JP4224156B2 - 運動伝達機構 - Google Patents
運動伝達機構 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4224156B2 JP4224156B2 JP31261698A JP31261698A JP4224156B2 JP 4224156 B2 JP4224156 B2 JP 4224156B2 JP 31261698 A JP31261698 A JP 31261698A JP 31261698 A JP31261698 A JP 31261698A JP 4224156 B2 JP4224156 B2 JP 4224156B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- bracket
- motion
- transmission shaft
- motion transmission
- shaft
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Transmission Devices (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、相対回転運動する2部材間における運動伝達機構に関する。更に詳述すると、本発明は回転運動機構において複数の独立した運動系統をそれぞれ伝達する運動伝達機構の構造改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
相対回転する2部材間において互いに独立した複数系統の運動を伝達する伝達機構としては、例えばトライアルバイク(自転車)の前輪における前後ブレーキの伝達機構がある。
【0003】
この運動伝達機構は、図3に示すように、ハンドル108側に保持される操作ワイヤー103とフレーム110側に保持される操作ワイヤー104とを、ねじれ防止手段100を介して連結している。捻れ防止手段100は、ハンドル108周りに回転するディスク状の回転係合部材101と、この回転係合部材101を抱持する折り返し部を有する固定的なディスク状の固定係合部材102とから成り、回転係合部材101にはブレーキレバーに繋がる操作ワイヤー103が、固定係合部材102にはブレーキシューに繋がる操作ワイヤー104がそれぞれ接続されている。また、操作ワイヤー103はブラケット109を介してハンドル108に、操作ワイヤー104はブラケット111を介してフレーム110にそれぞれ支持され、それぞれハンドル108及びフレーム110との位置関係が固定されている。この回転係合部材101は回転していずれの向きにあっても固定係合部材102と係合しているため、操作ワイヤー103を引っ張ればこれら係合部材101,102を介していつでも操作ワイヤー104を引っ張ることができる。この場合、操作ワイヤー103は図示するように2点あるいはそれ以上の点で連結されるように少なくとも2股に形成されその先端が回転係合部材101に等間隔となるように接続されて引張時に回転係合部材101にこじれが起きないようにしている。
【0004】
一方、ハンドル108の中空部分には他のブレーキ系統106,107がより戻しのようなねじれ解消手段105を介して連結され、ハンドル108がいくら回転しても捻れないようにされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような回転運動機構における運動伝達機構では2系統までの運動しか伝達することができず、3以上の独立した運動系統を伝達することができない。
【0006】
また、適用しようとする部材例えばハンドルや椅子の脚部支柱などが太い場合には伝達機構のサイズが大型化してしまう。また外部にワイヤー103,104などの操作手段やそれらを支持するブラケット109,111及び捻れ防止手段100が露出してしまい、用途によっては見栄えが悪くなってしまう問題がある。
【0007】
加えて、このような運動伝達機構は回転部材と固定部材とを組み付ける際に中に一方の運動伝達系を組み込み、更に組み付け後に捻れ防止手段100や各ブラケット109,111などにワイヤー103,104などを組み付け調整することが必要となるため、ノックダウン方式での組立が難しいものであった。
【0008】
