JP4226165B2 - 復号装置及び復号方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、畳み込み符号の最尤復号に適した復号装置及び復号方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、畳み込み符号(convolutional code)を復号する方式の1つとして、ビタビ復号方式(Viterbi decoding)が知られている。このビタビ復号方式は、畳み込み符号に対する最尤復号方式(maximum likehod decoding)であり、送信側のエンコーダにより生成され得る既知の複数個の符号系列のうち、受信された符号系列に最も符号距離が近い系列である最尤パスを選択し、この最尤パスに対応して復号データを得るものである。ビタビ復号方式は、通信路に生じるランダム誤りに対する訂正能力が高く、例えば、干渉波の影響を受けやすく、電力制限の厳しい衛星通信システムでは、誤り訂正符号として畳み込み符号が用いられており、その畳み込み符号の復号としてビタビ復号器が用いられている。
【0003】
このビタビ復号アルゴリズムについて簡単に説明する。なお、以下の説明においては、図9に示すように、ディジタル情報を畳み込み符号器110により畳み込み符号化し、その符号系列を変調器120により変調した後、任意の通信路130を介して復調器140に入力して復調し、ビタビ復号器150にて復号する場合を考える。
【0004】
畳み込み符号化は、過去の情報を用いて符号化するものである。この畳み込み符号化を実現する畳み込み符号器110は、例えば、拘束長K=3、符号化率R=1/2の畳み込み符号化を行うものとすると、図10に示すように、3つのレジスタ111a,111b,111cと、2つのmod2の加算器112a,112bとを備えるものとなる。ここで、拘束長(constraint length)とは、過去の情報の影響が及ぶ範囲であり、ここでは、レジスタの数で表される。また、符号化率(coding rate)とは、符号系列における情報ビットの割合である。この畳み込み符号器110は、ディジタル情報としての情報列{U}を入力し、加算器112a,112bのそれぞれからの時刻jにおける出力値αj,βjから送信符号語{V}を生成して出力する。情報列{U}を{U}=(0,0,1,0,1,0,0,・・・)とした場合、畳み込み符号器110は、送信符号語{V}=(00,00,11,10,00,10,11,・・・)を生成して出力する。
【0005】
この畳み込み符号器110の遷移ダイアグラム(以下、トレリスと記す。)は、図11に示すようになる。同図において各点から上側に枝分かれしている枝は、入力が“0”により生じるレジスタの遷移状態を示し、下側に枝分かれしている枝は、入力が“1”により生じるレジスタの遷移状態を示している。また、同図においてステートとは、レジスタの遷移状態を示し、レジスタ111b,111cに保持されている値を表すものである。例えば、レジスタ111bに“1”が保持され、レジスタ111cに“0”が保持されている場合には、ステートは、“10”となる。
【0006】
送信符号語、すなわち、畳み込み符号系列は、これらの枝の連なりで表すことができ、この一連の枝は、パスと称される。畳み込み符号器110のトレリスは、各タイムスロット毎に全てのステートに対して、合流する2本のパスが存在するものとなる。送信符号語{V}=(00,00,11,10,00,10,11)は、同図中太線で表されるパスとなる。
【0007】
畳み込み符号器110及び変調器120により生成されて出力された送信符号語{V}には、通信路130を伝送される際に、雑音等の影響により誤り列が加わる。送信符号語{V}を{V}=(00,00,11,10,00,10,11)とすると、復調器140を介してビタビ復号器150により受信される受信符号語{r}は、例えば、{r}=(00,01,11,10,10,10,11)となる。なお、送信符号語{V}=(00,00,11,10,00,10,11)は、情報列{U}=(0,0,1,0,1,0,0)に対応する符号系列であるが、この情報列{U}=(0,0,1,0,1,0,0)の最後の“00”は、終結するためのビット列である。
【0008】
