JP3108895B2 - 真空式播種装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はトレイ供給装置と養土充
填機と、播種機と、覆土機とを備え、トレイ供給装置か
ら供給される育苗用トレイを搬送コンベアによる搬送
中、該トレイに養土充填・播種・覆土・灌水の各作業を
行うようにした播種プラントの真空式播種装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、特開平１−２６２７１５号公報に
示す如く、種子ホッパ内の種子を吹出空気によって上方
に浮遊させ、吸引ノズルに種子を吸着させる技術があ
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記従来技術は、吸引
ノズル位置に種子ホッパを移動させ、種子ホッパの上方
に浮遊によって種子を吸引ノズル高さに持上げ、吸引ノ
ズルに種子を吸着させるから、種子ホッパ内の種子量、
並びに球形または偏平な楕円形または多角形など野菜の
種類によって異なる種子形状などによって変化し易い種
子の浮遊高さを略一定に保つ必要があり、また同一品種
の種子であっても自重または外形状が異なることによっ
て浮遊高さが不均一になり易く、そのため吸引ノズルに
種子が吸着 するのに必要な時間を容易に短縮し得ず、播
種作業能率の向上などを容易に図り得ない等の問題があ
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】然るに、本発明は、種子
ホッパ内の種子を吸引ノズルに吸着させて育苗用トレイ
に播種を行う真空式播種装置において、前記吸引ノズル
を種子ホッパの底部に向けてノズル挿入口を介して出入
自在に突入させ、上下反転自在に回動させる種子ホッパ
底部近くの種子を吸引ノズルに吸着させると共に、種子
ホッパのノズル挿入口に対向する底部に空気噴出孔を形
成したもので、種子ホッパの底部近くにノズル挿入口か
ら吸引ノズルを挿入し、かつ反転回動させる種子ホッパ
底部の空気噴出孔から空気を噴出させるから、種子ホッ
パ内の種子残量に関係なく吸引ノズルに種子を速やかに
吸着させ得ると共に、種子の粒形状または重さの相違に
よって浮遊力が不均一に作用しても、種子ホッパ底部の
狭少空間に吸引ノズルと空気噴出孔を対向させ、粒形状
または重さが異なったり不均一な種子を吸引ノズルに高
い吸着精度で速やかに吸着させ得、しかも上方側が種子
によって閉塞される種子ホッパ底部の限られた空間で種
子を浮遊させて吸引ノズルに種子を効率良く吸着させ
得、吸引ノズルに種子が吸着するのに必要な時間を従来
よりも容易に短縮し得、播種作業能率の向上などを容易
に図り得るものである。

【０００５】

【実施例】以下本発明の実施例を図面に基づいて詳述す
る。図１は種子ホッパの断面説明図、図２は全体の側面
図であり、同図中（１）は育苗箱（２）をそれぞれ受皿
として多段に育苗用トレイ（３）を収納するトレイ自動
供給装置、（４）は前記供給装置（１）の下方に送り始
端側に臨ませて供給装置（１）から供給される１枚毎の
トレイ（３）を後方に搬送する充填コンベア、（５）は
前記充填コンベア（４）の送り中間部に設けて養土ホッ
パ（６）内の養土を充填コンベア（４）上のトレイ
（３）に供給する養土充填機、（７）は前記充填コンベ
ア（４）の送り終端に送り始端を連設する播種コンベ
ア、（８）は前記播種コンベア（７）の送り中間部に設
けて該コンベア（７）上の養土充填後のトレイ（３）に
播種を行う真空播種機、（９）は前記播種コンベア
（７）の送り終端に送り始端を連設する覆土コンベア、
（１０）は前記覆土コンベア（９）の送り中間部に設け
て該コンベア（９）上の播種後のトレイ（３）に覆土を
行う覆土機であり、前記供給装置（１）からのトレイ
（３）を各コンベア（４）（７）（９）で搬送中、該ト
レイ（３）に養土充填・播種・覆土を行うように構成し
ている。なお、（１１）（１２）は養土充填後及び覆土
後のトレイ（３）に噴霧灌水を行う灌水装置である。

【０００６】図３乃至図４にも示す如く前記真空播種機
（８）は、トレイ（３）の各ポット（３ａ）に充填され
た養土表面に播種用の凹みである播種孔（Ａ）を形成さ
せる鎮圧体（１３）と、該鎮圧体（１３）の昇降を行う
鎮圧昇降機構（１４）と、播種用の種子（Ｂ）を貯留す
る種子ホッパ（１５）と、該ホッパ（１５）の供給口に
設けてホッパ（１５）を回動自在に支持する供給軸体
（１６）と、該軸体（１６）のノズル挿入口（１６ａ）
に先端ノズル口（１７ａ）を突入させて１粒の種子
（Ｂ）を真空吸引力でもって吸着取出しする吸引ノズル
（１７）と、前記ノズル挿入口（１６ａ）にノズル口
（１７ａ）を突入させるべく上下及び前後方向にノズル
（１７）を移動させるノズル移動機構（１８）と、前記
ノズル挿入口（１６ａ）にノズル口（１７ａ）突入時軸
体（１６）を中心としてホッパ（１５）の傾斜後端を上
方に回動させてノズル口（１７ａ）下方に種子（Ｂ）を
集合させるホッパ回動機構（１９）と、前記ノズル（１
７）でもってホッパ（１５）より取出した種子（Ｂ）を
放出落下させる播種ガイド口（２０）と、該ガイド口
（２０）に播種ホース（２１）を介して連通接続させて
ガイド口（２０）からの種子（Ｂ）を各ポット（３ａ）
内養土の播種孔（Ａ）に排出する播種口（２２）とを備
え、ホッパ（１５）内より種子（Ｂ）の１粒づつをノズ
ル（１７）の真空吸引力で吸着取出して１粒或いは２粒
播きの播種を行うように構成している。

