JP4226957B2 - ウインドガラスの仮止め部材、仮止め部材付きウインドガラス及びウインドガラスの仮止め装置 - Google Patents

ウインドガラスの仮止め部材、仮止め部材付きウインドガラス及びウインドガラスの仮止め装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウインドガラスの仮止め部材、仮止め部材付きウインドガラス及びウインドガラスの仮止め装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両の開口に対するウインドガラスを取り付ける際の取り付け構造として、ガラスに塗布された接着剤が硬化するまでの間、留め具によってガラスを開口部に対して仮保持するものが知られている(特許文献1)。このものは、爪部を有する脚体を備えた留め具をウインドガラスに対して予め取り付けておき、爪部を車体の開口部に形成される取付孔に対して係止させるものである。
また、脚体の基端部分には押え部が設けられる一方、車体側の開口部(フランジ)には、ウインドガラスに向かって立ち上がる立上片が設けられている。この立上片は押え部の下面側に当接することで、ウインドガラスの重量を下支えするものである。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−310233号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図11の(a)に示すように、ウインドガラス5が仮保持されている際には、留め具1に対しては上縁Rを支点として同図に示すP方向への力(留め具をウインドガラスから剥がそうとする方向に加わる力)が加わるが、上記した立上片ではこうした回転方向に加わる力を支持することが出来ない。また、仮保持中には、図11の(b)に示すように、ベース板3の支持アーム4の周辺が部分的にめくれ上がるような変形をきたす場合がある(この変形ラインをめくれ上がり線Lとする)。このように、仮保持中に留め具1がウインドガラス5から剥がれたり、或いはベース板3の一部が変形をきたすとウインドガラス5を十分支持することができなくなり、ウインドガラス5が下方に位置ずれを起こすおそれがある。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、接着剤が硬化するまでの間、ガラスの位置ずれを防止することが出来るウインドガラスの仮止め部材、仮止め部材付きウインドガラス及びウインドガラスの仮止め装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、ウインドガラスが車体の窓枠に対して接着剤により固着されるまでの間、前記ウインドガラスを前記窓枠に設けられた取り付け部に吊り下げた状態で仮保持可能な仮止め部材を有する仮止め部材付きのウインドガラスにおいて、前記仮止め部材は、前記ウインドガラスに対して貼りつけ可能とされた基板と、前記取り付け部に対して係止可能な前記基板上に設けられた支持アームとを備え、前記基板は、前記ウインドガラスを仮保持した際に前記支持アームの基端周縁において前記ウインドガラスの重量によって生じうるめくれ上がり線に対して交差する補強リブが形成され、かつ、前記めくれ上がり線は前記支持アームの基端を中心とする略半円形状をなし、前記補強リブは前記めくれ上がり線の中心部を始端として略放射状に伸びる構成であるところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、ウインドガラスが車体の窓枠に対して接着剤により固着されるまでの間、前記ウインドガラスを前記窓枠に設けられた取り付け部に吊り下げた状態で仮保持可能な仮止め部材を有する仮止め部材付きのウインドガラスにおいて、前記仮止め部材は、前記ウインドガラスが仮保持された状態にある時に、前記取り付け部に当接可能とすることで前記基板の上縁を支点とする前記仮止め部材のめくれ上がり方向への回動動作を規制可能とする回動規制部を備えた構成であるところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、車体の窓枠に設けられた取り付け部と、前記窓枠に対して装着されるウインドガラスに対して貼り付け可能とされた基板上に支持アームを設けた仮止め部材とを備えてなり、前記支持アームが前記取り付け部に係止可能とされることで、前記ウインドガラスが前記窓枠に固着されるまでの間前記ウインドガラスを前記窓枠に対して吊り下げた状態に仮保持可能なウインドガラスの仮止め装置であって、前記基板は、前記ウインドガラスを仮保持した際に前記支持アームの基端周縁において前記ウインドガラスの重量によって生じうるめくれ上がり線に対して交差する補強リブが形成され、かつ、前記めくれ上がり線は前記支持アームの基端を中心とする略半円形状をなし、前記補強リブは前記めくれ上がり線の中心部を始端として略放射状に伸びる構成であるところに特徴を有する。
