JP4223604B2 - 金属溶解炉の助燃バーナ装置 - Google Patents

金属溶解炉の助燃バーナ装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属溶解炉の助燃バーナ装置に関し、特に含クロム原料を溶解する電気炉の溶解促進用助燃バーナに関する。
【0002】
【従来の技術】
金属溶解炉、たとえば電気炉において鉄屑等の原料を溶解する場合、電極間には周囲よりも比較的温度の低いいわゆるコールドスポットを生ずることがある。コールドスポットの原料の溶解速度は周囲よりも遅くなるので、炉内の原料の溶解速度はコールドスポットの原料の溶解速度によって律速される。したがって、従来からコールドスポットにおける原料の溶解を促進するために各種の助燃バーナ装置が使用されている。
【0003】
特開昭55−107878公報には、バーナ先端から噴出する燃焼炎の噴出角度をバーナ本体の軸線に対して任意の角度屈折させるように形成したアーク炉用助燃バーナが開示されている。この助燃バーナは、炉壁の開口を通って挿入され、火炎は炉内に電極を直撃しないように噴射される。
【0004】
特開昭59−202388公報には、燃焼用チップを有するバーナボディとは別にシールバーを備え、助燃時間帯は炉壁のバーナ挿通孔にバーナチップを挿通させ、助燃休止時間帯はバーナチップをバーナ挿通孔より抜出し、その代わりにシールバーを挿通するバーナ装置が開示されている。
【0005】
特開昭61−41880公報には、電気炉のコールドゾーンに向けて直進および左右の三方向に火炎を噴射可能なバーナを設置し、このバーナの各方向ノズルに酸素と燃料の供給系統をそれぞれ接続し、これら各供給系統に供給量制御手段を設置し、炉内の温度を検出して供給量制御手段を制御する助燃バーナの制御装置が開示されている。この助燃バーナは、炉壁を貫通してコールドゾーンに向けて設置され、火炎はコールドゾーンの鉄屑に向かって広い範囲に噴射される。
【0006】
特開平8−75364公報には、先端を炉内のコールドスポットに向けた助燃バーナを少なくとも1基炉壁に配置した製鋼用電気炉が開示されている。この助燃バーナはバーナ中心部に酸素ガスの吐出管を設け、かつこの吐出管の先端部をスロートを有する中細ノズルとから成している。
【0007】
これら先行技術の各助燃バーナ装置は、いずれも炉壁の挿通孔に設けられ、燃焼炎と原料とを直接接触させるように構成されており、原料の昇熱機能とともに原料の溶解・溶断機能をも備えている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、前記先行技術の各助燃バーナ装置は、燃焼炎と原料とを直接接触させて原料を加熱するように構成されている。このような助燃バーナ装置は、クロムを含まない炭素鋼屑等の原料を電気炉で溶解するときには、効果的に原料の溶解を促進させることができる。すなわち、原料中にクロムが含まれていないときには燃焼炎との直接接触によって原料が酸化しても、生成した鉄酸化物はコークス等によって比較的簡単に還元することができる。したがって、鉄の酸化ロスの増大を招くことなく原料の溶解を促進することができ、電気炉の電力原単位を低減することができる。
【0009】
これに対してステンレス鋼屑等の含クロム原料を電気炉で溶解するときに前記各助燃バーナ装置を用いると、含クロム原料の溶解を促進することはできるけれども、次のような問題が発生する。すなわち、含クロム原料と燃焼炎とが直接接触すると含クロム原料中のクロムが優先的に酸化してクロム酸化物が生成する。このクロム酸化物は還元することが困難であるので、酸化ロスとなり、クロムの歩留りが低下する。したがって、含クロム原料を溶解するときには、助燃バーナ装置はほとんど用いられず、その結果、電気炉の電力原単位の低減を図ることも困難であった。
【0010】
本発明の目的は、前記問題を解決し、含クロム原料の溶解時にクロムの酸化を抑制しながら溶解を促進することのできる金属溶解炉の助燃バーナ装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、含クロム原料を溶解する金属溶解炉の炉壁に1または複数基設けられ、燃料を燃焼して含クロム原料の溶解を促進する金属溶解炉の助燃バーナ装置において、
炉壁の外方に設けられ、炉壁内に向けて先端部から燃焼炎を噴射するバーナ本体と、
