JP4223715B2 - 薄板用収納・保管容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓋体と容器本体とのシール性及び蓋体の着脱性を向上させた薄板用収納・保管容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
薄板用収納・保管容器としては、半導体シリコンウエハを内部に収納して輸送する容器が一般的に知られている。このようなウエハ収納・輸送容器では、収納したウエハ表面の汚染等を防止するために、容器内を清浄に保って輸送することが重要である。このため、容器内は密封されている。即ち、蓋体を容器本体に固定して、容器本体内を密封している。蓋体と容器本体との密封は通常、蓋体と容器本体との間にシール材を設けて行う。このシール材は、蓋体の周縁部に取り付けられ、蓋体が容器本体に押し付けられる力を利用して容器本体に弾性的に当接され、内部を密封している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のような薄板用収納・保管容器においては、蓋体と容器本体との間にある程度の隙間を有しているため、シール材は実質的に外部に晒されている。このため、外部よりゴミが侵入することがある。このゴミは、シール材と容器本体との当接部にも侵入してくる。この場合、蓋体が容器本体に取り付けられた状態では特に問題にならないが、蓋体を容器本体から取り外すときに問題が生じる。即ち、蓋体を容器本体から取り外す際に、一時的に容器本体内が負圧になって、シール材と容器本体との当接部の隙間から外気が容器本体内に流入してしまうことがある。そして、シール材と容器本体との当接部にゴミが侵入していた場合は、そのゴミが容器本体内に侵入してしまうという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、蓋体と容器本体とのシール性及び蓋体の着脱性を向上させた薄板用収納・保管容器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために第1の発明に係る薄板用収納・保管容器は、複数枚の薄板を収納支持する容器本体と、当該容器本体を塞いで内部を清浄に保つ蓋体と、当該蓋体に設けられて蓋体を容器本体側に固定する蓋体固定手段とを備えて構成された薄板用収納・保管容器において、上記蓋体固定手段が、出没動可能に且つ先端部が回動可能に形成されて、上記容器本体側に形成された蓋体引き込み面に当接して回転しながら上記蓋体を上記容器本体側へ引き込む係止片と、回転することで上記係止片を上記蓋体から出没動させるクランク機構とを備えて構成され、上記クランク機構が、上記係止片に直接的に係合されて回転することで当該係止片を出没動させる回転板と、当該回転板の回転を支持する支持片とを備え、上記支持片が、上記係止片を上記蓋体から延出させた状態で上記回転板に複数設けられた係止ピンを個別に嵌合支持するピン受け部と、当該複数のピン受け部をそれぞれ弾性的に支持して上記回転板を設定角度及び設定位置に整合させる弾性支持部とを備えて構成されたことを特徴とする。
【0006】
以上の構成により、上記クランク機構が回転することで上記係止片を上記蓋体から出没動させ、この係止片が、蓋体引き込み面に当接して回転しながら上記蓋体を上記容器本体側へ引き込む。これにより、蓋体が容器本体側へ引き込まれて、固定される。また、係止片を蓋体から延出させた状態で、支持片のピン受け部が、回転板に複数設けられた係止ピンを個別に嵌合支持する。このとき、ピン受け部は弾性支持部で弾性的に支持され、回転板を設定角度及び設定位置に整合させて、弾性的に支持する。これにより、蓋体着脱装置の着脱腕部のT字型先端部と、薄板用収納・保管容器とが多少位置ずれを起こしても、支持片が回転板を弾性的に支持することでずれを吸収する。
【0007】
第2の発明に係る薄板用収納・保管容器は、第1の発明に係る薄板用収納・保管容器において、上記係止片が、上記蓋体から出没動するラッチシャフトと、当該ラッチシャフトの先端に回動可能に取り付けられ、上記容器本体側から上記ラッチシャフト側へ向けて且つ上記容器本体の開口部の外側へ開くように傾斜して上記容器本体側に形成された蓋体引き込み面に当接して上記ラッチシャフトの延出により回転しながら蓋体を上記容器本体側へ引き込むラッチローラとを備えて構成されたことを特徴とする。
