JP3773185B2 - 発光表示パネルの駆動装置および駆動方法 - Google Patents

発光表示パネルの駆動装置および駆動方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子等の容量性発光素子を発光駆動する技術に関し、特に複数の有機EL素子を配列した表示パネルを駆動する場合において、非発光状態の走査ラインに印加する逆バイアス電圧を適正に制御することで、EL素子のクロストーク発光を効果的に抑制すると共に、EL素子の点灯率が低下しても安定な発光制御を行うことができる発光表示パネルの駆動装置および駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイに代わる低消費電力および高表示品質、並びに薄型化が可能なディスプレイとして、有機ELディスプレイが一部において実用化されている。これはELディスプレイに用いられるEL素子の発光層に、良好な発光特性を期待することができる有機化合物を使用することによって、実用に耐えうる高効率化および長寿命化が進んだことが背景にある。
【0003】
前記有機EL素子は、電気的には図5に示すような等価回路で表すことができる。すなわち、有機EL素子は、ダイオード成分Eと、このダイオード成分に並列に結合する寄生容量成分Cp とによる構成に置き換えることができ、有機EL素子は容量性の発光素子であると考えられている。この有機EL素子は、発光駆動電圧が印加されると、先ず、当該素子の電気容量に相当する電荷が電極に変位電流として流れ込み蓄積される。続いて当該素子固有の一定の電圧(発光閾値=Vth)を越えると、電極(ダイオード成分Eの陽極側)から発光層を構成する有機層に電流が流れ初め、この電流に比例した強度で発光すると考えることができる。
【0004】
図6は、このような有機EL素子の発光静特性を示したものである。これによれば、有機EL素子は図6(a)に示すように、駆動電圧(V)が発光閾値電圧(Vth)以上の場合において、急激に電流(I)が流れて発光する。換言すれば、印加される駆動電圧が発光閾値電圧以下であれば、寄生容量への充電後はEL素子には殆ど駆動電流は流れず発光しない。そして、駆動電圧(V)が発光閾値電圧以上の発光可能領域においては、図6(b)に示すように、駆動電流(I)にほぼ比例した輝度(L)で発光する特性を有している。したがって、EL素子の輝度特性は図6(c)に示すように前記閾値電圧より大なる発光可能領域においては、それに印加される電圧(V)の値が大きくなるほど、その発光輝度(L)が大きくなる特性を有している。
【0005】
一方、前記した有機EL素子は、長期の使用によって素子の物性が変化し、素子自身の抵抗値が大きくなるという特性を有している。このために有機EL素子は、図6(a)に示したように実使用時間の経過によってV−I特性が矢印で示した方向(破線で示した特性)に変化し、したがって輝度特性も劣化することになる。
【0006】
さらに、有機EL素子の輝度特性は、環境温度によって概ね図6(c)に破線で示したように変化することも知られている。すなわち、EL素子は前記した発光閾値電圧よりも大なる発光可能領域においては、それに印加される電圧(V)の値が大きくなるほど、その発光輝度(L)が大きくなる特性を有しているが、高温になるほど発光閾値電圧が小さくなる。したがって、前記EL素子は、高温になるほど、小さい印加電圧で発光可能な状態となり、同じ発光可能な印加電圧を与えても、高温時は明るく低温時は暗いといった輝度の温度依存性を有している。
【0007】
かかる複数の有機EL素子を配列させて構成した表示パネルの駆動方法としては、単純マトリクス駆動方式が知られている。図7に単純マトリクス表示パネルと、その駆動装置の一例が示されている。この単純マトリクス駆動方式における有機EL素子のドライブ方法には、陰極線走査・陽極線ドライブ、および陽極線走査・陰極線ドライブの2つの方法があるが、図7に示す構成は前者の陰極線走査・陽極線ドライブの形態を示している。すなわち、n本のドライブ線としての陽極線A1 〜An が縦方向に、m本の走査線としての陰極線B1 〜Bm が横方向に配列され、各々の交差した部分(計n×m箇所)に、ダイオードのシンボルマークで示した有機EL素子OELが配置され、表示パネル1を構成している。
【0008】
そして、画素を構成する各EL素子は、格子状に配列され、縦方向に沿う陽極ドライブ線A1 〜An と横方向に沿う陰極走査線B1 〜Bm との交差位置に対応して一端(前記した等価回路のダイオード成分Eのアノード端子)が陽極ドライブ線に、他端(前記した等価回路のダイオード成分Eのカソード端子)が陰極走査線に接続される。また、陽極ドライブ線は陽極線ドライブ回路2に接続され、陰極走査線は陰極線走査回路3に接続されてそれぞれ駆動される。
【0009】
前記陰極線走査回路3には、各陰極走査線B1 〜Bm に対応して走査スイッチSY1〜SYmが備えられ、クロストーク発光を防止するための逆バイアス電圧生成回路5からの逆バイアス電圧(VM )または基準電位点としてのアース電位のうちのいずれか一方を、対応する陰極走査線に接続するように作用する。また、陽極線ドライブ回路2には、各陽極ドライブ線を通じて駆動電流を個々のEL素子に供給する定電流源としての定電流回路I1 〜In およびドライブスイッチSX1〜SXnが備えられている。
【0010】
このドライブスイッチSX1〜SXnは、定電流回路I1 〜In からの電流またはアース電位のうちのいずれか一方をそれぞれに対応する陽極線に接続するように作用する。したがって、ドライブスイッチSX1〜SXnが前記定電流回路側に接続されることにより、定電流回路I1 〜In からの電流が、陰極走査線に対応して配置された個々のEL素子に対して供給されるように作用する。
【0011】
なお、前記定電流回路に代えて定電圧回路等の駆動源を用いることも可能であるが、EL素子の電流・輝度特性が温度変化に対して安定しているのに対し、電圧・輝度特性が温度変化に対して不安定であること、また過電流によりEL素子を劣化させるのを防止する等の理由により、図7に示したように駆動源として定電流回路を用いるのが一般的である。
【0012】
前記陽極線ドライブ回路2および陰極線走査回路3には、発光制御回路4よりコントロールバスが接続されており、発光制御回路4に供給される表示すべき画像信号に基づいて、前記走査スイッチSY1〜SYmおよびドライブスイッチSX1〜SXnが操作される。そして、画像信号に基づいて陰極走査線を所定の周期で基準電位に設定しながら所望の陽極線に対して定電流回路が接続される。これにより、前記各発光素子は選択的に発光し、表示パネル1上に前記画像信号に基づく画像が再生される。
【0013】
前記陽極線ドライブ回路2における各定電流回路I1 〜In には、DC−DCコンバータによる昇圧回路6からもたらされるDC出力が供給されるように構成されている。なお、以下に説明するDC−DCコンバータによる昇圧回路6は、PWM制御(pulse width modulation)により直流出力を生成するようにしているが、これはPFM制御(pulse frequency modulation)を利用することもできる。
【0014】
このDC−DCコンバータは、スイッチングレギュレータ回路11から出力されるPWM波がスイッチング素子としてのnpnトランジスタQ1 を所定のデューティーサイクルでオン制御するように構成されている。すなわち、トランジスタQ1 のオン動作によって、DC電圧源12からの電力エネルギーがインダクタL1 に蓄積され、トランジスタQ1 のオフ動作に伴い、前記インダクタに蓄積された電力エネルギーは、ダイオードD1 を介してコンデンサC1 に蓄積される。そして、前記トランジスタQ1 のオン・オフ動作の繰り返しにより、昇圧されたDC出力をコンデンサC1 の端子電圧として得ることができる。
【0015】
前記DC出力電圧は、抵抗R3 と温度補償用のサーミスタTH1 からなる並列回路、この並列回路に直列接続された抵抗R2 とR1 の接続点において分圧される。そして、分圧出力はスイッチングレギュレータ回路11におけるオペアンプによる誤差増幅器14に供給され、この誤差増幅器14において基準電圧Vref と比較される。この比較出力(誤差出力)がPWM回路15に供給され、発振器16からもたらされる信号波のデューティを制御することで、前記出力電圧を所定の定電圧に維持するようにフィードバック制御される。
