JP4227881B2 - 成人t細胞白血病診断薬 - Google Patents

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本発明は、白血病の一種である成人T細胞白血病の診断薬に関する。
成人T細胞白血病(adult T-cell leukemia;以下ATLと称する)は、臓器浸潤を伴う予後不良の疾患であり、南九州を中心とする地域において特異的に見られる疾患として知られている。ATLは、リンパ球の中でT細胞が悪性化してリンパ節や血液の中で急激に異常増加して起こる白血病であり、その発症の基礎疾患としてはヒトT細胞白血病ウイルス(human T-cell leukemia virus type1;以下、HTLV-1と称する)の感染がある。このATLは、HTLV-1に感染してから発症までの潜伏期間が長く、また治療法についてもまだ完全に確立されたとは言えない。
このような状況下においては、発症前の診断が非常に重要である。ATL診断方法としては、細胞の形態、細胞表面マーカー検索或いはサザン法を利用したHTLV-1のゲノム挿入の有無などが知られている(非特許文献1及び2参照)。しかしながら、これらの方法は、ATL発症後の診断であり、発症前の前段階を診断することは不可能である。
三輪史朗、青木延雄、柴田昭編集「血液病学」第二版、P1081〜1089、文光堂 「成人T細胞白血病・リンパ腫」恵寿病院 院長 木下研一郎編著、新興医学出版社
そこで、本発明は、全く新規な成人T細胞白血病診断薬を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため本発明者が鋭意検討した結果、ATL患者から採取した白血病細胞において特異的に発現している遺伝子として、TSLC1遺伝子を同定することができ、本発明を完成するに至った。
本発明は以下を包含する。
(1) 細胞又は血清におけるTSLC1遺伝子の転写産物又はTSLC1タンパク質の有無を検出することができる試薬を含む、成人T細胞白血病診断薬。
(2) 上記試薬は、TSLC1遺伝子の全部又は一部を増幅するように設計されたプライマーを含むことを特徴とする(1)記載の成人T細胞白血病診断薬。
(3) 上記試薬は、TSLC1遺伝子の全部又は一部に相補的な配列となるように設計されたプローブを含むことを特徴とする(1)記載の成人T細胞白血病診断薬。
(4) 上記試薬は、白血病細胞表面抗原TSLC1を特異的に認識する抗体を含むことを特徴とする(1)記載の成人T細胞白血病診断薬。
(5) 上記試薬は、可溶型TSLC1を特異的に認識する抗体を含むことを特徴とする(1)記載の成人T細胞白血病診断薬。
本発明によれば、成人T細胞白血病を高精度に診断できる。本発明を適用した診断薬によれば、TSLC1がATL細胞特異的な遺伝子発現であり、HTLV1感染細胞株にも発現しているため、感染細胞の動態をHTLV1キャリア状態の血清または末梢血白血球で観察することができる。したがって、本発明によれば、成人T細胞白血病の発症前段階から診断することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者は、成人T細胞白血病診断薬(ATL)発症に関わる遺伝子異常を発見し、それを基礎にしたATLの発症に関わる診断法を開発するために、ATL患者白血病細胞を用い、DNAマイクロアレイを用いた包括的な遺伝子発現検索を行った。その結果12,000以上の遺伝子群の中で正常Tリンパ球と比較して、TSLC1遺伝子のmRNAと蛋白質がATL白血病細胞において高発現をしていることを発見した。
このTSLC1遺伝子のATLにおける高発現現象は、その他の正常血液細胞、その他の白血病においては認められず、ATL特異的であると結論付けられた。この現象の原因は、今のところ明らかではないが、HTLV-1感染との関連性が疑われており、そのためATLに特異的な発現をしている可能性が高い。
このような知見に基づき完成された本発明に係る成人T細胞白血病診断薬は、細胞又は血清におけるTSLC1遺伝子の転写産物又はTSLC1タンパク質の有無を検出することができる試薬を含むものである。
ここで、TSLC1遺伝子がコードするTSLC1タンパク質のアミノ酸配列を配列番号1に示し、TSLC1遺伝子の塩基配列を配列番号2に示す。また、TSLC1遺伝子は、肺非小細胞癌において癌抑制遺伝子として報告された遺伝子である(Kuramochi M, Fukuhara H, Nobukuni T, et al. TSLC1 is a tumor-suppressor gene in human non-small-cell lung cancer. Nat Med. 2001;27:427-430)。また、TSLC1遺伝子は、多くの肺がんにおいて共通して欠失している染色体部分から単離された遺伝子であり、最近の研究から上皮細胞の接着機能に関与していると考えられている(Masuda M, Yageta M, Fukuhara H, et al. The tumor suppressor protein TSLC1 is involved in cell-cell adhesion. J Biol Chem. 2002;277:31014-31019)。すなわち、肺がん等において、TSLC1遺伝子を含む染色体が欠失し、細胞接着能が低下することによって、がん細胞が他の臓器に転移しやすくなっていると考えられている。これら最近の知見によれば、TSLC1遺伝子はがんの転移に深く関与していると考えられる。
