JP4225265B2 - グラビアロール、グラビア印刷機および積層セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、グラビアロール、グラビア印刷機およびこれを用いて実施される積層セラミック電子部品の製造方法に関するもので、特に、グラビア印刷によって形成されるペースト膜の表面の平滑性を向上させかつ厚膜化を図るための技術に関するものである。
積層セラミックコンデンサのような積層セラミック電子部品を製造するため、たとえば、内部電極となる導電性ペースト膜をセラミックグリーンシート上に形成する工程が実施される。この導電性ペースト膜によって与えられる内部電極は、高いパターン精度を有していることが要求される。この要求を満たし得る技術として、グラビア印刷が注目されている(たとえば、特許文献1参照)。
特許文献1では、グラビア印刷機に備えるグラビアロールの周面上に形成された画線部として、印刷方向に対して略平行方向に延びる複数本の印刷方向土手と印刷方向に対して略垂直方向に延びる複数本の垂直方向土手とによって区画された、複数個のセルが形成されているものが開示されている。
また、内部電極を形成するために用いられる導電性ペーストは、その粘度が比較的高いため、印刷工程において、被印刷シートがグラビアロールから離れるとき、導電性ペーストのいわゆる糸引きが生じやすい。このような糸引きは、通常、印刷方向土手に沿って生じる。
しかしながら、特許文献1に記載のもののように、画線部において印刷方向土手および垂直方向土手の双方が形成されている場合、糸引きは、印刷方向土手に沿って生じるだけでなく、垂直方向土手に沿っても生じるようになる。この垂直方向土手に沿って生じた糸引きは、印刷方向土手に沿って生じた糸引きと重なる。その結果、上述のように糸引きが重なった状態で被印刷シート上に導電性ペーストが転写されることになるので、形成された導電性ペースト膜の表面の平滑性が損なわれることがある。
また、グラビア印刷機においては、グラビアロールの周面上に付与された導電性ペーストのような印刷ペーストの余分なものを掻き取るため、グラビアロールの周面に、ドクターブレードを常に接触させている。そのため、ドクターブレードは磨耗しやすく、比較的頻繁に交換する必要がある。このことから、ドクターブレードの寿命を延ばすことが要望されている。
他方、グラビア印刷によって形成される導電性ペースト膜に関して、それがより厚膜化されることが望まれることもある。この要望を満たすには、セルが与える空間の体積を大きくすること、すなわち、セルを深くし、また、セルの開口面積を大きくすることが考えられる。しかしながら、セルの深さや開口面積についての変更可能な範囲は、用いられる導電性ペーストの粘度との関係である程度限定されるものであるため、導電性ペーストの粘度とは無関係に、セルの深さおよび開口面積を大きく変更することはできない。
特開平6−316174号公報
そこで、この発明の目的は、表面平滑性に優れかつ厚膜化されたペースト膜を形成できる、グラビアロール、グラビア印刷機およびこれを用いて実施される積層セラミック電子部品の製造方法を提供しようとすることである。
この発明の他の目的は、ドクターブレードの長寿命化を図ることができる、グラビアロール、グラビア印刷機およびこれを用いて実施される積層セラミック電子部品の製造方法を提供しようとすることである。
この発明は、積層セラミック電子部品に備える積層構造物の一部をなす内部電極またはセラミック層となるべきペースト膜を被印刷シート上にグラビア印刷によって形成するためのグラビア印刷機にまず向けられる。
このグラビア印刷機は、ペースト膜を与える導電性ペーストまたはセラミックスラリーからなる印刷ペーストが付与される画線部をその周面上に形成しているグラビアロールを備えている。
このような構成を備えるグラビア印刷機において、前述した技術的課題を解決するため、次のような構成を備えることを特徴としている。