【0016】
図7に示した構成においては、前記したように誤差増幅器14に帰還されるフィードバック系に、サーミスタTH1 が挿入されており、サーミスタTH1 が保有する温度特性によって、DC−DCコンバータ6により得られる出力電圧Vout を調整し、結果として出力電圧Vout を分圧して得られる後述する逆バイアス電圧VM を、環境温度に応じて可変するようになされている。ここで、前記したDC−DCコンバータ6により得られる出力電圧Vout は、次のように示すことができる。なお、次式において“TH1 //R3 ”はサーミスタTH1 と、抵抗R3 との並列合成抵抗値を示す。
【0017】
【数1】
Vout =Vref ×〔(R1 +R2 +TH1 //R3 )/R1 〕
【0018】
一方、前記したクロストーク発光を防止するために利用される逆バイアス電圧生成回路5は、前記出力電圧Vout を分圧する分圧回路により構成されている。すなわち、この分圧回路は、抵抗R4 ,R5 、およびエミッタフォロワとして機能するnpnトランジスタQ2 により構成されている。したがって、トランジスタQ2 におけるベース・エミッタ間電圧をVbeとすれば、この分圧回路により得られる逆バイアス電圧VM は、概ね次のように表すことができる。
【0019】
【数2】
VM =Vout ×〔R5 /(R4 +R5 )〕−Vbe
【0020】
以上の構成において、発光制御回路4は、陰極線走査回路3における陰極走査線B1 〜Bm を所定の周期で走査しながら、画像信号に基づいて陽極線ドライブ回路2におけるドライブスイッチSX1〜SXnを制御し、各陽極ドライブ線A1 〜An に対して定電流回路I1 〜In を選択的に接続する。これにより、前記各発光素子を選択的に発光させるように作用する。この時、非走査状態の陰極線には前記した逆バイアス電圧生成回路5からの逆バイアス電圧VM が印加され、これにより、ドライブされている陽極線と走査選択がなされていない陰極線との交点に接続された各EL素子が、クロストーク発光するのが阻止されるように作用する。
【0021】
ところで、有機EL素子は、前記したように寄生容量Cp を有しており、例えば1つの陽極ドライブ線に数十個のEL素子が接続されている場合を例にすると、当該陽極ドライブ線からみて各寄生容量の数十倍の合成容量が負荷容量として陽極ドライブ線に接続されることになる。
【0022】
したがって、走査期間の先頭で陽極ドライブ線からの電流は、前記負荷容量を充電するために費やされ、EL素子の発光閾値電圧を十分に超えるまで充電するためには時間遅れが発生し、結局EL素子の発光立上がりが遅れるという問題が発生する。特に、前記したように駆動源として定電流源I1 〜In を用いた場合においては、定電流源は動作原理上、ハイインピーダンス出力回路であるがため、電流が制限されてEL素子の発光立上がりの遅れが顕著に発生する。
【0023】
そこで、この種の駆動回路においては、一般的に陰極リセット法が採用される。この陰極リセット法は、例えば特開平9−232074号公報に開示されており、走査線を切り換えた際に、次の走査線に対応して発光駆動されるEL素子の発光立上りを早めるように作用する。
【0024】
前記陽極線ドライブ回路2に備えられたドライブスイッチSX1〜SXnは、定電流源I1 〜In 、もしくはアース電位に択一的に接続されるように作用し、スイッチSX1〜SXnがアース電位に接続された場合においては、陽極ドライブ線はアース電位に設定される。したがって、このドライブスイッチSX1〜SXnを利用して、前記した陰極リセット法を実現させることができる。
【0025】
図8は陰極リセット動作を説明するものであり、例えば第1の陽極ドライブ線A1 に接続されているEL素子E11が発光駆動されている状態から、次の走査において、同じく第1の陽極ドライブ線A1 に接続されているEL素子E12が発光駆動される状態が示されている。なお、図8においては、発光駆動されるEL素子がダイオードのシンボルマークとして示されており、他は寄生容量としてのコンデンサのシンボルマークで示されている。
【0026】
図8(a)は、陰極リセット動作の前の状態を示しており、陰極走査線B1 が走査されEL素子E11が発光している状態を示す。次の走査でEL素子E12を発光させることになるが、EL素子E12を発光させる前に、(b)に示すように陽極ドライブ線A1 および全陰極走査線をアース電位にリセットして、各EL素子の全電荷を放電させる。これには、各走査スイッチSY1〜SYmがアース側に接続されると共に、ドライブスイッチSX1がアース側に接続される。次にEL素子E12を発光させるために、陰極走査線B2 が走査状態にされる。すなわち、陰極走査線B2 がアースに接続され、それ以外の陰極走査線には、逆バイアス電圧VM が与えられる。なお、この時、ドライブスイッチSX1は定電流源I1 側に切り換えられる。
【0027】
したがって、前述したリセット時に各素子における寄生容量の電荷が放電しているため、この瞬間において(c)に示すように、次に発光される素子E12以外の素子による寄生容量に対して、矢印で示すように逆バイアス電圧VM による逆方向の充電がなされる。これらに対する充電電流は、陽極ドライブ線A1 を介して、次に発光されるEL素子E12に流入し、当該EL素子E12の寄生容量を充電する。この時、ドライブ線A1 に接続された定電流源I1 は、前記したとおり基本的にはハイインピーダンス出力回路であり、この充電電流の動きには影響を与えない。
【0028】
この場合、前記ドライブ線A1 に、例えば64個のEL素子が配列されていると仮定し、また、前記した逆バイアス電圧VM が例えば10(V)であるとすると、前記した充電作用により、陽極ドライブ線A1 の電位V(A1)は、パネル内の配線インピーダンスは無視できるほど小さいため、瞬時に次に示す数式3に基づく電位に上昇する。例えば外形が100mm×25mm(256×64dot)程度の表示パネルでは、この動作は約1μsecで完結する。
【0029】
【数3】
V(A1)=(VM ×63+0V×1)/64=9.84V
【0030】
その後、ドライブ線A1 に流れる定電流源I1 からの駆動電流により、(d)に示すようにEL素子E12が発光状態になる。以上のように、前記した陰極リセット法は、本来駆動の障害となるEL素子の寄生容量とクロストーク発光防止用の逆バイアス電圧を利用して、次に点灯駆動させるEL素子の順方向電圧を瞬時に立ち上げるように作用する。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】
前記したような陰極リセット法を利用した場合には、次の走査で点灯駆動されるEL素子の順方向電圧は瞬時に立ち上げられると共に、定電流源からの駆動電流を受けてEL素子は発光駆動される。したがって、前記逆バイアス電圧VM の値をより高く設定すれば、クロストーク発光を効果的に抑制でき、また、次の走査において発光されるEL素子への順方向電圧の初期充電電圧もそれに応じて増大するので、一見好ましいように考えられる。しかしながら、前記した逆バイアス電圧VM の値を過度に大きく設定した場合においては、いわゆるリーク現象を引き起こして、表示パネルの表示品位を低下させるという問題が発生する。そのために、従来のこの種の駆動回路においては、前記逆バイアス電圧VM は、EL素子の順方向電圧Vf に近い値の固定電圧に設定されている。
【0032】
ところで、この種のEL素子は、図6(a)に基づいて説明したように、経時変化により順方向電圧が上昇するという問題を抱えている。また、この種のEL素子は、図6(c)に基づいて説明したように環境温度により順方向電圧が変動するという問題も抱えている。ここで、例えば経時変化により順方向電圧が上昇した場合を考えると、前記した逆バイアス電圧VM は固定の電圧値であるため、走査直前においてEL素子に初期充電される電圧VM と、素子の順方向電圧Vf との間に除々に開きが発生する。この結果、固定の逆バイアス電圧VM からの初期充電動作によるEL素子の発光開始時期に遅れが生じ、EL素子の発光量が除々に減少するという問題が発生する。換言すれば、EL素子が所定の発光量を確保できる期間が短縮され、EL素子の輝度寿命が実質的に短くなるという問題に帰着する。
