JP4225260B2 - グラビアロール、グラビア印刷機および積層セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、グラビアロール、グラビア印刷機およびこれを用いて実施される積層セラミック電子部品の製造方法に関するもので、特に、グラビア印刷によって形成されるペースト膜の輪郭の直線性を向上させるための技術に関するものである。
積層セラミックコンデンサのような積層セラミック電子部品を製造するため、たとえば、内部電極となる導電性ペースト膜をセラミックグリーンシート上に形成する工程が実施される。この導電性ペースト膜によって与えられる内部電極は、高いパターン精度を有していることが要求される。この要求を満たし得る技術として、グラビア印刷が注目されている(たとえば、特許文献1参照)。
特許文献1では、グラビア印刷によって形成されたペースト膜の外周部分での厚みを均一化することを目的として、グラビアロールの周面上に形成される、印刷ペーストが付与される画線部において形成される複数個のセルについて、外周部におけるセルの開口面積を、中央部におけるセルの開口面積よりも小さくし、かつ、外周部におけるセルの深さを、中央部におけるセルの深さよりも浅くしたものが記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、画線部に形成される複数個のセルは互いに独立しているため、画線部全体の面積に対するセルの部分の面積の比率が比較的低く、また、印刷時において、隣り合うセル間での印刷ペーストの流動が生じ得ないため、特に、比較的広い面積のペースト膜を形成するための印刷には不向きであり、印刷むらが生じやすい。
上述した問題を解決し得るものとして、電子部品の分野での適用を意図したものではないが、画線部に形成される複数個のセルを規定する土手を、印刷方向に対して斜めに延びるように配置するとともに、セルを隣り合うものの間で連通状態とするため、各セルを区画する土手において切欠きが設けられたものが提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
上述の特許文献2に記載の技術によれば、画線部全体の面積に対する印刷ペーストを保持し得る領域(すなわち、セルおよび切欠き)の面積の比率を高めることができ、また、切欠きを通しての印刷ペーストの流動を期待できる。
しかしながら、特許文献2に記載の技術では、画線部に形成される複数個のセルを規定する土手が、印刷方向に対して斜め方向に延びるように配置されているので、被印刷シートがグラビアロールから離れるときの印刷ペーストのいわゆる糸引きが、印刷方向すなわちグラビアロールの周面の移動方向に対して斜め方向に発生し、この糸引きは、印刷されたペースト膜の周縁部において途切れることが多い。
上述のように、糸引きが、印刷されたペースト膜の周縁部において途切れると、まず、ペースト膜の輪郭において凹凸が生じ、輪郭の直線性が低下することがある。
また、糸引きがペースト膜の周縁部において途切れると、ペースト膜の周縁部での印刷ペーストの転写量が必要以上に多くなることがある。その結果、ペースト膜の周縁部が中央部よりも厚くなる、いわゆる「サドル現象」が生じやすい。
また、糸引き状態の印刷ペーストは、印刷時において、ランダムに途切れたり合流したりする。その結果、ペースト膜の表面に凹凸が発生し、平滑なペースト膜が形成されないことがある。
以上のような問題は、印刷ペーストとして、通常のグラビア印刷用インキに比べて、たとえば導電性ペーストのように金属コンテントが高く、それゆえ高粘度であるものが用いられたとき、さらには、通常のグラビア印刷によるインク膜に比べて、たとえば内部電極となるべき導電性ペースト膜のようにペースト膜が厚く形成されなければならないとき、より顕著に現れる。
特開平9−76459号公報 実公平5−41015号公報
そこで、この発明の目的は、上述のような問題を解決し得る、グラビアロール、グラビア印刷機およびこれを用いて実施される積層セラミック電子部品の製造方法を提供しようとすることである。
この発明は、積層セラミック電子部品に備える積層構造物の一部をなす内部電極またはセラミック層となるべきペースト膜を被印刷シート上にグラビア印刷によって形成するためのグラビア印刷機にまず向けられる。
このグラビア印刷機は、ペースト膜を与える導電性ペーストまたはセラミックスラリーからなる印刷ペーストが付与される画線部をその周面上に形成しているグラビアロールを備えている。
このような構成を備えるグラビア印刷機において、前述した技術的課題を解決するため、次のような構成を備えることを特徴としている。
