JP4226769B2 - 電界放射型ランプの駆動回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電界放射型ランプ(FED(Field Emission Display)ランプ)に付設される駆動回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3にFEDランプに付設された従来の駆動回路を示す。同図において、1はFEDランプであり、カソード電極1−1とグリッド電極1−2とアノード電極1−3とを備えている。このFEDランプ1に対して駆動回路2′が付設されている。
【0003】
駆動回路2′は、高耐圧の抵抗器R1とNPN型の高耐圧のトランジスタTr1とから構成され、抵抗器R1の一端はグリッド用電源端子PGに接続され、他端はトランジスタTr1のコレクタに接続されている。トランジスタTr1のエミッタは接地されている。また、トランジスタTr1のコレクタと抵抗器R1との接続点にFEDランプ1のグリッド電極1−2が接続され、トランジスタTr1のエミッタにFEDランプ1のカソード電極1−1が接続されている。
【0004】
駆動回路2′において、抵抗器R1の値は2MΩとされ、グリッド用電源端子PGにはグリッド用電圧VGとしてVG=2kVが印加されている。また、FEDランプ1において、アノード用電源端子PAにはアノード用電圧VAとしてVA=10kVが印加されている。また、FEDランプ1を点灯させる場合には、駆動回路2′のトランジスタTr1のベースに端子(駆動信号電圧用端子)PSを介して「L」レベルの駆動信号電圧VSが、消灯させる場合には「H」レベルの駆動信号電圧VSが与えられる。
【0005】
〔駆動信号電圧VSが「L」レベルの場合:ランプ点灯〕
駆動信号電圧VSが「L」レベルとされると、トランジスタTr1はオフとされ、FEDランプ1のグリッド電極1−2にはグリッド用電圧VG=2kVが抵抗器R1を介して印加される。これにより、カソード電極1−1から電子が引き出され、グリッド電極1−2を通過してアノード電極1−3へ至り、アノード電極1−3により加速されて蛍光面(図示せず)に衝突する。この結果、蛍光面を構成する蛍光体が電子衝撃により励起され、その蛍光体に応じた色で蛍光面が発光する。
【0006】
〔駆動信号電圧VSが「H」レベルの場合:ランプ消灯〕
駆動信号電圧VSが「H」レベルとされると、トランジスタTr1はオンとされ、FEDランプ1のグリッド電極1−2はトランジスタTr1を介して接地される。これにより、カソード電極1−1からの電子の引き出しが中断され、FEDランプ1は消灯する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この駆動回路2′によると、FEDランプ1が消灯している間、抵抗器R1の両端にはグリッド用電源電圧VG=2kVが印加され、大電流が流れる。このため、抵抗器R1として大電力用抵抗器が必要であり、またトランジスタTr1として大電流トランジスタが必要であり、コストがアップする。また、FEDランプ1が消灯しているにも拘わらず、抵抗器R1において無駄な電力が消費される。なお、FEDランプ1の消灯時の無駄な消費電力を減らすために抵抗器R1の値を大きくすると、グリッド電極1−2に印加されるグリッド電圧が低下してしまう。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、小電力用抵抗器や低電流トランジスタの使用を可能としてコストを低減することのできる、また無駄な消費電力を小さくすることのできる電界放射型ランプの駆動回路を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために本発明は、電界放射型ランプのグリッド電極への電源の供給ラインに第1の抵抗器の一端を接続し、第1の抵抗器の他端に第1の三端子能動素子の第1の出力端子を接続し、第1の三端子能動素子の第2の出力端子を接地し、第1の三端子能動素子の第1の出力端子と第1の抵抗器の他端との接続点に電界放射型ランプのカソード電極を接続するようにしたものである。
