JP4224170B2 - 播種装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は例えばキュウリ或いはカボチャ或いはカンピョウ等の野菜苗の接ぎ木作業の前工程にあって、これら偏平状種子の整列播種を行って、苗の子葉を略一定方向に揃えるようにした播種装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来、種子台上端のノズル孔に吸着させる種子を、ノズル内からの加圧噴射空気によって上方の搬送部材内に送り込んで播種位置まで搬送しているが、ノズルから噴射した加圧空気が種子台上端面と種子の隙間より横方向に高速で流出する状態となるときには、エゼクタ効果によりノズル孔と種子との間に真空部が発生する結果、種子が吸着されたままとなって搬送部材内に送り込むことができないという不都合があった。このためノズル孔を傾斜させたり、種子台上端面を傾斜させて、このエゼクタ効果による種子の吸着を解消させようとしたが、今一つ完全なものではなかった。
【0003】
【課題を解決するための手段】
したがって本発明は、種子ホッパ内に下側から種子台を突入させてこの上端のノズル孔に種子を吸着させて取出すと共に、前記ノズル孔よりの加圧噴射空気でもって種子を搬送部材内を流通させて播種位置まで搬送して播種を行う播種装置において、種子台上端のノズル孔近傍位置に加圧空気を噴射する空気孔を開設して、ノズル孔より加圧空気噴射時には空気孔よりも同時に加圧空気を噴射させて、ノズル孔を中心として種子台上端面と種子の隙間より外方に流出する空気流のバランスを崩し、エゼクタ効果による種子の吸着を解消させ、種子の播種位置までの確実な搬送を可能とさせて、欠株を防止し播種精度を向上させるものである。
【0004】
また、ノズル孔より空気孔を小径に設けると共に、ノズル孔に空気孔を連通接続させて、ノズル孔に近接させて小径の空気孔を開設するだけの簡単な構成手段によって、種子の確実な搬送を可能とさせて、欠株を防止するものである。
【0005】
さらに、種子ホッパ内に下側から種子台を突入させてこの上端のノズル孔に種子を吸着させて取出すと共に、前記ノズル孔よりの加圧噴射空気でもって種子を搬送部材内を流通させて播種位置まで搬送して播種を行う播種装置において、種子台上端のノズル孔を非対称形状に設けて、ノズル孔の一側に切欠きなど形成してノズル孔を非対称形状とする簡単な構成手段のもので、種子の確実な搬送を可能とさせて、欠株を防止するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は播種装置の側面図、図2は同正面図、図3は播種部の側面説明図、図4は同正面説明図であり、例えば8×16穴のポットを有するトレイ(1)を搬送する播種コンベア(2)上に播種装置(3)を配備させるもので、前記播種装置(3)は、キュウリ或いはカボチャなどの偏平種子(A)を貯留する種子ホッパ(4)と、前記ホッパ(4)内から一粒の種子(A)を吸着して一定高さ上昇させる横一列8つの種子台(5)と、一定高さ上昇させる種子台(5)上端の種子(A)をコンプレッサからの送風圧でもって播種位置まで搬送する種子搬送部材である逆U字形の搬送パイプ(6)と、前記搬送パイプ(6)の出口下方位置に配設して該パイプ(6)からの種子(A)を投入する播種ガイド(7)と、前記播種ガイド(7)の下端開口部を開閉する播種シャッタ(8)と、図8に示す如く前記播種シャッタ(8)の前方位置に配設して播種トレイ(1)の各ポット(1a)内に充填される養土(B)表面に側面視V字形の播種溝(C)を形成する鎮圧具(9)とを備え、前記鎮圧具(9)によって形成される播種溝(C)上に、前記シャッタ(8)の開時に播種ガイド(7)より放出される種子(A)を落下させて播種を行うように構成している。
【0007】
図5乃至図7にも示す如く、前記種子ホッパ(4)は側面及び正面からの断面形状をV字形状に形成し、上部及び下部の開口部(10)(11)を平面視略長方形状に形成する一方、下部開口部(11)に正面視山形の仕切り板(12)を設けて、各種子台(5)に対応する開口(11a)を仕切り板(12)間及びホッパ(4)側板と仕切り板(12)間にそれぞれ形成している。そして空気流通孔(13)を中央部に貫設する円柱形の各種子台(5)下端を連結フレーム(14)に立設固定させると共に、播種装置(3)のホッパ台(15)に固設する種子昇降シリンダ(16)のピストンロッド(17)先端に連結フレーム(14)を介して前記種子台(5)下端を連結支持させて、前記ホッパ(4)内に下部開口(11a)より種子台(5)を上下動自在に臨ませるように構成している。