すなわち、画線部には、印刷方向に対して斜め方向に延びる複数本の斜め方向土手と斜め方向土手に沿う印刷ペーストの流動をせき止める方向に延びる複数本のせき止め方向土手とが設けられるとともに、斜め方向土手とせき止め方向土手とによって区画された、複数個のセルが形成される。
また、隣り合う斜め方向土手は、互いに略平行に延び、かつ、斜め方向土手は、一方向に延びている部分については連続的に延びており、せき止め方向土手には、印刷方向に隣り合うセル間を連通状態とするための切欠きが設けられている。
上述の斜め方向土手は、印刷方向に見て、画線部の一方側縁から中央部に向かうように延びる第1の斜め方向土手と、画線部の他方側縁から中央部に向かうように延びる第2の斜め方向土手とを備えることが好ましい。
この発明に係るグラビア印刷機において、斜め方向土手は、印刷方向に対して5度〜30度の角度をなす方向に延びていることが好ましい。
この発明は、また、上述のようなグラビア印刷機を用いて実施される積層セラミック電子部品の製造方法にも向けられる。この発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法は、印刷ペーストとして導電性ペーストまたはセラミックスラリーが用いられ、被印刷シートとしてのセラミックグリーンシートまたはキャリアフィルム上に、ペースト膜としての内部電極となる導電性ペースト膜またはセラミック層を形成する工程を備えることを特徴としている。
この発明は、さらに、積層セラミック電子部品に備える積層構造物の一部をなす内部電極またはセラミック層となるべきペースト膜を被印刷シート上にグラビア印刷によって形成するためのグラビア印刷機に備える、グラビアロールにも向けられる。この発明に係るグラビアロールは、ペースト膜を与える導電性ペーストまたはセラミックスラリーからなる印刷ペーストが付与される画線部をその周面上に形成しており、画線部には、印刷方向に対して斜め方向に延びる複数本の斜め方向土手と斜め方向土手に沿う印刷ペーストの流動をせき止める方向に延びる複数本のせき止め方向土手とが設けられるとともに、斜め方向土手とせき止め方向土手とによって区画された、複数個のセルが形成され、隣り合う斜め方向土手は、互いに略平行に延び、斜め方向土手は、一方向に延びている部分については連続的に延びており、せき止め方向土手には、印刷方向に隣り合うセル間を連通状態とするための切欠きが設けられていることを特徴としている。
この発明に係るグラビア印刷機によれば、グラビアロールの周面上に形成される画線部には、互いに略平行に延びる複数本の斜め方向土手が設けられ、これら斜め方向土手の一方向に延びている部分については連続的に延びるようにされ、また、せき止め方向土手には、印刷方向に隣り合うセル間を連通状態とするための切欠きが設けられているので、印刷時において、印刷ペーストの流れを、画線部の一方側縁から他方側縁に向かうようにすることができる。その結果、画線部の少なくとも一方側縁に対応するペースト膜の少なくとも一方側縁側の輪郭の直線性を向上させることができる。
なお、画線部の他方側縁に対応するペースト膜の他方側縁側では、必ずしも、輪郭の直線性は保証されないが、このような他方側縁側の輪郭の直線性が要求されない分野であれば、問題なく適用することができる。
また、この発明によれば、画線部の少なくとも一方側縁に対応するペースト膜の少なくとも一方側縁側での「サドル現象」を生じさせにくくすることができる。
また、印刷時において、糸引き状態の印刷ペーストがランダムに途切れたり合流したりすることがないので、ペースト膜の表面の平滑性を向上させることができる。
この発明に係るグラビア印刷機において、斜め方向土手として、印刷方向に見て、画線部の一方側縁から中央部に向かうように延びる第1の斜め方向土手と、画線部の他方側縁から中央部に向かうように延びる第2の斜め方向土手とが設けられていると、印刷時において、画線部の両側縁から中央部に向かって印刷ペーストが流れるので、画線部の両側縁に対応するペースト膜の両側縁について、その輪郭の直線性を向上させることができるとともに、「サドル現象」を生じさせにくくすることができる。
なお、上述の好ましい実施態様では、印刷時において、印刷ペーストが画線部の両側縁から中央部に向かって流れるため、画線部の中央部に対応するペースト膜の中央部での厚みの増加がもたらされることがある。しかしながら、ペースト膜の中央部での厚みは、第1の斜め方向土手と第2の斜め方向土手との間隔を変更したり、中央部に位置するせき止め方向土手の大きさを変更したりすることによって、調整することが可能である。したがって、ペースト膜の厚みを中央部と両側縁部とで実質的に均等にすることは比較的容易である。