1. 細胞におけるTSLC1遺伝子転写産物の検出
診断対象から採取した細胞におけるTSLC1遺伝子転写産物を検出する手法としては、特に限定されないが、以下の方法を採用することができる。
1-1. RT-PCR
RT-PCRを適用する際には、先ず、診断対象の患者よりヘパリン化末梢血を採取する。このヘパリン化末梢血を比重遠心分離にかけ単核球を分離する。分離した単核球を患者検体とする。一方、コントロール検体としては、健常人のCD4陽性Tリンパ球を使用する。健常人のCD4陽性Tリンパ球は、健常人より採取したヘパリン化末梢血をCD8化、抗体混合物を用いて不要な細胞を沈降させた後、分離することができる。
この患者検体、コントロール検体に対してトリゾール液を用いて細胞可溶化し、RNAと、DNA・蛋白質・その他分画とに分離する。分離したRNAを用いて、オリゴdTプライマーを用い、逆転写酵素により一本鎖cDNAを合成する。次に、合成したcDNAを鋳型として、TSLC1特異的プライマーにより、TaqDNAポリメラーゼを用いてサーマルサイクラーによるDNA合成を行う。
具体的に、TSLC1特異的プライマーとしては以下の配列からなる一対のオリゴヌクレオチドを使用することができる。
プライマー1;ATGATCGATATCCAGAAAGACACT(配列番号3)
プライマー2;GTACTTCTAGATACCGCTGGG(配列番号4)
なお、TSLC1特異的プライマーは、上述の配列からなるオリゴヌクレオチドに限定されず、TSLC1遺伝子の塩基配列に基づいて適宜設計することができる。例えば、配列番号2に示したTSLC1遺伝子の塩基配列において、445〜721番目の領域を増幅できるようにTSLC1特異的プライマーを設計することが好ましい。445〜721番目の領域を増幅する場合には、非特異的な核酸断片の増幅を防ぐことができるために好ましい。
また、上述したDNA合成に際してサーマルサイクラーの条件としては、特に限定されないが、例えば、94℃5分1サイクル、94℃30秒、60℃30秒及び72℃1分30サイクル、72℃5分1サイクルとすることができる。
次に、合成したDNA溶液を、例えばアガロースゲル電気泳動法により分離し、DNA染色によって可視化し、DNA撮影装置を用いて発現量を検討することができる。このとき、患者検体におけるTSLC1遺伝子転写産物量と、コントロール検体におけるTSLC1遺伝子転写産物量との比が3倍以上、好ましくは5倍以上である場合、患者がATL発症していると診断することができる。
1-2. Real-time PCR
上記「1-1. RT-PCR」と同様の方法により、患者検体、コントロール検体を採取し、同様にRNAを分離、cDNAを合成する。蛍光ラベルした特異的合成オリゴヌクレオチドにより、同様にRealtime PCR装置によりDNA合成を行う。
具体的に、特異的合成オリゴヌクレオチドとしては、限定されないが、以下の配列からなるものを使用することができる。
特異的合成オリゴヌクレオチド;TTCGCCATGCTGTGCTTGCTCA(配列番号5)
なお、特異的合成オリゴヌクレオチドは、上述の配列からなるものに限定されず、TSLC1遺伝子の塩基配列に基づいて適宜設計することができる。例えば、配列番号2に示したTSLC1遺伝子の塩基配列において、1159-1180番目の領域とハイブリダイズするように特異的合成オリゴヌクレオチドを設計することが好ましい。1159-1180番目の領域とハイブリダイズする場合には、特異的合成オリゴヌクレオチドの非特異的なハイブリダイズを防ぐことができるために好ましい。
Realtime PCR装置におけるDNA合成の条件としては、特に限定されないが、例えば94℃5分1サイクル、94℃30秒及び60℃1分40サイクルとすることができる。
そして、Realtime PCR装置に備わる分光蛍光光度計によって、合成の回数に応じたDNA量が蛍光発色により定量する。このとき、コントロールとしてアクチン遺伝子等を同時に測定し、アクチン遺伝子発現量によってTSLC1遺伝子転写産物量を平均化して定量することもできる。
Realtime PCR装置によれば、先ず電気泳動による増幅DNA断片の分離が必要でないため、非常に簡易に且つ迅速に解析を行うことができる。また、Realtime PCR装置によれば、増幅が指数関数的に起こる領域で産物量を比較できるため、より正確に定量的に解析することができる。