【0033】
この種のEL素子における順方向電圧の変化は、前記した経時変化、温度依存性に加え、EL素子を製造する際の成膜(蒸着)処理等のばらつきによっても、その順方向電圧にばらつきが発生する。さらに、この種のEL素子はR(赤色)、G(緑色)、B(青色)等の発光色によっても、その順方向電圧が異なるという問題を抱えており、結果としてEL素子の発光輝度にばらつきが発生する。
【0034】
さらに、逆バイアス電圧VM を生成する手段として、図7に示したように抵抗分割とエミッタフォロワ構成による生成回路を採用したとしても、順方向電圧Vf が逆バイアス電圧VM よりも高い場合、表示パネルにおける点灯素子数および点灯輝度に応じて、非走査ラインの各EL素子の寄生容量を介してエミッタフォロワ抵抗に流れる電流が変動するという現象が発生する。このために、逆バイアス電圧VM が変動し、これにより逆バイアス電圧VM と素子の順方向電圧Vf と間の電位差に変動が生じ、結果としてEL素子の発光輝度にばらつきが発生する。
【0035】
さらにまた、図7に示したようにサーミスタTH1 を用い、結果として逆バイアス電圧VM を温度補償するようにしても、サーミスタによる温度補償のレスポンスが遅く、また温度補償カーブがEL素子の特性に必ずしも一致しないなどの要因により、満足な補償特性を得ることが困難である。そして、前記サーミスタは、表示パネルに対して熱密着状態となるように配置するのが理想的であるものの、現実的にはそのような構成を採ることは困難であり、サーミスタの配置設計に苦慮を強いられるなどの問題点も抱えている。
【0036】
そこで、本件出願人は前記したような有機EL素子に代表される発光素子に加える逆バイアス電圧を常に適性に制御し、クロストーク発光を効果的に抑制すると共に、経時変化あるいは動作温度等による発光素子の輝度変化を来たすとのない発光表示パネルの駆動装置について、特願2001−269941号として出願している。この特願2001−269941号として出願した発光表示パネルの駆動装置によると、後で詳細に説明するように、走査線に加える逆バイアスの電圧値を、発光素子の発光点灯状態における順方向電圧値に応じて随時変化させる逆バイアス電圧生成手段が具備されている。
【0037】
すなわち、前記逆バイアス電圧生成手段においては、発光素子を発光駆動させる状態において、非走査状態における発光素子の寄生容量を介して非走査状態の走査線に生ずるライン電圧をピークホールドし、このピークホールド値に基づいて、前記走査線に加える逆バイアス電圧を出力する電圧バッファが備えられている。これにより、発光素子に加える逆バイアス電圧を常に適性に制御することができ、前記したような技術的な問題点を解消することができる。
【0038】
しかしながら、前記した逆バイアス電圧生成手段より生成される最低電圧は、回路中の能動素子の自己バイアスによって流れる電流により定められることになる。したがって、この逆バイアス電圧生成手段によると、発光表示パネルの点灯率が低い場合(もしくは全く点灯がなされない場合)においては、発光素子の寄生容量を介して非走査状態の走査線に生ずるライン電圧が低くなるため、前記したように回路中の能動素子の自己バイアスによって定められた逆バイアス電圧が発生することになる。
【0039】
それ故、発光素子の点灯率が低い場合においては、能動素子の特性のばらつきにより逆バイアス電圧が変化して発光素子の輝度が振られ、安定した点灯状態が期待できなくなるという問題を抱えることになる。さらに、発光素子の点灯率が低い場合においては、動作温度に対する輝度特性をフラットに補償することが困難になるという問題点も発生する。
【0040】
この発明は、前記した逆バイアス電圧生成手段による作用効果をそのまま享受すると共に、発光表示パネルの点灯率が低い場合において発生する前記した逆バイアス電圧生成手段の問題点を解消することができる発光表示パネルの駆動装置および駆動方法を提供することを目的とするものである。
【0041】
【課題を解決するための手段】
前記した目的を達成するためになされたこの発明にかかる発光表示パネルの駆動装置は、互いに交差する複数のドライブ線および複数の走査線と、前記各ドライブ線および前記各走査線による複数の交差位置の各々にて、前記ドライブ線および前記走査線間に接続された極性を有する複数の容量性の発光素子からなる発光表示パネルの駆動装置であって、前記走査線に加える逆バイアス電圧値を制御する逆バイアス電圧生成手段が具備され、前記逆バイアス電圧生成手段は、前記走査線のいずれかを基準電位に設定して発光素子を発光駆動させる状態において、非走査状態における発光素子の寄生容量を介して非走査状態の走査線に生ずるライン電圧、および前記逆バイアス電圧値の最低値を確保するために設けられた定電流回路を含む定電圧生成手段からの定電圧、に対応して前記逆バイアス電圧値を制御するように構成した点に特徴を有する。
【0042】
この場合、前記定電流回路を含む定電圧生成手段からの定電圧は、好ましくは前記逆バイアス電圧生成手段におけるライン電圧の供給点に加わるように構成される。そして、好ましい実施の形態においては、前記各走査線には、各走査線に対応して走査スイッチが接続され、前記各走査スイッチを介して前記逆バイアス電圧生成手段による逆バイアス電圧を各走査線に印加するように構成されると共に、非走査状態における走査線のライン電圧を、前記走査スイッチを介して取得するように構成される。
【0043】
また、前記非走査状態における走査線に生ずるライン電圧、および定電流回路を含む定電圧生成手段から得られる定電圧におけるピーク値をホールドするピークホールド手段が具備されることが望ましく、前記ピークホールド手段によりホールドされたピーク値に基づいて、前記逆バイアス電圧生成手段により生成される逆バイアス電圧の電圧値が制御されるように構成される。加えて、前記ピークホールド手段には、ホールドされたピーク値を除々に放電させる放電手段が具備されていることが望ましい。
【0044】
一方、前記ピークホールド手段には、好ましくはホールドされたピーク値を瞬時にリセットすることができるピーク値リセット手段が具備される。そして、好ましい実施の形態においては、前記ピーク値リセット手段は、画像信号に基づいて発光表示パネルを駆動する発光制御回路からの指令信号によって、リセット動作が実行されるように構成される。
【0045】
そして、前記逆バイアス電圧生成手段は、好ましくはピークホールド手段によりホールドされたピーク値に基づいて、逆バイアス電圧を生成する電圧バッファ回路により構成される。この場合、前記ピークホールド手段の入力端から逆バイアス電圧を生成する電圧バッファ回路の出力端に至るループ経路に、ループゲインを1未満に設定する帰還量調整手段が具備されていることが望ましい。
【0046】
そして、好ましい実施の形態においては、前記ピークホールド手段が、電圧バッファ回路と当該バッファ回路の出力端に接続された充電時定数を構成する第1抵抗器と前記第1抵抗器を介して接続されたピークホールド用のコンデンサとにより構成され、前記コンデンサと並列に放電時定数を構成する第2抵抗器が接続され、前記第1抵抗器と第2抵抗器とにより、前記帰還量調整手段が構成される。
【0047】
一方、この発明にかかる発光表示パネルの駆動装置においては、前記各ドライブ線には各発光素子を選択的に発光駆動するための定電流源が配置され、当該定電流源を介して走査状態の各発光素子に対して選択的に定電流が供給されるように構成されると共に、前記各ドライブ線に配置された定電流源に供給される駆動電圧が、前記ピークホールド手段によりホールドされたピーク値に基づいて設定されるように構成される場合もある。
【0048】
