JP4223294B2 - 光記録媒体および光再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学系の回折限界を超えて高密度の記録再生を行うことができる、光記録媒体および光再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光の回折限界を超えて高密度の記録再生を行う光記録媒体や装置の開発が近年、盛んに行われている。再生専用のディスクいわゆるROMディスクの超解像技術が、最近、非特許文献1(JJAP,Vol.40,No.3B,pp1624)に発表された。この非特許文献では、波長λおよび開口数NAの光学系を使用し、λ/(2×NA)よりも短いピッチよって凹凸形状により記録されたピットおよびスペースを有する基板と、前記基板のピット形成側に成膜された半導体あるいは金属からなる超解像層を備えたROMディスクにおいて、回折限界を超えた記録再生が可能なことが開示されている。この技術は、回折限界を超えた超解像技術を備え、実用的な高密度記録が可能なROMディスクを提供できることが実証されている。
【0003】
【非特許文献1】
Takashi Kikukawa, Tatsuya Kato, Hiroshi Shingai, and Hajime Utsunomiya,High-Density Read-Only Memory Disc with Super Resolution Reflective Layer,“Japanese Journal of Applied Physics”,The Japan Society of Applied Physics,平成13年3月30日,Vol.40,2001年,No.3B,p.1624
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術を開示した非特許文献1では、回折限界を超えた密度に対応する最短ピットと最短スペースを備えたパターンが、回折限界よりも低い密度に対応した長いスペースと長いピットに挟まれた場合、最短ピットに対応する読み出し信号が一部欠落するという問題点があることが開示されている。つまり、記録されたピットを読み出した場合に、読み出し信号が一部欠落し、読み出しエラーとなった。なお、この問題点に対する解決策は、上記非特許文献1はもとより、未だに提案されていない。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、信号欠落を改善することができる超解像のROM媒体等の光記録媒体および光再生装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の光記録媒体は、上記課題を解決するために、波長λと開口数NAの光学系によって再生される光記録媒体であって、基板と、基板の少なくとも一方の面に形成された、λ/(4×NA)より短いピットおよびスペースを含むパターンが、回折限界よりも低い密度に対応した長いピットまたは長いスペース、もしくは長いピットおよび長いスペースに挟まれるように形成されている情報記録領域と、基板のピットが形成されている面に設けられ、半導体または金属からなる超解像層と、前記超解像層に積層され、当該超解像層の劣化を防止する第1保護層とを有し、前記ピットは基板に形成された凹部からなり、該凹部において空間部が保たれていることを特徴としている。
【0007】
上記の構成によれば、ピットを読み出したときの信号の欠落が発生しない。つまり、エラーのない信号再生を行うことができる回折限界を超えた高密度記録の光記録媒体を提供することができる。
【0008】
また、本発明の光記録媒体は、前記第1保護層と自身との間に前記空間部を含む空間層を形成し、前記超解像層の機械的損傷を保護する第2保護層をさらに有することを特徴としている。
【0009】
また、本発明の光記録媒体は、上記の構成に加えて、大気圧と前記空間層の気圧とを平衡に保つための穴が前記第2保護層に形成されていることが好ましい。
【0010】
上記の構成によれば、上記穴により空間層が外部と連通しているので、保護層と超解像層との間の気体の気圧と、大気圧とがほぼ平衡に保たれる。したがって、保護層が超解像層に押し付けられて接することを防ぐことができる。