1-3. ハイブリダイゼーション法
診断対象から採取した細胞におけるTSLC1遺伝子転写産物を検出する手法としては、上記「1-1. RT-PCR」と同様の方法により、患者検体、コントロール検体を採取し、同様にRNAを分離した後、TSLC1遺伝子のmRNAに特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを用いて、TSLC1遺伝子転写産物を検出してもよい。また、上記「1-1. RT-PCR」と同様の方法によりRNAを分離してcDNAを合成し、合成したcDNAに特異的にハイブリダイズするプローブを用いて、TSLC1遺伝子転写産物を検出してもよい。
ここで、プローブとしては、特に限定されないが、例えば、TSLC1遺伝子の411〜1371番目と相補的な配列を有する核酸断片を使用することができる。なお、プローブは、上述の配列からなるものに限定されず、TSLC1遺伝子の塩基配列に基づいて適宜設計することができる。例えば、配列番号2に示したTSLC1遺伝子の塩基配列において、411〜1371番目の領域とハイブリダイズするようにプローブを設計することが好ましい。411〜1371番目の領域とハイブリダイズする場合には、プローブの非特異的なハイブリダイズを防ぐことができるために好ましい。
2. 細胞又は血清におけるTSLC1タンパク質の検出
細胞又は血清に含まれるTSLC1タンパク質を検出する際には、TSLC1タンパク質を特異的に認識する抗体(以下、TSLC1抗体と呼ぶ)を作製する。TSLC1抗体は、従来公知の手法を用いて作製することができる。なお、TSLC1抗体は、モノクローナル抗体であっても、ポリクローナル抗体であっても良い。
一例として、TSLC1モノクローナル抗体の調製方法を以下に記載する。TSLC1モノクローナル抗体は、抗原で免疫した動物から得られる抗体産生細胞と、ミエローマ細胞との細胞融合によりハイブリドーマを調製し、得られるハイブリドーマからTSLC1活性を特異的に阻害する抗体を産生するクローンを選択することにより調製することができる。
動物の免疫に抗原として用いるTSLC1タンパク質としては、組換えDNA法又は化学合成により調製したTSLC1タンパク質のアミノ酸配列の全部若しくは一部のペプチドが挙げられる。例えば、配列番号1に示したTSLC1タンパク質のアミノ酸配列における、431〜442番目のアミノ酸配列からなるペプチドを抗原として使用することができる。また、細胞表面に存在するTSLC1タンパク質を特異的に検出するためのTSLC1モノクローナル抗体としては、配列番号1に示したTSLC1タンパク質のアミノ酸配列における232〜247番目のアミノ酸配列からなるペプチドを抗原として使用することが好ましい。一方、血中に存在する可溶化TSLC1タンパク質を特異的に検出するためのTSLC1モノクローナル抗体としては、配列番号1に示したTSLC1タンパク質のアミノ酸配列における315〜331番目(可溶型特異領域を含む)のアミノ酸配列からなるペプチドを抗原として使用することが好ましい。
得られた抗原用TSLC1をキャリアータンパク質(例えばサイログロブリン)に結合させた後、アジュバントを添加する。アジュバントとしては、フロイント完全アジュバント、フロイントの不完全アジュバント等が挙げられ、これらの何れのものを混合してもよい。
上記のようにして得られた抗原を哺乳動物、例えばマウス、ラット、ウマ、サル、ウサギ、ヤギ、ヒツジなどの哺乳動物に投与する。免疫は、既存の方法であれば何れの方法をも用いることができるが、主として静脈内注射、皮下注射、腹腔内注射などにより行う。また、免疫の間隔は特に限定されず、数日から数週間間隔で、好ましくは4〜21日間隔で免疫する。
最終の免疫日から2〜3日後に抗体産生細胞を採集する。抗体産生細胞としては、脾臓細胞、リンパ節細胞、末梢血細胞が挙げられるが、一般に脾臓細胞が用いられる。抗原の免疫量は1回にマウス1匹当たり、例えば100 μg用いられる。
免疫した動物の免疫応答レベルを確認し、また、細胞融合処理後の細胞から目的とするハイブリドーマを選択するため、免疫した動物の血中抗体価、又は抗体産生細胞の培養上清中の抗体価を測定する。抗体検出の方法としては、公知技術、例えばEIA(エンザイムイムノアッセイ)、RIA(ラジオイムノアッセイ)、ELISA(酵素連結イムノソルベントアッセイ)等が挙げられる。
抗体産生細胞と融合させるミエローマ(骨髄腫)細胞として、マウス、ラット、ヒトなど種々の動物に由来し、当業者が一般に入手可能な株化細胞を使用する。使用する細胞株としては、薬剤抵抗性を有し、未融合の状態では選択培地(例えばHAT培地)で生存できず、融合した状態でのみ生存できる性質を有するものが用いられる。一般的に8-アザグアニン耐性株が用いられ、この細胞株は、ヒポキサンチン−グアニン−ホスホリボシルトランスフェラーゼを欠損し、ヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン(HAT)培地に生育できないものである。