バーナ本体の軸線と同軸に延びる筒状の形状を有し、基端側がバーナ本体の少なくとも先端部を外囲し、先端側が溶解炉の炉壁に形成される挿通孔に挿通され、先端側が挿通孔のうち炉壁の内表面側の位置にまで延びて設けられる燃焼筒とを含み、
バーナ本体の先端部から燃焼筒の先端側までの長さaに対する燃焼炎の長さbの比率R(=b/a)が0.2≦R≦2.0の範囲の値に選ばれることを特徴とする金属溶解炉の助燃バーナ装置である。
【0012】
本発明に従えば、助燃バーナ装置には先端部から燃焼炎を噴射するバーナ本体と、バーナ本体と同軸に延びる燃焼筒とが備えられており、燃焼筒の基端側はバーナ本体の少なくとも先端部を外囲し、燃焼筒の先端側は溶解炉の炉壁に形成される挿通孔に挿通され、先端側が挿通孔のうち炉壁の内表面側の位置にまで延びて設けられる。したがって、燃焼炎および燃焼ガスを確実に溶解炉内に導くことができ、含クロム原料の溶解を促進することができる。またバーナ本体の先端部から燃焼筒の先端側までの長さaに対する燃焼炎の長さbの比率Rが適正範囲の値に選ばれているので、前記比率Rが過大または過小な場合に発生する不具合を回避することができる。したがって、前記比率が過大なときに生ずる高温の燃焼炎と含クロム原料との接触長さの過度な増大を回避することができるとともに、前記比率が過小なときに生ずる燃焼ガスの温度低下をともに回避することができる。この結果、含クロム原料に対する着熱効率を大きく損なうことなく、燃焼炎と含クロム原料との直接接触によるクロムの酸化を抑制することができる。
【0013】
また本発明は、前記バーナ本体を、前記燃焼筒の軸線に沿って往復変位するように移動させる移動手段が備えられることを特徴とする。
【0014】
本発明に従えば、バーナ本体を燃焼筒の軸線に沿って往復変位することができるので、バーナ本体の燃焼条件を変更することなく、バーナ本体の先端部から燃焼筒の先端側までの長さaを変化させることができる。これによって、安定した燃焼状態のもとで前記長さaに対する燃焼炎の長さbの比率Rを設定することができるので、前記比率Rを精度よく制御することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の一形態である金属溶解炉の助燃バーナ装置1の構成を簡略化して示す断面図であり、図2は図1に示す助燃バーナ装置1を備える電気炉3の構成を簡略化して示す正面断面図であり、図3は図2に示す電気炉3の平面図であり、図4は図1に示すバーナ本体25の構成を簡略化して示す断面図である。金属溶解炉の助燃バーナ装置1(以後、助燃バーナ装置と呼ぶ)は、金属溶解炉、たとえば電気炉3に設けられ、燃料を燃焼して原料(本実施の形態では含クロム原料7)の溶解を促進する。助燃バーナ装置1の構成については後述する。電気炉3は、含クロム原料を溶解する3相交流アーク式溶解炉であり、炉本体4と、炉蓋5と、3本の電極6とを含む。電気炉3の装入重量は、公称40トンである。
【0016】
炉本体4は、縦の軸線を有する上方に開口した有底円筒状容器であり、炉壁8と炉床9とを有する。炉壁8および炉床9は外殻を形成する鉄皮10と、鉄皮10の内周面に内張りされる耐火れんが11,12とを備える。炉壁8には、1または複数(本実施の形態では3)の挿通孔13が周方向に間隔をあけて設けられており、さらに溶解した含クロム原料(以後、溶湯と呼ぶ)を出湯する出湯口14と、出湯樋15と、作業口16とが設けられている。各挿通孔13には助燃バーナ装置1がそれぞれ挿通されている。炉蓋5は、鉄皮18と耐火物19とを備え、炉本体4を上方から塞ぐ。炉蓋5には、電極6を挿通する3個の電極挿通孔20が周方向に間隔をあけて設けられており、さらに集塵ダクト取付口21が設けられている。集塵ダクト取付口21には集塵ダクト23が取付けられている。
【0017】
電極6は、黒鉛からなり、その形状は円柱状である。電極6は炉蓋5の電極挿通孔20に昇降自在に挿通されており、図3に示すように周方向に等間隔をあけて3本配置されている。電極6は放射状にアーク熱を放出するので、電極6に近接している領域(図3のA領域)の温度は電極6から離間している領域(図3のB領域)の温度よりも高温である。この周囲よりも温度の低いB領域は、いわゆるコールドスポットと呼ばれる。コールドスポットは電極間にそれぞれ存在するので、3箇所に形成される。コールドスポットの温度は周囲より低いので、炉内の原料の溶解速度はコールドスポットにおける溶解速度によって律速される。
【0018】