【0012】
また、本発明の光記録媒体は、上記の構成に加えて、前記超解像層は、シリコン、ゲルマニウム、タングステン、モリブデンから選択される少なくとも1種の材料を含むことが好ましい。これによれば、ピットを読み出した信号の信号対雑音比の高い光記録媒体を提供できる。
【0013】
また、本発明の光再生装置は、上記課題を解決するために、上記の光記録媒体を備え、該光記録媒体に光ビームを集光するための波長λと開口数NAの光学系と、前記光記録媒体からの透過光あるいは反射光から光記録媒体のピットの信号を読み出す再生手段とを備えることを特徴としている。
【0014】
これによれば、回折限界を超えた高密度記録の光記録媒体と、この光記録媒体を再生する光再生装置とによって構成される光再生装置において、ピットを読み出したときの信号欠落が生じず、信号対雑音比の高い高密度記録の光再生装置を提供することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の光記録媒体および光再生装置を説明する前に、上記従来例について、最近、本発明者らがさらに追試を行い、新たに判明した結果について述べる。
【0016】
図6は、上記追試に使用した従来の光ディスク(光記録媒体)のディスク構造を示す図である。
【0017】
図6のC−C’線における断面図に示すように、従来の光ディスク54は、ポリカーボネートからなる基板50上に、ゲルマニウムからなる超解像層51、ZnS-SiO2からなる第1保護層52、およびUV硬化樹脂からなる第2保護層53が順に成膜されている構成である。基板50、超解像層51、第1保護層52、および第2保護層53のそれぞれの厚みは、順に0.6mm、15nm、10nm、および10μmである。また、上記光ディスク54(基板50)における、データ領域には、データに対応するピットおよびスペースが形成されている。そして、光を上記光ディスク54の基板50側から照射して、その反射光より上記ピットを読み出して、上記光ディスク54を再生することができる。ピット(凹部)の深さは60nmである。なお、上記光ディスク54におけるピットは、超解像層51および第1保護層52が形成されており、ピットが第2保護層53により埋められている構成である。
【0018】
また、図5は、上記光ディスク54のデータ領域に形成されたピットおよびスペースと、その読み出し波形とを示す図である。図5に示すように、従来例では、光ディスク54のデータ領域において、回折限界を超えた密度に対応する最短ピットM10と最短スペースS10とを備える複数のパターン(ここでは3つのパターン)が、回折限界よりも低い密度に対応した長いピットM11と長いスペースS11とに挟まれるように形成されている。ここで、最短ピットM10の長さが0.25μmであり、最短スペースS10の長さも同じ0.25μmである。また、長いピットM11および長いスペースS11は、両方とも1.0μmである。上記光ディスク54に形成されたピットを読み出すため(測定)に使用した光学系は、レーザ光の波長(λ)は635nm、対物レンズの開口数(NA)は0.6である。
【0019】
上記光学系を使用したときの読み出しピットの解像限界をλ/4NA(回折限界λ/2NAの半分)と定義すると、解像限界は0.265μmとなり、最短ピットM10は解像限界よりも短く、通常では再生できないサイズであることは、容易に類推できる。つまり、ゲルマニウムの超解像層を使用することにより超解像効果が生じ、最短ピットM10の波形が読み出されている。しかし、従来技術に開示されているのと同様に、3つの最短ピットM10に対して、読み出し信号波形では、2つの最短ピットM10の信号しか得られておらず、ピット信号の一部(大きなスペースあるいはピットに隣接した最短ピットあるいは最短スペース)の欠落が生じていることがわかる。なお、説明の便宜上、大きなスペースあるいはピットに隣接した最短ピットあるいは最短スペースを例に挙げたが、これに限らず、解像限界よりも長いスペースあるいはピットに隣接した、解像限界よりも短いピットあるいはスペースであれば欠落が生じる。
【0020】
以上のように、従来の光記録媒体に対する本発明者らの追試においても従来技術と同様にピット信号の一部の欠落が生じるという結果が得られた。
【0021】
