側となるように、保持部81にプラズマ発生装置71を取り付ける。図4および図5に示す実施の形態では、この板状電極73を2列に並べて配設している。
この板状電極73と対極電極74との間には、適当な周波数、たとえば数百Hzから数十kHzの周波数の交流電圧や、繰り返しパルス状の高い電圧が印加される。これにより、誘電体72の表面に沿って強い電界が誘起され、放電が発生する。放電は、障害物が無い空気中であると放電の経路が集中してしまうが、誘電体72が設けられていることにより、それが緩和される。これにより、誘電体72の表面に沿って、放電が広がり、その周辺に高密度のプラズマが生成され、これにより汚れ成分の切断や、分解、ダニや蚤などの殺虫を行うことができる。前述の蒸気排出部82から排出される蒸気も、この誘電体72と同様の作用を行なう。
蒸気が、プラズマ発生装置71の周囲に充満している場合には、プラズマ発生装置71の周囲に空気のみが存在する場合に比べてプラズマが拡散し、広い範囲でプラズマが発生する。電極間に誘電体が存在すると、誘電体の散在範囲に放電が拡散することが知られている。この実施の形態のように水蒸気を供給した場合には、水蒸気が誘電体として機能し、プラズマが発生する領域を拡大させることができる。このプラズマ発生装置71の周囲に供給するガスは、水蒸気に限定されず、同様の機能を有する、水蒸気以外のガスであっても良い。
さらに、汚れ95の浄化に寄与する活性種の多くは、水(H2O)が電離、解離、分離してできると考えられる。そのため、水蒸気(H2O)を豊富に含む雰囲気を形成することにより、プラズマ発生装置71によりこれらの浄化に寄与する活性種が多く生成され、浄化性能を向上させることができる。
このように、誘電体72および水蒸気などの空気以外のガスの作用により、プラズマの発生する領域を拡大することができる。これにより、プラズマの生成に伴なって生成された活性種が、広い範囲で生成され、この活性種が衣類やハンカチなどの繊維製品に付着した有機物からなる汚れの成分を効果的に切断および分解することができる。
プラズマ発生装置71としては、図6および図7に示したようなものの他、たとえば、図8に示したようなものも用いることができる。図8に示すプラズマ発生装置71は、対向する基板77と、その内側面にその先端が相互に対向するように配設された、多数の露出した針状の電極78を有している。この電極78間には、上記の場合と同様に、交流電圧や繰り返しパルス状の電圧が印加され、電極78間にプラズマが発生する。このプラズマ発生装置71を用いる場合には、図9に示すように、露出した針状の電極78が水平になるように保持部81にプラズマ発生装置71を取り付ければ良い。
このように露出した電極78を用いた場合には、露出した電極78から発生したプラズマにより、繊維製品などに付着した害虫の表皮に、電撃パルスにより直接打撃を与えることができ、これらの害虫を殺す効果が向上する。なお、ここでは複数の電極78が対向するプラズマ発生装置71を用いているが、一対の電極が対向するプラズマ発生装置を用いたり、複数の針状の電極と1枚の平板電極が対向するものや、複数の針状の電極と線状の電極とが対向するものも用いることができる。
さらに、アイロン1に、図6および図7に示したような、沿面放電を行なうプラズマ発生装置71と、図8に示したような、複数の電極78が露出したプラズマ発生装置71の両方を設けるようにしても良い。これにより、沿面放電により発生した活性種による汚れを除去する効果と、露出した電極78からの電撃パルスによる殺虫効果とを両立することができる。
このプラズマ発生装置71の構造や、印加する電圧や周波数やその波形を変更することにより様々なプラズマ発生装置71を構成することができる。このプラズマ発生装置71は、たとえば、ガス点火装置に用いられるいわゆるイグナイターや、空気清浄機等に用いられるイオン発生器、オゾン発生器に類似する。