助燃バーナ装置1は、バーナ本体25と、燃焼筒26とを含んで構成される。バーナ本体25は、電気炉3の炉壁8の外方に設けられ、その先端部を炉壁8に向けて図示しない架台に取付けられている。バーナ本体25は、図4に示すように3重管構造を有しており、内筒27と、内筒27の半径方向外方に設けられる外筒28と、内筒27の中心部に挿入される燃料吐出管29とを含む。燃料吐出管29、内筒27および外筒28は、同軸に設けられ、半径方向に間隔をあけて同心円上に配置される。燃料吐出管29、内筒27および外筒28には、燃料供給管30、空気供給管31および酸素供給管33がそれぞれ接続されている。
【0019】
このため、燃料吐出管29の外周面と内筒27の内周面との間の空間には空気が供給され、この空間は空気流路34を形成する。また内筒27の外周面と、外筒28の内周面との間の空間には酸素が供給され、この空間は酸素流路35を形成する。空気流路34の先端側は、先端部に向かうにつれて空気流路34の断面積が小さくなるように先細状に形成されている。燃料吐出管29から吐出された燃料、たとえば重油は空気流路34からの空気によって噴霧され、さらに酸素流路35からの酸素と混合されてバーナ本体25の先端部から噴射される。本実施の形態のバーナ本体25には、着火源が設けられていないけれども、バーナ本体25の先端部から噴射された混合流体は、後述のように電気炉3からの熱によって自己着火し、燃焼炎36を形成する。
【0020】
燃焼筒26は大略的に円筒状の形状を有し、耐熱性および断熱性の優れたセラミックスから成る。燃焼筒26の基端側は、バーナ本体25の少なくとも先端部を外囲し、燃焼筒26の先端側は、電気炉3の炉壁8に形成された挿通孔13に挿通されている。したがって、燃焼筒26は燃焼炎36の噴射方向に沿って延び、バーナ本体25の先端部から炉壁内に向けて噴射される燃焼炎36および燃焼ガスを、電気炉3の炉壁8内に確実に導くことができる。燃焼筒26の軸線は、バーナ本体25の軸線と同軸であり、助燃バーナ装置1の軸線37を形成する。
【0021】
助燃バーナ装置1は、図3に示すように各コールドスポットの近傍にそれぞれ設けられ、その軸線37が各コールドスポットに向かって斜め下方に延びるように炉壁8に取付けられている。これによって、助燃バーナ装置1は、周囲よりも温度の低いコールドスポットを効果的に加熱することができるので、電気炉内の原料の溶解速度を均等にすることができる。したがって、含クロム原料7の溶解を促進することができる。また、前記軸線37が斜め下方に延びているので、助燃バーナ装置1からの燃焼ガスと原料との接触時間が長くなり、後記着熱効率を高めることができる。
【0022】
図1を参照して本実施の形態では、バーナ本体25の先端部から燃焼筒26の先端側までの長さaに対する燃焼炎36の長さbの比率R(=b/a)が0.2≦R≦2.0の範囲の値に選ばれる。これは次のような溶解実験に基づいて設定されたものである。図2に示す40トン電気炉3に含クロム原料をフル装入し、含クロム原料の溶解実験を行った。電気炉3に装入された含クロム原料7は、装入メタル純分1トンに対して表1に示す通りであった。ここで装入メタル純分とは、装入原料中の鉄、ニッケル、クロム、銅の純分の合計重量を意味する。
【0023】
【表1】
Figure 0004223604
【0024】
電極6に通電して含クロム原料の溶解を開始した。溶解実験中の溶解用電力は、装入メタル純分1トンに対して560kWHに設定した。通電開始から20分経過後、助燃バーナ装置1の燃焼を開始した。前述のように助燃バーナ装置1には着火源が設けられていないけれども、含クロム原料の温度がすでに上昇しているので、助燃バーナ装置1の先端部付近の温度も上昇しており、自己着火させることができる。助燃バーナ装置1の共通燃焼条件は、表2に示す通りに設定した。表2における示燃性ガスとは燃焼反応における酸化剤を意味しており、燃料酸素比の値はほぼ理論比に設定されている。また燃焼筒26の長さaは、バーナ本体25の先端部から燃焼筒26の先端側までの長さaを意味しており、以後説明の便宜上このように略称する。
【0025】
【表2】
Figure 0004223604
【0026】
助燃バーナ装置1の燃焼炎の長さbは、燃焼筒26の長さaに対する燃焼炎の長さbの比率R(=b/a)が予め定める8段階の設定値になるように調節され、燃焼炎の長さbの調節は燃料の供給流量を調節することによって行われた。また助燃バーナ装置1は、予め定める時間燃焼を継続した後、消火された。前記比率Rの設定値、燃焼時間tの設定値および燃料供給流量の調節値は表3に示す通りであった。表3には、燃料の理論総発熱量(Mcal)およびその電力換算値が合わせて示されている。発熱量と電力との換算は1kWH=860kcalで行った。前記燃焼時間tは、理論総発熱量が4段階に区分されるように設定した。