そこで本発明は、複数の運動系統の伝達が可能であって、簡単に組み付けられると共にその機構が外観が表れない運動伝達機構を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため。請求項1記載の発明は、第1の部材とこの第1の部材に対して相対的に回転可能に連結される第2の部材との間で複数の独立した軸方向の運動を伝達する運動伝達機構において、第1の部材及び第2の部材にそれぞれ設けられた複数の運動伝達系と連係して軸方向に変位が与えられる複数の運動伝達軸を相対回転の中心と同軸上に配置される重管構造とすると共に、各運動伝達軸の両端のうち、少なくとも第1の部材又は第2の部材に対して相対回転する端には、運動伝達軸の端に当接しかつ運動伝達系を連係可能として運動伝達軸と連係動作して運動作動方向を変える変向機構を備え、運動伝達軸は、その軸端位置が内側の運動伝達軸ほど突出し、運動伝達軸のうち最も内側の運動伝達軸以外の運動伝達軸と連系動作する変向機構は、当該連係動作する運動伝達軸よりも内側の運動伝達軸を跨ぐ形状に形成されている。
【0010】
したがって、第1の部材または第2の部材において運動が生じると、この運動は運動伝達系を通じて作用し、運動伝達軸を軸方向に変位させる。この場合、運動伝達軸は各運動系統に対応して複数設けられているため、運動系統が複数あってもそれぞれを他の運動系統の作用と無関係に独立して伝達することができる。
【0011】
加えて、これら複数の運動伝達軸は相対回転の中心と同軸上に配置されているため、第1の部材と第2の部材が相対回転していずれの相対位置にあっても常に運動伝達軸を媒介として運動を伝達することができる。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の運動伝達機構において、第1の部材及び第2の部材にそれぞれ取付け可能な第1のブラケット及び第2のブラケットとこれらを互いに相対回転可能に連結する主軸とを備え、主軸内に複数の運動伝達軸を同軸上に内蔵すると共に変向機構は各ブラケットに設けられている。
【0013】
したがって、一方のブラケットにおいて運動伝達機構が作動すると、その運動は変向機構によって方向を変えられ、各運動伝達軸を軸方向に連係動作させることによって他のブラケットに運動を伝達する。
【0014】
更に請求項3記載の発明では、最も内側の軸を除く各軸端にフランジを設けるようにしているため、変向機構との接触域が広く確保され、接触状態が良好に保たれている。
【0015】
また、請求項4記載の発明では、請求項2または3記載の運動伝達機構における主軸は少なくとも一端の外周面にテーパがつけられ、第1のブラケットあるいは第2のブラケットの少なくとも一方と着脱可能に設けられている。この場合、テーパを利用して第1のブラケット部材と第2のブラケットとを軸方向に引き抜くことにより分離させ、あるいは嵌合させて回転可能に支持させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1及び図2に、本発明の運動伝達機構1の一実施形態を示す。この運動伝達機構1は、第1の部材とこの第1の部材に対して相対回転可能に連結される第2の部材(あるいは第1の部材及び第2の部材にそれぞれ取付け可能な第1のブラケット及び第2のブラケット)との間で複数の独立した運動を伝達するものである。尚、本実施形態では、本発明を椅子の固定的な脚部2と回転可能な第2のブラケット3との間の連結手段として適用した場合について説明する。この場合、第1の部材たる椅子の脚部側に取り付けられる第1のブラケット2と、第2の部材たる座あるいは座受部などに取り付けられる第2のブラケット3とは、これらを連結して支える主軸たる回転支持部材16によって回転可能に支持されている。
【0018】
この第1のブラケット2と第2のブラケット3の間には第2のブラケット3の回転中心Cと同軸上に第2のブラケット3から第1のブラケット2まで回転支持部材16内を貫通する少なくとも2本の運動伝達軸(以下単に「伝達軸」という)4,5が配置されている。例えば本実施形態では図1に示すように最も内側に配置される中実あるいは中空の第1伝達軸4と、その外側に嵌合した状態で設けられる丸パイプからなる第2伝達軸5とが配置されている。第2伝達軸5は第1のブラケット2に設置された滑り軸受6によって軸方向に摺動可能に支持されると共に、第1伝達軸4はこの第2伝達軸5の内周面と摺接することによって独立して軸方向に摺動可能となるように設けられている。
【0019】