すなわち、画線部には、印刷方向に対して略平行方向に延びる複数本の印刷方向土手と印刷方向に対して略垂直方向に延びる複数本の垂直方向土手とによって区画された、複数個のセルが形成され、複数本の垂直方向土手のうちの少なくとも一部のものについては、その高さが印刷方向土手より低くされていることを特徴としている。
この発明に係るグラビア印刷機において、すべての垂直方向土手について、その高さが印刷方向土手より低くされていることが好ましい。
また、その高さが印刷方向土手より低くされた垂直方向土手の、セルの底面からの高さ方向寸法は、印刷方向土手の、セルの底面からの高さ方向寸法の50〜90%であることが好ましい。
また、垂直方向土手には、印刷方向に隣り合うセル間を連通状態とするための切欠きが設けられていることが好ましい。
この発明は、また、上述のようなグラビア印刷機を用いて実施される積層セラミック電子部品の製造方法にも向けられる。この発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法は、印刷ペーストとして導電性ペーストまたはセラミックスラリーが用いられ、被印刷シートとしてのセラミックグリーンシートまたはキャリアフィルム上に、ペースト膜としての内部電極となる導電性ペースト膜またはセラミック層を形成する工程を備えることを特徴としている。
この発明は、さらに、積層セラミック電子部品に備える積層構造物の一部をなす内部電極またはセラミック層となるべきペースト膜を被印刷シート上にグラビア印刷によって形成するためのグラビア印刷機に備える、グラビアロールにも向けられる。この発明に係るグラビアロールは、ペースト膜を与える導電性ペーストまたはセラミックスラリーからなる印刷ペーストが付与される画線部をその周面上に形成しており、画線部には、印刷方向に対して略平行方向に延びる複数本の印刷方向土手と印刷方向に対して略垂直方向に延びる複数本の垂直方向土手とによって区画された、複数個のセルが形成され、複数本の垂直方向土手のうちの少なくとも一部のものについては、その高さが印刷方向土手より低くされていることを特徴としている。
この発明に係るグラビア印刷機によれば、グラビアロールの周面上の画線部において、垂直方向土手の存在により、各セル内に印刷ペーストを十分に保持しながらも、垂直方向土手のうちの少なくとも一部のものについては、その高さが印刷方向土手より低くされているので、このように低くされた垂直方向土手については、印刷工程において印刷方向土手に沿って形成された印刷ペーストの糸引きに実質的な影響を及ぼすことがない。したがって、糸引きを、常に印刷方向のみに生じさせるようにすることができる。このことから、印刷方向土手に沿って生じた糸引きに対して、垂直方向土手に沿って生じた糸引きが重なることがなくなり、印刷されたペースト膜の表面平滑性を向上させることができる。
また、低くされた垂直方向土手は、画線部における印刷ペーストを保持し得る空間の体積をより大きくするように作用するので、印刷されたペースト膜の厚膜化を図ることができる。なお、複数本の垂直方向土手のすべてではなく、一部のものについて、その高さを低くし、このように低くされた垂直方向土手を分布させる領域を選ぶことにより、ペースト膜を局部的に厚膜化し、厚膜化を図る領域を任意に選ぶことができる。
この発明に係るグラビア印刷機において、すべての垂直方向土手について、その高さが印刷方向土手より低くされていると、ペースト膜を全面的に厚膜化することができるばかりでなく、グラビアロールの周面上の余分な印刷ペーストを掻き取るためにグラビアロールの周面と常時接触しているドクターブレードを、垂直方向土手に接触させないようにすることができる。その結果、ドクターブレードの磨耗を少なくすることができ、ドクターブレードの長寿命化を図ることができる。
また、この発明に係るグラビア印刷機において、その高さが印刷方向土手より低くされた垂直方向土手の、セルの底面からの高さ方向寸法が、印刷方向土手の、セルの底面からの高さ方向寸法の50〜90%に選ばれると、前述した効果がより確実に奏されることができる。
また、垂直方向土手に、印刷方向に隣り合うセル間を連通状態とするための切欠きが設けられていると、印刷方向に対して垂直方向または斜め方向へと生じ得る糸引きがより効果的に抑制され、その結果、ペースト膜の表面の平滑性をさらに向上させることができる。
