JP4225704B2 - ワイヤ挿通装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、小径の管内に2本のワイヤを挿通するワイヤ挿通装置に係り、特に内視鏡用処置具の2本の操作ワイヤを可撓性管内へ同時に挿通するワイヤ挿通装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡用処置具は、内視鏡の鉗子チャンネルに挿通可能な可撓性を有する挿入部に軸方向に進退自在な操作ワイヤが挿通されている。この内視鏡用処置具としては、特開2000−175928号公報記載の発明がある。
【0003】
上記発明は、図15に示すように、内視鏡用処置具100の2本のワイヤ101及び102が可撓性管103に挿通されており、その一端には操作部104のスライダ104bが接続されているとともに、他端には生検カップ105及び106が接続されている。生検カップ105及び106は、可撓性管103に固定したカップ保持部材107にピン107aを介して取り付けられている。そして、操作部104のスライダ104bを操作部本体104aに沿って移動操作することでワイヤ101及び102を進退し、ピン107aを回転中心として生検カップ105及び106を開閉できるようになっている。
【0004】
従来、操作ワイヤの挿通作業は人の手作業で行われており、予め所定の長さに切りそろえた2本のワイヤを可撓性管に手で順次送りながら挿通していた。
【0005】
また、線材を挿通する装置としては、例えば特開平6−45173号公報記載の発明がある。
【0006】
上記発明は、図16及び図17に示すように、細線材108及び109の先端部分を束線して、その先端部位110を有孔部材111の開口部112から内部に挿通手段113を用いて挿入し、細線材108及び109の未束線部分が有孔部材111の他方の開口部114から出るまで挿通させる。そして、有孔部材111の開口部114から出された束線されている先端部位110を切断手段115により切断して、挿通を完了する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来技術においては、以下のような欠点がある。人の手作業によるワイヤ挿通作業では、予め2本のワイヤを所定の長さに切りそろえておく必要があるとともに、2本のワイヤを長い管内に挿通するために人が手を往復動させる必要があり、とても効率が悪い。しかも、十分な注意を払いながらワイヤ挿通作業を行わないと、ワイヤにたわみを発生させてしまい、ワイヤのたわみを除去するために挿通作業の中断を余儀なくされる。また、ワイヤがたわんだままで無理に管内への挿通作業を続けるとワイヤを曲げてしまい、そのワイヤが使えなくなる事態が発生してしまう。
【0008】
また、特開平6−45173号公報で提案される線材挿通装置では、2本の線材を撚って束線して挿通する先端部位を形成しているが、内視鏡用処置具で使用する操作ワイヤは、生検カップ等の処置部材の開閉力量を伝えるに耐える強度を持つ線材であるため、容易に束線することができない。
【0009】
また、例え束線することができたとしても、その束線した先端部位は後で切断して廃棄するため、ワイヤを無駄にしてしまうという問題があった。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、ワイヤのたわみを除去しながらワイヤを小径の管内に効率的に挿通できるとともに、不要ワイヤを発生させることなく連続的にワイヤを挿通できるワイヤ挿通装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の発明は、小径の管内に2本のワイヤを挿通するワイヤ挿通装置において、2本のワイヤをそれぞれくぼみ形状孔及び挿通孔を有するワイヤ案内部材により保持される管に向けて送る2つのワイヤ挿通送り手段と、前記ワイヤ挿通送り手段まで2本のワイヤをそれぞれ送る2つのワイヤ先端送り手段と、2つのワイヤ挿通送り手段とワイヤ案内部材との間に配置され、2本のワイヤをそれぞれ把持するとともに2本のワイヤの間隔調整及び前記ワイヤ案内部材により保持される管内への送り込みを行う2つのワイヤ移動手段と、回転駆動される主動ローラと、ワイヤの送り方向と直角方向に移動し主動ローラとの間でワイヤを挟む状態で接近又は離反し、かつ、主動ローラに対する当て付け力を調整可能に構成した従動ローラとを具備し、2つのワイヤ移動手段による2本のワイヤの管内への送り込み時に、2本のワイヤのたわみを同時に除去する2つのワイヤたわみ除去手段と、前記ワイヤ挿通送り手段及び前記ワイヤ先端送り手段の間に位置して2本のワイヤをそれぞれ前記管への挿入長に応じて切断する2つのワイヤ切断手段と、を具備したことを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、2本のワイヤは、2つのワイヤ先端送り手段及びワイヤ挿通送り手段によって、それぞれにワイヤ移動手段で把持可能な位置まで送ることができる。2つのワイヤ移動手段は2本のワイヤをそれぞれ把持して間隔調整し、ワイヤ案内部材側へ移動することで、ワイヤ先端をワイヤ案内部材を通じて小径の管内に導くことができる。ワイヤ先端が管内に挿入されたら、ワイヤたわみ除去手段における主動ローラ、従動ローラによるワイヤの把持と、主動ローラに対する従動ローラの当て付け力の調整によって、ワイヤ挿通送り手段からワイヤを無理に引き出すことなく、ワイヤのたわみのみを除去する引っ張り力を得てワイヤのたわみ発生を防止しながら、2つのワイヤ挿通送り手段による送りで、小径の管内に向けて2本のワイヤを連続的に送り込むことができる。その後、2つのワイヤ切断手段で2本のワイヤをそれぞれに切断し、ワイヤ移動手段でワイヤを把持してその間隔調整を行い、前記ワイヤ案内部材により保持される管内への送り挿入することができ、ワイヤに不要となる部分が発生することはない。
【0013】