【0008】
請求項4の発明は、請求項3に記載のものにおいて、車体の窓枠に設けられた取り付け部と、前記窓枠に対して装着されるウインドガラスに対して貼り付け可能とされた基板上に支持アームを設けた仮止め部材とを備えてなり、前記支持アームが前記取り付け部に係止可能とされることで、前記ウインドガラスが前記窓枠に固着されるまでの間前記ウインドガラスを前記窓枠に対して吊り下げた状態に仮保持可能なウインドガラスの仮止め装置であって、前記仮止め部材或いは前記取り付け部の少なくともいずれか一方は、前記ウインドガラスが仮保持された状態にある時に他方側に当接可能とすることで、前記基板の上縁を支点とする前記仮止め部材の捲れ上がり方向への回動動作を規制可能な回動規制部を設けた構成であるところに特徴を有する。
【0009】
請求項5の発明は、車体の窓枠に対して装着されるウインドガラスに対して貼り付け可能とされた基板上に前記窓枠に設けられた取り付け部に対して係止可能とされた支持アームを備えてなるとともに、前記ウインドガラスが前記窓枠に固着されるまでの間前記ウインドガラスを前記窓枠に対して吊り下げた状態に仮保持可能なウインドガラスの仮止め部材であって、前記基板は、前記ウインドガラスを仮保持した際に前記支持アームの基端周縁において前記ウインドガラスの重量によって生じうるめくれ上がり線に対して交差する補強リブが形成され、かつ、前記めくれ上がり線は前記支持アームの基端を中心とする略半円形状をなし、前記補強リブは前記めくれ上がり線の中心部を始端として略放射状に伸びる構成であるところに特徴を有する。
【0010】
請求項6の発明は、請求項5に記載のものにおいて、車体の窓枠に対して装着されるウインドガラスに対して貼り付け可能とされた基板上に前記窓枠に設けられた取り付け部に対して係止可能とされた支持アームを備えてなるとともに、前記ウインドガラスが前記窓枠に固着されるまでの間前記ウインドガラスを前記窓枠に対して吊り下げた状態に仮保持可能なウインドガラスの仮止め部材であって、前記基板は、前記ウインドガラスが仮保持された状態にある時に、前記窓枠に当接可能とすることで前記基板の上縁を支点とする前記仮止め部材のめくれ上がり方向への回動動作を規制可能とする回動規制部を備えた構成であるところに特徴を有する。
【0012】
【発明の作用及び効果】
<請求項1、請求項3、請求項5の発明>
請求項1、請求項3、請求項5の発明によれば、基板における支持アームの基端周辺は補強リブによって補強されているから、ウインドガラスを仮保持している際に、基端周辺のめくれ上がるような変形が防止される。そのため、ウインドガラスは仮保持された際に、位置ずれを起こすことがない。
また、補強リブはめくれ上がり線に対してほぼ直交するような構成となるから、基板が効果的に補強される。
【0014】
<請求項2、請求項4、請求項6の発明>
仮保持状態において支持アームは取り付け部よりウインドガラスの重量に抗するような反力を受ける。そのため、仮止め部材には基板の上縁を中心とするモーメントが加わる。このモーメントはウインドガラスから仮止め部材を剥がすように作用するが、請求項2、請求項4、請求項6の発明によれば、回動規制部が仮止め部材或いは窓枠に当接しモーメントに抗する。そのため、仮止め部材がウインドガラスから捲れ上がるように剥がれることがない。尚、回動規制部を基板に設ける構成としておけば基板に対する補強にもなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態を図1ないし図7によって説明する。
本実施形態は、ウインドガラスの仮止め装置20(以下、単に仮止め装置とする)を普通自動車(以下、単に車両とする)Mのフロントガラス或いはリヤガラスに対して適用したものである。車両Mには窓枠10が凹み形成されるとともに、その中央部分に開口部13が形成されている。一方、ウインドガラスWは開口部13を閉止可能な大きさに形成されるとともに、その全周に亘ってゴム製のウエザーストリップ15が取り付けられており、ウインドガラスWが窓枠10に対して装着されたときには、ウエザーストリップ15のリップ片15Aが窓枠10に当接してウインドガラスWと窓枠10との間をシールするようになっている。ウインドガラスWはその周縁部分に接着剤18が塗られた状態で窓枠10に対して嵌め合わされ、その接着剤18が硬化することで窓枠10に対して固着されるが、それまでの間、ウインドガラスWは次に説明する仮止め装置20によって窓枠10に吊られた状態に仮保持される。