ビタビ復号器150は、受信符号語{r}から正しいパスを探索する。ビタビ復号器150は、ここでは、ハミング距離を用いて正しいパスを選択するものとする。まず、ビタビ復号器150は、各ステートにおけるハミング距離を選択する。この際、ビタビ復号器150は、各タイムスロット毎に各ステートに合流する2つのパスのうち、ハミング距離が小さいパスを選択する。このようにして選択されたパスは、生き残りパスと称される。このようにして、ビタビ復号器150は、正しいパスと思われるものを選択して復号し、復号データを出力する。上述したように、情報列{U}の最後の2ビットは、“00”であることから、ビタビ復号器150は、受信符号語{r}から“0”に対応するパスのみを選択していくことによって、同図中太線で表されるパスを選択することができる。
【0009】
このようなビタビ復号方式のうち、近年では、トレースバック法と称される手法が研究されている。このトレースバック法とは、復号する際に、1時刻進むにつれ、最も小さいパスメトリックを有する生き残りパスの古い情報ビットを出力するものである。ここで、先に図10に示した畳み込み符号器110を利用した場合における時刻j−1から時刻jへの遷移状態を図12に示す。
【0010】
ここで、時刻j−1から時刻jへの遷移において、先に図11に示したようなトレリスを考えたとき、同図における2つの枝のうち、各点から上側に枝分かれしている枝は、ビタビ復号器150における受信ビットが“0”の場合であり、下側に枝分かれしている枝は、受信ビットが“1”の場合の遷移状態である。これは、各ステートにおける生き残りパスの履歴及びその生き残りパスが選択された際の受信ビットとみなすことができる。これより、時刻jにおけるステートをmj=(aj,bj)とし、yj(mj)を生き残りパスの履歴を示すものとすると、次式(1)及び次式(2)となることがわかる。
【0011】
aj-1=bj ・・・(1)
bj-1=yj(mj) ・・・(2)
【0012】
このようなビタビ復号器は、符号語当たりの復号操作回数が一定であり、複雑な論理回路を要しない点に大きな利点がある。一方、ビタビ復号器は、全てのパス情報を蓄積・保持するための膨大なメモリを要することに欠点があるといえる。一般に、ビタビ復号器は、拘束長をKとし、長さがLビットの情報シンボルを復号する場合には、L・2K-1ビットのメモリを要する。ところが、このような膨大なメモリを用いることは、最初のシンボルの出力がL個の全ての情報シンボルを復号することと等価となる。ビタビ復号方式においては、一般には、パスが長くなると終結時刻まで待たなくても、生き残りパスの先頭付近を確定できることが多い。
【0013】
先に図11に示した例を考えると、時刻3にて生き残っているパスを調べた場合、(00,xx,xx)である。すなわち、(11,xx,xx)のパスは生き残っていないことから、時刻0の符号系列は、“00”に確定することができる。このようにして確定されたビットは、復号結果として利用できるものである。ビタビ復号方式においては、通常、パスが拘束長Kの数倍程度の長さになるまでに、過去の時刻における符号系列を確定することができる場合が多い。
【0014】
このことから、通常のビタビ復号器は、蓄積・保持するパスの長さをその全長ではなく、それよりも少ない長さとしている。この蓄積・保持するパスの長さは、打ち切りパス長(truncated path length)と称される。この打ち切りパス長をMビットとすると、ビタビ復号器におけるメモリは、M・2K-1ビットで済む。
【0015】
このように、ビタビ復号器は、打ち切りパス長に基づいてメモリの総数を決定することで、回路規模を削減することが可能となる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来のビタビ復号器は、復号データのビットエラーレートが復号時の打ち切りパス長に依存するという性質を有する。すなわち、従来のビタビ復号器においては、一般に、打ち切りパス長が大きい場合には、復号データのビットエラーレートが低減し、打ち切りパス長が小さい場合には、復号データのビットエラーレートが増加する。
【0017】
しかしながら、従来のビタビ復号器においては、打ち切りパス長を大きくすると、要するメモリの総数が増加することから、回路規模が大きくなり、消費電力が増大するという問題があった。