本発明の請求項2のワイヤ挿通装置は、請求項1のワイヤ挿通装置において、前記2本のワイヤは、2つのワイヤ先端送り手段から2つのワイヤたわみ除去手段まで離れて移動することを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、前記2本のワイヤを、2つのワイヤ先端送り手段から2つのワイヤたわみ除去手段まで離れて移動する構成としているので、このワイヤ挿通装置にセットする例えばワイヤを各々巻回した2つのワイヤボビンから各々直接ワイヤを引き出し小径の管内へ挿通することが簡略となる。
【0015】
本発明の請求項3のワイヤ挿通装置は、請求項1のワイヤ挿通装置において、前記ワイヤたわみ除去手段によるワイヤの送りスピードをワイヤ挿通送り手段によるワイヤの送りスピードよりも速くしていることを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、ワイヤたわみ除去手段においてワイヤを滑らせ、ワイヤ挿通送り手段とワイヤ案内手段間でたわみを防止する引っ張り力を発生させて確実にワイヤのたわみを除去することができる。
【0017】
本発明の請求項4のワイヤ挿通装置は、請求項1のワイヤ挿通装置において、前記2つのワイヤ移動手段は、ワイヤ移動方向に沿って設けた固定板の端部と、ワイヤ移動方向と直交する方向に配置したワイヤ規制板に設けた切り欠き溝との間で形成される窓部と、前記固定板に対向させて上記窓部の高さ位置に対向配置されるとともに固定板に接近及び離反可能に構成した把持板と、を有し、前記窓部内にワイヤを通過させ、把持板と固定板とにより2本のワイヤをそれぞれ把持するとともに2本のワイヤの間隔調整及び前記ワイヤ案内部材により保持される管内への送り込みを行うことを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、小径の管内に挿通するために切断した2本のワイヤを、前記2つのワイヤ移動手段における前記窓部、把持板、固定板により各々位置規制し、さらに2本のワイヤの間隔調整を行い、ワイヤ案内部材により保持される管内への挿入を行うことができる。
【0019】
本発明の請求項5のワイヤ挿通装置は、請求項1のワイヤ挿通装置において、前記2つのワイヤ挿通送り手段によるワイヤの送り量は制御手段により所定量に管理され、前記2つのワイヤ切断手段は、所定量分のワイヤが送られたところで当該ワイヤを各々切断することを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、不要ワイヤを出すことなく連続的にワイヤを管に挿通することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1を図1〜図11に基づいて説明する。本実施の形態のワイヤ挿通装置は、小径の管としての可撓性管内に2本のワイヤを挿通する装置であり、まず図2に基づいて、ワイヤを挿通する可撓性管を説明する。図2は本実施の形態のワイヤ挿通装置でワイヤが挿通された状態を示す斜視図である。
【0022】
2本のワイヤ1a及び1bは、可撓性管2内に所定の長さを持って挿通されている。可撓性管2には、前工程で生検カップを保持するカップ保持部材3がレーザ溶接等で接合されているとともに、内視鏡用処置具の操作部に可撓性管2を固定するためのストッパ4がカシメなどで固定されている。
【0023】
次に、本実施の形態のワイヤ挿通装置の全体構成を図1に基づいて説明する。図1はワイヤ挿通装置の全体を概略的に示す斜視図である。
【0024】
本実施の形態のワイヤ挿通装置5は、2つのワイヤ先端送り手段としてのワイヤ先端送りユニット6a及び6b、2つのワイヤ挿通送り手段としてのワイヤ挿通送りユニット7a及び7b、2つのワイヤ移動手段としてのワイヤ移動ユニット8a及び8b、ワイヤたわみ除去手段としてのワイヤたわみ除去ユニット9、ワイヤ案内手段としてのワイヤ案内部材10、2つのワイヤ切断手段としてのワイヤ切断ユニット11a及び11bから構成されている。
本実施の形態では、ワイヤ先端送りユニット6a、ワイヤ挿通送りユニット7a、ワイヤ移動ユニット8a及びワイヤ切断ユニット11aでワイヤ1aを扱い、ワイヤ先端送りユニット6b、ワイヤ挿通送りユニット7b、ワイヤ移動ユニット8b及びワイヤ切断ユニット11bでワイヤ1bを扱うものとする。
そして、ワイヤ先端送りユニット6a及び6b、ワイヤ挿通送りユニット7a及び7b、ワイヤ移動ユニット8a及び8b、ワイヤ切断ユニット11a及び11bのそれぞれユニットは、ワイヤ1a及び1bの送り方向に対して直角に対向させて配置されており、ワイヤ1a及び1bに関して対称構造となっている。これらの各構成要素は、架台12上に設置されるとともに、制御手段13によって制御可能となっている。
【0025】
ワイヤ先端送りユニット6aとワイヤ先端送りユニット6bは、勝手違いであることを除き同一構成であるため、ワイヤ1aを扱うワイヤ先端送りユニット6aについてのみ説明する。
また、ワイヤ挿通送りユニット7a及び7b、ワイヤ移動ユニット8a及び8b、ワイヤ切断ユニット11a及び11bについても同様である。また、各図においてXで示す方向は可撓性管2内にワイヤ1a,1bを挿通する際にワイヤ1a,1bを移動させる方向を示しており、Y方向はX方向に対して水平方向に直交しワイヤ先端送りユニット6a等から見てワイヤ先端送りユニット6b等に向かう方向、Z方向はX及びY方向に対して直交し上方に向かう方向である。以下の説明において、X+方向及びY+方向は矢印で示すX及びY方向でワイヤ1a及び1bを前進させる方向あり、X−方向及びY−方向は矢印で示す方向とは反対の方向である。
【0026】
次に、図3及び図4に基づいて、ワイヤ先端送りユニット6a、ワイヤ挿通送りユニット7a、ワイヤ切断ユニット11a及びワイヤガイド22aを説明する。
図3はワイヤ挿通装置に備えたワイヤ先端送りユニット、ワイヤ挿通送りユニット及びワイヤ切断ユニットを概略的に示す斜視図、図4はワイヤガイドを図3の矢印a方向から見た断面図である。
【0027】