以上のようなことから、この発明に係るグラビア印刷機は、表面が平滑であり、かつ厚膜化されることが好ましい、たとえば積層セラミック電子部品の内部電極となる導電性ペースト膜またはセラミック層を形成するのに有利に適用されることができる。
それゆえ、この発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法によれば、この発明に係るグラビア印刷機を用いて内部電極となる導電性ペースト膜またはセラミック層を形成するようにしているので、表面が平滑でかつ厚膜化された導電性ペースト膜またはセラミック層を得ることができる。したがって、製造された積層セラミック電子部品において、ショート不良を引き起こしたり、絶縁抵抗不良を引き起こしたりすることを防止できるとともに、内部電極の電気導通性に対する信頼性を高めることができ、それゆえ、良好な品質の積層セラミック電子部品を、高い歩留まりをもって製造することができる。
図1は、この発明の第1の実施形態によるグラビア印刷機1を概略的に示す正面図である。
グラビア印刷機1は、グラビアロール2と、グラビアロール2に対して、被印刷シート3を挟んで対向する圧胴4とを備えている。これらグラビアロール2および圧胴4は、それぞれ、矢印5および6方向に回転し、それによって、被印刷シート3は矢印7方向へ搬送される。なお、グラビア平版印刷機の場合のように、圧胴を備えないグラビア印刷機もあり得る。
グラビア印刷機1は、たとえば積層セラミックコンデンサのような積層セラミック電子部品を製造するために用いられるものである。より特定的には、グラビア印刷機1は、積層セラミック電子部品に備える積層構造物の一部をなすパターニングされた層となるべきペースト膜を被印刷シート3上にグラビア印刷によって形成するために用いられる。より具体的には、図2に示すように、セラミックグリーンシート8上に、パターニングされた内部電極となるべき導電性ペースト膜9がグラビア印刷によって形成される。
セラミックグリーンシート8は、図2に示すように、キャリアフィルム10によって裏打ちされた状態にある。したがって、図1に示した被印刷シート3は、このようにキャリアフィルム10によって裏打ちされたセラミックグリーンシート8である。
グラビアロール2は、図1に示すように、タンク11内に収容された導電性ペースト12内に浸漬され、それによって、グラビアロール2の周面上に形成された複数個の画線部13(その一部が概略的に図示されている。)に導電性ペースト12が付与される。画線部13の詳細については、後述する。なお、グラビアロール2への導電性ペースト12の供給は、導電性ペースト12をグラビアロール2に向かって射出するなどの方法によってもよい。
グラビアロール2の周面上の余分な導電性ペースト12は、ドクターブレード14によって掻き取られる。ドクターブレード14は、グラビアロール2の軸線方向と平行な方向に延び、一定の力でグラビアロール2の周面に常時接している。
画線部13は、その代表的なもののみが図3に概略的に図示されているように、図2に示した導電性ペースト膜9のパターンに対応するパターンを有している。この実施形態では、画線部13の長手方向がグラビアロール2の周方向に向くようにされている。
図4は、1個の画線部13を拡大して示す、グラビアロール2の周面の展開図である。図4において、印刷方向が矢印15で示されているが、この印刷方向15は、図1に示した矢印5に対応している。
より詳細には、画線部13の図4における下端側が印刷始端側であり、上端側が印刷終端側である。したがって、印刷工程において、画線部13の、被印刷シート3に接触する領域は、図4における下端側から上端側へとその位置を変える。また、この実施形態では、ドクターブレード14による、グラビアロール2の周面上での導電性ペースト12の掻き取り方向は、上述した印刷方向15と同じである。
