JP2000171158A - 金属溶解炉の助燃バーナ装置 - Google Patents

金属溶解炉の助燃バーナ装置

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JP2000171158A
JP2000171158A JP10343236A JP34323698A JP2000171158A JP 2000171158 A JP2000171158 A JP 2000171158A JP 10343236 A JP10343236 A JP 10343236A JP 34323698 A JP34323698 A JP 34323698A JP 2000171158 A JP2000171158 A JP 2000171158A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 含クロム原料の溶解時にクロムの酸化を抑制
しながら溶解を促進する。 【解決手段】 含クロム原料7を促進する助燃バーナ装
置1は、バーナ本体25と燃焼筒26とを含み、電気炉
3の炉壁8に1または複数基設けられる。バーナ本体2
5は炉壁8の外方に設けられ、炉壁内に向けて先端部か
ら燃焼炎36を噴射する。燃焼筒26は大略的に燃焼炎
36の噴射方向に沿って延びる筒状の形状を有し、基端
側がバーナ本体25の少なくとも先端部を外囲し、先端
側が炉壁8に形成される挿通孔13に挿通される。さら
にバーナ本体25の先端部から燃焼筒26の先端側まで
の長さaに対する燃焼炎の長さbの比率R(=b/a)
が0.2≦R≦2.0の範囲の値に選ばれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属溶解炉の助燃
バーナ装置に関し、特に含クロム原料を溶解する電気炉
の溶解促進用助燃バーナに関する。
【0002】
【従来の技術】金属溶解炉、たとえば電気炉において鉄
屑等の原料を溶解する場合、電極間には周囲よりも比較
的温度の低いいわゆるコールドスポットを生ずることが
ある。コールドスポットの原料の溶解速度は周囲よりも
遅くなるので、炉内の原料の溶解速度はコールドスポッ
トの原料の溶解速度によって律速される。したがって、
従来からコールドスポットにおける原料の溶解を促進す
るために各種の助燃バーナ装置が使用されている。
【0003】特開昭55−107878公報には、バー
ナ先端から噴出する燃焼炎の噴出角度をバーナ本体の軸
線に対して任意の角度屈折させるように形成したアーク
炉用助燃バーナが開示されている。この助燃バーナは、
炉壁の開口を通って挿入され、火炎は炉内に電極を直撃
しないように噴射される。
【0004】特開昭59−202388公報には、燃焼
用チップを有するバーナボディとは別にシールバーを備
え、助燃時間帯は炉壁のバーナ挿通孔にバーナチップを
挿通させ、助燃休止時間帯はバーナチップをバーナ挿通
孔より抜出し、その代わりにシールバーを挿通するバー
ナ装置が開示されている。
【0005】特開昭61−41880公報には、電気炉
のコールドゾーンに向けて直進および左右の三方向に火
炎を噴射可能なバーナを設置し、このバーナの各方向ノ
ズルに酸素と燃料の供給系統をそれぞれ接続し、これら
各供給系統に供給量制御手段を設置し、炉内の温度を検
出して供給量制御手段を制御する助燃バーナの制御装置
が開示されている。この助燃バーナは、炉壁を貫通して
コールドゾーンに向けて設置され、火炎はコールドゾー
ンの鉄屑に向かって広い範囲に噴射される。
【0006】特開平8−75364公報には、先端を炉
内のコールドスポットに向けた助燃バーナを少なくとも
1基炉壁に配置した製鋼用電気炉が開示されている。こ
の助燃バーナはバーナ中心部に酸素ガスの吐出管を設
け、かつこの吐出管の先端部をスロートを有する中細ノ
ズルとから成している。
【0007】これら先行技術の各助燃バーナ装置は、い
ずれも炉壁の挿通孔に設けられ、燃焼炎と原料とを直接
接触させるように構成されており、原料の昇熱機能とと