この場合、前記定電流源に供給される駆動電圧が、好ましくはDC−DCコンバータより供給されるようになされ、かつ、前記DC−DCコンバータの出力電圧は、当該出力電圧の分圧電圧と基準電圧との差分に基づいて制御されるように構成され、前記ピークホールド手段によりホールドされたピーク値に基づいて、前記分圧電圧が制御されるように構成される。
【0049】
そして、前記したいずれの構成を採用した場合においても、前記逆バイアス電圧生成手段において利用される定電流回路を含む定電圧生成手段より得られる定電圧を、さらにディマー制御に対応させて変更するように構成することができる。また、前記複数の走査線を順次走査する走査状態において、各走査期間の終了ごとに前記各ドライブ線および各走査線を全て同一電位に設定するリセット操作が実行されるようになされることが望ましい。そして、前記した各構成は、有機エレクトロルミネッセンス素子を発光素子として用いた発光表示パネルの駆動装置に好適に利用することができる。
【0050】
一方、この発明にかかる発光表示パネルの駆動方法は、互いに交差する複数のドライブ線および複数の走査線と、前記各ドライブ線および前記各走査線による複数の交差位置の各々にて、前記ドライブ線および前記走査線間に接続された極性を有する複数の容量性の発光素子からなる発光表示パネルの駆動方法であって、前記走査線に加える逆バイアス電圧値が、前記走査線のいずれかを基準電位に設定して発光素子を発光駆動させる状態において、非走査状態における発光素子の寄生容量を介して非走査状態の走査線に生ずる電圧値、および前記逆バイアス電圧値の最低値を確保するために設けられた定電流回路を含む定電圧生成手段からの定電圧値、に対応して制御するようにした点に特徴を有する。
【0051】
この場合、好ましくは前記非走査状態における発光素子の寄生容量を介して非走査状態の走査線に生ずる電圧値、および前記逆バイアス電圧値の最低値を確保するために設けられた定電流回路を含む定電圧生成手段からの定電圧値をピークホールドし、ピークホールドした電圧値に基づいて、前記走査線に加える逆バイアスの電圧値を生成するようになされる。さらにこの場合、前記ピークホールドした電圧値を、除々に放電させる制御手段を採用することが望ましい。
【0052】
前記した駆動方法を採用した発光表示パネルの駆動装置によると、非走査状態における発光素子の寄生容量を介して走査線に生ずる電圧値、すなわち発光素子の順方向電圧が利用され、この順方向電圧のピーク値に基づいて走査線に加える逆バイアスの電圧値VM が制御される。したがって、例えば経時変化により、発光表示パネルを構成するEL素子の順方向電圧Vf が上昇したとしても、これに追従して前記逆バイアスの電圧値VM も上昇するように制御される。これにより、EL素子の順方向電圧Vf と逆バイアスの電圧値VM との間の電位差は常に所定の範囲に維持される。
【0053】
したがって、表示パネルの駆動装置に、例えば前記した陰極リセット法を採用した場合においては、走査直前においてEL素子に初期充電されるバイアス電圧VM に対応した充電電圧は、常に素子の順方向電圧Vf のピーク値に近い状態に維持されるため、初期充電動作によるEL素子の発光開始時期に遅れが生ずることを防止することができる。これと同時に逆バイアス電圧VM が順方向電圧Vf より高くなることもないので、過充電により過発光状態となり、素子にダメージを与えるという問題も発生しない。したがって、EL素子は走査の開始と共に即座に最適に点灯発光するので、EL素子の発光量をほぼ一定となるように制御することができる。
【0054】
したがって、前記したように経時変化によりEL素子の順方向電圧Vf がたとえ上昇しても、EL素子の発光量はほぼ一定となるように制御されるので、EL素子が所定の発光量を確保できる期間、すなわちEL素子の輝度寿命を実質的に延ばすことができる。
【0055】
さらに、ドライブされている陽極線と走査選択がなされていない陰極線との交点に接続された各EL素子に対しては、EL素子の順方向電圧Vf に追従して制御される適正な値の逆バイアス電圧VM が供給されるので、前記各EL素子がクロストーク発光するのを効果的に抑制することができると共に、前記したリーク現象を引き起こして、表示パネルの表示品位を低下させるという問題も回避することができる。
【0056】
そして、前記した作用は、例えばEL素子を製造する際の成膜(蒸着)処理等のばらつきによって生ずる順方向電圧のばらつき、並びにEL素子の発光色に基づく順方向電圧の相異によっても同様に作用するので、回路の動作点を格別に調整することなく、常に安定、最適化した発光特性を得ることが可能となる。
【0057】
ここで、前記した発光表示パネルの駆動装置によると、表示パネルの点灯率が低い場合(もしくは全く点灯がなされない場合)においては、発光素子の寄生容量を介して非走査状態の走査線に生ずるライン電圧が低くなるため、逆バイアス電圧生成手段から出力される逆バイアス電圧のレベルも低下する。このような場合においては、逆バイアス電圧生成手段を構成する回路中の能動素子の自己バイアスによって定められた逆バイアス電圧が発生することになり、前記したように能動素子の特性のばらつきにより逆バイアス電圧が変化して発光素子の安定した点灯状態が維持できなくなる等の問題が引き起こされる。
【0058】
そこで、この発明にかかる発光表示パネルの駆動装置においては、前記したように逆バイアス電圧生成手段は、定電流回路を含む定電圧生成手段より得られる定電圧に対応して出力電圧を生成するようにも構成されている。この構成によると、表示パネルの点灯率が低くなった場合においては、定電流回路を含む定電圧生成手段からの定電圧によって逆バイアス電圧の最低電圧をロックし、このロックされた逆バイアス電圧を出力するように作用する。
【0059】
したがって、これによると能動素子の特性のばらつきにより逆バイアスの最低電圧が変化して、発光素子の安定した点灯状態を阻害するという問題を解消することができる。しかも、前記定電流回路に温度特性を持たせて、発光素子の順方向電圧の温度特性と整合させることで、発光素子の点灯率が低い場合においても、動作温度に対する輝度特性をほぼフラットに補償することが可能になる。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかる発光表示パネルの駆動装置について、その第1の実施の形態を図1に基づいて説明する。なお、図1においてはすでに説明した図7に示した各構成要素に対応する部分を同一符号で示しており、したがって、その詳細な説明は適宜省略する。図1における符号21は、ピークホールド回路を示している。ここで、ピークホールド回路は、オペアンプOP1 、ダイオードD3 、抵抗R6 、コンデンサC3 により構成されている。
【0061】
前記オペアンプOP1 の非反転入力端は、ピークホールド回路の入力端を構成しており、前記した陰極線走査回路3における走査スイッチSY1〜SYmを介して、非走査状態の陰極線B1 〜Bm に接続されるようになされている。すなわち、オペアンプOP1 の非反転入力端は、EL素子の非走査状態における走査線のライン電圧の供給点に接続されている。そして、オペアンプOP1 の出力端にはダイオードD3 のアノードが接続され、当該ダイオードD3 のカソードはオペアンプOP1 の反転入力端に接続されている。これにより、オペアンプOP1 の非反転入力端とダイオードD3 のカソードとの間で、周知の非反転型半波整流回路を構成している。
【0062】
前記ダイオードD3 のカソード側、すなわち半波整流回路の出力端には、抵抗R6 が接続されており、この抵抗を介してピークホールド用のコンデンサC3 が基準電位点との間に接続されている。そして、前記コンデンサC3 と並列に放電手段を構成する抵抗R7 が接続されている。この構成により、抵抗R6 はコンデンサC3 と共に充電時定数を構成し、また抵抗R7 はコンデンサC3 と共に放電時定数を構成している。また、ピークホールド回路は抵抗R6 とR7 により分圧した半波整流出力を、コンデンサC3 においてホールドするように作用し、これにより抵抗R6 とR7 は後述する帰還量の調整手段を構成している。
【0063】