以上のようなことから、この発明に係るグラビア印刷機は、通常のグラビア印刷において適用される印刷用インクに比べて粘度が高く、また、通常のグラビア印刷において形成されるインク膜より厚くなる、導電性ペーストまたはセラミックスラリーを印刷する場合に有利に適用される。すなわち、印刷ペーストとして導電性ペーストまたはセラミックスラリーが用いられ、ペースト膜が、積層電子部品の内部電極となる導電性ペースト膜またはセラミック層であるとき、この発明に係るグラビア印刷機が特に有利に適用される。
この発明において、斜め方向土手の延びる方向については、印刷方向に対して5度〜30度の角度をなす方向に延びるようにされると、粘度の高い導電性ペーストまたはセラミックスラリーが印刷ペーストとして用いられても、印刷時において、印刷ペーストに対して円滑な流動を生じさせることができる。
この発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法によれば、この発明に係るグラビア印刷機を用いて内部電極となる導電性ペースト膜またはセラミック層を形成するようにしているので、輪郭の直線性に優れ、かつ平滑で厚みの均一な導電性ペースト膜またはセラミック層を得ることができる。したがって、製造された積層セラミック電子部品において、特性のばらつきを抑えること、たとえば積層セラミックコンデンサにあっては静電容量のばらつきを抑えることができ、また、ショート不良を引き起こしたり、絶縁抵抗不良を引き起こしたりすることを防止でき、それゆえ、良好な品質の積層セラミック電子部品を、高い歩留まりをもって製造することができる。
図1は、この発明の第1の実施形態によるグラビア印刷機1を概略的に示す正面図である。
グラビア印刷機1は、グラビアロール2と、グラビアロール2に対して、被印刷シート3を挟んで対向する圧胴4とを備えている。これらグラビアロール2および圧胴4は、それぞれ、矢印5および6方向に回転し、それによって、被印刷シート3は矢印7方向へ搬送される。なお、グラビア平版印刷機の場合のように、圧胴を備えないグラビア印刷機もあり得る。
グラビア印刷機1は、たとえば積層セラミックコンデンサのような積層セラミック電子部品を製造するために用いられるものである。より特定的には、グラビア印刷機1は、積層セラミック電子部品に備える積層構造物の一部をなすパターニングされた層となるべきペースト膜を被印刷シート3上にグラビア印刷によって形成するために用いられる。より具体的には、図2に示すように、セラミックグリーンシート8上に、パターニングされた内部電極となるべき導電性ペースト膜9がグラビア印刷によって形成される。
セラミックグリーンシート8は、図2に示すように、キャリアフィルム10によって裏打ちされた状態にある。したがって、図1に示した被印刷シート3は、このようにキャリアフィルム10によって裏打ちされたセラミックグリーンシート8である。
グラビアロール2は、図1に示すように、タンク11内に収容された導電性ペースト12内に浸漬され、それによって、グラビアロール2の周面上に形成された複数個の画線部13(その一部が概略的に図示されている。)に導電性ペースト12が付与される。画線部13の詳細については、後述する。なお、グラビアロール2への導電性ペースト12の供給は、導電性ペースト12をグラビアロール2に向かって射出するなどの方法によってもよい。グラビアロール2の周面上の余分な導電性ペースト12は、ドクターブレード14によって掻き取られる。
画線部13は、その代表的なもののみが図3に概略的に図示されているように、図2に示した導電性ペースト膜9のパターンに対応するパターンを有している。この実施形態では、画線部13の長手方向がグラビアロール2の周方向に向くようにされている。
図4は、1個の画線部13を拡大して示す、グラビアロール2の周面の展開図である。図4において、印刷方向が矢印15で示されているが、この印刷方向15は、図1に示した矢印5に対応している。
より詳細には、画線部13の図4における上端側が印刷始端側であり、下端側が印刷終端側である。したがって、印刷工程において、画線部13の、被印刷シート3に接触する領域は、図4における上端側から下端側へとその位置を変える。また、この実施形態では、ドクターブレード14による、グラビアロール2の周面上での導電性ペースト12の掻き取り方向は、上述した印刷方向15と同じである。
画線部13には、印刷方向15に対して斜め方向に延びる複数本の斜め方向土手21および22と斜め方向土手21および22に沿う導電性ペースト12の流動をせき止める方向に延びる複数本のせき止め方向土手23とが設けられる。そして、斜め方向土手21および22とせき止め方向土手23とによって区画された、複数個のセル24が形成される。