第2のブラケット3には、第1伝達軸4と第2伝達軸5に常に当接してこれらの運動作動方向を変える変向機構が設けられている。変向機構としては、例えば同じ揺動中心軸9上に設けられて伝達軸4,5の直線運動を揺動運動に変換して伝達するL型リンクからなる第1揺動部材7および第2揺動部材8が採用されている。第1揺動部材7は第1伝達軸4の直線運動を伝達し得るもので、第1伝達軸4の摺動範囲のいずれにおいてもそのレバー7aの下面を第1伝達軸4の端面4aに接触させながら揺動し得るように設けられている。同様に、第2揺動部材8は第2伝達軸5の摺動範囲のいずれにおいてもそのレバー8aの下面を端面5aに接触させ得るように設けられている。ただし、第2揺動部材8は第1揺動部材7と同軸上に設けられるため、図2に示すように当該第1伝達軸4を左右に跨ぐ形状に形成されて揺動運動中に互いが緩衝し合うのが防止されている。この場合、この第2揺動部材8を図2に示すような対称的な2股形状とせずに片側のみのクランク形状とすることもできるが、こじれを少なくした状態で揺動中心軸9上に安定して支持させる観点からすれば本実施形態のように2股状に形成することが好ましい。このような2股形状に形成された場合、第1伝達軸4がこの第2揺動部材8のレバー8aの2股の隙間を突き抜けることができるように、第2揺動部材8の2股部分は図2に示すように第1伝達軸4の外径より幅広の隙間を有するように形成されている。
【0020】
これら第1揺動部材7および第2揺動部材8は、上記したレバー7a,8aの他、ワイヤー10,11がそれぞれ連結されるワイヤーレバー7b,8bを備えることにより各ワイヤー10,11と連動して揺動するように形成されている。したがって、例えばワイヤー10に張力が働くとワイヤーレバー7bを介して第1揺動部材7が連動する一方で、第1揺動部材7が揺動したときはワイヤーレバー7bを介してワイヤー10を引っ張ることができる。尚、変向機構としては、特にL型リンクに限定されるものではなく、各ブラケット2,3が取り付けられる第1及び第2の部材に備えられる複数の各運動伝達系の末端例えばコントロールワイヤなどが容易に取り付けられその動きが各運動伝達軸に与えられる機構であればどのような形状あるあいは構造、材質などでも良い。
【0021】
また、第1伝達軸4は第2伝達軸5の端面5aよりも両端部が十分に突出するように長く形成され、第1伝達軸4が摺動したときにその端面4aに第1揺動部材7のレバー7aが常に接触するようにされている。即ち、運動伝達軸は、その軸端位置が内側の運動伝達軸ほど突出するように設けられている。
【0022】
さらに、第2伝達軸5の端部には第2揺動部材8のレバー8aと十分な面積をもって接触し得るようにフランジ5bが形成され、第2揺動部材8が第2のブラケット3が回転するのに伴って回転中心Cの周りを回転しても常に接触状態を保ち得るようにされている。即ち、最も内側の軸を除く各軸端にフランジを設けて各変向機構が当接し易いように設けられている。本実施形態ではこのフランジ5bは第2伝達軸5の端面に後付けされたワッシャによって構成されているが、この他、当初からこの第2伝達軸5の端部に一体形成されたフランジを用いることとしても良いのはいうでもない。なお、同様にして第1伝達軸4の端部にフランジを形成しても良いが、本実施形態のように平坦面とするだけでフランジを形成していなくても第1揺動部材7のレバー7aとの接触を十分に保ち得る。
【0023】
一方、第1のブラケット2側にも第2のブラケット3と同じ形状および構成とされた変向機構、即ち第1揺動部材12と第2揺動部材13が揺動中心軸21上に取り付けられている。この第1のブラケット2側の第1揺動部材12、第2揺動部材13はそれぞれ第1伝達軸4、第2伝達軸5の直線運動を揺動運度に変換して各ワイヤー14,15に運動を伝達し、また各ワイヤー14,15の運動をそれぞれ伝達軸4,5に伝達するように連動する。なお、回転可能な第2のブラケット3に対して固定的に設けられている第1のブラケット2では、このような揺動部材12,13を介さずに各ワイヤー14,15を直接第1伝達軸4および第2伝達軸5に取り付けることも可能である。すなわち、第2のブラケット3から上が回転しても第1のブラケット2や各伝達軸4,5が回転しない場合にあっては、ワイヤー14,15はこのように直接伝達軸4,5に取り付けられたとしてもねじれることがないため、その間に揺動部材12,13などを介在させなくても運動伝達機構1を構成することが可能である。
【0024】
また、本実施形態では、第1のブラケット2と第2のブラケット3とを相対回転可能に連結する主軸として回転支持部材16が上方に突出するように第1のブラケット2に形成されている。この回転支持部材16は第1伝達軸4および第2伝達軸5と同軸上に設けられる金属パイプであり、第1のブラケット2に対して軸受20を介して回転自在に支持されている。そして、第1及び第2の伝達軸4,5ともども3重管構造を形成している。また、回転支持部材16の上端の外周面には図1に示すように先細りのテーパ17が形成されると共に、この回転支持部材16に回転可能に支持される第2のブラケット3側の軸受18もその内周側に同形状のテーパ19が形成されている。これにより、第2のブラケット3はこの回転支持部材16から容易に装着することができると共に引き抜くことが可能とされている。したがって、第1のブラケット2を第1の部材例えば椅子の脚側に、第2のブラケット3を第2の部材たる座あるいは座受け部材側にそれぞれ予め組み付けておけば、第1のブラケット2から突出する回転支持部材16の先端に第2のブラケット3を載せるだけで簡単に組み立てること、即ちノックダウン方式でセットアップすることが可能となる。なお、本実施形態のように金属製とされた回転支持部材16に対しては、軸受18を樹脂製とすることがこれらの間における圧入あるいは取り外し時の摺動性を高めることができるため好ましい。