ミエローマ細胞は、既に公知の種々の細胞株、例えば、P3 (P3x63Ag8.653) (J. Immunol. (1979) 123:1548-1550) 、P3x63Ag8U.1 (Current Topics in Microbiology and Immunology (1978) 81:1-7)、NS-1(Kohler, G.and Milstein, C., Eur. J. Immunol. (1976) 6:511-519)、MPC-11 (Margulies, D.H. et al., Cell (1976) 8:405-415)、SP2/0 (Shulman, M. et al., Nature (1978) 276:269-270) 、FO(de St.Groth, S.F. et al., J. Immunol. Methods (1980) 35:1-21)、S194 (Trowbridge, I.S., J. Exp. Med. (1978) 148:313-323) 、R210 (Galfre, G. et al., Nature (1979) 277:131-133) 等が好適に使用される。
抗体産生細胞は、脾臓細胞、リンパ節細胞などから得られる。すなわち、前記各種動物から脾臓、リンパ節等を摘出又は採取し、これら組織を破砕する。得られる破砕物をPBS 、DMEM、RPMI1640等の培地又は緩衝液に懸濁し、ステンレスメッシュ等で濾過後、遠心分離を行うことにより目的とする抗体産生細胞を調製する。
次に、上記ミエローマ細胞と抗体産生細胞とを細胞融合させる。細胞融合は、MEM 、DMEM、RPME-1640 培地などの動物細胞培養用培地中で、ミエローマ細胞と抗体産生細胞とを、混合比1:1〜1:10で融合促進剤の存在下、30〜37℃で1〜15分間接触させることによって行われる。細胞融合を促進させるためには、平均分子量1,000〜6,000 のポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール又はセンダイウイルスなどの融合促進剤や融合ウイルスを使用することができる。また、電気刺激(例えばエレクトロポレーション)を利用した市販の細胞融合装置を用いて抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合させることもできる。
細胞融合処理後の細胞から目的とするハイブリドーマを選別する。その方法として、選択培地における細胞の選択的増殖を利用する方法等が挙げられる。すなわち、細胞懸濁液を適切な培地で希釈後、マイクロタイタープレート上にまき、各ウェルに選択培地(HAT培地など)を加え、以後適当に選択培地を交換して培養を行う。その結果、生育してくる細胞をハイブリドーマとして得ることができる。
ハイブリドーマのスクリーニングは、限界希釈法、蛍光励起セルソーター法等により行い、最終的にモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを取得する。取得したハイブリドーマからモノクローナル抗体を採取する方法としては、通常の細胞培養法や腹水形成法等が挙げられる。細胞培養法においては、ハイブリドーマを10〜20%ウシ胎児血清含有 RPMI-1640培地、MEM 培地、又は無血清培地等の動物細胞培養培地中で、通常の培養条件(例えば37℃,5%CO濃度)で2〜14日間培養し、その培養上清から抗体を取得する。腹水形成法においては、ミエローマ細胞由来の哺乳動物と同種の動物の腹腔内にハイブリドーマを投与し、ハイブリドーマを大量に増殖させる。そして、1〜4週間後に腹水又は血清を採取する。
上記抗体の採取方法において、抗体の精製が必要とされる場合は、硫安塩析法、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどの公知の方法を適宜に選択して、又はこれらを組み合わせることにより精製する。
2.1 FACSスキャンを用いた白血病細胞表面抗原の同定
以上のように調製したTSLC1モノクローナル抗体を用いて、診断対象の細胞の表面に存在するTSLC1タンパク質の有無をFACSスキャンにより検出することができる。この方法では、TSLC1モノクローナル抗体としては、配列番号1に示したTSLC1タンパク質のアミノ酸配列における232〜247番目のアミノ酸配列からなるペプチドを抗原として使用して得られたものを使用する。
この場合、先ず、患者から採取した患者末梢血より、比重遠心法により単核球分画を単離する。次に、上述したように得られたTSLC1モノクローナル抗体を蛍光ラベルした蛍光化TSLC1抗体と単核球分画とを30〜60分混合する。反応後にFACSスキャン装置によって蛍光強度を測定して、測定した景況強度に基づいて細胞数を測定する。また、ソーティング装置付FACSを用いることで、蛍光標識された細胞を分離し、分離した細胞におけるTSLC1遺伝子発現の解析を行ってもよい。