【0018】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、復号の精度を保ちつつ、消費電力を削減することができる復号装置及び復号方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成する本発明にかかる復号装置は、畳み込み符号系列からなる受信信号をビタビ復号して復号データを出力する復号装置であって、畳み込み符号系列から各時刻における全ての尤度の高いパスを選択して各遷移状態におけるパスメトリックを求め、最小のパスメトリックを有する遷移状態を選択する選択手段と、畳み込み符号系列と選択手段により選択された遷移状態に基づいて演算された結果とを順次保持し、打ち切りパス長分のトレースを行う打ち切りパス長L個の同一構造を有するトレースバックユニットを連結して成るトレース手段と、受信信号の品質を判別する品質判別手段とを備え、品質判別手段により判別された受信信号の品質に応じて打ち切りパス長Lとしてのトレースバックユニットの数を動的に変化させる。
【0020】
このような本発明にかかる復号装置は、受信信号をビタビ復号する際に、品質判別手段により判別された受信信号の品質に応じて打ち切りパス長を動的に変化させる。
【0021】
また、上述した目的を達成する本発明にかかる復号方法は、畳み込み符号系列からなる受信信号をビタビ復号して復号データを出力する復号方法であって、畳み込み符号系列から各時刻における全ての尤度の高いパスを選択して各遷移状態におけるパスメトリックを求め、最小のパスメトリックを有する遷移状態を選択する選択工程と、畳み込み符号系列と選択工程により選択された遷移状態に基づいて演算された結果とを順次保持する打ち切りパス長L個の同一構造を有するトレースバックユニットを連結して成るトレース手段により打ち切りパス長分のトレースを行うトレース工程と、受信信号の品質を判別する品質判別工程とを有し、品質判別工程により判別された受信信号の品質に応じて打ち切りパス長Lとしてのトレースバックユニットの数を動的に変化させる。
【0022】
このような本発明にかかる復号方法は、受信信号をビタビ復号する際に、受信信号の品質を判別して得られた結果に応じて打ち切りパス長を動的に変化させる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
この実施の形態は、図1及び図2に示すように、畳み込み符号(convolutional code)をビタビ復号方式(Viterbi decoding)により復号するシストリックアレイビタビ復号器10である。シストリックアレイビタビ復号器10は、同一構造を有する簡単な処理装置であるトレースバックユニットを多数連結した構造を有し、並列処理により高速演算を行うものであり、繰り返し構造をLSI(Large Scale Integrated circuit)で実現するのに適当であるとともに、設計上の自由度が大きいといった利点を有するものである。
【0025】
なお、以下の説明においては、図3に示すように、ディジタル情報を畳み込み符号器50により畳み込み符号化し、その符号系列を変調器60により変調した後、任意の通信路70を介して復調器80に入力して復調し、シストリックアレイビタビ復号器10にて復号する場合を考える。
【0026】
シストリックアレイビタビ復号器10は、図1に示すように、通信路70及び復調器80を介して伝送されてきた符号系列を入力して最小のパスメトリックを有するステートを選択する選択ユニット11と、符号系列と選択ユニット11により選択されたステートに基づいて演算された結果とを順次保持する打ち切りパス長(truncated path length)L個のトレースバックユニット121,122,123,・・・,12Lと、通信路70及び復調器80を介して伝送されてきた符号系列を入力して受信信号の品質を判別する品質判別ユニット13とを備える。
【0027】
選択ユニット11は、通信路70及び復調器80を介して伝送されてきた符号系列から各時刻における全ての尤度の高いパスである生き残りパスを選択して各ステートにおけるパスメトリックを求め、最小のパスメトリックを有するステートを選択する。選択ユニット11は、選択したステートをトレースバックユニット121に供給する。
【0028】