これに対して本発明者らは、光記録媒体の構造を改良することによって、ピット信号の欠落を防止することができることを見出した。具体的には、第1保護層52と第2保護層53との間に空間層を設けることにより、ピット信号の欠落が生じないことが、本発明者らの実験で判明した。また、誘電体からなる保護層52をさらに省略しても、同様にピット信号の欠落が生じなかった。すなわち、本発明にかかる光ディスクは、超解像層を挟んで光の照射側の反対側に空間層を有することにより、再生時に、ピット信号の欠落が発生せず、再生エラーの発生をなくすことができる。つまり、記録容量を大きくするとともに、再生エラーのない光記録媒体が実現可能となる。
【0022】
以下には、上記の改良が施された、本発明にかかる光記録媒体および光再生装置について、図1を参照して説明する。
【0023】
図1に示すように、本発明の光ディスク(光記録媒体)1は、A−A’線で切断した断面からみると、基板10上に、金属あるいは半導体からなる超解像層11、誘電体からなる第1保護層12、空間層16および第2保護層(保護板)13が順に設けられている構成である。また、図1の斜視図に示すように、上記光ディスク1は、最外周部17、最内周部18、および最外周部17と最内周部18とに挟まれたデータ領域(情報記録領域)22を備えている。上記データ領域22では、基板10に形成されたピットにより情報が記録されている。
【0024】
第2保護層13には、最外周部17と最内周部18とにおけるデータ領域側に突起15が設けられている。この突起15を設けることによって、第2保護層13と第1保護層12との間に空間層16を得ることができる。第2保護層13は、例えば、UV硬化樹脂からなる接着剤14により、第1保護層12に接着されている。上記のように、突起15が最外周部17と最内周部18とにおけるデータ領域側に設けられているので、この突起15により、接着剤14のデータ領域への侵入を防ぐことができるとともに、空間層16を確保することができる。つまり、突起15と接着剤14とは、光ディスク1のデータ領域外に設けられ、この部分ではピットを読み出すときの超解像効果を用いる必要はない。
【0025】
次いで、図2に、図1に示す光ディスク1のデータ領域の一部分20を拡大して示す。この図2を参照して、上記光ディスク1についてより詳細に説明する。
【0026】
図2に示すように、基板10には凹部からなるピット21(,21,21…)が形成されている。そして、上記ピット21間がスペースとなっている。このピット21およびスペースは、上記データ領域において所定の方向に並んで形成されている。つまり、ピット21およびスペースは、光ディスク1のトラックに並んで形成されており、ピット列を形成している。基板10のピット21およびスペースが形成されている面には超解像層11と第1保護層12とが成膜されている。上記第1保護層12により、超解像層11の酸化を防止することができる。また、上記第1保護層12により、超解像層11の膜の蒸発を防止することができる。つまり、上記第1保護層12は、複数の役目を備えた劣化防止層ということができる。さらに、第1保護層12上には、上述の通り空間層16を挟んで第2保護層(保護板)13が設けられている。
【0027】
上記ピット21についてより詳細に説明する。ピット21となる凹部には、超解像層11と第1保護層12とが形成(積層)されており、それ以外の部分は空間部23となっている。言い換えれば、上記ピット21は、基板10に形成された凹部において基板10側から超解像層11と第1保護層12と空間部23とを順に備えている構成である。また、上記空間部23は、空間層16の一部であるということもできる。
【0028】
図3は、本発明の光再生装置を説明する図である。本発明の光再生装置は、レーザドライバ7、再生回路(再生手段)8、および光ピックアップ(光学系)9を備えている。
【0029】