斜め方向土手21および22は、印刷方向15に見て、画線部13の一方側縁すなわち第1の側縁25から中央部に向かうように延びる第1の斜め方向土手21と、画線部13の他方側縁すなわち第2の側縁26から中央部に向かうように延びる第2の斜め方向土手22とに分類される。
斜め方向土手21および22の各々の隣り合うものは、互いに略平行に延びている。また、斜め方向土手21および22は、それぞれ、側縁25および26から中央部に至るまで、すなわち一方向に延びている部分については、連続的に延びている。
斜め方向土手21および22の各々の延びる方向が、印刷方向15に対してなす角度θは、5度〜30度の範囲内になるように選ばれることが好ましい。これによって、一般の印刷用インクに比べて高い、たとえば0.1〜40Pa・sといった粘度を有する導電性ペースト12であっても、これを、印刷工程において、斜め方向土手21および22に沿って円滑に流動させることができ、また、ドクターブレード14によって掻き取りながら、導電性ペースト12を画線部13の全域に円滑に供給することができる。
なお、この角度θは、これを変えることによって、印刷された導電性ペースト膜19における輪郭の直線性や「サドル現象」の生じ方を制御することができる。
せき止め方向土手23には、印刷方向15に隣り合うセル24間を連通状態とするための切欠き27が設けられている。この実施形態では、切欠き27は、各セル24の対角線方向に対向する2つの角の部分に位置している。このように切欠き27の位置を選ぶことにより、グラビアロール2の周面上の余分な導電性ペースト12をドクターブレード14によって掻き取ったときに、不所望にも、各セル24内に留めるべき導電性ペースト12までを掻き出してしまい、そのため、導電性ペースト膜9が部分的に薄くなってしまうことを有利に防止することができる。
斜め方向土手21および22の各々とせき止め方向土手23とは、互いに交差する交差部分28を形成しているが、この交差部分28は、せき止め方向土手23が斜め方向土手21および22の各々に対して貫通して「x」字状をなすのではなく、図4に示すように貫通せずに「y」字状をなすようにされることが好ましい。これによって、各セル24が与える開口部の分布状態に関して、より均一化を図ることができ、印刷された導電性ペースト膜9の表面の平滑化に寄与させることができる。
また、図4における下端側に相当する印刷終端側では、せき止め方向土手23(A)は、その幅をより広くすることが好ましい。これによって、「サドル現象」をより生じさせにくくすることができる。
以上のように、この実施形態によれば、印刷工程において、斜め方向土手21および22によって、導電性ペースト12の流れを、第1および第2の側縁25および26の各々から中央部に向かうようにすることができる。したがって、印刷された導電性ペースト膜9において、その両側縁での輪郭の直線性を向上させることができるとともに、「サドル現象」を生じさせにくくすることができ、また、導電性ペースト膜9の表面の平滑性を向上させることができる。
なお、上述したように、印刷工程において、第1および第2の側縁25および26の各々から中央部に向かって導電性ペースト12が流れるため、印刷された導電性ペースト膜9は、中央部において、より厚くなりやすい。しかしながら、中央部に位置するせき止め方向土手23(B)の大きさや第1および第2の斜め方向土手21および22間の間隔29を調整することによって、導電性ペースト膜9の中央部における厚みを容易に制御することができ、その結果、導電性ペースト膜9を一様な厚みとすることができる。
上述した第1の実施形態において、一例として、斜め方向土手21および22ならびにせき止め方向土手23の各幅は、5〜20μmとされ、切欠き27の間隔は、20〜40μmとされ、角度θは、25度とされる。また、使用される導電性ペースト12の粘度は、0.1〜40Pa・sとされ、印刷される導電性ペースト膜9の厚みは、0.5〜2μmとされ、印刷速度は、15m/分とされる。
以上のような第1の実施形態に関連して、次のような変形も可能である。なお、これらの変形は、後述する他の実施形態に対しても適用することができる。
たとえば、図4に示したせき止め方向土手23は、印刷方向15に対して直交する方向に延びているが、せき止め方向土手23と斜め方向土手21および22の各々とがなす角度は、±45度の範囲で変更することができる。
また、1個の画線部13内において、第1の斜め方向土手21間の間隔、第2の斜め方向土手22間の間隔およびせき止め方向土手23間の間隔は、場所によって異ならされてもよい。