この方法によれば、HTLV-1キャリアにおいて、TSLC1陽性細胞を染め分け、詳細な感染細胞を数えることができる。さらに、後述するように、血中に含まれる可溶化TSLC1タンパク質量を測定することにより、ATLの発症予測が可能となる。さらに、この方法によれば、HTLV-1感染細胞を分離し、感染細胞における遺伝子発現異常を同定できるようになるため、発症予測がより正確にできるようになる。
2.2 可溶性TSLC1蛋白質の血中濃度測定
また、以上のように調製したTSLC1モノクローナル抗体を用いて、診断対象の血中に存在するTSLC1タンパク質を検出することができる。この方法では、TSLC1モノクローナル抗体としては、配列番号1に示したTSLC1タンパク質のアミノ酸配列における315〜331番目のアミノ酸配列からなるペプチドを抗原として使用して得られたものを使用する。
この場合、先ず、TSLC1モノクローナル抗体を固相プレートに吸着させ、その後、プレートにBSAなどのタンパク質を作用させ、非特異結合をブロックしておく。患者もしくは健常人血清を添加し、洗浄した後、異種由来TSLC1抗体を添加、さらに酵素標識抗種特異的免疫グロブリン抗体を添加する。加えてその酵素に対する酵素基質溶液を加え酵素反応の発色により、発現量を測定する。
以上、「1. 細胞におけるTSLC1遺伝子転写産物の検出」及び「2. 細胞又は血清におけるTSLC1タンパク質の検出」に従えば、診断対象の患者から採取した細胞或いは血清を用いて、TSLC1遺伝子の発現を検出することができる。言い換えると、「1. 細胞におけるTSLC1遺伝子転写産物の検出」に記載したようなTSLC1特異的プライマー、特異的合成オリゴヌクレオチド又はプローブを含む試薬によって、全く新規な成人T細胞白血病診断薬を提供することができる。また、「2. 細胞又は血清におけるTSLC1タンパク質の検出」に記載したようなTSLC1抗体を含む試薬によって、全く新規な成人T細胞白血病診断薬を提供することができる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
本例では、健常者と比較してATL患者においてTSLC1遺伝子が特異的に発現していることを、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析により確認した。
健常人末梢血にCD8、CD16、CD19、CD36及びCD56抗体複合体(TACカクテル)を反応させ、CD4以外の白血球を沈降させ、CD4陽性細胞を分離した。一方、ATL患者末梢血をヒストパークを用いた比重遠心法により白血病細胞分画を分離した。細胞からTrizol反応液を用い、RNA分画を採取、各5mg RNAからT7-(dT)24プライマーにより逆転写酵素を用いてcDNAを合成した。さらにこのcDNAを鋳型としてAmbion社転写キットによりビオチン化cRNAを合成しプローブとした。DNAマイクロアレイとしては、Affymetrix社HU95Aアレイを使用した。このDNAマイクロアレイとプローブとを反応させた。反応後のDNAマイクロアレイはGeneArray Scannerにより解読、Microarray Suite 5.0ソフトにより解析を行った。
上述したDNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析を、ATL患者白血病細胞8例と、健常人末梢血CD4陽性T細胞5例とについて行った。その後、互いのグループを統計処理し、ATL患者群に特異的に高発現している遺伝子群として53遺伝子を同定した。その結果を表1に示す。
Figure 0004227881
表1において、特に30倍以上の差をもってTSLC1遺伝子が高発現していることを同定した。
次に、本例では、RT-PCR法を用いてTSLC1遺伝子の発現を解析した。
上述したように分離した、患者白血病細胞検体、コントロールCD4+リンパ球検体に対してトリゾール液を用いて細胞可溶化し、RNAと、DNA・蛋白質・その他分画とに分離した。分離したRNA 1 mgを用いて、オリゴdTプライマーを用い、逆転写酵素により一本鎖cDNAを合成した。次に、合成したcDNAを鋳型として、下記のTSLC1特異的プライマーにより、TaqDNAポリメラーゼを用いてサーマルサイクラーによるDNA合成を行った。
プライマー1;ATGATCGATATCCAGAAAGACACT(配列番号3)
プライマー2;GTACTTCTAGATACCGCTGGG(配列番号4)
PCRは、94℃5分1サイクル、94℃30秒、60℃30秒、72℃1分30サイクル、72℃5分1サイクルの条件で行った。PCR産物を、2%アガロースゲル電気泳動を行い、バンドを観察した。