前記コンデンサC3 の端子電圧(ピークホールド値)は、逆バイアス電圧生成回路5に供給されるように構成されている。この実施の形態における逆バイアス電圧生成回路5は、オペアンプOP2 、ダイオードD4 、抵抗R8 、抵抗R9 により構成している。前記オペアンプOP2 とダイオードD4 の組み合わせは、非反転型半波整流機能を有する電圧バッファ回路を構成しており、その出力は抵抗R8 と抵抗R9 からなる分圧回路を介して、前記したピークホールド回路の入力端に供給できるように構成されている。換言すれば、逆バイアス電圧生成回路5の出力は、走査スイッチSY1〜SYmを介して、陰極線B1 〜Bm に供給できるように構成されている。
【0064】
一方、前記したピークホールド用のコンデンサC3 と並列に、スイッチSWが接続されており、このスイッチSWは前記した発光制御回路4からの指令信号によって駆動され、そのオン動作によりコンデンサC3 の電荷を瞬時に放電させるピーク値リセット手段を構成している。
【0065】
前記した構成はピークホールド回路21と、逆バイアス電圧生成回路5とが1つの閉ループを構成している。そのために、ピークホールド回路21において、抵抗R6 とR7 により分圧回路が帰還量の調整手段を構成している。また、逆バイアス電圧生成回路5においても、抵抗R8 とR9 による分圧回路が帰還量の調整手段を構成している。
【0066】
これらの帰還量調整手段により、ピークホールド回路21と、逆バイアス電圧生成回路5とによる閉ループにおけるループゲインが1未満となるように構成されており、これにより、前記した閉ループが発振状態となるのを避けるようになされている。また、前記閉ループが発振状態にならないまでも、例えば動作電源電圧等の変動等による過渡現象を受けて、ループの各電位が例えば高い電圧に張り付き、その状態にロックされるという現象を避けるようになされている。
【0067】
以上の構成は、本件出願人が先に出願した発光表示パネルの駆動装置の基本形態を示している。ここで、この発明にかかる第1の実施の形態においては、DC−DCコンバータ6により得られる出力電圧を利用して定電流を生成する定電流回路22が具備されている。この定電流回路22は、前記したピークホールド回路21の入力端に実質的に挿入された抵抗R9 に対して定電流を供給するように構成されており、この抵抗R9 に発生する定電圧が、ピークホールド回路21に供給されるようになされる。すなわち、前記定電流回路22と抵抗R 9 とより定電圧生成手段を構成している。
【0068】
この抵抗R9 に発生する定電圧は、後述するようにEL素子の点灯率が低い場合における非走査状態における走査線のライン電圧が所定値以下に低下するのを補償するものである。換言すれば、ピークホールド回路21の入力端電圧が所定値以下にならないようにロックする機能を果たす。
【0069】
以上の構成において、発光制御回路4に供給される画像信号に基づいて、前記走査スイッチSY1〜SYmおよびドライブスイッチSX1〜SXnが操作される。すなわち、陰極走査線SY1〜SYmを所定の周期で基準電位に設定しながら、画像信号に基づいて陽極ドライブ線SX1〜SXnに対して定電流源としての定電流回路I1 〜In が接続される。これにより、前記発光表示パネル1に配列された各EL素子OELは選択的に発光し、表示パネル1上に前記画像信号に基づく画像が再生される。
【0070】
ここで、いずれかのEL素子OELが点灯表示された場合には、そのEL素子が接続されたドライブ線に、当該EL素子の順方向電圧Vf が生成される。この順方向電圧Vf は、逆バイアス電圧VM より高くなった場合、非走査状態におけるEL素子の各寄生容量Cp を充電するよう非走査状態の陰極走査線に流れ込み、抵抗R9 の端子電圧を上昇させる。したがって、前記順方向電圧Vf に対応したピーク電圧は、走査スイッチSY1〜SYmを介して前記したオペアンプOP1 の非反転入力端に供給される。これにより、コンデンサC3 には前記順方向電圧Vf のピーク値に対応した電圧がピークホールドされる。
【0071】
前記コンデンサC3 にホールドされたピーク電圧値は、前記した逆バイアス電圧生成回路5に供給され、当該生成回路5により生成された逆バイアス電圧は、走査スイッチSY1〜SYmを介して、非走査状態におけるEL素子のカソード端子にそれぞれ逆バイアス電圧VM として供給される。したがって、例えば経時変化もしくは環境温度の変化等により、EL素子の順方向電圧Vf が上昇すれば、これに追従して逆バイアス電圧生成回路5からの逆バイアス電圧VM も上昇するように作用する。また、ピークホールド回路を構成する前記コンデンサC3 には、放電抵抗R7 が接続されており、したがって、EL素子の順方向電圧Vf のピーク値が降下すれば、これに追従して逆バイアス電圧生成回路5からの逆バイアス電圧VM も降下するように作用する。
【0072】
このように、逆バイアス電圧生成回路5からの逆バイアス電圧VM は、常にEL素子の順方向電圧Vf のピーク値に対応した値に追従するので、走査選択がなされていない陰極線との交点に接続された各EL素子に対しては、適正な値の逆バイアス電圧VM が供給され、前記各EL素子がクロストーク発光するのを効果的に抑制することができる。この場合、前記したリーク現象を引き起こして、表示パネルの表示品位を低下させたり、過充電により素子劣化を引き起こすという問題も回避することができる。
【0073】
一方、逆バイアス電圧生成回路5からもたらされる逆バイアス電圧VM は、前記した陰極リセット動作において、次の走査で発光駆動されるEL素子の寄生容量に対する充電電圧として利用される。この場合においても、逆バイアスの電圧値VM はEL素子の順方向電圧Vf のピーク値に比較して僅かに低い電位に追従するようになされているので、陰極リセット動作によって、次に走査発光されるEL素子の寄生容量に対し、瞬時に発光可能な電位に充電する。
【0074】
したがって、EL素子は走査の開始と共に即座に点灯発光するので、EL素子の発光量を常に一定となるように制御することができる。換言すれば、経時変化によりEL素子の順方向電圧Vf がたとえ上昇しても、当該EL素子は走査期間の直後より点灯状態とされ、その走査期間に亙って点灯が維持される。したがって、EL素子が所定の発光量を確保できる期間、すなわちEL素子の輝度寿命を実質的に延ばすことができる。
【0075】
以上の説明は、表示パネルにおけるEL素子の点灯率が比較的大きな場合についての作用である。すなわち、EL素子の点灯率が比較的大きな場合においては、それぞれのEL素子の各寄生容量Cp を介して発生する走査線のライン電圧は、比較的そのレベルが大きな状態に維持され、前記した動作が実行される。しかしながら、表示パネルにおけるEL素子の点灯率が低下した場合(もしくは全く点灯がなされない場合)には、EL素子の寄生容量Cp を介して発生する走査線のライン電圧は低下する。
【0076】
この様な状態においては、前記した逆バイアス電圧生成手段5より出力される逆バイアス電圧は、ピークホールド回路22および逆バイアス電圧生成手段5を構成する能動素子の自己バイアスによって流れる電流により定められることになる。したがって、前記したように各能動素子の特性のばらつきにより、また温度依存性により、出力される逆バイアス電圧が変化してEL素子の安定した点灯状態が期待できなくなる等の問題が発生する。
【0077】
そこで、この実施の形態においては、図1に示すように定電流回路22を介してピークホールド回路21の入力端に挿入された前記抵抗R9 に対して定電流を供給することで、ピークホールド回路21に与える最低電圧を確保するようになされている。これにより、たとえ点灯率が低下してもピークホールド回路21の入力端電圧が所定値以下にならないようにロックされる。したがって、前記したような各能動素子の特性のばらつきにより引き起こされるEL素子の不安定な点灯状態等を回避することができる。
【0078】
さらに、前記した定電流回路22を介して抵抗R9 に立つ最低電圧は、定電流回路22からもたらされる定電流値に比例するので、その最低電圧を自由に設定することが可能であり、また定電流値を動作温度で増減できるように、すなわち定電流回路22に温度依存性を持たせることで、EL素子の動作温度に対する順方向電圧特性を合わせることができる。
【0079】