【0027】
【表3】
Figure 0004223604
【0028】
電極6の通電は、助燃バーナ装置1の消火後も継続され、溶湯の温度が予め定める目標温度に到達した時点で停止した。通電停止後、実績総電力量を求め、溶湯の出湯を行った。出湯後、スラグサンプルを採取し、スラグ中のクロム酸化物の含有率(以後、Cr23%と略称する)を分析によって求めた。さらに、含クロム原料の着熱効率αを次のようにして算出した。着熱効率α(%)は、燃料の理論総発熱量のうち含クロム原料の溶解に有効に活用された発熱量の割合を百分率で表したものであり、溶解における通常総電力量をW1(kWH)、実績総電力量をW2(kWH)、燃料の理論総発熱量の電力換算値をW3(kWH)とすると(1)式で定義される。(1)式において通常総電力量W1は、これまでの操業実績値から求められ、実績総電力量W2および燃料の理論総発熱量の電力換算値W3は溶解実験からそれぞれ求められるので、着熱効率αは前記比率R毎に(1)式に基づいて算出することができる。
【0029】
【数1】
Figure 0004223604
【0030】
図5は、燃焼筒26の長さaに対する燃焼炎36の長さbの比率R(=b/a)と、スラグ中のクロム酸化物の含有率Cr23%および着熱効率αとの関係を示すグラフである。図5は、前記溶解実験の実験データに基づいて作成したものである。図5から、前記比率Rが大きくなるにつれてCr23%および着熱効率とも増大することが判る。
【0031】
これは、前記比率Rが大きくなるにつれて燃焼炎の長さが長くなるので、前記比率Rが1を超えるときには、高温の燃焼炎と含クロム原料との接触長さが増大し、前記比率Rが1以下のときには燃焼ガスの温度が高くなることによるものである。すなわち、燃焼炎と含クロム原料との接触長さの増大および燃焼ガス温度の上昇は、含クロム原料の溶解を促進して着熱効率の増大をもたらすとともに、クロムの酸化を促進してCr23%の増大をもたらす。
【0032】
またCr23%は、前記比率Rが2.0までは比較的緩やかに増大し、その値も助燃バーナ装置1を用いないときの値2.0%とほぼ同一水準である3.0%以下に止まるのに対して、前記比率Rが2.0を超えると急激に増大する。さらに着熱効率αは前記比率Rが0.2未満では、非常に低くなり、予め定める着熱効率の下限値30%を下回る。これは、前記比率Rが0.2未満では燃焼炎の長さが非常に短くなるので、燃焼炎と含クロム原料との直接接触が生じないばかりでなく、燃焼ガスの温度も低下するからである。
【0033】
これに対して、前記比率Rが0.2≦R≦2.0の範囲では、Cr23%:2.0〜3.0%,着熱効率α:30〜75%であり、Cr23%および着熱効率αとも良好な値が得られる。前述のように、本実施の形態において前記比率Rが0.2≦R≦2.0の範囲の値に選ばれるのは、この理由によるものである。また前記比率Rが0.5≦R≦1.5の範囲では、Cr23%:2.0〜2.5%,着熱効率α:50〜70%であり、Cr23%および着熱効率αとも非常に良好な値が得られる。したがって、前記比率Rの特に好ましい範囲は、0.5≦R≦1.5である。
【0034】
このように、本実施の形態では前記比率Rが適正範囲の値に選ばれているので、前記比率Rが過大または過小なときに生じる不具合の発生を回避することができる。すなわち、前記比率が過大であるときに生ずる高温の燃焼炎と含クロム原料との接触長さの過度な増大を回避することができるとともに、前記比率が過小であるときに生ずる燃焼ガスの過度の温度低下をともに回避することができる。したがって、含クロム原料に対する着熱効率を大きく損なうことなく、燃焼炎と含クロム原料との直接接触によるクロムの酸化を抑制することができる。この結果、含クロム原料の溶解促進と、クロムの歩留りの向上とをともに図ることができ、電気炉3の電力原単位の低減を図ることができる。
【0035】