もに原料の溶解・溶断機能をも備えている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、前記先
行技術の各助燃バーナ装置は、燃焼炎と原料とを直接接
触させて原料を加熱するように構成されている。このよ
うな助燃バーナ装置は、クロムを含まない炭素鋼屑等の
原料を電気炉で溶解するときには、効果的に原料の溶解
を促進させることができる。すなわち、原料中にクロム
が含まれていないときには燃焼炎との直接接触によって
原料が酸化しても、生成した鉄酸化物はコークス等によ
って比較的簡単に還元することができる。したがって、
鉄の酸化ロスの増大を招くことなく原料の溶解を促進す
ることができ、電気炉の電力原単位を低減することがで
きる。
【0009】これに対してステンレス鋼屑等の含クロム
原料を電気炉で溶解するときに前記各助燃バーナ装置を
用いると、含クロム原料の溶解を促進することはできる
けれども、次のような問題が発生する。すなわち、含ク
ロム原料と燃焼炎とが直接接触すると含クロム原料中の
クロムが優先的に酸化してクロム酸化物が生成する。こ
のクロム酸化物は還元することが困難であるので、酸化
ロスとなり、クロムの歩留りが低下する。したがって、
含クロム原料を溶解するときには、助燃バーナ装置はほ
とんど用いられず、その結果、電気炉の電力原単位の低
減を図ることも困難であった。
【0010】本発明の目的は、前記問題を解決し、含ク
ロム原料の溶解時にクロムの酸化を抑制しながら溶解を
促進することのできる金属溶解炉の助燃バーナ装置を提
供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、含クロム原料
を溶解する金属溶解炉の炉壁に1または複数基設けら
れ、燃料を燃焼して含クロム原料の溶解を促進する金属
溶解炉の助燃バーナ装置において、炉壁の外方に設けら
れ、炉壁内に向けて先端部から燃焼炎を噴射するバーナ
本体と、大略的に燃焼炎の噴射方向に沿って延びる筒状
の形状を有し、基端側がバーナ本体の少なくとも先端部
を外囲し、先端側が溶解炉の炉壁に形成される挿通孔に
挿通される燃焼筒とを含み、バーナ本体の先端部から燃
焼筒の先端側までの長さaに対する燃焼炎の長さbの比
率R(=b/a)が0.2≦R≦2.0の範囲の値に選
ばれることを特徴とする金属溶解炉の助燃バーナ装置で
ある。
【0012】本発明に従えば、助燃バーナ装置には先端
部から燃焼炎を噴射するバーナ本体と、燃焼炎の噴射方
向に沿って延びる燃焼筒とが備えられており、燃焼筒の
基端側はバーナ本体の少なくとも先端部を外囲し、燃焼
筒の先端側は溶解炉の炉壁に形成される挿通孔に挿通さ
れるように構成されている。したがって、燃焼炎および
燃焼ガスを確実に溶解炉内に導くことができ、含クロム
原料の溶解を促進することができる。またバーナ本体の
先端部から燃焼筒の先端側までの長さaに対する燃焼炎
の長さbの比率Rが適正範囲の値に選ばれているので、
前記比率Rが過大または過小な場合に発生する不具合を
回避することができる。したがって、前記比率が過大な
ときに生ずる高温の燃焼炎と含クロム原料との接触長さ
の過度な増大を回避することができるとともに、前記比
率が過小なときに生ずる燃焼ガスの温度低下をともに回
避することができる。この結果、含クロム原料に対する
着熱効率を大きく損なうことなく、燃焼炎と含クロム原
料との直接接触によるクロムの酸化を抑制することがで
きる。
【0013】また本発明は、前記バーナ本体を、前記燃
焼筒の軸線に沿って往復変位するように移動させる移動
手段が備えられることを特徴とする。
【0014】本発明に従えば、バーナ本体を燃焼筒の軸
線に沿って往復変位することができるので、バーナ本体
の燃焼条件を変更することなく、バーナ本体の先端部か
ら燃焼筒の先端側までの長さaを変化させることができ
る。これによって、安定した燃焼状態のもとで前記長さ
aに対する燃焼炎の長さbの比率Rを設定することがで
きるので、前記比率Rを精度よく制御することができ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の一形態であ