図1に示すように、ワイヤ先端送りユニット6aは、支柱14により架台12から立ち上げられたサブべース15上に設置され、ワイヤ挿通装置5の後部(ワイヤ1aの送り方向を前方とする)に配置されている。サブべース15上には、図3に示すように、ワイヤ1aを送るための主動ローラ16が上下方向(Z方向)の軸を中心にして回転自在に設けられており、図示省略したカップリングを介してモータ17に連結されている。また、サブべース15上には、X方向に対して直交するY方向と平行な直線ガイド18が設けられており、この直線ガイド18上には、連結部材19を介して、Z方向の軸を中心にして回転自在な従動ローラ20が、その外周面を主動ローラ16の外周面に対向させてY−方向に取り付けられ、主動ローラ16と従動ローラ20の間でワイヤ1aを挟持可能となっている。連結部材19には、固定部材21bを介してサブべース15上に固定したシリンダ21のロッド21aが連結されており、シリンダ21の駆動により従動ローラ20がY(Y+及びY−)方向に進退移動され、主動ローラ16に対して接近及び離反可能となっている。
【0028】
ワイヤ先端送りユニット6aの後方(図3中のX−方向)には、ワイヤ1aを案内するワイヤガイド22aが、接近させた状態の主動ローラ16と従動ローラ20に対向する位置でサブべース15上に設けられている。ワイヤガイド22aには、図4に示すように、ワイヤ1aを挿通可能な貫通孔がX方向に貫設され、この貫通孔は、ワイヤ1aが挿入される側に大径開口部を有するとともに底部にワイヤ1aの挿通可能な開口部を有する円錐状のくぼみ形状孔22dと、くぼみ形状孔22dの底部開口と連通させワイヤ1aの送出側に開口したワイヤ1aよりもわずかに径の大きい孔22eからなっている。
【0029】
ワイヤ先端送りユニット6aのワイヤ1aの前進側(図3中のX+方向)には、ワイヤ挿通送りユニット7aがサブべース15上に配置されて設けられている。本実施の形態では、ワイヤ挿通送りユニット7aは、ワイヤ先端送りユニット6aと同一の構成であるため、同一の番号を付して、その説明を省略する。
【0030】
ワイヤ挿通送りユニット7aの前後には、ワイヤガイド22b及び22cがワイヤ挿通送りユニット7aの主動ローラ16と従動ローラ20を挟むようにしてサブべース15上にそれぞれ設けられている。ワイヤガイド22b及び22cは、ワイヤガイド22aと同じ形状であり、ワイヤ1aの挿入側に円錐状のくぼみ形状孔22dが形成され、ワイヤ1bの送出側に孔22eが形成されている。上記ワイヤガイド22a、22b及び22cは、ワイヤ1aの進退方向に沿うようにX方向で直線的に配置されている。
【0031】
ワイヤ先端送りユニット6aとワイヤ挿通送りユニット7a間のサブべース15上には、ワイヤ切断ユニット11aが設けられている。ワイヤ1aに対してY+方向側のサブべース15上に取り付けられた固定部材23には、ワイヤ1aを切断する固定刃24がワイヤガイド22bとワイヤ先端送りユニット6aの主動ローラ16との間に位置するように取り付けられている。また、サブべース15上には、ガイドべース25がワイヤ1aを挟んで上記固定部材23と対向するように取り付けられており、ガイドべース25にはY方向と平行な直線ガイド26が設けられている。直線ガイド26には連結部材27を介して移動刃28が取り付けられ、前記固定刃24と協働してワイヤ1aを剪断し得るようになっている。連結部材27には、固定部材29bを介してサブべース15上に固定したシリンダ29のロッド29aが連結されており、シリンダ29の駆動で移動刃28が固定刃24に対して接近及び離反可能となっている。
【0032】
次に、図5及び図6に基づいて、ワイヤ移動ユニット8aおよびワイヤ移動ユニット8aのワイヤ把持ヘッド35の構成について説明する。図5は上記ワイヤ挿通装置に備えたワイヤ移動ユニットを概略的に示す斜視図、ず6はワイヤ移動ユニットのワイヤ把持ヘッド部を示す拡大斜視図である。
【0033】
ワイヤ移動ユニット8aは、図1に示すように、ワイヤ挿通送りユニット7aの前方に配置されている。架台12に取り付けられた台30上には、図5に示すようにアクチュエータ31が設けられており、そのスライダ部31aがワイヤ1aの進退する(図中のX+及びX−)方向に移動可能となっている。スライダ部31a上には、連結部材32を介してアクチュエータ33が設けられており、そのスライダ部33aがワイヤ1aの進退方向と直角(図中のY+及びY−)方向に移動可能となっている。アクチュエータ33のスライダ部33aには、ワイヤ挿通送りユニット7aに向かう側の面にヘッドべース34が、その下部をスライダ部33aより下方に延在させて取り付けられており、ヘッドべース34の下部にはワイヤ把持ヘッド35がワイヤ挿通送りユニット7aと対向可能に設けられている。以下の部材の説明において、ワイヤ挿通送りユニット7aに向かう側を前面という。
【0034】
ワイヤ把持ヘッド35は、以下のように構成される。すなわち、図6に示すように、ヘッドべース34の前面Y+側には、固定板36がその下部をヘッドベース34の下端よりも延在させて設けられており、固定板36の前面にはワイヤ1aの位置を規制するワイヤ規制部材としてのワイヤ規制板37が取り付けられている。ワイヤ規制板37の下部にはY+方向に開口を有する切り欠き溝37aが設けられており、切り欠き溝37aの底部と固定板36のY−側の端部によって、ヘッドべース34の下端より下方となる位置にワイヤ1aが通る窓部38が形成されている。
窓部38の中心は、ワイヤ挿通送りユニット7aのワイヤガイド22cに形成された孔22eと、架台12からの高さが同一となっている。
また、ヘッドべース34の前面には、固定板36に対してY方向に進退可能なガイド付きシリンダ39が設けられている。
このガイド付きシリンダ39の前面には、連結板40を介して、把持板41が固定板36に対向させて上記窓部38の高さ位置に取り付けられており、把持板41は、ガイド付きシリンダ39の駆動により固定板36に対してワイヤ規制板37の前方(ワイヤ1aの前進側)で接近及び離反可能となっている。
【0035】
次に、図7〜図11に基づいて、ワイヤたわみ除去ユニット9、ワイヤ拘束部材56及びワイヤ案内部材10について説明する。図7は上記ワイヤ挿通装置に備えたワイヤたわみ除去ユニット及びワイヤ案内部材を概略的に示す斜視図、図8及び図9はワイヤ除去ユニットを図7の矢印b方向から見た正面図及び矢印c方向から見た右側面図、図10はワイヤたわみ除去ユニットのワイヤ拘束部材を図7の矢印d方向から見た左側面図、図11はワイヤ案内部材を図7の矢印b方向から見た断面図である。
【0036】