【0008】
以上の構成により、蓋体固定手段のラッチシャフトが蓋体から延出されることで、ラッチシャフトの先端のラッチローラが記容器本体側の蓋体引き込み面に当接する。この状態で、さらにラッチシャフトが延出されると、ラッチローラは蓋体引き込む面に当接して回転しながら押し込まれる。これにより、蓋体が容器本体側へ引き込まれて、固定される。
【0011】
第3の発明に係る薄板用収納・保管容器は、第1または第2の発明に記載の薄板用収納・保管容器において、上記容器本体に小孔を設けると共に、当該容器本体の内外側間で塵埃を除いて空気のみの出入りを許容するフィルタを設け、当該フィルタの外側にカバーを設けたことを特徴とする。
【0012】
上記構成により、薄板用収納・保管容器を移動したり種々の場所に置いたりする場合に、フィルタが何かに接触して破れるのを防止する。
【0013】
第4の発明に係る薄板用収納・保管容器は、第1乃至第3の発明のいずれかに記載の薄板用収納・保管容器において、上記容器本体内に収納される複数枚の薄板を一定間隔を空けて1枚ずつ支持する櫛歯を備えた薄板支持部のうち最上段にさらに薄板一枚分の櫛歯を設けたことを特徴とする。
【0014】
上記構成により、最上段にさらに薄板一枚分の櫛歯を設けて、不要な薄板を最上段の薄板のカバーとして使用する。これにより、最上段の薄板への塵埃等の付着を防止することができる。
【0015】
第5の発明に係る薄板用収納・保管容器は、上記蓋体引き込み面が、上記クランク機構で上記蓋体から出没動される上記係止片を直接的に押して間接的に上記蓋体を上記容器本体側に押圧することを特徴とする。
【0016】
上記構成により、上記蓋体引き込み面が上記係止片を直接的に押して間接的に上記蓋体を上記容器本体側に押圧して、上記蓋体を上記容器本体側に固定する。
【0017】
第6の発明に係る薄板用収納・保管容器は、上記係止ピンが、上記回転板の裏面に取り付けられ、上記支持片に係合して上記回転板の位置及び角度を調整することを特徴とする。
【0018】
上記構成により、上記係止ピンが、上記支持片に係合して上記回転板の位置及び角度を調整して、係止片を設定位置に出没動さて、上記蓋体を上記容器本体側に固定する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
本実施形態では、薄板としての半導体シリコンウエハを収納して輸送する半導体シリコンウエハ用収納・保管容器を例に説明する。
【0021】
この半導体シリコンウエハ収納・保管容器1は、図2、図3及び図12に示すように、内部に半導体シリコンウエハSを多数枚収納支持する容器本体2と、この容器本体2内の対向する側壁にそれぞれ設けられ、内部に収納された多数枚の半導体シリコンウエハSを一定間隔を空けて両側から1枚ずつ保持する薄板支持部としてのウエハ支持部3と、容器本体2の開口部を気密に塞いで内部を清浄に保つ蓋体4とを有して構成されている。
【0022】
容器本体2は、全体をほぼ立方体状に形成されている。容器本体2の側壁の内側にはウエハ支持部3が取り付けられている。
【0023】
容器本体2の一側(図12中の上側)の端壁には、製造ライン等に設けられた搬送装置(図示せず)で搬送される際にその腕部で掴まれる搬送用フランジ部7が設けられている。容器本体2の他側の端壁には、図2に示すように、自己の載置位置を正確に調整するための位置決め用嵌合部8が設けられている。
【0024】
また、両側壁には、作業者が手で持って容器本体2を持ち運んだり縦にしたり横にしたりするためにハンドル9が設けられている。
【0025】
容器本体2の前端部(図12の左側端部)には、蓋体4が嵌合するための蓋体受け部11が設けられている。この蓋体受け部11は、図1、図4、図5及び図6に示すように、容器本体2の端部を蓋体4に合わせて拡大されて形成されている。この蓋体受け部11は、後述する二重シール機構65に合わせて2段に形成されている。具体的には、内側段部12と外側段部13とから構成されている。
【0026】