る金属溶解炉の助燃バーナ装置1の構成を簡略化して示
す断面図であり、図2は図1に示す助燃バーナ装置1を
備える電気炉3の構成を簡略化して示す正面断面図であ
り、図3は図2に示す電気炉3の平面図であり、図4は
図1に示すバーナ本体25の構成を簡略化して示す断面
図である。金属溶解炉の助燃バーナ装置1(以後、助燃
バーナ装置と呼ぶ)は、金属溶解炉、たとえば電気炉3
に設けられ、燃料を燃焼して原料(本実施の形態では含
クロム原料7)の溶解を促進する。助燃バーナ装置1の
構成については後述する。電気炉3は、含クロム原料を
溶解する3相交流アーク式溶解炉であり、炉本体4と、
炉蓋5と、3本の電極6とを含む。電気炉3の装入重量
は、公称40トンである。
【0016】炉本体4は、縦の軸線を有する上方に開口
した有底円筒状容器であり、炉壁8と炉床9とを有す
る。炉壁8および炉床9は外殻を形成する鉄皮10と、
鉄皮10の内周面に内張りされる耐火れんが11,12
とを備える。炉壁8には、1または複数(本実施の形態
では3)の挿通孔13が周方向に間隔をあけて設けられ
ており、さらに溶解した含クロム原料(以後、溶湯と呼
ぶ)を出湯する出湯口14と、出湯樋15と、作業口1
6とが設けられている。各挿通孔13には助燃バーナ装
置1がそれぞれ挿通されている。炉蓋5は、鉄皮18と
耐火物19とを備え、炉本体4を上方から塞ぐ。炉蓋5
には、電極6を挿通する3個の電極挿通孔20が周方向
に間隔をあけて設けられており、さらに集塵ダクト取付
口21が設けられている。集塵ダクト取付口21には集
塵ダクト23が取付けられている。
【0017】電極6は、黒鉛からなり、その形状は円柱
状である。電極6は炉蓋5の電極挿通孔20に昇降自在
に挿通されており、図3に示すように周方向に等間隔を
あけて3本配置されている。電極6は放射状にアーク熱
を放出するので、電極6に近接している領域(図3のA
領域)の温度は電極6から離間している領域(図3のB
領域)の温度よりも高温である。この周囲よりも温度の
低いB領域は、いわゆるコールドスポットと呼ばれる。
コールドスポットは電極間にそれぞれ存在するので、3
箇所に形成される。コールドスポットの温度は周囲より
低いので、炉内の原料の溶解速度はコールドスポットに
おける溶解速度によって律速される。
【0018】助燃バーナ装置1は、バーナ本体25と、
燃焼筒26とを含んで構成される。バーナ本体25は、
電気炉3の炉壁8の外方に設けられ、その先端部を炉壁
8に向けて図示しない架台に取付けられている。バーナ
本体25は、図4に示すように3重管構造を有してお
り、内筒27と、内筒27の半径方向外方に設けられる
外筒28と、内筒27の中心部に挿入される燃料吐出管
29とを含む。燃料吐出管29、内筒27および外筒2
8は、同軸に設けられ、半径方向に間隔をあけて同心円
上に配置される。燃料吐出管29、内筒27および外筒
28には、燃料供給管30、空気供給管31および酸素
供給管33がそれぞれ接続されている。
【0019】このため、燃料吐出管29の外周面と内筒
27の内周面との間の空間には空気が供給され、この空
間は空気流路34を形成する。また内筒27の外周面
と、外筒28の内周面との間の空間には酸素が供給さ
れ、この空間は酸素流路35を形成する。空気流路34
の先端側は、先端部に向かうにつれて空気流路34の断
面積が小さくなるように先細状に形成されている。燃料
吐出管29から吐出された燃料、たとえば重油は空気流
路34からの空気によって噴霧され、さらに酸素流路3
5からの酸素と混合されてバーナ本体25の先端部から
噴射される。本実施の形態のバーナ本体25には、着火
源が設けられていないけれども、バーナ本体25の先端
部から噴射された混合流体は、後述のように電気炉3か
らの熱によって自己着火し、燃焼炎36を形成する。
【0020】燃焼筒26は大略的に円筒状の形状を有
し、耐熱性および断熱性の優れたセラミックスから成
る。燃焼筒26の基端側は、バーナ本体25の少なくと
も先端部を外囲し、燃焼筒26の先端側は、電気炉3の