【０００７】前記ノズル（１７）及びホース（２１）
は、該実施例の場合１０条形トレイ（３）に２条毎の播
種を行うためそれぞれ計２０本をノズル吸引本体筒（２
３）及び落下種子用回収枠（２４）にそれぞれ設けたも
のである。

【０００８】また、前記ホッパ（１５）の上方回動時に
ノズル口（１７ａ）下方の種子（Ｂ）を下からの微風で
もって浮遊させる空気噴出風路（２５）を、該ホッパ
（１５）の種子室（２６）一側のノズル挿入口（１６
ａ）の略下位置に隔壁（１５ａ）を介して一体形成する
もので、前記隔壁（１５ａ）における各ノズル（１７）
のノズル口（１７ａ）下方位置に、種子室（２６）と前
記風路（２５）とを連通させる空気噴出手段である各空
気噴出孔（２７）を形成して、これら噴出孔（２７）か
らの噴出空気でもって種子室（２６）の種子を浮遊させ
るとき、吸引ノズル（１７）に種子（Ｂ）を吸着させる
ように構成している。

【０００９】上記から明らかなように、種子ホッパ（１
５）内の種子（Ｂ）を吸引ノズル（１７）に吸着させて
育苗用トレイ（３）に播種を行う真空式播種装置におい
て、前記吸引ノズル（１７）を種子ホッパ（１５）の底
部に向けてノズル挿入口（１６ａ）を介して出入自在に
突入させ、上下反転自在に回動させる種子ホッパ（１
５）底部近くの種子（Ｂ）を吸引ノズル（１７）に吸着
させると共に、種子ホッパ（１５）のノズル挿入口（１
６ａ）に対向する底部に空気噴出孔（２７）を形成す
る。そして、種子ホッパ（１５）の底部近くにノズル挿
入口（１６ａ）から吸引ノズル（１７）を挿入し、かつ
反転回動させる種子ホッパ（１５）底部の空気噴出孔
（２７）から空気を噴出させ、種子ホッパ（１５）内の
種子（Ｂ）残量に関係なく吸引ノズル（１７）に種子
（Ｂ）を速やかに吸着させると共に、種子（Ｂ）の粒形
状または重さの相違によって浮遊力が不均一に作用して
も、種子ホッパ（１５）底部の狭少空間に吸引ノズル
（１５）と空気噴出孔（２７）を対向させ、粒形状また
は重さが異なったり不均一な種子（Ｂ）を吸引ノズル
（１７）に高い吸着精度で速やかに吸着させ、しかも上
方側が種子（Ｂ）によって閉塞される種子ホッパ（１
５）底部の限られた空間で種子（Ｂ）を浮遊させて吸引
ノズル（１７）に種子（Ｂ）を効率良く吸着させ、吸引
ノズル（１７）に種子（Ｂ）が吸着するのに必要な時間
を従来よりも短縮し、播種作業能率の向上などを図る。

【００１０】さらに、前記種子室（２６）の噴出孔（２
７）部と該室（２６）他側の種子投入口（２６ｂ）と間
に、開閉調節自在なシャッタ（２８）を設けて、噴出孔
（２７）部に送り込まれる種子量の調節を行うように構
成している。

【００１１】図５にも示す如く、前記風路（２５）には
ジョイント（２９）・手動開閉弁（３０）・サーボ弁
（３１）及び調圧弁（３２）を介して圧縮機（３３）を
連通接続させて、前記開閉弁（３０）によって手動によ
る開閉操作を行うと共に、前記サーボ弁（３１）によっ
てホッパ（１５）の上下動に基づく自動の開閉操作と種
子量に応じた流量（空気圧）制御を播種コントローラ
（３４）で行うように構成している。

【００１２】そして、前記種子ホッパ（１５）の外側
に、該ホッパ（１５）内の種子（Ｂ）残量を検出する一
対の発光素子（３５ａ）と受光素子（３５ｂ）とからな
る光電式種子残量センサ（３５）を設けると共に、前記
種子ホッパ（１５）及び回収枠（２４）の側板（３６）
に、ホッパ（１５）の上動を検出するホッパ上動位置セ
ンサ（３７）を設けて、これら各センサ（３５）（３
７）を前記コントローラ（３４）に電気接続して、前記
回動機構（１９）のロータリシリンダ（３８）・揺動ア
ーム（３９）・リンク（４０）などを介してホッパ（１
５）を一定角度回動して上動させる毎に、前記噴出孔
（２７）より適正流量（圧）の空気を一定時間噴出させ
るように構成している。