健常人末梢血CD4陽性T細胞5例とATL患者白血病細胞8例とを用いた結果を図1に示す。図1から判るように、ATL患者白血病細胞全例においてTSLC1遺伝子の高発現が見られ、健常人末梢血CD4陽性T細胞全例においてTSLC1遺伝子の発現が殆ど見られなかった。
また、正常血球細胞分画におけるTSLC1遺伝子をRT-PCRによって同様に解析した結果を図2に示す。図2から判るように、分画した各種血球細胞のどの細胞分画においてもTSLC1遺伝子発現は低レベルであった。
これらの結果から、TSLC1遺伝子は、ATL患者における白血病細胞に特異的に高発現していることが明らかとなり、ATL発症の指標として有効であることが実証された。
[実施例2]
本例では、ノーザン・ハイブリダイゼーション法を用いて白血病細胞株におけるTSLC1遺伝子の発現様式を検討した。本例では、HTLV-1非感染T細胞白血病株(Jurkat、MOLT-4)、HTLV-1感染T細胞株(HUT-102、MT-2、OMT)及びATL細胞株(ED、KOB、SO-4、KK-1、ST-1、Su9T、S1T)の各種白血病細胞株を用いた。
具体的には、各細胞1x108 を用いて、キットによりpoly(A)RNAを分離した。5mgを用い1 %アガロースゲル電気泳動を用い、RNAを分離、さらにナイロン膜にRNAを転写した。転写されたRNAに対して全長ヒトTSLC1 cDNAプローブを用いてハイブリダイゼーションを行った。cDNAプローブはランダムオリゴ法により32P-dCTPによりラベルした。ハイブリダイゼーション後のナイロン膜は、BAS2000により解析を行った。
結果を図3に示す。図3から判るように、HTLV-1感染細胞株(2/3)及びATL細胞株(5/7)において、高発現が見られた。これに対して、HTLV-1非感染T細胞白血病株においては、TSLC1遺伝子の発現は見られなかった。
また、本例では、膜貫通ドメインを有するTSLC1タンパク質と可溶型のTSLC1タンパク質とに関して、ATL細胞株における発現様式をRT-PCRによって検討した。TSLC1タンパク質には、図4に示すように、膜貫通ドメイン(図4中TM)を有するTSLC1タンパク質(442a.a)と、膜貫通ドメインを含むC末端側が欠損した可溶型のTSLC1タンパク質(331a.a)があることが知られている。
各細胞株より、トリゾール法を用いてRNAを調製し、1mgのRNAを鋳型として、RNA逆転写酵素によりcDNAを合成し、次のプライマーを用いて、可溶型と全長型を増幅した。
可溶型TSLC及び全長型TSLC用forward;5’-TGACCAGTCAGCTGATGCTG-3’(配列番号6)
可溶型TSLC1用reverse;5’-CTTGACCAAAAGCTTTGAGAG-3’(配列番号7)
全長型TSLC1用reverse;5’-ATCGAGCCTTCTTCACCTGCT-3’(配列番号8)
PCR条件としては、可溶型TSLCについては94℃5分1サイクル、94℃30秒、63℃30秒及び72℃1分25サイクル、72℃5分1サイクルとした。全長型TSLCについては94℃5分1サイクル、94℃30秒、63℃30秒、72℃1分25サイクル、72℃5分1サイクルとした。以上の条件によりPCRを行い、2%アガロースゲル電気泳動により産物の確認を行った。
結果を図5に示す。図5から判るように、ATL細胞株(ED、KOB、SO4、KK1、ST1、Su9T、S1T)によっては可溶型TSLC1mRNAが多く発現している細胞(KOB及びST1)も見られた。
[実施例3]
本例では、T細胞白血病細胞株におけるTSLC1遺伝子の発現とプロモーター領域のメチル化との関連性を検討した。なお、プロモーター領域のメチル化は、以下のようにして判断した。
先ず、各細胞株においてDNA調製した。すなわち、各2 mgDNAをbisulfite(亜硫酸水素ナトリウム)により処理した後、メチル化、非メチル化特異的プライマーにより、PCRを行った。PCR後のサンプルは2%アガロースゲル電気泳動を行い、バンドを確認、さらにそれぞれのサンプルの塩基配列を同定し、配列の確認を行った。
T細胞白血病細胞株(Tリンパ球性白血病3株、HTLV-1感染T細胞株3株、ATL白血病細胞株7株、CML-BCL株)を用いてTSLC1遺伝子の発現とプロモーター領域のメチル化の関連性を検討した結果を表2に示す。
Figure 0004227881
表2における結果の欄で「HM」は高メチル化を意味し、「PM」は部分メチル化を意味し、「UM」は非メチル化を意味する。表2に示した結果より、TSLC1遺伝子を発現しているほとんどの細胞株においては、TSLC1遺伝子のプロモーター領域が非メチル化であった。これに対して、TSLC1遺伝子を発現していない細胞株においては、TSLC1遺伝子のプロモーター領域が高メチル化であった。この結果より、TSLC1遺伝子の発現と、TSLC1遺伝子のプロモーター領域のメチル化との関連性が示唆された。