炉壁8に形成された挿通孔13に挿通されている。した
がって、燃焼筒26は燃焼炎36の噴射方向に沿って延
び、バーナ本体25の先端部から炉壁内に向けて噴射さ
れる燃焼炎36および燃焼ガスを、電気炉3の炉壁8内
に確実に導くことができる。燃焼筒26の軸線は、バー
ナ本体25の軸線と同軸であり、助燃バーナ装置1の軸
線37を形成する。
【0021】助燃バーナ装置1は、図3に示すように各
コールドスポットの近傍にそれぞれ設けられ、その軸線
37が各コールドスポットに向かって斜め下方に延びる
ように炉壁8に取付けられている。これによって、助燃
バーナ装置1は、周囲よりも温度の低いコールドスポッ
トを効果的に加熱することができるので、電気炉内の原
料の溶解速度を均等にすることができる。したがって、
含クロム原料7の溶解を促進することができる。また、
前記軸線37が斜め下方に延びているので、助燃バーナ
装置1からの燃焼ガスと原料との接触時間が長くなり、
後記着熱効率を高めることができる。
【0022】図1を参照して本実施の形態では、バーナ
本体25の先端部から燃焼筒26の先端側までの長さa
に対する燃焼炎36の長さbの比率R(=b/a)が
0.2≦R≦2.0の範囲の値に選ばれる。これは次の
ような溶解実験に基づいて設定されたものである。図2
に示す40トン電気炉3に含クロム原料をフル装入し、
含クロム原料の溶解実験を行った。電気炉3に装入され
た含クロム原料7は、装入メタル純分1トンに対して表
1に示す通りであった。ここで装入メタル純分とは、装
入原料中の鉄、ニッケル、クロム、銅の純分の合計重量
を意味する。
【0023】
【表1】
【0024】電極6に通電して含クロム原料の溶解を開
始した。溶解実験中の溶解用電力は、装入メタル純分1
トンに対して560kWHに設定した。通電開始から2
0分経過後、助燃バーナ装置1の燃焼を開始した。前述
のように助燃バーナ装置1には着火源が設けられていな
いけれども、含クロム原料の温度がすでに上昇している
ので、助燃バーナ装置1の先端部付近の温度も上昇して
おり、自己着火させることができる。助燃バーナ装置1
の共通燃焼条件は、表2に示す通りに設定した。表2に
おける示燃性ガスとは燃焼反応における酸化剤を意味し
ており、燃料酸素比の値はほぼ理論比に設定されてい
る。また燃焼筒26の長さaは、バーナ本体25の先端
部から燃焼筒26の先端側までの長さaを意味してお
り、以後説明の便宜上このように略称する。
【0025】
【表2】
【0026】助燃バーナ装置1の燃焼炎の長さbは、燃
焼筒26の長さaに対する燃焼炎の長さbの比率R(=
b/a)が予め定める8段階の設定値になるように調節
され、燃焼炎の長さbの調節は燃料の供給流量を調節す
ることによって行われた。また助燃バーナ装置1は、予
め定める時間燃焼を継続した後、消火された。前記比率
Rの設定値、燃焼時間tの設定値および燃料供給流量の
調節値は表3に示す通りであった。表3には、燃料の理
論総発熱量(Mcal)およびその電力換算値が合わせ
て示されている。発熱量と電力との換算は1kWH=8
60kcalで行った。前記燃焼時間tは、理論総発熱
量が4段階に区分されるように設定した。
【0027】
【表3】
【0028】電極6の通電は、助燃バーナ装置1の消火
後も継続され、溶湯の温度が予め定める目標温度に到達
した時点で停止した。通電停止後、実績総電力量を求
め、溶湯の出湯を行った。出湯後、スラグサンプルを採
取し、スラグ中のクロム酸化物の含有率(以後、Cr2
3%と略称する)を分析によって求めた。さらに、含
クロム原料の着熱効率αを次のようにして算出した。着
熱効率α(%)は、燃料の理論総発熱量のうち含クロム
原料の溶解に有効に活用された発熱量の割合を百分率で
表したものであり、溶解における通常総電力量をW1
(kWH)、実績総電力量をW2(kWH)、燃料の理
論総発熱量の電力換算値をW3(kWH)とすると
(1)式で定義される。(1)式において通常総電力量
W1は、これまでの操業実績値から求められ、実績総電
力量W2および燃料の理論総発熱量の電力換算値W3は