ワイヤたわみ除去ユニット9は、図1に示すように、支柱42により架台12から立ち上げられたサブべース43上に設置され、上記ワイヤ把持ヘッド35(ワイヤ移動ユニット8a及び8bの両ワイヤ把持ヘッド35)の後方でY方向(Y+及びY−方向)へ移動可能に配置されている。図7に示すように、サブべース43上にはY方向と平行に直線ガイド44が設けられている。直線ガイド44上にはL板45が取り付けられ、上記ワイヤ把持ヘッド35の後方でY方向へ進退可能になっている。L板45には、サブべース43上に固定した固定部材47bに取り付けたシリンダ47のロッド47aが連結部材46を介して連結されており、L板45は、シリンダ47の駆動でY方向に進退され、2本のワイヤ1a及び1bを案内する1つのワイヤ案内部材10に対して接近、離反可能となっている。
【0037】
L板45はX方向と平行な立上げ部を有しており、その立上げ部側面(裏面)の上部にモータ48が設けられ、Y方向と平行にL板45を貫通させたモータ48の回転シャフト48aには主動ローラ49が取り付けられている。すなわち、主動ローラ49はL板45の立上げ部側面(表面)側に配置されている。主動ローラ49の外周の上側までと、ワイヤ挿通送りユニット7aのワイヤガイド22cに形成された孔22eは、架台12から同一の高さとなっている。また、L板45の立上げ部表面には、2本の直線ガイド50がZ方向に延在させて平行に取り付けられおり、この直線ガイド50により案内されて主動ローラ49の上方で上下に移動可能なローラべース51が設けられている。
【0038】
ローラべース51には、Y方向に平行な軸を中心に回転自在な従動ローラ52が取り付けられ、その外周を主動ローラ49の外周に対向させるように主動ローラ49の上方に配置されており、また、ローラべース51にはL板45の立上げ部裏面に固定したシリンダ54が連結部材53を介して連結されている。
従動ローラ52は、シリンダ54の駆動でローラべース51を介して上下動され、主動ローラ49に対して接近及び離反可能となっており、主動ローラ49と従動ローラ52はワイヤ把持部材として機能している。
シリンダ54には、図示省略した減圧弁が接続されており、シリンダ54への空気の供給圧力を調整することで、シリンダ54は把持力調整機能を有し、主動ローラ49に対する従動ローラ52の当て付け力を調整可能となっている。
主動ローラ49の後方(図7中のX−方向)には、Y−方向に延在させたワイヤ案内板55がL板45に取り付けられている。ワイヤ案内板55には、Y方向と平行な溝55bが形成されるとともに、溝55bの端部には下方に傾いた勾配部55aが形成されており、勾配部55aから溝55b内に2本のワイヤ1a及び1bを挿入し得るようになっている。また、L板45には、ワイヤ拘束部材56が設けられている。
【0039】
ワイヤ拘束部材56は、以下のように構成される。図8及び図10に示すように、主動ローラ49とワイヤ案内板55の間には回転自在なガイドローラ57a及び57bが設けられており、一方のガイドローラ57aは、L板45に設けられた固定板58に取り付けられ、ワイヤ案内板55の溝55b前方位置にZ方向の軸を中心に回転可能に設けられている。他方のガイドローラ57bは、揺動板59に取り付けられている。揺動板59は、固定板58に設けられた軸60を回転中心としてY方向に揺動可能となっている。また、揺動板59には軸61が設けられており、ジョイント62を介してシリンダ63に連結されている。ジョイント62は、軸61を回転中心としてY方向に回動可能となっている。シリンダ63は、取り付け板64及び軸65を介して、L板45に設けられた回転べース66に取り付けられており、この取り付け板64は軸65を回転中心としてY方向に回動可能となっている。ガイドローラ57bは、シリンダ63の駆動により軸60を回転中心としてY方向に揺動し、ガイドローラ57aに対して接近及び離反可能となっており、接近した際にワイヤ案内板55の溝55b前方に位置させてガイドローラ57aと対向させ、ワイヤ案内板55の溝55bから前方に出ているワイヤ1a及び1bを、ガイドローラ57aと協働して主動ローラ49の外周上に拘束し得るようになっている。この揺動に伴って生ずるシリンダ63の傾き角度の変化は、軸65を回転中心としてシリンダ63が回ることで吸収されるようになっている。
【0040】
ワイヤ案内部材10は、図1に示すように、架台12に取り付けられた台67に設置されている。ワイヤ案内部材10には、図11に示すように、2本のワイヤ1a及び1bを同時に挿通可能な貫通孔がX方向に貫設されている。この貫通孔は、ワイヤ1a及び1bが挿入される側に大径開口部を有するとともに底部にワイヤ1a及び1bの挿通可能な小径開口部を有する円錐状のくぼみ形状孔10aと、くぼみ形状孔10aの底部開口に連通させて2本のワイヤ1a及び1bが通過できるとともに可撓性管2の内径よりも小さい径を持つ孔10bからなっている。孔10bは、ワイヤ挿通送りユニット7aのワイヤガイド22cに形成された孔22eと、架台12からの高さが同一となっている。また、くぼみ形状孔10aが形成されている面の対面、すなわち、孔10bのワイヤ1a及び1bの送出側端部には、可撓性管2の外径よりもわずかに大きい円筒状のくぼみ10cが管保持部として、孔10bの中心と一致させて設けられている。
【0041】
次に、上記構成における作用を図12〜14に基づいて説明する。図12はワイヤ挿通送りユニットのワイヤガイドから突き出したワイヤを示す図3の矢印a方向から見た正面図、図13はワイヤ案内部材に対して2本のワイヤの挿入を行う直前の状態を示す図7の矢印e方向である上面から見た断面図、図14はワイヤの先端が可撓性管に挿入された状態を示す図7の矢印b方向である正面から見た断面図である。
【0042】
ワイヤ1a及び1bは、ワイヤ挿通装置5の後方(図1のX−方向)でリール(図示省略)に巻かれており、ワイヤ挿通装置5によるワイヤ1a及び1bの可撓性管2への送り動作で、連続的にリールから引き出されるようになっている。
【0043】
まず、ワイヤ挿通装置5へのワイヤ1aのセッティングについて説明する。ワイヤ先端送りユニット6a及びワイヤ挿通送りユニット7aの従動ローラ20は、シリンダ21の駆動により主動ローラ16から離れた状態としておく。ワイヤ切断ユニット11aの移動刃28は、シリンダ29の駆動により固定刃24から離れた状態としておく。そして、ワイヤ1aを作業者によりワイヤガイド22a,22b及び22cに形成された孔22eに挿通する。