【0008】
前記種子台(5)上端には、ネジ部(18)を介し種子吸着ノズル(19)を取外し自在に固着させるもので、該ノズル(19)の上端面(19a)は一定の傾斜角(β)を有して上端面(19a)の中央には前記流通孔(13)に連通させる小さな直径(D)(約0.7mm以上)の種子吸着用のノズル孔(20)を開設する一方、前記流通孔(13)下部をホース(21)などを介し真空ポンプなど吸引機やコンプレッサー或いは送風機に連通接続させて、前記シリンダ(16)により種子台(5)の一定高さ上昇時に各ノズル(19)のノズル孔(20)に真空力で各一粒毎の種子を吸着して上昇させるように構成している。またノズル孔(20)の孔径及び図11に示す如き傾斜角(β)(β≒0)の異なるノズル(19)との取替えを容易とさせて、種子(A)の品種や形状に対応させたノズル孔(20)及び傾斜角(β)を有するノズル(19)を用いて、該ノズル(19)の一粒吸着精度を向上させるように構成している。
【0009】
そして、種子台(5)の一定高さ上昇時においては、ノズル孔(20)の真空吸引による吸着を停止させると共に、ノズル孔(20)から空気を加圧噴射させて、種子(A)をこの上方に臨ませる搬送パイプ(6)の送り始端部内に送り込んで播種位置まで気流搬送するように構成している。
【0010】
図3、図8に示す如く、前記播種ガイド(7)は搬送パイプ(6)の出口側に一体接続する放出ガイド(22)の出口下方に、内側の種子投入穴(23)を臨ませ、該投入穴(23)の下側をシャッタ開閉シリンダ(24)によりシャッタ(8)で閉塞するとき、搬送パイプ(6)からの種子(A)を投入穴(23)内でシャッタ(8)上に滞留させ、シャッタ開閉シリンダ(24)によってシャッタ(8)を開とさせるとき、投入穴(23)内で種子(A)の姿勢を整えてトレイ(1)内に落下させ、前記鎮圧具(9)の昇降シリンダ(25)の下降動作時に鎮圧具(9)によって形成される播種溝(C)上に種子(A)の播種を行うように構成している。
【0011】
前記種子ホッパ(4)及び播種シャッタ(8)とをそれぞれ別個に播種装置(3)の枠フレームを構成する支柱(26)に支持させるもので、前記支柱(26)にホッパ及びシャッタ取付剛体(27)(28)をそれぞれボルト(29)を介し取外し自在に固定させると共に、ホッパ取付剛体(27)の上面に防振ゴム或いはバネなど防振部材(30)を介し前記ホッパ台(15)を、またシャッタ取付剛体(28)の上面にベース(31)を介し前記シャッタ(8)及び開閉シリンダ(24)の取付枠(32)を固定させ、前記シャッタ(8)及び開閉シリンダ(24)の取付フレーム(33)を上下調節ネジ軸(34)及びスライドガイド軸(35)を介し取付枠(32)に取付高さ調節自在に連結させるように構成している。
【0012】
そして前記昇降シリンダ(16)で種子台(5)を上下動させるときにホッパ(4)及びホッパ台(15)に発生する振動や衝撃がシャッタ(8)に伝わるのを、防振部材(30)及び取付剛体(27)(28)によって最小に防止して、種子台(5)の上下動作とシャッタ(8)の開閉動作がラップしても、シャッタ(8)上の種子(A)には振動や衝撃で種子姿勢に乱れを生じさせることのない整列精度良好の播種を可能とさせて、ホッパ(4)から種子(A)を取出してシャッタ(8)の開動作で播種を行うまでのサイクルタイムを短縮化して作業能率を向上させるように構成している。
【0013】
図13に示す如く、前記種子台(5)の上昇速度を調整する上昇制御弁(流量制御弁)(36)と、種子台(5)を上昇及び下降制御する上昇及び下降切換弁(37)とをコンプレッサー(38)と前記昇降シリンダ(16)の空圧回路間に介設すると共に、前記種子台(5)の空気流通孔(13)に送り込む空気圧及び真空圧の切換えを行う空気及び真空圧切換弁(39)と、空気圧及び真空圧のそれぞれの調整を行う空気圧及び真空圧調整弁(40)(41)とを前記種子台(5)とコンプレッサー(38)及び真空ポンプ(42)との接続回路間に介設して、種子ホッパ(4)内から種子台(5)を介し搬送パイプ(6)に種子1粒の取出しを行うように構成している。
【0014】