一般的な定電流回路は、これを構成するトランジスタのベース・エミッタ間電圧(Vbe)の温度変化割合で、定電流値が変化するので、EL素子の動作温度に対する順方向電圧の特性にほぼ一致した逆バイアス電圧が得られ、点灯率が低くても動作温度に影響されずに、EL素子の発光輝度を一定にすることが可能となることが確かめられた。
【0080】
一方、図1に示す実施の形態においては、ピーク値リセット手段を構成するスイッチSWが配置されているが、このスイッチSWは、発光制御回路4からの指令信号によって、オン制御されてピーク電圧のリセット動作を行う。これは、次に走査点灯されるEL素子の順方向電圧Vf が急激に小さくなる場合において実行される。例えば、発光制御回路4に継続的に供給される画像信号に、その輝度を低下させる情報が含まれている場合においては、前記発光制御回路4は表示パネル1のドライブ前に、この情報を取得することができ、これに基づいて前記スイッチSWを瞬間的にオン動作させるようになされる。
【0081】
また、例えば、発光色が異なるEL素子を配列することによりマルチカラー画面を形成した表示パネル1を駆動する場合において、順方向電圧が高い例えば、B(青色)発光のEL素子の走査から、順方向電圧が低い例えば、G(緑色)発光のEL素子の走査に移る瞬間において、同様にリセット動作が行われる。これにより、次に走査点灯されるEL素子に対して過度の逆バイアス電圧VM を印加するのを避けることができる。
【0082】
次に、図2はこの発明にかかる駆動装置の第2の実施の形態を示したものである。なお、図2においてはすでに説明した図1、図7に示した各構成要素に対応する部分を同一符号で示しており、したがって、その詳細な説明は省略する。図2に示す実施の形態においては、前記したピークホールド回路21および逆バイアス電圧生成回路5、並びに定電流回路22を、比較的簡素なディスクリート回路により構成したものであり、他は前記した図1に示す実施の形態と同様である。
【0083】
まず、pnpトランジスタQ3 と同じくpnpトランジスタQ4 とにより、定電流回路22が構成されている。すなわち、トランジスタQ3 のエミッタは、DC−DCコンバータ6より得られる駆動電圧源に接続されており、そのベースは抵抗R11,R12を介して前記駆動電圧源に接続されている。また、そのコレクタはベースとの間で抵抗R13を介して接続されると共に、抵抗R14を介して基準電位点に接続されている。一方、トランジスタQ4 は、そのエミッタが前記抵抗R11とR12の接続点に接続されており、ベースは前記トランジスタQ3 のコレクタに接続され、さらにそのコレクタは、バイアス電圧の調整ならびに温度補償として機能するダイオードD6 ,D7 および抵抗R9 の直列回路を介して基準電位点に接続されている。
【0084】
前記した定電流回路22の構成において、各抵抗の値は好ましくは、R11<R12=R13の関係に設定される。そして、DC−DCコンバータ6より得られる駆動電圧源より、前記した各抵抗R11,R12,R13,R14に電流が流れると、まず、トランジスタQ4 のベース・エミッタ間に約0.6Vの電位が立って、トランジスタQ4 がオンされる。続いて抵抗R11に電流が流れることにより、トランジスタQ3 のベース・エミッタ間が約0.6Vに達して、トランジスタQ3 がオンし、トランジスタQ4 のベース電流を調節する。前記トランジスタQ3 ,Q4 のベース・エミッタ間電圧は、いずれも約0.6Vにロックされるため、抵抗R11には、定電流が流れる。そして、この定電流が前記したダイオードD6 ,D7 および抵抗R9 の直列回路に流れる。
【0085】
一方、ピークホールド回路21を構成するnpnトランジスタQ5 は、そのコレクタがDC−DCコンバータ6より得られる駆動電圧源に接続されており、ベースは発振マージンアップ用の抵抗R15を介してトランジスタQ4 のコレクタとダイオードD6 の接続点に接続されている。またエミッタは、抵抗6 の一端に接続されており、抵抗6 の他端はピークホールド用のコンデンサC3 とこれに並列接続された抵抗7 に対して接続されている。これにより、前記トランジスタQ5 はエミッタフォロワによる電圧バッファを構成している。そして、前記抵抗6 はコンデンサC3 と共に充電時定数を構成し、また抵抗R7 はコンデンサC3 と共に放電時定数を構成している。
【0086】
また、逆バイアス電圧生成手段5は、npnトランジスタQ6 およびpnpトランジスタQ7 により構成されている。すなわち、トランジスタQ6 のコレクタは、抵抗19を介してDC−DCコンバータ6より得られる駆動電圧源に接続されており、そのベースは発振マージンアップ用の抵抗R18を介して、前記した抵抗R6 と、ピークホールド用のコンデンサC3 および抵抗R7 の並列回路との接続点に接続されている。また、トランジスタQ7 のエミッタは、駆動電圧源に接続されると共に、そのベースはトランジスタQ6 のコレクタに接続され、さらにそのコレクタはトランジスタQ6 のエミッタに接続されて、逆バイアス電圧生成手段5の出力端を構成している。
【0087】
そして、逆バイアス電圧生成手段5の出力端は、抵抗R20を介して、走査スイッチSY1〜SYmに接続され、逆バイアスを走査ラインに供給するように構成されている。また、抵抗R20を介して非走査状態における走査線のライン電圧が、前記ダイオードD7 と抵抗R9 の接続点に供給されるように構成されている。前記抵抗R20は帰還量と突入電流の調整を行うために挿入されており、抵抗値が比較的低いものが採用される。また、前記抵抗R20と走査スイッチSY1〜SYmの接続点には、コンデンサC4 が接続されており、これは走査時においてスイッチSY1〜SYmより発生するノイズをカットする機能を果たすものであり、比較的低容量のものが用いられる。
【0088】
以上の構成において、前記した定電流回路22よりダイオードD6 ,D7 および抵抗R9 の直列回路に対して定電流が流され、これによりダイオードD6 のアノードには定電圧が発生する。すなわち、この実施の形態においては、前記定電流回路22と、ダイオードD 6 ,D 7 および抵抗R 9 の直列回路とにより定電圧生成手段を構成している。この定電圧生成手段によりダイオードD 6 のアノードに生成される定電圧は、電圧バッファとして機能するトランジスタQ5 を介してコンデンサC3 に充電される。ここで、前記抵抗R9 に、非走査状態における走査線のライン電圧、すなわちEL素子の順方向電圧Vf が供給された場合には、コンデンサC3 には前記Vf のピーク電圧+0.6Vに対応した電圧が充電される。
【0089】
一方、前記したようにDC−DCコンバータ6より得られる駆動電圧源によって、陽極線ドライブ回路2に配置された定電流回路I1 〜In から、点灯ラインのEL素子に流れる電流で順方向電圧Vf が決定される。そして、走査初期においてはコンデンサC1 の電圧は、トランジスタQ6 ,Q7 による電圧バッファを通して、前記した陰極リセットの作用により、点灯されるべきEL素子の寄生容量に対する充電に寄与する。
【0090】
また、走査後半においては逆バイアス電圧よりも、陽極ライン電圧が高くなる場合には、抵抗R20を介して抵抗R9 に電流を流して抵抗R9 の端子電圧が上昇する。この時、トランジスタQ6 ,Q7 による電圧バッファはオフ状態になされる。そして、寄生容量を逆に充電する電流が流れても、トランジスタQ3 ,Q4 による定電流回路が動作しているので、ダイオードD6 のアノード側は素早くリフトアップして、トランジスタQ5 のバッファを通して、コンデンサC3 でピークホールドされることになる。
【0091】
前記コンデンサC3 によるホールド電圧は、抵抗R7 による放電時定数を介して緩やかに下降することで、水平方向の輝度段差を目立たなくすることができる。そして、コンデンサC3 の端子電圧は、EL素子の点灯率が高い場合においては、前記したVf によって定まり、EL素子の点灯率が低い場合、もしくは全く不点灯の時には、定電流回路22よりダイオードD6 ,D7 および抵抗R9 の直列回路に対して流されることによって生ずるダイオードD6 のアノードにおける電圧レベルによって定められる。これにより、逆バイアス電圧生成手段より生成される最低電圧が、回路中の能動素子の自己バイアスによって流れる電流により定められることが避けられる。