画線部13には、印刷方向15に対して略平行方向に延びる複数本の印刷方向土手21と印刷方向15に対して略垂直方向に延びる複数本の垂直方向土手22とが設けられる。そして、印刷方向土手21と垂直方向土手22とによって区画された、複数個のセル24が形成される。
なお、上述のように、印刷方向土手21の延びる方向が印刷方向15に対して略平行方向であるとし、かつ垂直方向土手22の延びる方向が印刷方向15に対して略垂直方向であるとしたのは、それぞれ、平行方向および垂直方向に対して±5度程度の許容範囲があるためである。
上述した印刷方向土手21は、画線部13における印刷始端から印刷終端に至るまで実質的に連続して延びるように設けられていることが好ましい。なお、印刷方向土手21が実質的に連続して延びるとは、印刷方向土手21が、わずかであれば、途中で数箇所途切れていてもよいことを意味している。
また、画線部13の両側縁近傍では、印刷方向土手21および垂直方向土手22は、比較的広い幅方向寸法をもって形成されている。これによって、画線部13の両側縁近傍における導電性ペースト12の保持量を少なくすることができ、その結果、印刷された導電性ペースト膜9の周縁部が中央部よりも厚くなる「サドル現象」を効果的に防止することができる。
図5は、図4の線V−Vに沿う拡大断面図である。図5には、垂直方向土手22の形状の詳細が図示されている。
垂直方向土手22は、図5によく示されているように、その高さが印刷方向土手21より低くされている。この場合、垂直方向土手22の、セル24の底面25からの高さ方向寸法H1は、印刷方向土手21の、セル24の底面25からの高さ方向寸法H2の50〜90%の範囲内になるように選ばれることが好ましい。
上述の高さ方向寸法H1/高さ方向寸法H2の比が50%未満では、セル24内に印刷ペーストとしての導電性ペースト12の溜まる量が少なくなりすぎ、印刷工程において、白点やかすれが生じやすくなり、他方、90%を超えると、垂直方向土手22が糸引き方向に対して影響を及ぼすようになり、形成された導電性ペースト膜9の表面の平滑性が損なわれるためである。
図5に示すように、垂直方向土手22が印刷方向土手21に突き当たる部分には、アール面取り部26が設けられることが好ましい。これによって、セル24内の導電性ペースト12を拭き取りやすくすることができ、印刷後におけるグラビアロール2の清掃が容易になる。
グラビアロール2における画線部13は、エッチングによって製作することができる。レーザ製版を適用する場合、まず、円筒状のアルミニウムからなるロールに銅めっきを施し、研磨、レジストコーティング、露光、現像、エッチング、クロムめっきおよび研磨の各工程を経て、画線部13が製作される。このとき、垂直方向土手22については、印刷方向土手21よりも細く設計して、エッチング時のサイドエッチングを利用して形成することができる。すなわち、サイドエッチングにより垂直方向土手22となるべき部分の上部が削られ、垂直方向土手22が、印刷方向土手21に比べて低く形成される。
このような方法を採用することにより、垂直方向土手22の高さは、垂直方向土手22となるべき部分の当初の高さとサイドエッチング量によって決定されるが、たとえば2回のエッチングを行なう等の特別な処理が必要でないため、コストの上昇を招くことはない。
なお、上述したような垂直方向土手22を形成するためには、現像後において、垂直方向土手22となるべき部分に、他の部分に比べて細くレジストが残るようにすればよく、したがって、フィルム製版を適用して画線部13が製作されてもよい。また、パンチ力を調整できる場合には、彫刻方式によって、画線部13を製作することもできる。
この実施形態によれば、印刷時において、画線部13に生じる導電性ペースト12の糸引きが、垂直方向土手22に実質的に影響されることなく、常に印刷方向15のみに生じるようにすることができる。そのため、異なる方向に生じた糸引きが重なるといった現象を回避することができ、印刷された導電性ペースト膜9の表面の平滑性を向上させることができる。
また、垂直方向土手22が低くされることにより、画線部13において保持し得る導電性ペースト12の量を増すことができるので、印刷された導電性ペースト膜9の厚膜化を図ることができる。