また、10例の健常人末梢血T細胞を分離し、同様な方法で、TSLC1遺伝子の発現とTSLC1遺伝子のプロモーター領域のメチル化との関連を検討した。正常CD4+リンパ球におけるTSLC1遺伝子の発現とTSLC1遺伝子のプロモーター領域のメチル化との関連性を検討した結果を表3に示す。
Figure 0004227881
表3の結果から、正常CD4+リンパ球においてはTSLC1遺伝子の発現が見られず、プロモーターは低メチル化であった。すなわち、健常人においては、TSLC1遺伝子のプロモーター領域のメチル化と発現抑制との関連性は無かった。この結果から、TSLC1遺伝子の発現とTSLC1遺伝子のプロモーター領域のメチル化との関連性はATL患者において特異的であることが判った。
[実施例4]
本例では、TSLC1タンパク質による細胞接着能の亢進について検討した。先ず、以下の様にして、マウスT細胞白血病細胞株CTLL2にTSLC1遺伝子を導入した。
すなわち、pcDNA3ベクターに挿入したTSLC1遺伝子をエレクトロポレーション法によりマウスT細胞白血病細胞株CTLL2に導入した。各プラスミド10mgをCTLL2細胞1 x 107をopti-MEM培養液1 ml内で混合し、0.4 mm幅のセルを用い960mF 250V条件下にてエレクトロポレーションを行った。37℃二日培養、さらに400mg/mlG-418存在下2週間培養し、細胞株を確立した。
そして、導入したTSLC1遺伝子の発現をウェスタン・ハイブリダイゼーションによって確認した結果を図6に示す。図6に示したように、TSLC1遺伝子を導入したCTLL2細胞ではTSLC1遺伝子が発現していることを確認できた。
また、TSLC1タンパク質の局在性を検討するために、マウスT細胞白血病細胞株CTLL2にTSLC1-GFP融合遺伝子を導入し、発現を蛍光顕微鏡で確認することとした。
pEGFPベクターに挿入したTSLC1遺伝子をエレクトロポレーション法によりマウスT細胞白血病細胞株CTLL2に導入した。各プラスミド10mgをCTLL2細胞1 x 107をopti-MEM培養液1 ml内で混合し、0.4 mm幅のセルを用い960mF 250V条件下にてエレクトロポレーションを行った。37℃二日培養、さらに400mg/mlG-418存在下2週間培養し、細胞株を確立した。確立した細胞株について蛍光顕微鏡下で細胞形態、蛍光強度を観察した。
蛍光顕微鏡でTSLC1-GFP融合タンパク質の発現を確認した結果を図7に示す。なお、図7中上段のC/GFPはコントロールGFP発現ベクターを導入した細胞株であり、下段のTSLC1/GFPは、GFP-TSLC1発現ベクターを導入した細胞株である。また、図7中、左は可視光下、位相差顕微鏡で撮影した写真であり、中央は蛍光顕微鏡で撮影した写真であり、右は可視光と蛍光において撮影した写真を融合させた写真である。
図7から判るように、TSLC1-GFP融合タンパク質は細胞膜に特異的に発現していた。
次に、TSLC1遺伝子を導入したマウスT細胞白血病細胞株CTLL2について、NIH3T3細胞に対する細胞接着能を検討した。
前日に24穴プレートにNIH3T3細胞を2.5x105個培養した。当日3%BSA入りPBS液によりNIH3T3を前処理し、コントロール細胞株「C/GFP」、各TSLC1発現細胞株「C/TSLC1」「C/TSLC2」「C/TSLC3」をDiI溶液で染色した後、それぞれ3.0x105個ずつNIH3T3細胞プレートに混合培養した。30分後に培養液を搾取、RPMI溶液により3回細胞を洗浄した。残った細胞の蛍光強度を、フルオロスキャンによって測定し、残った細胞の量を換算して接着率を計算した。
その結果を図8に示す。図8に示した結果より、TSLC1遺伝子を導入した株(GFP/TSLC1株、C/TSLC1株、C/TSLC2株、C/TSLC3株)では細胞接着能が亢進していた。この結果より、TSLC1遺伝子を特異的に発現しているATL患者において、ATL特異的に見られる臓器浸潤性とTSLC1遺伝子の高発現との関連が明らかとなった。
健常人末梢血CD4陽性T細胞5例とATL患者白血病細胞8例とを用いたRT-PCRの結果を示す電気泳動写真である。 正常血球細胞分画を用いたRT-PCRの結果を示す電気泳動写真である。 ノーザン・ハイブリダイゼーション法を用いて白血病細胞株におけるTSLC1遺伝子の発現様式を検討した結果を示す電気泳動写真である。 TSLC1タンパク質の構造を説明するための図である。 膜貫通ドメインを有するTSLC1タンパク質と可溶型のTSLC1タンパク質に対応するmRNAの発現様式を検討した結果を示す電気泳動写真である。 TSLC1遺伝子を導入したマウスT細胞白血病細胞株CTLL2におけるTSLC1遺伝子の発現をウェスタン・ハイブリダイゼーションによって確認した結果を示す電気泳動写真である。 蛍光顕微鏡でTSLC1-GFP融合タンパク質の発現を確認した結果を示す写真である。 TSLC1遺伝子を導入したマウスT細胞白血病細胞株CTLL2について、NIH3T3細胞に対する細胞接着能を検討した結果を示す特性図である。