プラズマ発生装置71に印加する電圧の波形の一例を、図10に示す。ここで、図10に示した波形は、電源の出力部における波形であり、板状電極73と対極電極74との間や、電極78間に実際に印加される波形とは異なる。これは、電極周囲の電気的な条件により変化するためである。プラズマ発生装置71の構造に応じて、その性能が最大限に発揮されるように、プラズマ発生装置71に印加する電圧の波形や、周波数を調節すれば良い。
本実施の形態のアイロン1の底面の後端部付近には、前述のようにアクチュエータ61の先端が突出している。図11に示すように、このアクチュエータ61は、ばね65によりそのフランジ部62が付勢されており、ばね65に抗するような力が加わることで、アクチュエータ61は後退する。アクチュエータ61が後退すると、アクチュエータ61の後端部がスイッチ63を押して接点を閉じ、プラズマ発生装置71に通電することができる。アイロン1を使用するときには、アクチュエータ61の先端が、繊維製品などのアイロン対象物に押圧されるので、これによりアクチュエータ61が後退してスイッチ63の接点を閉じ、プラズマ発生装置71を作動させる。
これらにより、アイロン1を使用している状態においてのみプラズマ発生装置71を作動させて放電によりプラズマを発生し、アイロン1を使用しない状態においては、プラズマ発生装置71を作動させず放電を行なわないようにする、停止装置を構成している。この停止装置としては、アイロン1の底面と対象物とが接触したことを検知するセンサを備えたものや、アイロン1の底面の角度を検知し、アイロン1の底面が水平の場合にのみプラズマ発生装置71に通電するようにしたものなどを用いることもできる。
このような停止装置を設けたことにより、アイロン1を使用しない状態においては、放電が停止されるので、放電中のプラズマ発生装置71に、人体が誤って触れることを防止することができる。
次に、このプラズマ発生装置71を備えたアイロン1の使用方法について説明する。図1および図2に示すように、まずアイロン台92などの上に、衣類、ハンカチなどの繊維製品91を配置し、アイロン1のプラズマ発生装置71が、対象物の汚れ95など、処理したい箇所に対向するように、アイロン1を対象物に押し当てる。このとき、アクチュエータ61が押圧されて、プラズマ発生装置71が作動し、放電が開始される。さらに、プラズマ発生装置71の作動と同時に、蒸気排出部82から蒸気が排出されて、プラズマ発生装置71の周囲が蒸気で満たされる。これにより、プラズマ発生装置71の周囲の広い範囲に、高密度のプラズマが発生する。これにともなって、高濃度の活性種が生成され、この活性種が対象物の汚れ95に作用することにより汚れ95の成分を、分解および切断する。
衣類などについた汚れ95のうち、醤油や油などの染みも、プラズマ発生装置71で生成されるラジカルの作用により分解され、除去することができる。この染みの除去は、寸時に行なうことはできないので、アイロン1を対象物に乗せた状態で、アイロン1による加熱は行なわずに、プラズマ発生装置71のみ作動させて長時間処理することが好ましい。このため、アイロン1の把手部11に設けた温度調節スイッチにより、アイロン1による加熱を行なわないことを選択できるようにしておく。また、専用の「汚れ分解スイッチ」を設けるようにしてもよい。これらにより、プラズマ発生装置71のみ、または、プラズマ発生装置71と蒸気発生装置のみを作動させることができるようにする。
汚れや染みを除去する、処理時間は、その汚れの程度や、プラズマの強さなどによって変化する。この汚れや染みは、一時に除去しなくても、日常のアイロン掛けのときに、プラズマ発生装置71を作動させておけば、徐々に分解されて除去される。
このプラズマ発生装置71を備えたアイロン1の汚れを除去する効果を、次のような実験により確認した。醤油などで全面を汚した衣類などの繊維製品91に、本実施の形態のアイロン1を約10分間密着させ、その効果を目視で確認した。アイロン1による加熱は行なわなかった。その結果、図12に示すように、プラズマ発生装置71を設けた開口52に対応する領域91aのみ、色調に変化が現れ、その効果が確認できた。