内側段部12は、容器本体2の側壁の前端から外周へ広げられて形成されている。この内側段部12は、二重シール機構65の内側シール片66が当接される内側シール受け部15を構成している。内側シール受け部15には、内側シール片66の先端の膨らみ部66Cが嵌合する嵌合溝16が形成されている。内側段部12はそのまま延長されて把持用フランジ17が構成されている。この把持用フランジ17は、容器本体2が搬送装置で搬送されるときに把持されるフランジである。
【0027】
外側段部13は、内側段部12の外側(図1中の右側)に蓋体4の厚み分だけずらして形成されている。この外側段部13は、二重シール機構65の外側シール片67が当接される外側シール受け部18を構成している。
【0028】
内側段部12と外側段部13との間には、ローラ受け穴21が設けられている。このローラ受け穴21は、後述するラッチローラ42に対応して4カ所に設けられている。ローラ受け穴21は、ラッチローラ42が収納できる大きさに設定されいる。ローラ受け穴21の外側面22は、蓋体支持面22Aと、蓋体引き込み面22Bとから構成されている。蓋体支持面22Aは、水平面状(垂直面状)に形成され、ラッチローラ42が完全にはまり込んだ状態で当接することにより、蓋体4を容器本体2側に固定して支持するようになっている。蓋体引き込み面22Bは、ラッチローラ42側へ向けて外側へ開くように傾斜して形成されている。これにより、蓋体引き込み面22Bは、直接的にラッチローラ42を押して間接的に蓋体4を容器本体2側に押圧するようになっている。即ち、後述するラッチシャフト41の延出によりラッチローラ42がローラ受け穴21に侵入してくると、ラッチローラ42は蓋体引き込み面22Bに当接して回転しながら傾斜面を奥へ進み、図1の状態から図6に状態のように蓋体4を容器本体2側へ引き込むようになっている。外側段部13の周囲にはもう一段の段差部24を有して外側端面25が形成されている。そして、ラッチローラ42がローラ受け穴21の蓋体支持面22Aに当接して蓋体4が容器本体2に取り付けられた状態で、容器本体2の外側端面が蓋体4の外側端面と面一になるように設定されている。
【0029】
蓋体4は、図1〜図6に示すように、中空の厚板状に構成されている。具体的には、浅い皿状の本体部27と、本体部27を塞ぐ蓋板部28とから構成されている。皿状の本体部27の周縁には、内側ガスケット支持溝29と、外側ガスケット支持溝30が設けられている。
【0030】
内側ガスケット支持溝29は、本体部27の周縁の内側面(図1の左側面)に環状に形成されている。後述する断面L字型の内側シール片66は、その基端部が内側ガスケット支持溝29に嵌合支持された状態で、法線方向外方へ延出される。本体部27の周縁の内側面(図1中の左側面)のうち、内側ガスケット支持溝29の法線方向外方(図1中の上方)には、内側シール片66の外側面に当接して押圧するシール押圧部32が環状に形成されている。このシール押圧部32が内側シール片66の外側面を押圧することで、シール押圧部32と容器本体2側の内側シール受け部15とで内側シール片66を挟み持つようになっている。
【0031】
外側ガスケット支持溝30は、本体部27の周縁の外側部(図1の右側部分)に環状に形成されている。この外側ガスケット支持溝30は、法線方向外方へ向けて開口した環状溝として構成されている。外側ガスケット支持溝30の外側壁30Aは、外側シール片67を覆って保護するように拡大して形成されている。
【0032】
内側ガスケット支持溝29と外側ガスケット支持溝30との間には、4カ所の位置にシャフト穴34が設けられている。このシャフト穴34は、後述するラッチシャフト41を摺動自在に支持するための穴である。シャフト穴34には軸受け35が取り付けられている。この軸受け35は、ラッチシャフト41のローラ支持部41Bとほぼ同じ寸法に設定されて、摺動部分にあまり隙間が生じないように設定されている。これは、本体部27内で塵埃等が発生してもその塵埃等が内側シール片66側に侵入しないようにするためである。
【0033】
本体部27内には、図1、図5〜図10に示すように、蓋体4を容器本体2側に固定するための蓋体固定手段37が設けられている。この蓋体固定手段37は、係止片38と、クランク機構39とから構成されている。
【0034】