【0016】
窓枠10の上部側であって、左右両端寄りには略長方形状をなす取り付け孔(本発明の取り付け部に相当する)21が一対設けられており、そこには、仮止め部材31に設けられる支持アーム40が係止するようになっている。
仮止め部材31は合成樹脂製であって平板状をなす基板32を有してなる。基板32の裏面側には両面テープ19が貼られておりウインドガラスWに対して貼りつけ可能とされている。尚、以下の説明において、仮止め部材31の上下方向については窓枠10に取り付けられる向きを基準(図4の向きを基準)として説明する。
【0017】
基板32の表面側における幅方向の中央部分には、支持アーム40が窓枠10側に突出形成されている。より具体的に説明すると、支持アーム40は取り付け孔21に対して挿入可能とされ、縦向きに形成される左右一対のアーム片41を有してなる。アーム片41は基端側が太く、窓枠10側に張り出す先端側が先細りするような略三角形状をなす。このように、アーム片41の基端部分を太く形成することでアーム片41、ひいては支持アーム40の剛性アップを図っている。
【0018】
アーム片41を構成する下端側の一辺は基板32に対してほぼ直交するように切り立って形成されるとともに、この切り立った面同士が連結壁42によって架設されている。連結壁42はアーム片41の全高に亘って形成されるとともに、基端側から中央部分にかけては切り立った垂直面とされ、先端部分には傾斜状をなす案内面42Aが形成されている。この案内面42Aは支持アーム40を取り付け孔21に差し込む際の案内となるものである。
【0019】
また、連結壁42の垂直面はその中央部分が略U字状に切り欠かれており、取り付け孔21に対するロック片45が形成されている。このロック片45は片持ち状をなし、取り付け孔21に対する挿入方向前側の端部45Aを支点として、後側(自由端側)が上下方向に弾性変位可能とされている。このロック片45の自由端側には、下向きに突出する爪部46が形成されている。この爪部46は挿入方向の前側は傾斜しており誘導面46Aとされ、後端側が切り立つ係止面46Bとされている。
【0020】
そのため、支持アーム40が取り付け孔21内に押し込まれると、ロック片45は取り付け孔21を通過することに伴って上方へ撓み変位し、通過後に復帰する。これにより、ロック片45の係止面46Bの後方に取り付け孔21の孔縁が対面して位置することで窓枠10に対するウインドガラスWの抜止が図られるとともに、ウインドガラスWが窓枠10に吊られた状態に仮保持される。すなわち、この仮保持中においてはアーム片41の基端部分41Aが取り付け孔21の孔縁に対して当接してウインドガラスWの重量を支えている。尚、誘導面46Aはロック片45の撓み動作を円滑に行わせるためのものである。
【0021】
両アーム片41の外面側には位置決めリブ48が側方(幅方向)に張り出して形成されている。この位置決めリブ48はアーム片41の全高に亘って形成されるとともに、取り付け孔21に対する挿入方向の前側48Aが先細りするような傾斜状をなして形成されている。この傾斜状をなす部分は前記した案内面42Aと共に、支持アーム40を取り付け孔21に差し込む際の案内(挿入性の向上)となるものである。
【0022】
一方、位置決めリブ48の後端側48Bは一定幅をもって形成されている。この一定幅を持って形成された部分の外縁間の幅寸法は取り付け孔21の内幅寸法に対して、部品の製造誤差等を考慮した場合であっても組み付けが円滑に行うことができるような最小の隙間をもった寸法設定とされている。従って、仮止め部材31が取り付け孔21に対して嵌め合わされた際には、仮止め部材31の左右方向に関する位置ずれが最小限に抑えられるようにしてある。上記のようにして形成された仮止め部材31は左右対称形状をなすとともに、窓枠10の取り付け孔21に対応してウインドガラスWの上縁の左右両側に一対取り付けられる。
【0023】