また、斜め方向土手21および22ならびにせき止め方向土手23の各々の延びる方向についても、1個の画線部13内において、場所によって異ならされてもよい。
また、図4からわかるように、画線部13における斜め方向土手21および22ならびにせき止め方向土手23の配置は、画線部13における印刷方向13に向く中心線を対称軸として対称となるようにされたが、非対称であってもよい。もちろん、画線部13は、図4に示すような長方形である場合に限らず、グラビア印刷によって形成されるべき導電性ペースト膜9のパターンに応じて、その形状を任意に変更することができる。
図5および図6は、それぞれ、この発明の第2および第3の実施形態を説明するためのもので、図4に示した第1の斜め方向土手21の一部およびそれに関連して設けられるせき止め方向土手23をさらに拡大して示す図である。図5および図6において、図4に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図5に示した第2の実施形態では、交差部分28における斜め方向土手21とせき止め方向土手23とが互いに交差する角の部分には、丸みによる面取り31が付されている。また、切欠き27に向かうせき止め方向土手23の先端部にも、丸みによる面取り32が付されている。
図6に示した第3の実施形態では、交差部分28における斜め方向土手21とせき止め方向土手23とが互いに交差する角の部分には、斜面による面取り33が付されている。また、切欠き27に向かうせき止め方向土手23の先端部にも、斜面による面取り34が付されている。
これら図5および図6にそれぞれ示した第2および第3の実施形態によれば、画線部13において、隣り合うセル24間での導電性ペースト12の流れがより円滑に生じ、また、糸引きについても、より円滑に生じるようにすることができるので、印刷された導電性ペースト膜9の平滑性の向上に寄与する。また、画線部13の清掃を容易にするという効果も期待できる。
図7は、この発明の第4の実施形態を説明するための図4に相当する図である。図7において、図4に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図7に示した第4の実施形態では、図4に示した第1の実施形態の場合と比較して、第1および第2の斜め方向土手21および22がより近接して配置されている。その結果、特に画線部13の中央部において、斜め方向土手21および22ならびにせき止め方向土手23の配置の形態および密度が、図4に示した第1の実施形態の場合と異なっている。
この実施形態は、画線部13の中央部に対応する導電性ペースト膜9の中央部における厚みをコントロールしたいときに採用される。
図8は、この発明の第5の実施形態を説明するための図4に相当する図である。図8において、図4に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図8に示した第5の実施形態では、画線部13において、斜め方向土手として、印刷方向15に見て、第1の側縁25から第2の側縁26に向かうように延びる斜め方向土手41のみが設けられていることを特徴としている。
この実施形態によれば、印刷工程において、導電性ペースト12の流れを第1の側縁25から第2の側縁26に向かうようにすることができ、第1の側縁25に対応する導電性ペースト膜9の一方側縁側の輪郭の直線性を向上させることができる。第2の側縁26に対応する導電性ペースト膜9の他方側縁側の輪郭については、その直線性が必ずしも保証されないが、この他方側縁側では厳密な直線性が要求されない用途であれば、この実施形態を問題なく適用することができる。
以上、この発明を図示した実施形態に関連して説明したが、この発明の範囲内において、その他、種々の変形例が可能である。
たとえば、図示の実施形態では、被印刷シート3が、キャリアフィルム10によって裏打ちされたセラミックグリーンシート8であり、導電性ペースト膜9がセラミックグリーンシート8上に形成されたが、たとえばキャリアフィルム10のような樹脂シートのみを被印刷シート3として用い、この樹脂シート上に導電性ペースト膜を形成するようにしてもよい。この場合には、樹脂シート上に形成された導電性ペースト膜は、その後の工程において、セラミックグリーンシート8上に転写されたり、あるいは、導電性ペースト膜が形成された樹脂シートをキャリアフィルムとして、その上でセラミックグリーンシートが成形されることになる。