係止片38は、ラッチシャフト41と、ラッチローラ42とから構成されている。ラッチシャフト41は、蓋体4の本体部27から直線的に出没動するシャフトである。ラッチシャフト41は、金属棒部41Aと、ローラ支持部41Bと、クランク係止部41Cとから構成されている。金属棒部41Aはラッチシャフト41の強度を保持するための部材である。ローラ支持部41Bは、合成樹脂で成形され、本体部27の軸受け35に摺動自在に挿入されてラッチシャフト41の出没動を支持する。クランク係止部41Cは、後述する回転板45の出没用長穴47に係止するための部材である。このクランク係止部41Cの先端部には回転板45の出没用長穴47にはまり込む係合ピン41Dが設けられている。
【0035】
ラッチローラ42は、摩擦することなく容器本体2側に係止して蓋体4を容器本体2側に固定するための部材である。このラッチローラ42はローラ支持部41Bの先端に回動可能に取り付けられている。
【0036】
クランク機構39は、回転することで、係止片38を蓋体4から出没動させるための部材である。このクランク機構39は、回転板45と、支持片46とから構成されている。
【0037】
回転板45は、係止片38に係合されて、回転することで係止片38を出没動させるための部材である。この回転板45は円盤状に形成され、中心に向かって螺旋状に延びる2つの出没用長穴47が設けられている。この出没用長穴47にラッチシャフト41のクランク係止部41Cが係止され、回転板45の回転によりクランク係止部41Cが回転板45の中心に引き寄せられたり周縁に押しやられたりして係止片38を出没させる。回転板45の表面の心には嵌合凹部49が設けられている。この嵌合凹部49は、周囲を隆起させることで窪ませて形成されている。嵌合凹部49は、蓋体着脱装置(図示せず)の着脱腕部のT字型先端部が嵌合する部分である。
【0038】
回転板45の裏面には、3カ所の位置に係止ピン51が取り付けられている。この係止ピン51は、後述する支持片46に係合して回転板45の位置及び角度を調整するための部材である。回転板45の裏面の中央には回転軸52が設けられている。
【0039】
支持片46は、回転板45の回転を支持するための部材である。この支持片46は、U字状固定部54と、ピン受け部55と、弾性支持部56と、回転軸穴57とから構成されている。
【0040】
U字状固定部54は、支持片46自体を蓋体4側に固定するための部材である。U字状固定部54は、回転軸穴57の周囲の3カ所に設けられ、蓋体4側の固定具59にそれぞれ取り付けられて、支持片46を蓋体4側に固定している。
【0041】
ピン受け部55は、回転板45を設定角度で支持するための部材である。即ち、係止片38を蓋体4から延出させた状態で、回転板45の係止ピン51を嵌合支持して、回転板45を設定角度及び設定位置で支持するための部材である。このピン受け部55はV字型に形成されて、係止ピン51に嵌合する。ピン受け部55は、回転板45の裏面の3カ所の位置に設けられた係止ピン51にそれぞれ対応して3カ所に設けられている。
【0042】
弾性支持部56は、各ピン受け部55をそれぞれ弾性的に支持するための部材である。この弾性支持部56は、隣り合うU字状固定部54の先端間に掛け渡された棒材で構成されている。この弾性支持部56は、弾性を有し、その基端部が各U字状固定部54に支持された状態で先端部でピン受け部55を弾性的に支持する。これにより、弾性支持部56は、各ピン受け部55を設定位置に弾性的に支持して、このピン受け部55に嵌合された係止ピン51を介して回転板45を設定角度及び設定位置に整合させて支持するようになっている。なお、60,61は回転板45の回転を規制するためのストッパである。このストッパ60,61に係止ピン51が当接することで、回転板45が必要以上に回転しないように規制されている。
【0043】
回転軸穴57は、回転板45の回転を支持するための部材である。この回転軸穴57の内径は、回転板45の回転軸52の外径よりも僅かに大きく設定されて、回転板45にあそびが設けられている。このあそびによって、半導体シリコンウエハ収納・保管容器1と蓋体着脱装置の着脱腕部のT字型先端部との位置が多少ずれている場合でも、それを吸収できるようになっている。