【0092】
次に、図3はこの発明にかかる駆動装置の第3の実施の形態を示したものである。なお、図3に示した実施の形態における基本構成は、図2に示した構成と同様であり対応する部分を同一符号で示している。したがって、その詳細な説明は省略する。この図3に示す実施の形態においては、前記したピークホールド回路21によってホールドされたコンデンサC3 の端子電圧を利用して、DC−DCコンバータの昇圧出力を制御し、表示パネル1を駆動する際の電力損失を低減できるように構成したものである。
【0093】
例えば、図1および図2に示した実施の形態においては、陽極線ドライブ回路2における各定電流回路I1 〜In に印加するDC−DCコンバータ6よりもたらされる出力電圧は、前記した例えばPWM方式を利用したスイッチングレギュレータにより、常にほぼ一定の出力電圧(定電圧)となるように制御されている。この場合、DC−DCコンバータ6よりもたらされる出力電圧は、陽極線ドライブ回路2における定電流回路の定電流特性が十部に確保できるように、次のような各要素を考慮して高めに設定せざるを得ない。
【0094】
すなわち、前記要素としては、例えば前記したスイッチングレギュレータ回路11を構成する各回路部品の定数公差、また、各定電流回路I1 〜In における電圧降下量のばらつき、また、各有機EL素子の最大輝度レベル時におけるパネル配線抵抗による電圧降下分、さらに、図6(a)に基づいて説明したEL素子の経時変化に基づく順方向電圧の上昇分、さらにまた、図6(c)に基づいて説明したEL素子の温度依存性による順方向電圧の変動分などを挙げることができる。そして、前記した発光表示パネルの駆動装置においては、これらの各要素が相乗的に作用した場合においても、前記定電流回路I1 〜In の定電流特性が十部に確保できるように、前記DC−DCコンバータ6よりもたらされる出力電圧を、より高く設定するようになされている。
【0095】
しかしながら、前記したようにDC−DCコンバータよりもたらされる出力電圧をより高く設定した場合には、過剰な電力損失を伴う場合が多く、例えば、これを携帯型端末器等に採用した場合においては、電池の消耗を助長させるだけでなく、電力損失による発熱を伴う結果を招いている。すなわち、前記出力電圧をより高く設定した場合には、結果として陽極線ドライブ回路2における各定電流回路I1 〜In における電圧降下が大きくなり、それに比例して電力損失が増大する。したがって、このために発生する熱により有機EL素子および周辺回路部品等に対してストレスを与えることになり、特に前記したEL素子の寿命を短縮させるなどの問題を招来させる。
【0096】
そこで、図3に示す実施の形態においては、DC−DCコンバータ6における抵抗R1 とR2 との間に、pnpトランジスタQ9 が挿入されており、当該トランジスタのベースには、前記したピークホールド回路21によってホールドされたコンデンサC3 の端子電圧が供給されるように構成されている。したがって、前記トランジスタQ9 のベースには、駆動状態のEL素子における順方向電圧Vf に対応した電圧が印加されることになる。前記トランジスタQ9 は、電流バッファとして機能しており、当該トランジスタQ9 のエミッタ電流は、コレクタ電流にほぼ等しい。
【0097】
そこで、前記コンデンサC3 の端子電圧をVmとした場合、この端子電圧をVmに対して、トランジスタQ9 のエミッタ・ベース間電圧(Vbe)が重畳されて、抵抗R2 側に印加されるため、DC−DCコンバータ6における出力電圧が、前記Vmに対応して上昇することになる。このDC−DCコンバータ6における出力電圧は、PWMによるスイッチングレギュレータ回路11を介してフィードバックされており、それ故、前記抵抗R2 とR1 の比と、基準電圧Vref のパラメータにしたがって、DC−DCコンバータ6における出力電圧が決定される。したがって、図3に示した回路構成によるDC−DCコンバータ6より得られる出力電圧Vout1は、次のように示すことができる。
【0098】
【数4】
Vout1=Vm+Vref ×(R2 /R1 )+Vbe
【0099】
前記した説明で明らかなように、図3に示した回路構成によるDC−DCコンバータ6より得られる出力電圧Vout1には、結果としてEL素子の順方向電圧のピーク値に対応するものであり、EL素子の順方向電圧に応じてDC−DCコンバータ6より得られる出力電圧Vout1が変化するように作用する。それ故、図3に示す構成によると、図1および図2に示した駆動装置のように、各要素に応じて積み上げた無駄なマージンを乗せて、DC−DCコンバータ6の出力電圧を高めに設定する必要性を無くすことができる。
【0100】
換言すれば、各EL素子を点灯駆動する前記定電流回路I1 〜In における定電流特性が常に確保できる程度の最適化出力電圧を、DC−DCコンバータより出力させることができる。これにより、定電流回路I1 〜In における電圧降下分を最小限に制御することが可能となり、当該定電流回路において発生する電力損失を効果的に抑えることができる。また、DC−DCコンバータ6より得られる出力電圧Vout1は、例えば経時変化によりEL素子の順方向電圧が増大した場合においても、これに追従することができ、さらに、EL素子の温度依存性による順方向電圧の変化にも追従することができる。
【0101】
次に、図4はこの発明にかかる駆動装置の第4の実施の形態を示したものである。なお、図4に示した実施の形態における構成は、図3に示した構成と基本的には同一であり、対応する部分を同一符号で示している。したがって、その詳細な説明は省略する。この図4に示す実施の形態においては、前記した逆バイアス電圧生成手段において利用される定電流回路を介して得られる定電圧を、ディマー制御に対応させて変更するように構成したものである。
【0102】
すなわち、この実施の形態においては、発光制御回路4からの指令により制御されるディマー制御回路24が具備されている。そして、ディマー制御回路24より、陽極線ドライブ回路2における各定電流回路I1 〜In に対してディマー制御がなされるように構成されている。この時になされるディマー制御の形態としては、各定電流回路I1 〜In の電流値を可変させる手段、または各定電流回路I1 〜In の通電デューティを可変する手段が採用し得る。一方、図4に示すように、定電流回路22を介して定電圧が生成される抵抗R9 に対して並列接続された可変抵抗VR1が具備されており、前記ディマー制御回路24より、ディマー制御に連動させて前記可変抵抗VR1の抵抗値を制御する指令が供給されるように構成されている。
【0103】
この実施の形態においては、ディマー制御回路24の指令によってディマー値を小さく、すなわちEL素子の発光輝度を低下させるようになされた場合、前記可変抵抗VR1の抵抗値も、これに応じて小さくなるように制御される。これにより、前記抵抗R9 と可変抵抗VR1の合成抵抗値が小さく制御され、結果としてピークホールドコンデンサC3 に充電される電圧レベルも小さく制御される。したがって、前記した構成によると、表示の最低輝度限界をスムーズに小さくすることが可能となる。
【0104】
なお、図2ないし図4に示した各回路構成においては、図1に示したピーク値リセット手段としてのスイッチSWは備えられていないが、これは必要に応じて備えることもできる。
【0105】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、この発明にかかる駆動方法を採用した発光表示パネルの駆動装置によると、走査線に加える逆バイアスの電圧値を、発光素子の発光点灯状態における順方向電圧のピーク値に応じて随時変化させるようになされるので、常に最適化された逆バイアス電圧を得ることができ、クロストーク発光を効果的に抑制することができる。
【0106】
