JP3989097B2 - 播種装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばキュウリ或いはカボチャ或いはカンピョウ等の野菜苗の、接ぎ木作業の前工程にあって、これら偏平状種子の整列播種を行って、苗の子葉を略一定方向に揃えるようにした播種装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来、種子ホッパ内より播種台上端のノズル孔に吸着させて取出す種子を、種子台上方のエゼクタ部で発生する負圧吸引力などで搬送部材内に吸込んで播種位置まで気流搬送しているが、エゼクタ部の構成部品も多く、また配管も複雑となってメンテナンス性が悪いばかりでなく、コスト高となる不都合があった。またエゼクタ部で発生する負圧吸引力で種子を吸込む場合、吸引力も余り大きくないため、種子の確実な吸込みが行われないという不都合があった。
【0003】
【課題を解決するための手段】
したがって本発明は、種子ホッパ内に下側から種子台を突入させてこの上端のノズル孔に種子を吸着させて取出すようにした播種装置において、種子台の吸着停止後に種子台のノズル孔より空気を加圧噴射させて、種子を搬送部材内を流通させて播種位置まで搬送するように設けて、種子台のノズル孔より空気を加圧噴射させるだけの簡単な手段によって、種子を播種位置まで確実に搬送でき、またノズル孔に塵詰まりが発生した場合でも加圧噴射力でこの解消を図って種子の取出性を向上させるものである。
【0004】
また、種子台のノズル孔より空気を加圧噴射中に、種子台を昇降動作させるように設けて、ノズル孔よりの空気の加圧噴射中に種子に当たって横水平方向に空気が高速で流れるときのエゼクタ効果によって部分的な真空が発生し種子を種子台に吸着状態とさせるときにも、種子台が上昇端に達したときの衝撃によってこの吸着のバランスを崩して、搬送部材に確実に種子を送り込むものである。
【0005】
また、種子台のノズル孔より空気を加圧噴射時に、断続的に加圧噴射させるように設けて、ノズル孔より空気加圧噴射中に発生するエゼクタ効果などにより種子が吸着状態にあるときにも、断続的な加圧噴射で種子の吸着のバランスを崩して搬送部材に確実に種子を送り込むものである。
【0006】
また、種子台のノズル孔に一定の傾斜角度を保有させて、ノズル孔より空圧加圧噴射中に発生するエゼクタ効果などに基づく種子の吸着を解消させて搬送部材に確実に種子を送り込むものである。
【0007】
また、種子台はノズル孔径の異なる複数のノズルを交換取付自在に構成し、該ノズル孔径の大小に応じて、種子台上端のノズル平坦部の面積を大小に変更させて、種子の大きさにノズル孔及び種子台上端の平坦部面積を適正に対応させることにより、大形種子の場合通常の低い吸着力で確実な吸着を行うと共に、小形種子の場合2粒吸着を防止して、確実な1粒吸着を行うものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は播種装置の側面図、図2は同正面図である。例えば8×16穴のポットを有するトレイ(1)を搬送する播種コンベア(2)上に播種装置(3)を配備させるもので、前記播種装置(3)は、キュウリ或いはカボチャなどの偏平種子(A)を貯留する種子ホッパ(4)と、前記ホッパ(4)内から一粒の種子(A)を吸着して一定高さ上昇させる横一列8つの種子台(5)と、一定高さ上昇させる種子台(5)上端の種子(A)をコンプレッサからの送風圧でもって播種位置まで搬送する種子搬送部材である逆U字形の搬送パイプ(6)と、前記搬送パイプ(6)の出口下方位置に配設して該パイプ(6)からの種子(A)を投入する播種ガイド(7)と、前記播種ガイド(7)の下端開口部を開閉する播種シャッタ(8)とを具備している。また、図7に示す如く前記播種シャッタ(8)の前方位置に配設して播種トレイ(1)の各ポット(1a)内に充填される養土(B)表面に側面視V字形の播種溝(C)を形成する鎮圧具(9)とを備えている。前記鎮圧具(9)によって形成される播種溝(C)上に、前記シャッタ(8)の開時に播種ガイド(7)より放出される種子(A)を落下させて播種を行うように構成している。
【0009】