【0044】
蓋体固定手段37は本体部27内の2カ所に位置に設けられ、4つの係止片38を蓋体4の四隅近傍から出没させることができるようになっている。
【0045】
蓋板部28は蓋体固定手段37を内蔵した本体部27を覆って塞ぐ部材である。蓋板部28は、四角形平板状に形成され、蓋体着脱装置の着脱腕部のT字型先端部が挿入される長穴63が設けられている。この長穴63は、本体部27内に2つ設けられた蓋体固定手段37の各係止片38に対応して2カ所に設けられている。これにより、蓋体着脱装置の着脱腕部の2つのT字型先端部が各長穴63から挿入されて本体部27内の蓋体固定手段37の各嵌合凹部49にそれぞれ嵌合するようになっている。
【0046】
蓋体4の周縁部には、容器本体2内を密封する二重シール機構65が設けられている。この二重シール機構65は、内側シール片66と、外側シール片67とから構成されている。
【0047】
内側シール片66は容器本体2内を密封するための部材である。この内側シール片66は、蓋体4の周縁部に取り付けられて容器本体2側に当接することで容器本体2内を密封するようになっている。内側シール片66は、断面L字状でほぼ環状平板状に形成され、蓋体4の内側ガスケット支持溝29に嵌合する支持部66Aと、容器本体2側と蓋体4側とで挟まれて容器本体2内を密封する延出部66Bとから構成されている。支持部66Aが蓋体4の内側ガスケット支持溝29に嵌合することで、内側シール片66が蓋体4側に支持されている。支持部66Aが蓋体4の内側ガスケット支持溝29に嵌合された状態で、延出部66Bが法線方向外方へ延出して設けられている。延出部66Bは、法線方向外方へ延出して設けられた状態で、シール押圧部32を覆って設けられている。延出部66Bの先端には、嵌合溝16に嵌合する膨らみ部66Cが形成されている。膨らみ部66Cは、延出部66Bの先端を断面円形状に膨らませて形成されている。
【0048】
外側シール片67は、内側シール片66と容器本体2との当接部を密封するための部材である。この外側シール片67は、ほぼ環状平板状に形成され、蓋体4の外側ガスケット支持溝30嵌合されている。これにより、内側シール片66の外側を覆って取り付けられている。外側シール片67は、基端嵌合部67Aと、先端当接部67Bとから構成されている。基端嵌合部67Aは、蓋体4の外側ガスケット支持溝30に嵌合されて、外側シール片67を蓋体4側に支持している。先端当接部67Bは、容器本体2側の外側段部13に当接することで、内側シール片66と容器本体2側の内側シール受け部15との当接部を密封している。
【0049】
蓋体4の内側面には、図4に示すように、ウエハ押え71が取り付けられている。
【0050】
容器本体2の載置面には、図2及ぶ図11に示すように、小孔(図示せず)が設けられ、フィルタ72が取り付けられている。このフィルタ72は、容器本体2の内外側間で塵埃を除いて空気のみの出入りを許容するための部材である。このフィルタ72の外側には、フィルタ72を保護するためのカバー73が設けられている。このカバー73は、フィルタ72の周囲を覆う環状部74と、この環状部74から中心に向けて延出されてフィルタ72を覆う放射状保護腕部75とから構成されている。
【0051】
容器本体2内に取り付けられたウエハ支持部3は、図12に示すように、一定間隔を空けて並列に多数枚配設されて各半導体シリコンウエハSを1枚ずつ一定間隔を空けて支持する櫛歯5を備えて構成されている。容器本体2内に支持される半導体シリコンウエハSの枚数は規格で決められているため、櫛歯5はそれに応じた枚数が設けられている。さらに、櫛歯5のうち最上段のさらにその上に、半導体シリコンウエハS一枚分の櫛歯5が設けられている。これは、最上段の半導体シリコンウエハSを保護するためである。即ち、複数枚収納される半導体シリコンウエハSのうち最上段の半導体シリコンウエハSの上側面に塵埃等が付着することが少なくないため、最上段の半導体シリコンウエハSの上側面の不要な半導体シリコンウエハSを収納しておけば、塵埃等はその不要な半導体シリコンウエハSに付着して上記最上段の半導体シリコンウエハSへの塵埃等の付着を防止することができるためである。
【0052】
[動作]