さらに、殺虫効果についても、次の実験により確認した。ダニが繁殖した繊維製品に、本実施の形態のプラズマ発生装置71を備えたアイロン1を密着させた。プラズマ発生装置71に通電し、プラズマを発生させ、約10分間放置した。アイロン1による加熱は行なわなかった。ルーペにて観察したところ、ダニの屍骸が確認された。この実験においては、同様の装置を2組製作し、一方にはプラズマ発生装置71に通電し、他方にはプラズマ発生装置71に通電せず、その比較における有意差で効果を確認した。その結果明らかに、プラズマ発生装置71に通電した場合の方が、殺虫効果が高いことが確認できた。
(実施の形態2)
実施の形態2について、図13に基づき説明する。図13は、アイロンの加熱部付近の構造を示す、一部を省略した縦断面図である。なお、実施の形態1と同様の機能を持つ構成には、同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
ヒータ66を備えた加熱部51の下面には、実施の形態1より大きい開口52が形成されている。開口52の内部には、下面が開放した、箱状の誘電体72が配設されている。誘電体72は、開放した下面に連通する凹部86が形成されており、その凹部86の天井面には、板状電極73が配設されている。図13では、一例として2列に板状電極73を並べた状態を示しているが、板状電極73を配設する方向や数は、必要に応じて種々変更することができる。
実施の形態1では、加熱部51の底面の近傍にプラズマ発生装置71およびその板状電極73を設けたが、この実施の形態では、板状電極73を凹部86の天井面に設けている。これにより、加熱部51の下面と、板状電極73の下面とが、所定間隔隔てられる。プラズマ発生装置71で放電が開始されると、対象の布や繊維の種類によっては、これらが放電に接触すると損傷するものがある。このように加熱部51の下面から板状電極73を所定間隔離すことにより、対象物が放電に接することを防止することができる。
開口52は、開口52から下方に開放することでプラズマ発生装置71で生成した活性種が送出されるように構成すればよい。たとえば開口52に多数の貫通孔を有する保護板などを配することで、活性種を対象物に送出できると共に、対象物がプラズマ発生装置71の放電に接触することを確実に防止することができる。
(実施の形態3)
実施の形態3について、図14に基づき説明する。図14は、アイロンの構造を示す、縦断面図である。なお、実施の形態1と同様の機能を持つ構成には、同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
本実施の形態においては、加熱部51をアイロン本体部21から着脱可能とし、プラズマ発生装置71をアイロン本体部21に設けている。加熱部51の後端部の上面には受電側コネクタ87が設けられており、アイロン本体部21には、これに対応する位置に給電側コネクタ88が設けられている。また、アイロン本体部21と加熱部51とを着脱自在に固定するための、図示しないロック手段が設けられている。アイロン本体部21には、内部に複数のプラズマ発生装置71が設けられている。プラズマ発生装置71の配置や数は、その目的に応じて種々変更し得る。
対象物を浄化する場合には、ロック手段を解除して加熱部51を取り外し、プラズマ発生装置71をアイロン本体部21の下面に露出させる。アイロン本体部21の筐体により処理対象物の処理する領域を覆うように、アイロン本体部21を配置する。プラズマ発生装置71に通電してプラズマを生成する。このとき、対象物の周囲は、アイロン本体部21の筐体により密閉されているので、プラズマ発生装置71で生成された活性種が、拡散することがなく、効果的に対象物に作用する。また、アイロン本体部21の下面の略全面を開口とすることができるので、一度に対象物の広い面積を処理することができる。
この実施の形態のアイロン1を本来のアイロンとして用いる場合には、アイロン本体部21に加熱部51を取り付け、ロック手段により固定すると共に、受電側コネクタ87と給電側コネクタ88とを接続する。これにより、加熱部51のヒータ66に電気が供給されて、アイロンとして使用することができる。