図3乃至図5にも示す如く、前記種子ホッパ(4)は側面及び正面からの断面形状をV字形状に形成し、上部及び下部の開口部(10)(11)を平面視長方形状に形成する一方、下部開口部(11)に正面視山形の仕切り板(12)を設けて、各種子台(5)に対応する開口(11a)を仕切り板(12)間及びホッパ(4)側板と仕切り板(12)間にそれぞれ形成している。そして空気流通孔(13)を中央部に貫設する円柱形の各種子台(5)下端を、連結フレーム(14)に立設固定させる。それと共に、播種装置(3)の播種フレーム(15)に固設する種子昇降シリンダ(16)のピストンロッド(17)先端に連結フレーム(14)を介して前記種子台(5)下端を連結支持させて、前記ホッパ(4)内に下部開口(11a)より種子台(5)を上下動自在に臨ませるように構成している。
【0010】
前記種子台(5)上端には、ネジ部(18)を介し種子吸着ノズル(19)を取外し自在に固着させるもので、該ノズル(19)の上端円錐面中央の平坦部(19a)には前記流通孔(13)に連通させる小径(約0.3〜1.5mm)の種子吸着用のノズル孔(20)を開設する。一方、前記流通孔(13)下部をホース(21)などを介し真空ポンプなど吸引機やコンプレッサー或いは送風機に連通接続させて、前記シリンダ(16)により種子台(5)の一定高さ上昇時に各ノズル(19)のノズル孔(20)に真空力で各一粒毎の種子を吸着して上昇させるように構成している。またノズル孔(20)の孔径及び平坦部(19a)の面積の異なるノズル(19)との取替えを容易とさせて、種子(A)の品種や形状に対応させたノズル孔(20)及び平坦部(19a)を有するノズル(19)を用いて、該ノズル(19)の一粒吸着精度を向上させるように構成している。
【0011】
そして、種子台(5)の一定高さ上昇時においては、ノズル孔(20)の真空吸引による吸着を停止させると共に、ノズル孔(20)から空気を加圧噴射させて、種子(A)をこの上方に臨ませる搬送パイプ(6)の送り始端部内に送り込んで播種位置まで気流搬送するように構成している。
【0012】
図6乃至図7に示す如く、前記播種ガイド(7)は搬送パイプ(6)の出口側に一体接続する放出ガイド(22)の出口下方に、上部をV形状とする種子投入穴(23)を臨ませ、該投入穴(23)の下側をシャッタ開閉シリンダ(24)によりシャッタ(8)で閉塞するとき、搬送パイプ(6)からの種子(A)を投入穴(23)内でシャッタ(8)上に滞留させ、シャッタ開閉シリンダ(24)によってシャッタ(8)を開とさせるとき、投入穴(23)内で種子(A)の姿勢を整えてトレイ(1)内に落下させ、前記鎮圧具(9)の昇降シリンダ(25)の下降動作時に鎮圧具(9)によって形成される播種溝(C)上に種子(A)の播種を行うように構成している。
【0013】
また前記播種ガイド(7)及びシャッタ開閉シリンダ(24)を播種フレーム(15)に調節ネジ軸(26)を介し取付高さ調節自在に支持させると共に、播種ガイド(7)の外側面にシャッタ(8)を励磁吸着させるマグネット(27)を固設して、マグネット(27)によってガイド(7)とシャッタ(8)間の隙間を規制して微小種子(A)が隙間より飛び出るなどの不都合を防止するように構成している。
【0014】
図8にも示す如く、前記種子台(5)はノズル孔径(E1)(E2)の異なる複数のノズル(19)を交換取付自在に設けるもので、ノズル孔径(E1)(E2)の大小に応じた平坦部(19a)の直径(D1)(D2)つまり平坦面積をノズル(19)は有し、例えば小形種子(A)にあってはノズル孔径(E1)及び平坦部(19a)直径(D1)が小のノズル(19)を用いて2粒吸着を防止すると共に、大形種子(A)にあってはノズル孔径(E2)及び平坦部(19a)直径(D2)が大のノズル(19)を用いて低い吸着力で確実な吸着を行うように構成している。
【0015】
また図9にも示すものは、ノズル(19)の軸心より一定角度(α)傾斜させてノズル孔(20)を形成したノズル(19)の構成例を示すもので、軸心に沿った垂直ノズル孔(20)の場合においてノズル孔(20)から加圧噴射の空気流が種子(A)との隙間より四方に流出するとき、エゼクタ効果により略中央に発生する真空部分によってノズル(19)に種子(A)が吸着されるなどの不都合をして、確実な加圧搬送を可能とさせるように構成したものである。なお角度(α)は大形種子となる程大とさせるもので、例えばカンピョウ・カボチャなど大形種子では略20°、キュウリ・スイカなど小形種子では略5〜10°が良好なものである。
【0016】