【0044】
次に、ワイヤ先端送りユニット6a及びワイヤ挿通送りユニット7aのシリンダ21を駆動して各従動ローラ20を前進させて、ワイヤ1aをそれぞれの主動ローラ16と従動ローラ20で挟持する。この状態でワイヤ切断ユニット11aのシリンダ29を駆動して移動刃28を前進させて、固定刃24と移動刃28による剪断でワイヤ1aをワイヤガイド22bの後方で切断する。
【0045】
その後、移動刃28を後退するとともに、ワイヤ挿通送りユニット7aの従動ローラ20を後退させて、ワイヤ1aの挟持を開放し、切断されたワイヤ1aの先端部分を作業者により取り除いて、ワイヤ1aのセッティングを終了する。ワイヤ1aは、ワイヤ挿通装置5の連続稼働中においては、後述するようにワイヤセッティング時と同様な状態で、次の挿通作業の待機状態となる。ワイヤ1bについても、ワイヤ先端送りユニット6b、ワイヤ挿通送りユニット7b及びワイヤ切断ユニット11bの作用で、ワイヤ1aと同様にセットされる。
【0046】
一方、ワイヤ1a及び1bを挿通する可撓性管2は、作業者または図示しない別の装置で、ワイヤ挿通装置5に投入される。可撓性管2は、図7に示すように、X−方向に移動してワイヤ案内部材10に接近し、可撓性管2の端部に取り付けられているカップ保持部材3の先端が、図13に示すように、ワイヤ案内部材10に形成された孔10cの底に当て付くまで挿入される。
【0047】
ワイヤ切断ユニット11aで先端を切断されて、ワイヤ先端送りユニット6aの主動ローラ16と従動ローラ20に挟持されているワイヤ1aは、ワイヤ先端送りユニット6aの主動ローラ16が図3中のA方向に回転するようにモータ17を駆動することによりX+方向に送られる。
すると、ワイヤ1aの先端は、ワイヤガイド22bの円錐状のくぼみ形状孔22dに案内されて孔22eに挿入される。そして、ワイヤガイド22bを貫通し、ワイヤ挿通送りユニット7aの主動ローラ16と従動ローラ20でワイヤ1aを挟持可能な位置まで送られる。このときのワイヤ1aの送り量は、制御手段13により管理された所定量である。
【0048】
次に、ワイヤ挿通送りユニット7aのシリンダ21を駆動して、ワイヤ挿通送りユニット7aの主動ローラ16と従動ローラ20でワイヤ1aを挟持する。そして、ワイヤ先端送りユニット6aの従動ローラ20を後退させて、ワイヤ先端送りユニット6aでのワイヤ1aの挟持状態を解除する。
その後、ワイヤ挿通送りユニット7aの主動ローラ16が、図3中のC方向に回転するようにモータ17を駆動して、ワイヤ1aをワイヤガイド22cから貫通させる。
そして、図12に示すように、ワイヤガイド22cからの突き出し量がL1になるまでワイヤ1aを送り出し、ワイヤ挿通送りユニット7aの主動ローラ16を駆動するモータ17の回転を停止する。このワイヤガイド22cからのワイヤ突き出し量L1は、図14に示すように、後のワイヤ移動ユニット8aによるワイヤ1aの移動で、ワイヤ1a先端が可撓性管2の管内に挿入される長さL2に、すきま量αを足した長さとなっている。
すきま量αとは、図12に示すように、ワイヤ1aを把持するためにワイヤ移動ユニット8aのワイヤ把持ヘッド35がワイヤガイド22cに接近した時のすきま量である。ワイヤ1bについても、ワイヤ先端送りユニット6b及びワイヤ挿通送りユニット7bの作用で、ワイヤ1aと同様に、ワイヤガイド22cからの突き出し量がL1となるように送られる。
【0049】
次に、ワイヤ移動ユニット8aのワイヤ把持ヘッド35に形成された窓部38が、ワイヤ1aの前方でワイヤガイド22cの孔22eの延長線と一致するように、アクチュエータ33をY方向(Y+あるいはY−方向)に駆動する。そして、アクチュエータ31をX−方向に駆動して、ワイヤ把持ヘッド35の窓部38にワイヤ1aを挿入し、ワイヤガイド22cとワイヤ把持ヘッド35のすきまが、図12に示すように、すきま量αとなるまでワイヤ把持ヘッド35を移動させる。
そして、ワイヤ把持ユニット35のガイド付きシリンダ39を駆動することにより、固定板36と把持板41でワイヤ1aを把持する。その後、ワイヤ挿通送りユニット7aの従動ローラ20をシリンダ21の駆動により後退させて、ワイヤ挿通送りユニット7aでのワイヤ1aの把持状態を解除する。ワイヤ1bについても、ワイヤ挿通送りユニット7b及びワイヤ移動ユニット8bの作用で、ワイヤ移動ユニット8bのワイヤ把持ヘッド35に受け渡される。
【0050】
次に、アクチュエータ31の駆動によりワイヤ1aをX+方向に移動させるとともに、アクチュエータ33の駆動で、ワイヤ1aをワイヤ案内部材10の孔10bの延長線に近づく方向に移動させる。ワイヤ1bについても、同様に移動させて、図13に示すように、ワイヤ1a及び1bを最も接近させた状態でワイヤ案内部材10の直前まで移動させる。このときのワイヤ1a及び1bの間隔L3は、ワイヤ案内部材10に形成された円錐状のくぼみ形状孔10aの開口径L4よりも小さくなるように、ワイヤ移動ユニット8a及び8bのワイヤ把持ヘッド35を接近させる。
また、このときのアクチュエータ31とアクチュエータ33の駆動によるワイヤ把持ヘッド35の移動は、ワイヤ1a及び1bがワイヤガイド22cの孔22eのエッジとの接触等で曲がりが発生しないような軌跡をたどるように制御されている。
そして、ワイヤ移動ユニット8a及び8bのワイヤ把持ヘッド35を同時にワイヤ案内部材10に接近させていくと、ワイヤ1a及び1bはワイヤ案内部材10の円錐状のくぼみ形状孔10aに沿って前進し、孔10b内に挿入される。さらにワイヤ把持ヘッド35を前進させて、図14に示すように、ワイヤ1a及び1bの先端を可撓性管2の管内に挿入し、ワイヤ把持ヘッド35の前進を停止する。
【0051】
次に、ワイヤ挿通送りユニット7a及び7bのシリンダ21の駆動により従動ローラ20を前進させて、ワイヤ1a及び1bを主動ローラ16と従動ローラ20間で挟み込む。その後、ワイヤ移動ユニット8a及び8bのワイヤ把持ヘッド35のガイド付きシリンダ39を駆動して、ワイヤ把持ヘッド35によるワイヤ1a及び1bの把持状態を解除する。そして、アクチュエータ31及びアクチュエータ33の駆動で、ワイヤ移動ユニット8a及び8bのワイヤ把持ヘッド35を、はじめにワイヤ1a及び1bを把持したワイヤガイド22cの後方の位置まで移動させる。