打ち切りパス長L個のトレースバックユニット121,122,123,・・・,12Lは、それぞれ、符号系列と選択ユニット11により選択されたステートに基づいて演算された結果とを順次保持することによって、畳み込み符号器50の遷移ダイアグラム(以下、トレリスと記す。)に対応させ、パスをトレースする。トレースバックユニット121は、図2に示すように、符号系列を保持する4ビットのレジスタ21Y1,21Y'1と、選択ユニット11により選択されたステートに基づいて演算された結果を保持する2ビットのレジスタ21X1とを有する。また、トレースバックユニット122は、符号系列を保持する4ビットのレジスタ22Y2,22Y'2と、選択ユニット11により選択されたステートに基づいて演算された結果を保持する2ビットのレジスタ22X2とを有する。さらに、トレースバックユニット123は、符号系列を保持する4ビットのレジスタ23Y3,23Y'3と、選択ユニット11により選択されたステートに基づいて演算された結果を保持する2ビットのレジスタ23X3とを有する。その他、各トレースバックユニットは、これらのトレースバックユニット121,122,123と同様のレジスタを有する。
【0029】
なお以下では、レジスタ21Y1,22Y2,23Y3,・・・を、それぞれ、Yi(i=1,2,3,・・・)と記し、レジスタ21Y'1,22Y'2,23Y'3,・・・を、それぞれ、Y’i(i=1,2,3,・・・)と記し、レジスタ21X1,22X2,23X3,・・・を、それぞれ、X’i(i=1,2,3,・・・)と記すものとする。
【0030】
レジスタYi,Y’iは、それぞれ、保持している値を1タイムスロット毎に右側のレジスタにシフトする。また、レジスタXiは、それぞれ、時刻jにおけるステートをmj=(aj,bj)とし、yj(mj)を生き残りパスの履歴を示すものとすると、次式(3)及び次式(4)に基づいて演算された結果を1タイムスロット毎に右側のレジスタにシフトする。例えば、時刻j−1において、各レジスタに図4(A)に示すような値が保持されているものとすると、時刻jにおいて、各レジスタには、同図(B)に示すような値が保持される。
【0031】
aj-1=bj ・・・(3)
bj-1=yj(mj) ・・・(4)
【0032】
トレースバックユニット121,122,123,・・・,12Lは、それぞれ、保持する値を1タイムスロット毎に右側のレジスタにシフトしていくことによりパスをトレースする。そして、シストリックアレイビタビ復号器10は、トレースバックユニット12Lから順次復号データを出力する。
【0033】
品質判別ユニット13は、通信路70及び復調器80を介して伝送されてきた符号系列を入力し、受信信号の品質を判別することによって、通信路70の状態を推定する。品質判別ユニット13は、受信信号の品質を判別した結果を示す信号を図示しないコントローラに供給する。
【0034】
なお、このようなシストリックアレイビタビ復号器10は、その機能をソフトウェアで実現することもでき、ハードウェアで実現することもできる。
【0035】
シストリックアレイビタビ復号器10は、受信状況に応じて打ち切りパス長Lを動的に変化させる。すなわち、シストリックアレイビタビ復号器10は、図5に示すように、品質判別ユニット13により判別された受信信号の品質に基づいて、図示しないコントローラによって、トレースバックユニットの数を動的に変化させる。そのため、シストリックアレイビタビ復号器10は、いわゆるFPGAを用いて実現するのが望ましい。
【0036】
具体的に説明するために、図6に示すように、シストリックアレイビタビ復号器10を無線により信号の送受信を行う移動体端末機91に適用し、この移動体端末機91が区間Aから区間Bへと移動しながら、基地局92から送信される符号系列からなる信号を受信し、この受信信号をシストリックアレイビタビ復号器10により復号する場合を考える。同図に示すように、区間Aは、移動体端末機91と基地局92との間に障害物がなく、受信状況が良好である区間であり、区間Bは、移動体端末機91と基地局92との間に障害物があり、受信状況が劣悪である区間である。
【0037】
このとき、図5(A)に示すシストリックアレイビタビ復号器10は、移動体端末機91が区間Aに存在する場合には、受信状況が良好であることから、受信信号の品質も良好であり、小さい打ち切りパス長Lでも復号データの精度が確保できるものとみなし、同図(B)に示すように、図示しないコントローラによって、トレースバックユニットの数を2個とし、打ち切りパス長L=2とする。
【0038】