そして図14に示す如く、播種作業の自動を開始する自動スイッチ(43)と、種子台(5)の上昇速度を設定する前記上昇制御弁(36)の種子台上昇速度設定器(44)と、前記種子台(5)のノズル(19)の空気吸込圧及び空気吹出圧を調整する前記調整弁(41)(40)の空気吸込圧及び噴射圧設定器(45)(46)とをコントローラ(47)に接続させると共に、前記種子台上昇制御弁(36)及び上昇及び下降切換弁(37)と、空気及び真空圧切換弁(39)と、空気圧及び真空圧調整弁(40)(41)とにコントローラ(47)を接続させて、前記種子ホッパ(4)内の種子(A)の1粒をノズル(19)で取出してから播種位置まで搬送して播種するまでの一連の作業を自動で行うように構成している。
【0015】
ところで、図7、図9、図10にも示す如く、前記ノズル(19)の上端面(19a)中央のノズル孔(20)に近接して、ノズル孔(20)の直径(D)(D>0.7mm)より小さな直径(d)(d≒0.3mm)の空気孔(48)を開設するもので、前記流通孔(13)に空気孔(48)を連通させて、ノズル孔(20)と空気孔(48)とを連通接続状態とさせ、図10に示す如くノズル孔(20)から加圧空気噴射時には空気孔(48)からも加圧空気を同時に噴射させて、ノズル上端面(19a)と種子(A)の隙間よりノズル孔(20)からの空気が高速で流出するときの空気流のバランスを崩し、ノズル孔(20)から高速で空気が流出するときのエゼクタ効果でノズル孔(20)と種子(A)との間に真空部が発生し種子(A)がノズル孔(20)方向に吸引される不都合を解消させ、ノズル孔(20)及び空気孔(48)からの噴射空気によって搬送パイプ(6)内に確実に種子(A)を送り込むように構成している。
【0016】
なお、前記空気孔(48)は図11に示す如く上端面(19a)を水平平坦状とする傾斜角(β)が0のものなど各種傾斜角(β)を有するノズル(19)に形成しても良く、またノズル孔(20)及び空気孔(48)に傾斜角を有する構造でも良く、さらに空気孔(48)を複数を設ける構成でも良い。
【0017】
また、前述実施例にあってはノズル孔(20)と別個に空気孔(48)を設ける構成を示したが、図12に示す如く、ノズル孔(20)の一側に切欠き(20a)を形成してノズル孔(20)を真円以外の非対称形状に設けても、ノズル孔(20)から空気が高速で流出するときの空気流のバランスを崩して、前述実施例と同様の効果を奏するものである。
【0018】
而して図15、図16に示す如く、自動スイッチ(43)のオン操作によって種子(A)の自動整列播種作業を行うに際しては、前記各設定器(44)〜(46)によって、種子台(5)の上昇速度、種子台(5)の空気吸込圧及び吹出圧のそれぞれの設定を行うと共に、設定後で前記ノズル(19)上端面がホッパ(4)底部と略一致する種子台(5)の最下位置(図16の1)のとき、ホッパ(4)内の上下略中間高さ位置まで種子台(5)を上昇(図16の2)させた後、最下位置まで種子台(5)を下降(図16の3)させ、さらに種子台(5)をホッパ(4)内の上下略中間高さ位置まで上昇(図16の4)させた後、再度最下位置まで下降(図16の5)させ、この下降時に一粒の種子(A)をノズル(19)のノズル孔(20)に吸着させ、その後種子台(5)を最上位置まで上昇(図16の6)させて、ノズル(19)上端に吸着させる一粒の種子(A)を前記搬送パイプ(6)の下端部に近接させる(上昇及び下降の反覆回数は2回以上任意で良い)。このように種子台(5)を最下位置から最上位置まで上昇させる間に下降及び上昇の一定量の昇降動作を繰り返すことによって、ホッパ(4)内の種子(A)が掻き回されて、種子(A)の流動性が良好となって前記ノズル(19)に対する種子(A)一粒の吸着精度を向上させることができると共に、一定傾斜角(β)を有するノズル上端面(19a)によって1粒以外の種子(A)を上端面(19a)より自然落下させる状態とさせて、2粒吸着など防止して1粒吸着精度をより向上させることができる。
【0019】
そして、種子台(5)が最上位置に上昇したときには前記切換弁(39)によって真空吸着が停止されると共に、ノズル孔(20)及び空気孔(48)からは加圧空気が噴射(図16の7)されて、ノズル(19)上端の種子(A)を空気圧で搬送パイプ(6)内に送り込んで、播種位置まで搬送するものである。
【0020】
このように該実施例の場合、播種台(5)における真空吸引力及び加圧噴射力のみで、種子(A)の取出し及び搬送を可能とさせることができ、搬送パイプ(6)側からの吸込力などを必要とさせないので、部品点数や配管工数を削減させてコスト低減を図りメンテナンス性を向上させることができると共に、ノズル孔(20)からの空気の加圧噴射によってノズル孔(20)の塵詰まりなども低減させることができる。