このときのアクチュエータ31とアクチュエータ33の駆動によるワイヤ把持ヘッド35の移動は、ワイヤ1a及び1bがワイヤ把持ヘッド35の窓部38との接触等で可撓性管2の管内から抜け出さないような軌跡をたどるように制御されている。
【0052】
次に、ワイヤたわみ除去ユニット9のシリンダ47を駆動して、L板45をワイヤ案内部材10方向(図1及び図7のY−方向)に前進させる。このとき、従動ローラ52はシリンダ54の駆動で主動ローラ49から離れた状態であるとともに、ガイドローラ57bはシリンダ63の駆動によりガイドローラ57aから離れた状態となっている。
【0053】
すでにワイヤ案内部材10に挿入されているワイヤ1a及び1bは、L板45の前進でワイヤ案内板55に形成された溝55b間に挿入される。このとき、ワイヤ1a及び1bが自重でわずかに下方にたわんでいたとしても、ワイヤ案内板55の勾配部55aに乗り上げるので、ワイヤ1a及び1bは溝55b内に導かれる。ワイヤ1a及び1bは、ワイヤ案内板55の溝55bに案内されることにより、主動ローラ49の円筒状の外周に乗る。そして、シリンダ63を駆動することでガイドローラ57bをガイドローラ57aに接近させる。これにより、ワイヤ1a及び1bは、上下方向にはワイヤ案内板55の溝55bで、左右方向にはガイドローラ57a及び57bで拘束されることとなり、この後のワイヤ送りにおいても、主動ローラ49の円筒状の外周の狭い範囲を通過することとなり、主動ローラ49からの脱落の発生を防止できる。
【0054】
そして、シリンダ54の駆動で従動ローラ52を下降して、主動ローラ49と従動ローラ52間でワイヤ1a及び1bを挟み込む。そして、モータ48を駆動して主動ローラ49を図中7の矢印E方向に回転させて、ワイヤ1a及び1bにX+方向に進もうとする推力を与える。
このとき、ワイヤたわみ除去ユニット9の従動ローラ52を主動ローラ49に当て付ける力が、ワイヤ挿通送りユニット7a及び7bの従動ローラ20を主動ローラ16に当て付ける力よりも小さくなるように、ワイヤたわみ除去ユニット9の従動ローラ52を駆動するシリンダ54の推力を減圧弁により調整してあるために、ワイヤ挿通送りユニット7a及び7bの主動ローラ16と従動ローラ20で挟持されているワイヤ1a及び1bは、X+方向に前進することはない。
【0055】
次に、ワイヤ挿通送りユニット7a及び7bのモータ17を駆動し、主動ローラ16を図3中のC方向に回転させて、ワイヤ1a及び1bをワイヤ案内部材10へ送る。このとき、ワイヤ1a及び1bは、ワイヤ移動ユニット8a及び8bのワイヤ把持ヘッド35に形成された窓部38中を通過していく。
また、ワイヤたわみ除去ユニット9の主動ローラ52の回転スピードをワイヤ挿通送りユニット7a及び7bの主動ローラ16の回転スピードよりも速くしておく。
ワイヤ挿通送りユニット7a及び7bの主動ローラ16に対する従動ローラ20の当て付け力及び主動ローラ16の回転スピードと、ワイヤたわみ除去ユニット9の主動ローラ49に対する従動ローラ52の当て付け力及び主動ローラ49の回転スピードの差の作用で、ワイヤ1a及び1bはワイヤたわみ除去ユニット9の主動ローラ49と従動ローラ52間で滑るとともに、ワイヤ挿通送りユニット7a及び7bとワイヤ案内部材10間でたわみを防止する引っ張り力を発生させることができる。上述した作用でワイヤ1a及び1bは、たわみをキャンセルされながら可撓性管2の管内に挿通されていく。
ワイヤ1a及び1bは、制御手段13で管理された所定の長さ分をワイヤ挿通送りユニット7a及び7bで送られる。
【0056】
ワイヤ挿通送りユニット7a及び7bで所定量のワイヤ送りを終えると、ワイヤ挿通送りユニット7a及び7bの主動ローラ16を駆動するモータ17の回転を停止させる。そして、ワイヤ先端送りユニット6a及び6bのシリンダ21の駆動により従動ローラ20を前進させて、主動ローラ16と従動ローラ20間でワイヤ1a及び1bを挟み込む。そして、ワイヤ切断ユニット11a及び11bのシリンダ29の駆動により移動刃28を前進させて、固定刃24と移動刃28による剪断でワイヤ1a及び1bを切断する。
これにより、切断されたワイヤ1a及び1bのリール側は、前述したワイヤセッティング時と同様な状態となる。
【0057】
次に、ワイヤ移動ユニット8a及び8bのワイヤ把持ヘッド35のガイド付きシリンダ39を駆動して、切断されリール側から切り離されたワイヤ1a及び1b(以下、切断ワイヤ1a及び1bという)を固定板36と把持板41で把持する。そして、ワイヤ挿通送りユニット7a及び7bのシリンダ21の駆動により従動ローラ20を主動ローラ16から後退させて、ワイヤ挿通送りユニット7a及び7bによる切断ワイヤ1a及び1bの把持状態を開放する。
【0058】
次に、ワイヤ移動ユニット8a及び8bのアクチュエータ31の駆動によりワイヤ把持ヘッド35をX+方向に移動させて、切断ワイヤ1a及び1bの切断された端部がワイヤガイド22cの孔22eから引き出される位置までワイヤ把持ヘッド35を移動させる。
そして、ワイヤ移動ユニット8a及び8bのアクチュエータ33の駆動により、ワイヤ把持ヘッド35をワイヤ案内部材10の孔10bの延長線方向に移動させて、切断ワイヤ1a及び1bの間隔が図13に示した寸法L3となるようにする。
このワイヤ把持ヘッド35の移動中も、ワイヤたわみ除去ユニット9の主動ローラ49は回転を続けているとともに、ワイヤ移動ユニット8a及び8bの移動スピードをワイヤたわみ除去ユニット9でたわみを除去できるスピードに制御することで、切断ワイヤ1a及び1bのワイヤたわみの発生を防止している。
また、ワイヤ把持ヘッド35の切断ワイヤ1a及び1bの把持力は、ワイヤたわみ除去ユニット9でX+方向へワイヤ1a及び1bを引っ張る力よりも大きくなっており、ワイヤ把持ヘッド35で切断ワイヤ1a及び1bが滑ることはない。
【0059】