図10に示す如く、前記種子台(5)の上昇速度を調整する上昇制御弁(流量制御弁)(28)と、種子台(5)を上昇及び下降制御する上昇及び下降切換弁(29)とをコンプレッサー(30)と前記昇降シリンダ(16)の空圧回路間に介設すると共に、前記種子台(5)の空気流通孔(13)に送り込む空気圧及び真空圧の切換えを行う空気圧及び真空圧切換弁(31)と、空気圧及び真空圧のそれぞれの調整を行う空気圧及び真空圧調整弁(32)(33)とを前記種子台(5)とコンプレッサー(30)及び真空ポンプ(34)との接続回路間に介設して、種子ホッパ(4)内から種子台(5)を介し搬送パイプ(6)に種子1粒の取出しを行うように構成している。
【0017】
そして図11に示す如く、自動の播種作業を開始する自動スイッチ(35)と、種子台(5)の上昇速度を設定する前記上昇制御弁(28)の種子台上昇速度設定器(36)と、前記種子台(5)のノズル(19)の空気吸込圧及び空気吹出圧を調整する、前記調整弁(33)(32)の空気吸込圧及び吹出圧設定器(37)(38)と、をコントローラ(39)に接続させる。それと共に、前記種子台上昇制御弁(28)及び上昇及び下降切換弁(29)と、空気圧及び真空圧切換弁(31)と、空気圧及び真空圧調整弁(32)(33)とにコントローラ(39)を接続させて、前記種子ホッパ(4)内の種子(A)の1粒をノズル(19)で取出してから播種位置まで搬送して播種するまでの一連の作業を自動で行うように構成している。
【0018】
なお、各搬送パイプ(6)の送り始端部は、播種フレーム(15)に連結固定するパイプ取付体(40)に、調節ボルト(41)を介し取付高さ調節自在に支持させたものである。
【0019】
而して図12、図13に示す如く、自動スイッチ(35)のオン操作によって種子(A)の自動整列播種作業を行うに際しては、前記各設定器(36)〜(38)によって、種子台(5)の上昇速度、種子台(5)の空気吸込圧及び吹出圧のそれぞれの設定を行う。それと共に、設定後で前記ノズル(19)上端面がホッパ(4)底部と略一致する種子台(5)の最下位置(図13の1)のとき、ホッパ(4)内の上下略中間高さ位置まで種子台(5)を上昇(図13の2)させた後、最下位置まで種子台(5)を下降(図13の3)させる。さらに種子台(5)をホッパ(4)内の上下略中間高さ位置まで上昇(図13の4)させた後、再度最下位置まで下降(図13の5)させ、この下降時に一粒の種子(A)をノズル(19)のノズル孔(20)に吸着させ、その後種子台(5)を最上位置まで上昇(図13の6)させて、ノズル(19)上端に吸着させる一粒の種子(A)を前記搬送パイプ(6)の下端部に近接させる(上昇及び下降の反覆回数は2回以上任意で良い)。このように種子台(5)を最下位置から最上位置まで上昇させる間に、下降及び上昇の一定量の昇降動作を繰り返すことによって、ホッパ(4)内の種子(A)が掻き回されて、種子(A)の流動性が良好となって前記ノズル(19)に対する種子(A)一粒の吸着精度を向上させることができるものである。
【0020】
そして、種子台(5)が最上位置に上昇したときには前記切換弁(31)によって真空吸着が停止されると共に、ノズル孔(20)からは加圧空気が噴射されて、ノズル(19)上端の種子(A)を空気圧で搬送パイプ(6)内に送り込んで、播種位置まで搬送するものである。
【0021】
このように該実施例の場合、播種台(5)における真空吸引力及び加圧噴射力のみで、種子(A)の取出し及び搬送を可能とさせることができ、搬送パイプ(6)側からの吸込力などを必要とさせないので、部品点数や配管工数を削減させてコスト低減を図りメンテナンス性を向上させることができる。それと共に、ノズル孔(20)からの空気の加圧噴射によってノズル孔(20)の塵詰まりなども低減させることができる。なお前述実施例にあってはノズル孔(20)に種子(A)を吸着させるのに、真空ポンプ(34)の真空圧を用いる構成を示したが、コンプレッサ(30)のみを用いてエゼクタ作用などによってノズル孔(20)に種子(A)を吸着させる構成でも良い。
【0022】
ところで、前述実施例にあっては、前記種子台(5)が最上位置に上昇したときに、吸着が停止され加圧空気が噴射される構成を示したが、図14に示す如く、種子台(5)の最上位置での加圧噴射時に、一定量(数ミリ〜10ミリ程度)だけ加圧噴射しながら下降及び上昇動作(複数回でも良い)させて、種子台(5)が上昇端に達したときの衝撃で種子(A)が離脱せず吸着されたままとなるときの種子(A)のバランスを崩すなどして種子(A)の取出性を向上させるように構成したものである。
【0023】
また図15に示すものは、前記種子台(5)の最上位置での加圧噴射を断続的なものとさせて、吸着位置の種子(A)に断続的な衝撃を与える状態とさせて、前述同様離脱せず吸着されたままの種子(A)のバランスを崩すなどして種子(A)の取出性を向上させるように構成したものである。