この発明によれば、第1の三端子能動素子の入力端子に所定の電圧を印加しオンとすると、電界放射型ランプのカソード電極が第1の三端子能動素子を介して接地され、カソード電極とグリッド電極との間に第1の抵抗器の端子間電圧が加わり、電界放射型ランプが点灯する。この間、第1の抵抗器には電流が流れるが、第1の抵抗器の値はグリッド電圧の値とは関係なく大きくすることが可能であり、第1の抵抗器の値を大きくすることによって第1の抵抗器での消費電力を小さくすることができる。第1の三端子能動素子をオフとすると、電界放射型ランプのカソード電極が非接地とされ、カソード電極とグリッド電極とが同電位となり、グリッド電極によるカソード電極からの電子の引き出しが中断され、電界放射型ランプが消灯する。この間、第1の抵抗器には電流が流れず、電力は消費されない。
【0010】
上記構成を基本とし、電界放射型ランプのグリッド電極と第1の抵抗器の一端との間に第2の抵抗器を接続する。第2の抵抗器はグリッド電極に印加される電圧を調整する。
また、第1の三端子能動素子の入力端子に可変抵抗器を接続し、この可変抵抗器を介して第1の三端子能動素子の入力端子に直流電圧を供給する。可変抵抗器の抵抗値を調整することによって、第1の三端子能動素子の入力端子への電流を変化させ、第1の三端子能動素子の第1の出力端子と第2の出力端子との間を流れる電流、すなわち電界放射型ランプのカソード電流(グリッド電流とアノード電流の合計)を制御することができる。
【0011】
また、第1の三端子能動素子の入力端子に第3の抵抗器を接続し、第1の三端子能動素子の入力端子に第2の三端子能動素子の第1の出力端子を接続し、第2の三端子能動素子の第2の出力端子を接地し、第2の三端子能動素子の入力端子に駆動信号を入力する。第2の三端子能動素子の入力端子へ駆動信号を与えることにより、例えば駆動信号を「L」レベルとすることにより、第2の三端子能動素子をオフとし、第1の三端子能動素子をオンとし、電界放射型ランプのカソード電極を第1の三端子能動素子を介して接地し、カソード電極とグリッド電極との間に第1の抵抗器の端子間電圧を加え、電界放射型ランプを点灯させることができる。なお、第3の抵抗器を可変抵抗器とすれば、第1の三端子能動素子の入力端子への電流を変化させ、電界放射型ランプのカソード電流を制御することができる。
【0012】
また、第1の抵抗器の値は、1MΩ〜200MΩとする。また、第1の三端子能動素子の第1の出力端子と第2の出力端子との間に第4の抵抗器を接続する。第4の抵抗器を接続することにより、第1の三端子能動素子として耐圧の低い素子の使用が可能となる。
【0013】
なお、本発明において、三端子能動素子とは、入力端子に供給される電流又は電圧信号に応じて第1,第2の出力端子間を流れる電流を制御する機能を有し、具体的にはバイポーラトランジスタ及びFETを含むトランジスタで実現することができる。特に、バイポーラトランジスタの場合には、NPN型のトランジスタが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。図1はこの発明に係るFEDランプに付設された駆動回路の一実施の形態を示す回路図である。同図において、図3と同一符号は同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。
【0015】
本実施の形態の駆動回路2では、高耐圧の抵抗器R1の一端をグリッド用電源端子PGに接続し、他端をNPN型の高耐圧のトランジスタTr1のコレクタに接続し、抵抗器R1の一端とグリッド用電源端子PGとの接続点とFEDランプ1のグリッド電極1−2との間に抵抗器R2を接続している。
【0016】
また、抵抗器R1の他端とトランジスタTr1のコレクタとの接続点にFEDランプ1のカソード電極1−1を接続し、トランジスタTr1のエミッタを接地している。さらに、NPN型のトランジスタTr2を設け、このトランジスタTr2のコレクタをトランジスタTr1のベースに接続し、エミッタをトランジスタTr1のエミッタに接続している。また、トランジスタTr1のベースに可変抵抗器RVを接続し、外部抵抗(図示せず)を介して端子(直流電源用端子)PDに直流電圧VDを印加するようにしており、トランジスタTr2のベースに電流制限抵抗R3を接続し、端子(駆動信号電圧用端子)PSを介して駆動信号電圧VSを与えるようにしている。
【0017】
本実施の形態において、抵抗器R1の値は50MΩとされ、抵抗器R2の値は2MΩとされ、可変抵抗器RVの値は0〜100MΩとされ、電流制限抵抗R3の値は10kΩとされている。また、トランジスタTr1の耐圧は2kV以上とされ、トランジスタTr2の耐圧は50V以上とされている。また、グリッド用電源端子PGにはグリッド用電圧VGとしてVG=2kVが印加され、アノード用電源端子PAにはアノード用電圧VAとしてVA=10kVが印加され、直流電源用端子PDには直流電圧VDとしてVD=5Vが印加されている。