次に、ワイヤ移動ユニット8a及び8bのアクチュエータ31をX+方向に駆動することで、ワイヤ把持ヘッド35がワイヤたわみ除去ユニット9に干渉しない位置まで、ワイヤ把持ヘッド35を移動し、一旦停止させる。その後、ワイヤたわみ除去ユニット9のモータ48の駆動を停止するとともに、シリンダ54の駆動により従動ローラ52を上昇させて、主動ローラ49に対する従動ローラ52の当て付けを解除し、さらにシリンダ63の駆動によりガイドローラ57bをガイドローラ57aから離反させて切断ワイヤ1a及び1bの拘束状態を解く。そして、シリンダ47の駆動によりL板45をワイヤ案内部材10から離れる方向に移動させる。
【0060】
最後に、ワイヤ移動ユニット8a及び8bのアクチュエータ31をX+方向に駆動することで、可撓性管2の管内に切断ワイヤ1a及び1bの後端を挿入する。そして、ワイヤ把持ヘッド35のガイド付きシリンダ39の駆動で固定板36から把持板41を離反させてワイヤ把持状態を解除して、可撓性管2に対するワイヤ1a及び1bの挿通作業を終える。
【0061】
本実施の形態によれば、ワイヤのたわみを除去しながらワイヤ1a及び1bを可撓性管2内へ効率的に挿通することができる。
【0062】
また、制御手段13によりワイヤ1a及び1bの可撓性管2への送り量を制御可能であるため、ワイヤ1a及び1bを決められた長さにそろえることができる。
【0063】
また、ワイヤ1a及び1bは、ワイヤ挿通送りユニット7a及び7bによる挿通送り時に、常にワイヤ移動ユニット8a及び8bのワイヤ把持ヘッド35の窓部38中を通っているので、ワイヤ1a及び1bをワイヤ切断ユニット11a及び11bで切断した後も、切断ワイヤ1a及び1bを容易に把持することができる。
【0064】
また、ワイヤたわみ除去ユニット9のワイヤ拘束部材56でワイヤ1a及び1bを拘束できるので、ワイヤ1a及び1bがワイヤたわみ除去ユニット9の主動ローラ49から脱落することを防止できる。
【0065】
また、ワイヤたわみ除去ユニット9の従動ローラ52の主動ローラ49に対する当て付け力を調整できるので、ワイヤたわみ除去ユニット9でワイヤ1a及び1bを送ってしまうことなく、たわみを除去する引っ張り力のみを発生させることができる。
【0066】
なお、上記した具体的実施の形態から次のような構成の技術的思想が導き出される。
(付記)
(1)小径の管内に2本のワイヤを挿通するワイヤ挿通装置において、ワイヤを管内に送る2つのワイヤ挿通送り手段と、前記ワイヤ挿通送り手段までワイヤを送る2つのワイヤ先端送り手段と、ワイヤを把持して移動させる2つのワイヤ移動手段と、ワイヤの送り方向と直角に進退可能で前記ワイヤ挿通送り手段によるワイヤ送り時にワイヤのたわみを除去するワイヤたわみ除去手段と、ワイヤを小径の管内に導くワイヤ案内手段と、前記ワイヤ挿通送り手段及び前記ワイヤ先端送り手段の間に位置して2本のワイヤを切断する2つのワイヤ切断手段と、を具備したことを特徴とするワイヤ挿通装置。
【0067】
(2)小径の管内に2本のワイヤを挿通するワイヤ挿通装置において、2本のワイヤをそれぞれ管内に送る2つのワイヤ挿通送り手段と、前記ワイヤ挿通送り手段の後方に配置され、前記ワイヤ挿通送り手段まで2本のワイヤをそれぞれ送る2つのワイヤ先端送り手段と、前記ワイヤ挿通手段の前方に配置され、2本のワイヤをそれぞれ把持して移動させる2つのワイヤ移動手段と、前記ワイヤ移動手段の前方で2本のワイヤの送り方向と直角に進退可能に配置され、前記ワイヤ挿通送り手段によるワイヤ送り時に2本のワイヤのたわみを除去するワイヤたわみ除去手段と、前記ワイヤたわみ除去手段の前方に配置され、2本のワイヤを同時に小径の管内へ導くワイヤ案内手段と、前記ワイヤ挿通送り手段と前記ワイヤ先端送り手段の間に配置され、2本のワイヤをそれぞれ切断する2つのワイヤ切断手段と、を具備したことを特徴とするワイヤ挿通装置。
【0068】
(3)前記2つのワイヤ挿通送り手段と、2つのワイヤ先端送り手段と、2つのワイヤ移動手段と、2つのワイヤ切断手段は、それぞれワイヤの送り方向に対して直角方向に対向させて配置したことを特徴とする付記(1)または(2)記載のワイヤ挿通装置。
【0069】
(4)前記ワイヤ挿通送り手段と、ワイヤ先端送り手段と、ワイヤたわみ除去手段は、ワイヤを把持して送る一対の把持部材を相対的に接近及び離反可能に設けたことを特徴とする付記(1)または(2)記載のワイヤ挿通装置。
【0070】
(5)前記把持部材は、対向配置した一対のローラからなり、ローラの回転によりワイヤを送ることを特徴とする付記(4)記載のワイヤ挿通装置。
【0071】
(6)前記ワイヤ移動ユニットは、ワイヤを把持しかつその開放可能なワイヤ把持ヘッドを設けたことを特徴とする付記(1)または(2)記載のワイヤ挿通装置。
【0072】
(7)前記ワイヤ把持ヘッドは、ワイヤの送り方向に進退可能およびワイヤの送り方向に対して直角に移動可能であることを特徴とする付記(6)記載のワイヤ挿通装置。
【0073】
(8)前記ワイヤたわみ除去手段は、ワイヤの把持力調整機能を設けて前記ワイヤ挿通送り手段によるワイヤ把持力より弱くするとともに、ワイヤ送り速度を前記ワイヤ挿通送り手段のワイヤ送り速度より速くし、ワイヤのたわみを除去することを特徴とする付記(1)または(2)記載のワイヤ挿通装置。
【0074】
(9)前記ワイヤたわみ除去手段は、ワイヤの把持部材の後方に、ワイヤの左右方向の移動を拘束するワイヤ拘束部材を設けたことを特徴とする付記(1)または(2)記載のワイヤ挿通装置。
【0075】
(10)前記ワイヤ拘束部材は、一対のガイドローラを備え、一方のガイドローラを所定位置に配置するとともに、他方のガイドローラを前記一方のガイドローラに対して接近及び離反可能に設けたことを特徴とする付記(9)記載のワイヤ挿通装置。
【0076】
(11)前記ワイヤ案内手段は、小径の管をワイヤの送り方向に沿って保持する管保持部を設けたことを特徴とする付記(1)または(2)記載のワイヤ挿通装置。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1のワイヤ挿通装置によれば、2つのワイヤ移動手段と、ワイヤ案内部材との間に配置した2つのワイヤたわみ除去手段によって、2本のワイヤのたわみを確実に除去し、また、切断手段により挿入寸法にそろえ、さらに、2本のワイヤの間隔調整も行って同時に小径の管内に効率的に挿通できるとともに、不要ワイヤを発生させることなく連続的にワイヤを挿通することができる。