上記光再生装置では、再生時に、レーザドライバ7から、駆動電流が光学ピックアップ9内の半導体レーザ(光源)6に送られる。上記半導体レーザ6からは、上記駆動電流に応じてレーザビームBが出射される。この出射された直線偏光のレーザビームBは、偏光ビームスプリッタ5を通過して、1/4波長板3にて円偏光に変換される。さらに、このレーザビームBは、対物レンズ2により、上述の本発明の光ディスク1に集光される。このレーザビームBは、基板10側から照射される。そして、上記光ディスク1からの反射光は再び対物レンズ2を通って、1/4波長板3にて偏光面が90度回転した直線偏光に変換され、偏光ビームスプリッタ5によって直角に曲げられ、フォトディテクタ4に入射される。フォトディテクタ4に入射された光は、フォトディテクタ4にて電気信号に変換され、再生回路8にて増幅され再生される。なお、上記構成では、光ディスク1の反射光から信号を再生しているが、これに限らず透過光によって再生する構成としても構わない。
【0030】
以下では、より具体的な実施例を挙げて、本発明にかかる光ディスク1について説明する。
【0031】
本実施例では、基板10をポリカーボネート、超解像層11をゲルマニウム、第1保護層12をZnS-SiO2、第2保護層13をポリカーボネートから製造した。上記基板10、超解像層11、第1保護層12、および第2保護層13のそれぞれの厚みは、順に0.6mm、15nm、10nm、および0.5mmである。突起15の高さは0.1mmであり、空間層16の層厚に等しい。なお、上記構造によれば、光ディスク1の全体の厚みは1.2mmとなる。
【0032】
また、ピット21の深さを70nm、ピットのうち最短のピットにおける長さ(トラックの方向に沿った長さ)を0.25μm、トラックのピッチを0.74μmとした。
【0033】
さらに、光ディスク1の読み出しに使用した光再生装置における光ピックアップ(光学系)9では、レーザビームBの波長(λ)を635nm、対物レンズ2の開口数(NA)を0.6とした。読み出し可能なピットの解像限界をλ/4NAとすると、解像限界は0.265μmとなり、最短ピットは解像限界よりも短く、通常では再生できないサイズである。
【0034】
次いで、光ディスク1のデータ領域に形成されたピットおよびスペースと、光ディスク1に超解像再生パワーである1.6mWを照射しながら、読み出したときの信号波形とを図4を用いて説明する。なお、図4に示すように、本実施例では、光ディスク1のデータ領域において、回折限界を超えた密度に対応する最短ピットM1と最短スペースS1とを備える複数のパターン(ここでは3つのパターン)が、回折限界よりも低い密度に対応した長いピットM2と長いスペースS2とに挟まれるように形成されている。
【0035】
図4に示すように、3つの最短ピットM1に対して、読み出し信号波形において3つのピットに対応した信号が得られている。すなわち、本発明の光ディスク1においてピット信号が欠落するという問題が解消できたことがわかる。これは、本発明の光ディスク1では、第1保護層12と第2保護層13との間に空間層16(空間部23)を設けているためである。この空間層16(空間部23)を設けているため、ピット信号の欠落を防止することができる。したがって、読み出しエラーのない光記録媒体と光再生装置を提供することができる。また、ピットを読み出した信号がオシロスコープ上で識別できるほど信号対雑音比が高いことも判る。
【0036】
また、上記のように本実施の形態の構成では、長い(大きな)スペースあるいは長い(大きな)ピットに隣接した最短ピットあるいは最短スペースの欠落が防止されている。つまり、最短ピットあるいは最短スペースには特に限定されることなく、長い(大きな)スペースあるいは長い(大きな)ピットに挟まれる最短ピットあるいは最短スペースの数は、2つ、または4つ以上においても、同様に長い(大きな)スペースあるいは長い(大きな)ピットに隣接した最短ピットあるいは最短スペースの欠落を防止することができる。なお、説明の便宜上、大きなスペースあるいはピットに隣接した最短ピットあるいは最短スペースを例に挙げたが、これに限らず、解像限界よりも長いスペースあるいはピットに隣接した、解像限界よりも短いピットあるいはスペースであれば欠落を防止することができる。
【0037】
なお、上記超解像層11の材料はゲルマニウムに限らず、シリコン、タングステン、モリブデンのいずれかを含む材料でも同様な効果が得られる。また、ピットを読み出したときの信号対雑音比も高かった。上記超解像層11の膜厚は5〜100nmであることが好ましい。なお、超解像層11は連続膜になればよく、特に膜厚の下限値は限定されるものではない。また、超解像層11の膜厚の上限値は、超解像効果が現れる程度の膜厚であればよい。