【0025】
また、特に図示していないが、上述のような運動伝達機構1においては当該機構を構成する部材のうちのいずれかが付勢手段によって一の方向に付勢されている。例えば本実施形態では、第1のブラケット2側の揺動部材12,13に連結された各ワイヤー14,15が矢示する方向に付勢されている。
【0026】
このように構成された運動伝達機構1では、第1のブラケット2と第2のブラケット3との間において独立した複数の運動が以下のように伝達される。まず、この運動伝達機構1を人為的に作用させる前の段階にあっては、第1のブラケット2側の揺動部材12,13は上述の付勢手段によって引っ張られて図1中実線で示す状態にあるため、各伝達軸4,5はこれら第1のブラケット2側の各揺動部材12,13のレバー12a,13aに押し上げられると共に、第2のブラケット3側の各揺動部材7,8は各レバー7a,8aが伝達軸4,5に押し上げられて実線に示すような状態となり第2のブラケット3側のワイヤー10,11をそれぞれを引っ張る。つまり、第1のブラケット2における各ワイヤー14,15の張力が、第1伝達軸4を中心に機能する第1の運動伝達機構および第2伝達軸5を中心に機能する第2の運動伝達機構のそれぞれを介して第2のブラケット3に伝達されている。
【0027】
ここで、第2のブラケット3側から第1のワイヤー10を引っ張ると、第1揺動部材7がワイヤーレバー7bが引っ張られることにより図1中想像線で示すように揺動し、レバー7aで第1伝達軸4を押し下げる。このとき、第1揺動部材7のレバー7aと第1伝達軸4とは常に接触し得る位置関係に設けられているため、第2のブラケット3が回転してどの方向を向いていてもこの第1揺動部材7を揺動させれば第1伝達軸4を押し下げて摺動させることができる。押し下げられた第1伝達軸4は第1のブラケット2側の第1揺動部材12のレバー12aを押し下げて想像線で示すように揺動させ、ワイヤーレバー12bを介して第1のブラケット2側の第1ワイヤー14を引っ張る。つまり、第2のブラケット3においてワイヤー10を引っ張ると第1の運動伝達機構が連動してこの引張運動を第1のブラケット2に伝え、最終的に第1のブラケット2側のワイヤー14を引っ張る運動として伝達される。また、第2のブラケット3側のワイヤー10の引っ張りを解除すれば第1のブラケット2側のワイヤー14が再び付勢手段によって引っ張られるから、この引っ張り力が第1の運動伝達機構を介して再び第2のブラケット3に伝達される。
【0028】
このような第1運動伝達機構における作用は第2の運動伝達機構の作用とはまったく無関係にあるものであり、完全に独立して運動を伝達する。これは第2の運動伝達機構からみても同様であり、第1のブラケット2と第2のブラケット3との間における運動に連動することによって第1の運動伝達機構1と無関係に運動を伝達し得る。このような運動伝達機構1が適用された椅子においては、例えば第1のブラケット2のキャスターが鉛直軸周りに回転するのをロックする機能を第1の運動伝達機構に割り当てると共に、当該キャスターの車輪が転がって椅子が移動するのをロックする機能を第2の伝達機構に割り当てることにより、第2のブラケット3からの操作で椅子を前後方向にのみ移動可能としたり、あるいは任意の位置で椅子の移動をロックすることができる。
【0029】
以上説明したように、本実施形態の運動伝達機構1によれば第1のブラケット2とこの第1のブラケット2に回転可能に連結された第2のブラケット3との間で2系統の独立した運動をそれぞれ別個に伝達することができる。しかもこの場合、第1伝達軸4および第2伝達軸5の端面4a,5aにレバー7a,8aを接触させ得る状態でその中心Cの周りを第1のブラケット2と共に回転する第1揺動部材7および第2揺動部材を備えているため、第1のブラケット2に対して第2のブラケット3が回転していずれの向きを向いていても運動を伝達することができる。
【0030】