さらに、ドクターブレード14が垂直方向土手22に接触しないようにすることができるので、ドクターブレード14の磨耗を抑えることができ、ドクターブレード14の長寿命化を図ることができる。
この実施形態において、一例として、印刷方向土手21および垂直方向土手22の各幅は、5〜20μmとされ、垂直方向土手22の、セル24の底面25からの高さ方向寸法H1は、16μmとされ、印刷方向土手21のセル24の底面25からの高さ方向寸法H2は、27μmとされ、印刷速度は、15m/分とされる。そして、導電性ペースト12としては、その粘度が0.1〜200Pa・sの範囲内で使用可能であり、印刷され得る導電性ペースト膜9の最大厚みとして、0.9μmが可能である。また、導電性ペースト膜9の平滑度Ryとしては、0.3μmの表面平滑性を得ることができる。さらに、ドクターブレード14の寿命としては、250000mが可能である。この「250000m」は、版面上をドクターブレード14が正常に当接できる距離のことである。
図6および図7は、この発明の第2の実施形態を説明するための図4および図5にそれぞれ相当する図である。図6および図7において、図4および/または図5に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図6および図7に示した第2の実施形態は、垂直方向土手22に、印刷方向15に隣り合うセル24間を連通状態とするための切欠き28が設けられることを特徴としている。切欠き28は、画線部13の側縁部近傍に位置するものを除いて、各セル24の対角線方向に対向する2つの角の部分に位置している。
切欠き28の位置を上述のように選ぶことにより、グラビアロール2の周面上の余分な導電性ペースト12をドクターブレード14によって掻き取ったときに、不所望にも、各セル24内に留めるべき導電性ペースト12まで掻き出してしまい、そのため、導電性ペースト膜9が部分的に薄くなってしまうことを有利に防止することができる。
上述のような第2の実施形態によれば、垂直方向土手22に切欠き28が設けられているので、印刷時において、印刷方向15に対して垂直方向または斜め方向へと生じ得る導電性ペースト12の糸引きをより効果的に抑制することができ、印刷された導電性ペースト膜9の表面平滑性をさらに向上させることができる。
以上、この発明を図示した実施形態に関連して説明したが、この発明の範囲内において、その他、種々の変形例が可能である。
たとえば、図示した実施形態では、1個の画線部13内において、すべての垂直方向土手22について、その高さが印刷方向土手21より低くされたが、印刷方向土手21と同じ高さの垂直方向土手が一部において設けられてもよく、また、高さの互いに異なる複数種類の垂直方向土手が混在していてもよい。
また、その高さが印刷方向土手より低くされた垂直方向土手の分布状態を選ぶことにより、印刷された導電性ペースト膜において、その任意の領域での厚みを任意に変えることができる。したがって、たとえば積層セラミックコンデンサの内部電極の引出し部においてのみ導電性ペースト膜をより厚くし、内部電極による段差を減じながらも、外部電極との電気的接続の信頼性を向上させることもできる。
また、図示の実施形態では、被印刷シート3が、キャリアフィルム10によって裏打ちされたセラミックグリーンシート8であり、導電性ペースト膜9がセラミックグリーンシート8上に形成されたが、たとえばキャリアフィルム10のような樹脂シートのみを被印刷シート3として用い、この樹脂シート上に導電性ペースト膜を形成するようにしてもよい。この場合には、樹脂シート上に形成された導電性ペースト膜は、その後の工程において、セラミックグリーンシート8上に転写されたり、あるいは、導電性ペースト膜が形成された樹脂シートをキャリアフィルムとして、その上でセラミックグリーンシートが成形されることになる。