溶解実験からそれぞれ求められるので、着熱効率αは前
記比率R毎に(1)式に基づいて算出することができ
る。
【0029】
【数1】
【0030】図5は、燃焼筒26の長さaに対する燃焼
炎36の長さbの比率R(=b/a)と、スラグ中のク
ロム酸化物の含有率Cr23%および着熱効率αとの関
係を示すグラフである。図5は、前記溶解実験の実験デ
ータに基づいて作成したものである。図5から、前記比
率Rが大きくなるにつれてCr23%および着熱効率と
も増大することが判る。
【0031】これは、前記比率Rが大きくなるにつれて
燃焼炎の長さが長くなるので、前記比率Rが1を超える
ときには、高温の燃焼炎と含クロム原料との接触長さが
増大し、前記比率Rが1以下のときには燃焼ガスの温度
が高くなることによるものである。すなわち、燃焼炎と
含クロム原料との接触長さの増大および燃焼ガス温度の
上昇は、含クロム原料の溶解を促進して着熱効率の増大
をもたらすとともに、クロムの酸化を促進してCr23
%の増大をもたらす。
【0032】またCr23%は、前記比率Rが2.0ま
では比較的緩やかに増大し、その値も助燃バーナ装置1
を用いないときの値2.0%とほぼ同一水準である3.
0%以下に止まるのに対して、前記比率Rが2.0を超
えると急激に増大する。さらに着熱効率αは前記比率R
が0.2未満では、非常に低くなり、予め定める着熱効
率の下限値30%を下回る。これは、前記比率Rが0.
2未満では燃焼炎の長さが非常に短くなるので、燃焼炎
と含クロム原料との直接接触が生じないばかりでなく、
燃焼ガスの温度も低下するからである。
【0033】これに対して、前記比率Rが0.2≦R≦
2.0の範囲では、Cr23%:2.0〜3.0%,着
熱効率α:30〜75%であり、Cr23%および着熱
効率αとも良好な値が得られる。前述のように、本実施
の形態において前記比率Rが0.2≦R≦2.0の範囲
の値に選ばれるのは、この理由によるものである。また
前記比率Rが0.5≦R≦1.5の範囲では、Cr23
%:2.0〜2.5%,着熱効率α:50〜70%であ
り、Cr23%および着熱効率αとも非常に良好な値が
得られる。したがって、前記比率Rの特に好ましい範囲
は、0.5≦R≦1.5である。
【0034】このように、本実施の形態では前記比率R
が適正範囲の値に選ばれているので、前記比率Rが過大
または過小なときに生じる不具合の発生を回避すること
ができる。すなわち、前記比率が過大であるときに生ず
る高温の燃焼炎と含クロム原料との接触長さの過度な増
大を回避することができるとともに、前記比率が過小で
あるときに生ずる燃焼ガスの過度の温度低下をともに回
避することができる。したがって、含クロム原料に対す
る着熱効率を大きく損なうことなく、燃焼炎と含クロム
原料との直接接触によるクロムの酸化を抑制することが
できる。この結果、含クロム原料の溶解促進と、クロム
の歩留りの向上とをともに図ることができ、電気炉3の
電力原単位の低減を図ることができる。
【0035】図6は、本発明の他の実施の形態である助
燃バーナ装置41の構成を簡略化して示す正面断面図で
ある。助燃バーナ装置41は、図1に示す助燃バーナ装
置1と類似し、対応する部分には同一の参照符号を付
す。注目すべきは、本実施の形態の助燃バーナ装置41
には、バーナ本体25を移動する移動手段43が備えら
れている点である。移動手段43は、空気シリンダ44
と台車45とを含む。空気シリンダ44は架台46の上
面に取付けられており、その軸線は燃焼筒26の軸線3
7と平行である。架台46は、電気炉3の炉壁8の鉄皮
10に固定されており、架台46の上面は燃焼筒26の
軸線37と平行に炉壁8に向かって斜め下方に傾斜して
取付けられている。燃焼筒26は、固定部材49を介し
て架台46の上面に固定されている。
【0036】空気シリンダ44は複動シリンダであり、
そのピストン軸44aは軸線に沿って伸縮自在である。
台車45は架台46の上面に敷設されたレール47上に
車輪48を介して乗載されており、レール47は燃焼筒