一方、シストリックアレイビタビ復号器10は、移動体端末機91が区間Bに存在する場合には、受信状況が劣悪であることから、受信信号の品質も劣悪であり、大きい打ち切りパス長Lでなければ復号データの精度を確保できないとみなし、同図(C)に示すように、図示しないコントローラによって、トレースバックユニットの数を8個とし、打ち切りパス長L=8とする。
【0039】
このように、シストリックアレイビタビ復号器10は、品質判別ユニット13によって、受信信号の品質を判別し、その判別結果に応じて打ち切りパス長Lを動的に変化させる。この際、シストリックアレイビタビ復号器10は、復号データが所望のビットエラーレートを満たすように、打ち切りパス長Lを決定する。
【0040】
ここで、打ち切りパス長Lと復号データのビットエラーレートとの関係を調べるために、要求するビットエラーレートの目標値を10-3とし、打ち切りパス長Lをパラメータとして、レイリーフェージング環境下におけるビットエラーレートと1ビット当たりのエネルギであるEb/N0との関係を数値計算により求めた結果を図7に示す。このモデルは、変調方式を2相PSK(Bi Phase Shift Keying;BPSK) として同期検波を行い、同期が完全であり、通信路の状況の推定が完全であるものとしている。また、このモデルは、データに完全ブロック型32×32のインターリーブを施し、16値軟判定復号で復号を行うものとしている。さらに、このモデルでは、拘束長(constraint length)K=3、符号化率(coding rate)R=1/2の畳み込み符号を利用し、ビットレートを32Kbps、最大ドップラ周波数を80Hzとしている。なお、要求するビットエラーレートである10-3は、生の音声を伝送するのに要求されるビットエラーレートである。
【0041】
同図に示すように、打ち切りパス長Lを固定した場合には、ビットエラーレートは、打ち切りパス長Lの大小に拘泥せず、Eb/N0が増大するにつれ単調に減少する傾向にあるとともに、打ち切りパス長Lが大きいほど、減少する傾向にあり、打ち切りパス長Lが“8”以上では、顕著な相違はみられないことがわかる。
【0042】
すなわち、このモデルは、1ビット当たりのエネルギが大きい場合ほど、或いは、打ち切りパス長Lが大きい場合ほど、ビットエラーレートが低くなるという事実と一致しており、数値計算の信頼性があるものとみなすことができる。そして、このモデルにおいては、打ち切りパス長Lが“8”以上では、ビットエラーレートと1ビット当たりのエネルギであるEb/N0との関係がそれほど変化しないことが示されており、打ち切りパス長Lを“8”以上設ける必要はないことがわかる。
【0043】
より具体的には、Eb/N0が約13以上の場合に10-3以下のビットエラーレートを確保するためには、L=8以上の打ち切りパス長を要するが、Eb/N0が約15以上の場合には、L=4以上の打ち切りパス長でよく、Eb/N0が約18以上の場合には、L=2以上の打ち切りパス長でよいことがわかる。
【0044】
そこで、打ち切りパス長Lを動的に変化させた場合には、ビットエラーレートは、Eb/N0が増大するにつれ減少する傾向にあり、Eb/N0が約13以下では、打ち切りパス長がL=8以上のものと同一の傾向となる。そして、ビットエラーレートは、Eb/N0が約13以上では、10-3以下の値を常時確保している。
【0045】
シストリックアレイビタビ復号器10は、このようなビットエラーレートとEb/N0との関係に基づいて、受信状況に応じて打ち切りパス長を動的に変化させることによって、所望のビットエラーレートを確保することができる。また、シストリックアレイビタビ復号器10は、予め打ち切りパス長を大きくする必要がないことから、消費電力を削減することができる。
【0046】
ここで、上述した数値計算にて用いたモデルにおいて、拘束長Kをパラメータとし、打ち切りパス長Lを動的に変化させた場合における電力消費率とEb/N0との関係を求めると、図8に示すようになる。すなわち、このモデルにおいて、電力消費率は、拘束長がK=3の場合に比してK=4の場合の方が低い。
【0047】
このことは、打ち切りパス長が大きくなるのにともない、すなわち、大きい拘束長や高符号化率の畳み込み符号を用いるのにともない、消費電力削減量が大きくなることを示している。したがって、シストリックアレイビタビ復号器10は、受信状況に応じて打ち切りパス長を動的に変化させることによって、大きい拘束長や高符号化率の畳み込み符号を用いる場合において、顕著に消費電力を削減することができる。