【0078】
本発明の請求項2のワイヤ挿通装置によれば、ワイヤ挿通装置にセットするワイヤを各々巻回した2つのワイヤボビンから直接ワイヤを引き出し小径の管内へ挿通することが簡略となる。
【0079】
本発明の請求項3のワイヤ挿通装置によれば、ワイヤたわみ除去手段においてワイヤを滑らせ、ワイヤ挿通送り手段とワイヤ案内手段間でたわみを防止する引っ張り力を発生させて確実にワイヤのたわみを除去することができる。
【0080】
本発明の請求項4のワイヤ挿通装置によれば、2本のワイヤを2つのワイヤ移動手段における前記窓部、把持板、固定板により把持し、位置規制することができ、切断後のワイヤを確実に小径の管内に挿通することができる。
【0081】
本発明の請求項5のワイヤ挿通装置によれば、不要ワイヤを出すことなく連続的にワイヤを管に挿通することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のワイヤ挿通装置の全体を概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1のワイヤ挿通装置で挿通されるワイヤの状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1のワイヤ挿通装置に備えたワイヤ先端送りユニット、ワイヤ挿通送りユニット及びワイヤ切断ユニットを概略的に示す拡大斜視図である。
【図4】ワイヤガイドを図3の矢印a方向から見た断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1のワイヤ挿通装置に備えたワイヤ移動ユニットを概略的に示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態1のワイヤ挿通装置に備えたワイヤ移動ユニットのワイヤ把持ヘッド部を示す拡大斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態1のワイヤ挿通装置に備えたワイヤたわみ除去ユニットおよびワイヤ案内部材を概略的に示す斜視図である。
【図8】ワイヤ除去ユニットを図7の矢印b方向から見た正面図である。
【図9】ワイヤ除去ユニットを図7の矢印c方向から見た右側面図である。
【図10】ワイヤたわみ除去ユニットのワイヤ拘束部材を図7の矢印d方向から見た左側面図である。
【図11】本発明の実施の形態1のワイヤ挿通装置に備えたワイヤ案内部材を図7の矢印b方向から見た断面図である。
【図12】ワイヤ挿通送りユニットのワイヤガイドから突き出したワイヤを示す正面図である。
【図13】ワイヤ案内部材にワイヤの挿入を開始する直前の状態を示す上面から見た断面図である。
【図14】ワイヤの先端が可撓性管に挿入された状態を示す正面から見た断面図である。
【図15】内視鏡用処置具を概略的に示す平面図である。
【図16】従来技術におけるワイヤの挿入工程を示す平面図である。
【図17】従来技術におけるワイヤの挿入工程を示す平面図である。
【符号の説明】
1a,1b ワイヤ
2 可撓性管
5 ワイヤ挿通装置
6a,6b ワイヤ先端送りユニット
7a,7b ワイヤ挿通送りユニット
8a,8b ワイヤ移動ユニット
9 ワイヤたわみ除去ユニット
10 ワイヤ案内部材
11a,11b ワイヤ切断ユニット
13 制御手段
16,49 主動ローラ
20,52 従動ローラ
24 固定刃
28 移動刃
35 ワイヤ把持ヘッド
37 ワイヤ規制板
54 シリンダ
56 ワイヤ拘束部材
57a,57b ガイドローラ

Claims (5)

  1. 小径の管内に2本のワイヤを挿通するワイヤ挿通装置において、
    2本のワイヤをそれぞれくぼみ形状孔及び挿通孔を有するワイヤ案内部材により保持される管に向けて送る2つのワイヤ挿通送り手段と、
    前記ワイヤ挿通送り手段まで2本のワイヤをそれぞれ送る2つのワイヤ先端送り手段と、
    2つのワイヤ挿通送り手段とワイヤ案内部材との間に配置され、2本のワイヤをそれぞれ把持するとともに2本のワイヤの間隔調整及び前記ワイヤ案内部材により保持される管内への送り込みを行う2つのワイヤ移動手段と、
    回転駆動される主動ローラと、ワイヤの送り方向と直角方向に移動し主動ローラとの間でワイヤを挟む状態で接近又は離反し、かつ、主動ローラに対する当て付け力を調整可能に構成した従動ローラとを具備し、2つのワイヤ移動手段による2本のワイヤの管内への送り込み時に、2本のワイヤのたわみを同時に除去する2つのワイヤたわみ除去手段と、
    前記ワイヤ挿通送り手段及び前記ワイヤ先端送り手段の間に位置して2本のワイヤをそれぞれ前記管への挿入長に応じて切断する2つのワイヤ切断手段と、
    を具備したことを特徴とするワイヤ挿通装置。
  2. 前記2本のワイヤは、2つのワイヤ先端送り手段から2つのワイヤたわみ除去手段まで離れて移動することを特徴とする請求項1記載のワイヤ挿通装置。
  3. 前記ワイヤたわみ除去手段によるワイヤの送りスピードをワイヤ挿通送り手段によるワイヤの送りスピードよりも速くしていることを特徴とする請求項1記載のワイヤ挿通装置。
  4. 前記2つのワイヤ移動手段は、ワイヤ移動方向に沿って設けた固定板の端部と、ワイヤ移動方向と直交する方向に配置したワイヤ規制板に設けた切り欠き溝との間で形成される窓部と、前記固定板に対向させて上記窓部の高さ位置に対向配置されるとともに固定板に接近及び離反可能に構成した把持板と、を有し、
    前記窓部内にワイヤを通過させ、把持板と固定板とにより2本のワイヤをそれぞれ把持するとともに2本のワイヤの間隔調整及び前記ワイヤ案内部材により保持される管内への送り込みを行うことを特徴とする請求項1記載のワイヤ挿通装置。
  5. 前記2つのワイヤ挿通送り手段によるワイヤの送り量は制御手段により所定量に管理され、前記2つのワイヤ切断手段は、所定量分のワイヤが送られたところで当該ワイヤを各々切断することを特徴とする請求項1記載のワイヤ挿通装置。
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