【0038】
また、上記第1保護層12の材料はZnS-SiO2に限らず、窒化珪素(Si3N4)や二酸化珪素(SiO2)等の、耐熱性や機械的強度に優れた材料を用いることも出来る。また、第1保護層12は超解像層11の酸化を防止するために設けられているが、本発明者らの実験によると、第1保護層12の厚みが50nm以上になると、ピットを読み出した信号の欠落が生じたため、これ以上に厚くすることは好ましくない。また、上記第1保護層12は、5nmより薄いと超解像層11の酸化を防止することが困難になる。したがって、第1保護層12の膜厚は5〜40nmであることが好ましい。そこで、上記第1保護層12は、超解像層11の酸化を防止できる程度に厚くし、さらに超解像層11の機械的損傷を保護するための第2保護層13を、空間層16を挟んで使用することが好ましい。
【0039】
また、上記に限らず、空間層16を、たとえば窒素気体層に置き換え、かつ穴19を塞ぐことにより、第1保護層12を省略し、超解像層11の酸化を防止しても構わない。空間層16の厚みは100nm以上であることが望ましい。空間層16の厚みはゼロでも構わない。しかしながら、光ディスク1の全面に渡って空間層16の厚みをゼロとするのは難しく、逆にある程度の空間層を持ったほうが光ディスク1の全面に渡っての厚みは制御しやすくなる。これにより、均一な厚みを持った空間層16を提供することができる。また、空間層16の厚みは、第2保護層13の機械特性(撓み)を考慮すると、さらに厚くする方が好ましく、1μm以上が適切である。この空間層16の厚みは、突起部15を、光ディスク1の最外周部17と最内周部18とだけでなく、その間(データ領域)に適宜設けることによって、機械特性を上げることができる。そのため、突起部の数が増えるほど空間層の厚みは薄くすることができる。さらには、突起部を適切に配置することにより空間層16を真空状態にすることも可能である。このように、空間層16を真空状態にする場合には、基板10や第2保護層13を大気圧に耐える強度のものを使用すればよい。これによって第1保護層12を省略することも可能である。
【0040】
また、空間層16が空気層である場合には、該空間層16と連通する穴19を第2保護層13に設けることが望ましい。この穴19により、大気圧と空間層16の気圧とを平衡に保つことができ、第2保護層13が超解像層11の方に押し付けられて接することを防止できる。したがって光ディスク1の破損を防止することができる。
【0041】
また、上記では、第2保護層13を、突起部15を介して第1保護層12に接着しているが、これに限らず成膜方法の変更により、直接第1保護層12に接着しても構わない。つまり、上記第2保護層13の突起15を省略してもよい。また、たとえば第2保護層13を粘着シート等により第1保護層に貼りつけることにより、ピット21の凹部のみを空間としてもよい。このときも、ピット21の凹部には、空間部23が保たれたままなっている。
【0042】
また、2枚の光ディスク1において、第2保護層13側同士を接着剤等により接着することにより、両面に情報が記録された1枚の光ディスクとしてもよい。
【0043】
【発明の効果】
上記のように、本発明の光記録媒体は、波長λと開口数NAの光学系によって再生される光記録媒体であって、基板と、基板の少なくとも一方の面に形成された、λ/(4×NA)より短いピットおよびスペースを含むパターンが、回折限界よりも低い密度に対応した長いピットまたは長いスペース、もしくは長いピットおよび長いスペースに挟まれるように形成されている情報記録領域と、基板のピットが形成されている面に設けられ、半導体または金属からなる超解像層と、前記超解像層に積層され、当該超解像層の劣化を防止する第1保護層とを有し、前記ピットは基板に形成された凹部からなり、該凹部において空間部が保たれている構成である。
【0045】
上記の構成によれば、ピットを読み出したときの信号の欠落が発生しない。つまり、エラーのない信号再生を行うことができる回折限界を超えた高密度記録の光記録媒体を提供することができるという効果を奏する。
【0046】