【0048】
以上説明したように、シストリックアレイビタビ復号器10は、受信状況に応じて打ち切りパス長を動的に変化させて適切な打ち切りパス長で復号を行うことによって、所望のビットエラーレートを確保して復号の精度を保ちつつ、消費電力を削減することができる。
【0049】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施の形態では、シストリック型のシストリックアレイビタビ復号器10について説明したが、本発明は、シストリック型でなくともトレースバックを行うビタビ復号器であれば適用することができる。
【0050】
また、打ち切りパス長を動的に変化させる時期としては、任意に設定することができるが、例えば、受信信号がパケット化されて伝送されてくる場合には、パケットの途切れ目で打ち切りパス長を動的に変化させるようにしてもよく、特殊なコードが挿入された受信符号語を構成し、この特殊なコードに基づいて、打ち切りパス長を動的に変化させるようにしてもよい。
【0051】
このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【0052】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明にかかる復号装置は、畳み込み符号系列からなる受信信号をビタビ復号して復号データを出力する復号装置であって、畳み込み符号系列から各時刻における全ての尤度の高いパスを選択して各遷移状態におけるパスメトリックを求め、最小のパスメトリックを有する遷移状態を選択する選択手段と、畳み込み符号系列と選択手段により選択された遷移状態に基づいて演算された結果とを順次保持し、打ち切りパス長分のトレースを行う打ち切りパス長個のトレース手段と、受信信号の品質を判別する品質判別手段とを備え、品質判別手段により判別された受信信号の品質に応じて打ち切りパス長を動的に変化させる。
【0053】
したがって、本発明にかかる復号装置は、受信信号をビタビ復号する際に、品質判別手段により判別された受信信号の品質に応じて打ち切りパス長を動的に変化させることによって、復号の精度を保ちつつ、消費電力を削減することができる。
【0054】
また、本発明にかかる復号方法は、畳み込み符号系列からなる受信信号をビタビ復号して復号データを出力する復号方法であって、畳み込み符号系列から各時刻における全ての尤度の高いパスを選択して各遷移状態におけるパスメトリックを求めて最小のパスメトリックを有する遷移状態を選択し、畳み込み符号系列と選択された遷移状態に基づいて演算された結果とを打ち切りパス長個の記憶手段に順次保持して打ち切りパス長分のトレースを行うとともに、受信信号の品質を判別し、判別された受信信号の品質に応じて打ち切りパス長を動的に変化させる。
【0055】
したがって、本発明にかかる復号方法は、受信信号をビタビ復号する際に、受信信号の品質を判別して得られた結果に応じて打ち切りパス長を動的に変化させることによって、復号の精度を保ちつつ、消費電力を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態として示すシストリックアレイビタビ復号器の構成を説明するブロック図である。
【図2】同シストリックアレイビタビ復号器の構成を説明するブロック図であって、トレースバックユニットの内部構成を説明するブロック図である。
【図3】同シストリックアレイビタビ復号器を適用する通信モデルの構成を説明するブロック図である。
【図4】同シストリックアレイビタビ復号器の動作を説明するための図であって、(A)は、トレースバックユニットが有するレジスタの時刻j−1における記憶内容を示し、(B)は、トレースバックユニットが有するレジスタの時刻jにおける記憶内容を示す図である。
【図5】打ち切りパス長を変化させる様子を説明するための図であって、(A)は、打ち切りパス長が“L”の場合における同シストリックアレイビタビ復号器の構成を示し、(B)は、打ち切りパス長が“2”の場合における同シストリックアレイビタビ復号器の構成を示し、(C)は、打ち切りパス長が“8”の場合における同シストリックアレイビタビ復号器の構成を示すブロック図である。
【図6】同シストリックアレイビタビ復号器を移動体端末機に適用した場合の状況を説明する図である。
【図7】打ち切りパス長をパラメータとした場合におけるビットエラーレートとEb/N0との関係を説明する図である。