また、図示の実施形態では、グラビア印刷によって形成されるペースト膜が導電性ペースト膜9であったが、たとえば、セラミックスラリーのようなペースト状のものからなる膜であってもよい。より具体的には、たとえば積層セラミックコンデンサなどにおいて、内部電極の厚みによる段差を吸収するため、内部電極が形成されない領域に段差吸収用のセラミック層が形成されることがあるが、このようなセラミック層となるべきセラミックスラリーからなるペースト膜を形成しようとする場合にも、この発明を適用することができる。
この発明の第1の実施形態によるグラビア印刷機1を概略的に示す正面図である。 図1に示したグラビア印刷機1によって、被印刷シート3としてのキャリアフィルム10によって裏打ちされたセラミックグリーンシート8上に導電性ペースト膜9が形成された状態を示す断面図である。 図1に示したグラビアロール2を単独で示す斜視図である。 図3に示した1個の画線部13を拡大して示す、グラビアロール2の周面の展開図である。 この発明の第2の実施形態を説明するためのものであり、斜め方向土手21の一部およびそれに関連するせき止め方向土手23をさらに拡大して示す図である。 この発明の第3の実施形態を説明するためのものであり、斜め方向土手21の一部およびそれに関連するせき止め方向土手23をさらに拡大して示す図である。 この発明の第4の実施形態を説明するための図4に相当する図である。 この発明の第5の実施形態を説明するための図4に相当する図である。
符号の説明
1 グラビア印刷機
2 グラビアロール
3 被印刷シート
8 セラミックグリーンシート
9 導電性ペースト膜
12 導電性ペースト
13 画線部
15 印刷方向
21,22,41 斜め方向土手
23 せき止め方向土手
24 セル
25,26 側縁
27 切欠き

Claims (5)

  1. 積層セラミック電子部品に備える積層構造物の一部をなす内部電極またはセラミック層となるべきペースト膜を被印刷シート上にグラビア印刷によって形成するためのグラビア印刷機であり、
    前記ペースト膜を与える導電性ペーストまたはセラミックスラリーからなる印刷ペーストが付与される画線部をその周面上に形成しているグラビアロールを備え、
    前記画線部には、印刷方向に対して斜め方向に延びる複数本の斜め方向土手と前記斜め方向土手に沿う前記印刷ペーストの流動をせき止める方向に延びる複数本のせき止め方向土手とが設けられるとともに、前記斜め方向土手と前記せき止め方向土手とによって区画された、複数個のセルが形成され、
    隣り合う前記斜め方向土手は、互いに略平行に延び、
    前記斜め方向土手は、一方向に延びている部分については連続的に延びており、
    前記せき止め方向土手には、印刷方向に隣り合う前記セル間を連通状態とするための切欠きが設けられている、
    グラビア印刷機。
  2. 前記斜め方向土手は、印刷方向に見て、前記画線部の一方側縁から中央部に向かうように延びる第1の斜め方向土手と、前記画線部の他方側縁から中央部に向かうように延びる第2の斜め方向土手とを備える、請求項1に記載のグラビア印刷機。
  3. 前記斜め方向土手は、印刷方向に対して5度〜30度の角度をなす方向に延びている、請求項1または2に記載のグラビア印刷機。
  4. 請求項1ないしのいずれかに記載のグラビア印刷機を用いて実施されるものであり、前記印刷ペーストとして導電性ペーストまたはセラミックスラリーが用いられ、前記被印刷シートとしてのセラミックグリーンシートまたはキャリアフィルム上に、前記ペースト膜としての内部電極となる導電性ペースト膜またはセラミック層を形成する工程を備える、積層セラミック電子部品の製造方法。
  5. 積層セラミック電子部品に備える積層構造物の一部をなす内部電極またはセラミック層となるべきペースト膜を被印刷シート上にグラビア印刷によって形成するためのグラビア印刷機に備える、グラビアロールであって、
    前記ペースト膜を与える導電性ペーストまたはセラミックスラリーからなる印刷ペーストが付与される画線部をその周面上に形成しており、
    前記画線部には、印刷方向に対して斜め方向に延びる複数本の斜め方向土手と前記斜め方向土手に沿う前記印刷ペーストの流動をせき止める方向に延びる複数本のせき止め方向土手とが設けられるとともに、前記斜め方向土手と前記せき止め方向土手とによって区画された、複数個のセルが形成され、
    隣り合う前記斜め方向土手は、互いに略平行に延び、
    前記斜め方向土手は、一方向に延びている部分については連続的に延びており、
    前記せき止め方向土手には、印刷方向に隣り合う前記セル間を連通状態とするための切欠きが設けられている、
    グラビアロール。
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