【0018】
また、この実施の形態では、FEDランプ1を点灯させる場合には、駆動回路2のトランジスタTr2のベースに駆動信号電圧用端子PSを介して「L」レベルの駆動信号電圧VSを、消灯させる場合には「H」レベルの駆動信号電圧VSを与えるようにしている。
【0019】
〔駆動信号電圧VSが「L」レベルの場合:ランプ点灯〕
駆動信号電圧VSが「L」レベルとされると、トランジスタTr2がオフとされ、直流電圧VD=5Vが可変抵抗器RVを介してトランジスタTr1のベースに印加され、トランジスタTr1がオンとされる。この場合、FEDランプ1のカソード電極1−1がトランジスタTr1を介して接地され、トランジスタTr1には可変抵抗器RVを介するベース電流Ibに応じたコレクタ電流Icが流れる。
【0020】
これにより、FEDランプ1のカソード電極1−1とグリッド電極1−2との間に電圧が加わり、カソード電極1−1から電子が引き出され、グリッド電極1−2を通過してアノード電極1−3へ至り、アノード電極1−3により加速されて蛍光面(図示せず)に衝突する。この結果、蛍光面を構成する蛍光体が電子衝撃により励起され、その蛍光体に応じた色で蛍光面が発光する。
【0021】
この時のFEDランプ1のカソード電流(グリッド電流とアノード電流の合計)は、直流電圧VDと可変抵抗器RVの値で決まるトランジスタTr1のベース電流Ibによって制御することが可能である。また、抵抗器R1は50MΩと大きく、抵抗器R1に流れる電流はごく僅かであり、抵抗器R1での消費電力は少ない。また、トランジスタTr1のコレクタ電流Icに影響を与えることなく、抵抗器R2の値を任意に選択することができ、FEDランプ1のグリッド電極1−2に印加される電圧を調整することができる。これにより、個々のランプの電流特性に合わせて抵抗器R2の値を設定し、FEDランプ1のカソード電流を制御し、安定した点灯駆動を行うことができる。
【0022】
〔駆動信号電圧VSが「H」レベルの場合:ランプ消灯〕
駆動信号電圧VSが「H」レベルとされると、トランジスタTr2がオンとされ、トランジスタTr1へのベース電流Ibが流れなくなって、トランジスタTr1がオフとされる。これにより、FEDランプ1のカソード電極1−1が非接地とされ、カソード電極1−1とグリッド電極1−2とが同電位となり、グリッド電極1−2によるカソード電極1−1からの電子の引き出しが中断され、FEDランプ1が消灯する。この間、抵抗器R1には電流が流れず、電力は消費されない。
【0023】
〔本実施の形態の駆動回路2と従来の駆動回路2′との比較〕
従来の駆動回路2′では、ランプ消灯時に抵抗器R1に電流が流れ、ここで無駄な電力が消費されていた。これに対し、本実施の形態の駆動回路2では、ランプ消灯時には抵抗器R1に電流が流れず、ここでの電力消費はない。なお、トランジスタTr2に電流が流れるが、その量はごく僅かである。
【0024】
一方、従来の駆動回路2′では、ランプ点灯時の無駄な電力消費はない。これに対し、本実施の形態の駆動回路2では、ランプ点灯時に抵抗器R1に電流が流れ、ここで無駄な電力が消費される。しかし、抵抗器R1の値は50MΩと大きく、抵抗器R1に流れる電流はごく僅かであり、抵抗器R1での電力消費は小さい。
【0025】
すなわち、従来の駆動回路2′ではランプ消灯時に抵抗器R1で消費される電力(PW1)が無駄となるのに対し、本実施の形態の駆動回路2ではランプ消灯時にトランジスタTr2で消費される電力(PW2)とランプ点灯時に抵抗器R1で消費される電力(PW3)との和が無駄な消費電力となる。しかし、PW2+PW3はPW1よりも遙かに小さく、従来の駆動回路2′よりも無駄な消費電力を小さくすることができる。本実施の形態の駆動回路2によってFEDランプ1を駆動したことろ、無駄な消費電力は従来の1/25という結果が得られた。
【0026】
また、本実施の形態の駆動回路2では、抵抗器R1に流れる電流が僅かであり、またトランジスタTr1に流れる電流も僅かである。したがって、抵抗器R1として小電力用抵抗器の使用が可能となり、トランジスタTr2として低電流トランジスタの使用が可能となり、これによりコストを低減することができる。
【0027】