また、図示の実施形態では、グラビア印刷によって形成されるペースト膜が導電性ペースト膜9であったが、たとえば、セラミックスラリーのようなペースト状のものからなる膜であってもよい。より具体的には、たとえば積層セラミックコンデンサなどにおいて、内部電極の厚みによる段差を吸収するため、内部電極が形成されない領域に段差吸収用のセラミック層が形成されることがあるが、このようなセラミック層となるべきセラミックスラリーからなるペースト膜を形成しようとする場合にも、この発明を適用することができる。
この発明の第1の実施形態によるグラビア印刷機1を概略的に示す正面図である。 図1に示したグラビア印刷機1によって、被印刷シート3としてのキャリアフィルム10によって裏打ちされたセラミックグリーンシート8上に導電性ペースト膜9が形成された状態を示す断面図である。 図1に示したグラビアロール2を単独で示す斜視図である。 図3に示した1個の画線部13を拡大して示す、グラビアロール2の周面の展開図である。 図4の線V−Vに沿う拡大断面図である。 この発明の第2の実施形態を説明するための図4に相当する図である。 図6の線VII−VIIに沿う拡大断面図である。
符号の説明
1 グラビア印刷機
2 グラビアロール
3 被印刷シート
8 セラミックグリーンシート
9 導電性ペースト膜
12 導電性ペースト
13 画線部
15 印刷方向または掻き取り方向を示す矢印
21 印刷方向土手
22 垂直方向土手
24 セル
25 底面
28 切欠き
H1 垂直方向土手の高さ方向寸法
H2 印刷方向土手の高さ方向寸法

Claims (6)

  1. 積層セラミック電子部品に備える積層構造物の一部をなす内部電極またはセラミック層となるべきペースト膜を被印刷シート上にグラビア印刷によって形成するためのグラビア印刷機であり、
    前記ペースト膜を与える導電性ペーストまたはセラミックスラリーからなる印刷ペーストが付与される画線部をその周面上に形成しているグラビアロールを備え、
    前記画線部には、印刷方向に対して略平行方向に延びる複数本の印刷方向土手と印刷方向に対して略垂直方向に延びる複数本の垂直方向土手とによって区画された、複数個のセルが形成され、
    複数本の前記垂直方向土手のうちの少なくとも一部のものについては、その高さが前記印刷方向土手より低くされている、
    グラビア印刷機。
  2. すべての前記垂直方向土手について、その高さが前記印刷方向土手より低くされている、請求項1に記載のグラビア印刷機。
  3. その高さが前記印刷方向土手より低くされた前記垂直方向土手の、前記セルの底面からの高さ方向寸法は、前記印刷方向土手の、前記セルの底面からの高さ方向寸法の50〜90%である、請求項1または2に記載のグラビア印刷機。
  4. 前記垂直方向土手には、印刷方向に隣り合う前記セル間を連通状態とするための切欠きが設けられている、請求項1ないし3のいずれかに記載のグラビア印刷機。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載のグラビア印刷機を用いて実施されるものであり、前記印刷ペーストとして導電性ペーストまたはセラミックスラリーが用いられ、前記被印刷シートとしてのセラミックグリーンシートまたはキャリアフィルム上に、前記ペースト膜としての内部電極となる導電性ペースト膜またはセラミック層を形成する工程を備える、積層セラミック電子部品の製造方法。
  6. 積層セラミック電子部品に備える積層構造物の一部をなす内部電極またはセラミック層となるべきペースト膜を被印刷シート上にグラビア印刷によって形成するためのグラビア印刷機に備える、グラビアロールであって、
    前記ペースト膜を与える導電性ペーストまたはセラミックスラリーからなる印刷ペーストが付与される画線部をその周面上に形成しており、
    前記画線部には、印刷方向に対して略平行方向に延びる複数本の印刷方向土手と印刷方向に対して略垂直方向に延びる複数本の垂直方向土手とによって区画された、複数個のセルが形成され、
    複数本の前記垂直方向土手のうちの少なくとも一部のものについては、その高さが前記印刷方向土手より低くされている、
    グラビアロール。
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