ところで、ウインドガラスWを窓枠10に対して仮保持させた際に、仮止め部材31の基板32の変形防止及びウインドガラスWに対する仮止め部材31の剥がれを防止するために仮止め部材31の基板32には補強のためのリブ(本発明の補強リブに相当する)34、35、36及び回動規制壁38が形成されている。前記リブ34〜36は基板32の上面において形成される6本のリブ、すなわち一対の縦リブ36、横リブ35、一対の斜めリブ34よりなる。これら各リブ34〜36は左右対称形状をなすとともに、後述するめくれ上がり線Lの中心部O(図4参照)を始点として放射状に伸びるように配されている。
【0024】
各リブ34〜36について説明すると、縦リブ36は前述したアーム片41の上端及び下端よりそれぞれ上方、下方に延出して形成され、上側の縦リブ36Aは基板32の上縁32Aに達し、下側の縦リブ36Bは基板32の下縁32Bに達している。このうち上側の縦リブ36Aに比べて下側の縦リブ36Bは基板32からの張り出し高さが高くなっているが、これは下側の縦リブ36Bが後述する回動規制壁(本発明の回動規制部に相当する)38の一部を構成するためである。
【0025】
斜めリブ34は各縦リブ36の下端を始端として基板32の上縁32Aの各コーナー部に向かってそれぞれ対角状に伸びるように形成されている。横リブ35は基板32の下縁の全幅に亘って形成されている。これら各リブ34〜36は、図4において一点鎖線で示すめくれ上がり線(支持アーム40の基端下部を中心としてほぼ半円状をなすライン)Lにほぼ直交する構成としてある。
【0026】
また、横リブ35の幅方向の中央部分は、その張り出し高さが他の部分に比べて高くなっており、前記した下側の縦リブ36Bと共に回動規制壁38を形成している。この回動規制壁38はアーム片41に対して突き当たるようなコの字状をなすとともに、その張り出し高さは基板32と窓枠10の対向面間の隙間とほぼ同寸法に設定されている。そのため、ウインドガラスWが窓枠10に仮保持された際には、回動規制壁38の端面38Aが窓枠10に対して面当たりする。
【0027】
続いて、本実施形態の作用効果について具体的に説明する。
ウインドガラスWを窓枠10に対して取り付けるためには、ウインドガラスWに対して、予めウエザーストリップ15及び仮止め部材31を貼り合わせるとともに周縁に接着剤18を塗り付けておく。
【0028】
そして、ウインドガラスWを窓枠10に対して正対させるとともに、ウインドガラスWが開口部13を閉止するように位置合わせする。この状態では、窓枠10の取り付け孔21に対してウインドガラスWの仮止め部材31が対面して位置する。そのため、ウインドガラスWを窓枠10に対して近づけてゆくと、仮止め部材31の支持アーム40全体が取り付け孔21内に進入してゆく。
【0029】
やがて、ロック片45が取り付け孔21内に差し込まれると、ロック片45の誘導面46Aが取り付け孔21の下縁に当接する。この状態から更に押し込まれると、ロック片45は誘導面46Aによる案内作用をうけて取り付け孔21を通過する過程で上方に弾性変位する。
【0030】
その後、ロック片45は取り付け孔21を完全に通過すると弾性復帰して、取り付け孔21の孔縁(下縁部分)に係止する。これにより、ウインドガラスWは窓枠10に対して吊られた状態に仮保持される。この仮保持状態においては、ウインドガラスWに塗り付けられた接着剤18が窓枠10の表面に対して密着した状態となる。その後、接着剤18が硬化することで、ウインドガラスWと窓枠10が固着されウインドガラスWの取り付けが完了する。
【0031】
また、上述したように仮保持状態において仮止め部材31は、ウインドガラスWを吊った状態に支持しているため、支持アーム40のアーム片41は窓枠10の取り付け孔21を介してウインドガラスWの重量に抗するような上向きの反力F(図2参照)を受けるが、アーム片41は上記したように略三角形状をなし基端が太く形成され曲げに対する補強がされた形状であるから直立姿勢が維持される。一方、反力Fは、仮止め部材31の基板32に対しては支持アーム40の基端部分を浮かせるように作用するため、既に示したように、何も補強がされてなければ基板32はめくれ上がり線Lで変形してしまう(図11の(b)参照)。
しかし、基板32上には、めくれ上がり線Lにほぼ直交するようにして伸びる補強のためのリブ34〜36が複数本形成されている。すなわち、めくれ上がり線Lにおける基板32の断面形状が凹凸をなすことから、断面形状が平らなものに比べて剛性がアップしており、図11の(b)に示すような基板32の変形が抑制される。このように、仮保持中に基板32の浮きがないからウインドガラスWの位置ずれが抑制される。
【0032】