また、発光素子の点灯率が低い場合、もしくは全く不点灯の時には、前記走査線に加える逆バイアスの電圧値が、定電流回路を含む定電圧生成手段からの定電圧に対応して生成するようになされるので、逆バイアス生成手段を構成する能動素子の特性のばらつき等により逆バイアス電圧が変化し、発光素子の点灯状態の輝度が不安定になるなどの問題も解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる駆動装置の第1の実施形態を示した結線図である。
【図2】同じく、第2の実施形態を示した結線図である。
【図3】同じく、第3の実施形態を示した結線図である。
【図4】同じく、第4の実施形態を示した結線図である。
【図5】有機EL素子の等価回路を示す図である。
【図6】有機EL素子の諸特性を示した特性図である。
【図7】従来の駆動装置の一例を示した結線図である。
【図8】陰極リセット法を説明する結線図である。
【符号の説明】
1 発光表示パネル
2 陽極線ドライブ回路
3 陰極線走査回路
4 発光制御回路
5 逆バイアス電圧生成回路
6 DC−DCコンバータ(昇圧回路)
11 スイッチングレギュレータ回路
12 DC電圧源
14 誤差増幅器
15 PWM回路
16 発振器
21 ピークホールド回路
22 定電流回路
24 ディマー制御回路
A1 〜An 陽極(ドライブ)線
B1 〜Bm 陰極(走査)線
C3 ピークホールド用コンデンサ
D1 〜D7 ダイオード
I1 〜In 定電流回路(定電流源)
L1 インダクタ
OEL 有機EL素子
OP1 ,OP2 オペアンプ
Q1 〜Q9 トランジスタ
R1 〜R20 抵抗
SX1〜SXn ドライブスイッチ
SY1〜SYn 走査スイッチ
SW スイッチ(ピーク値リセット手段)
VR1 可変抵抗
Vref 基準電圧源

Claims (18)

  1. 互いに交差する複数のドライブ線および複数の走査線と、前記各ドライブ線および前記各走査線による複数の交差位置の各々にて、前記ドライブ線および前記走査線間に接続された極性を有する複数の容量性の発光素子からなる発光表示パネルの駆動装置であって、
    前記走査線に加える逆バイアス電圧値を制御する逆バイアス電圧生成手段が具備され、前記逆バイアス電圧生成手段は、前記走査線のいずれかを基準電位に設定して発光素子を発光駆動させる状態において、非走査状態における発光素子の寄生容量を介して非走査状態の走査線に生ずるライン電圧、および前記逆バイアス電圧値の最低値を確保するために設けられた定電流回路を含む定電圧生成手段からの定電圧、に対応して前記逆バイアス電圧値を制御するように構成されていることを特徴とする発光表示パネルの駆動装置。
  2. 前記定電流回路を含む定電圧生成手段からの定電圧が、前記逆バイアス電圧生成手段におけるライン電圧の供給点に加わるように構成した請求項1に記載の発光表示パネルの駆動装置。
  3. 前記各走査線には、各走査線に対応して走査スイッチが接続され、前記各走査スイッチを介して前記逆バイアス電圧生成手段による逆バイアス電圧を各走査線に印加するように構成されると共に、非走査状態における走査線のライン電圧を、前記走査スイッチを介して取得するように構成した請求項1に記載の発光表示パネルの駆動装置。
  4. 前記非走査状態における走査線に生ずるライン電圧、および定電流回路を含む定電圧生成手段から得られる定電圧におけるピーク値をホールドするピークホールド手段が具備され、前記ピークホールド手段によりホールドされたピーク値に基づいて、前記逆バイアス電圧生成手段により生成される逆バイアス電圧の電圧値が制御されるように構成した請求項1または請求項2に記載の発光表示パネルの駆動装置。
  5. 前記ピークホールド手段には、ホールドされたピーク値を除々に放電させる放電手段が具備されてなる請求項4に記載の発光表示パネルの駆動装置。
  6. 前記ピークホールド手段には、ホールドされたピーク値を瞬時にリセットすることができるピーク値リセット手段が具備されてなる請求項4または請求項5に記載の発光表示パネルの駆動装置。
  7. 前記ピーク値リセット手段は、画像信号に基づいて発光表示パネルを駆動する発光制御回路からの指令信号によって、リセット動作が実行されるように構成した請求項6に記載の発光表示パネルの駆動装置。
  8. 前記逆バイアス電圧生成手段は、前記ピークホールド手段によりホールドされたピーク値に基づいて、逆バイアス電圧を生成する電圧バッファ回路により構成された請求項4ないし請求項6のいずれかに記載の発光表示パネルの駆動装置。
  9. 前記ピークホールド手段の入力端から逆バイアス電圧を生成する電圧バッファ回路の出力端に至るループ経路に、ループゲインを1未満に設定する帰還量調整手段が具備されてなる請求項7に記載の発光表示パネルの駆動装置。
  10. 前記ピークホールド手段が、電圧バッファ回路と当該バッファ回路の出力端に接続された充電時定数を構成する第1抵抗器と前記第1抵抗器を介して接続されたピークホールド用のコンデンサとにより構成され、前記コンデンサと並列に放電時定数を構成する第2抵抗器が接続されてなり、前記第1抵抗器と第2抵抗器とにより、前記帰還量調整手段を構成してなる請求項9に記載の発光表示パネルの駆動装置。
  11. 前記各ドライブ線には各発光素子を選択的に発光駆動するための定電流源が配置され、当該定電流源を介して走査状態の各発光素子に対して選択的に定電流が供給されるように構成されると共に、前記各ドライブ線に配置された定電流源に供給される駆動電圧が、前記ピークホールド手段によりホールドされたピーク値に基づいて設定されるように構成した請求項4または請求項5に記載の発光表示パネルの駆動装置。
  12. 前記定電流源に供給される駆動電圧が、DC−DCコンバータより供給されるようになされ、かつ、前記DC−DCコンバータの出力電圧は、当該出力電圧の分圧電圧と基準電圧との差分に基づいて制御されるように構成され、前記ピークホールド手段によりホールドされたピーク値に基づいて、前記分圧電圧が制御されるように構成した請求項11に記載の発光表示パネルの駆動装置。
  13. 前記逆バイアス電圧生成手段において利用される定電流回路を含む定電圧生成手段より得られる定電圧を、ディマー制御に対応させて変更するように構成した請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の発光表示パネルの駆動装置。
  14. 前記複数の走査線を順次走査する走査状態において、各走査期間の終了ごとに前記各ドライブ線および各走査線を全て同一電位に設定するリセット操作が実行されるようになされた請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の発光表示パネルの駆動装置。
  15. 前記発光素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子である請求項1ないし請求項14のいずれかに記載の発光表示パネルの駆動装置。
  16. 互いに交差する複数のドライブ線および複数の走査線と、前記各ドライブ線および前記各走査線による複数の交差位置の各々にて、前記ドライブ線および前記走査線間に接続された極性を有する複数の容量性の発光素子からなる発光表示パネルの駆動方法であって、
    前記走査線に加える逆バイアス電圧値が、前記走査線のいずれかを基準電位に設定して発光素子を発光駆動させる状態において、非走査状態における発光素子の寄生容量を介して非走査状態の走査線に生ずる電圧値、および前記逆バイアス電圧値の最低値を確保するために設けられた定電流回路を含む定電圧生成手段からの定電圧値、に対応して制御することを特徴とする発光表示パネルの駆動方法。
  17. 前記非走査状態における発光素子の寄生容量を介して非走査状態の走査線に生ずる電圧値、および前記逆バイアス電圧値の最低値を確保するために設けられた定電流回路を含む定電圧生成手段からの定電圧値をピークホールドし、ピークホールドした電圧値に基づいて、前記走査線に加える逆バイアスの電圧値を生成するようになされる請求項16に記載の発光表示パネルの駆動方法。
  18. 前記ピークホールドした電圧値を、除々に放電させるようになされる請求項17に記載の発光表示パネルの駆動方法。
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