【0024】
【発明の効果】
以上実施例から明らかなように本発明は、種子ホッパ(4)内に下側から種子台(5)を突入させてこの上端のノズル孔(20)に種子(A)を吸着させて取出すようにした播種装置において、種子台(5)の吸着停止後に種子台(5)のノズル孔(20)より空気を加圧噴射させて種子(A)を搬送部材(6)内を流通させて播種位置まで搬送するものであるから、種子台(5)のノズル孔(20)より空気を加圧噴射させるだけの簡単な手段によって、種子(A)を播種位置まで確実に搬送でき、またノズル孔(20)に塵詰まりが発生した場合でも加圧噴射力でこの解消を図って種子(A)の取出性を向上させることができるものである。
【0025】
また、種子台(5)のノズル孔(20)より空気を加圧噴射中に、種子台(5)を昇降動作させるものであるから、ノズル孔(20)よりの空気の加圧噴射中に種子(A)に当たって横水平方向に空気が高速で流れるときのエゼクタ効果によって部分的な真空が発生し種子を種子台(5)に吸着状態とさせるときにも、種子台(5)が上昇端に達したときの衝撃によってこの吸着のバランスを崩して、搬送部材(6)に確実に種子を送り込むことができるものである。
【0026】
また、種子台(5)のノズル孔(20)より空気を加圧噴射時に、断続的に加圧噴射させるものであるから、ノズル孔(20)より空気加圧噴射中に発生するエゼクタ効果などにより種子(A)が吸着状態にあるときにも、断続的な加圧噴射で種子(A)の吸着のバランスを崩して搬送部材(6)に確実に種子(A)を送り込むことができるものである。
【0027】
また、種子台(5)のノズル孔(20)に一定の傾斜角度(α)を保有させたものであるから、ノズル孔(20)より空圧加圧噴射中に発生するエゼクタ効果などに基づく種子(A)の吸着を解消させて搬送部材(6)に確実に種子(A)を送り込むことができるものである。
【0028】
また、種子台(5)はノズル孔径の異なる複数のノズル(19)を交換取付自在に構成し、該ノズル孔(20)の大小に応じて種子台(5)上端のノズル平坦部(19a)の面積を大小に変更させたものであるから、種子(A)の大きさにノズル孔(20)及び種子台(5)上端の平坦部(19a)の面積を適正に対応させて、大形種子の場合低い吸着力で確実な吸着を行うと共に、小形種子の場合2粒吸着を防止して、確実な1粒吸着を行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 播種装置の側面図である。
【図2】 播種装置の正面図である。
【図3】 種子ホッパの種子取出説明図である。
【図4】 種子ホッパの断面説明図である。
【図5】 ノズル部の説明図である。
【図6】 播種部の説明図である。
【図7】 播種シャッタの説明図である。
【図8】 ノズル部の交換説明図である。
【図9】 傾斜ノズル孔を有するノズルの説明図である。
【図10】 空圧系統図である。
【図11】 制御回路図である。
【図12】 種子吸引制御のフローチャートである。
【図13】 種子台による種子取出説明図である。
【図14】 種子吸引制御のフローチャートである。
【図15】 種子吸引制御のフローチャートである。
【符号の説明】
(4)種子ホッパ
(5)種子台
(6)搬送パイプ(搬送部材)
(19a)平坦部
(20)ノズル孔
(A)種子
(α)角度
Claims (5)
- 種子ホッパ内に下側から種子台を突入させて、この上端のノズル孔に種子を吸着させて取出すようにした播種装置において、種子台の吸着停止後に、種子台のノズル孔より空気を加圧噴射させて種子を搬送部材内を流通させて播種位置まで搬送するように設けたことを特徴とする播種装置。
- 種子台のノズル孔より空気を加圧噴射中に、種子台を昇降動作させるように設けたことを特徴とする請求項1記載の播種装置。
- 種子台のノズル孔より空気を加圧噴射時に、断続的に加圧噴射させるように設けたことを特徴とする請求項1記載の播種装置。
- 種子台のノズル孔に一定の傾斜角度を保有させたことを特徴とする請求項1記載の播種装置。
- 種子台はノズル孔径の異なる複数のノズルを交換取付自在に構成し、該ノズル孔径の大小に応じて、種子台上端のノズル平坦部の面積を大小に変更したことを特徴とする請求項1記載の播種装置。
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