また、補強のためのリブ34〜36を放射状に伸びる構成としてあるから、反力の増大に伴って、補強を必要とするエリア、すなわちめくれ上がり線Lが同心円上に進行しても、常に、補強のためのリブ34〜36がめくれ上がり線Lに対して交差するから同様の補強効果が期待できる。
【0033】
加えて、仮止め部材31には反力Fにより基板32の上縁32Aを支点とするようなモーメントPが加わる。このモーメントPはウインドガラスWより仮止め部材31を剥がすように働くが、仮保持状態においては、回動規制壁38の端面38Aが窓枠10の側面に面当たりしており、基板32と窓枠10の対向面間が隙間なく埋められている。そのため、仮止め部材31の捲れ上がり方向への回動動作が規制される。
【0034】
このように、本実施形態によれば、補強のためのリブ34〜36及び回動規制壁38によって、基板32の変形防止及び仮止め部材31の捲れ上がり方向への回動動作が規制されるから、ウインドガラスWを窓枠10に取り付けた初期の状態のままで仮保持が可能である。従って、ウインドガラスWの上下方向における位置ずれが規制される。また、補強のためのリブ34〜36が回動規制壁38を兼ねているから、構造がシンプルであるし、回動規制壁38を窓枠10側に設ける場合と比較して基板32の補強効果が高まる。
【0035】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を図8によって説明する。
第1実施形態では、仮止め部材31の捲れ上がり方向への回動規制を基板32に設けた回動規制壁38によって行ったが、第2実施形態では、窓枠10の取り付け孔21に設けられた回動規制片60によって行うものである。その他の構成については、第1実施形態と同様であるため、同一部品には同一符号を付して重複して説明を省略するものとする。
【0036】
図8に示すように、取り付け孔21の孔縁の上縁側には、車両Mの内側に向かって斜め下向きに伸びる回動規制片60が形成されている。この回動規制片60の傾斜はアーム片41の斜辺41Bに倣った傾斜とされており、ウインドガラスWが窓枠10に仮保持された際には、アーム片41の斜辺41Bに面当たりするようになっている。従って、回動規制片60が仮止め部材31の捲れ上がりに対して抗するように作用するから当該捲れ上がり方向への回動動作が規制される。
【0037】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0038】
(1)第1・2実施形態では、補強のためのリブ34〜36はめくれ上がり線Lに対してほぼ直交する構成としたが、交差する構成であればよく、例えば、補強のためのリブ34〜36を基板32の上下方向或いは左右方向に沿って設ける構成でもよい。
【0039】
(2)第1実施形態では、回動規制部を回動規制壁38によって構成し、その端面38Aを窓枠10に対して突き当てる構成としたが、図9、図10に示すように、回動規制部を撓み可能な弾性片65により構成し窓枠10に対して弾性的に当てる構成とするものであってもよい。すなわち、回動規制壁38による場合には、部品の製造誤差等によって回動規制壁38の端面38Aと窓枠10との間を隙間が出来る場合がある。こうした隙間は基板32の剥がれを生じさせうる原因の一つとなることがあるが、窓枠10に対して回動規制部を弾性的に当てる構成であれば隙間対策に有効である。また、このような構成とすることでウインドガラスWに外力が加わった際に、その衝撃を緩和できるしウインドガラスWの割れ防止にもなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に適用された普通自動車の斜視図
【図2】ウインドガラスの取り付け構造を示す縦断面図
【図3】仮止め部材の斜視図
【図4】仮止め部材の正面図
【図5】仮止め部材の側面図
【図6】仮止め部材の下面図
【図7】ウインドガラスの取り付け構造を示す水平断面図
【図8】第2実施形態におけるウインドガラスの取り付け構造を示す縦断面図
【図9】他の実施形態における仮止め部材の斜視図
【図10】ウインドガラスの取り付け構造を示す水平断面図
【図11】従来例を示す図
【符号の説明】
W…ウインドガラス
L…めくれ上がり線
10…窓枠
21…取り付け孔(取り付け部)
31…仮止め部材
32…基板
34…斜めリブ(補強リブ)
35…横リブ(補強リブ)
36…縦リブ(補強リブ)
38…回動規制壁(回動規制部)
40…支持アーム

Claims (6)

  1. ウインドガラスが車体の窓枠に対して接着剤により固着されるまでの間、前記ウインドガラスを前記窓枠に設けられた取り付け部に吊り下げた状態で仮保持可能な仮止め部材を有する仮止め部材付きのウインドガラスにおいて、