【図8】拘束長をパラメータとした場合における電力消費率とEb/N0との関係を説明する図である。
【図9】通信モデルの構成を説明するブロック図である。
【図10】拘束長が“3”、符号化率が“1/2”の畳み込み符号器の構成を説明するブロック図である。
【図11】図10に示した畳み込み符号器のトレリスを説明する図である。
【図12】図10に示した畳み込み符号器を利用した場合における時刻j−1から時刻jへの遷移状態を説明する図である。
【符号の説明】
10 シストリックアレイビタビ復号器、 11 選択ユニット、 121,122,123,・・・,12L トレースバックユニット、 13 品質判別ユニット、 21Y1,21Y'1,・・・,21X1,22X2,・・・ レジスタ
Claims (10)
- 畳み込み符号系列からなる受信信号をビタビ復号して復号データを出力する復号装置であって、
上記畳み込み符号系列から各時刻における全ての尤度の高いパスを選択して各遷移状態におけるパスメトリックを求め、最小のパスメトリックを有する遷移状態を選択する選択手段と、
上記畳み込み符号系列と上記選択手段により選択された遷移状態に基づいて演算された結果とを順次保持し、打ち切りパス長分のトレースを行う上記打ち切りパス長L個の同一構造を有するトレースバックユニットを連結して成るトレース手段と、
上記受信信号の品質を判別する品質判別手段とを備え、
上記品質判別手段により判別された上記受信信号の品質に応じて上記打ち切りパス長Lとしての上記トレースバックユニットの数を動的に変化させる
復号装置。 - 上記復号データのビットエラーレートが目標値以下となるように上記打ち切りパス長Lを決定する請求項1記載の復号装置。
- 上記トレース手段は、上記打ち切りパス長L個の上記トレースバックユニットが直列に接続されており、それぞれの上記トレースバックユニットは、上記畳み込み符号系列を保持する第1の記憶手段と、上記選択手段により選択された遷移状態に基づいて演算された結果を保持する第2の記憶手段とを有し、
上記第1の記憶手段は、それぞれ、各タイムスロット毎に保持している値を次段の第1の記憶手段にシフトするとともに、上記第2の記憶手段は、それぞれ、各タイムスロット毎に保持している値を次段の第2の記憶手段にシフトする請求項1記載の復号装置。 - 上記選択手段と上記トレース手段が並列処理を行うシストリック型である請求項1記載の復号装置。
- 無線により信号の送受信を行う移動体端末機に適用される請求項1記載の復号装置。
- 畳み込み符号系列からなる受信信号をビタビ復号して復号データを出力する復号方法であって、
上記畳み込み符号系列から各時刻における全ての尤度の高いパスを選択して各遷移状態におけるパスメトリックを求め、最小のパスメトリックを有する遷移状態を選択する選択工程と、
上記畳み込み符号系列と上記選択工程により選択された遷移状態に基づいて演算された結果とを順次保持する打ち切りパス長L個の同一構造を有するトレースバックユニットを連結して成るトレース手段により上記打ち切りパス長分のトレースを行うトレース工程と、
上記受信信号の品質を判別する品質判別工程とを有し、
上記品質判別工程により判別された上記受信信号の品質に応じて上記打ち切りパス長Lとしての上記トレースバックユニットの数を動的に変化させる
復号方法。 - 上記復号データのビットエラーレートが目標値以下となるように上記打ち切りパス長Lを決定する請求項6記載の復号方法。
- 上記トレース手段は、上記打ち切りパス長L個の上記トレースバックユニットが直列に接続されており、それぞれの上記トレースバックユニットは、上記畳み込み符号系列を保持する第1の記憶手段と、上記選択工程により選択された遷移状態に基づいて演算された結果を保持する第2の記憶手段とを有し、
上記第1の記憶手段は、それぞれ、各タイムスロット毎に保持している値を次段の第1の記憶手段にシフトするとともに、上記第2の記憶手段は、それぞれ、各タイムスロット毎に保持している値を次段の第2の記憶手段にシフトする請求項6記載の復号方法。 - 上記遷移状態の選択と上記打ち切りパス長分のトレースが並列処理により行われる請求項6記載の復号方法。
- 無線により信号の送受信を行う移動体端末機に適用される請求項6記載の復号方法。
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