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるのではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
この発明に基づいた実施の形態1におけるアイロンの使用状態を示す側面図である。 この発明に基づいた実施の形態1におけるアイロンの、図1におけるA部拡大図である。 この発明に基づいた実施の形態1におけるアイロンの底面図である。 この発明に基づいた実施の形態1における加熱部の、図3におけるB−B矢視断面図である。 この発明に基づいた実施の形態1における加熱部の変形例の、図3におけるB−B矢視断面図である。 この発明に基づいた実施の形態1におけるプラズマ発生装置の縦断面図である。 この発明に基づいた実施の形態1におけるプラズマ発生装置の平面図である。 この発明に基づいた実施の形態1における異なるプラズマ発生装置の平面図である。 この発明に基づいた実施の形態1における加熱部の、異なるプラズマ発生装置を用いた場合の、図3におけるB−B矢視断面図である。 この発明に基づいた実施の形態1におけるプラズマ発生装置に印加する電圧の波形の一例を示す図である。 この発明に基づいた実施の形態1における停止装置の構造を示す縦断面図である。 この発明に基づいた実施の形態1におけるアイロンの効果を確認する実験の方法を示す説明図である。 この発明に基づいた実施の形態2におけるアイロンの加熱部付近の構造を示す、一部を省略した縦断面図である。 この発明に基づいた実施の形態3におけるアイロンの構造を示す、縦断面図である。
符号の説明
1 アイロン、21 アイロン本体部、51 加熱部、52 開口、53 蒸気排出口、61 アクチュエータ、63 スイッチ、66 ヒータ、71 プラズマ発生装置、72 誘電体、73 板状電極、74 対極電極、82 蒸気排出部、86 凹部、87 受電側コネクタ、88 給電側コネクタ、91 繊維製品。

Claims (8)

  1. 把手が設けられたアイロン本体部と、
    アイロン本体部に固定され、アイロン底面を構成する加熱部と、
    放電電極を有するプラズマ発生装置とを備え、
    前記プラズマ発生装置は、前記アイロン底面に設けられた開口部内または前記アイロン底面に設けられた凹部内に配設され、
    前記プラズマ発生装置の放電電極は、該放電電極による放電が処理対象物と間隔を隔てかつ処理対象物に少なくとも一部が対向して発生するように設けられている、アイロン。
  2. アイロン底面を構成し、内部にヒータを有する加熱部と、前記加熱部が連結されるアイロン本体部とを備え、
    前記アイロン本体部にプラズマ発生装置が設けられていると共に、前記加熱部と前記アイロン本体部とは着脱可能であり、
    前記加熱部を取り外した状態において、前記プラズマ発生装置は、前記アイロン本体部の下面に活性種を送出可能である、アイロン。
  3. 前記プラズマ発生装置は、大気圧下において放電を行なうことにより活性種を生成する、請求項1または2に記載のアイロン。
  4. 前記プラズマ発生装置における放電中に、空気以外のガスを前記プラズマ発生装置の周囲に供給するガス供給装置をさらに備えた、請求項1からのいずれかに記載のアイロン。
  5. 前記ガス供給装置は、前記空気以外のガスとして水蒸気を供給する、請求項に記載の
    アイロン。
  6. 前記ガス供給装置は、供給するガスの量を調節する手段を有する、請求項またはに記載のアイロン。
  7. アイロン底面が対象物から離れたことを検知すると、前記プラズマ発生装置を停止させる停止装置をさらに備えた、請求項1からのいずれかに記載のアイロン。
  8. 請求項1からのいずれかに記載のアイロンを用いた浄化方法であって、
    前記プラズマ発生装置を、浄化対象物に付着した汚染物質に対向させて配置し、
    前記プラズマ発生装置を作動させて、前記プラズマ発生装置から活性種を発生させ、前記活性種を汚染物質に接触させることにより浄化対象物に付着した汚染物質を減少させる、浄化方法。
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