以上のように構成された半導体シリコンウエハ収納・保管容器1は、次のようにして使用される。
【0053】
容器本体2内に半導体シリコンウエハSを収納する場合はまず、蓋体着脱装置の着脱腕部の2つのT字型先端部が各長穴63から挿入されて蓋体固定手段37の回転板45の嵌合凹部49にそれぞれ嵌合される。このとき、回転板45は支持片46で弾性的に支持されて、設定角度及び設定位置に整合されているため、T字型先端部は、嵌合凹部49に接触することなく、スムーズに嵌合する。この状態で、T字型先端部が回転され、ラッチシャフト41を介してラッチローラ42が蓋体4内に引き込まれる。これにより、ラッチローラ42がローラ受け穴21から外れて蓋体4の固定が解除され、蓋体着脱装置が蓋体4を容器本体2から外す。
【0054】
次いで、容器本体2内に半導体シリコンウエハSを搬送装置で装着する。このとき、設定枚数の半導体シリコンウエハSが装着されたあと、塵埃等で汚染されてよい不要な半導体シリコンウエハSを最上段に装着する。
【0055】
次いで、蓋体着脱装置が蓋体4を容器本体2に取り付ける。具体的には、まず蓋体4を容器本体2の蓋体受け部11に挿入し、蓋体固定手段37の回転板45を回転させる。これにより、ラッチシャフト41が蓋体4から外方に延出され、ラッチローラ42がローラ受け穴21の蓋体引き込み面22Bに当接する。さらに、当接したまま押し込まれる。ラッチローラ42は蓋体引き込み面22Bに圧接した状態で蓋体支持面22Aまで押し込まれ、蓋体4が図1の状態から図6の状態まで引き込まれて固定される。これにより、二重シール機構65の内側シール片66が内側シール受け部15に当接すると共に外側シール片67が外側シール受け部18に当接する。さらに、内側シール片66の膨らみ部66Cは嵌合溝16に嵌合し、延出部66Bは内側シール受け部15とシール押圧部32とで挟まれて、容器本体2内が確実に密封される。また、外側シール片67と外側シール受け部18が当接することで、内側シール片66と内側シール受け部15との当接部が密封され、搬送時に外部から塵埃等が内側シール片66と内側シール受け部15との当接部に侵入することがなくなる。
【0056】
この状態で、回転板45の嵌合凹部49は長穴63に整合しており、T字型先端部はそのまま引き抜かれる。半導体シリコンウエハ収納・保管容器1は所定場所に搬送される。
【0057】
このとき、塵埃等が半導体シリコンウエハ収納・保管容器1の周囲に浮遊しても、外側シール片67が外側シール受け部18に当接しているため、内側シール片66と内側シール受け部15との当接部に侵入することはない。
【0058】
目的地で蓋体4を外すときは、蓋体着脱装置の着脱腕部の2つのT字型先端部を各長穴63から挿入して蓋体固定手段37の回転板45の嵌合凹部49に嵌合させる。このとき、回転板45は支持片46で弾性的に支持されて、設定角度及び設定位置に整合されているため、T字型先端部は、嵌合凹部49に接触することなく、スムーズに嵌合する。この状態で、T字型先端部が回転され、ラッチローラ42をローラ受け穴21から外して蓋体4の固定が解除し、蓋体着脱装置が蓋体4を容器本体2から外す。
【0059】
このとき、蓋体4を容器本体2から外す際に瞬間的に容器本体2内が負圧になって内側シール片66の外側の空気が容器本体2内に流入しても、内側シール片66と内側シール受け部15の接触部分に塵埃等はほとんど存在せず、容器本体2内の塵埃等が侵入することがなくなる。
【0060】
また、半導体シリコンウエハ収納・保管容器1は、搬送時に種々の場所に載置されるが、フィルタ72にはカバー73が設けられているため、破損することはない。
【0061】
[効果]
以上のように、二重シール機構65を備えたので、蓋体4の取り外し時にゴミが容器本体2内に侵入するのを確実に防止することができる。
【0062】
また、内側シール片66は、内側シール受け部15とシール押圧部32とで挟まれるので、容器本体2内を確実に密封することができる。
【0063】
内側シール片66の先端の膨らみ部66Cが、容器本体2側の内側シール受け部15の嵌合溝16に嵌合するので、容器本体2内を確実に密封することができる。
【0064】