図6は、本発明の他の実施の形態である助燃バーナ装置41の構成を簡略化して示す正面断面図である。助燃バーナ装置41は、図1に示す助燃バーナ装置1と類似し、対応する部分には同一の参照符号を付す。注目すべきは、本実施の形態の助燃バーナ装置41には、バーナ本体25を移動する移動手段43が備えられている点である。移動手段43は、空気シリンダ44と台車45とを含む。空気シリンダ44は架台46の上面に取付けられており、その軸線は燃焼筒26の軸線37と平行である。架台46は、電気炉3の炉壁8の鉄皮10に固定されており、架台46の上面は燃焼筒26の軸線37と平行に炉壁8に向かって斜め下方に傾斜して取付けられている。燃焼筒26は、固定部材49を介して架台46の上面に固定されている。
【0036】
空気シリンダ44は複動シリンダであり、そのピストン軸44aは軸線に沿って伸縮自在である。台車45は架台46の上面に敷設されたレール47上に車輪48を介して乗載されており、レール47は燃焼筒26の軸線に平行に敷設されている。台車45の上部にはバーナ本体25が連結されており、台車45の下部には空気シリンダ44のピストン軸44aがピン結合されている。空気シリンダ44のピストン軸44aを伸縮させると、バーナ本体25は台車45を介して燃焼筒26の軸線に沿って燃焼筒26内を往復変位する。
【0037】
このように本実施の形態では、バーナ本体25を燃焼筒26内を移動させることができるので、バーナ本体25の先端部から燃焼筒26の先端側までの長さaを調節することができる。したがって、燃焼炎の長さbを一定に保持したまま、換言すれば安定した燃焼条件のもとで前記比率R=b/aを予め定める値に設定することができる。この結果、前記比率Rを精度よく制御することができ、前記図1に示す助燃バーナ装置1よりもさらに安定して含クロム原料の溶解促進とクロムの歩留りの向上とをともに図ることができる。
【0038】
以上述べたように前記各実施の形態では、含クロム原料を溶解する溶解炉として電気炉を用いているけれども、本発明はこれに限定されるものではなく、他の形式の溶解炉を用いてもよい。また示燃性ガスとして酸素を用いているけれども、これに限定されるものではなく、他の示燃性ガス、たとえば空気を用いてもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の本発明によれば、含クロム原料の溶解時にクロムの酸化を抑制しながら溶解促進を図ることができる。したがってクロムの歩留りの向上と電力原単位の向上とをともに図ることができる。
【0040】
また請求項2記載の本発明によれば、安定した燃焼状態のもとでバーナ本体の先端部から燃焼筒の先端側までの長さaに対する燃焼炎の長さbの比率Rを設定することができるので、前記比率Rを精度よく制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である金属溶解炉の助燃バーナ装置1の構成を簡略化して示す断面図である。
【図2】図1に示す助燃バーナ装置1を備える電気炉3の構成を簡略化して示す正面断面図である。
【図3】図2に示す電気炉3の平面図である。
【図4】図1に示すバーナ本体25の構成を簡略化して示す断面図である。
【図5】燃焼筒26の長さaに対する燃焼炎36の長さbの比率R(=b/a)と、スラグ中のクロム酸化物の含有率および着熱効率αとの関係を示すグラフである。
【図6】本発明の他の実施の形態である助燃バーナ装置41の構成を簡略化して示す正面断面図である。
【符号の説明】
1,41 助燃バーナ装置
3 電気炉
6 電極
8 炉壁
10 鉄皮
13 挿通孔
25 バーナ本体
26 燃焼筒
36 燃焼炎
44 空気シリンダ
45 台車4
46 架台

Claims (2)

  1. 含クロム原料を溶解する金属溶解炉の炉壁に1または複数基設けられ、燃料を燃焼して含クロム原料の溶解を促進する金属溶解炉の助燃バーナ装置において、
    炉壁の外方に設けられ、炉壁内に向けて先端部から燃焼炎を噴射するバーナ本体と、
    バーナ本体の軸線と同軸に延びる筒状の形状を有し、基端側がバーナ本体の少なくとも先端部を外囲し、先端側が溶解炉の炉壁に形成される挿通孔に挿通され、先端側が挿通孔のうち炉壁の内表面側の位置にまで延びて設けられる燃焼筒とを含み、
    バーナ本体の先端部から燃焼筒の先端側までの長さaに対する燃焼炎の長さbの比率R(=b/a)が0.2≦R≦2.0の範囲の値に選ばれることを特徴とする金属溶解炉の助燃バーナ装置。
  2. 前記バーナ本体を、前記燃焼筒の軸線に沿って往復変位するように移動させる移動手段が備えられることを特徴とする請求項1記載の金属溶解炉の助燃バーナ装置。
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