26の軸線に平行に敷設されている。台車45の上部に
はバーナ本体25が連結されており、台車45の下部に
は空気シリンダ44のピストン軸44aがピン結合され
ている。空気シリンダ44のピストン軸44aを伸縮さ
せると、バーナ本体25は台車45を介して燃焼筒26
の軸線に沿って燃焼筒26内を往復変位する。
【0037】このように本実施の形態では、バーナ本体
25を燃焼筒26内を移動させることができるので、バ
ーナ本体25の先端部から燃焼筒26の先端側までの長
さaを調節することができる。したがって、燃焼炎の長
さbを一定に保持したまま、換言すれば安定した燃焼条
件のもとで前記比率R=b/aを予め定める値に設定す
ることができる。この結果、前記比率Rを精度よく制御
することができ、前記図1に示す助燃バーナ装置1より
もさらに安定して含クロム原料の溶解促進とクロムの歩
留りの向上とをともに図ることができる。
【0038】以上述べたように前記各実施の形態では、
含クロム原料を溶解する溶解炉として電気炉を用いてい
るけれども、本発明はこれに限定されるものではなく、
他の形式の溶解炉を用いてもよい。また示燃性ガスとし
て酸素を用いているけれども、これに限定されるもので
はなく、他の示燃性ガス、たとえば空気を用いてもよ
い。
【0039】
【発明の効果】以上のように請求項1記載の本発明によ
れば、含クロム原料の溶解時にクロムの酸化を抑制しな
がら溶解促進を図ることができる。したがってクロムの
歩留りの向上と電力原単位の向上とをともに図ることが
できる。
【0040】また請求項2記載の本発明によれば、安定
した燃焼状態のもとでバーナ本体の先端部から燃焼筒の
先端側までの長さaに対する燃焼炎の長さbの比率Rを
設定することができるので、前記比率Rを精度よく制御
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である金属溶解炉の助燃
バーナ装置1の構成を簡略化して示す断面図である。
【図2】図1に示す助燃バーナ装置1を備える電気炉3
の構成を簡略化して示す正面断面図である。
【図3】図2に示す電気炉3の平面図である。
【図4】図1に示すバーナ本体25の構成を簡略化して
示す断面図である。
【図5】燃焼筒26の長さaに対する燃焼炎36の長さ
bの比率R(=b/a)と、スラグ中のクロム酸化物の
含有率および着熱効率αとの関係を示すグラフである。
【図6】本発明の他の実施の形態である助燃バーナ装置
41の構成を簡略化して示す正面断面図である。
【符号の説明】
1,41 助燃バーナ装置 3 電気炉 6 電極 8 炉壁 10 鉄皮 13 挿通孔 25 バーナ本体 26 燃焼筒 36 燃焼炎 44 空気シリンダ 45 台車4 46 架台

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含クロム原料を溶解する金属溶解炉の炉
    壁に1または複数基設けられ、燃料を燃焼して含クロム
    原料の溶解を促進する金属溶解炉の助燃バーナ装置にお
    いて、 炉壁の外方に設けられ、炉壁内に向けて先端部から燃焼
    炎を噴射するバーナ本体と、 大略的に燃焼炎の噴射方向に沿って延びる筒状の形状を
    有し、基端側がバーナ本体の少なくとも先端部を外囲
    し、先端側が溶解炉の炉壁に形成される挿通孔に挿通さ
    れる燃焼筒とを含み、 バーナ本体の先端部から燃焼筒の先端側までの長さaに
    対する燃焼炎の長さbの比率R(=b/a)が0.2≦
    R≦2.0の範囲の値に選ばれることを特徴とする金属
    溶解炉の助燃バーナ装置。
  2. 【請求項2】 前記バーナ本体を、前記燃焼筒の軸線に
    沿って往復変位するように移動させる移動手段が備えら
    れることを特徴とする請求項1記載の金属溶解炉の助燃
    バーナ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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