蓋体固定手段37のラッチシャフト41が蓋体4から延出されることで、ラッチシャフト41の先端のラッチローラ42が容器本体2側のローラ受け穴21の蓋体引き込み面22Bに当接して回転しながら押し込まれることで、蓋体4が容器本体2側へ引き込まれるので、蓋体4を容器本体2に確実に固定することができる。
【0065】
支持片46が回転板45を弾性的に支持して回転板45を設定角度及び設定位置に整合させるため、蓋体着脱装置の着脱腕部のT字型先端部と、薄板用収納・保管容器とが多少位置ずれを起こしても、そのずれを吸収して、蓋体4の着脱をスムーズに行うことができる。
【0066】
フィルタ72の外側にカバー73を設けたので、薄板用収納・保管容器を移動したり種々の場所に置いたりする場合でも、フィルタ72が何かに接触して破れることがなくなる。
【0067】
不要な半導体シリコンウエハSを最上段の半導体シリコンウエハSのカバーとして使用するため、最上段の半導体シリコンウエハSへの塵埃等の付着を防止することができる。
【0068】
[変形例]
(1) 上記実施形態では、薄板として半導体シリコンウエハSを例に説明したが、これに限らず、液晶用ガラス板や記憶ディスク等の、ガスや微粒子等による悪影響を受けるおそれのある薄板であれば、本発明の薄板用収納・保管容器を適用することができる。
【0069】
(2) 上記実施形態では、支持片46の弾性支持部56を隣り合うU字状固定部54に接続したが、必要な弾性を確保するために、他の形状にしてもよい。例えば、図13のように、弾性支持部56Aを途中で切断して、より大きな弾性を得るようにしてもよい。
【0070】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の薄板用収納・保管容器によれば次のような効果を奏する。
【0071】
二重シール機構を備えたので、蓋体の取り外し時にゴミが容器本体内に侵入するのを確実に防止することができる。
【0072】
また、内側シール片は、内側シール受け部とシール押圧部とで挟まれるので、容器本体内を確実に密封することができる。
【0073】
内側シール片の先端の膨らみ部が、容器本体側の内側シール受け部の嵌合溝に嵌合するので、容器本体内を確実に密封することができる。
【0074】
蓋体固定手段のラッチシャフトが蓋体から延出されることで、ラッチシャフトの先端のラッチローラが容器本体側のローラ受け穴の蓋体引き込み面に当接して回転しながら押し込まれることで、蓋体が容器本体側へ引き込まれるので、蓋体を容器本体に確実に固定することができる。
【0075】
支持片が回転板を弾性的に支持して回転板を設定角度及び設定位置に整合させるため、蓋体着脱装置の着脱腕部のT字型先端部と、薄板用収納・保管容器とが多少位置ずれを起こしても、そのずれを吸収して、蓋体の着脱をスムーズに行うことができる。
【0076】
フィルタの外側にカバーを設けたので、薄板用収納・保管容器を移動したり種々の場所に置いたりする場合でも、フィルタが何かに接触して破れることがなくなる。
【0077】
不要な半導体シリコンウエハを最上段の半導体シリコンウエハのカバーとして使用するため、最上段の半導体シリコンウエハへの塵埃等の付着を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体シリコンウエハ収納・保管容器の蓋体受け部を示す要部断面図である。
【図2】本発明に係る半導体シリコンウエハ収納・保管容器を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る半導体シリコンウエハ収納・保管容器を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る半導体シリコンウエハ収納・保管容器の蓋体受け部を示す要部斜視図である。
【図5】本発明に係る半導体シリコンウエハ収納・保管容器の蓋体受け部を示す要部斜視図である。
【図6】本発明に係る半導体シリコンウエハ収納・保管容器の蓋体受け部を示す要部断面図である。
【図7】蓋体固定手段のクランク機構を示す要部斜視図である。
【図8】蓋体固定手段のクランク機構を示す要部斜視図である。
【図9】蓋体固定手段のクランク機構の支持片を示す斜視図である。
【図10】蓋体固定手段のクランク機構を示す要部斜視図である。