【0021】
またノズル孔(20)からの加圧空気噴射のみの場合、ノズル孔(20)を中心としてノズル上端面(19a)と種子(A)の隙間より4方に高速で空気が流出するときのエゼクタ効果により、ノズル孔(20)と種子(A)との間に真空部が発生して、この真空吸引力によって種子(A)がノズル(19)側に吸い寄せられたままとなって搬送パイプ(6)側に移動しないことがあるが、前記空気孔(48)から加圧空気を同時噴射させることによって、ノズル孔(20)からの空気の流れに乱れを生じさせてエゼクタ効果の発生を解消させ、ノズル上端面(19a)の種子(A)を確実に搬送パイプ(6)内に送り込んで、欠株を防止して播種精度を向上させることができるものである。
【0022】
【発明の効果】
以上実施例から明らかなように本発明は、種子ホッパ(4)内に下側から種子台(5)を突入させてこの上端のノズル孔(20)に種子(A)を吸着させて取出すと共に、前記ノズル孔(20)よりの加圧噴射空気でもって種子(A)を搬送部材(6)内を流通させて播種位置まで搬送して播種を行う播種装置において、種子台(5)上端のノズル孔(20)近傍位置に加圧空気を噴射する空気孔(48)を開設したものであるから、ノズル孔(20)より加圧空気噴射時には空気孔(48)よりも同時に加圧空気を噴射させて、ノズル孔(20)を中心として種子台(5)上端面と種子(A)の隙間より外方に流出する空気流のバランスを崩し、エゼクタ効果による種子(A)の吸着を解消させ、種子(A)の播種位置までの確実な搬送を可能とさせて、欠株を防止し播種精度を向上させることができるものである。
【0023】
また、ノズル孔(20)より空気孔(48)を小径に設けると共に、ノズル孔(20)に空気孔(48)を連通接続させたものであるから、ノズル孔(20)に近接させて小径の空気孔(48)を開設するだけの簡単な構成手段によって、種子(A)の確実な搬送を可能とさせて、欠株を防止することができるものである。
【0024】
さらに、種子ホッパ(4)内に下側から種子台(5)を突入させてこの上端のノズル孔(20)に種子(A)を吸着させて取出すと共に、前記ノズル孔(20)よりの加圧噴射空気でもって種子(A)を搬送部材(6)内を流通させて播種位置まで搬送して播種を行う播種装置において、種子台(5)上端のノズル孔(20)を非対称形状に設けたものであるから、ノズル孔(20)の一側に切欠き(20a)など形成してノズル孔(20)を非対称形状とする簡単な構成手段のもので、種子(A)の確実な搬送を可能とさせて、欠株を防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】播種装置の側面図である。
【図2】播種装置の正面図である。
【図3】播種部の側面説明図である。
【図4】播種部の正面説明図である。
【図5】種子ホッパの種子取出説明図である。
【図6】種子ホッパの断面説明図である。
【図7】ノズル部の説明図である。
【図8】播種シャッタの説明図である。
【図9】ノズルの断面説明図である。
【図10】ノズルの空気噴射説明図である。
【図11】平坦上端面を有するノズルの説明図である。
【図12】ノズル孔を非対称形状とするノズルの説明図である。
【図13】空圧系統図である。
【図14】制御回路図である。
【図15】種子吸引制御のフローチャートである。
【図16】種子台による種子取出説明図である。
【符号の説明】
(4) 種子ホッパ
(5) 種子台
(6) 搬送パイプ(搬送部材)
(20) ノズル孔
(48) 空気孔
(A) 種子

Claims (3)

  1. 種子ホッパ内に下側から種子台を突入させてこの上端のノズル孔に種子を吸着させて取出すと共に、前記ノズル孔よりの加圧噴射空気でもって種子を搬送部材内を流通させて播種位置まで搬送して播種を行う播種装置において、種子台上端のノズル孔近傍位置に加圧空気を噴射する空気孔を開設したことを特徴とする播種装置。
  2. ノズル孔より空気孔を小径に設けると共に、ノズル孔に空気孔を連通接続させたことを特徴とする請求項1記載の播種装置。
  3. 種子ホッパ内に下側から種子台を突入させてこの上端のノズル孔に種子を吸着させて取出すと共に、前記ノズル孔よりの加圧噴射空気でもって種子を搬送部材内を流通させて播種位置まで搬送して播種を行う播種装置において、種子台上端のノズル孔を非対称形状に設けたことを特徴とする播種装置。
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