    前記仮止め部材は、前記ウインドガラスに対して貼りつけ可能とされた基板と、前記取り付け部に対して係止可能な前記基板上に設けられた支持アームとを備え、
    前記基板は、前記ウインドガラスを仮保持した際に前記支持アームの基端周縁において前記ウインドガラスの重量によって生じうるめくれ上がり線に対して交差する補強リブが形成され、
    かつ、前記めくれ上がり線は前記支持アームの基端を中心とする略半円形状をなし、前記補強リブは前記めくれ上がり線の中心部を始端として略放射状に伸びる構成であることを特徴とする仮止め部材付きウインドガラス。
  2. ウインドガラスが車体の窓枠に対して接着剤により固着されるまでの間、前記ウインドガラスを前記窓枠に設けられた取り付け部に吊り下げた状態で仮保持可能な仮止め部材を有する仮止め部材付きのウインドガラスにおいて、前記仮止め部材は、前記ウインドガラスが仮保持された状態にある時に、前記取り付け部に当接可能とすることで前記基板の上縁を支点とする前記仮止め部材のめくれ上がり方向への回動動作を規制可能とする回動規制部を備えた構成であることを特徴とする請求項1に記載の仮止め部材付きウインドガラス。
  3. 車体の窓枠に設けられた取り付け部と、前記窓枠に対して装着されるウインドガラスに対して貼り付け可能とされた基板上に支持アームを設けた仮止め部材とを備えてなり、
    前記支持アームが前記取り付け部に係止可能とされることで、前記ウインドガラスが前記窓枠に固着されるまでの間前記ウインドガラスを前記窓枠に対して吊り下げた状態に仮保持可能なウインドガラスの仮止め装置であって、
    前記基板は、前記ウインドガラスを仮保持した際に前記支持アームの基端周縁において前記ウインドガラスの重量によって生じうるめくれ上がり線に対して交差する補強リブが形成され、
    かつ、前記めくれ上がり線は前記支持アームの基端を中心とする略半円形状をなし、前記補強リブは前記めくれ上がり線の中心部を始端として略放射状に伸びる構成であることを特徴とするウインドガラスの仮止め装置。
  4. 車体の窓枠に設けられた取り付け部と、前記窓枠に対して装着されるウインドガラスに対して貼り付け可能とされた基板上に支持アームを設けた仮止め部材とを備えてなり、
    前記支持アームが前記取り付け部に係止可能とされることで、前記ウインドガラスが前記窓枠に固着されるまでの間前記ウインドガラスを前記窓枠に対して吊り下げた状態に仮保持可能なウインドガラスの仮止め装置であって、
    前記仮止め部材或いは前記取り付け部の少なくともいずれか一方は、前記ウインドガラスが仮保持された状態にある時に他方側に当接可能とすることで、前記基板の上縁を支点とする前記仮止め部材の捲れ上がり方向への回動動作を規制可能な回動規制部を設けた構成であることを特徴とする請求項3に記載のウインドガラスの仮止め装置。
  5. 車体の窓枠に対して装着されるウインドガラスに対して貼り付け可能とされた基板上に前記窓枠に設けられた取り付け部に対して係止可能とされた支持アームを備えてなるとともに、前記ウインドガラスが前記窓枠に固着されるまでの間前記ウインドガラスを前記窓枠に対して吊り下げた状態に仮保持可能なウインドガラスの仮止め部材であって、
    前記基板は、前記ウインドガラスを仮保持した際に前記支持アームの基端周縁において前記ウインドガラスの重量によって生じうるめくれ上がり線に対して交差する補強リブが形成され、
    かつ、前記めくれ上がり線は前記支持アームの基端を中心とする略半円形状をなし、前 記補強リブは前記めくれ上がり線の中心部を始端として略放射状に伸びる構成であることを特徴とするウインドガラスの仮止め部材。
  6. 車体の窓枠に対して装着されるウインドガラスに対して貼り付け可能とされた基板上に前記窓枠に設けられた取り付け部に対して係止可能とされた支持アームを備えてなるとともに、前記ウインドガラスが前記窓枠に固着されるまでの間前記ウインドガラスを前記窓枠に対して吊り下げた状態に仮保持可能なウインドガラスの仮止め部材であって、
    前記基板は、前記ウインドガラスが仮保持された状態にある時に、前記窓枠に当接可能とすることで前記基板の上縁を支点とする前記仮止め部材のめくれ上がり方向への回動動作を規制可能とする回動規制部を備えた構成であることを特徴とする請求項5に記載のウインドガラスの仮止め部材。
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