【図11】フィルタを示す斜視図である。
【図12】半導体シリコンウエハ収納・保管容器を示す断面図である。
【図13】変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1:半導体シリコンウエハ収納・保管容器、2:容器本体、3:ウエハ支持部、4:蓋体、7:搬送用フランジ部、8:位置決め用嵌合部、9:ハンドル、11:蓋体受け部、12:内側段部、13:外側段部、15:内側シール受け部、16:嵌合溝、17:把持用フランジ:18:外側シール受け部、21:ローラ受け穴、22:外側面、22A:蓋体支持面、22B:蓋体引き込み面、24:段差部、25:外側端面、27:本体部、28:蓋板部、29:内側ガスケット支持溝、30:外側ガスケット支持溝、32:シール押圧部、34:シャフト穴、35:軸受け、37:蓋体固定手段、38:係止片、39:クランク機構、41:ラッチシャフト、42:ラッチローラ、45:回転板、46:支持片、47:出没用長穴、49:嵌合凹部、51:係止ピン、52:回転軸、54:U字状固定部、55:ピン受け部、56:弾性支持部、57:回転軸穴、59:固定具、63:長穴、65:二重シール機構、66:内側シール片、67:外側シール片、72:フィルタ、73:カバー、74:環状部、75:放射状保護腕部。
Claims (6)
- 複数枚の薄板を収納支持する容器本体と、当該容器本体を塞いで内部を清浄に保つ蓋体と、当該蓋体に設けられて蓋体を容器本体側に固定する蓋体固定手段とを備えて構成された薄板用収納・保管容器において、
上記蓋体固定手段が、出没動可能に且つ先端部が回動可能に形成されて、上記容器本体側に形成された蓋体引き込み面に当接して回転しながら上記蓋体を上記容器本体側へ引き込む係止片と、回転することで上記係止片を上記蓋体から出没動させるクランク機構とを備えて構成され、
上記クランク機構が、上記係止片に直接的に係合されて回転することで当該係止片を出没動させる回転板と、当該回転板の回転を支持する支持片とを備え、上記支持片が、上記係止片を上記蓋体から延出させた状態で上記回転板に複数設けられた係止ピンを個別に嵌合支持するピン受け部と、当該複数のピン受け部をそれぞれ弾性的に支持して上記回転板を設定角度及び設定位置に整合させる弾性支持部とを備えて構成されたことを特徴とする薄板用収納・保管容器。 - 請求項1に記載の薄板用収納・保管容器において、
上記係止片が、上記蓋体から出没動するラッチシャフトと、当該ラッチシャフトの先端に回動可能に取り付けられ、上記容器本体側から上記ラッチシャフト側へ向けて且つ上記容器本体の開口部の外側へ開くように傾斜して上記容器本体側に形成された蓋体引き込み面に当接して上記ラッチシャフトの延出により回転しながら蓋体を上記容器本体側へ引き込むラッチローラとを備えて構成されたことを特徴とする薄板用収納・保管容器。 - 請求項1または2に記載の薄板用収納・保管容器において、
上記容器本体に小孔を設けると共に、当該容器本体の内外側間で塵埃を除いて空気のみの出入りを許容するフィルタを設け、当該フィルタの外側にカバーを設けたことを特徴とする薄板用収納・保管容器。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の薄板用収納・保管容器において、
上記容器本体内に収納される複数枚の薄板を一定間隔を空けて1枚ずつ支持する櫛歯を備えた薄板支持部のうち最上段にさらに薄板一枚分の櫛歯を設けたことを特徴とする薄板用収納・保管容器。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の薄板用収納・保管容器において、
上記蓋体引き込み面が、上記クランク機構で上記蓋体から出没動される上記係止片を直接的に押して間接的に上記蓋体を上記容器本体側に押圧することを特徴とする薄板用収納・保管容器。 - 請求項3乃至5のいずれか1項に記載の薄板用収納・保管容器において、
上記係止ピンが、上記回転板の裏面に取り付けられ、上記支持片に係合して上記回転板の位置及び角度を調整することを特徴とする薄板用収納・保管容器。
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