また、この運動伝達機構1では第1のブラケット2と第2のブラケット3との間で運動を伝達し得る限り、各伝達軸4,5の外径は細く形成され得る。このため、このような椅子においては第2のブラケット3を支持する第1のブラケット2の支柱部分を細く形成することが可能となる。さらに本実施形態では回転支持部材16で伝達軸4,5の周囲を覆っているため、摺動する部材を外から見えなくして外観を向上させていることに加え、第1のブラケット2の上から回転支持部材16に嵌合させるように第2のブラケット3を載せるだけの組み付け作業を可能としているため、生産課程における組立作業を非常に簡便なものとすることが可能である。
【0031】
このような構成の運動伝達機構1は椅子に限らず、特に図示していないが例えばトライアルバイクと呼ばれる自転車のハンドル支持部においても実施可能である。この場合、固定的な本体フレームのハンドル支持部として本発明の第1の部材、回転自在なハンドルとして第2の部材を適用し、さらに前と後ろの各ブレーキ操作に2系統の運動伝達機構1のそれぞれを割り当てることにより、ハンドルを左右どちらの方向にも際限なく回転可能に設けるとともに、そのいずれの位置においてもハンドルのブレーキレバーを握ればブレーキワイヤーを介してこの運動を伝達し、前後ブレーキをそれぞれ確実に作動させることができる。
【0032】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば本実施形態では、独立した多系統の運動を伝達する態様の一例として2系統の運動を伝達する場合について説明したが、本発明によれば3系統以上の運動を独立して伝達することが可能なことはいうまでもない。例えば3系統の運動を伝達する場合にあっては、第2伝達軸5の外側に更にパイプから成る第3の伝達軸(図示省略)や第4の伝達軸などを必要に応じて填めて重管構造とすることによって必要数の複数の運動伝達を可能とする。また、最も内側の軸即ち第1の伝達軸4を除いて外側の伝達軸にはフランジが端部に設けられ尚かつ各端部が重ならないようにずらして配置されている。第3の伝達軸を設ける場合、その端面に常時接触可能なレバーを有する第3揺動部材を備えさせれば良い。この場合、特に図示していないが、この第3揺動部材は図2に示した第2揺動部材8の外側に位置する2股形状とすることが好ましい。またこの場合、第3伝達軸の端面は第2伝達軸5の端面よりも常に突出するように設けられ、揺動部材などの変向機構と常に当接状態を保つようにされる。これは4系統以上の運動を伝達する機構においても同じであり、いいかえれば、各伝達軸はその軸端位置が内側のものほど突出するように段階状に形成される。
【0033】
また、上述した実施形態では伝達軸4,5として中実または中空の丸軸が採用されていたが、第2のブラケット3が回転しても伝達軸4,5が回転しないような構成をとる場合には、これ以外の形状の伝達軸例えば矩形のパイプを採用することも可能である。この場合、例えば第2の伝達軸として用いられる矩形パイプの第2のブラケット3側の端面に外縁が円形であるフランジを形成するなどすれば、この矩形パイプに対して回転可能に設けられる第2揺動部材8のレバー8aとの接触を常に保つことができる。
【0034】
本実施形態では本発明の運動伝達機構1を椅子に適用した場合について説明したが、この機構は椅子やトライアルバイク以外であっても、少なくとも一方が回転する2部材間において複数系統の運動を伝達する手段として利用可能である。また、本実施形態では第1の部材2の例として固定的な椅子の第1のブラケットを挙げて説明したが、本発明は回転可能な一の部材とこの部材に対して相対的に回転し得るように連結される他の部材との間で運動を伝達する場合にも利用可能なものである。
【0035】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、請求項1記載の運動伝達機構によれば、第1の部材または第2の部材において生じた運動を運動伝達系を通じて運動伝達軸に伝え、これを軸方向に変位させることができる。この場合、運動伝達軸は各運動系統に対応して複数設けられているため、運動系統が複数あってもそれぞれを他の運動系統の作用と無関係に独立して伝達することができる。
【0036】
しかも、これら複数の運動伝達軸は相対回転の中心と同軸上に配置されているため、第1の部材と第2の部材が相対回転していずれの相対位置にあっても常に運動伝達軸を媒介として運動を伝達することができる。
また、運動伝達軸をその軸端位置が内側の運動伝達軸ほど突出するように設けているため、内側の運動伝達軸がそれより外側の運動伝達軸の端面よりも中に引っ込んでしまうことがなく、各伝達軸がいくら摺動運動しても各軸端面と変向機構との当接状態が常に保持され、いつでも運動を伝達することができる。
【0037】