Claims (18)

  1. 被験者から採取した被検者検体と健常人から採取したコントロール検体とについて、一対のTSLC1特異的プライマーを用いてTSLC1遺伝子の塩基配列を示す配列番号2の445〜721番目の領域を含む核酸断片をそれぞれ増幅し、被検者検体中のTSLC1転写物量がコントロール検体と比較して高発現していることを指標として、該被検者検体を成人T細胞白血病発症検体とする、成人T細胞白血病の検出方法。
  2. 上記一対のTSLC1特異的プライマーは、配列番号3及び4からなるオリゴヌクレオチドであることを特徴とする請求項1記載の検出方法。
  3. 被検者検体中のTSLC1転写物量がコントロール検体と比較して少なくとも3倍あることを指標とすることを特徴とする請求項1記載の検出方法。
  4. 被験者から採取した被検者検体と健常人から採取したコントロール検体とについて、TSLC1遺伝子の塩基配列を示す配列番号2の1159〜1180番目の領域にハイブリダイズするTSLC1特異的プライマーを用いたReal time PCRによりTSLC1転写物量をそれぞれ測定し、被検者検体中のTSLC1転写物量がコントロール検体と比較して高発現していることを指標として、該被検者検体を成人T細胞白血病発症検体とする、成人T細胞白血病の検出方法。
  5. TSLC1特異的プライマーが、配列番号5のオリゴヌクレオチドであることを特徴とする請求項4記載の検出方法。
  6. 被験者から採取した被検者検体と健常人から採取したコントロール検体とについて、TSLC1遺伝子の塩基配列を示す配列番号2の411〜1371番目と相補的な配列を有するTSLC1特異的プローブを用いて、TSLC1転写物量を検出し、被検者検体中のTSLC1転写物量がコントロール検体と比較して高発現していることを指標として、被検者検体をヒトT細胞白血病ウイルス感染検体又は成人T細胞白血病発症検体とする、ヒトT細胞白血病ウイルス感染又は成人T細胞白血病発症の検出方法。
  7. 被験者から採取した被検者検体について、TSLC1タンパク質のアミノ酸配列を示す配列番号1の232〜247番目のアミノ酸配列からなるペプチドを抗原とする抗体を用いて細胞表面に存在するTSLC1タンパク質を測定し、細胞表面に存在するTSLC1タンパク質量を指標として、被検者検体を成人T細胞白血病の発症又は発症の予測をする、成人T細胞白血病の検出方法。
  8. 被験者から採取した被検者検体について、血中可溶化TSLC1タンパク質を抗原とする抗体を用いて血中に可溶化したTSLC1タンパク質を測定して、血中に可溶化したTSLC1タンパク質量を指標として、成人T細胞白血病発症の発症又は発症の予測をする、成人T細胞白血病の検出方法。
  9. 上記血中可溶化TSLC1タンパク質の抗原が、TSLC1タンパク質のアミノ酸配列を示す配列番号1の315〜331番目のアミノ酸配列からなるペプチドであることを特徴とする請求項8記載の検出方法。
  10. TSLC1遺伝子の塩基配列を示す配列番号2の445〜721番目の領域を含む核酸断片を増幅する一対のTSLC1特異的プライマーを含む、成人T細胞白血病診断薬。
  11. 上記一対のTSLC1特異的プライマーは、配列番号3及び4からなるオリゴヌクレオチドからなることを特徴とする請求項10記載の診断薬。
  12. TSLC1遺伝子の塩基配列を示す配列番号2の1159〜1180番目の領域にハイブリダイズするTSLC1特異的プライマーを含む、成人T細胞白血病診断薬。
  13. 上記TSLC1特異的プライマーは、配列番号5のオリゴヌクレオチドからなることを特徴とする請求項12記載の診断薬。
  14. TSLC1遺伝子の塩基配列を示す配列番号2の411〜1371番目と相補的な配列を有するTSLC1特異的プローブを含む、成人T細胞白血病診断薬。
  15. TSLC1タンパク質のアミノ酸配列を示す配列番号1の431〜442番目のアミノ酸配列からなるペプチドを抗原とするTSLC1タンパク質検出用抗体含む、成人T細胞白血病診断薬。
  16. TSLC1タンパク質のアミノ酸配列を示す配列番号1の232〜247番目のアミノ酸配列からなるペプチドを抗原とする細胞表面TSLC1タンパク質検出用抗体を含む、成人T細胞白血病診断薬。
  17. 血中可溶化TSLC1タンパク質を抗原とする可溶化TSLC1タンパク質検出用抗体を含む、成人T細胞白血病診断薬。
  18. 上記血中可溶化TSLC1タンパク質の抗原が、TSLC1タンパク質のアミノ酸配列を示す配列番号1の315〜331番目のアミノ酸配列からなるペプチドであることを特徴とする請求項17記載の成人T細胞白血病診断薬。
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