【００１３】本実施例は上記の如く構成するものにし
て、前記吸引ノズル（１７）を軸体（１６）のノズル挿
入口（１６ａ）に突入させての種子（Ｂ）吸着作業時に
おいては、ホッパ（１５）内の種子（Ｂ）を下からの噴
出空気でもって浮遊させるもので、図６のフローチャー
トに示す如く、今前記位置センサ（３７）がホッパ（１
５）の上動を検出するとき、サーボ弁（３１）を開とさ
せて、そのとき残量センサ（３５）が種子残量の適正以
上或いは以下を検出するとき、そのレベル値に応じた噴
出量となるように噴出量を増量或いは減量制御して、常
に種子残量に適正に対応させた微風力で種子（Ｂ）を浮
遊させる状態とさせて、吸引ノズル（１７）に確実に種
子（Ｂ）を吸着させる一方、該ノズル（１７）に種子吸
着後のホッパ（１５）下動時にはサーボ弁（３１）を閉
とさせて空気の噴出を停止させるものである。

【００１４】このようにホッパ（１５）の上動に同期さ
せて噴出させる空気風力で種子（Ｂ）を浮遊させること
によって、種子残量の多少や形状の変化に関係のない確
実にして精度良好な吸着が可能にできると共に、吸着に
要する時間を短いものとさせてサイクルタイムの短縮化
を図ることができて作業能率を向上させることができる
ものである。

【００１５】なお、前述実施例にあってはホッパ（１
５）の上動後にサーボ弁（３１）を開とさせて空気を噴
出させる構成を示したが、前記吸引ノズル（１７）を下
動させてノズル挿入口（１６ａ）に突入させたとき（ホ
ッパ（１５）の上動前）に空気を噴出させる構成でも良
い。

【００１６】

【発明の効果】以上実施例から明らかなように本発明
は、種子ホッパ（１５）内の種子（Ｂ）を吸引ノズル
（１７）に吸着させて育苗用トレイ（３）に播種を行う
真空式播種装置において、前記吸引ノズル（１７）を種
子ホッパ（１５）の底部に向けてノズル挿入口（１６
ａ）を介して出入自在に突入させ、上下反転自在に回動
させる種子ホッパ（１５）底部近くの種子（Ｂ）を吸引
ノズル（１７）に吸着させると共に、種子ホッパ（１
５）のノズル挿入口（１６ａ）に対向する底部に空気噴
出孔（２７）を形成したもので、種子ホッパ（１５）の
底部近くにノズル挿入口（１６ａ）から吸引ノズル（１
７）を挿入し、かつ反転回動させる種子ホッパ（１５）
底部の空気噴出孔（２７）から空気を噴出させるから、
種子ホッパ（１５）内の種子（Ｂ）残量に関係なく吸引
ノズル（１７）に種子（Ｂ）を速やかに吸着させること
ができると共に、種子（Ｂ）の粒形状または重さの相違
によって浮遊力が不均一に作用しても、種子ホッパ（１
５）底部の狭少空間に吸引ノズル（１５）と空気噴出孔
（２７）を対向させ、粒形状または重さが異なったり不
均一な種子（Ｂ）を吸引ノズル（１７）に高い吸着精度
で速やかに吸着させることがで き、しかも上方側が種子
（Ｂ）によって閉塞される種子ホッパ（１５）底部の限
られた空間で種子（Ｂ）を浮遊させて吸引ノズル（１
７）に種子（Ｂ）を効率良く吸着させることができ、吸
引ノズル（１７）に種子（Ｂ）が吸着するのに必要な時
間を従来よりも容易に短縮でき、播種作業能率の向上な
どを容易に図ることができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】種子ホッパの断面説明図。

【図２】全体の側面図。

【図３】播種機の説明図。

【図４】種子ホッパ部の説明図。

【図５】播種機コントローラ部の説明図。

【図６】フローチャート。

【符号の説明】

（３） トレイ （１５） 種子ホッパ（１６ａ） ノズル挿入口 （１７） ノズル（２７） 空気噴出孔 （Ｂ） 種子

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 種子ホッパ（１５）内の種子（Ｂ）を吸
   引ノズル（１７）に吸着させて育苗用トレイ（３）に播
   種を行う真空式播種装置において、前記吸引ノズル（１
   ７）を種子ホッパ（１５）の底部に向けてノズル挿入口
   （１６ａ）を介して出入自在に突入させ、上下反転自在
   に回動させる種子ホッパ（１５）底部近くの種子（Ｂ）
   を吸引ノズル（１７）に吸着させると共に、種子ホッパ
   （１５）のノズル挿入口（１６ａ）に対向する底部に空
   気噴出孔（２７）を形成したことを特徴とする真空式播
   種装置。