また、請求項2記載の運動伝達機構によれば、第1のブラケットと第2のブラケット及びこれらを互いに相対回転可能に連結する主軸、そして運動作動方向を変える変向機構とを備えているので、一方のブラケットにおいて運動伝達機構が作動したときに、その運動方向を変向機構によって変え、各運動伝達軸を軸方向に連係動作させることによって他のブラケットに運動を伝達することができる。しかも、複数の運動伝達軸は主軸内に内蔵されているため組み付け後の機構の外観が表れないこととなり、栄えを向上させることができる。
【0038】
更に、請求項3記載の運動伝達機構では、最も内側の軸を除く各軸端にフランジを設けているため、変向機構との接触域が広く確保されて接触状態を良好に保つことができる。
【0039】
また、請求項4記載の運動伝達機構によれば、主軸は少なくとも一端の外周面にテーパがつけられ、第1のブラケットあるいは第2のブラケットの少なくとも一方と着脱可能に設けられているため、このテーパを利用して第1のブラケット部材と第2のブラケットとを軸方向に引き抜いて分離させ、あるいは嵌合させて回転可能に支持させることができる。したがって、組み付け後に捻れ防止ディスクや操作ワイヤーなどを組み付け調整することが不要となり、簡単に組み付けることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の運動伝達機構の一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】従来の運動伝達機構の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 運動伝達機構
2 第1のブラケット
3 第2のブラケット
4 第1伝達軸(運動伝達軸)
4a 第1伝達軸の端面
5 第2伝達軸(運動伝達軸)
5a 第2伝達軸の端面
5b フランジ
7 第1揺動部材(変向機構)
8 第2揺動部材(変向機構)
16 回転支持部材(主軸)
17 テーパ
C 相対回転の中心
Claims (4)
- 第1の部材とこの第1の部材に対して相対的に回転可能に連結される第2の部材との間で複数の独立した軸方向の運動を伝達する運動伝達機構において、前記第1の部材及び第2の部材にそれぞれ設けられた複数の運動伝達系と連係して軸方向に変位が与えられる複数の運動伝達軸を相対回転の中心と同軸上に配置される重管構造とすると共に、前記各運動伝達軸の両端のうち、少なくとも前記第1の部材又は前記第2の部材に対して相対回転する端には、前記運動伝達軸の端に当接しかつ前記運動伝達系を連係可能として前記運動伝達軸と連係動作して運動作動方向を変える変向機構を備え、前記運動伝達軸は、その軸端位置が内側の運動伝達軸ほど突出し、前記運動伝達軸のうち最も内側の運動伝達軸以外の運動伝達軸と連系動作する前記変向機構は、当該連係動作する運動伝達軸よりも内側の運動伝達軸を跨ぐ形状に形成されていることを特徴とする運動伝達機構。
- 前記第1の部材及び第2の部材にそれぞれ取付け可能な第1のブラケット及び第2のブラケットとこれらを互いに相対回転可能に連結する主軸とを備え、前記主軸内に前記複数の運動伝達軸を同軸上に内蔵すると共に前記変向機構は前記各ブラケットに設けられていることを特徴とする請求項1記載の運動伝達機構。
- 前記運動伝達軸は、最も内側の運動伝達軸を除く各軸端に前記変向機構が当接するフランジが設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の運動伝達機構。
- 前記主軸は少なくとも一端の外周面にテーパがつけられ、前記第1のブラケットあるいは第2のブラケットの少なくとも一方と着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項2または3記載の運動伝達機構。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31261698A JP4224156B2 (ja) | 1998-11-02 | 1998-11-02 | 運動伝達機構 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31261698A JP4224156B2 (ja) | 1998-11-02 | 1998-11-02 | 運動伝達機構 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000136864A JP2000136864A (ja) | 2000-05-16 |
JP4224156B2 true JP4224156B2 (ja) | 2009-02-12 |