なお、図2に示すように、トランジスタTr1のコレクタとエミッタとの間に抵抗器R4を接続すれば、トランジスタTr1として耐圧の低いトランジスタの使用が可能となる。例えば、抵抗器R4として抵抗器R1と同じ50MΩの抵抗器を使用すれば、トランジスタTr1のオフ時にそのコレクタ・エミッタ間に加わる電圧は(1/2)・VGとなる。この場合、FEDランプ1のカソード電極1−1には抵抗器R1と抵抗器R4とによる分圧電圧が印加されるが、グリッド・カソード間に生じる電圧差が小さく、FEDランプ1が点灯することはない(FEDランプ1の特性からグリッド・カソード間電圧を点灯時の1/2にすると消灯する)。
【0028】
また、本実施の形態では、駆動回路2における抵抗器R1を50MΩとしたが、50MΩに限られるものではない。すなわち、本実施の形態では、抵抗器R1の値をグリッド電圧とは関係なく設定することができる。従来回路との比較からいえば抵抗器R1は2MΩ以上とすべきだが、あくまでもそれは従来回路において抵抗器R1を2MΩとしたときの比較であり、その値は自由である。実際には、1MΩ〜100MΩの範囲から適切な値を選択・設定する。
また、本実施の形態では、トランジスタTr1のベースに可変抵抗器RVを接続するようにしたが、その値が固定された抵抗器を接続するようにしてもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように本発明によれば、第1の三端子能動素子の第1の出力端子と第1の抵抗器の他端との接続点に電界放射型ランプのカソード電極を接続するようにしたので、ランプが消灯している間は第1の抵抗器に電流が流れず、ランプが点灯している間は第1の抵抗器に電流が流れるが、第1の抵抗器の値はグリッド電圧の値とは関係なく大きくすることが可能であり、第1の抵抗器の値を大きくすることによって第1の抵抗器での消費電力を小さくすることができ、小電力用抵抗器や低電流トランジスタの使用を可能としてコストを低減することができ、無駄な消費電力を小さくすることもできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るFEDランプに付設された駆動回路の一実施の形態を示す回路図である。
【図2】 本発明に係るFEDランプに付設された駆動回路の他の実施の形態を示す回路図である。
【図3】 従来のFEDランプに付設された駆動回路を示す回路図である。
【符号の説明】
1…FEDランプ、1−1…カソード電極、1−2…グリッド電極、1−3…アノード電極、2…駆動回路、R1,R2,R4…抵抗器、R3…電流制限抵抗、RV…可変抵抗器、Tr1,Tr2…トランジスタ、PA…アノード電源用端子、PG…グリッド電源用端子、PS…駆動信号電圧用端子、PD…直流電源用端子。

Claims (6)

  1. 電子を放出するカソード電極と,このカソード電極から電子を引き出すグリッド電極と,前記カソード電極から引き出された電子を加速するアノード電極とを備えた電界放射型ランプに付設される電界放射型ランプの駆動回路であって、
    前記電界放射型ランプのグリッド電極への電源の供給ラインにその一端が接続された第1の抵抗器と、
    この第1の抵抗器の他端に第1の出力端子が接続され第2の出力端子が接地された第1の三端子能動素子とを備え、
    前記第1の三端子能動素子の第1の出力端子と前記第1の抵抗器の他端との接続点に前記電界放射型ランプのカソード電極が接続されている
    ことを特徴とする電界放射型ランプの駆動回路。
  2. 請求項1において、前記電界放射型ランプのグリッド電極と前記第1の抵抗器の一端との間に第2の抵抗器が接続されていることを特徴とする電界放射型ランプの駆動回路。
  3. 請求項1において、前記第1の三端子能動素子の入力端子に可変抵抗器が接続され、この可変抵抗器を介して前記第1の三端子能動素子の入力端子に直流電圧が供給されることを特徴とする電界放射型ランプの駆動回路。
  4. 請求項1において、前記第1の三端子能動素子の入力端子に接続された第3の抵抗器と、前記第1の三端子能動素子の入力端子に接続された第1の出力端子と,接地された第2の出力端子と,駆動信号が入力される入力端子とを有する第2の三端子能動素子とを備えたことを特徴とする電界放射型ランプの駆動回路。
  5. 請求項1において、前記第1の抵抗器の値が1MΩ〜200MΩとされていることを特徴とする電界放射型ランプの駆動回路。
  6. 請求項1において、前記第1の三端子能動素子の第1の出力端子と第2の出力端子との間に第4の抵抗器が接続されていることを特徴とする電界放射型ランプの駆動回路。
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