また、本発明の光記録媒体は、上記の構成に加えて、前記第1保護層と自身との間に前記空間部を含む空間層を形成し、前記超解像層の機械的損傷を保護する第2保護層をさら に有する構成である。また、本発明の光記録媒体は、大気圧と前記空間層の気圧とを平衡に保つための穴が前記第2保護層に形成されている構成である。
【0047】
上記の構成によれば、上記穴により空間層が外部と連通しているので、保護層と超解像層との間の気体の気圧と、大気圧とがほぼ平衡に保たれる。したがって、保護層が超解像層に押し付けられて接することを防ぐことができるという効果を奏する。
【0048】
また、本発明の光記録媒体は、上記の構成に加えて、前記超解像層は、シリコン、ゲルマニウム、タングステン、モリブデンから選択される少なくとも1種の材料を含むことが好ましい。これによれば、ピットを読み出した信号の信号対雑音比の高い光記録媒体を提供できるという効果を奏する。
【0049】
また、本発明の光再生装置は、上記課題を解決するために、上記の光記録媒体を備え、該光記録媒体に光ビームを集光するための波長λと開口数NAの光学系と、前記光記録媒体からの透過光あるいは反射光から光記録媒体のピットの信号を読み出す再生手段とを備える構成である。
【0050】
これによれば、回折限界を超えた高密度記録の光記録媒体と、この光記録媒体を再生する光再生装置とによって構成される光再生装置において、ピットを読み出したときの信号欠落が生じず、信号対雑音比の高い高密度記録の光再生装置を提供することができるという効果を奏する。
【0051】
言い換えれば、回折限界を超えた高密度記録の光記録媒体と、この光記録媒体を再生する光再生装置によって構成される光情報システムにおいて、ピットを読み出したときの信号欠落が生じず、エラーのない信号対雑音比の高い高密度記録の光情報システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる光ディスクの斜視図および断面図である。
【図2】 図1の光ディスクにおけるデータ領域の斜視図である。
【図3】 本発明にかかる光再生装置のブロック図である。
【図4】 本発明の光記録媒体と光再生装置からなる光情報システムにおいて、ピットを読み出した信号の波形図である。
【図5】 従来の光記録媒体のピットを読み出した信号の波形図である。
【図6】 従来の光記録媒体の斜視図および断面図である。
【符号の説明】
1 光ディスク(光記録媒体)
10 基板
11 超解像層
12 第1保護層
13 第2保護層(保護板)
14 接着剤
15 突起部
16 空間層
21 ピット
23 空間部
Claims (4)
- 波長λと開口数NAの光学系によって再生される光記録媒体であって、
基板と、
基板の少なくとも一方の面に形成された、λ/(4×NA)より短いピットおよびスペースを含むパターンが、回折限界よりも低い密度に対応した長いピットまたは長いスペース、もしくは長いピットおよび長いスペースに挟まれるように形成されている情報記録領域と、
基板のピットが形成されている面に設けられ、半導体または金属からなる超解像層と、
前記超解像層に積層され、当該超解像層の劣化を防止する第1保護層とを有し、
前記ピットは基板に形成された凹部からなり、該凹部において空間部が保たれており、
前記第1保護層と自身との間に前記空間部を含む空間層を形成し、前記超解像層の機械的損傷を保護する第2保護層をさらに有することを特徴とする光記録媒体。 - 大気圧と前記空間層の気圧とを平衡に保つための穴が前記第2保護層に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
- 前記超解像層は、シリコン、ゲルマニウム、タングステン、モリブデンから選択される少なくとも1種の材料を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光記録媒体。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光記録媒体を備え、該光記録媒体に光ビームを集光するための波長λと開口数NAの光学系と、前記光記録媒体からの透過光あるいは反射光から光記録媒体のピットの信号を読み出す再生手段とを備えることを特徴とする光再生装置。
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