Family
ID=18031354
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31261698A Expired - Fee Related JP4224156B2 (ja) | 1998-11-02 | 1998-11-02 | 運動伝達機構 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4224156B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4711554B2 (ja) * | 2001-07-17 | 2011-06-29 | スピードファム株式会社 | 加圧プレート用反転機構を備えた平面研磨装置 |
-
1998
- 1998-11-02 JP JP31261698A patent/JP4224156B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000136864A (ja) | 2000-05-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7152508B2 (ja) | 前2輪リーン車両 | |
JP2002087371A (ja) | 電動モータ及びギヤレジューサを備える自転車前輪変速装置 | |
JPH01502335A (ja) | 解放可能な駆動輪を備えた自動車並びにトレール及びキャスター角を調節するための装置 | |
KR20050084092A (ko) | 휘일체어 구동기구 | |
KR20130050248A (ko) | 베이비 카 | |
JPH0241450B2 (ja) | ||
US4272095A (en) | Child's wheeled riding toy | |
JP4224156B2 (ja) | 運動伝達機構 | |
EP1590225B1 (en) | Locking/release device | |
JPH02138572A (ja) | 手動変速機の変速操作装置 | |
JPS6220761A (ja) | 車両の操向装置におけるストツパ機構 | |
JP5489042B2 (ja) | 自転車を制御するための機械的リンク機構 | |
JP2011143768A (ja) | 二・三輪車用ブレーキ装置 | |
KR20100126607A (ko) | 조향에 따라 틸팅되는 복합 삼륜자전거 | |
EP1336545A1 (en) | Stroller or baby carriage with improved wheel braking system | |
US5540308A (en) | Parking lock for vehicle | |
US357110A (en) | Velocipede | |
JPH04159180A (ja) | 前後輪駆動型車両の前輪懸架装置 | |
JP2000272591A (ja) | 複座用操縦席の操縦用ペダル | |
JP5063569B2 (ja) | 作業車両 | |
JPH0414268Y2 (ja) | ||
JP2896501B2 (ja) | 圃場内運搬機の舵取り装置 | |
JPH044268Y2 (ja) | ||
JPH08207736A (ja) | 移動農機の制動装置 | |
JPH0315380Y2 (ja) |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051021 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080529 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080716 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080916 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20081112 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20081121 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111128 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141128 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |